(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150183
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/02 20210101AFI20231005BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20231005BHJP
【FI】
G03B17/02
G03B17/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059148
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】荻田 猛史
(72)【発明者】
【氏名】田中 大
(72)【発明者】
【氏名】大内 朋也
【テーマコード(参考)】
2H100
2H102
【Fターム(参考)】
2H100AA14
2H100AA18
2H100BB06
2H102BB44
(57)【要約】
【課題】 振動デバイスにおいて発生する振動が操作している操作者の指に確実かつ良好に伝達されるようにする。
【解決手段】 内部に撮像素子が配置され複数のキャビネットが結合されることにより構成された筐体と、所定の操作時に振動する振動デバイスとを備え、キャビネットの一部が操作者によって把持されるグリップ部の内部に位置され、振動デバイスがグリップ部の内部においてキャビネットに取り付けられた。これにより、所定の操作時にグリップ部の内部においてキャビネットに取り付けられた振動デバイスが振動するため、振動デバイスにおいて発生する振動が操作している操作者の指に確実かつ良好に伝達される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に撮像素子が配置され複数のキャビネットが結合されることにより構成された筐体と、
所定の操作時に振動する振動デバイスとを備え、
前記キャビネットの一部が操作者によって把持されるグリップ部の内部に位置され、
前記振動デバイスが前記グリップ部の内部において前記キャビネットに取り付けられた
撮像装置。
【請求項2】
前記キャビネットの一つとして前記撮像素子を外部に臨ませるための開口を有するフロントキャビネットが設けられ、
前記フロントキャビネットは前記開口が形成されたベース部と前記グリップ部の少なくとも一部を構成するグリップ構成部と前記グリップ部の内部に配置され前記振動デバイスが取り付けられた内側配置部とを有し、
前記ベース部と前記グリップ構成部と前記内側配置部が一体に形成された
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記内側配置部が前記グリップ構成部に連続して設けられた
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記キャビネットが金属材料によって形成された
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記振動デバイスが金属材料によって形成された押さえ板によって押さえられ、
前記押さえ板が前記キャビネットに取り付けられた
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記押さえ板に弾性変形可能な押さえ部が設けられ、
前記振動デバイスは前記押さえ部が弾性変形された状態で前記押さえ板に押さえられた
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記振動デバイスは反対側に位置された両面がそれぞれ第1の接触面と第2の接触面として形成され、
前記振動デバイスは前記第1の接触面の面積と前記第2の接触面の面積が他の面の面積より大きくされ、
前記第1の接触面が前記キャビネットに面接触され前記第2の接触面が前記押さえ板に面接触された
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記キャビネットに所定の操作部が配置された操作配置部が設けられ、
前記操作配置部が前記グリップ部に連続する位置に設けられ、
前記振動デバイスが前記操作配置部の内面側に位置された
請求項1に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は所定の操作時に振動する振動デバイスを備えた撮像装置についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ等の撮像装置は筐体の内部に撮像素子が配置され、レンズ等の光学系によって取り込まれた被写体の光学像が撮像素子において光電変換されて画像や映像が生成される。
【0003】
このような撮像装置にはシャッター釦やモード切替摘子等の各種の操作部が設けられ、所定の操作部が操作されたときに内部に配置された振動デバイスが振動するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
