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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150140
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】毛髪処理剤及び毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/22 20060101AFI20231005BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20231005BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20231005BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61K8/22
A61K8/49
A61K8/39
A61K8/31
A61Q5/06
A61Q5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059087
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】名和 哲兵
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB082
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC182
4C083AC692
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD041
4C083AD042
4C083BB24
4C083CC35
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】毛髪の指通りの良さが持続し易い毛髪処理剤及び毛髪処理方法を提供すること。
【解決手段】毛髪処理剤は、(a)酸化染毛剤又はブリーチ剤、並びに(b)後処理剤の少なくとも一方を含む。毛髪処理剤は、例えば、(A)アルキルラクトンと、(B)ポリエチレングリコールと、(C)炭化水素と、を含む。毛髪処理剤は、例えば、(A)アルキルラクトンと、(B)ポリエチレングリコールと、を含む。前記(B)成分の使用時濃度は、例えば、3.2質量%以上である。前記(A)成分は、例えば、γウンデカラクトン、グルコノデルタラクトン、γノナラクトン、及びメドウフォームδラクトンから成る群から選択される1以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酸化染毛剤又はブリーチ剤、並びに(b)後処理剤の少なくとも一方を含む毛髪処理剤であって、
(A)アルキルラクトンと、
(B)ポリエチレングリコールと、
(C)炭化水素と、
を含む毛髪処理剤。
【請求項2】
(a)酸化染毛剤又はブリーチ剤、並びに(b)後処理剤の少なくとも一方を含む毛髪処理剤であって、
(A)アルキルラクトンと、
(B)ポリエチレングリコールと、
を含み、
前記(B)成分の使用時濃度が3.2質量%以上である毛髪処理剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の毛髪処理剤であって、
前記(A)成分は、γウンデカラクトン、グルコノデルタラクトン、γノナラクトン、及びメドウフォームδラクトンから成る群から選択される1以上を含む毛髪処理剤。
【請求項4】
(a)酸化染毛剤又はブリーチ剤、並びに(b)後処理剤の少なくとも一方を含む毛髪処理剤を用いて毛髪を処理し、前記毛髪を加熱する毛髪処理方法であって、
前記毛髪処理剤は、
(A)アルキルラクトンと、
(B)ポリエチレングリコールと、
(C)炭化水素と、
を含む毛髪処理方法。
【請求項5】
(a)酸化染毛剤又はブリーチ剤、並びに(b)後処理剤の少なくとも一方を含む毛髪処理剤を用いて毛髪を処理し、前記毛髪を加熱する毛髪処理方法であって、
前記毛髪処理剤は、
(A)アルキルラクトンと、
(B)ポリエチレングリコールと、
を含み、
前記(B)成分の使用時濃度が3.2質量%以上である毛髪処理方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の毛髪処理方法であって、
