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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150116
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ブームスプレーヤ
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A01M7/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059053
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】山村 純平
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121CB03
2B121CB24
2B121CB31
2B121CB33
2B121EA21
(57)【要約】
【課題】作業者の視認性の低下を抑制するとともに、伸縮シリンダの損傷を抑制できるブームスプレーヤを提供する。
【解決手段】ブームスプレーヤ1の昇降装置30は、左右方向に互いに離間して配置される一対の4節リンク機構100を含み、それぞれの4節リンク機構100は、第1リンク部材110、第2リンク部材120、第3リンク部材130及び第4リンク部材140のうち、互いに異なる2つの間に接続された伸縮シリンダ160を含み、伸縮シリンダ160は、第3リンク部材130の上方に位置しているとともに、上下方向から見たときに第3リンク部材130に沿って延在している。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部にキャビン(7)を有する走行機体(3)と、
前記走行機体(3)において前記キャビン(7)の前方に設けられるブーム装置(4)と、を備えるブームスプレーヤであって、
前記ブーム装置(4)は、
前記キャビン(7)の前方に固定される昇降装置(30)と、
前記昇降装置(30)の前部に設けられるブーム部(40)と、を有し、
前記昇降装置(30)は、左右方向に互いに離間して配置される一対の4節リンク機構(100)を含み、
それぞれの前記4節リンク機構(100)は、
上下方向に沿って延在する第1リンク部材(110)と、
前記第1リンク部材(110)の上端に後端が回動可能に支持された第2リンク部材(120)と、
前記第1リンク部材(110)の下端に後端が回動可能に支持された第3リンク部材(130)と、
前記第2リンク部材(120)の前端と前記第3リンク部材(130)の前端とに回動可能に支持され、上下方向に沿って延在する第4リンク部材(140)と、
前記第1リンク部材(110)、前記第2リンク部材(120)、前記第3リンク部材(130)及び前記第4リンク部材(140)のうち、互いに異なる2つの間に接続された伸縮シリンダ(160)と、を含み、
前記伸縮シリンダ(160)は、前記第3リンク部材(130)の上方に位置しているとともに、上下方向から見たときに前記第3リンク部材(130)に沿って延在している、ブームスプレーヤ。
【請求項2】
前記伸縮シリンダ(160)は、前記第1リンク部材(110)と前記第2リンク部材(120)とに接続されている、請求項1に記載のブームスプレーヤ。
【請求項3】
前記伸縮シリンダ(160)の一端は、前記第2リンク部材(120)の長手方向の中央よりも前記第4リンク部材(140)に近い位置に接続されている、請求項2に記載のブームスプレーヤ。
【請求項4】
前記第2リンク部材(120)は、角形鋼管によって構成されており、
前記伸縮シリンダ(160)の一端は、角形鋼管から下方に向けて突出した取付片(125)に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のブームスプレーヤ。
【請求項5】
