(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150113
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】鋼管杭の連結構造、鋼管杭基礎および鋼管杭の連結方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/24 20060101AFI20231005BHJP
E02D 5/32 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E02D5/24 101
E02D5/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059040
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000141521
【氏名又は名称】株式会社技研製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】久積 和正
(72)【発明者】
【氏名】柳 悦孝
(72)【発明者】
【氏名】北濱 雅司
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 辰昭
(72)【発明者】
【氏名】西部 和生
(72)【発明者】
【氏名】松原 央
(72)【発明者】
【氏名】増田 敏聡
(72)【発明者】
【氏名】妙中 真治
(72)【発明者】
【氏名】小松 健
(72)【発明者】
【氏名】竹平 哲生
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA40
2D041DB02
2D041DB11
(57)【要約】
【課題】内嵌部材と外嵌部材とを用いて鋼管杭を軸方向に連結する連結部において、鋼管杭の内周面に沿って配置される配管を安定的に接続する。
【解決手段】第1の杭本体の軸方向の端部に接合される内嵌部材と、第2の杭本体の軸方向の端部に接合される外嵌部材と、第1の杭本体の内周面に接合される第1の配管と、第2の杭本体の内周面に接合される第2の配管とを備える鋼管杭の連結構造が提供される。内嵌部材は、外嵌部材の内側に嵌合する第1の嵌合部、および内嵌部材の内側と第1の嵌合部の外側とを連通させる貫通孔を含む。外嵌部材は、内嵌部材の外側に嵌合する第2の嵌合部を含む。第1の配管と第2の配管とは、貫通孔、および第1の嵌合部と第2の嵌合部との間に形成される通路を通して接続され、貫通孔および通路に周方向の位置を合わせて、内嵌部材および外嵌部材の少なくともいずれかの外周面に設けられた切り欠きによって開口部が形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の杭本体を軸方向に連結する鋼管杭の連結構造であって、
前記第1の杭本体の前記軸方向の端部に接合される内嵌部材と、前記第2の杭本体の前記軸方向の端部に接合される外嵌部材と、前記第1の杭本体の内周面に接合される第1の配管と、前記第2の杭本体の内周面に接合される第2の配管とを備え、
前記内嵌部材は、前記外嵌部材の内側に嵌合する第1の嵌合部、および前記内嵌部材の内側と前記第1の嵌合部の外側とを連通させる貫通孔を含み、
前記外嵌部材は、前記内嵌部材の外側に嵌合する第2の嵌合部を含み、
前記第1の配管と前記第2の配管とは、前記貫通孔、および前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部との間に形成される通路を通して接続され、
前記貫通孔および前記通路に周方向の位置を合わせて、前記内嵌部材および前記外嵌部材の少なくともいずれかの外周面に設けられた切り欠きによって開口部が形成される、鋼管杭の連結構造。
【請求項2】
前記第1の配管および前記第2の配管に接続され、前記貫通孔および前記通路を通過する接続管をさらに備える、請求項1に記載の鋼管杭の連結構造。
【請求項3】
前記第1の配管または前記第2の配管の延長部が前記貫通孔および前記通路を通過する、請求項1に記載の鋼管杭の連結構造。
【請求項4】
前記切り欠きに取り付けられる蓋体をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結構造。
【請求項5】
前記通路は、前記第1の嵌合部および前記第2の嵌合部の少なくともいずれかに形成される溝部によって形成される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結構造。
【請求項6】
前記第1の嵌合部は、前記軸方向における前記第1の杭本体とは反対側の端部に向かって外径が徐々に小さくなる縮径部と、前記縮径部の外側に前記周方向について間隙部分を挟んで複数形成される第1の突出部とを含み、
前記第2の嵌合部は、前記軸方向における前記第2の杭本体とは反対側の端部に向かって内径が徐々に大きくなる拡径部と、前記拡径部の内側に前記周方向について間隙部分を挟んで複数形成される第2の突出部とを含み、
前記第1の突出部および前記第2の突出部は、前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で所定の位置まで回転させたときに互いに係合するように構成される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結構造。
