(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015018
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】健康器具
(51)【国際特許分類】
A61H 39/04 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
A61H39/04 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114609
(22)【出願日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2021119177
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
(71)【出願人】
【識別番号】521204873
【氏名又は名称】長嶺 芳文
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 芳文
【テーマコード(参考)】
4C101
【Fターム(参考)】
4C101BA01
4C101BB06
4C101BC01
4C101BD01
4C101BD16
4C101BD26
4C101BE02
4C101BE05
4C101EB20
(57)【要約】
【課題】自分自身で、手指を使用することなく、手指、上腕及び前腕に疲労並びに苦痛を生じさせることなく、ストレッチ運動により筋を伸ばすことで、効果的なツボ押圧となるようツボ部位の緊張を高めつつ、同時に、押圧したい部位のツボをピンポイントに効果的な方向及び効果的な力で押圧することのできる健康器具を提供する。
【解決手段】弾性素材で作られたチューブ本体を備えた環状チューブと、該環状チューブに保持された1又は2以上の押圧具を備えた健康器具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性素材で作られたチューブ本体を備えた環状チューブと、該環状チューブに保持された1又は2以上の押圧具を備えた健康器具であって、
前記環状チューブが、以下の(A)~(C)のいずれかであり、
(A)チューブ本体の両端部が直接連結した状態で環状となっているもの;
(B)チューブ本体の両端部が連結具を介して連結した状態で環状となっているもの;
(C)チューブ本体の両端部は離間しているものの環状のチューブの芯材により連結した状態で環状となっているもの;
前記押圧具が、以下の(a)~(c)のいずれかである、ことを特徴とする健康器具。
(a)チューブ本体に一部又は全部包埋された状態で保持されているもの;
(b)チューブ本体の内周面に固着された状態で保持されているもの;
(c)チューブ本体の両端部が離間している部位のチューブの芯材に保持されているもの;
【請求項2】
環状チューブのチューブ本体が自重及び押圧具の重量によって撓まない程度の剛性を有することを特徴とする請求項1に記載の健康器具。
【請求項3】
環状チューブのチューブ本体が、発泡ポリエチレンから作られていることを特徴とする請求項1又は2に記載の健康器具。
【請求項4】
環状チューブが、伸縮機構を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の健康器具。
【請求項5】
環状チューブが、複数鎖状に連結されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の健康器具。
【請求項6】
押圧具が、球体、半球体、楕円体、又は半楕円体であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の健康器具。
【請求項7】
押圧具が、ヒーター内蔵温熱カバーで覆われていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の健康器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチ運動により筋を伸ばしながら、手指を用いずにツボの押圧を行うことができる健康器具に関する。
【背景技術】
【0002】
身体の諸症状の緩和(肩こりや背中、腰等の筋肉のコリをほぐす)をするために、経穴等のツボを、指圧のように手指を用いて押圧することが有効であることは広く知られている。また、数分程度、連続して筋を伸ばすことにより身体(筋肉及び血管)の柔軟性を高め、血圧を下げる等の身体の諸症状の緩和をするために、ストレッチ運動を行うことも有効であることが広く知られている。さらに、ストレッチ運動を行いながらツボを押圧することで、筋を伸ばすことにより、当該部位の緊張が高まった状態でツボを刺激することができ、ツボ押圧の効果を飛躍的に向上させることができる。
【0003】
指圧をするために両手又は片手を使用せずとも、机上の作業をしながらでも肩や首すじ等を指圧することのできる指圧器として、肩、首すじ等の指圧部位に圧力を加えるためのパイプ状の指圧手段と、指圧手段に繋がれたベルトの長さを調整する長さ調整手段を有するベルトと、ベルトと繋がり足にかけるための小ベルトとを設けて、足で小ベルトを引っ張ることによって指圧手段を指圧部位へ押し付けることにより指圧を行う指圧器が知られている(特許文献1)。また、ストレッチ運動をする際に使用者に合った好みの負荷を与えることが可能であると共に、手足を始めとして肩や手首、足首、手指、足指、頸部等のストレッチを行うことができ、更に人体におけるツボを押しマッサージすることも可能であり、しかも極めて簡単な構造で手軽に携帯することも可能な健康器具として、弾性と伸縮性を有する素材からなる2つの帯状部材を並行に重ね合わせて形成された本体の両端部にリング状に形成された把手を設けると共に、前記本体に、長手方向に適宜間隔をおいて、前記並行に重ね合わされた2つの帯状部材を互いに短幅方向に縫い合わせることにより手足等を挿入し得る複数個の区切り部を形成せしめ、更に本体の表面に1つ以上のマッサージ用突起部材を、面ファスナー等を用いて着脱自在に設けてなる健康器具が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3098753号公報
