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特開2023-15010層状多重活性化局所的活性化時間(LAT)マッピング
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  • 特開-層状多重活性化局所的活性化時間(LAT)マッピング 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015010
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】層状多重活性化局所的活性化時間(LAT)マッピング
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/367 20210101AFI20230124BHJP
   A61B 5/343 20210101ALI20230124BHJP
   A61B 5/349 20210101ALI20230124BHJP
【FI】
A61B5/367
A61B5/343
A61B5/349
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022113777
(22)【出願日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】17/379,200
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】レオニード・ザイデス
(72)【発明者】
【氏名】エラド・ナカル
(72)【発明者】
【氏名】エリヤフ・ラブナ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヴ・ベナロヤ
(72)【発明者】
【氏名】レファエル・イタ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127FF09
4C127GG05
4C127HH11
4C127HH13
(57)【要約】
【課題】心臓の電気的活性化マップを可視化すること。
【解決手段】方法は、患者の心臓の心臓腔の表面の少なくとも一部分内のそれぞれの位置で測定された電気的活性化(EA)値を含む複数のデータポイントを受信することを含む。所定のEA値基準を使用して、心臓表面の所与の領域内のEA値は、複数の別個のEA波面に分類され、EA値の複数の層は、所与の領域について計算され、各EA層は、それぞれの隣接するEA波面に属することが見出されたEA値を含む。複数のEA層は、表面のグラフィック表現上にオーバーレイされる。複数のオーバーレイされたEA層を有するグラフィック表現は、複数のEA層を区別するグラフィック表示を用いて、ユーザに表示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
インターフェースであって、患者の心臓の心臓腔の表面の少なくとも一部分内のそれぞれの位置で測定された電気的活性化(EA)値を含む複数のデータポイントを受信するように構成されている、インターフェースと、
プロセッサであって、
所定のEA値基準を使用して、前記心臓表面の所与の領域内の前記EA値を複数の別個のEA波面に分類し、前記所与の領域のEA値の複数の層を計算することであって、各EA層が、それぞれの隣接するEA波面に属することが見出された前記EA値を含む、計算することと、
前記複数のEA層を前記表面のグラフィック表現上にオーバーレイすることと、
前記複数のEA層を区別するグラフィック表示を用いて、前記複数のオーバーレイされたEA層を有する前記グラフィック表現をユーザに表示することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を含む、システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記EA値から複数のグラフを生成することであって、各グラフが、それぞれのEA層に対応する、生成することと、グラフ接続性基準を使用して、前記グラフのうちの1つに前記EA値の各々を割り当てることと、によって、前記複数のEA層を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記所定のグラフ接続性基準が、最大波面伝播遅延を指定する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記グラフの各々内の前記EA値を補間するように更に構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、色分けされたスケールを使用して、前記補間されたグラフを表示することによって、前記グラフィック表現を表示するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記所定のEA値基準が、隣接するLAT値間の最小絶対値差を指定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、ボクセル接続性ジオメトリアルゴリズムを適用することによって、前記複数のEA層を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記所定のEP値基準に従って設定されたオーバーレイ順序で、前記複数のEA層を表示することによって、前記グラフィック表現を表示するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサが、異なる色で各EA層を表示することによって、前記グラフィック表現を表示するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記EA値が、局所的活性化時間(LAT)値である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記領域が、前記表面をモデル化するポリゴンメッシュにおける多角形を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記インターフェースが、カテーテルを使用して取得される、EA値を受信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