【請求項7】
前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で前記所定の位置まで回転させたときに、前記周方向における前記第1の突出部の間隙部分および前記第2の突出部の間隙部分の位置が揃えられた部分に前記通路が形成される、請求項6に記載の鋼管杭の連結構造。
【請求項8】
前記第1の突出部の少なくとも1つの前記周方向の中間部または端部には第1の突出部切り欠きが形成され、
前記第2の突出部の少なくとも1つの前記周方向の中間部または端部には第2の突出部切り欠きが形成され、
前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で前記所定の位置まで回転させたときに、前記周方向における前記第1の突出部切り欠きおよび前記第2の突出部切り欠きの位置が揃えられることによって前記通路が形成される、請求項6に記載の鋼管杭の連結構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結構造を少なくとも1か所含む、鋼管杭基礎。
【請求項10】
第1および第2の杭本体を軸方向に連結する鋼管杭の連結方法であって、
前記第1の杭本体の前記軸方向の端部に接合される内嵌部材に形成される第1の嵌合部を、前記第2の杭本体の前記軸方向の端部に接合される外嵌部材に形成される第2の嵌合部の内側に嵌合させる工程と、
前記内嵌部材および前記外嵌部材の少なくともいずれかの外周面に設けられた切り欠きによって形成される開口部を通して、前記第1の杭本体の内周面に接合される第1の配管と、前記第2の杭本体の内周面に接合される第2の配管とを接続する工程とを含み、
前記第1の配管と前記第2の配管とは、前記内嵌部材の内側と前記第1の嵌合部の外側とを連通させる貫通孔、および前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部との間に形成される通路を通して接続され、
前記切り欠きおよび前記開口部は、前記貫通孔および前記通路に周方向の位置を合わせて形成される、鋼管杭の連結方法。
【請求項11】
前記第1の配管と前記第2の配管とを接続した後に、前記切り欠きに蓋体を取り付ける工程をさらに含む、請求項10に記載の鋼管杭の連結方法。
【請求項12】
前記第1の配管および前記第2の配管の接続には接続管が用いられ、
前記接続管は、前記第1の配管に接続される第1の接続管と前記第2の配管に接続される第2の接続管とを含み、
前記通路に前記接続管を挿通する工程の後に、前記第1の接続管と前記第2の接続管とを互いに接続する工程をさらに含む、請求項10または請求項11に記載の鋼管杭の連結方法。
【請求項13】
前記第1の配管および前記第2の配管の接続には接続管が用いられ、
前記第1の配管と前記第2の配管とを接続する工程は、前記第1の配管および前記第2の配管の少なくともいずれかの内部に予め収納された前記接続管を引き出す工程を含む、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結方法。
【請求項14】
前記第1の嵌合部は、前記軸方向における前記第1の杭本体とは反対側の端部に向かって外径が徐々に小さくなる縮径部と、前記縮径部の外側に前記周方向について間隙部分を挟んで複数形成される第1の突出部とを含み、
前記第2の嵌合部は、前記軸方向における前記第2の杭本体とは反対側の端部に向かって内径が徐々に大きくなる拡径部と、前記拡径部の内側に前記周方向について間隙部分を挟んで複数形成される第2の突出部とを含み、
前記第1の嵌合部を前記第2の嵌合部の内側に嵌合させる工程は、前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で所定の位置まで回転させることによって前記第1の突出部および前記第2の突出部を互いに係合させる工程を含む、請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結方法。
【請求項15】
前記第1の配管と前記第2の配管とを接続する工程は、前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で前記所定の位置まで回転させた後に、前記第1の配管および前記第2の配管に接続される接続管、または前記第1の配管もしくは前記第2の配管の延長部を前記通路に挿通する工程を含む、請求項14に記載の鋼管杭の連結方法。
【請求項16】
前記通路は、前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で前記所定の位置まで回転させる前後を通じて前記第1の突出部および前記第2の突出部とは干渉しない位置に形成され、
前記第1の配管と前記第2の配管とを接続する工程は、前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で回転させる前に、前記第2の配管に接続される接続管または前記第2の配管の延長部を前記通路に配置する工程を含む、請求項14に記載の鋼管杭の連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管杭の連結構造、鋼管杭基礎および鋼管杭の連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管杭の施工方法は地盤の状態に応じて選定されるが、回転圧入と先端からの高圧水の噴射とを併用して施工性を高める工法がある。一方、杭長が長い場合は複数の杭を軸方向に連結して打設するが、上記のように高圧水の噴射を併用する場合は高圧水用の水管も同時に連結する必要が生じる。このような場合に、例えば特許文献1および特許文献2に記載されたように、水管を杭本体の断面中央付近に配置して連結する方法もあるが、鋼管杭の先端から内部に流入する土砂(閉塞土)の抵抗を考慮すると、杭本体の内周面に沿って水管を配置する方が有利である。
