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特開2023-150201車両用表示制御システム、プログラム、車両用表示制御方法、および車両用表示制御装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150201
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】車両用表示制御システム、プログラム、車両用表示制御方法、および車両用表示制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231005BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60K35/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059180
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 大輔
【テーマコード(参考)】
3D344
5H181
【Fターム(参考)】
3D344AA19
3D344AA20
3D344AA26
3D344AA27
3D344AC25
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181EE12
5H181EE13
5H181FF05
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF39
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】ドライバの不安を低減できる車両用表示制御システム、プログラム、車両用表示制御方法、および車両用表示制御装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る車両用表示制御システムは、障害物センサと、表示制御部と、環境要因センサと、検出範囲補正部と、検出範囲更新機能部と、を備える。障害物センサは、車両の周辺に存在する障害物を検出する。表示制御部は、障害物センサの障害物の検出範囲に収まる検出目安領域を、車両のドライバの視点で表す検出目安画像に変換し、検出目安画像を車両の周囲の景色に重畳表示させる表示装置を制御する。環境要因センサは、検出範囲を変動させる環境要因を検出する。検出範囲補正部は、環境要因に応じて検出範囲を補正する。検出範囲更新機能部は、補正された検出範囲に応じて検出目安領域を更新する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺に存在する障害物を検出する障害物センサと、
前記障害物センサの前記障害物の検出範囲に収まる検出目安領域を、前記車両のドライバの視点で表す検出目安画像に変換し、前記検出目安画像を前記車両の周囲の景色に重畳表示させる表示装置を制御する表示制御部と、
前記検出範囲を変動させる環境要因を検出する環境要因センサと、
前記環境要因に応じて前記検出範囲を補正する検出範囲補正部と、
補正された前記検出範囲に応じて前記検出目安領域を更新する検出範囲更新機能部と、
を備える車両用表示制御システム。
【請求項2】
前記環境要因は、前記検出範囲を変動させる外乱を含み、
前記検出範囲補正部は、前記外乱が大きくなるに従って、前記検出範囲を狭める、請求項1に記載の車両用表示制御システム。
【請求項3】
前記外乱は、雨、雪、霧、温度、および日照の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の車両用表示制御システム。
【請求項4】
前記障害物センサにより前記障害物を検出した場合に、前記車両に対する前記障害物の相対位置を特定する相対位置特定部をさらに備え、
前記表示制御部は、さらに、前記障害物が前記検出目安領域内にあった場合、前記検出目安画像のうち、前記相対位置に応じた方向にある境界領域の表示態様を変化させる、請求項1から3のいずれか一つに記載の車両用表示制御システム。
【請求項5】
前記車両は、操舵および加減速の少なくともいずれかを自動で行う自動運転と、操舵および加減速のいずれも前記ドライバの運転操作に従って行う非自動運転と、を切り替え可能であり、
前記表示制御部は、前記車両が前記自動運転中の場合、前記検出目安画像を表示し、前記車両が前記非自動運転中の場合、前記検出目安画像を表示させない、請求項1から4のいずれか一つに記載の車両用表示制御システム。
【請求項6】
コンピュータを、
車両の周辺に存在する障害物を検出する障害物センサの検出範囲に収まる検出目安領域を、前記車両のドライバの視点で表す検出目安画像に変換し、前記検出目安画像を前記車両の周囲の景色に重畳表示させる表示装置を制御する表示制御部と、
前記検出範囲を変動させる環境要因の検出結果に応じて前記検出範囲を補正する検出範囲補正部と、
補正された前記検出範囲に応じて前記検出目安領域を更新する検出範囲更新機能部と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項7】
車両用表示制御システムで実行される車両用表示制御方法であって、
表示制御部が、車両の周辺に存在する障害物を検出する障害物センサの検出範囲に収まる検出目安領域を、前記車両のドライバの視点で表す検出目安画像に変換し、前記検出目安画像を前記車両の周囲の景色に重畳表示させる表示装置を制御する工程と、
検出範囲補正部が、前記検出範囲を変動させる環境要因の検出結果に応じて前記検出範囲を補正する工程と、
検出範囲更新機能部が、補正された前記検出範囲に応じて前記検出目安領域を更新する工程能と、
を含む車両用表示制御方法。
【請求項8】
