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  • 特開-包装体および梱包箱 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150169
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】包装体および梱包箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/00 20060101AFI20231005BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65D77/00 C
B65D77/00 B
B65D85/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059127
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】392000888
【氏名又は名称】株式会社合同資源
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100169498
【弁理士】
【氏名又は名称】水長 雄大
(74)【代理人】
【識別番号】100210985
【弁理士】
【氏名又は名称】執行 敬宏
(72)【発明者】
【氏名】穂坂 真吾
(72)【発明者】
【氏名】後閑 京介
(72)【発明者】
【氏名】兼澤 光明
(72)【発明者】
【氏名】小倉 学
【テーマコード(参考)】
3E067
3E068
【Fターム(参考)】
3E067AA05
3E067AB96
3E067BA01C
3E067BA12B
3E067BB12B
3E067BB14B
3E067BB25B
3E067CA05
3E067CA06
3E067CA24
3E067EA06
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD07
3E068AA35
3E068AB05
3E068AC10
3E068CC02
3E068CC16
3E068CC22
3E068CE01
3E068CE03
3E068CE08
3E068DE01
3E068EE14
3E068EE19
3E068EE23
3E068EE24
(57)【要約】
【課題】金属ヨウ化物粉粒体の保管後取扱性に優れた包装体を提供する。
【解決手段】本発明の包装体は、アルミラミネートフィルムで構成された袋と、袋の内部に封入されている、金属ヨウ化物粉粒体と、を備えるものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミラミネートフィルムで構成された袋と、
前記袋の内部に封入されている、金属ヨウ化物粉粒体と、を備える、
包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体であって、
前記金属ヨウ化物粉粒体が、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化ストロンチウム、およびヨウ化アルミニウムからなる群から選ばれるいずれかを含む、包装体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装体であって、
下記の手順Aに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の安息角が、31°以下である、包装体。
(手順A)
当該包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した前記金属ヨウ化物粉粒体を、目開き710μmの篩に掛け、通過分をサンプル粉末として用いる。
パウダーテスターに設置した水平板から、高さ7.5cmの位置に出口内径:8mmの漏斗を取付ける。
漏斗を介して、得られたサンプル粉末を、垂直方向から水平板の表面上に供給しつづけ、一定の形状を保つ円錐状の堆積物を形成する。
円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを安息角(°)とする。
続いて、水平板に、パウダーテスターにより3回の衝撃を与える。その後、円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを崩潰角(°)とする。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の包装体であって、
上記の手順Aに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の崩潰角が、20.0°以下である、包装体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の包装体であって、
下記の手順Bに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体のかため嵩密度をD1、ゆるめ嵩密度をD2としたとき、
((D1-D2)/D2)×100に基づいて求められる圧縮度が、11.0%以下である、包装体。
(手順B)