振動デバイスが設けられた撮像装置において、操作者によって所定の操作部、例えば、シャッター釦等が操作されたときに振動デバイスが振動することにより、操作者において操作部を操作した操作感を指に伝達された振動により認識することが可能にされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような振動デバイスが設けられた撮像装置においては、所定の操作部が操作され振動デバイスが振動したときに、操作者において高い操作感覚が得られることが望ましい。
【0007】
このような操作者において高い操作感覚が得られるためには、振動デバイスにおいて発生する振動が操作している操作者の指に確実かつ良好に伝達される必要がある。特に、カメラに振動デバイスが設けられる場合には、カメラが携帯電話等と比較して重量が大きく、振動デバイスにおいて発生した振動が減衰して的確に操作者に伝達されないおそれもある。
【0008】
そこで、本技術撮像装置は、振動デバイスにおいて発生する振動が操作している操作者の指に確実かつ良好に伝達されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術に係る撮像装置は、内部に撮像素子が配置され複数のキャビネットが結合されることにより構成された筐体と、所定の操作時に振動する振動デバイスとを備え、前記キャビネットの一部が操作者によって把持されるグリップ部の内部に位置され、前記振動デバイスが前記グリップ部の内部において前記キャビネットに取り付けられたものである。
【0010】
これにより、所定の操作時にグリップ部の内部においてキャビネットに取り付けられた振動デバイスが振動する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図2乃至
図10と共に本技術の実施の形態を示すものであり、本図は、撮像装置の斜視図である。
【
図2】
図1とは異なる方向から見た状態で示す撮像装置の斜視図である。
【
図3】トップキャビネットと振動デバイスと押さえ板を分離した状態で示す撮像装置の斜視図である。
【
図5】振動デバイスと押さえ板を分離した状態で内側配置部等を示す斜視図である。
【
図6】内側配置部に振動デバイスと押さえ板が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図7】操作者によってグリップ部が把持されている状態を示す斜視図である。
【
図8】振動によって撮像装置に付与される力の方向を示す正面図である。
【
図9】振動デバイスがフロントキャビネットのグリップ構成部に取り付けられた例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本技術撮像装置を実施するための形態を添付図面を参照して説明する。
【0013】
以下に示した実施の形態は、本技術撮像装置をスチルカメラに適用したものである。但し、本技術の適用範囲はスチルカメラに限られることはない。本技術は、例えば、ビデオカメラ等の他の各種の撮像装置に広く適用することができる。
【0014】
以下の説明にあっては、スチルカメラの撮影時において撮影者から被写体を見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、スチルカメラが有する撮像素子の中央を通る光軸を基準に表現すれば、光軸上の物体側(被写体)が前方になり、光軸上の像面側が後方になる。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0015】
<撮像装置の構成>
先ず、主として撮像装置1の外観の構成について説明する(
図1乃至
図5参照)。
【0016】
撮像装置1は筐体2の内外に所要の各部が配置されて成る(
図1乃至
図3参照)。
【0017】
筐体2は複数のキャビネット、例えば、フロントキャビネット3とリアキャビネット4とトップキャビネット5と図示しないボトムキャビネットが結合されて構成されている。フロントキャビネット3とリアキャビネット4とトップキャビネット5とボトムキャビネットは筐体2の内部に配置される各部を保護する部材であるため、高い剛性を有する剛体として設けられている。
【0018】
フロントキャビネット3とリアキャビネット4は前後で結合されている。トップキャビネット5はフロントキャビネット3とリアキャビネット4の上面を上側から覆う状態でフロントキャビネット3とリアキャビネット4に結合されている。ボトムキャビネットはフロントキャビネット3とリアキャビネット4の下面を下側から覆う状態でフロントキャビネット3とリアキャビネット4に結合されている。
【0019】
フロントキャビネット3とリアキャビネット4とトップキャビネット5とボトムキャビネットは何れもマグネシウムや銅やアルミニウム等の金属材料によってダイキャスト品として形成されている。