患者の心臓の心臓腔の表面の少なくとも一部分内のそれぞれの位置で測定された電気的活性化(EA)値を含む複数のデータポイントを受信することと、
所定のEA値基準を使用して、前記心臓表面の所与の領域内の前記EA値を複数の別個のEA波面に分類し、前記所与の領域のEA値の複数の層を計算することであって、各EA層が、それぞれの隣接するEA波面に属することが見出された前記EA値を含む、計算することと、
前記複数のEA層を前記表面のグラフィック表現上にオーバーレイすることと、
前記複数のEA層を区別するグラフィック表示を用いて、前記複数のオーバーレイされたEA層を有する前記グラフィック表現をユーザに表示することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記複数のEA層を計算することが、前記EA値から複数のグラフを生成することであって、各グラフが、それぞれのEA層に対応する、生成することと、グラフ接続性基準を使用して、前記グラフのうちの1つに前記EA値の各々を割り当てることと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定のグラフ接続性基準が、最大波面伝播遅延を指定する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記グラフの各々内の前記EA値を補間することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記グラフィック表現を表示することが、色分けされたスケールを使用して、前記補間されたグラフを表示することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記所定のEA値基準が、隣接するLAT値間の最小絶対値差を指定する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のEA層を計算することが、ボクセル接続性ジオメトリアルゴリズムを適用することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記グラフィック表現を表示することが、前記所定のEP値基準に従って設定されたオーバーレイ順序で、前記複数のEA層を表示することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記グラフィック表現を表示することが、異なる色で各EA層を表示することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記EA値が、局所的活性化時間(LAT)値である、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記領域が、前記表面をモデル化するポリゴンメッシュにおける多角形を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記EA値を受信することが、カテーテルを使用して前記EA値を取得することを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電気生理学的マッピングに関し、特に、心臓の電気的活性化マップの可視化に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の電気的活性化(electrical activation、EA)心臓マッピング方法が、特許文献において以前に提案されている。例えば、米国特許出願公開第2016/0106376号は、多電極カテーテルを使用して、それぞれが位置データと局所的活性化時間(local activation time、LAT)データとの両方を含む複数の電気生理学的(electrophysiology、EP)データポイントを収集することによって、心臓活性化波面の局所伝導速度を計算することを記載している。任意のEPデータポイントについて、選択されたEPデータポイントと少なくとも2つの追加のEPデータポイントとを含むEPデータポイントの近傍を定義することができる。近傍内のEPデータポイントの位置及びLATをそれぞれ使用して、位置及びLATの複数の平面を定義することができる。位置及びLATの平面の交点から、伝導速度を計算することができる。求められた複数の伝導速度を、例えば、三次元心臓モデル上に均一な格子状に配置された複数のベクトルアイコンを表示することにより、グラフィック表現(例えば、電気生理学マップ)として出力することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施形態は、患者の心臓の心臓腔の表面の少なくとも一部分内のそれぞれの位置で測定された電気的活性化(EA)値を含む複数のデータポイントを受信することを含む方法を提供する。所定のEA値基準を使用して、心臓表面の所与の領域内のEA値は、複数の別個のEA波面に分類され、EA値の複数の層は、所与の領域について計算され、各EA層は、それぞれの隣接するEA波面に属することが見出されたEA値を含む。複数のEA層は、表面のグラフィック表現上にオーバーレイされる。複数のオーバーレイされたEA層を有するグラフィック表現は、複数のEA層を区別するグラフィック表示を用いて、ユーザに表示される。
【0004】
一部の実施形態では、複数のEA層を計算することは、EA値から複数のグラフを生成することであって、各グラフが、それぞれのEA層に対応する、生成することと、グラフ接続性基準を使用して、グラフのうちの1つにEA値の各々を割り当てることとを含む。
【0005】
一部の実施形態では、所定のグラフ接続性基準は、最大波面伝播遅延を指定する。
【0006】
一実施形態では、方法は、グラフの各々内のEA値を補間することを更に含む。
【0007】
別の実施形態では、グラフィック表現を表示することは、色分けされたスケールを使用して、補間されたグラフを表示することを含む。
【0008】
一部の実施形態では、所定のEA値基準は、隣接するLAT値間の最小絶対値差を指定する。
【0009】
一部の実施形態では、複数のEA層を計算することは、ボクセル接続性ジオメトリアルゴリズムを適用することを含む。
【0010】
一実施形態では、グラフィック表現を表示することは、所定のEP値基準に従って設定されたオーバーレイ順序で、複数のEA層を表示することを含む。別の実施形態では、グラフィック表現を表示することは、異なる色で各EA層を表示することを含む。