当該包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した前記金属ヨウ化物粉粒体を、目開き710μmの篩に掛け、通過分をサンプル粉末として用いる。
得られたサンプル粉末を、高さ7cmから自然落下させ、100cmの測定用カップの内部に投入し、カップから溢れ出るまで続けて、山盛りカップを準備する。
続いて、山盛りカップについて、タッピングせずに、カップの上面に溢れた分をすり切った後、カップに充填されたサンプル粉末の質量(g)を測定し、ゆるめ嵩密度(g/cm)を算出する。
一方、山盛りカップについて、上下方向に180回の条件(ストローク長1.8cm、1秒/回)でタッピングした後で、カップの上面に溢れた分をすり切った後、カップに充填されたサンプル粉末の質量(g)を測定し、かため嵩密度(g/cm)を算出する。
【請求項6】
請求項5に記載の包装体であって、
上記の手順Bに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の前記かため嵩密度が、1.40g/cm以上1.90g/cm以下である、包装体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の包装体であって、
下記の手順Cに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体における、
目開き710μmの篩上の篩残分量が、0.5質量%以上14質量%以下、
目開き355μmの篩上の篩残分量が、8質量%以上13質量%以下、
目開き250μmの篩上の篩残分量が、25質量%以上50質量%以下、および
目開き250μmの篩の通過分量が、30質量%以上55質量%以下、である、包装体。
(手順C)
当該包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した前記金属ヨウ化物粉粒体の所定量を、目開き710μm篩、目開き355μm篩、および目開き250μm篩を用いて、この順で篩分を行い、各篩上に残存した前記金属ヨウ化物粉粒体の残存量、全ての篩を通過した通過量を測定し、前記所定量に対する前記残存量または前記通過量の割合(質量%)を篩残分量または通過分量として算出する。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の包装体であって、
下記の手順Dに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の含水率が、30ppm以下である、包装体。
(手順D)
当該包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した前記金属ヨウ化物粉粒体について、カールフィッシャー水分計を用いて、含水率を測定する。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の包装体であって、
前記袋の内部に封入される前記金属ヨウ化物粉粒体の重量が、15Kg以上50Kg以下である、包装体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の包装体であって、
前記アルミラミネートフィルムが、少なくとも樹脂層およびアルミニウム層が、前記袋の内側からこの順番で積層した積層構造を備える、包装体。
【請求項11】
請求項10に記載の包装体であって、
前記樹脂層が、固結防止剤を含む、包装体。
【請求項12】
請求項10または11に記載の包装体であって、
前記樹脂層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、塩化ポリエチレン樹脂(SPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、およびナイロン(NY)からなる群から選ばれる一又は二以上を含む、包装体。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の包装体であって、
前記袋の厚みが、20μm以上500μm以下である、包装体。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の包装体であって、
封入される前記金属ヨウ化物粉粒体の体積をV1とし、前記袋の内部空間の体積をV2としたとき、V1/V2が、0.4以上1.0未満である、包装体。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の包装体と、前記包装体を収容する包装容器を備える、梱包箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体および梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで金属ヨウ化物粉粒体を含む包装体について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、金属ヨウ化物粉末を低密度ポリエチレン包装材中に保管することが記載されている(特許文献1の段落0003など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-137824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載のポリエチレン包装材に保管された後の金属ヨウ化物粉末において、取扱性の点で改善の余地があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者はさらに検討したところ、金属ヨウ化物粉粒体をアルミラミネートフィルムで構成された袋中で保管することにより、ポリエチレン袋と比べて、保管後の金属ヨウ化物粉粒体における取扱性が低下することを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明によれば、