前記(A)成分は、γウンデカラクトン、グルコノデルタラクトン、γノナラクトン、及びメドウフォームδラクトンから成る群から選択される1以上である毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は毛髪処理剤及び毛髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヘアカラーは、毛髪の指通りを良くするために、感触改善成分を含んでいた。感触改善成分は、シリコーンやカチオン化ポリマー等であった。ヘアカラーは、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-227407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘアカラーの施術から時間が経過すると、毛髪に残っている感触改善成分は少なくなる。そのため、ヘアカラーの施術の後、毛髪の指通りの良さは持続し難い。本開示の1つの局面では、毛髪の指通りの良さが持続し易い毛髪処理剤及び毛髪処理方法を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの局面は、(a)酸化染毛剤又はブリーチ剤、並びに(b)後処理剤の少なくとも一方を含む毛髪処理剤であって、(A)アルキルラクトンと、(B)ポリエチレングリコールと、(C)炭化水素と、を含む毛髪処理剤である。本開示の1つの局面である毛髪処理剤を用いると、毛髪の指通りの良さが持続し易い。
【0006】
本開示の別の局面は、(a)酸化染毛剤又はブリーチ剤、並びに(b)後処理剤の少なくとも一方を含む毛髪処理剤であって、(A)アルキルラクトンと、(B)ポリエチレングリコールと、を含み、前記(B)成分の使用時濃度が3.2質量%以上である毛髪処理剤である。本開示の別の局面である毛髪処理剤を用いると、毛髪の指通りの良さが持続し易い。
【0007】
本開示の別の局面は、(a)酸化染毛剤又はブリーチ剤、並びに(b)後処理剤の少なくとも一方を含む毛髪処理剤を用いて毛髪を処理し、前記毛髪を加熱する毛髪処理方法であって、前記毛髪処理剤は、(A)アルキルラクトンと、(B)ポリエチレングリコールと、(C)炭化水素と、を含む毛髪処理方法である。本開示の別の局面である毛髪処理方法を用いると、毛髪の指通りの良さが持続し易い。
【0008】
本開示の別の局面は、(a)酸化染毛剤又はブリーチ剤、並びに(b)後処理剤の少なくとも一方を含む毛髪処理剤を用いて毛髪を処理し、前記毛髪を加熱する毛髪処理方法であって、前記毛髪処理剤は、(A)アルキルラクトンと、(B)ポリエチレングリコールと、を含み、前記(B)成分の使用時濃度が3.2質量%以上である毛髪処理方法である。本開示の別の局面である毛髪処理方法を用いると、毛髪の指通りの良さが持続し易い。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
1.毛髪処理剤
本開示の毛髪処理剤は、(a)酸化染毛剤又はブリーチ剤、並びに(b)後処理剤の少なくとも一方を含む。後処理剤とは、酸化染毛剤又はブリーチ剤を用いた後に、毛髪に使用される剤である。後処理剤として、例えば、トリートメント剤、シャンプー等が挙げられる。
【0010】
本開示の毛髪処理剤は、例えば、(A)アルキルラクトンと、(B)ポリエチレングリコールと、(C)炭化水素とを含む。
本開示の毛髪処理剤は、例えば、(A)アルキルラクトンと、(B)ポリエチレングリコールと、を含み、(B)成分の使用時濃度が3.2質量%以上である。
【0011】
なお、以下では、(A)アルキルラクトンを(A)成分とする。(B)ポリエチレングリコールを(B)成分とする。(C)炭化水素を(C)成分とする。
使用時濃度とは、毛髪の処理に直接使用される剤における濃度である。例えば、(B)成分を含む剤を、希釈したり、他の剤と混合したりすることなく、そのまま使用する場合、(B)成分の使用時濃度とは、(B)成分を含む剤における(B)成分の濃度を意味する。
【0012】
また、例えば、酸化染毛剤又はブリーチ剤が第1剤と第2剤とから構成され、第1剤又は第2剤に(B)成分が含まれ、毛髪の処理の直前に第1剤と第2剤とを混合する場合、(B)成分の使用時濃度とは、第1剤と第2剤との混合物における(B)成分の濃度を意味する。第1剤と第2剤との混合比率は、毛髪処理剤の使用説明書やパッケージに記載されている混合比率である。
【0013】
(A)成分として、例えば、γウンデカラクトン、グルコノデルタラクトン、γノナラクトン、及びメドウフォームδラクトンから成る群から選択される1以上等が挙げられる。(A)成分がこれらの物質である場合、毛髪処理剤の使用後に、毛髪の指通りの良さが一層持続し易い。
【0014】
