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特開2023-15012複数のガス出口を有する安全システムを備えた風力タービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015012
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】複数のガス出口を有する安全システムを備えた風力タービン
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/00 20060101AFI20230124BHJP
   F03D 9/00 20160101ALI20230124BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20230124BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20230124BHJP
   C25B 15/02 20210101ALI20230124BHJP
【FI】
F03D7/00
F03D9/00
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B15/02
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022113876
(22)【出願日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】21186313
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519081710
【氏名又は名称】シーメンス ガメサ リニューアブル エナジー エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Siemens Gamesa Renewable Energy A/S
【住所又は居所原語表記】Borupvej 16, 7330 Brande, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジョニー サアアンスン
【テーマコード(参考)】
3H178
4K021
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB41
3H178BB79
3H178DD54X
3H178EE40
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水素の製造に関連するリスクを軽減する安全システムを備えた風力タービンを提供する。
【解決手段】発電機(2)と、電解ユニット(3)と、システム入口(4)と、システム出口(5)とを有しており、電解ユニット(3)は、発電機(2)により電力を供給され、入力流体(9)、特に水から水素(6)を生成し、生成された水素(6)は、システム出口(5)を介して風力タービン(40)から取り出すことができる、風力タービンにおいて、前記風力タービン(40)はさらに、制御ユニットにより制御される安全システム(20)を備えており、安全システム(20)は、風力タービン(40)のプラットフォーム(45)上に分配された複数のガス出口(21)を介して、風力タービン(40)から水素(6)を排気するように構成されており、かつ水素(6)を大気に放出するように構成されていることを特徴とする、風力タービン(40)。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン(40)であって、発電機(2)と、電解ユニット(3)と、システム入口(4)と、システム出口(5)とを有しており、
前記電解ユニット(3)は、前記発電機(2)により電力を供給され、入力流体(9)、特に水から水素(6)を生成し、
生成された水素(6)は、前記システム出口(5)を介して当該風力タービン(40)から取り出すことができ、
当該風力タービン(40)はさらに、制御ユニットにより制御される安全システム(20)を備えており、該安全システム(20)は、当該風力タービン(40)のプラットフォーム(45)上に分配された複数のガス出口(21)を介して、当該風力タービン(40)から水素(6)を排気するように構成されており、かつ水素(6)を大気に放出するように構成されている、
風力タービン(40)。
【請求項2】
前記制御ユニットは、水素(6)が前記プラットフォーム(45)の領域にわたり拡散することを回避するために、前記ガス出口(21)が前記プラットフォーム(45)に対して風上方向または風下方向のいずれに配置されているのかに応じて、前記ガス出口(21)を通る流れを制御する、請求項1記載の風力タービン(40)。
【請求項3】
風上方向の前記ガス出口(21)は閉鎖されており、風下方向の前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つは開放されている、請求項2記載の風力タービン(40)。
【請求項4】
前記ガス出口(21)には、開口を備えた漏斗(38)が含まれ、該漏斗(38)の前記開口は、前記電解ユニット(3)内に空気を導入して水素(6)の排気を向上させるための空気入口(37)としても構成されている、請求項2または3記載の風力タービン(40)。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記プラットフォーム(45)に対して風上方向の1つまたは複数の前記漏斗(38)が空気入口(37)として働くように前記ガス出口(21)を制御し、水素(6)は、風下方向の前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを介して排気される、請求項4記載の風力タービン(40)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記ガス出口(21)は、煙突(22)の上部に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の風力タービン(40)。
【請求項7】
水素(6)は、特にポンプを用いてまたはシステム出口弁(23)を開くことにより、前記システム出口(5)を介して排気され得る、請求項1から6までのいずれか1項記載の風力タービン(40)。
