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特開2023-150153ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ
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  • 特開-ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150153
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/30 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B23K35/30 320A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059103
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】302040135
【氏名又は名称】日鉄溶接工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】岩上 友勝
(72)【発明者】
【氏名】浅野 宏弥
(72)【発明者】
【氏名】大村 大輔
(57)【要約】      (修正有)
【課題】炭素鋼鋼管の全姿勢周溶接において溶接作業性、溶接金属の強度及び低温靭性が優れるガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤを提供する。
【解決手段】ワイヤ全質量に対する質量%で、C:0.01~0.12%、Si:0.2~0.7%、Mn:1.0~1.9%、Ti:0.01~0.15%、Ni:0.7~1.2%、B:0.0010~0.0050%、S:0.005~0.02%、P:0.015%以下、Mo:0.1%以下、Cr:0.1%以下、Al:0.1%以下、Nb:0.01%以下、Cu:0.4%以下、V:0.01%以下を含み、残部がFe及び不純物からなる鋼線を含むガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管の全姿勢周溶接に用いるガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤであって、
ワイヤ全質量に対する質量%で、
C :0.01~0.12%、
Si:0.2~0.7%、
Mn:1.0~1.9%、
Ti:0.01~0.15%、
Ni:0.7~1.2%、
B :0.0010~0.0050%、
S :0.005~0.02%を含有し、
P :0.015%以下、
Mo:0.1%以下、
Cr:0.1%以下、
Al:0.1%以下
Nb:0.01%以下、
Cu:0.4%以下、
V :0.01%以下であり、
残部がFe及び不純物からなる鋼線を含むガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤに関し、炭素鋼鋼管の全姿勢周溶接においてアーク安定性が良好で、スパッタの発生が少なく、良好なビード形状が得られ、溶接欠陥が無く、溶接金属の強度及び低温靭性が優れるガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスシールドアーク溶接は、様々な分野で広く用いられている。例えば、近年、海底における天然ガス及び油田開発が進み、産出された生産流体を通運するためのパイプラインの敷設が増加している。そのため炭素鋼鋼管の溶接において、コスト削減を目的とした、高能率施工が可能なガスシールドアーク溶接が用いられている。
【0003】
パイプラインは、地上や海底及び寒冷地等で敷設されるため、過酷な使用環境から極めて高い信頼性が要求されており、溶接部においても高い品質が要求されている。このようなパイプラインを構成する炭素鋼鋼管の溶接は、例えば特許文献1は、API X65以下の強度の炭素鋼鋼管に適用できるソリッドワイヤで、ワイヤ中のSiとMnの添加量およびTiとBの添加量を調整し、溶接金属中の酸素量を調整することで十分な強度と良好な靭性が得られるソリッドワイヤの開示がされている。特許文献2は、API X60以下の強度の炭素鋼鋼管に適用できるソリッドワイヤにおいて、ワイヤ中のSiとMnの添加量およびNiの添加量を調整し、溶接金属中の酸素量を調整することで十分な強度と良好な靭性が得られるソリッドワイヤの開示がされている。特許文献3は、高張力鋼管に適用できる溶接ワイヤで、強度確保の観点から、CrとMoを必須添加元素とし、SiとMnの添加量と、Ti、B、Niの添加量を調整することで良好な低温靭性を有するガソリッドワイヤの開示がされている。
【0004】
近年、パイプラインでは、高圧操業での輸送効率向上のため、高張力鋼の適用拡大や大口径化も検討され、パイプラインの溶接部には、従来以上の機械的性質、特に良好な低温靭性が要求されている。特許文献1に記載のソリッドワイヤでは、母材強度がAPI X65以下の強度クラスで、靭性も0℃のため、-40℃では低温靭性が得られないという問題がある。特許文献2に記載のソリッドワイヤでは母材強度がAPI X60以下の強度クラスで、靭性も-5℃のため、-40℃では低温靭性が得られないという問題がある。また特許文献3に記載のソリッドワイヤでは、母材はAPI X70やX80の高強度材に適用可能にするため、Mo、Crを添加して溶接金属の強度を確保しているがTi、Ni、Bの範囲が適切でないため、-40℃以上で良好な低温靭性が安定的に得られない。また、溶接金属について-60℃での低温靭性の記載があるものの、靭性のバラツキが大きく安定的に低温靭性を得られないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-18591号公報