(A)成分の使用時濃度は、0.05質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。(A)成分の使用時濃度がこの範囲内である場合、毛髪処理剤の使用後に、毛髪の指通りの良さが一層持続し易い。
【0015】
(B)成分の分子量は、200以上2000以下であることが好ましい。(B)成分の分子量がこの範囲内である場合、毛髪処理剤の使用後に、毛髪の指通りの良さが一層持続し易い。
【0016】
(B)成分の使用時濃度は、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが一層好ましく、3.2質量%以上10.0質量%以下であることが特に好ましい。(B)成分の使用時濃度がこの範囲内である場合、毛髪処理剤の使用後に、毛髪の指通りの良さが一層持続し易い。
【0017】
(C)成分として、例えば、パラフィン、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレン等が挙げられる。(C)成分がこれらの物質である場合、毛髪処理剤の使用後に、毛髪の指通りの良さが一層持続し易い。
【0018】
(C)成分の使用時濃度は、0.3質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。(C)成分の使用時濃度がこの範囲内である場合、毛髪処理剤の使用後に、毛髪の指通りの良さが一層持続し易い。
【0019】
本開示の毛髪処理剤の態様として、例えば、以下の(イ)~(ニ)の態様が挙げられる。
(イ)毛髪処理剤は、酸化染毛剤又はブリーチ剤を含み、後処理剤を含まない。酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む。酸化染毛剤又はブリーチ剤が第1剤と第2剤とから構成される場合、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分は、それぞれ、第1剤、第2剤、又はその両方に含まれる。
【0020】
(ロ)毛髪処理剤は、酸化染毛剤又はブリーチ剤を含み、後処理剤を含まない。酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(A)成分及び(B)成分を含む。(B)成分の使用時濃度は3.2質量%以上である。酸化染毛剤又はブリーチ剤が第1剤と第2剤とから構成される場合、(A)成分及び(B)成分は、それぞれ、第1剤、第2剤、又はその両方に含まれる。(B)成分の使用時濃度とは、例えば、第1剤と第2剤との混合物における(B)成分の濃度である。酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(C)成分をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0021】
(ハ)毛髪処理剤は、酸化染毛剤又はブリーチ剤を含むとともに、後処理剤を含む。酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(B)成分及び(C)成分を含む。後処理剤は(A)成分を含む。(A)成分を含む後処理剤は、例えば、シャンプー、トリートメント剤、又はその両方である。酸化染毛剤又はブリーチ剤が第1剤と第2剤とから構成される場合、(B)成分及び(C)成分は、それぞれ、第1剤、第2剤、又はその両方に含まれる。酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(A)成分をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。後処理剤は、(B)成分及び(C)成分の少なくとも一方をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0022】
(二)毛髪処理剤は、酸化染毛剤又はブリーチ剤を含むとともに、後処理剤を含む。酸化染毛剤又はブリーチ剤は(B)成分を含む。後処理剤は(A)成分を含む。(B)成分の使用時濃度は3.2質量%以上である。(A)成分を含む後処理剤は、例えば、シャンプー、トリートメント剤、又はその両方である。酸化染毛剤又はブリーチ剤が第1剤と第2剤とから構成される場合、(B)成分は、第1剤、第2剤、又はその両方に含まれる。(B)成分の使用時濃度とは、例えば、第1剤と第2剤との混合物における(B)成分の濃度である。酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(A)成分及び(C)成分の少なくとも一方をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。後処理剤は、(B)成分及び(C)成分の少なくとも一方をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0023】