前記第1リンク部材(110)において、前記第2リンク部材(120)の支持位置と前記第3リンク部材(130)の支持位置との間の距離は、275mmを超えている、請求項2~4のいずれか一項に記載のブームスプレーヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブームスプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ブームスプレーヤが開示されている。このブームスプレーヤは、車体フレームの前端部において、左右に対向する一対の4節リンク機構を含む昇降装置を有する。それぞれの4節リンク機構は、車体フレームの前端部に配置された後側リンクと、後側リンクに対向するように前方に配置された前側リンクと、後側リンクの上部と前側リンクの上部に連結された上部リンクと、後側リンクの下部と前側リンクの下部に連結された下部リンクと、を備えている。そして、一対の上部リンク同士は、補強用の上部ステーにより連結され、一対の下部リンク同士は、補強用の下部ステーにより連結されている。下部ステーの左右方向の中央部分と前側リンクに設けられたセンターブームの左右方向の中央部分との間には、油圧シリンダが接続されており、油圧シリンダの動作に応じて一対の4節リンクが動作するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-186777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなブームスプレーヤでは、油圧シリンダに代表される伸縮シリンダ160が昇降装置の左右方向の中央に配置されているため、走行中などにキャビン内で運転等の操作を行う作業者の視認性を低下させる可能性がある。また、圃場等を走行する際に、伸縮シリンダ160が下方の物体に接触等することにより、伸縮シリンダ160が損傷する可能性がある。
【0005】
本開示の一形態は、作業者の視認性の低下を抑制するとともに、伸縮シリンダ160の損傷を抑制できるブームスプレーヤの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一例のブームスプレーヤは、前部にキャビン(7)を有する走行機体(3)と、走行機体(3)においてキャビン(7)の前方に設けられるブーム装置(4)と、を備えるブームスプレーヤであって、ブーム装置(4)は、キャビン(7)の前方に固定される昇降装置(30)と、昇降装置(30)の前部に設けられるブーム部(40)と、を有し、昇降装置(30)は、左右方向に互いに離間して配置される一対の4節リンク機構(100)を含み、それぞれの4節リンク機構(100)は、上下方向に沿って延在する第1リンク部材(110)と、第1リンク部材(110)の上端に後端が回動可能に支持された第2リンク部材(120)と、第1リンク部材(110)の下端に後端が回動可能に支持された第3リンク部材(130)と、第2リンク部材(120)の前端と第3リンク部材(130)の前端とに回動可能に支持され、上下方向に沿って延在する第4リンク部材(140)と、第1リンク部材(110)、第2リンク部材(120)、第3リンク部材(130)及び第4リンク部材(140)のうち、互いに異なる2つの間に接続された伸縮シリンダ(160)と、を含み、伸縮シリンダ(160)は、第3リンク部材(130)の上方に位置しているとともに、上下方向から見たときに第3リンク部材(130)に沿って延在している。
【0007】
上記のブームスプレーヤでは、伸縮シリンダ(160)の伸縮動作に伴って、第1リンク部材(110)に対する第4リンク部材(140)の位置を昇降させることができる。伸縮シリンダ(160)はそれぞれの4節リンク機構(100)の第3リンク部材(130)に沿って延在しており、一対の4節リンク機構(100)は互いに左右に離間して配置されている。そのため、キャビン(7)内の作業者から見たときに、伸縮シリンダ(160)は左右に配置されたそれぞれの4節リンク機構(100)の位置にあり、一対の4節リンク機構(100)同士の間の領域の視認性が損なわれることが抑制されている。また、伸縮シリンダ(160)は、第3リンク部材(130)の上方に位置しているため、第3リンク部材(130)は伸縮シリンダ(160)を少なくとも部分的に下方の物体から保護することができる。したがって、上記のブームスプレーヤは、作業者の視認性の低下を抑制するとともに、伸縮シリンダ(160)の損傷を抑制する。
【0008】
伸縮シリンダ(160)は、第1リンク部材(110)と第2リンク部材(120)とに接続されてもよい。特に、伸縮シリンダ(160)の一端は、第2リンク部材(120)の長手方向の中央よりも第4リンク部材(140)に近い位置に接続されてもよい。このような構成によれば、荷重が加わりやすい第2リンク部材(120)が伸縮シリンダ(160)に支持されているので、4節リンク機構(100)の剛性を高めることができる。
【0009】