車両の周辺に存在する障害物を検出する障害物センサの前記障害物の検出範囲に収まる検出目安領域を、前記車両のドライバの視点で表す検出目安画像に変換し、前記検出目安画像を前記車両の周囲の景色に重畳表示させる表示制御部と、
前記検出範囲を変動させる環境要因の検出結果に基づいて補正された前記検出範囲に応じて前記検出目安領域を更新する検出範囲更新機能部と、
を備える車両用表示制御装置。
【請求項9】
前記障害物センサにより前記障害物を検出した場合に、前記車両に対する前記障害物の相対位置を特定する相対位置特定部をさらに備え、
前記表示制御部は、さらに、前記障害物が前記検出目安領域内にあった場合、前記検出目安画像のうち、前記相対位置に応じた方向にある境界領域の表示態様を変化させる、請求項8に記載の車両用表示制御装置。
【請求項10】
前記車両は、操舵および加減速の少なくともいずれかを自動で行う自動運転と、操舵および加減速のいずれも前記ドライバの運転操作に従って行う非自動運転と、を切り替え可能であり、
前記表示制御部は、前記車両が前記自動運転中の場合、前記検出目安画像を表示し、前記車両が前記非自動運転中の場合、前記検出目安画像を表示させない、請求項8または9に記載の車両用表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用表示制御システム、プログラム、車両用表示制御方法、および車両用表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバの安心感向上を目的として、どの程度の範囲までが障害物センサの検出範囲となっているのか示す検出目安領域を、HUD(Head Up Display)等の表示装置に投影する技術(特許文献1参照)が開発されている。検出目安領域は、障害物センサの検出範囲を超えない範囲で、拡大または縮小される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6252316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
障害物センサの検出範囲は、環境要因(例えば、天候、温度)により変動するが、特許文献1には、環境要因により障害物センサの検出範囲が変動した場合に、検出範囲を補正する技術は開示されていない。そのため、特許文献1記載の技術では、環境要因により障害物センサの検出範囲が狭まった場合に、検出目安領域が更新されないため、検出目安領域に障害物が存在しても、障害物センサにより障害物が検出されない状況が発生する可能性があり、ドライバの不安が増す可能性がある。
【0005】
本開示は、ドライバの不安を低減できる車両用表示制御システム、プログラム、車両用表示制御方法、および車両用表示制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両用表示制御システムは、障害物センサと、表示制御部と、環境要因センサと、検出範囲補正部と、検出範囲更新機能部と、を備える。障害物センサは、車両の周辺に存在する障害物を検出する。表示制御部は、障害物センサの障害物の検出範囲に収まる検出目安領域を、車両のドライバの視点で表す検出目安画像に変換し、検出目安画像を車両の周囲の景色に重畳表示させる表示装置を制御する。環境要因センサは、検出範囲を変動させる環境要因を検出する。検出範囲補正部は、環境要因に応じて検出範囲を補正する。検出範囲更新機能部は、補正された検出範囲に応じて検出目安領域を更新する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る車両用表示制御システム、プログラム、車両用表示制御方法、および車両用表示制御装置によれば、ドライバの不安を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1における運転支援システム100の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図2-1】図2-1は、障害物センサ群2の検出範囲の一例を示す模式図である。
図2-2】図2-2は、障害物センサ群2の検出範囲の補正処理の一例を説明するための図である。
図3図3は、実施形態1におけるHCU1の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、検出目安領域について説明するための模式図である。
図5図5は、検出目安領域の選択について説明するための模式図である。
図6図6は、HCU1での表示制御関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、障害物通知領域の設定の一例について説明するための模式図である。
図8図8は、円弧状の波紋の間隔の設定について説明するための模式図である。
図9図9は、円弧状の波紋が広がる方向に波紋が動いて見えるように表示させるための設定について説明するための模式図である。
図10-1】図10-1は、投影変換するために検出目安領域から切り出す範囲について説明するための模式図である。
図10-2】図10-2は、検出目安画像の表示処理の一例を説明するための図である。
図11図11は、ウインドシールドに投影される検出目安画像の表示態様について説明するための模式図である。
図12図12は、ウインドシールドに投影される検出目安画像の表示態様について説明するための模式図である。
図13図13は、ウインドシールドに投影される検出目安画像の表示態様について説明するための模式図である。
図14図14は、ウインドシールドに投影される障害物通知画像の表示態様について説明するための模式図である。