【特許文献2】実用新案登録第3126992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような指圧器では、手指を用いずに首や肩を押圧することはできるものの、その押圧手段はパイプ状の指圧手段であることから、押圧力が分散してしまい、ツボをピンポイントに押圧することはできず、また、効果的なツボの押圧のために必要となる一定の方向へ向けた押圧方向の調整ができない等の問題があった。さらに、上記のような指圧器では、テンションが掛かることによって張りつめたベルトに身体が触れることにより、身体を擦過するおそれがあるうえ、ベルト自体には剛性がなく重力により垂れ下がってしまうことから、使用に際して取り扱いが困難な場合がある等の問題もあった。
【0006】
これらの理由により、指圧による効果を享受するためには、上記の指圧器を使用するよりも、結局のところ、指圧師等の他人に押圧してもらう必要があり、特に、コロナ等の感染症の発生により、外出の自粛及び他人との接触の自粛が余儀なくされている昨今においては、気軽に自宅において自分自身でツボを押圧できることへのニーズは非常に高い。
【0007】
また、特許文献2の健康器具では、ストレッチ運動を行うことができるものの、本体両端部の把手又は区切り部に手足を差し込むことでしか使用することができないことから、限られた体勢でのストレッチ運動しかすることができない。そのため、その限られた体勢において差し込んだ手足の間に存在するツボしか押圧することができない等の問題があった。
【0008】
これらのことから、自身で、ストレッチ運動により筋を伸ばすことで、効果的なツボ押圧となるようツボの部位の緊張を高めつつ、なおかつ、押圧したい部位のツボをピンポイントに効果的な方向及び効果的な力で押圧することができる健康器具が求められていた。
【0009】
本発明の課題は、自分自身で手指を使用することなく、手指、上腕及び前腕に疲労並びに苦痛を生じさせることなく、ストレッチ運動により筋を伸ばすことで、効果的なツボ押圧となるようツボ部位の緊張を高めつつ、同時に、押圧したい部位のツボをピンポイントに効果的な方向及び効果的な力で押圧することのできる健康器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討し、試行錯誤を重ねた末に、弾性素材で作られたチューブ本体(筒状物)を環状(リング状)とし、かかる環状のチューブに1又は2以上の押圧具を保持させると、チューブとしたことで、身体との接触する部分が身体に優しく、押圧具を任意の位置に容易に包埋・配置することができることから、ツボ押圧に効果的なストレッチ運動を行いつつ、同時に、適切な強度及び方向でツボをピンポイントに押圧することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]弾性素材で作られたチューブ本体を備えた環状チューブと、該環状チューブに保持された1又は2以上の押圧具を備えた健康器具であって、
前記環状チューブが、以下の(A)~(C)のいずれかであり、
(A)チューブ本体の両端部が直接連結した状態で環状となっているもの;
(B)チューブ本体の両端部が連結具を介して連結した状態で環状となっているもの;
(C)チューブ本体の両端部は離間しているものの環状のチューブの芯材により連結した状態で環状となっているもの;
前記押圧具が、以下の(a)~(c)のいずれかである、ことを特徴とする健康器具。
(a)チューブ本体に一部又は全部包埋された状態で保持されているもの;
(b)チューブ本体の内周面に固着された状態で保持されているもの;
(c)チューブ本体の両端部が離間している部位のチューブの芯材に保持されているもの;
[2]環状チューブのチューブ本体が自重及び押圧具の重量によって撓まない程度の剛性を有することを特徴とする上記[1]に記載の健康器具。
[3]環状チューブのチューブ本体が、発泡ポリエチレンから作られていることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の健康器具。
[4]環状チューブが、伸縮機構を有することを特徴とする上記[1]~[3]のいずれかに記載の健康器具。
[5]環状チューブが、複数鎖状に連結されていることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれかに記載の健康器具。
[6]押圧具が、球体、半球体、楕円体、又は半楕円体であることを特徴とする上記[1]~[5]のいずれかに記載の健康器具。
[7]押圧具が、ヒーター内蔵温熱カバーで覆われていることを特徴とする上記[1]~[6]のいずれかに記載の健康器具。
【発明の効果】
【0012】
本発明の健康器具によれば、自分自身で、手指、上腕及び前腕に疲労並びに苦痛を生じさせることなく、ツボ押圧に効果的なストレッチ運動を行いつつ、同時に、押圧位置を適切な強度及び方向で押圧することができる。このように、ストレッチ運動を行うことにより筋を伸ばしつつ、ツボを押圧することにより、表在筋については当該部位の緊張が高まった状態でツボを刺激することができ、ツボ押圧の効果を飛躍的に向上させることができる。また、深部の筋肉は、ストレッチ運動によって表在筋の柔軟性を高めておくことで、深部にある組織をより効果的に刺激することができ、ツボ押圧の効果を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明の健康器具(タイプA;締付バンド)の斜視図
【
図3】本発明の健康器具(タイプB;連結用ベルト)の斜視図
【
図4】本発明の健康器具(タイプB;連結用カナビラ)の斜視図
【
図8】本発明のヒーター内蔵温熱カバーを備えた健康器具の斜視図
【
図9】本発明の連結用延長環状チューブを備えた健康器具の斜視図
【