【0020】
フロントキャビネット3はベース部6とグリップ構成部7と内側配置部8を有している(
図4参照)。ベース部6とグリップ構成部7と内側配置部8は一体に形成されている。
【0021】
ベース部6は前後方向を向く前面パネル部9と前面パネル部9の一方の側縁から後方に突出された側面パネル部10とを有している。前面パネル部9には円形状の開口9aが形成されている。前面パネル部9には開口9aの周囲の部分にマウントリング11が取り付けられている(
図1参照)。マウントリング11には図示しない交換レンズのマウント部が着脱可能にされる。前面パネル部9にはマウントリング11の内側の部分に複数の接点を有する接点基板12が取り付けられている。接点基板12の接点には交換レンズの接続端子が接続される。
【0022】
グリップ構成部7はベース部6の他方の側縁に連続して設けられている(
図4参照)。グリップ構成部7はベース部6に対して前方に突出され曲面状に形成された把持部13と把持部13の一方の側縁に連続され左右方向を向く外側平板部14とを有している。把持部13は前方に凸の略半円筒状に形成されている。
【0023】
内側配置部8は上下方向を向く略平板状に形成され、グリップ構成部7の左右両側部間を連結する状態で設けられている。具体的には、内側配置部8はグリップ構成部7の上端寄りの部分において後側の略半分の部分を連結する状態にされている。従って、グリップ構成部7における前側の略半分の部分と内側配置部8の前縁との間には上下に貫通された空間3aが形成されている。
【0024】
内側配置部8の左端部にはそれぞれ上方に突出された取付ボス15と位置決めピン16が設けられている(
図5参照)。取付ボス15には上方に開口された螺穴15aが形成されている。内側配置部8の略中央部には螺孔17が形成されている。内側配置部8における取付ボス15と螺孔17の間の部分はデバイス取付部18として設けられている。
【0025】
リアキャビネット4は前後方向を向く後面パネル部19と後面パネル部19の上端部に連続するファインダー枠部20とを有している(
図2及び
図3参照)。後面パネル部19とファインダー枠部20は一体に形成されている。後面パネル部19には矩形状の図示しないパネル配置孔が形成されている。パネル配置孔には表示パネル21が挿入されて配置されている。
【0026】
トップキャビネット5は略上下方向を向く上面パネル部22と上面パネル部22の左右方向における中間部から上方に突出されたファインダーパネル部23とを有している。上面パネル部22とファインダーパネル部23は一体に形成されている。ファインダーパネル部23は下方及び後方に開口された箱状に形成されている。
【0027】
上面パネル部22のうちファインダーパネル部23の右側の部分は操作配置部22aとして設けられている。ファインダーパネル部23の後端部にはファインダー用レンズ24が取り付けられている。
【0028】
上記のように構成されたフロントキャビネット3とリアキャビネット4は前後で結合され、フロントキャビネット3とリアキャビネット4が結合された状態においてトップキャビネット5とボトムキャビネットがそれぞれ上下からフロントキャビネット3とリアキャビネット4に結合される(
図1乃至
図3参照)。
【0029】
トップキャビネット5が上方からフロントキャビネット3とリアキャビネット4に結合された状態においては、フロントキャビネット3の内側配置部8がトップキャビネット5によって上方から覆われ、トップキャビネット5のファインダーパネル部23とリアキャビネット4のファインダー枠部20が前後で結合される。ファインダーパネル部23とファインダー枠部20が結合されるときには、ファインダーパネル部23に取り付けられたファインダー用レンズ24がファインダー枠部20に挿入されて配置される。ファインダーパネル部23とファインダー枠部20によって形成された内部の空間にはファインダー用の図示しない光学部材等が配置されている。
【0030】
フロントキャビネット3のグリップ構成部7には外面側からラバー25が貼り付けられる(
図1参照)。グリップ構成部7にラバー25が貼り付けられることにより撮影時等に操作者によって把持されるグリップ部26が構成される。グリップ部26はグリップ構成部7とラバー25とリアキャビネット4の右端部を含む部分である。操作者は、例えば、右手50の親指51を除く四本の指52をラバー25に前側から宛がい、親指51をリアキャビネット4の右端部に後側から宛がった状態でグリップ部26を把持する(
図7参照)。
【0031】
グリップ部26はラバー25を有していることにより、操作者によって把持されたときに右手50が滑り難くグリップ部26を安定した状態で把持することが可能にされている。
【0032】
トップキャビネット5が上方からフロントキャビネット3とリアキャビネット4に結合された状態においては、トップキャビネット5の操作配置部22aがグリップ部26の真上から左方に亘って位置される(