【0011】
一部の実施形態では、EA値は、局所的活性化時間(LAT)値である。
【0012】
一部の実施形態では、領域は、表面をモデル化するポリゴンメッシュにおける多角形を含む。
【0013】
一実施形態では、EA値を受信することは、カテーテルを使用してEA値を取得することを含む。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、インターフェースと、プロセッサと、を含むシステムが追加的に提供される。インターフェースは、患者の心臓の心臓腔の表面の少なくとも一部分内のそれぞれの位置で測定された電気的活性化(EA)値を含む複数のデータポイントを受信するように構成されている。プロセッサは、(i)所定のEA値基準を使用して、心臓表面の所与の領域内のEA値を複数の別個のEA波面に分類し、所与の領域のEA値の複数の層を計算することであって、各EA層が、それぞれの隣接するEA波面に属することが見出されたEA値を含む、計算することと、(ii)複数のEA層を表面のグラフィック表現上にオーバーレイすることと、(iii)複数のEA層を区別するグラフィック表示を用いて、複数のオーバーレイされたEA層を有するグラフィック表現をユーザに表示することと、を行うように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
図1】本発明の例示的な実施形態による、電気的活性化(EA)マッピングのシステムの概略画像図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による、2つの活性化層を含む左心室の表面のEAマップの概略画像レンダリングである。
図3】本発明の例示的な実施形態による、EAグラフファミリーに基づく図2のEAマップの生成を示す概略画像ボリュームレンダリングである。
図4】本発明の例示的な実施形態による、図2の多層EAマップを生成するための方法を概略的に示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
概論
カテーテルベースの電気的活性化(EA)マッピング技術は、心臓の心房などの器官の様々なタイプのEPマップを作成することができる。局所的活性化時間(LAT)マップ、双極電位マップ、又は単極電位マップなどの心臓EAマップは、心臓腔(例えば、心房)の表面上の複数の場所で電位図を取得することによって作成され得る。次いで、LAT(又は電位)などの電気的活性化値が、それぞれの場所の電位図から導出され得る。そのような場所、及び以下で「データポイント」と呼ばれるそれぞれのEA値は、次いで、例えば、色によって、心臓腔の3Dマップ上にオーバーレイされ得る。
【0017】
しかしながら、上述のEAマップは、同じ場所の複数のEA値(例えば、初期LAT及び後期LAT)を表示する能力を有しない。現在、初期LAT及び後期LATの両方が同じ場所、又は近くの場所で記録される場合、その解決策は、値を補間するか、又は閉塞線を引き出すかのいずれかである。前者は、無効なLAT着色を生成し、結果として、伝播方向の無効な推論を生成する可能性がある。後者は、目的の領域にわたって不正確な閉塞線を示すことによって、視覚的なアーチファクトを生じることが多い。
【0018】
本明細書に記載する本発明の実施形態は、EAマップを生成及び視覚化するための改善された方法及びシステムを提供する。特に、以下に記載される本発明の実施形態は、心臓腔が壁を有することを考慮するため、活性化が壁の異なる層で生じ得る。更に、一部の実施形態は、いくつかのデータポイントが同じ領域で取得され得るが、マッピング中の異なる時間に捕捉され得ることを考慮に入れる。
【0019】
開示された技術は、心臓腔の表面の少なくとも1つの領域について、EA値の2つ以上の別個の層を計算する。例えば、初期及び後期LATが発生する場合、形成される2つの層は、初期LATのための1つの層、及び後期LATのための第2の層である。情報は、層間に補間がないマップによって視覚化される。更に、層間のLAT値における任意の局所的な「ジャンプ」を示すことができる。この技術は、LAT間の不必要な補間の量を減らし、またEA閉塞(例えば、瘢痕)領域の明確な視覚的描写を与える。
【0020】
医師のための1つの非常に有用なツールは、再構成されたマップ上での、伝導の遅い(すなわち、EA波面をゆっくり伝播する)領域の識別であろう。従来の単層LATマップを使用する場合、この識別は、典型的には、速度測定によって行われる(イソクローナルディスプレイを使用するか、又はLAT導関数を計算することによって速度マップを作成することにより、個別に実行される)。複雑な不整脈では、非常に異なるLAT値を有する局所的な位置に2つ以上のポイントのグループを有することが一般的である場合、開示された方法は、異なるEA層を生成及び視覚化することによって、通常の伝導、遅い伝導、及び閉塞を区別するために伝播遅延基準を使用する。したがって、この方法で生成された速度(又は等時線)は、典型的にはクリーンであり、より正確である。
【0021】
例示的な実施形態では、プロセッサが、心臓腔内などの患者の器官の少なくとも一部分内のそれぞれの位置で測定されたEA値を含む複数のデータポイントを受信する。プロセッサは、所定のグラフ接続性基準を使用して、LAT値から2つ以上のグラフを生成する。プロセッサは、その後、所定のLAT値基準に従って各グラフからそれぞれの活性化層を生成する。プロセッサは、心臓腔のモデル化された表面上に2つ以上の活性化層をオーバーレイする。最後に、プロセッサは、活性化層を区別するグラフィック表示を用いて、オーバーレイされた表面をユーザに表示する。
【0022】
典型的には、複数の活性化層は、1つの層が正常なLAT値を視覚化し、別の層が異常な(後期)LAT値を視覚化するなど、所定のLAT値基準に従って定義される。
【0023】
例示的な実施形態では、所定のグラフ接続性基準は、最大伝播遅延を指定し、所定のLAT値基準は、EP値間の最小差を指定する。
【0024】
一部の例示的な実施形態では、各グラフ内で、プロセッサは、各EA層のEA値を補間して(例えば、LAT値間を直線的に補間して)、連続的に(連続する)色分けされた領域を生成する。更に、EA層内の別個の伝導パターンを示す心臓活性化伝播マップなどの、ビデオ表現がまた生成され得る。そのような表現では、より遅いEA信号伝播を1つの層に示すことができ、それと同時に、正常なEA信号伝播を別の層に示すことができる。