図15図15は、変形例1における運転支援システム200の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図16図16は、変形例1におけるHCU1aの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図17図17は、障害物との鉢合わせについて警告するアイコン画像の表示の一例である。
図18図18は、一定の方向に障害物を頻繁に検出している場合のウインドシールドに投影される画像の表示の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る車両用表示制御システム、プログラム、車両用表示制御方法、および車両用表示制御装置の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、左側通行が法制化されている地域に対応した実施形態であり、右側が法制化されている地域では、以下の実施形態と左右が逆になる。
【0010】
(実施形態1)
<運転支援システム100の概略構成>
図1は、本発明に係る車両用表示制御装置が適用された運転支援システム100の概略的な構成の一例を示す図である。図1に示すように、運転支援システム100は、車両用表示制御システムとして機能し、HCU(Human Machine Interface Control Unit)1、障害物センサ群2、周辺監視ECU3、HUD(Head-Up Display)4、車両状態センサ群5、車両制御ECU6、操作スイッチ群7、環境要因センサ群21、および検出範囲補正部22を備える。例えば、HCU1と、周辺監視ECU3、車両状態センサ群5、及び車両制御ECU6とは、車内LANを介して接続されている。運転支援システム100を搭載している車両を以降では自車と呼ぶ。
【0011】
障害物センサ群2は、自車に搭載され、自車の周囲に存在する障害物を検出するための種々の障害物センサである。障害物センサ群2は、ミリ波レーダ、レーザレーダ、ソナー、カメラ等の障害物センサである。本実施形態では、障害物センサ群2は、自車に搭載されているが、これに限定するものではなく、車両の外部に設けられていても良い。例えば、障害物センサ群2は、インフラ側に設けられるセンサ(例えば、監視カメラ)を含んでいても良い。この場合、運転支援システム100は、インフラ側に設けられるセンサ等から障害物の検出結果を受信する。
【0012】
ここで、障害物センサ群2の検出範囲について図2-1を用いて説明する。図2-1は、障害物センサ群2の検出範囲の一例を示す図であって、HVが自車を示しており、SEが障害物センサ群2の検出範囲を示している。以降の図についても同様である。障害物センサ群2は、例えば、検出範囲の異なるセンサを複数組み合わせることによって、図2-1に示すように、自車の周囲の全方位を検出範囲としている。
【0013】
周辺監視ECU3は、障害物センサ群2の作動を制御する。また、周辺監視ECU3は、障害物センサ群2の信号をもとに、自車の周囲に存在する障害物の検出や、その障害物の自車に対する相対位置や相対速度を検出する。そして、検出した相対位置や相対速度をHCU1に逐次出力する。
【0014】
例えば、障害物センサ群2がミリ波レーダ、レーザレーダ、ソナーである場合には、探査波に対して反射波を受信したことから障害物を検出する。また、反射波の得られた探査波を送信した方向から自車に対する障害物の方位を検出し、探査波を送信してから反射波を受信するまでの時間から自車から障害物までの距離を検出する。障害物センサ群2がレーダの場合には、位相モノパルス方式のレーダを用いることで自車に対する相対位置を検出する構成としてもよい。相対速度については、探査波と反射波とのドップラーシフトをもとに、公知の方法によって検出する構成とすればよい。
【0015】
障害物センサ群2がカメラである場合には、公知の画像認識技術によって障害物を検出する。また、自車に対するカメラの設置位置及び光軸の向きが決まれば、撮像画像中での位置から、自車に対する方位や距離(つまり、相対位置)を検出することができるので、自車に対するカメラの設置位置及び光軸の向きと、撮像画像中の障害物の位置とから、自車に対する障害物の相対位置を検出する。障害物センサ群2がステレオカメラの場合には、一対のカメラの視差量をもとに、自車に対する障害物の距離を検出する構成とすればよい。相対速度については、逐次撮像される撮像画像中における障害物の大きさの変化をもとに相対速度を検出する構成とすればよい。
【0016】
HUD4は、TFT液晶パネルに形成された表示画像を自車のウインドシールドに投影することにより、表示画像の虚像を自車の室内から視認可能に表示させるヘッドアップディスプレイ装置である。HUD4によって表示されるこの虚像は、車両前方の風景と重なってドライバに視認される。つまり、HUD4は、自車のウインドシールドを通して自車のドライバに見える景色に画像を重畳表示させる。以降では、HUD4によってウインドシールドに投影される表示画像を、HUD画像と呼ぶ。なお、HUD4は、表示素子としてTFT液晶パネルを用いる構成に限らず、レーザー素子を用いる構成としてもよい。
【0017】
HUD画像が投影されるウインドシールド上の投影面は、ドライバの視線移動量を少なくして焦点調整負荷を軽減するために、ドライバが運転操作する際に確保されるべき運転視界領域よりも下方に位置するようになっている。
【0018】
車両状態センサ群5は、自車の状態を検出する種々のセンサであって、例えば、車速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、衛星測位システムで用いる受信機、舵角センサなどが含まれる。車速センサは自車の速度を検出し、加速度センサは自車に作用する加速度を検出し、ヨーレートセンサは、自車の鉛直軸まわりの角速度(つまり、ヨーレート)を検出する。衛星測位システムで用いる受信機は、測位衛星からの電波を受信することで、現在位置を示すデータを取得する。舵角センサは、自車の操舵角を検出する。