【0003】
一方、特許文献3および特許文献4には、鋼管杭の軸方向端部に接合される内嵌部材および外嵌部材を用いた連結方法が記載されている。この方法では、内嵌部材を外嵌部材の内側に嵌合させた状態で回転させたときに、内嵌部材の外側および外嵌部材の内側でそれぞれ周方向に間隙部分を挟んで複数形成された突出部が互いに係合することによって鋼管杭同士が連結される。このような連結構造は、従来用いられていた鋼管杭同士の溶接に比べて施工性が高く、かつ十分な曲げ剛性を確保できるという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-200910号公報
【特許文献2】特開平09-264018号公報
【特許文献3】特開2016-29250号公報
【特許文献4】特開2015-143466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような連結方法で高圧水用の配管が杭本体の内周面に沿って配置された鋼管杭を連結した場合、連結部で外嵌部材や外嵌部材の内側に嵌合した内嵌部材が杭本体の内側に張り出した段差部分になるため、連結部では配管を安定的に接続することが難しい。それゆえ、例えば硬質地盤や閉塞土が多い地盤などでは配管の接続部が外れてしまう可能性を考慮して、上記のような嵌合による連結方法が適用されないこともあった。
【0006】
そこで、本発明は、内嵌部材と外嵌部材とを用いて鋼管杭を軸方向に連結する連結部において、鋼管杭の内周面に沿って配置される配管を安定的に接続することが可能な鋼管杭の連結構造、鋼管杭基礎および鋼管杭の連結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]第1および第2の杭本体を軸方向に連結する鋼管杭の連結構造であって、前記第1の杭本体の前記軸方向の端部に接合される内嵌部材と、前記第2の杭本体の前記軸方向の端部に接合される外嵌部材と、前記第1の杭本体の内周面に接合される第1の配管と、前記第2の杭本体の内周面に接合される第2の配管とを備え、前記内嵌部材は、前記外嵌部材の内側に嵌合する第1の嵌合部、および前記内嵌部材の内側と前記第1の嵌合部の外側とを連通させる貫通孔を含み、前記外嵌部材は、前記内嵌部材の外側に嵌合する第2の嵌合部を含み、前記第1の配管と前記第2の配管とは、前記貫通孔、および前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部との間に形成される通路を通して接続され、前記貫通孔および前記通路に周方向の位置を合わせて、前記内嵌部材および前記外嵌部材の少なくともいずれかの外周面に設けられた切り欠きによって開口部が形成される、鋼管杭の連結構造。
[2]前記第1の配管および前記第2の配管に接続され、前記貫通孔および前記通路を通過する接続管をさらに備える、[1]に記載の鋼管杭の連結構造。
[3]前記第1の配管または前記第2の配管の延長部が前記貫通孔および前記通路を通過する、[1]に記載の鋼管杭の連結構造。
[4]前記切り欠きに取り付けられる蓋体をさらに備える、[1]から[3]のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結構造。
[5]前記通路は、前記第1の嵌合部および前記第2の嵌合部の少なくともいずれかに形成される溝部によって形成される、[1]から[4]のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結構造。
[6]前記第1の嵌合部は、前記軸方向における前記第1の杭本体とは反対側の端部に向かって外径が徐々に小さくなる縮径部と、前記縮径部の外側に前記周方向について間隙部分を挟んで複数形成される第1の突出部とを含み、前記第2の嵌合部は、前記軸方向における前記第2の杭本体とは反対側の端部に向かって内径が徐々に大きくなる拡径部と、前記拡径部の内側に前記周方向について間隙部分を挟んで複数形成される第2の突出部とを含み、前記第1の突出部および前記第2の突出部は、前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で所定の位置まで回転させたときに互いに係合するように構成される、[1]から[5]のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結構造。
[7]前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で前記所定の位置まで回転させたときに、前記周方向における前記第1の突出部の間隙部分および前記第2の突出部の間隙部分の位置が揃えられた部分に前記通路が形成される、[6]に記載の鋼管杭の連結構造。