第2リンク部材(120)は、角形鋼管によって構成されており、伸縮シリンダ(160)の一端は、角形鋼管から下方に向けて突出した取付片(125)に接続されてもよい。このような構成によれば、第2リンク部材(120)として剛性の高い角形鋼管を利用できるので、4節リンク機構(100)の剛性をより高めることができる。
【0010】
第1リンク部材(110)において、第2リンク部材(120)の支持位置と第3リンク部材(130)の支持位置との間の距離は、275mmを超えていてもよい。このような構成では、第2リンク部材(120)の支持位置と第3リンク部材(130)の支持位置との間の距離が従来に比べて大きく設けられているため、ねじれに対する強度が向上する。そのため、従来必要であった補強用の上部ステー及び下部ステーを有しなくとも、昇降装置(30)を安定して動作させることができる。上部ステー及び下部ステーを必要としないため、一対の4節リンク機構(100)同士の間の領域の視認性が高められる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一側面によれば、作業者の視認性の低下を抑制するとともに、伸縮シリンダ160の損傷を抑制するブームスプレーヤを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一例のブームスプレーヤを斜め前方から見た斜視図である。
図2】一例のブーム装置を斜め後方から見た斜視図である。
図3】一例のブーム装置を上側から見た平面図である。
図4】一例のブーム装置を側方から見た図である。
図5】一例のブーム装置を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一例のブームスプレーヤについて図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。説明に際しては、図面に示されたXYZ直交座標系を参照する場合がある。特に説明がない場合、ブームスプレーヤを基準にして、X方向を前後方向とし、Y方向を左右方向又は幅方向とし、Z方向を上下方向として説明する。
【0014】
図1は、一例のブームスプレーヤを斜め前方から見た斜視図である。ブームスプレーヤは、圃場において農地または作物に薬液等の液体散布を行う、自走式の乗用管理機である。ブームスプレーヤ1は、機体フレームを有する走行機体3と、走行機体3の前部に取り付けられたブーム装置4とを備える。ブーム装置4は、走行機体3に支持された昇降装置30と、昇降装置30に支持されたブーム部40とを含む。ブーム部40は、センターブーム41と、センターブーム41の両端に連結された一対のサイドブーム43とを含んでいる。センターブーム41及びサイドブーム43は、複数のノズルが設けられた薬液散布用の送液管を有する。薬液散布を行う場合、サイドブーム43は、図1に示すように、センターブーム41に対して一直線状となるように展開される。サイドブーム43は、薬液散布を行わないときには折り畳まれた状態で格納されている。なお、図示例のサイドブーム43は、多段式の伸縮ブームであり、ブーム展開時において伸長状態となり、ブーム格納時において縮小状態となる。
【0015】
走行機体3の前部には、作業者が着座する空間を形成するキャビン7が設けられている。走行機体3の後部には、エンジンを収容するエンジンルーム8が設けられている。キャビン7とエンジンルーム8との間には、センターブーム41及びサイドブーム43から散布される薬液を収容する薬液タンク9が設けられている。走行機体3は、一対の前輪11と、一対の後輪12とを含んでいる。
【0016】
続いて、ブーム装置4について、さらに説明する。図2は、ブーム装置4を斜め後方から見た斜視図である。図3は、ブーム装置を上側から見た平面図である。図4及び図5は、ブーム装置を側方から見た図である。図2図5に示すブーム装置4では、サイドブーム43が省略されている。また、図4は、昇降装置によってブーム部が低位置になった状態を示し、図5は、昇降装置によってブーム部が高位置になった状態を示す。
【0017】
図2に示すように、昇降装置30は、左右方向に互いに離間して配置される一対の4節リンク機構100を含む。一対の4節リンク機構100同士は、左右方向においてキャビン7の幅と同程度の距離だけ互いに離間していてもよい。一例の昇降装置30では、右側に配置される4節リンク機構100の左右方向の位置がキャビン7の右端の位置に一致しており、左側に配置される4節リンク機構100の左右方向の位置がキャビン7の左端の位置に一致している(図1参照)。
【0018】