【0019】
車両制御ECU6は、周辺監視ECU3や車両状態センサ群5から入力される情報に基づき、図示しないEPS_ECUに自動で操舵制御を行わせたり、図示しないエンジンECUやブレーキECUに自動で加減速制御を行わせたりする。EPS_ECUは、EPSアクチュエータを動作させることで操舵角の制御を行う。エンジンECUは、スロットルアクチュエータを動作させることで加速の制御を行う。ブレーキECUは、ブレーキアクチュエータを動作させることで減速の制御を行う。
【0020】
自動で加減速制御を行う例としては、周辺監視ECU3で検出した障害物のうちの自車の先行車との車間距離が目標車間距離となるように自動で加減速制御を行う周知の追従走行制御が挙げられる。自動で操舵制御を行う例としては、走行車線を維持するように自動で操舵制御を行う車線保持制御が挙げられる。車線保持制御を行う場合には、障害物センサ群2に、自車前方の路面を撮像するためのカメラを含ませる構成とする。追従走行制御や車線保持制御を実施して自車が走行していることを以降では自動運転と呼ぶ。なお、自動運転は半自動運転と言い換えることもできる。
【0021】
操作スイッチ群7は、例えばステアリング周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等である。操作スイッチ群7は、自動運転の開始/終了を切り替えたり、各種設定を行ったりするためにドライバによって操作される。
【0022】
環境要因センサ群21は、障害物センサ群2の検出範囲を変動させる環境要因を検出する環境要因センサである。例えば、環境要因センサ群21は、温度センサ、日射センサ、雨滴センサ等のセンサを含んでも良いし、イメージセンサ、LiDAR(Light Detection and Ranging)等でデータを取得し、さらに、そのデータを後処理して環境要因を特定する装置を含んでも良い。ここで、環境要因は、障害物センサ群2の検出範囲または検出精度を変動させる外乱を含む。環境要因が含む外乱は、雨(雨量:Xmm)、雪、霧、温度、および日照の少なくとも1つを含んでいても良い。
【0023】
検出範囲補正部22は、環境要因センサ群21により検出される環境要因に応じて、障害物センサ群2の検出範囲を補正する補正部である。本実施形態では、検出範囲補正部22は、検出される環境要因が外乱を含む場合、当該外乱が大きくなるに従って、障害物センサ群2の検出範囲を狭める。図2-2は、障害物センサ群の検出範囲の補正処理の一例を説明するための図である。例えば、環境要因センサ群21により検出される外乱の一例である雨量が0(mm)からX(mm)に増えた場合、検出範囲補正部22は、図2-2に示すように、障害物センサ群2の検出範囲を狭める。
【0024】
また、検出範囲補正部22は、障害物センサ群2の種類に応じて、障害物センサ群2の検出範囲の補正を変更することも可能である。例えば、障害物センサ群が有する障害物センサがイメージセンサ(カメラ)である場合、その特徴として悪天候(例えば、雨、雪、霧)に弱い。そのため、例えば、環境要因センサ群21により環境要因として検出される雨量が雨量X(mm)以上である場合、検出範囲補正部22は、障害物センサ群2の検出範囲を、予め設定される検出範囲より狭い検出範囲に狭めても良い。
【0025】
また、例えば、障害物センサ群2が有する障害物センサがソナーである場合、その特徴として、当該ソナーの周辺が高温または低温の場合に信頼性が低下する。そのため、例えば、環境要因センサ群21により検出される障害物センサ群2の周辺温度がセンサ周辺温度X2以上である場合、検出範囲補正部22は、障害物センサ群2の検出範囲を、予め設定される検出範囲より狭い検出範囲Y2に狭めても良い。
【0026】
本実施形態では、検出範囲補正部22は、HCU1の外部に設けられているが、HCU1の内部に設けられていても良い。また、本実施形態では、検出範囲補正部22は、環境要因センサ群21から環境要因を取得しているが、これに限定するものではなく、例えば、周辺監視ECU3から、当該周辺監視ECU3に接続されるセンサにより検出される環境要因を取得しても良い。
【0027】
HCU1は、主にマイクロコンピュータとして構成され、いずれも周知のCPU、ROMやRAMやEEPROM等のメモリ、I/O、及びこれらを接続するバスによって構成される。HCU1は、周辺監視ECU3、車両状態センサ群5、車両制御ECU6、操作スイッチ群7、検出範囲補正部22から入力された各種情報に基づき、HUD4を用いて投影させる表示画像を生成してHUD4に投影させる表示制御関連処理等の各種処理を実行する。このHCU1が、請求項の車両用表示制御装置に相当する。
【0028】
なお、HCU1が実行する機能の一部又は全部を、一つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0029】
<HCU1の詳細構成>
図3に示すように、HCU1は、センサ作動検出部11、自動運転判定部12、車速特定部13、相対位置特定部14、相対速度特定部15、検出目安領域選択部16、変換前設定部17、投影変換部18、及び表示制御部19を備えている。
【0030】
センサ作動検出部11は、周辺監視ECU3が障害物センサ群2を作動させている場合に、この周辺監視ECU3の信号から、障害物センサ群2が作動していることを検出する。
【0031】
自動運転判定部12は、車両制御ECU6が追従走行制御や車線保持制御を行わせている場合に、この車両制御ECU6の信号から、自車が自動運転中と判定する。一方、車両制御ECU6が追従走行制御及び車線保持制御のいずれも行わせていない場合には、自車が非自動運転中と判定する。
【0032】