[8]前記第1の突出部の少なくとも1つの前記周方向の中間部または端部には第1の突出部切り欠きが形成され、前記第2の突出部の少なくとも1つの前記周方向の中間部または端部には第2の突出部切り欠きが形成され、前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で前記所定の位置まで回転させたときに、前記周方向における前記第1の突出部切り欠きおよび前記第2の突出部切り欠きの位置が揃えられることによって前記通路が形成される、[6]に記載の鋼管杭の連結構造。
[9][1]から[8]のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結構造を少なくとも1か所含む、鋼管杭基礎。
[10]第1および第2の杭本体を軸方向に連結する鋼管杭の連結方法であって、前記第1の杭本体の前記軸方向の端部に接合される内嵌部材に形成される第1の嵌合部を、前記第2の杭本体の前記軸方向の端部に接合される外嵌部材に形成される第2の嵌合部の内側に嵌合させる工程と、前記内嵌部材および前記外嵌部材の少なくともいずれかの外周面に設けられた切り欠きによって形成される開口部を通して、前記第1の杭本体の内周面に接合される第1の配管と、前記第2の杭本体の内周面に接合される第2の配管とを接続する工程とを含み、前記第1の配管と前記第2の配管とは、前記内嵌部材の内側と前記第1の嵌合部の外側とを連通させる貫通孔、および前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部との間に形成される通路を通して接続され、前記切り欠きおよび前記開口部は、前記貫通孔および前記通路に周方向の位置を合わせて形成される、鋼管杭の連結方法。
[11]前記第1の配管と前記第2の配管とを接続した後に、前記切り欠きに蓋体を取り付ける工程をさらに含む、[10]に記載の鋼管杭の連結方法。
[12]前記第1の配管および前記第2の配管の接続には接続管が用いられ、前記接続管は、前記第1の配管に接続される第1の接続管と前記第2の配管に接続される第2の接続管とを含み、前記通路に前記接続管を挿通する工程の後に、前記第1の接続管と前記第2の接続管とを互いに接続する工程をさらに含む、[10]または[11]に記載の鋼管杭の連結方法。
[13]前記第1の配管および前記第2の配管の接続には接続管が用いられ、前記第1の配管と前記第2の配管とを接続する工程は、前記第1の配管および前記第2の配管の少なくともいずれかの内部に予め収納された前記接続管を引き出す工程を含む、[10]から[12]のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結方法。
[14]前記第1の嵌合部は、前記軸方向における前記第1の杭本体とは反対側の端部に向かって外径が徐々に小さくなる縮径部と、前記縮径部の外側に前記周方向について間隙部分を挟んで複数形成される第1の突出部とを含み、前記軸方向における前記第2の嵌合部は、前記第2の杭本体とは反対側の端部に向かって内径が徐々に大きくなる拡径部と、前記拡径部の内側に前記周方向について間隙部分を挟んで複数形成される第2の突出部とを含み、前記第1の嵌合部を前記第2の嵌合部の内側に嵌合させる工程は、前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で所定の位置まで回転させることによって前記第1の突出部および前記第2の突出部を互いに係合させる工程を含む、[10]から[13]のいずれか1項に記載の鋼管杭の連結方法。
[15]前記第1の配管と前記第2の配管とを接続する工程は、前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で前記所定の位置まで回転させた後に、前記第1の配管および前記第2の配管に接続される接続管、または前記第1の配管もしくは前記第2の配管の延長部を前記通路に挿通する工程を含む、[14]に記載の鋼管杭の連結方法。
[16]前記通路は、前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で前記所定の位置まで回転させる前後を通じて前記第1の突出部および前記第2の突出部とは干渉しない位置に形成され、前記第1の配管と前記第2の配管とを接続する工程は、前記内嵌部材を前記外嵌部材の内側に嵌合させた状態で回転させる前に、前記第2の配管に接続される接続管または前記第2の配管の延長部を前記通路に配置する工程を含む、[14]に記載の鋼管杭の連結方法。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、内嵌部材に形成された貫通孔、および内嵌部材および外嵌部材の嵌合部の間に形成される通路を通して第1および第2の配管が接続される。第1および第2の配管は接続管によって接続されてもよいし、第1および第2の配管のいずれかまたは両方の延長部によって接続されてもよいが、これらの接続管または延長部を固定するために別途の付加部材は必要とされない。また、接続管または延長部の接続は、内嵌部材および外嵌部材の少なくともいずれか外周面に設けられた切り欠きによって形成される開口部を通して杭本体の連結後に外部から施工することができるため、安全性が高く安定した施工が可能である。従って、上記の構成によれば、鋼管杭の連結構造において杭本体の内周面に沿って配置される第1および第2の配管を安定的に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る鋼管杭の連結構造の連結前の状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す連結構造の連結後の状態を示す断面図である。