【請求項8】
前記安全システム(20)は、特に前記システム出口弁(23)を開くことにより、または前記ガス出口(21)を介して水素(6)を大気に放出することにより、前記電解ユニット(3)内の過剰圧力を放出するように構成されている、請求項7記載の風力タービン(40)。
【請求項9】
前記安全システム(20)には、排気された水素(6)の、前記プラットフォーム(45)から離れる方向への搬送を向上させるように構成されたファンが含まれる、請求項1から8までのいずれか1項記載の風力タービン(40)。
【請求項10】
前記ガス出口(21)は回転可能であり、風向と整合させられるように構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の風力タービン(40)。
【請求項11】
前記安全システム(20)には、水素(6)を集めるための分配システム(35)が含まれる、請求項1から10までのいずれか1項記載の風力タービン(40)。
【請求項12】
請求項2記載の風力タービン(40)を運転する方法であって、該方法は、
-前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを開放するステップと、
-該ガス出口(21)を介して水素(6)を大気に放出するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
-前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを開放する前に、風向を検出するステップと、
-前記プラットフォーム(45)に対して風上方向の前記ガス出口(21)を閉鎖したままにするステップと、
-風下方向の前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを開放するステップと
を含む、請求項12記載の、風力タービン(40)を運転する方法。
【請求項14】
前記ガス出口(21)は、開口を備えた漏斗(38)を有しており、該漏斗(38)の前記開口は、前記電解ユニット(3)内に空気を導入して水素(6)の排気を向上させるための空気入口(37)としても構成されており、当該方法はさらに、
-前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを開放する前に、風向を検出するステップと、
-前記プラットフォーム(45)に対して風上方向の、前記漏斗(38)を有する少なくとも1つの前記ガス出口(21)を開放し、これにより、風上方向の前記漏斗(38)が空気入口(37)として働くようにするステップと、
-風下方向の前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを開放し、これにより、水素(6)が排気されるようにするステップと、
を含む、請求項12記載の、風力タービン(40)を運転する方法。
【請求項15】
水素(6)の排気プロセスは、前記風力タービン(40)への船舶(46)の接近により自動的に発動させられる、請求項12から14までのいずれか1項記載の、風力タービン(40)を運転する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全システムを有する風力タービンに関する。本発明はさらに、前記風力タービンを運転する方法に関する。
【0002】
風力タービンは、電気エネルギを生成するためにますます使用されている。風力タービンは典型的には、タワーと、タワーに取り付けられたナセルとを有しており、ナセルにはハブが取り付けられている。ハブにはロータが取り付けられ、発電機に結合されている。ロータからは、複数のブレードが延びている。ブレードは、ブレードを通過する風がロータを回転させ、これにより発電機を駆動するように方向付けられている。したがって、ブレードの回転エネルギは発電機に送られ、次いで発電機が、機械エネルギを電気に変換し、電気を電力供給網に送る。
【0003】
風力タービンは、高い風量をもたらす位置に配置されている。これらの位置は、遠隔の陸上位置または海上の洋上位置であってよい。電気エネルギを搬送するためには、風力タービンの発電機により発電された電力が、ウインドファームの伝送サブステーションに移動し、そこで、送電線を介したトランスミッショングリッド上での長距離伝送用に、通常は130~765kVの高電圧に変換される。トランスミッショングリッドは、遠隔位置のウインドファームを電力供給網の変圧器ステーションに接続し、変圧器ステーションは、電気を電力供給網に適合した電圧に変圧する。
【0004】
遠隔のウインドファームの問題は、ウインドファームと電力供給網の変圧器ステーションとの間の距離を架橋する必要がある、という点である。設置コストが極めて高い長い送電線が必要である。
【0005】
風力タービン技術の目下の開発は、より長いブレードとより高いタワーとを備えた、より多くの風力エネルギを回収するための風力タービンのサイズの増大に向けられている。風力タービンのサイズの増大に基づき、より多くの電力がグリッドに供給され、電力は、ウインドファームから最も近いグリッドの入力点に送られる。長距離送電線を介して伝送される電力が増大すると、結果的にケーブルに対する要求が高くなり、コストが高くなる。
【0006】
トランスミッショングリッドの送電線により伝送されるエネルギの量を減らすため、または長距離送電線の使用を完全に回避するためには、風力タービンの近くに電解ユニットを設置することができる。電解ユニットを備えた風力タービンは、発電機により電力を発生させ、かつ風力タービンの電力の少なくとも一部により駆動される電解ユニットにより水素を発生させる。
【0007】
電解ユニットは、水素を生成するように構成されたパワーツーガス(power-to-gas)ユニットである。したがって、風力タービンにより生成されたエネルギを、電気分解プロセスにおいて使用して、水素と酸素とを発生させることができる。これらのガスは、その後、燃料電池における電気エネルギ発生用に使用され得るか、あるいはアンモニアまたはメタンといった化学物質を製造するために使用され得る。電解ユニットから生成されたガスは、パイプラインを使用することにより、またはガスを加圧することにより、容器内に送ることができ、このことは、電気を直接、長距離送電線を介して送るよりも安価である。