自動運転判定部12は、操作スイッチ群7に含まれる自動運転の開始/終了を切り替えるスイッチのオンオフによって、自車が自動運転中か非自動運転中かを判定する構成としてもよい。
【0033】
車速特定部13は、車両状態センサ群5に含まれる車速センサの信号から、自車の速度を特定する。相対位置特定部14は、周辺監視ECU3で検出した自車に対する障害物の相対位置を、自車に対する障害物の相対位置と特定する。すなわち、相対位置特定部14は、障害物センサ群2によって障害物を検出した場合に、自車に対する障害物の相対位置を特定する。相対速度特定部15は、周辺監視ECU3で検出した自車に対する障害物の相対速度を、自車に対する障害物の相対位置と特定する。
【0034】
検出目安領域選択部16は、操作スイッチ群7へのドライバの入力操作に基づいて、パーソナルセーフティスペース(以下、検出目安領域)の範囲を選択する。検出目安領域とは、障害物センサ群2が検出範囲としていることをドライバが把握しておきたい領域である。具体的には、検出目安領域は、障害物センサ群2の検出範囲に収まり、かつ自車から路面に沿って周辺へ広がる領域である。
【0035】
まず、検出目安領域について、図4を用いて説明を行う。検出目安領域(図4のPSS参照)は、障害物センサ群2の検出範囲(図4のSE)そのものではなく、障害物センサ群2の検出範囲よりも狭い領域である。検出目安領域は、障害物センサ群2の検出範囲そのものを示すためのものでなく、少なくともどの程度の範囲までが障害物センサ群2の検出対象となっているのかをドライバが把握するための領域である。よって、検出目安領域は、障害物センサ群2の検出範囲におさまってさえいれば、ドライバが自由に範囲を選択してもよい。
【0036】
また、検出目安領域は、自車から周辺に広がる平面領域である。本実施形態では、一例として、自車が水平面上に位置するとした場合の自車から水平方向に広がる平面領域とする。この平面領域の形状は、自車の車幅方向よりも自車の前後方向に長く、車線に沿って伸びるような形状とする。
【0037】
検出目安領域は、例えば自車から見て前後方向をY軸、左右方向をX軸、高さ方向をZ軸とするワールド座標系上における、高さの値が固定された平面として表現される構成とする。検出目安領域のZ軸の値は、路面の高さを0とした場合に、この路面から離れすぎない程度の値に設定されているものとする。一例として、検出目安領域のZ軸の値は、1m以下程度とすればよい。
【0038】
続いて、図5を用いて、検出目安領域の選択について説明を行う。ここでは、大中小の3種類の検出目安領域が選択できる場合を例に挙げて説明を行う。図5のPSSlが範囲「大」の検出目安領域、PSSmが範囲「中」の検出目安領域、PSSsが範囲「小」の検出目安領域を示している。
【0039】
ドライバは、操作スイッチ群7を操作することで、「大」、「中」、「小」から好みの範囲を選択する。検出目安領域選択部16は、操作スイッチ群7へのドライバの入力操作によって選択された範囲の検出目安領域を、以降の処理に用いるデフォルトの検出目安領域として選択する。選択された検出目安領域は、例えばHCU1の不揮発性メモリに記憶され、新たな選択が行われるまでは保持し続けるものとする。検出目安領域選択部16が請求項の選択部に相当する。
【0040】
変換前設定部17、投影変換部18、及び表示制御部19については、以下の表示制御関連処理の説明において詳述する。
【0041】
<表示制御関連処理>
ここで、HCU1での表示制御関連処理について図6のフローチャートを用いて説明を行う。図6のフローチャートは、センサ作動検出部11で障害物センサ群2が作動していることを検出した場合に開始する。ここでは、便宜上、検出目安領域の選択は既に完了しているものとして説明を行う。
【0042】
まず、ステップS0では、変換前設定部17が有する検出範囲更新機能部17aが、検出範囲補正部22により補正された障害物センサ群2の検出範囲に応じて、検出目安領域選択部16で選択されたデフォルトの検出目安領域を更新する。本実施形態では、検出範囲更新機能部17aは、HCU1が有する入力ポート1bを介して、検出範囲補正部22により補正された障害物センサ群2の検出範囲を受信しているが、これに限定するものではない。例えば、検出範囲補正部22がHCU1内に設けられている場合、検出範囲更新機能部17aは、HCU1内の検出範囲補正部22により補正された障害物センサ群2の検出範囲に応じて、検出目安領域を更新する。
【0043】
次に、ステップS1では、変換前設定部17が、検出範囲更新機能部17aで更新された検出目安領域の範囲をもとに、車速特定部13で特定した自車の速度に応じて検出目安領域の範囲を決定する。
【0044】
具体的には、自車の速度が基準となる値よりも大きくなるのに応じて、障害物センサ群2の検出範囲を越えない範囲で、デフォルトの検出目安領域を広げる。一方、自車の速度が基準となる値よりも小さくなるのに応じて、デフォルトの検出目安領域を狭める。よって、自車が速度を上げるほど検出目安領域は広がる一方、渋滞などで自車の速度が下がるほど検出目安領域は狭まることになる。
【0045】
なお、S1では、自車の速度が上限下限の閾値を超えるまでは検出目安領域をデフォルトから変更せず、この閾値を超えた場合に自車の速度に応じて検出目安領域を広げたり狭めたりする構成としてもよい。
【0046】
ステップS2では、自車が自動運転中と自動運転判定部12で判定した場合(S2でYES)には、ステップS3に移る。一方、自車が非自動運転中と自動運転判定部12で判定した場合(S2でNO)には、ステップS10に移る。
【0047】
ステップS3では、変換前設定部17が、S1で決定した検出目安領域を青色で表示させるための設定を行う。具体例として、検出目安領域の各座標に対して、検出目安領域の中心から縁になるほど色が薄くなる青色となるようにRGB値を設定する。つまり、縁がぼけて表示されるように設定する。