【
図3】
図1および
図2に示す連結構造において配管の接続が完了した状態を示す部分断面図である。
【
図4】配管と接続管とを接続するコネクタの例を示す図である。
【
図5】配管と接続管とを接続するコネクタの例を示す図である。
【
図6】接続管同士を接続するコネクタの例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る鋼管杭の連結方法の第1の例を示す模式的な図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る鋼管杭の連結方法の第2の例を示す模式的な図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る鋼管杭の連結構造および連結方法の例を示す模式的な図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る鋼管杭の連結構造および連結方法の例を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0011】
図1は本発明の第1の実施形態に係る鋼管杭の連結構造の連結前の状態を示す斜視図であり、
図2は
図1に示す連結構造の連結後の状態を示す断面図であり、
図3は
図1および
図2に示す連結構造において配管の接続が完了した状態を示す部分断面図である。本実施形態に係る鋼管杭の連結構造1は、杭本体21,22を軸方向に連結する。連結構造1は、内嵌部材3と、外嵌部材4と、配管51,52と、接続管6と、蓋体7と(接続管6および蓋体7については
図3を参照)を含む。杭本体21,22は、それぞれ鋼管で形成され、内嵌部材3および外嵌部材4を介して連結されることによって1本の鋼管杭として機能する。鋼管杭は、例えば回転圧入工法やバイブロハンマ工法などで地中に打設されるが、工法は特に限定されない。
【0012】
なお、以下の説明において、軸方向は、杭本体21,22が内嵌部材3および外嵌部材4を介して連結されることによって構成される鋼管杭の軸方向を意味し、z方向として図示される。周方向は、軸方向の回りに回転する方向であり、y方向として図示される。また、径方向は、軸方向に直交する方向であり、x方向として図示される。杭本体21,22、内嵌部材3および外嵌部材4は、連結後の状態において同軸になるように配置されるため、軸方向、周方向および径方向はこれらの部材について共通になる。
【0013】
内嵌部材3および外嵌部材4は、それぞれ杭本体21,22の軸方向の端部に、溶接部23,24で接合されている。内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させた状態で軸方向の回りに所定の位置まで回転させ、図示しない回転抑止キーで固定することによって、内嵌部材3および外嵌部材4にそれぞれ接合された杭本体21,22が連結される。内嵌部材3は、杭本体21に接合される接合部31と、接合部31に続いて形成され外嵌部材4の内側に嵌合する嵌合部32(第1の嵌合部)とを含む。本実施形態において、嵌合部32は、軸方向における杭本体21とは反対側の端部に向かって外径が徐々に小さくなる縮径部321と、縮径部321の外側に突出し、周方向について間隙部分を挟んで複数形成される突出部322(第1の突出部)とを含む。突出部322の長さ(周方向の寸法)は、周方向における突出部322の間隙部分よりも小さい。
【0014】
一方、外嵌部材4は、杭本体22に接合される接合部41と、接合部41に続いて形成され内嵌部材3の外側に嵌合する嵌合部42(第2の嵌合部)とを含む。本実施形態において、嵌合部42は、軸方向における杭本体22とは反対側の端部に向かって内径が徐々に大きくなる拡径部421と、拡径部421の内側に突出し、周方向について間隙部分を挟んで複数形成される突出部422(第2の突出部)とを含む。突出部422の長さ(周方向の寸法)は、周方向における突出部422の間隙部分よりも小さい。内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させた状態で軸方向の回りに所定の位置まで回転させたときに突出部322,422が互いに係合するように、突出部322,422の長さおよび間隔(周方向の寸法)、厚さ(軸方向の寸法)、ならびに突出高さ(径方向の寸法)は互いに対応している。
【0015】
配管51,52は、杭本体21,22の軸方向に延びる流体配管である。配管51(第1の配管)は杭本体21の内周面に接合され,配管52(第2の配管)は杭本体22の内周面に接合される。配管51,52が鋼管である場合、配管51,52は杭本体21,22の内周面に溶接されてもよい。あるいは、杭本体21,22の内周面に溶接された図示しない保持具で配管51,52が固定されてもよい。後述するように、本実施形態において配管51,52は接続管6を介して接続される。配管51,52および接続管6を経由して地上から打設中の鋼管杭の先端部に高圧水を供給することによって、地盤を鋼管杭の地中への貫入を円滑にすることができる(ウォータージェット工法)。
【0016】