図1及び
図2参照)。
【0033】
フロントキャビネット3とリアキャビネット4によって形成された内部の空間には撮像素子27や図示しない回路基板等の各部が配置され、撮像素子27は開口9aの真後ろに位置される(
図1参照)。従って、撮像素子27は開口9aから臨まれる位置に配置される。
【0034】
トップキャビネット5の操作配置部22aには複数の操作部28が配置されている(
図1乃至
図3参照)。操作部28としては、例えば、前側ダイヤル28a、シャッター釦28b、電源摘子28c、ムービー釦28d、カスタム釦28e、モードダイヤル28f、モード用ロック解除釦28g、後側ダイヤル28h、露出補正ダイヤル28i、露出補正用ロック解除釦28jが設けられている。
【0035】
前側ダイヤル28aと後側ダイヤル28hは撮影時等に撮影モード毎に必要な設定を素早く設定するためのダイヤルである。前側ダイヤル28aは操作配置部22aの最も前側に位置され、後側ダイヤル28hは操作配置部22aの後端部に位置されている。
【0036】
シャッター釦28bは静止画撮影及び動画撮影の開始又は終了を行うための釦である。シャッター釦28bは前側ダイヤル28aの直ぐ後側において、グリップ部26における前方に突出された部分の真上に位置されている。
【0037】
電源摘子28cは回転操作されることにより電源のオンオフを行うための摘子である。電源摘子28cはシャッター釦28bの周囲においてグリップ部26の真上に位置されている。
【0038】
ムービー釦28dは動画撮影の開始又は終了を行うための釦である。ムービー釦28dは電源摘子28cの直ぐ後側に位置されている。
【0039】
カスタム釦28eにはモードダイヤル28f等に対する操作によって設定された各モードが割り当てられる。従って、カスタム釦28eが操作されることにより、設定されたモードに素早く移行することが可能にされている。カスタム釦28eは電源摘子28cの直ぐ後側においてムービー釦28dと左右に離隔して位置され、ムービー釦28dよりファインダーパネル部23に近い側に位置されている。
【0040】
モードダイヤル28fは回転操作されることにより静止画撮影モードや動画撮影モード等のモードを切り替えるためのダイヤルである。モードダイヤル28fは左右方向にいてカスタム釦28eを挟んでムービー釦28dの反対側に位置されている。
【0041】
モード用ロック解除釦28gはモードダイヤル28fをロックするための釦である。モード用ロック解除釦28gはモードダイヤル28fの中心部に位置されている。
【0042】
露出補正ダイヤル28iは撮影時等に露出を調整するためのダイヤルである。露出補正ダイヤル28iは後側ダイヤル28hの側方においてムービー釦28dの後側に位置されている。
【0043】
露出補正用ロック解除釦28jは露出補正ダイヤル28iをロックするための釦であり、押圧される毎に露出補正ダイヤル28iのロックとロックの解除が行われる構成にされている。露出補正用ロック解除釦28jは露出補正ダイヤル28iの中心部に位置されている。
【0044】
リアキャビネット4の後面パネル部19には複数の操作部29が配置されている。操作部29としては、例えば、撮影時等に表示パネル21に表示されるメニューの変更を行うためのコントロールダイヤルやカスタム釦28eと同様の機能を有する他のカスタム釦等が配置されている。
【0045】
撮像装置1は重心Gが全体の略中央部に存在する(
図1及び
図2参照)。具体的には、重心Gが撮像素子27の上下方向における略中央部の直ぐ後側かつファインダーパネル部23の右端部における真下に存在する。従って、重心Gはグリップ部26より左方に存在する。
【0046】
<振動デバイス等>
次に、グリップ部26の内部において取り付けられる振動デバイス30等について説明する(
図5及び
図6参照)。
【0047】
振動デバイス30は所定の操作部28又は操作部29が操作されたときに振動する機能を有している。振動デバイス30は通電(交流電流)により振動し、振動時に発熱する性質を有している。振動デバイス30における消費電力は電流量に依存し、発熱により消費電力が増加する。また、振動デバイス30においては内部抵抗に比例して消費電力が大きくなり、内部抵抗は振動デバイス30の温度に依存して上昇する。
【0048】
振動デバイス30としては、例えば、LRA(Linear Resonant Actuator)と称されコイルとマグネットを有するタイプのコイン型が用いられている。但し、振動デバイス30としては、LRAのバー型やERM(Eccentric Rotating Mass)と称され偏心モーターが用いられるタイプやピエゾ素子が用いられるタイプであってもよい。
【0049】
振動デバイス30としてLRAタイプのコイン型が用いられることにより、振動デバイス30の厚みが薄く振動デバイス30を取り付けるためのスペースが小さくて済み、撮像装置1の小型化を図ることができる。