アルミラミネートフィルムで構成された袋と、
前記袋の内部に封入されている、金属ヨウ化物粉粒体と、を備える、
包装体が提供される。
【0007】
また本発明によれば、
上記の包装体と、前記包装体を収容する包装容器を備える、梱包箱が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属ヨウ化物粉粒体の保管後取扱性に優れた包装体、およびそれを備える梱包箱が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の包装体の構成の一例を模式的に示す側面図(a)、および断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
【0011】
本実施形態の包装体について説明する。
【0012】
本実施形態の包装体は、金属ヨウ化物粉粒体と、アルミラミネートフィルムで構成された袋と、を備え、金属ヨウ化物粉粒体が、袋の内部に封入されるように構成される。
【0013】
本実施形態の包装体で保管することにより、金属ヨウ化物粉粒体の取扱性の低下を抑制できる。このような包装体中の金属ヨウ化物粉粒体は、所定保管を経て開封した時においても流動性に優れるため、これを使用した製造プロセスにおける生産性を向上できる。
また、このような包装体は、比較的高温や高湿環境下における長期保管に優れており、また、赤道近傍が経路とする海外輸送にも好適である。
【0014】
<金属ヨウ化物粉粒体>
金属ヨウ化物粉粒体中の金属ヨウ化物は、例えば、アルカリ金属ヨウ化物および/またはアルカリ土類金属ヨウ化物を含み、具体的には、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化ストロンチウム、およびヨウ化アルミニウムからなる群から選ばれるいずれかを含む。この中でも、ヨウ化カリウムを含むことが好ましい。
【0015】
金属ヨウ化物は、化学反応や分析等に供せられる試薬、去痰剤、利尿剤、変質剤などの医療原料、写真用乳剤、シンチレーションカウンター用単結晶レンズ、ナイロン繊維添加剤、液晶ディスプレー(LCD)、偏光フィルムなどの原料、素材として有用である。
【0016】
金属ヨウ化物粉粒体の粉粒体とは、JISK0069、化学製品のふるい分け試験方法に準拠して測定される粒子径が1000μm以下の粉体(粉末)でもよく、粒子径が1000μm超えの粒体でもよい。
すなわち、金属ヨウ化物粉粒体は、粉体および/または粒体で構成されており、その一部または全部が粉体で構成されてもよい。具体的には、金属ヨウ化物粉粒体は、目開き1000μmの篩で篩分けしたときの篩通過分が、例えば、全体の80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上の粉体で構成される。
【0017】
金属ヨウ化物の粉体の製造方法の一例として、ヨウ化カリウム水溶液等の金属ヨウ化物水溶液を晶析缶の中で濃縮させ、金属ヨウ化物の結晶を析出させ、その後、その金属ヨウ化物の結晶を溶液から分離し、分離した金属ヨウ化物を乾燥する方法が挙げられる。
また、流動乾燥法を用いて金属ヨウ化物の粉体を得る方法も挙げられる。具体的には、噴霧流動造粒乾燥機を用いて金属ヨウ化物水溶液を乾燥造粒する噴霧流動造粒乾燥法が用いられる。噴霧流動造粒乾燥機中では、通常、金属ヨウ化物水溶液を適宜の方法で噴霧させ、熱風により水溶液中の水分を蒸発、排気させ、析出した金属ヨウ化物が粉粒状に造粒される。
熱風温度は、金属ヨウ化物水溶液に含まれる水などの溶媒の沸点以上であることが望ましく、例えば、100~280℃程度であればよく、望ましくは130~180℃である。
その後、必要に応じて、篩分けなどの分級、解砕・粉砕などを施してもよい。
以上により、粒子径が1000μm以下の金属ヨウ化物の粉体が得られる。
【0018】
金属ヨウ化物粉粒体は、粉粒体100質量%中、例えば、金属ヨウ化物の含有量が90質量%以上でもよく、好ましくは95質量%以上でもよく、99質量%以上でもよい。金属ヨウ化物粉粒体は、固結防止剤などの一般的な添加剤を含んでもよく、製造過程で混入する不可避の微量不純物を許容し得る。
【0019】
また、金属ヨウ化物の粉体を用いて、用途や溶解速度などに応じて、圧縮造粒方法、押出し造粒方法、転動造粒方法、及び攪拌造粒などの一般的な造粒方法を用いて、粒子径が1000μm超えの金属ヨウ化物の粒体を製造できる。
【0020】
包装体中に保管された金属ヨウ化物粉粒体の粉粒体特性について説明する。
【0021】