図10】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図11】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図12】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図13】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図14】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図15】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図16】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図17】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図18】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図19】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図20】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図21】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図22】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図23】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図24】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図25】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図26】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図27】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【
図28】本発明に係る健康器具の使い方を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の健康器具としては、弾性(加わった力が取り去られたとき、曲がったりねじれたりしていた形が元通りに戻る性質)素材で作られたチューブ本体を備えた環状チューブと、該環状チューブに保持された1又は2以上の押圧具を備えた健康器具であって、前記環状チューブが、以下の(A)チューブ本体の両端部が直接連結した状態で環状となっているもの;(B)チューブ本体の両端部が連結具を介して連結した状態で環状となっているもの;又は(C)チューブ本体の両端部は離間しているものの環状のチューブ本体の芯材により連結した状態で環状となっているもの;のいずれかであり、前記押圧具が、以下の(a)チューブ本体の内周面に一部又は全部包埋された状態で保持されているもの、(b)チューブ本体の内周面に固着された状態で保持されているもの;又は(c)チューブ本体の両端部が離間している部位のチューブの芯材に保持されているもの;であることを特徴とする健康器具であれば特に制限されず、上記チューブ本体は通常細長い長方形の本体素材を短辺方向に巻き込み、長辺(継ぎ目)が接合された巻二つ折りのチューブ状、又は長辺(継ぎ目)がオーバーラップした巻三つ折りのチューブ状とし、継ぎ目を溶着/接着した後、次いで環状にすることにより作ることができる。この巻二つ折り又は巻三つ折りタイプの場合、継ぎ目が環状の内周面にくるようにすると、継ぎ目を開いて押圧具を一部包埋させたうえで保持させることができるため好ましい。かかるチューブ本体の断面形状は、真円、平べったい楕円、多角形等であるが、取り扱いやすさ、接触面の身体への優しさ等の面で、平べったい楕円が好ましい。
【0015】
上記環状のチューブ本体は筒状のベロア生地で被覆することができ、また押圧具は薄手のクッションカバーで包覆することもできる。また、押圧具付近をヒーター内蔵、例えば遠赤外線セラミックヒーター内蔵の温熱カバー(通常カバーとマジックテープ付カバーの2タイプのカバー付き)で包覆しておくと、遠赤外線セラミックのじんわり広がる温熱効果で血行が促進され、押圧効果が一層促進される。かかる温熱カバーとしては、市販の赤外線コスモパックCS型(株式会社日本遠赤)を挙げることができる。
【0016】
上記タイプ(A)の環状チューブは、チューブ本体の両端部が直接連結した状態で環状となるように、未環状のチューブ本体の両端を当接した状態で、又は未環状のチューブ本体の一端を他端に挿入した状態で、バンド等で締め付けて固定することにより作製することができる。このタイプ(A)の環状チューブの周長は、チューブ本体部の周長とほぼ一致する。このタイプ(A)の環状チューブの押圧具は、タイプ(a)のチューブ本体の内周面に一部又は全部包埋された状態で保持されているものや、タイプ(b)のチューブ本体の内周面に固着された状態で保持されているものとなる。上記締付バンドの形状としては、紐状のタイプ、帯状のタイプがあるが、帯状のタイプが、締付面の面積を増加させ、また、大きな押圧具も固定することができることから好ましい。かかる締付バンドの材質としては特に制限されないが、締付効果を向上させるために、伸縮性を有する素材のものが好ましく、かかる素材としては、ナイロン、ポリエステル及び天然ゴムから選ばれるものが弾性と強度を兼ね備えている点で好ましい。さらに、自在に脱着をするために、面ファスナーのループとフック等の容易に自在の長さで締め付けることができるものが好ましい。また、締付バンドの大きさは、通常長さが14~22cm、好ましくは6~8cmであり、締付バンドの幅は、通常2~6cm、好ましくは3~5cmである。
【0017】
上記タイプ(B)の環状チューブは、チューブ本体の両端部が連結具を介して連結した状態で環状となるように、未環状のチューブ本体の両端に連結用カナビラや連結用ベルト等の連結具を固着することにより作製することができる。上記連結用ベルトはワンタッチバックルと呼ばれる係脱自在な連結具により、分断・接続が可能であり、さらにベルト長さ調整用のアジャスターにより周長の調節が可能となるものが好ましい。このタイプ(B)の環状チューブの押圧具は、タイプ(a)のチューブ本体の内周面に一部又は全部包埋された状態で保持されているものや、タイプ(b)のチューブ本体の内周面に固着された状態で保持されているものとなる。
【0018】
上記タイプ(C)の環状チューブは、チューブ本体の両端部は離間しているものの環状のチューブ本体の芯材により連結した状態で環状とすることにより作製することができる。上記芯材としては、ベルト状若しくは線材状の布材、プラスチック材、又は鋼材(ワイヤー)を挙げることができ、その両端部を連結した芯材を環状のチューブ本体に装着することにより、タイプ(C)の環状チューブを作製することができる。また、かかる芯材の周方向の長さによって、環状チューブの周長の調節が可能となる。このタイプ(C)の環状チューブの押圧具は、タイプ(a)のチューブ本体の内周面に一部又は全部包埋された状態で保持するものや、タイプ(b)のチューブ本体の内周面に固着された状態で保持するものも可能であるが、タイプ(c)のチューブ本体の両端部が離間している部位のチューブの芯材に保持されているもの、例えば芯材に通貫された球体を有利に例示することができる。