【0050】
振動デバイス30は外形が扁平な円柱状に形成された本体部31と本体部31に接続された給電部32とを有している。振動デバイス30は厚み方向(上下方向)における両面がそれぞれ第1の接触面31aと第2の接触面31bとして形成されている。第1の接触面31aの面積と第2の接触面31bの面積は本体部31の他の面の面積より大きくされている。給電部32は本体部31の厚み方向において第2の接触面31b側の端部から本体部31の径方向における外側に突出されている。
【0051】
振動デバイス30はフロントキャビネット3における内側配置部8のデバイス取付部18に上方から取り付けられ、第2の接触面31bがデバイス取付部18に面接触される。振動デバイス30がデバイス取付部18に取り付けられた状態において、給電部32が図示しない給電端子又は接続ケーブルに接続される。尚、振動デバイス30は熱伝導性を有する接着シートによってデバイス取付部18に貼り付けられることにより取り付けられてもよい。
【0052】
振動デバイス30はトップキャビネット5における操作配置部22aの真下に位置され、例えば、カスタム釦28eの真下に位置されている。尚、振動デバイス30は操作配置部22aに配置されたカスタム釦28e以外の他の操作部28の真下に位置されていてもよい。
【0053】
振動デバイス30はデバイス取付部18に取り付けられた状態において押さえ板33によって押さえられる。押さえ板33は板状の金属材料が所定の形状に折り曲げられて形成されている。押さえ板33は、例えば、ステンレス鋼やアルミニウムや銅等によって形成されている。
【0054】
押さえ板33は上下方向を向く押さえ部34と押さえ部34から水平方向に突出された第1の被取付部35と押さえ部34から下方に突出された連結部36と連結部36の下端部から水平方向に突出された第2の被取付部37とから成る。第1の被取付部35と第2の被取付部37は押さえ部34を挟んで略反対側に位置されている。
【0055】
押さえ部34は厚み方向において弾性変形可能にされている。第1の被取付部35には先端寄りの部分にネジ挿通孔35aが形成され先端部に位置決め孔35bが形成されている。第2の被取付部37にはネジ挿通孔37aが形成されている。
【0056】
押さえ板33は位置決め孔35bに位置決めピン16が挿入されることにより内側配置部8に対して位置決めされる。押さえ板33は内側配置部8に対して位置決めされた状態においてネジ挿通孔35aとネジ挿通孔37aにそれぞれ挿通された取付ネジ40が螺穴15aと螺孔17に螺合されて内側配置部8に取り付けられる。
【0057】
押さえ板33が内側配置部8に取り付けられた状態においては、押さえ板33の押さえ部34によって振動デバイス30の本体部31が上方から押さえられ、押さえ部34が第1の接触面31aに面接触される。このとき押さえ部34が厚み方向において弾性変形可能にされており、振動デバイス30は押さえ部34が僅かに弾性変形された状態で押さえ板33に押さえられていてもよい。振動デバイス30は厚み方向が上下方向にされた状態で内側配置部8に取り付けられるため、振動の方向が上下方向にされている。
【0058】
上記のように振動デバイス30は押さえ板33に押さえられた状態でグリップ部26の内部において取り付けられ、撮像装置1の重心Gから離隔され、撮像素子27の外周面の外側に位置される。
【0059】
<撮像装置における動作>
次いで、撮像装置1において振動デバイス30が振動するときの動作について説明する。
【0060】
撮像装置1において、例えば、シャッター釦28bが操作されると、シャッター釦28bに対する操作に連動して振動デバイス30が振動する。振動デバイス30が振動することにより、操作者においてシャッター釦28bを操作した操作感が指に伝達された振動によって認識される。
【0061】
このとき振動デバイス30が高い剛性を有するフロントキャビネット3の一部である内側配置部8に取り付けられているため、筐体2で伝達される振動が減衰され難くグリップ部26を把持している操作者の親指51と指52に確実かつ良好に伝達される。従って、操作者においてシャッター釦28bに対する操作感が確実に認識され高い操作感覚が得られる。
【0062】
また、撮像装置1においては、振動デバイス30が重心Gから離隔した位置に存在するため、撮影時に振動デバイス30が振動したときに撮影される画像や映像のブレが小さく、撮影時における像ブレを抑制することができる。特に、撮像装置1においては、振動デバイス30が重心Gから離隔した位置に存在し振動デバイス30が上下方向Aにおいて振動する(
図8参照)。従って、振動によって撮像装置1に付与される方向が重心Gを基準とした回転方向Rになると共に重心Gが撮像素子27の近傍に位置されているため、撮像素子27が振動に伴って上下方向へ変位されず回転方向Rへ微小に変位され、撮影時における像ブレを効果的に抑制することができる。