4節リンク機構100のそれぞれは、第1リンク部材110、第2リンク部材120、第3リンク部材130、及び第4リンク部材140を含む。第1リンク部材110は、走行機体3に固定されており、上下方向に延在している。一例の第1リンク部材110は、左右方向に互いに対向する一対の側壁111と、一対の側壁111の後端同士を接続する後壁113とを含む。また、第1リンク部材110は、左右方向の外側に位置する側壁111に連続して、後方に向かって延在する取付片115を含む。取付片115は、走行機体3のキャビン7の前側に固定される部分である。
【0019】
第2リンク部材120は、第1リンク部材110の上端に回動可能に支持されている。例えば、第2リンク部材120の後端は、第1リンク部材110の一対の側壁111間に配置され、一対の側壁111間に設けられた回動軸112に支持されている(図3参照)。上下方向から見たときに、第2リンク部材120は、前後方向に沿って延在している。一例の第2リンク部材120は、角形鋼管によって構成されている。
【0020】
第3リンク部材130は、第1リンク部材110の下端に回動可能に支持されている。例えば、第3リンク部材130の後端は、第1リンク部材110の一対の側壁111間に配置され、一対の側壁111間に設けられた回動軸114に支持されている。上下方向から見たときに、第3リンク部材130は、前後方向に沿って延在しており、第2リンク部材120に重複している。一例の第3リンク部材130は、角形鋼管によって構成されている。例えば、第3リンク部材130の左右方向の幅は、第2リンク部材120の左右方向の幅と同じであってもよい。この場合、第2リンク部材120と第3リンク部材130とは、同じサイズの角形鋼管によって形成されてもよい。第1リンク部材110において、第2リンク部材120の支持位置(回動軸心)と第3リンク部材130の支持位置との間の距離は、275mmを超えている。一例として、第1リンク部材110における第2リンク部材120の支持位置と第3リンク部材130の支持位置との間の距離は、300mm、400mm、500mm等であってよいが、これらに限定されない。なお、第2リンク部材120及び第3リンク部材130の長さは、第1リンク部材110における第2リンク部材120の支持位置と第3リンク部材130の支持位置との間の距離の2倍~3倍程度であってよい。
【0021】
第4リンク部材140は、上下方向に沿って延在している。第4リンク部材140の上部は第2リンク部材120の前端に回動可能に支持されおり、第4リンク部材140の下端は第3リンク部材130の前端に回動可能に支持されている。なお、図示例の第4リンク部材140は、第2リンク部材120との接続位置よりも上側に突出した上部延在部149を含む。上部延在部149には、ブーム部40の水平状態を保持するための、水平保持機構48が設けられており、センターブーム41及びサイドブーム43は、この水平保持機構48を介して昇降装置30に支持されている。
【0022】
一例の第4リンク部材140は、左右方向に互いに対向する一対の側壁141と、一対の側壁141の前端同士を接続する前壁143とを含む。例えば、第2リンク部材120の前端は、第4リンク部材140の一対の側壁141間に配置され、一対の側壁141間に設けられた回動軸142に支持されている。また、第3リンク部材130の前端は、第4リンク部材140の一対の側壁141間に配置され、一対の側壁141間に設けられた回動軸144に支持されている。
【0023】
第4リンク部材140において、第2リンク部材120の支持位置と第3リンク部材130の支持位置との間の距離は、275mmを超えている。一例では、第4リンク部材140における第2リンク部材120の支持位置から第3リンク部材130の支持位置までの距離は、第1リンク部材110における第2リンク部材120の支持位置から第3リンク部材130の支持位置までの距離と同じであってよい。また、第2リンク部材120における第1リンク部材110の支持位置から第4リンク部材140の支持位置までの距離は、第3リンク部材130における第1リンク部材110の支持位置から第4リンク部材140の支持位置までの距離と同じであってよい。すなわち、一例の4節リンク機構100は、4節平行リンク機構であってよい。
【0024】