【0019】
環状チューブの大きさは、通常周長が150~200cm、好ましくは160~190cmであり、環状チューブが複数連結されている場合、周長の異なる環状チューブを連結することもできる。また、チューブ本体の断面の周長は12~20cm、好ましくは14~18cmであり、またチューブ本体の素材の厚みは5~15mm、好ましくは8~10mmである。かかる環状チューブは複数鎖状に連結することができる外、1つの環状チューブに両足用の2つの環状チューブを連結することもできる。このような連結用延長環状チューブには通常押圧具が設けられておらず、延長環状チューブの両端部にそれぞれ設けられたジョイント金具(カナビラ)同士により連結することができる。
【0020】
また、チューブの材質としては特に制限されないが、環状ベルトが自重によって撓まない程度の剛性(曲げやねじれの力に対しての変形のしづらさの度合い)を有するものが好ましく、かかる素材としては発泡プラスチックが、弾性と剛性と軽さを兼ね備えている点で好ましい。かかる発泡プラスチックとしては、発泡ポリエチレン、硬質ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等を例示することができるが、中でもクッション性に優れた発泡ポリエチレンが好ましい。
【0021】
また、あらゆる体型の人が利用できるように、環状チューブに伸縮機構を設けることができる。かかる伸縮機構としては、例えば、未環状のチューブ本体を環状に作製する際に周長を調整できる機構、例えば(1)未環状のチューブ本体の一端を所定の周長となるように他端に挿入した状態で、バンド等で締め付けて固定することにより、チューブの周長を調整する機構、(2)未環状のチューブ本体の連結具におけるベルト長さ調整用のアジャスターにより周長を調節する機構、(3)環状のチューブ本体の芯材の長さをアジャスタ等で調整して固定することにより、チューブの周長を調整する機構を例示することができる。
【0022】
本発明の健康器具における押圧具とは、環状チューブにかかった力を、身体のツボに伝達するためにツボを押圧するものをいい、かかる押圧具としては、中空タイプ(例えば、硬式テニス用ボール等)、中空ではないタイプがあり、中空でないタイプには、素材の塊タイプ(例えば、ゴム塊等)及び外面素材の内部に異なる充填物が充填されているタイプ(例えば、ゴルフボール等)が含まれ、押圧するツボの種類(ツボの箇所や押圧すべき面積)、並びにツボを押圧する強度(環状チューブにかかった力を減衰する度合い)及び押圧による身体に対する感触(硬さや冷たさの度合い)等の使用者の好みに合わせて、便宜上選択して使用することができるが、交換して使用することができるようにすることもできる。かかる押圧具は、チューブ本体の内周面に固着された状態で保持させる(タイプb)こともできるが、その安定のために環状チューブに一部又は全部包埋された状態で保持させる(タイプa)こともできる。また、押圧具が環状チューブから離脱しないように、チューブ本体の両端部が離間している部位のチューブの芯材に通貫保持させる(タイプc)こともできる。また、かかる押圧具は、同時に複数のツボを押圧する目的等のため、環状チューブに複数保持させることもできる。加えて、押圧具の形状は、真球、半球、楕円体、半楕円体、三角柱、円錐形等であるが、保持上の安定性、押圧部位の身体への良感触等の面では、半球や真球が好ましい。
【0023】
また、押圧具の材質としては特に制限されないが、押圧具の重さにより環状チューブが撓まない程度の重さのものが好ましく、かかる素材としては、中空の硬いゴムボールのようなものが弾性と軽さを兼ね備えている点で好ましい。さらに、木材を削り出したり、プラスチックを成型したりすることで、自身のツボに完全に適合する好みの形状に作製することができる。
【0024】
押圧具の大きさは、通常チューブ本体の内周面よりの高さが2~8cm、好ましくは4~6cmであり、押圧具のツボ押圧面の接触面積は、肩や首のツボを押圧する場合、1~6cm2、好ましくは2~4cm2であり、また腰や坐骨のツボを押圧する場合、6~16cm2、好ましくは10~14cm2である。
【0025】
様々な形状の押圧具を好きな位置に自在に保持するために、また、安定して強い入力をツボへ集中的に伝達するために、チューブ(シート)の開き目から押圧具をチューブ内に入れ込み、チューブが押圧具を覆っている状態で、締付バンドを用いて、チューブごと押圧具を締め付けることにより、押圧具を保持することができる。この締付バンドによる押圧具の保持の仕方としては、押圧具がチューブに一部埋包されたタイプと押圧具がチューブに完全に埋包されたタイプがある。押圧具がチューブに一部埋包されたタイプの場合、押圧具の露出した部分が、バンドにより締め付けられたチューブによって強固に固定されることにより、ツボへの押圧方向が不安定となったり、押圧具が倒れてしまったりすることを防ぎ、安定して強い入力をツボへ集中的に伝達することができるという面で好ましい。
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を限定するものではなく、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれ、また、以下の実施形態の一部を適宜組み合わせることもできる。
【0027】
図1は、本発明に係る健康器具の一実施形態を示す概略図である。
図1に示されるように、健康器具は、主に環状チューブ1及び押圧具3を備える。本発明に係る健康器具は、押圧具3がツボを押圧する位置となるように環状チューブ1を身体に掛け、又は、押圧具3がツボを押圧する位置となるように身体の下に置き、それと同時に環状チューブ1に押圧のために環状チューブ1を引っ張る身体の部位であってストレッチの対象となる身体の部位が入るような方法で使用する。
【0028】
例えば、