(B)成分を含む剤の使用時におけるpHは7以上であることが好ましい。(B)成分を含む剤の使用時におけるpHが7以上である場合、毛髪処理剤の使用後に、毛髪の指通りの良さが一層持続し易い。(B)成分を含む剤として、酸化染毛剤、ブリーチ剤、後処理剤が挙げられる。(B)成分を含む後処理剤として、例えば、シャンプー、トリートメント剤、又はその両方が挙げられる。
【0024】
例えば、後処理剤が(B)成分を含み、後処理剤を希釈したり、他の剤と混合したりすることなく、そのまま使用する場合、後処理剤のpHは、(B)成分を含む剤の使用時におけるpHである。
【0025】
また、例えば、酸化染毛剤又はブリーチ剤が第1剤と第2剤とから構成され、第1剤又は第2剤に(B)成分が含まれ、施術の直前に第1剤と第2剤とを混合する場合、第1剤と第2剤との混合物のpHは、(B)成分を含む剤の使用時におけるpHである。
【0026】
2.毛髪処理方法
本開示の毛髪処理方法では、毛髪処理剤を用いて毛髪を処理し、次に、毛髪を加熱する。用いる毛髪処理剤は、前記「1.毛髪処理剤」の項で述べたものである。
【0027】
毛髪処理剤を用いる毛髪の処理は、酸化染毛剤又はブリーチ剤を用いて毛髪を処理することを含む。毛髪処理剤を用いる毛髪の処理は、例えば、酸化染毛剤又はブリーチ剤を用いて毛髪を処理した後、シャンプーを用いて毛髪をすすぐ処理をさらに含む。毛髪処理剤を用いる毛髪の処理は、例えば、シャンプーを用いて毛髪をすすいだ後、トリートメント剤を用いてトリートメントを行う処理をさらに含む。
【0028】
酸化染毛剤又はブリーチ剤を用いて毛髪を処理する方法、シャンプーを用いて毛髪をすすぐ方法、及び、トリートメント剤を用いてトリートメントを行う方法は、例えば、通常の方法である。シャンプーの回数は、例えば、1回以上3回以下である。
【0029】
本開示の毛髪処理方法で用いる毛髪処理剤の態様として、例えば、以下の(i)~(iv)が挙げられる。
(i)酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む。酸化染毛剤又はブリーチ剤が第1剤と第2剤とから構成される場合、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分は、それぞれ、第1剤、第2剤、又はその両方に含まれる。後処理剤は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の少なくとも一部を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0030】
(ii)酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(A)成分及び(B)成分を含む。(B)成分の使用時濃度は3.2質量%以上である。酸化染毛剤又はブリーチ剤が第1剤と第2剤とから構成される場合、(A)成分、及び(B)成分は、それぞれ、第1剤、第2剤、又はその両方に含まれる。(B)成分の使用時濃度とは、例えば、第1剤と第2剤との混合物における(B)成分の濃度である。酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(C)成分をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。後処理剤は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の少なくとも一部を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0031】
(iii)酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(B)成分及び(C)成分を含む。酸化染毛剤又はブリーチ剤が第1剤と第2剤とから構成される場合、(B)成分及び(C)成分は、それぞれ、第1剤、第2剤、又はその両方に含まれる。後処理剤は(A)成分を含む。(A)成分を含む後処理剤は、例えば、シャンプー、トリートメント剤、又はその両方である。酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(A)成分をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。後処理剤は、(B)成分及び(C)成分の少なくとも一方をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0032】