図2に示されるように、内嵌部材3の接合部31と嵌合部32の境目付近には、内嵌部材3の内側と嵌合部32の外側とを連通させる貫通孔33が形成される。また、貫通孔33と周方向の位置を合わせて、嵌合部32の外周面にあたる傾斜面323には溝部324が形成される。具体的には、溝部324は、貫通孔33の出口から傾斜面323に沿って、嵌合部32の杭本体21とは反対側の端部まで延びる。一方、外嵌部材4の嵌合部42の内周面にあたる傾斜面423には溝部424が形成される。外嵌部材4の溝部424は、内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させた状態で軸方向の回りに所定の位置まで回転させたときに内嵌部材3の溝部324に位置が整合するように形成される。具体的には、溝部424は、傾斜面423に沿って、嵌合部42の杭本体22側の端部から杭本体22とは反対側の端部まで延びる。
図3に示されるように、外嵌部材4の溝部424は、内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させた状態で軸方向の回りに所定の位置まで回転させたときに互いに対向する溝部324,424によって、配管51,52を接続する接続管6が通過する通路が形成される。
【0017】
なお、上記の例において、例えば内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させた状態で軸方向の回りに回転させたときの傾斜面323,423の間の隙間が大きく、溝部によって通路を広げる寸法が小さくてよい場合や、嵌合部32,42のいずれかが深い溝部を形成するのに十分な厚さを有する場合は、傾斜面323,423のいずれか一方に溝部324または溝部424を形成し、他方には溝部を形成しなくてもよい。また、内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させた状態で軸方向の回りに回転させたときの傾斜面323,423の間の隙間が接続管6の外径以上である場合は、傾斜面323,423のどちらにも溝部を形成しなくてもよい。つまり、本実施形態において、接続管6が通過する通路は、内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させた状態で所定の位置まで回転させたときに周方向における突出部322の間隙部分および突出部422の間隙部分の位置が揃えられた部分、すなわち傾斜面323,423の位置が揃えられた部分に形成され、必要に応じて傾斜面323,423の少なくともいずれかに溝部324または溝部424が形成される。なお、「揃えられた部分」は、必ずしも傾斜面323,423の周方向の位置が完全に揃うことを意味せず、傾斜面323,423の位置が周方向において少なくとも部分的に重なっていればよい。
【0018】
さらに、本実施形態では、貫通孔33および溝部324,424によって形成される通路に周方向の位置を合わせて、内嵌部材3および外嵌部材4の外周面に切り欠き34,44が形成される。切り欠き34,44が形成する開口部によって、後述するように、貫通孔33および溝部324,424に接続管6を挿通して配管51,52を接続する工程を杭本体21,22の連結後に外部から施工することができる。このような施工に十分な大きさの開口部が形成できれば、内嵌部材3の切り欠き34のみが形成されてもよいし、外嵌部材4の切り欠き44のみが形成されてもよい。また、図示された例では貫通孔33と同程度の幅であり、溝部324,424の幅(周方向の寸法)よりも幅広の切り欠き34,44が形成されているが、切り欠き34,44の幅は貫通孔33や溝部324,424よりも狭くてもよい。貫通孔33の幅と溝部324,424の幅とは、必ずしも同じでなくてもよいため、一例として切り欠き34,44の幅はこれらの幅のうち狭い方の60%以上であればよい。
【0019】
図3に示されるように、本実施形態では、配管51,52が、貫通孔33および溝部324,424によって形成される通路を通過する接続管6によって接続される。接続管6は、コネクタ71で配管51に接続され、コネクタ72で配管52に接続される。図示された例では、接続管6が2つの部分である接続管61,62に分かれており、接続管61,62はコネクタ73で接続される。他の例では、接続管6が単一の管であってもよい。接続管6には、例えば後述するような接続方法に応じて、樹脂やゴム、金属繊維などで形成された管や、蛇腹状に加工した金属管などのフレキシブル管、または鋼管やプラスチック管などの剛性の管状部材が用いられる。例えば、接続管6の一部をフレキシブル管で構成し、他の部分を剛性の管状部材で構成してもよい。
【0020】
なお、他の例では、接続管6の一部または全部が、配管51または配管52の延長部であってもよい。例えば、
図3に示された例における接続管61にあたる部分が配管51の延長部であり、接続管62にあたる部分が配管52の延長部であってもよい。あるいは、単一の管である接続管6が、配管51または配管52のいずれかの延長部であってもよい。これらの場合において、連結構造1は接続管6を含まない。また、例えば、接続管61にあたる部分が配管51の延長部であり、接続管6は接続管62にあたる部分のみであってもよい。同様に、接続管62にあたる部分が配管52の延長部であり、接続管6は接続管61にあたる部分のみであってもよい。
【0021】