【0063】
振動デバイス30が振動するときには振動デバイス30に通電が行われており振動デバイス30が発熱するが、発生した熱が内側配置部8と押さえ板33に伝達されて振動デバイス30の温度上昇が抑制される。従って、振動デバイス30の内部抵抗の上昇が抑制される。
【0064】
尚、上記には、シャッター釦28bが操作されたときに操作に連動して振動デバイス30が振動する例を示したが、撮像装置1においては、シャッター釦28b以外の操作部28や操作部29が操作されたときに操作に連動して振動デバイス30が振動する構成にされていてもよい。また、表示パネル21がタッチパネルとして設けられている場合に、表示パネル21の所定の部分が操作されたときに操作に連動して振動デバイス30が振動する構成にされていてもよい。
【0065】
<その他>
上記には、振動デバイス30がフロントキャビネット3の内側配置部8に取り付けられた例を示したが、撮像装置1においては、振動デバイス30がグリップ部26の内部において筐体2の内側配置部8以外の他の部分に取り付けられてもよい。例えば、振動デバイス30がフロントキャビネット3におけるグリップ構成部7の内面に取り付けられてもよい(
図9参照)。この場合には、振動デバイス30の振動の方向が、例えば、前後方向にされる。振動デバイス30の振動の方向が前後方向にされた場合にも、振動によって撮像装置1に付与される方向が重心Gを基準とした回転方向になるため、撮像素子27が振動に伴って前後方向へ変位されず回転方向へ微小に変位され、撮影時における像ブレを効果的に抑制することができる。
【0066】
<まとめ>
以上に記載した通り、撮像装置1にあっては、内部に撮像素子27が配置され複数のキャビネットが結合されることにより構成された筐体2と、所定の操作時に振動する振動デバイス30とを備え、キャビネットの一部が操作者によって把持されるグリップ部26の内部に位置され、振動デバイス30がグリップ部26の内部においてキャビネットに取り付けられている。
【0067】
従って、所定の操作時にグリップ部26の内部において剛体であるキャビネットに取り付けられた振動デバイス30が振動するため、振動デバイス30において発生した振動が減衰し難く、グリップ部26を把持している操作者の指に振動デバイス30において発生した振動を確実かつ良好に伝達することができる。
【0068】
また、キャビネットの一つとしてフロントキャビネット3が設けられ、フロントキャビネット3は開口9aが形成されたベース部6とグリップ部26の少なくとも一部を構成するグリップ構成部7とグリップ部26の内部に配置され振動デバイス30が取り付けられた内側配置部8とを有し、ベース部6とグリップ構成部7と内側配置部8が一体に形成されている。
【0069】
従って、内側配置部8が一層剛性の高い部分として設けられるため、振動デバイス30において発生する振動が一層減衰し難くフロントキャビネット3から操作者の指に十分な大きさの振動を伝達することができる。
【0070】
さらに、内側配置部8がグリップ構成部7に連続して設けられている。
【0071】
従って、内側配置部8に取り付けられた振動デバイス30がグリップ部26に近い位置に存在するため、振動デバイス30において発生する振動を操作者の指に十分な大きさで伝達することができる。
【0072】
さらにまた、フロントキャビネット3が金属材料によって形成されているため、フロントキャビネット3の剛性が高くなると共にフロントキャビネット3の放熱性が高まるため、振動デバイス30において発生する振動のフロントキャビネット3への伝達効率の向上を図ることができると共に振動デバイス30において発生する熱に関する放熱性の向上による消費電力の低減を図ることができる。
【0073】
また、振動デバイス30が金属材料によって形成された押さえ板33によって押さえられ、押さえ板33がフロントキャビネット3に取り付けられている。
【0074】
従って、振動デバイス30がフロントキャビネット3と押さえ板33によって挟持された状態でフロントキャビネット3に取り付けられるため、振動デバイス30において発生する熱に関する高い放熱性を確保することができると共に振動デバイス30をフロントキャビネット3に安定した状態で取り付けることができる。
【0075】
さらに、押さえ部34が弾性変形された状態において振動デバイス30が押さえ板33に押さえられることにより、振動デバイス30がフロントキャビネット3と弾性変形された押さえ板33の押さえ部34とによって挟持された状態でフロントキャビネット3に取り付けられるため、振動デバイス30をフロントキャビネット3に一層安定した状態で取り付けることができる。
【0076】
さらにまた、振動デバイス30は反対側に位置された両面が第1の接触面31aと第2の接触面31bとして形成され、振動デバイス30は第1の接触面31aの面積と第2の接触面31bの面積が他の面の面積より大きくされ、第1の接触面31aがフロントキャビネット3に面接触され第2の接触面31bが押さえ板33に面接触されている。