下記の手順Aに従って測定される、包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体の安息角の上限は、例えば、31°以下、好ましくは30.8以下、より好ましくは30.5以下である。これにより、取扱性を向上できる。
なお、上記の金属ヨウ化物粉粒体の安息角の下限は、とくに限定されないが、例えば、25°以上、好ましくは25.5°以上、より好ましくは26°以上としてもよい。
【0022】
下記の手順Aに従って測定される、包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体の崩潰角の上限は、例えば、20.0°以下、好ましくは19.5°以下、より好ましくは19°以下である。これにより、粉粒体の流動性を向上できる。
なお、上記の金属ヨウ化物粉粒体の崩潰角の下限は、とくに限定されないが、例えば、14°以上、好ましくは14.5以上、より好ましくは15°以上としてもよい。
【0023】
金属ヨウ化物粉粒体の安息角、崩潰角の測定手順Aは、以下の通り。
まず、包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体を、室温(25℃)で、目開き710μmの篩に掛け、通過分をサンプル粉末として用いる。
パウダーテスターに設置した水平板から、高さ7.5cmの位置に出口内径:8mmの漏斗を取付ける。
漏斗を介して、得られたサンプル粉末を、垂直方向から水平板の表面上に供給しつづけ、一定の形状を保つ円錐状の堆積物を形成する。
円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを安息角(°)とする。
続いて、水平板に、パウダーテスターにより3回の衝撃を与える。その後、円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを崩潰角(°)とする。
【0024】
下記の手順Bに従って測定される、包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体のかため嵩密度の上限は、例えば、1.90g/cm以下、好ましくは1.88以下、より好ましくは1.85以下である。これにより、長期保管安定性を向上できる。
なお、上記の金属ヨウ化物粉粒体のかため嵩密度の下限は、例えば、1.40g/cm以上、好ましくは1.43以上、より好ましくは1.45以上である。
【0025】
下記の手順Bに従って測定される、包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体のかため嵩密度をD1、ゆるめ嵩密度をD2とし、このD1、D2を用いて、((D1-D2)/D2)×100に基づいて圧縮度を算出する。
包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体のかため圧縮度の上限は、例えば、11.0%以下、好ましくは10.8%以下、より好ましくは10.5%以下である。これにより、長期保管安定性を向上できる。
なお、上記の金属ヨウ化物粉粒体の圧縮度の下限は、例えば、5%以上、好ましくは5.3%以上、より好ましくは5.5%以上である。
【0026】
金属ヨウ化物粉粒体のゆるめ嵩密度、かため嵩密度の測定手順Bは、以下の通り。
まず、包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体を、室温(25℃)で、目開き710μmの篩に掛け、通過分をサンプル粉末として用いる。
得られたサンプル粉末を、高さ7cmから自然落下させ、100cmの測定用カップの内部に投入し、カップから溢れ出るまで続けて、山盛りカップを準備する。
続いて、山盛りカップについて、タッピングせずに、カップの上面に溢れた分をすり切った後、カップに充填されたサンプル粉末の質量(g)を測定し、ゆるめ嵩密度(g/cm)を算出する。
一方、山盛りカップについて、上下方向に180回の条件(ストローク長1.8cm、1秒/回)でタッピングした後で、カップの上面に溢れた分をすり切った後、カップに充填されたサンプル粉末の質量(g)を測定し、かため嵩密度(g/cm)を算出する。
【0027】
下記の手順Cに従って測定される、包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体における、目開き710μm、目開き355μm、及び目開き250μmの各目開きの篩上の篩残分量は、次のように構成されてもよい。これにより、長期保管安定性を向上できる。
目開き710μmの篩上の篩残分量は、例えば、0.5質量%以上14質量%以下、好ましくは1.8質量%以上10質量%以下である。
目開き355μmの篩上の篩残分量は、例えば、8質量%以上13質量%以下、好ましくは8.5質量%以上11質量%以下である。
目開き250μmの篩上の篩残分量は、例えば、25質量%以上50質量%以下、好ましくは28質量%以上49質量%以下である。
また、目開き250μmの篩の通過分量は、例えば、30質量%以上55質量%以下、好ましくは35質量%以上50質量%以下である。
【0028】
金属ヨウ化物粉粒体の篩残分量の測定手順Cは、以下の通り。