蓋体7は、切り欠き34,44によって形成される開口部から配管51,52を接続する工程が施工された後に、切り欠き34,44に取り付けられて開口部を封止する。蓋体7の内側の面には、取り付け後にも接続管6が通過する空間を確保するために溝部が形成されていてもよい。蓋体7を取り付けることによって、例えばフレキシブル管である接続管6に高圧水が通水されて水圧が作用した場合の変形を拘束し、接続管6が鋼管杭の外側に張り出して地盤の抵抗を受けることを防止できる。このような蓋体7による保護があることによって、接続管6を水圧に耐えられる程度の軟質かつ安価な材料で形成することができる。なお、内嵌部材3および外嵌部材4を用いた杭本体21,22の連結は、連結のための現場溶接を不要とした工法であるため、蓋体7についても溶接以外の方法、例えば内嵌部材3および外嵌部材4に形成されたねじ孔に蓋体7の外側からボルトを挿通することによるボルト接合によって取り付けられることが好ましい。
【0022】
なお、例えば水圧がかかっても接続管6が鋼管杭の外側に張り出す可能性がない場合や、接続管6が十分な強度を有する材料で形成されていて保護が不要であるような場合には、蓋体7が取り付けられずに接続管6が露出していてもよい。あるいは、蓋体7によらない接続管6の保護として、切り欠き34,44によって形成される開口部に固化材が充填されてもよい。
【0023】
図4および
図5は、配管と接続管とを接続するコネクタの例を示す図である。
図4に示された例では、コネクタ71Aが、配管51に接合されるねじ継手711と、接続管61に接合されるブッシング712とによって構成される。この例では、ねじ継手711の内周に形成された雌ねじに、ブッシング712の外周に形成された雄ねじを螺合させることによって配管51と接続管61とが接続される。
図5に示された例では、コネクタ72Bが、配管52に接合される外管721と、接続管62に接合される内管722と、Oリング723とによって構成される。この例では、外管721を通って配管52の内側に内管722を挿入し、外管721と内管722との間をOリング723で密封することによって配管52と接続管62とが接続される。なお、上記のコネクタ71Aの例はコネクタ72にも適用可能であり、コネクタ72Bの例はコネクタ71にも適用可能である。
【0024】
図6は、接続管同士を接続するコネクタの例を示す図である。
図6に示された例では、コネクタ73Aが、接続管61に接合される内管731と、接続管62に接合されるさや管732と、止水ゴム733とによって構成される。この例では、さや管732に内管731を挿入し、継目を外側から止水ゴム733で覆うことによって接続管61,62が接続される。なお、コネクタ71,72,73については、上記で
図4から
図6を参照して説明した例には限られず、流体管の接続構造として知られているカプラーなどの各種の構造を利用することができる。
【0025】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る鋼管杭の連結方法の第1の例を示す模式的な図である。(a)として示すように、本実施形態では、内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させた状態で軸方向の回りに所定の位置まで回転させたときに、内嵌部材3の貫通孔33(図示せず)、傾斜面323に形成される溝部324(図示せず)、外嵌部材4の傾斜面423に形成される溝部424(図示せず)、および内嵌部材3および外嵌部材4にそれぞれ形成される切り欠き34,44の周方向の位置が揃えられる。従って、(b)として示すように切り欠き34,44によって形成される開口部から接続管62を挿入し、(c)として示すように接続管62を溝部324,424に挿通して配管52に接続することができる。図示していないが、この後、同様にして切り欠き34,44の開口部から接続管61を挿入して貫通孔33に挿通し、配管51に接続する。接続管61は、予め配管51に接続されていてもよい。最後に切り欠き34,44の開口部付近で接続管61,62を接続すれば、接続管6を介して配管51,52を接続することができる。さらにその後、切り欠き34,44に蓋体7を取り付ける工程が実施されてもよい。
【0026】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る鋼管杭の連結方法の第2の例を示す模式的な図である。この例では、(a)として示すように、内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させる前に、配管52の内部に予め収納された接続管62にワイヤー74を接続しておく。その後、(b)として示すように内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させる。このとき、ワイヤー74は切り欠き34または切り欠き44から内嵌部材3および外嵌部材4の外部に引き出されている。ワイヤー74は細いため、内嵌部材3を外嵌部材4に対して回転させても突出部322,422との干渉を避けることができる。(c)として示すように内嵌部材3を外嵌部材4に対して所定の位置まで回転させた後、(d)として示すようにワイヤー74を引っ張って配管52から接続管62を引き出す。これによって、配管51から貫通孔33を経由して延びる接続管61と接続管62とを切り欠き34,44の開口部付近で接続することができる。同様にして、配管51の内部に予め収納された接続管61を引き出してもよい。また、配管51,52の一方に収納された接続管6を引き出して、この接続管6をそのまま配管51,52の他方に接続してもよい。