【0008】
風力タービンと組み合わせた電解ユニットの使用は従来技術から、例えば米国特許第5592028号明細書において公知であり、ここでは複数の電解セルがウインドファームに接続されており、風力タービンの発電機により生成された電気を用いて水素を生成する。同様に、国際公開第2020/095012号には、脱塩ユニットと電気分解ユニットとを備えた浮遊式タワー構造を含む、大規模水素製造用の洋上風力タービンシステムが記載されている。
【0009】
電解ユニットを備えたウインドファームにおいてこの状況は、パワーツーガス(power-to-gas)ユニット、ガス貯蔵設備、または風力タービン全般における故障に起因して、問題が発生した場所を特定するために技術者による風力タービンの検査が必要とされる場合に生じ得る。システムが技術者により検査されるべき別の状況が、定期的なメンテナンス作業中にも発生する。このようなケースでは、技術者が作業する安全上の理由から、風力タービン内の、特に電解ユニット内のガスを風力タービンから排気しなければならない。
【0010】
水素ガスの可燃性と、漏れた水素が風力タービンの内部に閉じ込められる可能性とが組み合わさることで、風力タービンが水素の製造に使用された場合に、水素に関連した火災または爆発のリスクをもたらす。これは商業的リスクおよび安全性リスクの両方である。それというのも、水素は風力タービン自体を損傷させるだけでなく、無臭であり、爆発環境で気づかずに作業している可能性のある人員によっては通常、検出することもできないからである。したがって、水素が漏れて空気中の酸素と混合すると、その結果、爆発混合気を生じさせ、電気機器の小さな火花が、結果的に爆発を生じさせることがある。
【0011】
本発明の課題は、特に技術者が現場で作業する場合に、水素の製造に関連するリスクを軽減する安全システムを備えた風力タービンを提供することである。
【0012】
このことは、請求項1記載の風力タービンおよび請求項12記載の風力タービンを運転する方法により達成される。
【0013】
本発明によれば、風力タービンは、発電機と、電解ユニットと、システム入口と、システム出口とを有しており、電解ユニットは、発電機により電力を供給され、入力流体、特に水から水素を生成し、生成された水素は、システム出口を介して風力タービンから取り出すことができる。
【0014】
したがって、発電機は電力を発電し、発電した電力の少なくとも一部を電解ユニットに供給する。それというのも、両コンポーネントは電気的に接続されているからである。
【0015】
例えば気象条件や風力レベルに応じて発電量の変動が生じるため、電力供給網またはエネルギ貯蔵装置への洋上風力タービンの電力出力量を予測することは困難である。発電機により生成されるエネルギの一部を利用して水素を生成することにより、変動を緩和することができる。水素は、電解ユニットの出口に接続されたシステム出口を介して、風力タービンから取り出すことができる。
【0016】
したがって、発電機により生成されたエネルギの少なくとも一部は、電解ユニットに電力を供給するために利用され得るため、電力供給網が、変動する発電設備の発電のピークにより過剰に負荷されることはない。さらに、電力供給網への出力に問題が発生した場合には、電力を全て電解ユニットに転送することができ、これにより、水素のみが生成されることになる。生成される水素は、通常は気体の状態であり、これを圧縮しかつ/または他の成分と混合して、貯蔵および/または搬送がより簡単な液体の状態にすることができる。
【0017】
電解ユニットは、電気分解を行って別のガスを生成する混合ガス発生器であってもよい。例えば、電解ユニットは、水および二酸化炭素に対して電気分解を行って、水素と一酸化炭素とから成る混合ガスを生成することができる。択一的に、水素は天然ガスと混合されてもよく、これにより、水素の水素/炭素比が増加し、圧縮天然ガスよりも最大で8倍高い火炎速度がもたらされる。
【0018】
本発明によれば、風力タービンはさらに、制御ユニットにより制御される安全システムを備えており、安全システムは、風力タービンのプラットフォーム上に分配された(distributed)複数のガス出口を介して、風力タービンから水素を排気するように構成されており、かつ水素を大気に放出するように構成されている。
【0019】
安全システムにより、技術者またはその他の人員が風力タービンに入る前に、水素を含む風力タービンのコンポーネントおよびモジュールから水素を排気することができ、これにより、爆発性の空気・水素混合気の形成のリスクおよび風力タービンの位置にいる任意の人が負傷するリスクを低下させる。電解ユニットの水素の排気は、酸素と水素とから成る爆発混合気が、配管網内および風力タービンのモジュールに蓄積することを防止する。
【0020】
ガス出口の位置は、電解ユニットが配置されたプラットフォーム上にあってよいが、タワー上またはナセル上にあってもよい。
【0021】
ガス出口の位置は、排気されるガスまたはガス混合物の密度に基づいていてよく、例えば水素、メタンおよびアンモニアガスは、それらの低密度に基づき上昇するのに対して、より重いガスは沈むことになる。
【0022】
ガス出口の位置を選択するための基準の1つは、ガス流が、人から離れる方向、すなわち技術者が留まる可能性のある通路から離れる方向でありかつ風力タービンのプラットフォームから離れる方向に生じるべきである、ということを考慮することにある。
【0023】
ガス出口の位置を選択するための別の基準は、起こり得るあらゆる火災を回避するために、ガス流が、発電機、スイッチ、コンピュータ等といった電気機器から離れる方向に生じるべきである、ということを考慮することにある。
【0024】
ガス出口は、プラットフォームの領域にわたり、好適にはプラットフォームの角隅部または側部に分配されている。ガス出口は、風力タービンのタワーに対して所定の角距離に配置されている。好適には、2つのガス出口の間の角距離は少なくとも90°である。最適には、4つのガス出口がプラットフォームの縁部において、隣のガス出口から約90°の角距離に分配されている。
【0025】