【0048】
ステップS4では、相対位置特定部14で特定した自車に対する障害物の相対位置が、S1で決定した検出目安領域の範囲内であった場合(S4でYES)には、ステップS5に移る。一方、検出目安領域の範囲内でなかった場合(S4でNO)には、ステップS8に移る。
【0049】
ステップS5では、変換前設定部17が、自車に対する障害物の相対位置に応じて、検出目安領域の表示態様を変更させるための設定を行う。まず、検出目安領域のうちの障害
物の相対位置に応じた方向にある境界領域に、障害物の存在を知らせるための障害物通知領域を設定する。
【0050】
障害物通知領域の設定の一例について、図7を用いて説明を行う。図7のHVが自車、HVposiが自車の位置、OVposiが障害物の位置、PSSが障害物通知領域、preATが障害物の位置を中心とした所定範囲、ATが障害物通知領域を示している。
【0051】
障害物通知領域を設定する場合には、S1で決定した検出目安領域(図7のPSS参照)に対して、障害物の位置(図7のOVposi参照)を中心とした所定範囲(図7のpreAT参照)を設定する。この所定範囲は、検出目安領域と同一平面上の、障害物の位置を中心とした楕円若しくは円状の平面領域とし、検出目安領域よりも小さいものとする。そして、障害物の位置を中心とした所定範囲と検出目安領域とで重複する領域を、障害物通知領域として設定する(図7のAT参照)。
【0052】
自車に対する障害物の位置が近いほど、障害物の位置を中心とした所定範囲と検出目安領域とで重複する領域は多くなるので、障害物通知領域の範囲は、自車に対する障害物の相対位置が近くなるほど大きく設定されることになる。
【0053】
また、障害物通知領域を設定する場合には、障害物通知領域の各座標に対して、障害物の位置から障害物通知領域の縁に近づくほど色が薄くなる黄色となるようにRGB値を設定する。つまり、縁がぼけて表示されるように設定する。
【0054】
さらに、変換前設定部17は、障害物通知領域に、障害物の位置する方向から広がる円弧状の波紋を表示させるための設定を行う。具体例として、障害物通知領域の各座標に対して、障害物の位置する方向から広がる円弧状の波紋が障害物通知領域において浮き立つ色(例えばオレンジ色)となるようにRGB値を設定する。
【0055】
円弧状の波紋の波の数は、本実施形態では一例として4つとする。円弧状の波紋を表示させるための設定を行う場合には、円弧状の波紋の波同士の間隔(つまり、波紋の間隔)が、波紋が広がる方向にゆくほど広がるように設定する。
【0056】
また、円弧状の波紋を表示させるための設定を行う場合には、波紋の間隔を、図8に一例を示すように、自車に対する障害物の相対速度が大きくなるのに応じて狭くなるように設定する。図8では、障害物の相対速度がより大きい場合とより小さい場合との波紋の間隔を比較して示している。
【0057】
波紋の間隔を、自車に対する障害物の相対速度が大きくなるのに応じて狭くなるように設定することで、円弧状の波紋の波同士の間隔の狭まり具合によって、障害物の自車に対する相対速度の大きさをドライバに把握させることが可能になる。
【0058】
また、円弧状の波紋を表示させるための設定を行う場合には、円弧状の波紋が広がる方向に波紋が動いて見えるように表示させるために、波の数が異なるパターンをそれぞれ設定する。つまり、波の数が異なるパターン分だけ、障害物通知領域及び円弧状の波紋を含む検出目安領域を設定する。
【0059】
ここで、図9を用いて、波の数が異なるパターンの設定についての説明を行う。本実施形態の例では波の数は4つであるので、波の数が異なるパターンとして、W1~W4に示すように波の数が「1つ」、「2つ」、「3つ」、「4つ」の4パターンを設定する。
【0060】
ステップS6では、S5で変換前設定部17が設定した、障害物通知領域を含む検出目安領域のうち、自車よりも前方の領域を切り出し、切り出した検出目安領域を、投影変換部18が周知の投影変換によって、自車のドライバから見た画像(以下、検出目安画像)に変換する。切り出す検出目安領域は、HUD画像が投影されるウインドシールド上の投影面に対応する範囲と言い換えることもできる。すなわち、投影変換部18は、検出目安領域を、自車のドライバの視点で表す検出目安画像に変換する。なお、投影変換する場合に用いるドライバの視点の位置は、予め記憶されている固定位置であってもよいし、乗員カメラなどによって検知された位置であってもよい。
【0061】
ここで、図10-1を用いて、S6で切り出される検出目安領域の一例について説明する。図10-1のAが自車の右斜め前方に障害物が位置する場合の例であって、Bが自車の右側方に障害物が位置する場合の例である。図10-1のHVが自車、OVposiが障害物の位置、PSSが障害物通知領域、ATが障害物通知領域、Waが円弧状の波紋、Cが切り出される検出目安領域を示している。
【0062】
図10-1のAに示すように、切り出される検出目安領域内に障害物が位置し、切り出される検出目安領域の範囲内に、障害物通知領域や円弧状の波紋の大部分が含まれている場合には、この大部分についても切り出されることになる。そして、この障害物通知領域や円弧状の波紋の大部分についても投影変換され、検出目安画像に含まれることになる。
【0063】
一方、図10-1のBに示すように、切り出される検出目安領域内に障害物が位置せず、切り出される検出目安領域の範囲内に、障害物通知領域や円弧状の波紋の大部分が含まれない場合については、この大部分については切り出されないことになる。切り出されなかった障害物通知領域や円弧状の波紋については、投影変換されず、検出目安画像に含まれないことになる。
【0064】
また、切り出された検出目安領域の投影変換は、円弧状の波紋の数が異なるパターン分だけ実施する。