【0027】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る鋼管杭の連結構造および連結方法の例を示す模式的な図である。第2の実施形態では、接続管6が通過する通路が、内嵌部材3の突出部322の周方向の中間部に形成される切り欠き325A(第1の突出部切り欠き)、および外嵌部材4の突出部422の周方向の中間部に形成される切り欠き425A(第2の突出部切り欠き)によって形成される。(a)として示すように、切り欠き325A,425Aは、内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させて所定の位置まで回転させた状態で周方向の位置が揃うように形成される。切り欠き325A,425Aの位置が揃えられることによって形成された通路に、(b)および(c)として示すように切り欠き34,44の開口部から貫通孔33および切り欠き325A,425Aを通して接続管6を挿通し、配管51,52を接続することができる。
【0028】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る鋼管杭の連結構造および連結方法の例を示す模式的な図である。本実施形態では、内嵌部材3および外嵌部材4の周方向に配列される複数の突出部322,422のうち少なくとも1つの突出部322A,422Aの長さ(周方向の寸法)が、周方向の端部に形成された切り欠き(第1および第2の突出部切り欠き)によって他の突出部322,422よりも短く形成される。これらの切り欠きによって生じた空間が、接続管6が通過する通路になる。(a)として示すように外嵌部材4側の接続管62を突出部422Aの切り欠かれた部分に沿って配置していれば、(b)として示すように内嵌部材3を外嵌部材4の内側に嵌合させて特定の方向に回転させる前後を通じて接続管62は突出部322A,422Aとは干渉しない。(c)として示すように内嵌部材3を所定の位置まで回転させると突出部322A,422Aの周方向の端部、すなわち切り欠きの位置が揃って通路が形成され、この通路と貫通孔33との位置が揃う。ここで別途配管51に接続された接続管61と接続管62とを接続すれば、接続管6を介して配管51,52を接続することができる。
【0029】
以上で説明したような本発明の実施形態によれば、内嵌部材3に形成された貫通孔33、および内嵌部材3の嵌合部32および外嵌部材4の嵌合部42の間に形成される通路を通して配管51,52が接続される。配管51,52は接続管6によって接続されてもよいし、配管51,52のいずれかまたは両方の延長部によって接続されてもよい。接続管6または配管51,52の延長部を固定するために別途の付加部材は必要とされない。また、配管51,52や接続管6の接続は、内嵌部材3および外嵌部材4の外周面に設けられた切り欠き34,44によって形成される開口部を通して杭本体21,22の連結後に外部から施工することができるため、安全性が高く安定した施工が可能である。連結構造1の内嵌部材3と外嵌部材4とが嵌合する区間において、接続管6または配管51,52の延長部は内嵌部材3や外嵌部材4が内側に張り出した段差部分の内側を通過することがないため、例えば鋼管杭の先端から内部に流入する土砂(閉塞土)の抵抗を受けにくい。従って、例えば硬質地盤や閉塞土が多い地盤などでも配管の接続部が外れる可能性が低く、このような場合にも連結構造1を適用して現場溶接を省略し、施工性を向上させた鋼管杭基礎を構築することができる。
【0030】
なお、上記では連結構造1に含まれる内嵌部材3および外嵌部材4の嵌合部32,42に縮径部321、拡径部421および突出部322,422が形成される例について説明したが、内嵌部材および外嵌部材の構成はこれらの例には限定されない。例えば、内嵌部材を外嵌部材に嵌合させながら、内嵌部材の外周に形成された雄ねじを外嵌部材の内周に形成された雌ねじに螺合させることによって杭本体同士が連結される構成であってもよい。この場合も、内嵌部材に貫通孔を形成し、例えば内嵌部材の嵌合部の外周面および外嵌部材の嵌合部の内周面の少なくともいずれかに形成される溝部で通路を形成し、これらの周方向での位置を合わせることによって、上記で説明した実施形態と同様に配管同士を接続することができる。
【0031】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0032】
1…連結構造、21,22…杭本体、23,24…溶接部、3…内嵌部材、31…接合部、32…嵌合部、321…縮径部、322,322A…突出部、323…傾斜面、324…溝部、325A…切り欠き、33…貫通孔、34…切り欠き、4…外嵌部材、41…接合部、42…嵌合部、421…拡径部、422,422A…突出部、423…傾斜面、424…溝部、425A…切り欠き、44…切り欠き、51,52…配管、6,61,62…接続管、7…蓋体、71,71A,72,72B,73,73A…コネクタ、74…ワイヤー、711…ねじ継手、712…ブッシング、721…外管、722…内管、723…Oリング、731…内管、732…管、733…止水ゴム。