制御ユニットにより、複数のガス出口が開放され得、これにより、排気されたガスは、プラットフォームの領域に停滞することなく風により運び去られ、爆発のリスクを低下させる。したがって、複数のガス出口を有することにより、プラットフォームの、風向に対して相対的に後側部分のガス出口を開放させることができ、風は、排気されたガスをプラットフォームから離れる方向に運び去ることになる。
【0026】
したがって、風力タービンは、風の方向でありかつプラットフォームから離れる方向に水素を運ぶであろうガス出口を開放することにより、安全システムを介して排気され得る。この手段により、プラットフォームの領域にわたる水素の流れが回避される。追加的に、空気よりも高い密度のガスが生成された場合には、この手段により、プラットフォームの領域、すなわちコンテナ間にガスが蓄積するリスクが最小限に抑えられる。より高密度のガスの例は、プロパンまたはブタンであり、これらは、水素をメタンに変換する間に、または生成された水素をこれらのガスに変換することにより装置を介して少量形成されることがある。
【0027】
本発明の1つの好適な実施形態によれば、制御ユニットは、水素がプラットフォームの領域にわたり拡散することを回避するために、ガス出口がプラットフォームに対して風上方向または風下方向のいずれに配置されているのかに応じて、ガス出口を通る流れを制御する。
【0028】
制御ユニットは、人が風力タービンに接近したときに、または水素製造システムの誤動作に起因して発生する損傷を与え得る何らかの事象の検出に基づき、電解ユニットの水素の排気を自動的に発動させることができる。このような安全システムにより、特に、風力タービンシステム内での水素の蓄積につながる恐れがある誤動作の結果、このような水素の点火が生ぜしめられ、ひいてはシステムの実質的な損傷が生ぜしめられる、ということを回避することが可能である。このような安全システムは特に、風力タービンシステム内の水素濃度が引火限界または爆発限界未満に保たれることを保証するように構成され得る。誤動作の検出は、警報を発動させるように設定され得る。
【0029】
同様に、制御ユニットは、特に保守またはメンテナンス作業前に、例えばトリガ信号を受信することにより、電解ユニットの排気を手動で発動させることもできる。
【0030】
遠隔で発動される水素排気は、保守技術者が風力タービン設備に入る前に風力タービンを排気することを可能にする。このことは、風力タービンでの技術者の安全な作業を保証する。
【0031】
本発明の別の好適な実施形態によれば、風上方向のガス出口は閉鎖されており、風下方向のガス出口のうちの少なくとも1つは開放されている。この制御ストラテジは、爆発および損傷のリスクを最小限に抑える。それというのも、これにより、爆発性の空気・水素混合気がプラットフォームの領域に蓄積することが回避されるからである。
【0032】
それゆえに、風向に従って風が最初に到達するガス出口は、これらのガス出口を通って水素が排気されることを回避するために閉鎖される。さもなければ、風向により、水素が直接プラットフォームにわたり運ばれることになる。
【0033】
本発明の別の好適な実施形態によれば、ガス出口には、開口を備えた漏斗(funnel)が含まれ、漏斗の開口は、電解ユニット内に空気を導入して水素の排気を向上させるための空気入口としても構成されている。
【0034】
適切な制御ストラテジにより、漏斗は、空気入口として働くことができ、ひいては空気を集めて電解ユニット内へ送ることができるか、またはガス出口として働くことができ、これにより電解ユニットの水素を大気に放出することができる。漏斗により集められた空気が電解ユニットを通って送られることにより、水素の排気プロセスが向上させられる。それというのも、空気がより迅速かつ効率的に電解ユニットから水素を押し出すからである。
【0035】
風力タービンは、風力タービンの電気出力を最大にするための高い風量をもたらす場所に配置されている。したがって、これらの場所で漏斗を通る空気を集めることは、特に簡単である。
【0036】
本発明の別の好適な実施形態によれば、制御ユニットは、プラットフォームに対して風上方向の1つまたは複数の漏斗が空気入口として働くようにガス出口を制御し、この場合、水素は、風下方向のガス出口のうちの少なくとも1つを介して排気される。
【0037】
漏斗は空気入口として働くことができるため、多くの風力タービンが風量の高い場所に配置されることを考慮すると、風の方に向いた1つまたは複数の漏斗は、空気を集めることができ、この空気は、電解ユニットから、ガス出口として働く残りの漏斗を介して大気中に水素を押し出すために使用される。
【0038】
本発明の別の好適な実施形態によれば、少なくとも1つのガス出口は、煙突の上部に配置されている。好適には、安全システムの各ガス出口が煙突の上部に配置されている。
【0039】
水素は空気よりも軽いので、ガス出口を開くことにより、水素は自動的に上昇して電解ユニットから流出することになるため、電解ユニット内の水素濃度を効率的に低下させることができる。
【0040】
煙突は、電解ユニットが配置されたプラットフォームの角隅部に配置され得、これにより、電解ユニットまたは風力タービン全般の電気コンポーネントから離れる方向にガスが運び去られることが保証される。煙突は、水素が貯蔵されかつ/または送られる風力タービンの各コンポーネント、特に電解ユニットに含まれるコンポーネントまたは水素がアンモニアまたはメタン等の別のガス状生成物に変換される水素変換ユニット等の任意の水素処理ユニットの一部を形成するコンポーネントに結合され得る。
【0041】
煙突の高さは、風力タービンの回転するブレードに干渉または衝突しないように制限され得る。
【0042】
煙突は、ウインドシアに耐えるように支持ワイヤにより安定化され得る。
【0043】
本発明の別の好適な実施形態によれば、水素は、特にポンプを用いてまたはシステム出口弁を開くことにより、システム出口を介して排気され得る。この手段は、より迅速でより効率的な水素排気プロセスのための他の水素排気手段に加えて使用され得る。
【0044】
本発明の別の好適な実施形態によれば、安全システムは、特にシステム出口弁を開くことにより、またはガス出口を介して水素を大気に放出することにより、電解ユニット内の過剰圧力を放出するように構成されている。
【0045】
したがって、電解ユニット内の圧力は、安全システムを介して調整され得る。これは、電解ユニット内の過剰圧力に起因する爆発のリスクおよびコンテナや管における損傷のリスクを低下させる追加的な安全対策である。