【0025】
1つの例示的な実施形態では、EA伝播をディスプレイ上でユーザに示すために、動的(ビデオ)伝播モードが提供される。2つのEA層は、後のLAT値から以前のLAT値を分離する(理論的には、以前のLAT値と後のLAT値の複数の層が存在し得る)。各層(又は等時性クラウディング)における波面速度は、他の層の波面速度よりも速く、又は遅くすることができる。更に、ビデオは、(i)EA層の間の各EA層及びラインブロックにおける伝播、(ii)波が1回より多く、領域をどのように活性化させるか、並びに(iii)完全な腔の活性化を考慮して2つの活性化が互いにどのように関連するか、を示すことができる。
【0026】
開示された層状EAマップ(静的なのか又はビデオを使用して時間変化するかにかかわらず)は、例えば、アブレーションを必要とする領域を注意深く決定するために、双極電位マップと相関させることができる。
【0027】
多層EAマップを提供することにより、開示された技術は、医師がEA情報を解釈することを支援し、したがって、診断カテーテル法に必要なものなどの複雑な診断タスクの質を促進し、改善する。更に、開示された技術は、アブレーションを使用して不整脈を治療する際の臨床的有効性を保持しながら、アブレーションの量を低減し、それによって、患者への副作用及び危険性を低減することができる。
【0028】
システムの説明
図1は、本発明の例示的な実施形態による、電気的活性化(EA)マッピングのシステム21の概略画像図である。図1は、患者25の心臓23のEAマッピングを実行するために、Pentaray(登録商標)29などの典型的なマッピングカテーテルを使用している医師27を示している。カテーテル29は、その遠位端に、典型的に機械的に可撓性であり得る1つ以上のアーム20を備え、各アームに1つ又は2つ以上の電極22が連結されている。マッピング手技中に、電極22は、心臓23の組織から及び/又は心臓23の組織に対して単極及び/又は双極信号を取得する。プロセッサ28は、電気的インターフェース35を介してこれらの信号を受信し、これらの信号に含まれる情報を使用してEAマップ31を構築し、EAマップ31は、プロセッサ28によってメモリ33に記憶される。処置中及び/又は処置後に、プロセッサ28は、ディスプレイ26上にEAマップ31を表示してもよい。
【0029】
EAマップ31は、LATマップ、双極電位マップ、又は別のマップタイプであり得る。図2及び図3に記載されるように、EAマップ31は、開示された技術を使用して改善された品質を有し、マップ上の空間的に重なり合う領域上で、異なるLAT値などの異なるEA値を導出及び提示する。
【0030】
手技中に、追跡システムを使用して感知電極22のそれぞれの場所を追跡することで、信号の各々とその信号を取得した場所とを関連付けることができる。例えば、その開示が参照により本明細書に援用される米国特許第8,456,182号に記載されている、Biosense-Webster(Irvine California)製のActive Catheter Location(ACL)システムを使用してもよい。ACLシステムでは、プロセッサは、感知電極22の各々と患者25の皮膚に連結されている複数の表面電極24との間で測定されたインピーダンスに基づいて、電極のそれぞれの場所を推定する。例えば、3つの表面電極24を患者の胸部に連結し、別の3つの表面電極を患者の背部に連結してもよい。(例示しやすいように、1本の表面電極のみを図1に示す。)患者の心臓23内部の電極22と表面電極24との間に電流が流される。プロセッサ28は、表面電極24で測定して得られた電流振幅間(又はこれらの振幅によって示されるインピーダンス間)の比及び患者の身体上の電極24の既知の位置に基づいて、患者の心臓内の全ての電極22の推定される場所を計算する。こうして、プロセッサは、電極22から受信した任意の所与のインピーダンス信号と信号が取得された場所とを関連付けることができる。
【0031】
図1に示される実施例の例解は、単に概念を分かりやすくする目的で選択されている。電圧信号の測定に基づく方法など、その他の追跡方法を使用することができる。Lasso(登録商標)カテーテル(Biosense Webster製)、又はバスケットカテーテルなどの他の種類の検出カテーテルが、同等に用いられてもよい。物理的接触センサは、測定中に、電極22の各々と心臓腔の内面との間の接触品質を推定するために、マッピングカテーテル29の遠位端に取り付けられ得る。
【0032】
プロセッサ28は、通常、本明細書に記載されている機能を実行するようにプログラムされたソフトウェアと共に汎用コンピュータを備える。特に、プロセッサ28は、図3に含まれている本明細書に開示される専用のアルゴリズムを実施し、これは、以下で更に記載されるように、プロセッサ28が本開示のステップを行うことを可能にする。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードされてもよい。あるいは代替的に又は追加的に、ソフトウェアは、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの非一時的実体的媒体に提供及び/又は記憶されてもよい。
【0033】
閉塞からの遅い伝導を区別するための層状化LATマップ
図2は、本発明の例示的な実施形態による、2つのEA層210及び220を含む左心室の表面のEAマップ200の概略画像レンダリングである。EPマップ200は、例えば、システム21のプロセッサ28によって生成及び表示され得る。
【0034】
本実施例では、EA層210及び220は、それぞれ、初期LAT層及び後期LAT層である。層は、以下の図3に記載されているアルゴリズムを使用して導出される。一部の実施形態では、2つのLAT層210及び220は、例えば、2つのLAT値の測定値が所定の最小のLAT値を超えて異なる領域において部分的に重なり合う。そのような場合、以下のアルゴリズムの説明で定義されるように、より小さいLAT値の第1のセットが、層210を生成するために使用され、より大きなLAT値の第2のセットが、層220を生成するために使用される。
【0035】
EA層220を210から区別するために、プロセッサ28は、異なる色若しくは灰色レベル(図示されるような)を使用するか、又はパターン(図示せず)を使用して、異なるグラフィック表示を有する層を表示し得る。