【特許文献2】特開2002-18592号公報
【特許文献3】特開2004-148389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、炭素鋼鋼管の全姿勢周溶接においてアーク安定性が良好で、スパッタの発生が少なく、良好なビード形状が得られ、溶接欠陥が無く、溶接金属の強度及び低温靭性が優れるガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために、炭素鋼鋼管のガスシールドアーク溶接を用いた全姿勢周溶接において、アーク安定性が良好で、スパッタ発生量が少なく、良好なビード形状が得られ、溶接欠陥が防止できるとともに、強度及び優れた低温靭性を有する溶接金属が得られるガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤの成分組成について詳細に検討した。
【0008】
本発明の要旨は、ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、C:0.01~0.12%、Si:0.2~0.7%、Mn:1.0~1.9%、Ti:0.01~0.15%、Ni:0.7~1.2%、B:0.0010~0.0050%、S:0.005~0.02%を含有し、P:0.015%以下、Mo:0.1%以下、Cr:0.1%以下、Al:0.1%以下Nb:0.01%以下、Cu:0.4%以下、V:0.01%以下であり、残部がFe及び不純物からなる鋼線を含むことを特徴とするガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明を適用したガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤによれば、炭素鋼鋼管の全姿勢周溶接においてアーク安定性が良好で、スパッタの発生が少なく、良好なビード形状が得られ、溶接欠陥が無く、溶接金属の強度及び低温靭性が優れるガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、溶接作業性及び溶接金属試験を行う場合における試験片の開先形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤは、各成分組成それぞれの単独及び共存による相乗効果によりなし得たもので、以下にそれぞれの各成分組成の限定理由を述べる。なお、各成分組成の含有率は、ソリッドワイヤ全質量に対する質量%で表すものとし、その質量%に関する記載を単に%と記載して表すこととする。
【0012】
[C:0.01~0.12%]
Cは、溶接金属の強度を向上させるために必要な元素である。Cが0.01%未満であると、十分な溶接金属の強度が得られず、また、アークが不安定になり、スパッタ発生量が多くなる。一方、Cが0.12%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなり、低温靭性が低下する。またCが0.12%を超えると、割れ感受性が高くなり溶接割れを発生しやすくなる。従って、Cは0.01~0.12%とする。
【0013】
[Si:0.2~0.7%]
Siは、溶接金属の脱酸および溶接金属の強度確保のために添加する。Siが0.2%未満であると、溶接金属が脱酸不足となり、溶接金属の低温靭性が低下する。一方、Siが0.7%を超えると、Siが溶接金属中に過剰に歩留まり、溶接金属の強度が高くなり、低温靭性が低下する。またSiが0.7%を超えると、溶接時に生成するスラグ量が増加してスラグ巻込みが発生する。従って、Siは0.2~0.7%とする。
【0014】
[Mn:1.0~1.9%]
Mnは、溶接金属の強度と低温靭性を向上させる効果がある。Mnが1.0%未満であると、溶接金属の強度及び低温靭性が低下する。一方、Mnが1.9%を超えると、Mnが溶接金属中に過剰に歩留まり、溶接金属の強度が高くなり、低温靭性が低下する。従って、Mnは1.0~1.9%とする。
【0015】
[Ti:0.01~0.15%]
Tiは、脱酸及び溶接金属中にTiの微細酸化物を生成し、アシキュラーフェライトの生成核となることで靭性を向上させる効果がある。Tiが0.01%未満であると、溶接金属中のアシキュラーフェライトの生成が促進されないため低温靭性が低下する。一方、Tiが0.15%を超えると、溶接金属中にTiC等の析出物を生成し、溶接金属の強度が過剰に高くなり、低温靭性が低下する。従って、Tiは0.01~0.15%とする。
【0016】
[Ni:0.7~1.2%]
Niは、溶接金属の低温靭性を向上させる効果がある。Niが0.7%未満であると、溶接金属の低温靭性が低下する。一方、Niが1.2%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなり、低温靭性が低下し、高温割れが生じる。従って、Niは0.7%~1.2%とする。
【0017】
[B:0.001~0.0050%]