【0046】
本発明の別の好適な実施形態によれば、安全システムには、水素の漏れを監視するかまたは水素が完全に排気されたかどうかを監視するガス検出器が含まれる。これにより、作業者の負傷のリスクが最小限に抑えられる。
【0047】
ガス検出器は、電解ユニット内またはプラットフォーム上に配置されてもよいが、風力タービンのタワーまたはナセル上に配置されてもよい。好適には、ガス検出器は各システムの上部に配置されている。これにより、制御ユニットの感度を向上させることができる。それというのも、水素は通常、上昇するからである。少なくとも1つのガス検出器には、1種類または異なる種類の水素センサが含まれていてよく、この場合、水素センサの種類には、例えばMOSFET型センサ、電気化学センサ、触媒センサ、熱伝導式センサ、および/または金属酸化物センサが含まれる。制御ユニットは、追加的なセンサ、例えば火炎検出器、火花検出器、煙検出器等を1つまたは組み合わせて有していてよい。これらは、ガス検出器に加えて提供され得、さらに、点火源を迅速に検出することができるということにより、風力タービンの安全性を高めることができる。
【0048】
本発明の別の好適な実施形態によれば、制御ユニットは、風向および/または風速を監視する。これは、プラットフォームの領域でのガスの蓄積を回避するために、いつ、どのガス出口を介して水素を排気すべきかを知るために有利である。
【0049】
本発明の別の好適な実施形態によれば、安全システムには、排気された水素の、プラットフォームから離れる方向への搬送を向上させるように構成されたファンが含まれる。
【0050】
風の強さが十分でなく、プラットフォームの領域にガスが蓄積するリスクが高い状況では、電気ファンが、排気されたガスをプラットフォームの領域から運び去るための有利な手段である。
【0051】
本発明の別の好適な実施形態によれば、ガス出口は回転可能であり、風向と整合させられるように構成されている。
【0052】
漏斗および/またはガス出口は、漏斗の空気入口により集められる空気を最大化するためにかつ/またはガス出口を風向に整合させ、これにより風が水素を効率的にプラットフォームの領域から運び去るようにするために回転可能である。
【0053】
本発明の別の好適な実施形態によれば、安全システムには、水素を集めるための分配システムが含まれる。
【0054】
分配システムはマニホールドシステムであってよく、個々のガス出口の開閉を制御する弁が、風向に応じて制御されるようになっている。
【0055】
分配システムは、生成された水素を集めるために、配管システムを介して個々の電解装置に接続され得る。
【0056】
分配システムは、自己試験手順を実行することができる、すなわち、あらゆる流出ガスを集めるために使用される管を、例えば空気により加圧して圧力降下を検査し、これにより漏れを示すことができる。
【0057】
分配システムは、風力タービンにおけるガス出口の位置に応じて、ガス出口を介した水素の放出を可能にし、これにより、プラットフォームの領域にわたり水素が放出されることを防止する。
【0058】
本発明の別の実施形態によれば、安全システムには、水素の漏れを検出するように構成された漏れ検出器が含まれる。したがって、電解ユニットの誤動作は、漏れ検出により検出され得る。漏れ検出器には、水素ガスセンサが含まれてよく、この場合、水素ガスセンサにより検出された水素濃度が所定の閾値を上回っていると、電解ユニットの誤動作が検出される。このような構成により、風力タービンにおける危険な状況の兆候を迅速かつ効率的に検出することができる。このことは特に、危険な水素濃度が発生する前に、電解システムからの水素排気を発動させることを可能にする。別の実施形態では、漏れ検出器に超音波検出器が含まれていてよく、超音波検出器により、漏れの形態の誤動作が検出され得、これに基づき、水素排気を発動させることができる。
【0059】
本発明のさらに別の態様は、風力タービンを運転する方法であって、以下のステップ、すなわち、
-ガス出口のうちの少なくとも1つを開放するステップと、
-このガス出口を介して水素を大気に放出するステップと、
を含む、方法に関する。
【0060】
本発明の別の態様によれば、当該方法は、以下のステップ、すなわち、
-ガス出口のうちの少なくとも1つを開放する前に、風向を検出するステップと、
-プラットフォームに対して風上方向のガス出口を閉鎖したままにするステップと、
-風下方向のガス出口のうちの少なくとも1つを開放するステップと、
を含む。
【0061】
本発明の別の態様によれば、ガス出口は、開口を備えた漏斗を有しており、この場合、漏斗の開口は、空気を電解ユニットに導入して水素の排気を向上させるための空気入口としても構成されている。当該方法は、以下のステップ、すなわち、
-ガス出口のうちの少なくとも1つを開放する前に、風向を検出するステップと、
-プラットフォームに対して風上方向の、漏斗を有するガス出口のうちの少なくとも1つを開放し、これにより、風上方向の漏斗が空気入口として働くようにするステップと、
-風下方向のガス出口のうちの少なくとも1つを開放し、これにより、水素が排気されるようにするステップと、
を含む。
【0062】
本発明の別の態様によれば、水素の排気プロセスおよび/またはパージは、風力タービンへの船舶の接近により自動的に発動させられる。
【0063】
安全システムは、風力タービンまたはウインドパークに接近する船舶の位置を特定しかつ識別するために使用される自動識別システムAIS(Automatic Identification System)にリンクされ得る。船舶が風力タービンまたはウインドパークに対し、制御ユニットに設定された特定の距離に接近すると、水素の排気プロセスを自動的に発動させることができる。
【0064】
本発明の別の態様によれば、水素の排気プロセス中は警報が発動させられる。これにより、水素の排気プロセスが作業員に通報され、水素の排気プロセスが完了するまでは風力タービンまたはガス出口に近づかないよう安全対策を講じることができる。
【0065】