まず、包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した前記金属ヨウ化物粉粒体の所定量を、目開き710μm篩、目開き355μm篩、および目開き250μm篩を用いて、室温(25℃)で、この順で篩分を行い、各篩上に残存した前記金属ヨウ化物粉粒体の残存量、全ての篩を通過した通過量を測定し、前記所定量に対する前記残存量または前記通過量の割合(質量%)を篩残分量または通過分量として算出する。
【0029】
下記の手順Dに従って測定される、包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体の含水率の上限は、例えば、30ppm以下、好ましくは29.8ppm以下、より好ましくは29.5ppm以下である。これにより、長期保管安定性を向上できる。
なお、上記の金属ヨウ化物粉粒体の含水率の下限は、特に限定されないが、0ppm以上でもよく、0.1ppm以上でもよい。
【0030】
金属ヨウ化物粉粒体の含水率の測定手順Dは、以下の通り。
まず、包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体について、カールフィッシャー水分計を用いて、含水率を測定する。
【0031】
本実施形態では、たとえば包装体中の袋の構成や、袋中への金属ヨウ化物粉粒体の封入方法等を適切に選択することにより、上記金属ヨウ化物粉粒体の安息角、崩潰角、かため嵩密度、圧縮度、篩残分量、および含水率を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、封入前の金属ヨウ化物粉粒体を除湿環境中で保管すること、封入時の室内湿度を金属ヨウ化物種に応じて適切な値となるように低く調整すること、水蒸気透過率が比較的低いアルミラミネートフィルム製の袋を使用すること、また金属ヨウ化物粉粒体の粗大粒子をカットすること等が、上記金属ヨウ化物粉粒体の安息角、崩潰角、かため嵩密度、圧縮度、篩残分量、および含水率を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
とくに粒径5mm以上の粗大粒子を除外・分級することにより、金属ヨウ化物粉粒体の粒径バラツキを抑制でき、粉粒体特性などの品質を安定的に実現できる。
【0032】
本発明者の知見によれば、ヨウ化カリウムは、臨界相対湿度60%を超えると急激に吸湿性が増大することが判明した。このような知見から、封入時の室内湿度を、金属ヨウ化物の種類に応じて適切な臨界相対湿度以下に制御することに加え、水バリア性の高い袋を使用して、袋内部への水分の透過を抑制することによって、包装体中に保管された金属ヨウ化物粉粒体の粉粒体特性を所望の数値範囲とすることが可能になると、推察される。
【0033】
<袋>
図1は、本実施形態の包装体の構成の一例を示す模式図である。図1(a)は側面図、図1(b)は図1(a)のA-A矢視における断面図である。
包装体10は、金属ヨウ化物粉粒体2を内部に密閉収容する袋1を有する。袋1は、アルミラミネートフィルムで構成されるアルミ袋である。
【0034】
アルミラミネートフィルムは、アルミニウム層と樹脂層とが積層されたラミネートフィルムであり、少なくとも樹脂層およびアルミニウム層が、袋1の内側からこの順番で積層した積層構造を備えてもよい。なお、袋1は、アルミニウムや樹脂以外にも、ガスバリア性を高め、水蒸気透過率を低くする目的で、他の材料を含んでもよい。
【0035】
アルミラミネートフィルムのアルミニウム層としては、アルミニウムが含まれた層であればとくに限定されないが、例えば、アルミニウム箔やアルミニウム蒸着層が用いられる。アルミニウム材としては、アルミニウムを含むものであればよく、例えば、純アルミニウムの他に、Al-Mn系、Al-Mg系、Al-Fe系のアルミニウム合金を用いることができる。
【0036】
アルミラミネートフィルムの樹脂層としては、ナイロン(NY)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ポリエチレン樹脂(SPE)等の樹脂フィルムが挙げられる。これにより袋1のガスバリア性を向上できる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。袋1の最内層には、ヒートシール層として、熱溶融性に優れた樹脂層が設けられていることが好ましい。
【0037】
袋1は、アルミニウム層と樹脂層とが複数積層されていてもよい。袋1は、アルミニウム層の両面側に1層または2層以上の樹脂層が積層されるように構成され得る。袋1の積層数は、例えば、3層以上10層以下としてもよい。
【0038】
アルミニウム層と樹脂層とは、互いに公知の手法で接着され得るが、例えば、熱圧着または接着剤を用いて接着されていてもよい。接着剤としては、加熱硬化型接着剤または紫外線硬化型接着剤が用いられる。
【0039】
袋1中、アルミニウム層の内側および外側の樹脂層の少なくとも一方が、吸湿防止剤を含んでもよい。これにより、袋1に保管中の金属ヨウ化物粉粒体における粉粒体特性の低下を抑制できる。
吸湿防止剤として、公知のものを使用できるが、例えば、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カリウム、十酸化四リン、ゼオライト、シリカゲルなどが挙げられる。この中でも、酸化カルシウム、シリカゲルなどが好ましい。