(iv) 酸化染毛剤又はブリーチ剤は(B)成分を含む。後処理剤は(A)成分を含む。(B)成分の使用時濃度は3.2質量%以上である。(A)成分を含む後処理剤は、例えば、シャンプー、トリートメント剤、又はその両方である。酸化染毛剤又はブリーチ剤が第1剤と第2剤とから構成される場合、(B)成分は、第1剤、第2剤、又はその両方に含まれる。(B)成分の使用時濃度とは、例えば、第1剤と第2剤との混合物における(B)成分の濃度である。酸化染毛剤又はブリーチ剤は、(A)成分及び(C)成分の少なくとも一方をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。後処理剤は、(B)成分及び(C)成分の少なくとも一方をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0033】
毛髪を加熱する方法として、例えば、アイロン又はドライヤーを使用する方法が挙げられる。毛髪を加熱するときの毛髪の温度は40℃以上220℃以下であることが好ましい。毛髪の温度がこの範囲内である場合、毛髪処理方法を実施した後に、毛髪の指通りの良さが一層持続し易い。毛髪の温度を測定する方法は、赤外線サーモグラフィーを用いる方法である。
【0034】
毛髪を加熱する時間は、5秒間以上600秒間以下であることが好ましい。毛髪を加熱する時間がこの範囲内である場合、毛髪処理方法を実施した後に、毛髪の指通りの良さが一層持続し易い。
【0035】
3.毛髪処理剤及び毛髪処理方法が奏する効果
(B)成分を含む剤の使用時におけるpHが7以上である場合、(A)成分は、(B)成分の存在下で、毛髪の最表層及び外周部に一層浸透し易い。この場合、毛髪の指通りの良さが一層持続し易くなる。
【0036】
4.実施例
(4-1)毛髪処理剤の製造
表1及び表2に記載の成分を、それらの表に記載の配合量で混合することで、実施例1~17、及び比較例1~4の毛髪処理剤を製造した。表1及び表2における配合量の単位は質量部である。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
実施例1、4~5、10~17、及び比較例1~4は酸化染毛剤である。実施例2、8~9はブリーチ剤である。実施例3、7はトリートメント剤である。実施例6は第1剤と第2剤とにより構成される。実施例6の第1剤は酸化染毛剤である。実施例6の第2剤はトリートメント剤である。
【0040】
(4-2)毛髪処理方法の実施
(i)第1の毛髪処理方法
酸化染毛剤又はブリーチ剤である実施例1~2、4~5、8~17及び比較例1~4のそれぞれついて、以下の第1の毛髪処理方法を実施した。
【0041】
ビューラックス社から市販されている長さ10cmの未処理の黒髪の毛束を用意した。毛束に毛髪処理剤を塗布した。毛髪処理剤の塗布量は、1gの毛束に対し3gであった。毛髪処理剤の塗布の後、30℃で30分間放置した。次に、5%SLS(Sodium Lauryl Sulfate)水溶液で毛束を2回洗浄した。次に、ドライヤーを使って毛束を乾燥させた。次に、200℃のヘアアイロンで毛束を5秒間挟み、毛束に熱を加えた。なお、毛束に毛髪処理剤を塗布することは、毛髪処理剤で毛髪を処理することに対応する。ドライヤー及びヘアアイロンの使用は、毛髪を加熱することに対応する。
【0042】
(ii)第2の毛髪処理方法
実施例1について、第2の毛髪処理方法も実施した。第2の毛髪処理方法は、基本的には第1の毛髪処理方法と同様である。ただし、第2の毛髪処理方法では、ドライヤーを使って毛束を乾燥させた時点で終了する。すなわち、第2の毛髪処理方法では、ヘアアイロンは使用しない。なお、毛束に毛髪処理剤を塗布することは、毛髪処理剤で毛髪を処理することに対応する。ドライヤーの使用は、毛髪を加熱することに対応する。
【0043】
(iii)第3の毛髪処理方法
トリートメント剤である実施例3、7のそれぞれについて、以下の第3の毛髪処理方法を実施した。
【0044】
ビューラックス社から市販されている長さ10cmの未処理の黒髪の毛束を用意した。毛束に毛髪処理剤を塗布した。毛髪処理剤の塗布量は、1gの毛束に対し3gであった。毛髪処理剤の塗布の後、室温で5分間放置した。次に、精製水で毛束を洗浄した。次に、ドライヤーを使って毛束を乾燥させた。次に、200℃のヘアアイロンで毛束を5秒間挟み、毛束に熱を加えた。なお、毛束に毛髪処理剤を塗布することは、毛髪処理剤で毛髪を処理することに対応する。ドライヤー及びヘアアイロンの使用は、毛髪を加熱することに対応する。