追加的に、警報は、ガス検出器により検出され得る水素ガスの濃度の上昇がプラットフォームの領域に存在することを示すように構成され得る。このような警報には、風力タービン内の音響警報が含まれてよく、この音響警報は、好適には、火災警報のような他の音響警報とは異なっている。したがって、風力タービン内の人員に、危険な状況の可能性を知らせることができる。追加的または択一的に、警報には、所定の色の警告灯および/または水素濃度の上昇に関連する所定のタイミングパターンを有する視覚的な警報が含まれていてもよい。警報は、通信接続手段を介してオペレータに通信されてもよく、これにより、遠隔のオペレータに状況および誤動作について通知されるようになっている。警報の種類は、安全機能トリガに依存していてよい。プラットフォームの領域における水素濃度に応じて異なる警報が発動させられてよく、これらは音、色、パターン、または他の警報種類が異なっていてよい。したがって警報の種類により、検出された水素濃度の高さを示すことができる。
【0066】
本発明の別の態様によれば、風力タービンで火災が発生した場合、水素の排気プロセスは自動的に発動させられる。複数のガス出口を設けることにより、風向を考慮して、火災の場所から最も遠いガス出口を開くことができ、これにより、火炎から安全な距離のところでガスが排気されることになる。
【0067】
本発明の別の態様によれば、風力タービンにおいて水素が漏れた場合、水素の排気プロセスは自動的に発動させられる。このことは、ガスセンサにより監視され得る。
【0068】
本発明の別の態様によれば、風力タービンが運転されていない場合に特定の長さの時間が経過すると、風力タービンの水素は自動的に排気される。これらは、例えばメンテナンスまたは保守修理または悪天候条件に起因して生ぜしめられる停止期間である。
【0069】
本発明の別の態様によれば、水素は、風力タービンの始動手順中は風力タービンから排気される。始動中は、低レベルの水素と高レベルの酸素とに起因してシステム内に水素・酸素混合気が蓄積する恐れがあるため、電解ユニットにより十分な水素が生成されるまではシステムから水素を排気することにより、爆発混合気を形成するリスクが低下させられる。
【0070】
本発明の特徴の理解を容易にするために、本明細書の不可欠な部分であるいくつかの図面が添付されており、図面には、例示的であるが限定的ではない特徴を有する図が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】風力タービンを示す概略図であって、発電機により発電された電力は全て電解ユニットに送られる。
図2】風力タービンを示す概略図であって、発電機により発電された電力は、電力供給網と電解ユニットとに送られる。
図3】安全システムを備えた風力タービンを示す概略図である。
図4】安全システムを備えた風力タービンの別の実施形態を示す図である。
図5】風力タービンのプラットフォーム上の安全システムに含まれるコンポーネントの可能な配置を示す概略図である。
図6】風力タービンのプラットフォームに取り付けられた煙突を含む安全システムを示す図である。
図7】風向に応じた安全システムの制御を示す図である。
図8】風向に応じた安全システムの制御を示す図である。
図9】複数の電解装置に接続された安全システムを示す図である。
図10】分配システムと電解ユニットとに接続された安全システムを示す図である。
図11】安全システムの制御ストラテジを示す図である。
【0072】
図1には、風力タービン40の概略図が示されており、発電機2により発電された電力は全て電解ユニット3に送られる。
【0073】
発電機2は、電気的な接続手段7を介して電解ユニット3に接続されている。
【0074】
電解ユニット3は、システム入口4とシステム出口5とを有している。電解ユニット3は、発電機2により電力を供給されて水素6を生成する。水素6を生成するためには、入力流体9としての水が電解ユニット3のシステム入口4を通って流入し、次いで、発電機2から到来する電力により電解ユニット3内で水素6に変換される。水素6は、システム出口5を介して電解ユニット3から流出する。
【0075】
図2には、風力タービン40の概略図が示されており、この場合、発電機2により発電された電力は、電力供給網8と電解ユニット3とに送られる。電解ユニット3は、図1に示したものと同様に働く。
【0076】
発電機2と電解ユニット3との間の電気的な接続手段7に電力制御装置10が追加されており、これにより、発電機2と電解ユニット3との間と、発電機2と電力供給網8との間とに電力を分配することができるようになっている。したがって、電力および/または水素6の需要に応じて電力量を変化させることができる。
【0077】
図3には、安全システム20を備えた風力タービン40の概略図が示されている。本発明のこの実施形態では、発電機2により発電された電力は全て電解ユニット3に送られる。電解ユニット3には、脱塩ユニット11、電解装置12、ならびに脱塩ユニット11と電解装置12との間の流体接続手段が含まれる。電解装置12と脱塩ユニット11とは両方とも発電機2により電力を供給され、発電機2は、電気的な接続手段7を介して両方の装置に接続されている。
【0078】
電解ユニット3用の入力流体9は、洋上風力タービンの海から取り出された海水である。したがって、システム入口4は海水入口13であり、そこで海水が風力タービン40に流入する。海水は脱塩ユニット11に流入し、脱塩ユニット11の出力は脱塩水14となる。次いで、脱塩水14は電解装置12に導入される。
【0079】
入力流体9として海水が使用されるため、風力タービン40のシステム出口5を介して、水素6がシステムから水素出口15を介して取り出される。
【0080】
風力タービン40はタワー41を有しており、タワー41の上部にはナセル42が回転可能に取り付けられている。風力タービン40はさらに、ナセル42に結合されたハブ43を有している。ハブ43には、複数のブレード44が取り付けられている。ハブ43は、ロータに結合されており、主軸受を介してロータ軸線を中心として回転可能に取り付けられている。ブレード44の中心を正面にした場合に見られるように、ブレード44が回転しながら通過する領域は、通過領域36である。風力タービン40はさらに、プラットフォーム45を有しており、プラットフォーム45上には電解ユニット3が配置されている。
【0081】
本発明のこの実施形態では、電解ユニット3の電解装置12に風力タービン40の安全システム20が接続されている。安全システム20には、煙突22に設けられたガス出口21が含まれており、これにより、電解ユニット3から水素6やその他のガスを排気可能な開口が提供されている。