【0040】
袋1の厚みは、特に限定されないが、20μm以上500μm以下であり、より好ましくは30μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは40μm以上200μm以下である。
上記下限値以上とすることで、袋1の機械的強度やガスバリア性を向上できる。上記上限値以下とすることで、袋1を箱に梱包しやすくなる。
【0041】
JIS K7129B(温度40℃、相対湿度90%RH)に準拠して測定される、袋1の水蒸気透過率は、例えば、0.2g/m・day以下、より好ましくは0.1g/m・day以下、さらに好ましくは0.05g/m・day以下である。このような数値範囲内とすることで、金属ヨウ化物粉粒体の保存性を向上できる。
【0042】
袋1の形態としては、例えば、スタンディングパウチ、2方シール、3方シール、4方シール等が用いられる。この中でも、収容性や保管性の観点から、3方シールが用いられる。
【0043】
袋1の内部に封入される金属ヨウ化物粉粒体2の重量は、特に限定されないが、例えば、15Kg以上50Kg以下、好ましくは20kg以上45kg以下としてもよい。上記下限値以上により、搬送効率を高められる。上記上限値以下により、包装体10の取扱が容易になる。
【0044】
袋1中に封入される金属ヨウ化物粉粒体2の体積をV1とし、袋1の内部空間の体積をV2としたとき、包装体10は、V1/V2が、例えば、0.4以上1.0未満を満たすように構成されてもよい。
V1/V2の下限は、例えば、0.4以上、好ましくは0.45以上、より好ましくは0.50以上である。
V1/V2の上限は、例えば、1.0未満、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.90以下である。
【0045】
包装体10の製造方法の一例は、金属ヨウ化物粉粒体2を袋1の内部に充填する充填工程を含む。
充填工程において、袋1の内部の空気を吸引して脱気してもよく、またアルゴンガスなどの非反応性ガスや乾燥空気を袋1内部に充填してもよい。
また袋1中に、金属ヨウ化物粉粒体2とともに、炭酸カリウムやシリカゲル等の固着防止剤を含む小袋を同封してもよい。
また、袋1に充填前の金属ヨウ化物粉粒体2に対して、加熱や減圧、乾燥エアー等により乾燥処理を事前に施してもよい。
【0046】
<梱包箱>
本実施形態の梱包箱は、上記の包装体と、この包装体を1個または2個以上収容する包装容器を備える。これにより、包装体の搬送性を向上できる。
【0047】
包装容器としては、ダンボール箱、ファイバードラム、ウレタンバック等のフレコンバッグ(フレキシブルコンテナーバッグ)、プラスチックボトルなどが挙げられる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例0049】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0050】
<金属ヨウ化物粉粒体を含む包装体の製造>
1.金属ヨウ化物粉粒体の製造
噴霧流動造粒乾燥機を用いて、ヨウ化カリウム水溶液を造粒乾燥して、ヨウ化カリウムの粉末を得た。噴霧流動造粒乾燥機から取り出した粉末を、4meshの篩を用いて粒径5mm以上の粗大粒子を除外するように分級し、金属ヨウ化物粉粒体であるヨウ化カリウム粉末を製造した。
なお、噴霧流動造粒乾燥機には、管理温度を130℃~175℃に設定した乾燥熱風を供給し、種晶としてのヨウ化カリウム微粉末を仕込まなかった。
以上により得られた分級後のヨウ化カリウム粉末の粒子径は、JISK0069、化学製品のふるい分け試験方法に準拠して測定したところ、1000μm以下であることが確認された。
【0051】
2.金属ヨウ化物粉粒体を袋に封入
(実施例1)
製造直後のヨウ化カリウム粉末を、除湿空気を導入した容器内で一時的に保管した後、室内温度22℃、室内湿度55%RH下、下記のアルミ袋(3方シール袋)に1kg入れ、袋内の空気を脱気しつつ、袋口をヒートシールして、封入した。これにより、実施例1の包装体を得た。
(実施例2)
湿度を30%RHとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の包装体を得た。
(実施例3)
温度を26℃、湿度を30%RHとした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の包装体を得た。
【0052】
(比較例1~3)
製造直後のヨウ化カリウム粉末を大気下で保管したこと、アルミ袋を下記のPET袋に変更した以外は、実施例1~3のそれぞれと同様にして、比較例1~3の包装体を得た。
【0053】
上記で使用した袋の詳細を、以下に示す。
・アルミ袋:3方シール袋、(PET(12μm)/Al(7μm)/LLDPE(70μm))、水蒸気透過率:0.05g/m・day以下
・PET袋:3方シール袋、(PET(12μm)/ONY(15μm)/LLDPE(70μm))、水蒸気透過率:0.3g/m・day
PETはポリエチレンテレフタラート、Alはアルミ箔、LLDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、ONYは二軸延伸ナイロンの略称。