図1の実施形態では、首のツボに使用する場合として、押圧具3が首のツボを押圧する位置に当接するように、環状チューブ1を首からネックレスのように掛けたうえで、首に掛かっている環状チューブ1内の下端の内周面に左膝等を掛けて、左脚のストレッチ運動をしつつ、左脚で環状チューブ1を押し下げることにより、該環状チューブに保持された押圧具3が首のツボを押圧するように使用する。このような方法で使用することにより、環状チューブ1は、ストレッチ運動におけるストレッチの対象個所を牽引する牽引帯となると同時に、ストレッチ運動によってもたらされる脚部の反力、脚部による環状チューブ1を押し下げる力又は脚部に掛かる重力を、作用点である押圧具3に伝達する媒体となる。こうして、効果的なストレッチ運動とともに、ストレッチ運動の力を利用した効果的なツボへの押圧を行うことができ、相乗効果を期待することができる。また、押圧具3は、環状チューブ1により媒介された下半身からの入力を集中的に、かつ、ツボの方向に向けて、ツボに押圧する際の媒体となる。
【0029】
図2は、チューブ本体2と締付バンド(チューブ本体両端部用)4を備えた環状チューブ1及び押圧具3を有する本発明の健康器具(タイプA)の斜視図である。本実施形態の環状チューブ1は、弾性を有する発泡ポリエチレンシートを用いて、その幅が6cm程度に、その厚みが3cm程度になるように、かつ、長手方向の継ぎ目がオーバーラップした巻三つ折り様の構造とすることにより断面が中空の楕円形状の筒状物構造となったチューブ本体2の一端を他端に挿入した状態で、締付バンド4で固定することにより作製することができる。このような形状とすることにより、チューブ本体2と身体との接触面が曲面となり、たとえテンションが掛かることによって張りつめたチューブ本体2と身体が擦れ合っても、その衝撃が和らげられ擦過傷や痛みを生じさせない。このタイプAの健康器具には、通常押圧具3(タイプa又はタイプb)が用いられる。
【0030】
図3は、チューブ本体2と連結用ベルト5を備えた環状チューブ1及び押圧具3を有する本発明の健康器具(タイプB)や、
図4は、チューブ本体2と連結用カナビラ6を備えた環状チューブ1及び押圧具3を有する本発明の健康器具(タイプB)の斜視図である。これら本発明の健康器具(タイプB)は上記タイプAと同様なチューブ本体2を備えている。このタイプBの健康器具には、通常押圧具3(タイプa又はタイプb)が用いられる。
【0031】
図5は、チューブ本体2の内周面に一部包埋された状態で、締付バンド(押圧具保持用)10により保持されている押圧具(タイプa)3の断面図、
図6は、チューブ本体2の内周面に接着剤等により固着された状態で保持されている押圧具(タイプb)3の断面図である。上記押圧具3(タイプa及びタイプb)は、チューブ本体2の中心を向いた内周面に備えられる。押圧具3は、チューブ本体2の巻三つ折り様のシートに一部包埋されるように、換言すれば、チューブ本体2の巻三つ折り様のシートの開き目から一部露出するように保持される。本実施形態においては、押圧具3は、環状チューブ1の巻三つ折り様のシートの開き目から、チューブ本体2内に入れ込み、チューブ本体2のシートが押圧具3を一部覆っている状態において、押圧具3がチューブ本体2内で動かないように、押圧具3の両側をチューブ本体2ごと締付バンド(押圧具保持用)10で締め付けることにより、押圧具7をチューブ本体2に保持するとともに、一部包埋させている。このようにして、押圧具3は、容易に自在の場所に、保持させたり取り外したりすることができる。さらに、それぞれのツボに適合する押圧具3、すなわち、異なるサイズや硬度の異なる材質からなる押圧具3を用意すれば、自由に押圧具3を選択して交換したり、その位置を変更したり、又は、追加したりすることができる。その他、押圧具3は、複数のツボを押圧するために複数個備えられてもよく、また、取付方法は、上記の締付バンドによる方法のほか、螺合構造等を用いたり、接着剤により固着させたりすることもできる。
【0032】
このように、一部包埋されることによって、押圧具7によるツボへの押圧方向が不安定となったり押圧具7が倒れてしまったりすることを防ぎ、安定して強い入力をツボへ集中的に伝達することができる。
【0033】
図7は、本発明の健康器具(タイプC)の斜視図である。チューブ本体2の両端部は離間しているものの環状のチューブの芯材(ワイヤー)7により連結した状態で環状となっており、チューブ本体2の両端部が離間している部位の芯材(ワイヤー)7を押圧具9に通貫することにより、押圧具9が固定・保持されている(タイプc)。また、チューブ本体2の外周面はベロア生地で覆われており(図示せず)、押圧具(タイプc)9はクッションカバー11で覆われている。さらに、
図8には、押圧具(タイプc)9のクッションカバー11の外側にヒーター内蔵温熱カバー12が取り付けた状態が示されている。
【0034】
さらに、
図9に示すように、連結用延長環状チューブ8を用いて、2以上の環状チューブ1を鎖状に連結することにより、大柄な体格に対応させたり、上半身と下半身の双方の部位のツボの押圧をしたりすることができる。このように、環状チューブ1を鎖状に連結して使用する場合には、上半身と下半身(例えば足底)の複数それぞれのツボの位置を、微調整を行いながら、同時に押圧することができる。
【0035】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、肩のツボを押圧しながら脚部及び上半身のストレッチ運動を行う実施形態について、
図10を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブの環状部に頭と左肩を入れ、押圧具が右肩のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで胡坐をかくように座る。次に、使用者は、押圧する右肩と反対の左膝を環状チューブに入れ、左膝を上下に動かすことにより、肩のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態において、使用者は、左膝を動かす力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、肩甲骨上部に近い僧帽筋上部や肩甲挙筋についてのストレッチ運動を行うことができる。このとき、首を左に側屈することにより、表在筋である僧帽筋上部や肩甲挙筋の緊張が高まった状態でツボを刺激することができるため、押圧具による押圧の効果を飛躍的に向上させることができる。
【0036】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、首のツボを押圧しながら脚部及び上半身のストレッチ運動を行う実施形態について、