一対の4節リンク機構100同士は、接続部材によって互いに接続されている。一例において、一対の4節リンク機構100同士は、第1接続部材151、第2接続部材153及び第3接続部材155によって、互いに接続されている。第1接続部材151は、第1リンク部材110同士を互いに接続している。例えば、第1接続部材151は、左右方向に沿って延在する角形鋼管であり、一方の第1リンク部材110における上下方向の中央と他方の第1リンク部材110における上下方向の中央とに固定されている。
【0025】
第2接続部材153及び第3接続部材155は、第4リンク部材140同士を互いに接続している。例えば、第2接続部材153及び第3接続部材155は、左右方向に沿って延在する角形鋼管である。第2接続部材153は、一方の第4リンク部材140における上下方向の上部と他方の第4リンク部材140における上下方向の上部とに固定されている。第3接続部材155は、一方の第4リンク部材140における上下方向の下部と他方の第4リンク部材140における上下方向の下部とに固定されている。
【0026】
一対の4節リンク機構は、それぞれに設けられた伸縮シリンダ160によって動作する。伸縮シリンダ160は、第1リンク部材110、第2リンク部材120、第3リンク部材130及び第4リンク部材140のうち、互いに異なる2つの間を接続している。伸縮シリンダ160が伸縮動作することにより、4節リンク機構100では、第1リンク部材110に対する第4リンク部材140の相対的な高さ位置が変更される。すなわち、伸縮シリンダ160が伸縮することによって、昇降装置30の前部となる第4リンク部材140の高さ位置を変動させることができる。
【0027】
一例においては、伸縮シリンダ160は、シリンダチューブ161及びシリンダロッド163を含む油圧シリンダである。伸縮シリンダ160の左右方向のサイズは、特に限定されないが、第3リンク部材130の左右方向のサイズと略同じか、それ以下であってよい。図示例の伸縮シリンダ160においては、シリンダロッド163の直径が第3リンク部材130の幅よりも小さく、シリンダチューブ161の直径が第3リンク部材130の幅と同じか、それよりも僅かに大きい。
【0028】
伸縮シリンダ160は、第3リンク部材130の上方に位置するように配置されている。伸縮シリンダ160は、上下方向から見たときに第3リンク部材130に沿って延在している。伸縮シリンダ160は、第1リンク部材110と第2リンク部材120とを接続している。図示例において、伸縮シリンダ160のシリンダチューブ161の端部は、第1リンク部材110の一対の側壁111間に配置され、一対の側壁111間に設けられた回動軸116に支持されている。例えば、シリンダチューブ161の端部は、第1リンク部材110の上下方向の中央に接続されている。
【0029】
伸縮シリンダ160のシリンダロッド163の端部は、第2リンク部材120に設けられた取付部に回動可能に支持されている。取付部は、第2リンク部材120の長手方向の中央よりも第4リンク部材140に近い位置に設けられている。取付部は、左右一対の取付片125によって構成されている。取付片125は、角形鋼管によって構成される第2リンク部材120の左右側面からそれぞれ下方に向かって突出するように設けられている。伸縮シリンダ160のシリンダロッド163の端部は、一対の取付片125間に配置され、一対の取付片125間に設けられた回動軸126に支持されている。
【0030】
昇降装置30では、一対の4節リンク機構100のそれぞれにおいて伸縮シリンダ160が縮小状態になることにより、第4リンク部材140が低位置となるように制御され(図3参照)、一対の4節リンク機構100のそれぞれにおいて伸縮シリンダ160が伸長状態になることにより、第4リンク部材140が高位置となるように制御される(図4参照)。伸縮シリンダ160の長さが制御されることにより、第4リンク部材140の高さを所定の範囲内において所望の位置に制御することができる。なお、一例においては、一対の4節リンク機構のそれぞれの伸縮シリンダ160は、常に同じ長さに制御されるように、図示しない制御装置によって制御されていてもよい。
【0031】