PET(ベース層)、Al(バリア層)、LLDPE(シーラント層)をこの順で積層したフィルムシートを準備し、2枚のフィルムシートを両者のシーラント層が内側となるように重ねた後、3方(横、底部)をドライラミネートおよびエージング処理を施して、上記のアルミ袋を得た。上記のPET袋も、アルミ袋と同様にして製造した。
なお、水蒸気透過率は、JIS K7129B(温度40℃、相対湿度90%RH)に準拠して測定した。
【0054】
【表1】
【0055】
各実施例および各比較例の包装体中に保管された金属ヨウ化物粉粒体について、以下の評価項目に基づいて評価を行った。
【0056】
<保管>
各実施例および各比較例の包装体を、それぞれ、40℃、60%RHの恒温恒湿槽(エスペック社製、PR-2J)中で48時間保管した。
【0057】
<安息角、崩潰角>
上記の保管後の包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体を、室温(25℃)で、振幅1.5mm、動作時間170秒の条件で、目開き710μmの篩に掛け、通過分をサンプル粉末として用いた。
パウダーテスター(ホソカワミクロン社製、PT-X)を用いて、パウダーテスターに設置した水平板から、高さ7.5cmの位置に出口内径:8mmの漏斗を取付けた。
漏斗を介して、得られたサンプル粉末を、垂直方向から水平板の表面上に供給しつづけ、一定の形状を保つ円錐状の堆積物を形成した。円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを安息角(°)とした。
続いて、水平板に、パウダーテスターにより3回の衝撃を与えた。その後、円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを崩潰角(°)とした。
【0058】
<ゆるめ嵩密度、かため嵩密度、圧縮度>
上記の保管後の包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体を、室温(25℃)で、振幅1.5mm、動作時間30秒の条件で、目開き710μmの篩に掛け、通過分をサンプル粉末として用いる。
得られたサンプル粉末を、高さ7cmから自然落下させ、100cmの測定用カップの内部に投入し、カップから溢れ出るまで続けて、山盛りカップを準備した。
続いて、山盛りカップについて、タッピングせずに、カップの上面に溢れた分をすり切った後、カップに充填されたサンプル粉末の質量(g)を測定し、ゆるめ嵩密度(g/cm)を算出した。
一方、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製、PT-X)を用いて、山盛りカップについて、上下方向に180回の条件(ストローク長1.8cm、1秒/回)でタッピングした後で、カップの上面に溢れた分をすり切った後、カップに充填されたサンプル粉末の質量(g)を測定し、かため嵩密度(g/cm)を算出した。
上記で求められたかため嵩密度(D1)、ゆるめ嵩密度(D2)を用いて、((D1-D2)/D2)×100に基づいて圧縮度を算出した。
【0059】
<粒度分布(篩残分量)>
上記の保管後の包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体の所定量(10g)を、室温(25℃)で、振幅1.5mm、動作時間600秒の条件で、目開き710μm篩、目開き355μm篩、および目開き250μm篩を用いて、室温(25℃)で、この順で篩分を行った。
各篩上に残存した金属ヨウ化物粉粒体の残存量(g)、全ての篩を通過した通過量(g)を測定し、所定量(初期値)に対する残存量や通過量の割合(質量%)を、篩残分量や通過分量として算出した。
【0060】
<含水率>
保管後の包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体について、カールフィッシャー水分計(平沼産業社製、KF水分計 AQV-2200AS)を用いて、含水率(ppm)を測定した。
【0061】
<取扱性>
上記の保管直後における金属ヨウ化物粉粒体について、下記の評価規準に基づいて、取扱性を評価した。
〇:観察者が、袋を開封しない状態で、袋の外側から、袋内部にある金属ヨウ化物粉粒体の全体を手により触診した時、全体的に粉粒体の塊の存在を確認できなかった。
△:上記の触診時において、粉粒体の50体積%程度までが塊状となることを確認できた。
×:上記の触診時において、粉粒体の90~100体積%程度までが塊状となることを確認できた。
【0062】
<長期保管性>
封入するヨウ化カリウム粉末の重量を1kgから25kgに変更した以外、実施例1~3、比較例1~3と同様にして、実施例4~6、比較例4~6の包装体を製造した。
実施例4~6および比較例4~6の包装体を、ぞれぞれ、大気下で、封入後から3ヶ月長期保管した。
長期保管後の包装体から取り出したヨウ化カリウム粉末について評価した。その結果、実施例4~6では、粉末の流動性が高く、サラサラした状態であることを確認できたが、一方の比較例4~6では、1ヶ月半の時点から粉末が固結してしまい、3ヶ月時点で粉末の流動性が全く見られなかった。
【符号の説明】
【0063】
1 袋
2 金属ヨウ化物粉粒体
10 包装体
図1