【0082】
図4には、安全システム20を備えた風力タービン40の別の実施形態が示されている。この実施形態では、電解ユニット3が風力タービン40のプラットフォーム45上に配置されている。電解ユニット3には、4つの電解装置12と、脱塩ユニット11と、コンテナ内に配置された制御ユニットまたは電力変換器等の電気機器16とが含まれる。プラットフォーム45の4つの異なる角隅部には安全システム20が配置されている。安全システム20には、安全システム20が設置されたプラットフォーム45の各角隅部の煙突22に設けられたガス出口21が含まれる。
【0083】
図5には、風力タービンのプラットフォーム上の安全システム20に含まれるコンポーネントの可能な配置の概略図が示されている。この実施形態では、電解ユニット3が風力タービン40のプラットフォーム45上に配置されている。電解ユニット3には、2つの電解装置12と、脱塩ユニット11と、制御ユニットまたは電力変換器等の電気機器16とが含まれる。プラットフォーム45の4つの異なる角隅部には安全システム20が配置されている。安全システム20には、安全システム20が設置されたプラットフォーム45の各角隅部に設けられたガス出口21が含まれる。ガス出口21は、風力タービン40のタワー41に対して所定の角距離24に配置されている。
【0084】
図6には、風力タービン40のプラットフォーム45上に設置された煙突22を含む安全システム20が示されている。この実施形態では、煙突22のガス出口21が、電解装置12を支持しているコンテナの屋根よりも高くなっており、これにより、排気されたガスを風が運び去ることができるようになっている。
【0085】
ここに示す煙突22は、プラットフォーム45に固定されているが、原則として、コンテナに固定されてもよい。ここに示すように、煙突22の上部はガス出口21を有しており、ガス出口21は、水平方向に対してやや傾けられていて、プラットフォーム45から離れる方向を向いた最高点を備えており、この最高点は、水素6がプラットフォーム45から離れる方向に流れることを保証する。
【0086】
図7および図8は、風向30に応じた安全システム20の制御が示されている。安全システム20の風上方向の、すなわち風30に直面した、または最初に風30が到達するガス出口21は、閉鎖されたガス出口32である。風下方向のガス出口21、すなわち残りのガス出口21は、開放されたガス出口31である。ガス出口21のこの制御ストラテジは、開放されたガス出口31を介して排気された水素6がプラットフォーム45にわたりひいては電気機器にわたり広がって爆発を生じることがある、ということの回避に役立つ。このことは、作業者が歩行している可能性があるプラットフォーム45の領域に爆発性ガスが生じるリスクも低下させる。
【0087】
図9には、複数の電解装置12に接続された安全システム20が示されている。図7および図8に示した安全システム20とは対照的に、図9に示す安全システム20には漏斗38が含まれており、漏斗38は、風30に面している場合には空気入口37として働くことができ、または水素6を排気するためのガス出口21として働くこともできる。空気入口37として働く漏斗38は、風30から到来する空気を集め、電解装置12を介して空気を送り、これにより電解装置12から水素6が排気され、次いで水素6はガス出口21において電解ユニット3から放出される。
【0088】
漏斗38は、風向に向かって漏斗38の開口を向けることにより取り込まれる風30の量を最大化するように、回転可能であってよい。風向に応じて、漏斗38は空気入口37として風30を集めるか、またはガス出口21として水素6を排気する。
【0089】
図9に示すような安全システム20は、図7および図8に示したような構成において使用することもできる。すなわち、プラットフォーム45の各角隅部に漏斗38を有しており、水素6がプラットフォーム45の領域に留まることを回避するために同様の制御ストラテジに従う。
【0090】
図10には、分配システム35と電解ユニット3とに接続された安全システム20が示されている。この場合、安全システム20には、隣の漏斗38に対して90°の角距離24に配置された4つの漏斗38が含まれる。各漏斗38が矩形の角隅部に配置された、漏斗38のこの角距離24または矩形配置は、プラットフォーム45上の効率的な配置のために特に有用である。
【0091】
ここに示すように、風30の方に向いた漏斗38は、空気を集める空気入口37として働き、この空気は分配システム35に送られ、分配システム35は、水素6を含む電解ユニット3の各モジュールに空気を分配し、電解ユニット3から水素6が排気される。次いで水素6は、残りの漏斗38を介してガス出口21を通り、大気へ放出される。
【0092】
図10に示すような安全システム20は、図7および図8に示したような構成において使用することもできる。すなわち、プラットフォーム45の各角隅部に漏斗38を有しており、水素6がプラットフォーム45の領域に留まることを回避するために同様の制御ストラテジに従う。
【0093】
図11には、安全システム20の制御ストラテジが示されている。風力タービン40の位置への船舶46の接近に反応して、風力タービン40の電解ユニット3が自動的に排気される。安全システム20は、信号を介して手動で発動させることもできる。ここに示す安全システム20には、水素6を大気へ放出するための煙突22およびガス出口21の両方、ならびに配管網を介して水素6を陸上位置にもたらすための、システム出口5に設けられたガス出口弁34が含まれる。ブレード44の通過領域36において水素6が放出されることは回避されるべきである。したがって、水素6を運び去るために十分な風30を利用することができない場合には、水素6を大気に放出する代わりに、ガス出口弁34を介して水素6を排気することができる。
【0094】
追加的に、電解ユニット3を真空でもって減圧することで、水素6が完全に排気されることを保証することができる。択一的に、電解ユニット3は、空気または防火において一般的に使用されるCO2またはハロン系ガス等のその他の非爆発性ガスでもってフラッシングされてもよい。
【符号の説明】
【0095】
2 発電機
3 電解ユニット
4 システム入口
5 システム出口
6 水素
7 電気的な接続手段
8 電力供給網
9 入力流体
10 電力制御装置
11 脱塩ユニット