図11を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブの環状部に頭と左肩を入れ、押圧具が首のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで胡坐をかくように座る。次に、使用者は、押圧する首のツボと反対側の左膝を環状チューブに入れ、左膝を上下に動かすことにより、首のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態において、使用者は、左膝を動かす力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、脊柱に近い僧帽筋上部や肩甲挙筋についてのストレッチ運動を行うことができる。このとき、首を左に回旋することにより、頚部の回旋筋である板状筋や頸半棘筋の緊張が高まった状態でツボを刺激することができ、また、押圧具を身体の前方に移動することにより、胸鎖乳突筋の緊張が高まった状態でツボを刺激することができるため、押圧具による押圧の効果を飛躍的に向上させることができる。
【0037】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、肩甲骨脇のツボを押圧しながら脚部及び上半身のストレッチ運動を行う実施形態について、
図12~15を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブの環状部に頭と左肩を入れ、
図12のように押圧具が肩甲骨脇のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで
図13のように胡坐をかくように座る。次に、使用者は、
図13のように押圧する左膝を環状チューブに入れ、左膝を上下に動かすことにより、肩甲骨脇のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態において、使用者は、左膝を動かす力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、肩甲骨内縁にある僧帽筋中部や大菱形筋についてのストレッチ運動を行うことができる。このとき、左手を前方に伸ばす、または、
図14のように肩関節を水平内転することで、さらに、
図15のように首を側屈させることで、僧帽筋中部繊維や大菱形筋の緊張が高まった状態でツボを刺激することができるため、押圧具による押圧の効果を飛躍的に向上させることができる。
【0038】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、脇のツボを押圧しながら脚部及び上半身のストレッチ運動を行う実施形態について、
図16を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブの環状部に上半身を入れ、環状チューブを左脇に挟むようにして、押圧具が左脇のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで、胡坐をかくように座る。次に、使用者は、押圧する左脇と反対側の右膝を環状チューブに入れ、右膝を上下に動かすことにより、左脇のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態において、使用者は、右膝を動かす力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、上半身側部(広背筋等)についてのストレッチ運動を行うことができる。このとき、上半身を右側に反らせることにより、当該部位の緊張が高まった状態でツボを刺激することができるため、押圧具による押圧の効果を飛躍的に向上させることができる。
【0039】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、坐骨神経のツボを押圧する実施形態について、
図17を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブに左脚を入れ、環状チューブ上に左坐骨を乗せるようにして、押圧具が坐骨神経のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで、環状チューブが右肩に掛かるような状態で胡坐をかくように座る。次に、使用者は、押圧する坐骨神経が存する左膝を上下に動かすことにより、坐骨神経のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態において、使用者は、上半身及び左脚の動きにより、片脚を動かす力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧することができる。この場合には上半身を動かすことによる押圧のほか、使用者の自重を利用した押圧をすることができる。
【0040】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、仰臥した状態で首及び足底のツボの双方又はいずれかを押圧しながら脚部のストレッチ運動を行う実施形態について、
図18及び
図19を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブを首からネックレスのように掛けた状態で、押圧具が首のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで仰臥する。次に、使用者は、首に掛かっている環状チューブと鎖状に連結された第2の環状チューブ(連結用延長環状チューブ)を足底で蹴るようにして、左脚を上下に動かすことにより、首及のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態において、使用者は、左脚を動かす力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、頸部(僧帽筋や板状筋等)についてのストレッチ運動を行うことができる。
加えて、第2の環状チューブ(連結用延長環状チューブ)にも押圧具を備えた場合には、第1の環状チューブに備えられた押圧具が首のツボを押圧し、同時に、第2の環状チューブ(連結用延長環状チューブ)に備えられた押圧具が足底のツボをも押圧するように調整すれば、