【0045】
(iv)第4の毛髪処理方法
実施例6について、以下の第4の毛髪処理方法を実施した。ビューラックス社から市販されている長さ10cmの未処理の黒髪の毛束を用意した。
【0046】
毛束に第1剤を塗布した。第1剤の塗布量は、1gの毛束に対し3gであった。第1剤の塗布の後、室温で30分間放置した。次に、5%SLS水溶液で毛束を2回洗浄した。次に、タオルで毛束の水分を拭き取った。
【0047】
次に、毛束に第2剤を塗布した。第2剤の塗布量は、1gの毛束に対し3gであった。第2剤の塗布の後、室温で5分間放置した。次に、精製水で毛束を洗浄した。次に、ドライヤーを使って毛束を乾燥させた。次に、200℃のヘアアイロンで毛束を5秒間挟み、毛束に熱を加えた。
【0048】
なお、毛束に第1剤及び第2剤を塗布することは、毛髪処理剤で毛髪を処理することに対応する。ドライヤー及びヘアアイロンの使用は、毛髪を加熱することに対応する。
(4-3)毛髪処理方法の実施後の毛髪の評価
各実施例及び各比較例の毛髪処理剤について、以下の評価を行った。
【0049】
(i)処理直後の指通り
毛髪処理方法の実施直後に、摩擦試験機を使って、毛束に含まれる毛髪の表面における摩擦係数を測定した。摩擦係数が小さいほど、指を通したときのひっかかりが少なく、指通りが良い。そのため、摩擦係数が小さいほど、指通りがよいと評価した。処理直後の指通りを、以下の基準に基づき5段階で評価した。評価結果を表1、表2における「処理直後の指通り」の行に示す。
【0050】
5:比較例4よりも摩擦係数が大幅に小さかった。
4:比較例4よりも摩擦係数が有意に小さかった。
3:比較例4より摩擦係数が小さくなる傾向が見られた。
【0051】
2:比較例4と同等。
1:比較例4より摩擦係数が大きかった。
実施例1については、第1の毛髪処理方法を実施した場合の評価と、第2の毛髪処理方法を実施した場合の評価とをそれぞれ行った。表1における実施例1の列のうち、「アイロン処理」が「有り」の列の評価結果は、第1の毛髪処理方法を実施した場合の評価結果である。表1における実施例1の列のうち、「アイロン処理」が「無し」の列の評価結果は、第2の毛髪処理方法を実施した場合の評価結果である。
【0052】
各実施例の毛髪処理剤を使用した場合は、各比較例の毛髪処理剤を使用した場合に比べて評価結果が良好であった。(A)成分が、γウンデカラクトン、グルコノデルタラクトン、γノナラクトン、及びメドウフォームδラクトンのいずれかである実施例では、評価結果が一層良好であった。実施例1の毛髪処理剤を使用したときは、第1の毛髪処理方法を実施した場合の方が、第2の毛髪処理方法を実施した場合よりも、評価結果が一層良好であった。
【0053】
(ii)処理後2週間後の指通り
処理直後の指通りの評価後に、5%SLS水溶液にて毛束を洗浄し、乾燥させる工程を14回繰り返した。なお、洗浄し、乾燥させる工程を14回繰り返すことは、毛髪処理方法の実施から2週間が経過することに対応する。次に、摩擦試験機を使って、毛束に含まれる毛髪の表面における摩擦係数を測定した。処理後2週間後の指通りを、以下の基準に基づき5段階で評価した。評価結果を表1、表2における「処理後2週間後の指通り」の行に示す。
【0054】
5:比較例4よりも摩擦係数が大幅に小さかった。
4:比較例4よりも摩擦係数が有意に小さかった。
3:比較例4より摩擦係数が小さくなる傾向が見られた。
【0055】
2:比較例4と同等。
1:比較例4より摩擦係数が大きかった。
各実施例の毛髪処理剤を使用した場合は、各比較例の毛髪処理剤を使用した場合に比べて評価結果が良好であった。(A)成分が、γウンデカラクトン、グルコノデルタラクトン、γノナラクトン、及びメドウフォームδラクトンのいずれかである実施例では、評価結果が一層良好であった。実施例1の毛髪処理剤を使用したときは、第1の毛髪処理方法を実施した場合の方が、第2の毛髪処理方法を実施した場合よりも、評価結果が一層良好であった。
【0056】
5.他の実施形態
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0057】
(5-1)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0058】
(5-2)上述した毛髪処理剤の他、当該毛髪処理剤を構成要素とする製品、毛髪処理剤の製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。