Bは、微量の添加により溶接金属の組織を微細化して靭性を向上させる効果がある。Bが0.001%未満であると、低温靭性が低下する。一方、Bが0.0050%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなり、また、高温割れが生じる。従って、Bは0.001~0.0050%とする。
【0018】
[S:0.005~0.02%]
Sは、溶融金属の湯流れを変化させ、ビード形状が平坦となり、良好なビード形状が得られる。Sが0.005%未満では、ビードが凸形状になり、ビード形状が不良となる。一方、Sが0.02%を超えると、高温割れが生じる。従って、Sは0.005~0.02%とする。
【0019】
[P:0.015%以下]
Pは、溶接金属の高温割れを発生させる主要元素の一つであり、原料に微量に含まれる不純物である。Pを過剰に含有させた場合には高温割れが発生する。従って、Pは0.015%以下とする。
【0020】
[Mo:0.1%以下]
Moは、溶接金属の焼入れ性を高めて強度を向上させる効果があるため含有させてもよいが、過剰に含有させた場合、溶接金属の低温靭性が低下する。また、ビード形状が凸形状になる。従って、Moは0.1%以下とする。
【0021】
[Cr:0.1%以下]
Crは、溶接金属の強度を向上させる効果があるため含有させてもよいが、過剰に含有させた場合、溶接金属の低温靭性が低下し、またアークも不安定となる。従って、Crは0.1%以下とする。
【0022】
[Al:0.1%以下]
Alは、脱酸作用により溶接金属の低温靭性を向上させる効果があるため含有させてもよいが、過剰に含有させた場合、溶接金属の強度が高くなり低温靭性が低下する。また、Alを過剰に含有させた場合には、スパッタ発生量が多くなる。従って、Alは0.1%以下とする。
【0023】
[Nb:0.01%以下]
Nbは、溶接金属の強度を向上させる効果があるため含有させてもよいが、過剰に含有させた場合、溶接金属の低温靭性が低下し、またスパッタ発生量が多くなる。従って、Nbは0.01%以下とする。
【0024】
[Cu:0.4%以下]
ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤにおいては、銅めっきはワイヤ送給性と通電性を安定化するために施されることが多い。従って、銅めっきを施した場合、ソリッドワイヤにはある程度の量のCuが含有される。一方、Cuの含有量が過剰となると、高温割れが生じる。従って、Cuは0.4%以下とする。
【0025】
[V:0.01%以下]
Vは、溶接金属の強度を向上させる効果があるため含有させてもよいが、過剰に含有させた場合、溶接金属の強度が高くなり低温靭性が低下する。従って、Vは0.01%以下とする。
【0026】
その他成分としてZrやCaを添加してもよい。Zrは溶接金属の強度の観点から0.01%以下が好ましい。また、Caはアーク安定性の観点から0.01%以下が好ましい。
【0027】
本発明の残部はFe及び不純物である。不純物とは、原材料に含まれる成分や、製造の過程で混入される成分であって、ソリッドワイヤに意図的に含有させた成分ではない成分をいう。
【0028】
本発明のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤの直径は特に限定されないが、例えば、0.9~2.0mmである。
【0029】
なお、溶接時のシールドガスは、公知のシールドガスを用いることができる。例えば、溶接金属の酸素量を低減するために、Ar-5~20体積%COの混合ガスを用いるのが好ましい。
【実施例0030】
以下、本発明の効果を実施例により具体的に説明する。
【0031】
原料鋼を真空溶解し、鍛造、圧延、伸線、焼鈍し、必要に応じてワイヤ表面に銅めっきした後、1.0mmの製品径まで仕上伸線し、20kg巻きスプールとしたものを試作品とした。試作したソリッドワイヤの化学成分を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1に示す試作したソリッドワイヤを用いて、炭素鋼鋼管の全姿勢周溶接の溶接作業性及び溶接金属の機械性能を評価した。
【0034】
溶接作業性及び溶接金属試験は、図1に示す開先形状を有するAPI X80に規定される鋼管を用いて、表2に示す溶接条件で鋼管自動溶接後に実施した。
【0035】
【表2】
【0036】
溶接作業性の調査項目は、鋼管自動溶接時のアーク安定性、スパッタ発生状況、ビード形状の良否を以下に示す方法により目視にて判断した。また、溶接割れの有無も以下に示す方法により調査した。
【0037】
(アーク安定性)
溶接時にワイヤ先端と鋼管間に発生するアークの長さの変動が少ないことが好ましい。アークの長さの変動が少ない場合を安定、変動が多い場合を不安定とした。アーク安定性は、鋼管自動溶接時に目視で判断した。
【0038】
(スパッタ発生状況)
溶接時のスパッタ発生量が少ないことが好ましい。溶接時のスパッタ発生量が少なかった場合を良好、スパッタ発生量が多い場合を不良とした。スパッタ発生状況は、鋼管自動溶接時に目視で判断した。
【0039】
(ビード形状)
溶接金属の余盛高さが平坦でビード幅が均一になっているのが好ましい。溶接金属のビードの余盛高さ平坦でビード幅が均一に揃っているビード形状を良好、余盛が高く凸形状でビード幅が不揃いなビード形状を不良とした。ビード形状は、鋼管自動溶接時に目視で判断した。
【0040】
(溶接割れ)
鋼管自動溶接時においてビード表面に高温割れが1つでも認められた場合は「有り」とした。各パス溶接後に高温割れの有無を目視で判断した。