【0036】
LAT層210及び220は、それらの捕捉されたLAT範囲に従って昇順又は降順にオーバーレイされ得る。例えば、より小さいLAT値を層210に割り当てることができ、これは、正常な組織部分を示す。異常な組織を示し得るより大きなLAT値は、下層220に示されている。このようにLAT情報を提示することにより、開示された技術は、例えば、上述のように瘢痕組織を識別することによって、マップの臨床的有用性を高めることができる。
【0037】
図2に更に見られるのは、410及び420と示される取得されたLAT値自体であり、そこから、プロセッサ28は、例えば、補間によって、それぞれの層表現210及び220を生成する。ユーザは、LAT値410及び420、並びにそれらの値データポイント(組織位置及びLAT値)を表示するかどうかを選択することができる。EAマップ上のLAT値410及び420のグラフィック表示は、開示されたアルゴリズムの一部ではなく、LAT値410及び420は、層に分離されていないことに留意されたい。したがって、これらの要素の表示は、ユーザの裁量のために残されて、取得されたデータの追加の未加工の表現をユーザに提供する。
【0038】
図2は、開示された概念を説明するために、純粋に実施例として提示されている。代替の実施形態では、複数のEA層を有する他の好適なタイプのマップを構築することができる。
【0039】
更に、プロセッサ28は、例えば、ビデオ表現を使用して、時間的に変化する多層EAマップを生成し得る。例えば、時間的に変化する表現を使用して、層210及び220内の別個の伝導パターンを示す心臓活性化伝播マップを表示することができ、より遅いEA信号伝播は、層220と同等の層で示され、それと同時に、通常のEA信号伝播は、層210と同等の層で示される。
【0040】
遅い伝導を閉塞と区別するための層状化LATマップを生成するためのアルゴリズム
図3は、本発明の例示的な実施形態による、EAグラフファミリーに基づく、プロセッサ28による図2のEAマップ200の生成を示す概略画像表面レンダリングである。
【0041】
図3に見られるように、一部の実施形態では、プロセッサ28は、LAT値差基準を使用して、局所的なLATポイントを2つの異なるグラフファミリー304及び306に分割し、これは、LAT値について、式:
【0042】
【数1】

(式中、LATはLAT値のしきい値であり、以降、最小絶対LAT値差とも呼ばれる)である場合に、LAT及びLATが異なる(すなわち、切断されたグラフファミリー)に属することを意味する。
【0043】
グラフファミリー304及び306のグラフは、マップ上で重なり合うことができるが、依然として、グラフファミリー304及び306は相互接続されていない(グラフ304のデータポイントとグラフ306のデータポイントとの間でEA伝導が発生し得ないため)。
【0044】
グラフファミリー304及び306の各々は、正常又は異常にかかわらず、有効なEA伝導経路(すなわち、有効なEA波面)を表す。開示されたアルゴリズムを使用して別個のグラフファミリー304及び306を生成するために、プロセッサ28は、どのLATポイントの間でEA伝導が起こり得、どのLATポイントの間で伝導が起こり得ないかを決定する。間に伝導経路を有すると識別されたLATポイントは、同じEA層に割り当てられる。
【0045】
2つの所与のLATポイントがEA伝導経路によって接続されている(したがって、同じグラフファミリー及び同じEA層に属するべきである)かどうかを決定するために、プロセッサ28は、2つの点の間の伝導速度を計算する。
【0046】
【数2】

式中、Lijは、データポイント間のパス長(測地線又はユークリッド)であり、ΔTijは、組織位置i及びjにLAT信号が到着する間の時間差である。Vijの逆数は、伝播遅延と呼ばれる。
【0047】
プロセッサ28は、Vijを所定の速度値V(「EAブロックしきい値」とも呼ばれる)と比較することにより、位置i及びjがEA伝導パスによって接続されているかどうかを決定する。Vij<Vの場合(すなわち、伝播遅延について、所定の最大値を超えている場合)、プロセッサは、2つの組織位置iとjとの間に伝播がない(通常又は低速)と決定する。プロセッサ28は、そのような点を異なるグラフファミリー、したがって、異なるEA層に割り当てる。これに対して、Vij≧Vである場合、プロセッサ28は、ポイントi及びjを、同じグラフファミリーに、したがって、同じEA層に割り当てる。この基準は、本明細書ではグラフ接続性基準と呼ばれる。
【0048】
1つ又は2つ以上の組織位置のうちのいずれかから開始して、プロセッサは、式1の基準を各隣接するLAT値に適用し、それに応じて、各グラフファミリーにEA値を集約する(例えば、割り当てる)ことによって、グラフファミリー304及び306を同時に生成する。
【0049】
次に、プロセッサは、グラフを腔のモデル化された表面上(例えば、解剖学的マップ上)に投影する。
【0050】
図3のEA層を生成するために、一部の実施形態では、プロセッサ28は、式1のEA値基準(例えば、LAT値基準)を適用する。上記のように、プロセッサは、例えば、グラフ内の任意のLAT値の最小LAT絶対値差がしきい値LAT差EA=ΔLATを超えている場合、グラフのEA値間の最小のEA値差を満たすように別個のグラフファミリー304及び306を集約することができる。
【0051】
グラフファミリーごとに、プロセッサは、色分けされたLAT値を適用し、ボクセルを補間して、上記の層210及び220の各々に色の目盛り(例えば、シェード)を生成する。見られるように、異なるグラフファミリー304及び306は、その後にしきい値LAT差、ΔLAT基準に従って区別される層210と220との間で混合しないように、異なる色を受ける。
【0052】
遅い伝導を閉塞と区別するための層状化LATマップを生成するための方法
図4は、本発明の例示的な実施形態による、図2の多層EAマップ200を生成するための方法を模式的に示したフローチャートである。提示された実施形態によるアルゴリズムは、プロセッサ28が、モデル受信ステップ402において、心臓の少なくとも一部分のモデル化された表面(例えば、解剖学的マップ)を受信することで始まるプロセスを実行する。
【0053】