以上説明したように、一例のブームスプレーヤ1は、前部にキャビン7を有する走行機体3と、走行機体3においてキャビン7の前方に設けられるブーム装置4と、を備える。ブーム装置4は、キャビン7の前方に固定される昇降装置30と、昇降装置30の前部に設けられるブーム部40と、を有する。昇降装置30は、左右方向に互いに離間して配置される一対の4節リンク機構100を含む。それぞれの4節リンク機構100は、上下方向に沿って延在する第1リンク部材110と、第1リンク部材110の上端に後端が回動可能に支持された第2リンク部材120と、第1リンク部材110の下端に後端が回動可能に支持された第3リンク部材130と、第2リンク部材120の前端と第3リンク部材130の前端とに回動可能に支持され、上下方向に沿って延在する第4リンク部材140と、第1リンク部材110、第2リンク部材120、第3リンク部材130及び第4リンク部材140のうち、互いに異なる2つの間に接続された伸縮シリンダ160と、を含む。伸縮シリンダ160は、第3リンク部材130の上方に位置しているとともに、上下方向から見たときに第3リンク部材130に沿って延在している。
【0032】
上記のブームスプレーヤ1では、伸縮シリンダ160の伸縮動作に伴って、第1リンク部材110に対する第4リンク部材140の位置を昇降させることができる。伸縮シリンダ160は、それぞれの4節リンク機構100の第3リンク部材130に沿って延在しており、一対の4節リンク機構100は互いに左右に離間して配置されている。そのため、キャビン7内の作業者から見たときに、伸縮シリンダ160は左右に配置されたそれぞれの4節リンク機構100の位置にあり、一対の4節リンク機構100同士の間の領域の視認性が損なわれることが抑制されている。また、伸縮シリンダ160は、第3リンク部材130の上方に位置しているため、第3リンク部材130は伸縮シリンダ160を少なくとも部分的に下方の物体から保護することができる。したがって、上記のブームスプレーヤ1では、作業者の視認性の低下が抑制されるとともに、伸縮シリンダ160の損傷が抑制される。
【0033】
伸縮シリンダ160は、第1リンク部材110と第2リンク部材120とに接続されてもよい。特に、伸縮シリンダ160の一端は、第2リンク部材120の長手方向の中央よりも第4リンク部材140に近い位置に接続されてもよい。このような構成によれば、荷重が加わりやすい第2リンク部材120が伸縮シリンダ160に支持されているので、4節リンク機構100の剛性を高めることができる。
【0034】
第2リンク部材120は、角形鋼管によって構成されており、伸縮シリンダ160の一端は、角形鋼管から下方に向けて突出した取付片125に接続されてもよい。このような構成によれば、第2リンク部材120として剛性の高い角形鋼管を利用できるので、4節リンク機構100の剛性をより高めることができる。
【0035】
第1リンク部材110において、第2リンク部材120の支持位置と第3リンク部材130の支持位置との間の距離は、275mmを超えている。このような構成によれば、4節リンク機構の内側の領域に伸縮シリンダ160を適切に配置することができる。また、第2リンク部材120の支持位置と第3リンク部材130の支持位置との間の距離が従来に比べて大きく設けられているため、ねじれに対する強度が向上する。そのため、従来必要であった補強用の上部ステー及び下部ステーを有しなくとも、昇降装置30を安定して動作させることができる。上部ステー及び下部ステーを必要としないため、一対の4節リンク機構100同士の間の領域の視認性が高められる。
【0036】
以上、一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られない。
【0037】
例えば、伸縮シリンダ160が第1リンク部材110と第2リンク部材120との間に接続された例を示したが、伸縮シリンダは、第1リンク部材110、第2リンク部材120、第3リンク部材130及び第4リンク部材140のうち、互いに異なる2つの間に接続されていてよい。
【0038】
また、第1リンク部材110において、第2リンク部材120の支持位置と第3リンク部材130の支持位置との間の距離が275mmを超えている例を示したが、第2リンク部材120の支持位置と第3リンク部材130の支持位置との間の距離は、275mm以下であってもよい。例えば、第2リンク部材120の支持位置と第3リンク部材130の支持位置との間の距離が200mm程度であっても、4節リンク機構の内側の領域に伸縮シリンダ160を配置可能である。ただし、上述のとおり、第2リンク部材120の支持位置と第3リンク部材130の支持位置との間の距離が大きくなることにより、昇降装置の安定性が向上する。
【符号の説明】
【0039】
1…ブームスプレーヤ、3…走行機体、4…ブーム装置、7…キャビン、30…昇降装置、40…ブーム部、100…4節リンク機構、110…第1リンク部材、120…第2リンク部材、130…第3リンク部材、140…第4リンク部材、160…伸縮シリンダ。
図1
図2
図3
図4
図5