【0041】
溶接金属試験は、鋼管自動溶接後に溶接金属中央から引張試験片及び衝撃試験片を採取し、実施した。また、各試験片採取前に溶接金属にX線透過試験を行い溶接欠陥の有無を調査した。
【0042】
(溶接欠陥)
JIS Z3104に準じてX線透過試験を行い、溶接欠陥であるスラグ巻き込みなどの有無を調査した。
【0043】
(機械的性質)
溶接金属の板厚方向中心から引張試験(A0号)及び衝撃試験片(Vノッチ試験片)を採取し、機械試験を実施した。
【0044】
引張試験の評価は引張強さが700~800MPaを良好とした。
【0045】
衝撃試験の評価は-40℃におけるシャルピー衝撃試験(vE-40)を行い、繰り返し3本の吸収エネルギーの平均が160J以上を良好とした。また、-60℃におけるシャルピー衝撃試験(vE-60)も実施し、繰り返し3本の吸収エネルギーの平均が130J以上を良好とした。
【0046】
これらの結果を表3にまとめて示す。全ての評価項目で良好以上であれば、総合評価を○、1つでも良好に満たない場合は×とした。
【0047】
【表3】
【0048】
表3中のワイヤ記号W1~W11が本発明例、ワイヤ記号W12~W26は比較例である。本発明例であるワイヤ記号W1~W11はガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ全質量でC、Si、Mn、Ti、Ni、B、S、P、Mo、Cr、Al、Nb、Cu、Vが適量であった。そのため、これらの本発明例では、アークが安定し、スパッタ発生状況が良好で、ビード形状が良好であり、溶接欠陥が無く、溶接割れも発生しなかった。さらに、これらの本発明例では、溶接金属の引張強さ及び吸収エネルギー等の機械的性質が良好で、特に吸収エネルギーは極めて良好であった。
【0049】
比較例中のワイヤ記号W12は、Cが少ないので、溶接金属の引張強さが低く、アークが不安定なり、スパッタ発生量が多く不良となった。また、Niが少ないので、溶接金属の-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低かった。さらに、Sが少ないので、ビードが凸形状となり、ビード形状が不良となった。
【0050】
ワイヤ記号W13は、Cが多いので、溶接金属の引張強さが高く、-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低く、高温割れが生じた。
【0051】
ワイヤ記号W14は、Siが少ないので、溶接金属の-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低かった。また、Bが多いので、溶接金属の引張強さが高く、高温割れが生じた。
【0052】
ワイヤ記号W15は、Siが多いので、溶接金属の引張強さが高く、-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低く、溶接部にスラグ巻き込みが発生した。さらに、Sが多いので、高温割れが生じた。
【0053】
ワイヤ記号W16は、Mnが少ないので、溶接金属の引張強さが低く、-40℃及び-60℃の吸収エネルギーも低かった。また、Pが多いので、高温割れが生じた。
【0054】
ワイヤ記号W17は、Mnが多いので、溶接金属の引張強さが高く、-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低かった。また、Cuが多いので、高温割れが生じた。
【0055】
ワイヤ記号W18は、Tiが少ないので、溶接金属の-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低かった。
【0056】
ワイヤ記号W19は、Tiが多いので、溶接金属の引張強さが高く、-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低かった。
【0057】
ワイヤ記号W20は、Niが多いので、溶接金属の引張強さが高く、-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低く、高温割れが生じた。
【0058】
ワイヤ記号W21は、Bが少ないので、溶接金属の-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低かった。
【0059】
ワイヤ記号W22は、Moが多いので、溶接金属の-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低かった。
【0060】
ワイヤ記号W23は、Crが多いので、溶接金属の-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低く、アークが不安定になった。
【0061】
ワイヤ記号W24は、Alが多いので、溶接金属の引張強さが高く、-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低く、スパッタ発生量が多く不良となった。
【0062】
ワイヤ記号W25は、Nbが多いので、溶接金属の-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低く、スパッタ発生量が多く不良となった。
【0063】
ワイヤ記号W26は、Vが多いので、溶接金属の引張強さが高く、-40℃及び-60℃の吸収エネルギーが低かった。
図1