データポイント受信ステップ404において、プロセッサは、モデル化された表面と関連付けられた複数のそれぞれの場所で測定された、LAT値などのEA値を含む複数のデータ点を受信する。ステップ404は、多電極カテーテルを使用して電位図を取得すること、及びプロセッサ28が電位図を解析してLAT値などのEA値を導出することを含むことができる。
【0054】
次に、EAグラフ構築ステップ406で、プロセッサ28は、上述のグラフ生成アルゴリズムを適用し、最小EA信号速度(本明細書ではEA速度しきい値化と呼ばれる)に基づくグラフ接続性基準を使用して、各領域で、同じ又は異なるグラフファミリー(グラフ304及び306など)をEA値に割り当てる。
【0055】
EA層生成ステップ408で、プロセッサ28は、上述のアルゴリズムを適用し、式1のLAT値差しきい値化を使用して、LAT層210及び220などのEA層を生成する。特に、一実施形態では、プロセッサは、グラフの各々内のEA値を直線的に補間する(例えば、ノード間の線形補間を実行する)。
【0056】
EA層ソートステップ410で、プロセッサ28は、例えば、初期のLAT値から生成された層の上に後期のLAT値から生成された層を示す(例えば、潜在的に異常な組織を潜在的に正常な組織の上にオーバーレイさせて示す)ようにとのユーザ要求に従って、層をソートする。
【0057】
見られるように、図4のステップ408~410の実行は、反復プロセスである。グラフは、典型的には疎であり、マップは、グラフ線に基づいて着色されているため、値を形成する値を伝播させる必要がある。したがって、そのような各ステップ(Nステップの数は事前定義されている)について、プロセッサは、層の値をマップの最も近いボクセルに伝播し、EA層を生成し(408)、次いで、再びEA層をソートする(410)。
【0058】
EAマップ提示ステップ412で、プロセッサ28は、モデル化された表面を、ソートされたEA層でオーバーレイされた状態で表示する。
【0059】
図4に示されている例示的なフローチャートは、純粋に概念を分かりやすくする目的で選択されたものである。任意選択的な実施形態では、例えば、医用画像などの追加の層を自動的に位置合わせするために、また全ての層の間でトグルすることができる表示を生成するために、様々な追加のステップが実行されてもよい。
【0060】
ボクセルジオメトリの層状多重活性化LATマップ
このセクションでは、本発明の一部の実施形態の代替的な説明は、ボクセルに関して提供される。開示された説明は、(異なるEA層のボクセル間を区別するしきい値に基づいて)データポイントの同じセットに属するEA値で、ボクセル間のみを補間する方法を示している。
【0061】
開示された説明は、LAT値しきい値に基づいて、同じ特定のボクセルで活性化された、LAT値などの異なるEA値の積層のためのアルゴリズムを詳述する。
【0062】
各ボクセルで記録されたLAT層値は、最も近いデータポイントを使用して推定される。次いで、プロセッサは、正規化されたLAT値を半円LAT値に変換して、異なる層が表面レンダリング上にオーバーレイされる明確な方法で表示する。
【0063】
アルゴリズムは、各ボクセルについて2つのアレイである、latLayers-LATのアレイ、latDists-距離のアレイを定義することで始まる。
【0064】
プロセッサは、各ボクセル上の層のカウンタ、numLayerを定義する。
【0065】
全ての値は、ゼロに初期化された。
【0066】
アルゴリズムへのパラメータは次のとおりである。
本明細書では、LAT層しきい値とも呼ばれるLAT値基準-LAT値を異なる層に区別するしきい値。
【0067】
色距離-場所から投影ポイントまでの最大距離。
【0068】
ボクセル上に層を生成する。
プロセッサは、以下のステップ1~5を実行することによって、各ボクセル上に異なるLAT層を生成する。
1)各ボクセルvについて:ポイント_pが_vに投影されるたびに、プロセッサは、_v.latLayers[_v.numLayers]=p.lat、_v.numLayers+=1のように計算する。
2)全てのポイントが投影されると、各ボクセル_vについて、プロセッサは、アレイをソートし、冗長
層を除去する。
3)次に、プロセッサは、LAT値を隣接ボクセルに伝播する。
【0069】
一事例において、各ボクセル(_v)について、これはGPU上の別個のカーネルで行われる。
【0070】
プロセッサは、ボクセルのアレイをトラバースすることによって各層を更に生成する。つまり、各vが_vの所与の数の隣接部をトラバースすると、プロセッサは、全ての層状LAT及び層状距離を収集し、それらをそれぞれのアレイであるtempLat、tempDistancesに置く。図4のステップ408~410に更に示されるように、隣接部に層状化を適用するステップ(所定の数のステップ)が数回行われる。
【0071】
tempDistancesは、隣接部から原点(投影ポイントを有するボクセル)までの距離+_vから隣接部までの距離を取ることによって更新される。
【0072】
次いで、プロセッサは、tempLats及びtempDistancesにv.latlayers及び_v.latDistsを追加する。
【0073】
プロセッサは、アレイをソートし、冗長層を除去し、残っている層の数を更新し、データを、_v.latlayers、_v.latDistsにコピーし、かつ_v.numLayersを更新する。
4)次に、プロセッサは、ラプラスオペレータでLAT値を平滑化する。
【0074】
各ボクセル_vについて、
プロセッサは、所定の数の横方向隣接部_vを取る。vの各層について、プロセッサは、_vの層に対するLAT差がLAT層しきい値よりも小さい隣接部の層を見つける。
【0075】
次いで、プロセッサは、見つかったLAT値から_vの層を更新する。
【0076】
本明細書でSortContractLayersと呼ばれる関数(latのアレイ、距離のアレイ、層latしきい値)を使用して、冗長層をソートし、除去する。出力は、lat及び対応する距離のアレイである。
【0077】
LAT値の各残りのアレイは、それらの間の差がLAT層LAT分離しきい値よりも大きい2つのLAT値を含まず、これらが別個のEA層であり、EA伝播が許容されないことを意味する。言い換えれば、各ボクセルの返されるアレイは、EA層及びそれぞれのLAT距離を含む。層アレイ内のLAT値は、LAT層しきい値よりも大きくなければならない。
【0078】