図18のように、首を屈曲位から伸展位置に戻すことにより、又は、
図19のように左足底を押す力を調整することにより、首及び足底の効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、ハムストリング及び下腿三頭筋についてのストレッチ運動を行うことができる。
【0041】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、仰臥した状態で側頚部のツボを押圧しながら脚部内転筋のストレッチ運動を行う実施形態について、
図20を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブを首からネックレスのように掛けた状態で、押圧具が側頚部のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで仰臥する。次に、使用者は、首に掛かっている環状チューブと鎖状に連結された第2の環状チューブ(連結用延長環状チューブ)を足底で引っ張るようにして、左脚を、股関節を軸に回すように動かすことにより、側頚部のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態において、使用者は、左脚を動かす力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、左脚(内転筋等)及び首回り(僧帽筋、胸鎖乳突筋等)についてのストレッチ運動を行うことができる。このとき、押圧のための力により、左脚(内転筋等)及び首回り(僧帽筋、胸鎖乳突筋等)が牽引されることとなるため、当該部位の緊張が高まった状態でツボを刺激することができるため、押圧具による押圧の効果を飛躍的に向上させることができる。
【0042】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、仰臥した状態で背中のツボを押圧しながらハムストリングのストレッチ運動を行う実施形態について、
図21を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブに上半身を入れた状態で、押圧具が背中のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで仰臥する。次に、使用者は、上半身に掛かっている環状チューブと鎖状に連結された第2の環状チューブを足底で引っ張るようにして、左脚を屈伸させるように動かすことにより、背中のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態において、使用者は、左脚を屈伸させる力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、ハムストリングについてのストレッチ運動を行うことができる。
【0043】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、仰臥した状態で肩のツボを押圧しながら大腿外側及び臀部のストレッチ運動を行う実施形態について、
図22を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブに頭と左肩を入れた状態で、押圧具が肩のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで仰臥する。次に、使用者は、首に掛かっている環状チューブと鎖状に連結された第2の環状チューブ(連結用延長環状チューブ)を右足底で引っ張るようにして、右脚を、股関節を軸に回すように動かすことにより、肩のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態において、使用者は、右脚を動かす力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、右脚(大腿筋膜張筋)及び臀部(中殿筋、梨状筋等)についてのストレッチ運動を行うことができる。
【0044】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、仰臥した状態で肩のツボを特に強力に押圧する実施形態について、
図23を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブに頭と左肩を入れた状態で、押圧具が肩のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで仰臥する。次に、使用者は、首に掛かっている環状チューブと鎖状に連結された第2の環状チューブ(連結用延長環状チューブ)を左足底で踏み込むことで引っ張ることにより、肩のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態において、使用者は、左脚の踏み込む力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を、より強力に押圧することができる。
【0045】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、仰臥した状態で、脊柱起立筋が縮んだ状態及び脊柱起立筋が伸びた状態での脊柱脇のツボを押圧する実施形態について、
図24及び
図25を参照しながら説明する。脊柱起立筋が縮んだ状態で押圧する
図24の実施形態では、使用者は、環状チューブに上半身を入れた状態で、押圧具が脊柱脇のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで仰臥する。この状態においては、使用者は、自重を用いることにより、手指を用いることなく、脊柱起立筋が縮んでいるため到達可能となる脊柱起立筋の深層部に対し、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧することができる。
他方、脊柱起立筋が伸びた状態で押圧する
図25の実施形態では、使用者は、環状チューブに上半身を入れた状態で、押圧具が脊柱脇のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで仰臥する。次に、使用者は、左膝を環状チューブに入れ、左股関節を屈曲することにより、脊柱脇のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態においては、使用者は、左股関節を動かす力を調整することにより、手指を用いることなく、脊柱起立筋が伸びていることから押圧可能となる脊柱起立筋の表在部に対し、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧することができる。
【0046】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、ハムストリングのツボを押圧しながら上半身のストレッチ運動を行う実施形態について、
図26を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブを首からネックレスのように掛けた状態で、ハムストリングのツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで椅子に座る。次に、使用者は、上体を反らす等して、ハムストリングのツボが押圧されるような体勢をとりつつ、さらに、膝を伸展させたり、足を内外旋させたりするように動かす。この状態において、使用者は、膝を伸展させたり、足を内外旋させたりするように動かす力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、膝の伸展、体幹を前屈することにより強いハムストリングスについてのストレッチ運動を行うことができる。
【0047】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、座した状態で前脛骨筋のツボを押圧しながら脚部のストレッチ運動を行う実施形態について、
図27を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブに椅子の背もたれごと上半身が入るようにした状態で椅子に座り、さらに、右膝を抱えるようにして環状チューブに入れ、押圧具が前脛骨筋のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整する。次に、使用者は、体重をかけて前屈をしたり、右脚を屈曲するようにしたりして動かすことにより、前脛骨筋のツボが押圧されるような体勢をとる。この状態において、使用者は、足首を動かす力又は右膝を伸展する力を調整することにより、手指を用いることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、右脚(前脛骨筋等)についてのストレッチ運動を行うことができる。
【0048】
本発明に係る健康器具の使い方のうち、足底のツボを押圧する実施形態について、
図28を参照しながら説明する。本実施形態では、使用者は、環状チューブを踏むようにして、押圧具が足底のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで椅子に座る。この状態においては、使用者は、自重を用いることにより、手指を用いることなく、足底のツボの効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧することができる。また、別の実施形態として、使用者は、環状チューブを踏むようにして、押圧具が足底のツボを押圧するように環状チューブの位置を調整したうえで環状チューブを両手で把持して立つこともできる。この状態においては、使用者は、自重のみで両手を環状チューブに添えるだけで、足底のツボの効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、足底筋のストレッチ運動を行うことができる。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態に係る健康器具によれば、自分自身で、手指、上腕及び前腕に疲労並びに苦痛を生じさせることなく、効果的な押圧位置を適切な強度及び方向で押圧しつつ、同時に、ストレッチ運動を行うことができ、ストレッチ運動を行いながら、同時に、ツボを押圧することにより、当該部位の緊張が高まった状態でツボを刺激することができ、ツボ押圧の効果を飛躍的に向上させることができ、又は、ストレッチ運動によって表在筋の柔軟性を高めることによって、深部にある組織を効果的に刺激することができる。
【符号の説明】
【0050】
1:環状チューブ
2:チューブ本体
3:押圧具(タイプa又はタイプb)
4:締付バンド(チューブ本体両端部用)
5:連結用ベルト
6:連結用カナビラ
7:環状のチューブの芯材
8:連結用延長環状チューブ
9:押圧具(タイプc)
10:締付バンド(押圧具保持用)
11:押圧具(タイプc)のクッションカバー
12:ヒーター内蔵温熱カバー
【手続補正書】
【提出日】2022-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性素材で作られたチューブ本体を備えた環状チューブと、該環状チューブに保持された1又は2以上の押圧具を備えた健康器具であって、
前記環状チューブが、以下の(A)~(C)のいずれかであり、
(A)チューブ本体の両端部が直接連結した状態で環状となっているもの;
(B)チューブ本体の両端部が連結具を介して連結した状態で環状となっているもの;
(C)チューブ本体の両端部は離間しているものの環状のチューブの芯材により連結した状態で環状となっているもの;
前記押圧具が、以下の(a)~(c)のいずれかである、ことを特徴とする健康器具。
(a)チューブ本体に一部又は全部包埋された状態で保持されているもの;
(b)チューブ本体の内周面に固着された状態で保持されているもの;
(c)チューブ本体の両端部が離間している部位のチューブの芯材に保持されているもの;
【請求項2】
環状チューブのチューブ本体が自重及び押圧具の重量によって撓まない程度の剛性を有することを特徴とする請求項1に記載の健康器具。
【請求項3】
環状チューブのチューブ本体が、発泡ポリエチレンから作られていることを特徴とする請求項1に記載の健康器具。
【請求項4】
環状チューブが、伸縮機構を有することを特徴とする請求項1に記載の健康器具。
【請求項5】
環状チューブが、複数鎖状に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の健康器具。
【請求項6】
押圧具が、球体、半球体、楕円体、又は半楕円体であることを特徴とする請求項1に記載の健康器具。
【請求項7】
押圧具が、ヒーター内蔵温熱カバーで覆われていることを特徴とする請求項1に記載の健康器具。