【0065】
ステップS7では、表示制御部19が、S6で投影変換部18が投影変換した検出目安画像に透明感を与える処理を行ってHUD4に送信し、この検出目安画像を表示させるようにHUD4に指示を行う。投影変換部18及び表示制御部19が請求項の表示制御部に相当する。S6で得られた検出目安画像は、HUD4によって自車のウインドシールドに投影されることで、車両のドライバに見える景色に半透明で重畳表示される。透明感を与える処理としては、周知のアルファブレンディングなどを用いればよい。すなわち、表示制御部19は、検出目安画像を自車の周囲の景色に重畳表示させる表示制御部として機能する。
【0066】
ここで、図10-2を用いて、検出目安画像の表示処理の一例について説明する。図10-2は、検出目安画像の表示処理の一例を説明するための図である。障害物センサ群2の検出範囲は、外乱等の環境要因によって変化する場合がある。この場合、外乱が無い場合における障害物センサ群2の検出範囲PE-A内に車両OV2等の障害物が位置していたとしても、障害物センサ群2の検出範囲が検出範囲PE-Bに狭まると、自車の周囲の車両OV2が位置するにも関わらず、自車のドライバに通知されない可能性がある。
【0067】
具体的には、検出目安領域PSS-pが検出範囲PE-B内に収まっている場合には、検出目安領域PSS-p内に存在する車両OV2等の障害物がドライバに通知される。しかしながら、自車の速度が上がり、検出目安領域PSS-pが検出範囲PE-Bを超えてしまう場合に、車両OV2等の障害物が検出範囲PE-B外かつ検出目安領域PPS-p内に位置すると、検出目安領域PSS-p内に存在する車両OV2がドライバに通知されず、障害物センサ群2の検出機能が有効に機能している否かがわからず、ドライバの不安が増大する可能性がある。
【0068】
そこで、本実施形態では、検出範囲更新機能部17aが、補正された障害物センサ群2の検出範囲PEに応じて、検出目安領域PSS-pを更新する。これにより、環境要因によって障害物センサ群2の検出範囲PEが狭まっていることをドライバに正しく通知することができるので、ドライバの不安を低減することができる。
【0069】
また、表示制御部19は、波の数が異なるパターン分だけ投影変換した、障害物通知領域及び円弧状の波紋を含む検出目安画像を、波の数が少ないものから順に繰り返し表示させるようにHUD4に指示を行う。具体例としては、図8に示すW1、W2、W3、W4のパターン順に繰り返し表示させるようにHUD4に指示を行う。これによれば、ウインドシールドに投影される検出目安画像において、円弧状の波紋の波の数が、波紋が広がる方向に順番に増えてゆくように表示させることができるので、円弧状の波紋が広がる方向に波紋が動いて見えるようになる。これにより、障害物の接近方向をドライバが把握しやすくなる。
【0070】
また、表示制御部19は、検出目安画像に自車の速度を示す画像を重畳してHUD4に送信し、自車の速度を検出目安画像とともにウインドシールドに投影させる。なお、以降のS9、S13、S14についても同様とする。自車の速度については、車速特定部13で特定した値を利用する。
【0071】
ここで、S7の処理によってHUD4でウインドシールドに投影される検出目安画像の表示態様について、図11、12を用いて説明を行う。図11、12は、自車のドライバ
から見た前方の景色を示す模式図である。図11は、自車の右斜め前方に追越車が位置する場合であって、図12は自車の右側方に追越車が位置する場合である。
【0072】
図11、12では、参考のため、破線で囲った箇所に、天頂方向から見た自車の状況を示している。図11、12のOV1が先行車、OV2が自車を追い越す追越車、PSSが検出目安領域、Vが自車の速度、PEが検出目安画像を投影する投影面、PSS-pが検出目安領域を投影変換した検出目安画像、Atが障害物通知領域、Waが円弧状の波紋を示している。なお、以降の図13、14についても重複する記号については同様である。
【0073】
検出目安領域は、自車が水平面に位置するとした場合の自車から水平方向に広がる平面領域であるので、自車が路面に位置する場合には、この路面に沿って広がる平面領域となる。よって、この路面に沿って広がる平面領域である検出目安領域を投影変換した検出目安画像は、図11、12に示すように、路面に沿って広がるように見える。
【0074】
検出目安領域内に障害物が位置しており、障害物通知領域の一部でも検出目安画像に含まれている場合には、図11、12に示すように、検出目安画像のうちの、前述の障害物通知領域にあたる領域が黄色く表示されるとともに、その領域に、障害物が接近してくる方向から広がる円弧状の波紋が表示される。
【0075】
図11に示すように、自車に対する障害物としての追越車の相対位置が自車の右側方であって、この追越車が前方の景色に含まれていない場合であっても、障害物通知領域及び円弧状の波紋の一部が前方の景色に重畳して表示される。また、円弧状の波紋は、障害物が位置する方向から広がって見えるように表示される。これによって、ドライバは、追越車が前方の景色に含まれていない場合であっても、追越車が自車の右から近づいてきていることを知ることができる。
【0076】
また、図12に示すように、自車に対する障害物としての追越車の相対位置が自車の右斜め前方であって、この追越車がドライバ前方の視界に入っている場合には、障害物通知領域及び円弧状の波紋の大部分が前方の景色に重畳して表示される。また、円弧状の波紋は、障害物が位置する方向から広がって見えるように表示される。これによって、ドライバは、前方の景色に含まれている追越車を障害物センサ群2によって検出できていることを確認することができる。なお、S7の後は、ステップS15に移る。
【0077】