【0077】
従って、振動デバイス30の各面のうち他の面より面積の大きな第1の接触面31aと第2の接触面31bがそれぞれフロントキャビネット3と押さえ板33に面接触されるため、振動デバイス30において発生する熱に関する放熱性の一層の向上を図ることができ消費電力の一層の低減を図ることができる。
【0078】
加えて、操作配置部22aがグリップ部26に連続する位置に設けられ、振動デバイス30が操作配置部22aの内面側に位置されている。
【0079】
従って、振動デバイス30が操作部28に近い位置に存在するため、操作時に操作者の指に振動が伝達され易く、振動の伝達により操作者において操作を行ったことを確実に認識することができる。
【0080】
<撮像装置の一実施形態>
以下に、撮像装置1の一実施形態の構成例について説明する(
図10参照)。
【0081】
撮像装置1には、例えば、撮像機能を担うカメラブロック90を有する交換レンズが取り付けられる。
【0082】
撮像装置1は、撮影された画像信号のアナログ-デジタル変換等の信号処理を行うカメラ信号処理部91と、画像信号の記録再生処理を行う画像処理部92とを有している。また、撮像装置1は、撮影された画像等を表示する表示部93(表示パネル21)と、メモリ99への画像信号の書込及び読出を行うR/W(リーダ/ライタ)94と、撮像装置1の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)95と、カメラブロック90に配置されたレンズの駆動を制御するレンズ駆動制御部96と、ユーザーによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等の操作部97(操作部28及び操作部29)とを有している。
【0083】
撮像装置1には、カメラブロック90によって取り込まれた光学像を電気的信号に変換するCCDやCMOS等の撮像素子98(撮像素子27)が設けられている。
【0084】
カメラ信号処理部91は、撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行う。
【0085】
画像処理部92は、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理等を行う。
【0086】
表示部93はユーザーの操作部97に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデータを表示する機能を有している。尚、撮像装置1においては、表示部93が設けられていなくてもよく、撮影された画像データが他の表示装置に送出されて画像が表示されるように構成されていてもよい。
【0087】
R/W94は、画像処理部92によって符号化された画像データのメモリ99への書込及びメモリ99に記録された画像データの読出を行う。
【0088】
CPU95は、撮像装置1に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能し、操作部97からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。
【0089】
レンズ駆動制御部96は、CPU95からの制御信号に基づいてレンズを移動させる駆動源を制御する。
【0090】
操作部97はユーザーによる操作に応じた指示入力信号をCPU95に対して出力する。
【0091】
メモリ99は、例えば、R/W94に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリ又は撮像装置1の内部に予め組み込まれている半導体メモリである。
【0092】
以下に、撮像装置1における動作を説明する。
【0093】
撮影の待機状態では、CPU95による制御の下で、撮影された画像信号がカメラ信号処理部91を介して表示部93に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、操作部97からの指示入力信号が入力されると、CPU95がレンズ駆動制御部96に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部96の制御に基づいてレンズが移動される。
【0094】
操作部97からの指示入力信号により撮影動作が行われると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部91から画像処理部92に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデータフォーマットのデジタルデータに変換される。変換されたデータはR/W94に出力され、メモリ99に書き込まれる。
【0095】