SortContractLayers関数の概要:
-以下の方法でアレイをソートする。
○各インデックス_i及び_jについて、
○abs(LAT(_i)-LAT(_j))<レイヤーしきい値の場合、それらの距離値で_i、_jをソートする。
○abs(LAT(_i)-LAT(_j))>レイヤーしきい値の場合、それらのLAT値で_i、_jをソートする。
-abs(LAT(_i)-LAT(_i-1))<LAT層しきい値の場合、LATアレイをトラバースし、インデックス_iをマークして削除する。
-インデックスがマークされて削除されるようにLAT及び距離アレイからアイテムを除去する。
-アレイを収縮させ、アレイ内のアイテムの数を返す。
【0079】
関数は、LAT値のアレイ、及び層LATしきい値より大きいLATアレイ値のアイテムと、各アイテムの原点までの距離との差が最小になる距離を返す。
5)ステップ(3)と同様の方法で、全ての隣接部に層を有するボクセルの値を拡張する。このステップは、
三線形補間が必要である。
【0080】
ボクセルのLAT層を表示する
ディスプレイは、マップの静的表示に分離され、ここで、プロセッサ又はユーザは、各ピクセル上に表示する層及び各時点での伝播LAT値に基づいて層を表示する表面のどこに伝播するかを選択する。
【0081】
静的ディスプレイ:
LAT値を表示するように選択することができるオプションは、最早及び最新であり、また、
様々な表示可能なLAT値を提供することもできる。
【0082】
アルゴリズム:
1)ジオメトリ上の各位置について、三重線形補間に関与する8個のボクセルを見つける。これらのボクセルの位置は、立方体を表す。この立方体内のLAT値は、立方体の8つの頂点(これらはボクセルに対する位置である)への近接度から導出される補間係数によって定義される。
2)8個のボクセルのLAT層をトラバースし、立方体内の補間されたLATに影響を及ぼし得る全てのLAT値を見つける。それらの値をTargetLatアレイ内にプッシュする。
-結果に影響を与え得るLAT値は、LAT距離<色距離である層である。
3)TargetLatアレイをトラバースし、繰り返し値を除去し、収縮させる。LAT値_LKは、abs(_LI-LK)<層LATしきい値の別のLAT値_LIがある場合に繰り返される。
4)TargetLatアレイをソートし、クランプする。
-表示するオプションが「最新」の場合、プロセッサは降順でソートする。
-表示するオプションが「最早(earlist)」である場合、プロセッサは昇順でソートする。
-範囲が提供される場合、プロセッサは、TargetLatアレイからその外側にあるLAT値を除去する。
5)8個のボクセルの各々について、プロセッサは、サイズがTargetLatのサイズであるべきである2つ以上のアレイを(静的に)割り当てる。アレイは、緯度及び距離、voxelTargetLat、voxelTargetDist用である。
6)8個のボクセルの層の各々について、TargetLatアレイをトラバースし、目標LATにおけるLAT及びボクセルの電流層のLATが一致するか(それらの差が層LATしきい値よりも小さいか)どうかを試験する。
【0083】
一致する場合:voxelTargetLat[i_target]=voxel.latLayers[i_layer]、及びvoxelTargetDist[i_target]=voxel.latDists[i_layer]である。
7)各層のLAT及び距離値の三線形補間(これらはピクセルごとの値である)。
8)プロセッサは、ピクセルごとの層値をトラバースする。
-層の補間距離<色距離の場合、補間層LAT値を適用する。
-そうでなければ、次の層に進む。
【0084】
全ての層距離が色距離しきい値よりも大きい場合、NO色値を適用する。
【0085】
伝播の表示
LAT値の伝播波を表示するとき、プロセッサは、いくつかの場所で全ての層をトラバースし、層LATが伝播LATと一致する場合はその場所を強調表示する必要がある。なぜなら、構造上、層は固定値ではなく可変値を保持するからである(LAT層値は固定されておらず、むしろ、その場所でのLATの差によって決定される)。例えば、1Dでは、ボクセルは、LAT値、[LAT1、LAT2]を有する2つの層を有することができるが、隣接するボクセルは、LAT値[LAT3]、LAT3≒LAT2の層が1つだけある。層の距離が色距離よりも小さい場合、全てのLAT値は、誤って伝播に関与するであろう。
【0086】
これを防止するために、2つのLAT層が隣接するボクセル間で分離される場合、それらのボクセルのうちの1つは、ディスプレイ上の色距離の外側になければならない。層間の誤った補間の理由は、3Dテクスチャを使用することである。三線形補間は、層間の誤った値を作成する(いくつかのボクセルの層0は、値10を有することができるが、その隣接部の層0は、100を有してもよく、したがって、層間の補間は正しくないが、3Dテクスチャで自動的に起こる)。
【0087】
上記のように、上記で計算された静的層、及びボクセルの2層にわたって伝播を表示する必要がある。しかしながら、LATのピクセルごとの値は、隣接するボクセルの値の間で補間される。すなわち、2つのボクセル間の実施例における層0のLAT値は、LAT1とLAT2との間に(ボクセルからの距離に従って)補間される。これは、この領域におけるLAT1とLAT2との間の全てのLAT値における活性化を示す。
【0088】
誤った補間での作動を防ぐために、プロセッサは、無効な補間を識別する。これは、以下のステップに従って行われる。
1)各ボクセルについて、正規化されたLAT値(0~1)を上部単位半円に転送する。変換は、x=-cos(LATPI)、y=sin(LATPI)である。したがって、各LAT値について、単位半円上に位置があり、その大きさは1である。各補間値について、このベクトルの大きさは、1未満であり、非補間ボクセル値の差と共に減少する。
2)各層について、プロセッサは、補間値の距離を計算し、このしきい値を超える距離を有するLAT値が活性化され、この半円しきい値未満の距離が廃棄されるように、半円しきい値を選択することができる。しきい値は、サイクル長から導出されるべきである。(この場合は、伝播は表示されない)。
【0089】
半円を使用する理由は、LAT値間の一意の差を処理するためである。すなわち、それは絶対値ではなく、むしろそれらの間の差に依存する。