12 電解装置
13 海水入口
14 脱塩水
15 水素出口
16 電気機器
20 安全システム
21 ガス出口
22 煙突
23 システム出口弁
24 角距離
30 風
31 開放されたガス出口
32 閉鎖されたガス出口
34 ガス出口弁
35 分配システム
36 通過領域
37 空気入口
38 漏斗
40 風力タービン
41 タワー
42 ナセル
43 ハブ
44 ブレード
45 プラットフォーム
46 船舶
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-07-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン(40)であって、発電機(2)と、電解ユニット(3)と、システム入口(4)と、システム出口(5)とを有しており、
前記電解ユニット(3)は、前記発電機(2)により電力を供給され、入力流体(9)、特に水から水素(6)を生成し、
生成された水素(6)は、前記システム出口(5)を介して当該風力タービン(40)から取り出すことができ、
当該風力タービン(40)はさらに、制御ユニットにより制御される安全システム(20)を備えており、該安全システム(20)は、当該風力タービン(40)のプラットフォーム(45)上に分配された複数のガス出口(21)を介して、当該風力タービン(40)から水素(6)を排気するように構成されており、かつ水素(6)を大気に放出するように構成されている、
風力タービン(40)。
【請求項2】
前記制御ユニットは、水素(6)が前記プラットフォーム(45)の領域にわたり拡散することを回避するために、前記ガス出口(21)が前記プラットフォーム(45)に対して風上方向または風下方向のいずれに配置されているのかに応じて、前記ガス出口(21)を通る流れを制御する、請求項1記載の風力タービン(40)。
【請求項3】
風上方向の前記ガス出口(21)は閉鎖されており、風下方向の前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つは開放されている、請求項2記載の風力タービン(40)。
【請求項4】
前記ガス出口(21)には、開口を備えた漏斗(38)が含まれ、該漏斗(38)の前記開口は、前記電解ユニット(3)内に空気を導入して水素(6)の排気を向上させるための空気入口(37)としても構成されている、請求項2または3記載の風力タービン(40)。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記プラットフォーム(45)に対して風上方向の1つまたは複数の前記漏斗(38)が空気入口(37)として働くように前記ガス出口(21)を制御し、水素(6)は、風下方向の前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを介して排気される、請求項4記載の風力タービン(40)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記ガス出口(21)は、煙突(22)の上部に配置されている、請求項1または2記載の風力タービン(40)。
【請求項7】
水素(6)は、特にポンプを用いてまたはシステム出口弁(23)を開くことにより、前記システム出口(5)を介して排気され得る、請求項1または2記載の風力タービン(40)。
【請求項8】
前記安全システム(20)は、特に前記システム出口弁(23)を開くことにより、または前記ガス出口(21)を介して水素(6)を大気に放出することにより、前記電解ユニット(3)内の過剰圧力を放出するように構成されている、請求項7記載の風力タービン(40)。
【請求項9】
前記安全システム(20)には、排気された水素(6)の、前記プラットフォーム(45)から離れる方向への搬送を向上させるように構成されたファンが含まれる、請求項1または2記載の風力タービン(40)。
【請求項10】
前記ガス出口(21)は回転可能であり、風向と整合させられるように構成されている、請求項1または2記載の風力タービン(40)。
【請求項11】
前記安全システム(20)には、水素(6)を集めるための分配システム(35)が含まれる、請求項1または2記載の風力タービン(40)。
【請求項12】
請求項2記載の風力タービン(40)を運転する方法であって、該方法は、
-前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを開放するステップと、
-該ガス出口(21)を介して水素(6)を大気に放出するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
-前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを開放する前に、風向を検出するステップと、
-前記プラットフォーム(45)に対して風上方向の前記ガス出口(21)を閉鎖したままにするステップと、
-風下方向の前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを開放するステップと
を含む、請求項12記載の、風力タービン(40)を運転する方法。
【請求項14】
前記ガス出口(21)は、開口を備えた漏斗(38)を有しており、該漏斗(38)の前記開口は、前記電解ユニット(3)内に空気を導入して水素(6)の排気を向上させるための空気入口(37)としても構成されており、当該方法はさらに、
-前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを開放する前に、風向を検出するステップと、
-前記プラットフォーム(45)に対して風上方向の、前記漏斗(38)を有する少なくとも1つの前記ガス出口(21)を開放し、これにより、風上方向の前記漏斗(38)が空気入口(37)として働くようにするステップと、
-風下方向の前記ガス出口(21)のうちの少なくとも1つを開放し、これにより、水素(6)が排気されるようにするステップと、
を含む、請求項12記載の、風力タービン(40)を運転する方法。
【請求項15】
水素(6)の排気プロセスは、前記風力タービン(40)への船舶(46)の接近により自動的に発動させられる、請求項12から14までのいずれか1項記載の、風力タービン(40)を運転する方法。
【外国語明細書】