メモリ99に記録された画像データを再生する場合には、操作部97に対する操作に応じて、R/W94によってメモリ99から所定の画像データが読み出され、画像処理部92によって伸張復号化処理が行われた後に、再生画像信号が表示部93に出力されて再生画像が表示される。
【0096】
尚、本技術において、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理から、カメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理、R/W94によるメモリ99への画像信号の書込処理までの一連の処理の一部のみ、または全てを含む処理のことを言う。
【0097】
即ち、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理のみを指してもよく、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理までを指してもよい、また、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理を経て、画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理までを指してもよい。さらに、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、及び画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理までを指してもよく、R/W94によるメモリ99への画像信号の書込処理までを指してもよい。
【0098】
上記の処理において各処理の順番は適宜入れ替わってもよい。
【0099】
また、本技術において、カメラブロック90及び撮像装置1は、上記の処理を行う撮像素子98、カメラ信号処理部91、画像処理部92、R/W94の一部のみまたは全てを含むように構成されていてもよい。
【0100】
さらに、カメラブロック90が撮像素子98、カメラ信号処理部91、画像処理部92、R/W94のうち一部を含んで構成されていてもよい。
【0101】
<本技術>
本技術は、以下のような構成にすることもできる。
【0102】
(1)
内部に撮像素子が配置され複数のキャビネットが結合されることにより構成された筐体と、
所定の操作時に振動する振動デバイスとを備え、
前記キャビネットの一部が操作者によって把持されるグリップ部の内部に位置され、
前記振動デバイスが前記グリップ部の内部において前記キャビネットに取り付けられた
撮像装置。
【0103】
(2)
前記キャビネットの一つとして前記撮像素子を外部に臨ませるための開口を有するフロントキャビネットが設けられ、
前記フロントキャビネットは前記開口が形成されたベース部と前記グリップ部の少なくとも一部を構成するグリップ構成部と前記グリップ部の内部に配置され前記振動デバイスが取り付けられた内側配置部とを有し、
前記ベース部と前記グリップ構成部と前記内側配置部が一体に形成された
前記(1)に記載の撮像装置。
【0104】
(3)
前記内側配置部が前記グリップ構成部に連続して設けられた
前記(2)に記載の撮像装置。
【0105】
(4)
前記キャビネットが金属材料によって形成された
前記(1)から前記(3)の何れかに記載の撮像装置。
【0106】
(5)
前記振動デバイスが金属材料によって形成された押さえ板によって押さえられ、
前記押さえ板が前記キャビネットに取り付けられた
前記(4)に記載の撮像装置。
【0107】
(6)
前記押さえ板に弾性変形可能な押さえ部が設けられ、
前記振動デバイスは前記押さえ部が弾性変形された状態で前記押さえ板に押さえられた
前記(5)に記載の撮像装置。
【0108】
(7)
前記振動デバイスは反対側に位置された両面がそれぞれ第1の接触面と第2の接触面として形成され、
前記振動デバイスは前記第1の接触面の面積と前記第2の接触面の面積が他の面の面積より大きくされ、
前記第1の接触面が前記キャビネットに面接触され前記第2の接触面が前記押さえ板に面接触された
前記(5)又は前記(6)に記載の撮像装置。
【0109】
(8)
前記キャビネットに所定の操作部が配置された操作配置部が設けられ、
前記操作配置部が前記グリップ部に連続する位置に設けられ、
前記振動デバイスが前記操作配置部の内面側に位置された
前記(1)から前記(7)の何れかに記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0110】
1 撮像装置
2 筐体
3 フロントキャビネット
4 リアキャビネット
5 トップキャビネット
6 ベース部
7 グリップ構成部
8 内側配置部
9a 開口
26 グリップ部
27 撮像素子
28 操作部
29 操作部
30 振動デバイス
31a 第1の接触面
31b 第2の接触面
33 押さえ板
34 押さえ部