【0090】
上に記載される実施形態は例として挙げたものであり、本発明は本明細書の上記で具体的に図示及び説明されるものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義される程度まで、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分と見なすものとする。
【0091】
〔実施の態様〕
(1) 患者の心臓の心臓腔の表面の少なくとも一部分内のそれぞれの位置で測定された電気的活性化(EA)値を含む複数のデータポイントを受信することと、
所定のEA値基準を使用して、前記心臓表面の所与の領域内の前記EA値を複数の別個のEA波面に分類し、前記所与の領域のEA値の複数の層を計算することであって、各EA層が、それぞれの隣接するEA波面に属することが見出された前記EA値を含む、計算することと、
前記複数のEA層を前記表面のグラフィック表現上にオーバーレイすることと、
前記複数のEA層を区別するグラフィック表示を用いて、前記複数のオーバーレイされたEA層を有する前記グラフィック表現をユーザに表示することと、を含む、方法。
(2) 前記複数のEA層を計算することが、前記EA値から複数のグラフを生成することであって、各グラフが、それぞれのEA層に対応する、生成することと、グラフ接続性基準を使用して、前記グラフのうちの1つに前記EA値の各々を割り当てることと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記所定のグラフ接続性基準が、最大波面伝播遅延を指定する、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記グラフの各々内の前記EA値を補間することを含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記グラフィック表現を表示することが、色分けされたスケールを使用して、前記補間されたグラフを表示することを含む、実施態様4に記載の方法。
【0092】
(6) 前記所定のEA値基準が、隣接するLAT値間の最小絶対値差を指定する、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記複数のEA層を計算することが、ボクセル接続性ジオメトリアルゴリズムを適用することを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記グラフィック表現を表示することが、前記所定のEP値基準に従って設定されたオーバーレイ順序で、前記複数のEA層を表示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記グラフィック表現を表示することが、異なる色で各EA層を表示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記EA値が、局所的活性化時間(LAT)値である、実施態様1に記載の方法。
【0093】
(11) 前記領域が、前記表面をモデル化するポリゴンメッシュにおける多角形を含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記EA値を受信することが、カテーテルを使用して前記EA値を取得することを含む、実施態様1に記載の方法。
(13) システムであって、
インターフェースであって、患者の心臓の心臓腔の表面の少なくとも一部分内のそれぞれの位置で測定された電気的活性化(EA)値を含む複数のデータポイントを受信するように構成されている、インターフェースと、
プロセッサであって、
所定のEA値基準を使用して、前記心臓表面の所与の領域内の前記EA値を複数の別個のEA波面に分類し、前記所与の領域のEA値の複数の層を計算することであって、各EA層が、それぞれの隣接するEA波面に属することが見出された前記EA値を含む、計算することと、
前記複数のEA層を前記表面のグラフィック表現上にオーバーレイすることと、
前記複数のEA層を区別するグラフィック表示を用いて、前記複数のオーバーレイされたEA層を有する前記グラフィック表現をユーザに表示することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を含む、システム。
(14) 前記プロセッサが、前記EA値から複数のグラフを生成することであって、各グラフが、それぞれのEA層に対応する、生成することと、グラフ接続性基準を使用して、前記グラフのうちの1つに前記EA値の各々を割り当てることと、によって、前記複数のEA層を計算するように構成されている、実施態様13に記載のシステム。
(15) 前記所定のグラフ接続性基準が、最大波面伝播遅延を指定する、実施態様14に記載のシステム。
【0094】
(16) 前記プロセッサが、前記グラフの各々内の前記EA値を補間するように更に構成されている、実施態様14に記載のシステム。
(17) 前記プロセッサが、色分けされたスケールを使用して、前記補間されたグラフを表示することによって、前記グラフィック表現を表示するように構成されている、実施態様16に記載のシステム。
(18) 前記所定のEA値基準が、隣接するLAT値間の最小絶対値差を指定する、実施態様13に記載のシステム。
(19) 前記プロセッサが、ボクセル接続性ジオメトリアルゴリズムを適用することによって、前記複数のEA層を計算するように構成されている、実施態様13に記載のシステム。
(20) 前記プロセッサが、前記所定のEP値基準に従って設定されたオーバーレイ順序で、前記複数のEA層を表示することによって、前記グラフィック表現を表示するように構成されている、実施態様13に記載のシステム。
【0095】
(21) 前記プロセッサが、異なる色で各EA層を表示することによって、前記グラフィック表現を表示するように構成されている、実施態様13に記載のシステム。
(22) 前記EA値が、局所的活性化時間(LAT)値である、実施態様13に記載のシステム。
(23) 前記領域が、前記表面をモデル化するポリゴンメッシュにおける多角形を含む、実施態様13に記載のシステム。
(24) 前記インターフェースが、カテーテルを使用して取得される、EA値を受信するように構成されている、実施態様13に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】