図6に戻って、相対位置特定部14で特定した自車に対する障害物の相対位置が、S1で決定した検出目安領域の範囲内でなかった場合のステップS8では、S3で変換前設定部17が設定した検出目安領域を、投影変換部18がS6と同様にして投影用画像(検出目安画像)に投影変換する。
【0078】
ステップS9では、表示制御部19が、S8で投影変換部18が投影変換した投影用画像をHUD4に送信し、この投影用画像を表示させるようにHUD4に指示を行う。S8で投影変換する検出目安領域には、前述した障害物通知領域や円弧状の波紋が設定されていないので、HUD4でウインドシールドに投影される検出目安画像は、前述した障害物通知領域や円弧状の波紋のない検出目安画像となる。
【0079】
ここで、S9の処理によってHUD4でウインドシールドに投影される検出目安画像の表示態様について、図13を用いて説明を行う。図13で示す例では、障害物が検出されていないので、図13に示すように、障害物通知領域を示す色の変化や円弧状の波紋のない検出目安画像が表示されることになる。
【0080】
図6に戻って、自車が非自動運転中と判定した場合のステップS10では、相対位置特定部14で特定した自車に対する障害物の相対位置が、S1で決定した検出目安領域の範囲内であった場合(S10でYES)には、ステップS11に移る。一方、検出目安領域の範囲内でなかった場合(S10でNO)には、ステップS14に移る。
【0081】
ステップS11では、変換前設定部17が、自車に対する障害物の相対位置に応じて、S5と同様にして、障害物の存在を知らせるための障害物通知領域の設定を行う。S11でも、障害物通知領域については、黄色で表示させるための設定を行う。
【0082】
ステップS12では、S11で変換前設定部17が設定した障害物通知領域を、投影変換部18が周知の投影変換によって、自車のドライバから見た画像に変換する。以降では、この障害物通知領域を投影変換した画像を障害物通知画像と呼ぶ。S12では、障害物通知領域とともに検出目安領域も投影変換する構成としてもよいが、従前のステップで検出目安領域に色を付けて表示させる設定を行っていないので、障害物通知領域にあたる領域以外の検出目安領域については、色のついた画像とならない。つまり、障害物通知領域にあたる領域以外の検出目安領域については、表示されない画像となる。
【0083】
ステップS13では、表示制御部19が、S12で投影変換部18が投影変換した障害物通知画像をHUD4に送信し、この障害物通知画像を表示させるようにHUD4に指示を行う。障害物通知画像のうちの円弧状の波紋については、S7で説明したのと同様にして表示させるように指示を行う。
【0084】
ここで、S13の処理によってHUD4でウインドシールドに投影される障害物通知画像の表示態様について、図14を用いて説明を行う。図14の例では、検出目安領域内に障害物が位置しており、障害物通知領域の一部が自車よりも前方に位置するので、黄色で表される障害物通知画像が表示されるとともに、図14に示すように、障害物通知画像の領域に、障害物が接近してくる方向から広がる円弧状の波紋が表示される。なお、障害物通知領域にあたる領域以外の検出目安領域については、表示されない。
【0085】
ステップS14では、表示制御部19が、自車の速度を示す画像をHUD4に送信し、自車の速度をウインドシールドに投影させる。つまり、非自動運転中で障害物なしの場合には、検出目安画像も障害物通知画像もウインドシールドに投影されないことになる。S14の後は、ステップS15に移る。
【0086】
ステップS15では、表示制御関連処理の終了タイミングであった場合(ステップS15でYES)には、表示制御関連処理を終了する。一方、表示制御関連処理の終了タイミングでなかった場合(ステップS15でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。表示制御関連処理の終了タイミングの一例としては、センサ作動検出部11で障害物センサ群2が作動していることを検出しなくなったときなどがある。
【0087】
本実施形態では詳述しなかったが、相対位置特定部14で特定した自車に対する障害物の相対位置が、S1で決定した検出目安領域の範囲内であって、かつ、自車の後方である場合には、障害物が自車の後方に位置することを報知するためのアイコン画像をHCU1で生成する構成とすればよい。この場合、生成したアイコン画像をHUD4に送信し、検出目安画像や障害物通知画像に重畳して表示させればよい。すなわち、表示制御部19は、障害物が検出目安領域内にあった場合、検出目安画像のうち、相対位置に応じた方向にある境界領域の表示態様を変化させる。
【0088】
(実施形態1のまとめ)
検出目安画像は、障害物センサ群2が検出対象としている範囲におさまる検出目安領域を、車両のドライバから見た画像に投影変換した画像であるので、少なくともどの程度の範囲までが障害物センサ群2の検出対象となっているかをドライバ視点で表すことができる。また、検出目安領域は、路面に沿って広がる平面領域であるので、前述したように、検出目安領域を車両のドライバから見た画像に投影変換した検出目安画像は、車両のウインドシールドを通して車両のドライバに見える景色に重畳表示させると、ドライバからは路面に沿って広がるように見える。
【0089】
実施形態1では、この検出目安画像を、障害物センサ群2が作動していることを検出している場合に表示させるので、少なくともどの程度の範囲までが実際に障害物センサ群2の検出対象となっているかを、路面に沿った検出目安画像の広がりで表すことができる。検出目安画像が路面に沿って表されていると、路面に接した構造物等を比較対象とすることで距離感をはかりやすくなるので、自車からの距離感をドライバが直感的に把握しやすい。従って、少なくともどの程度の範囲までが実際に障害物センサ群2の検出対象となっているのかをドライバが直感的に把握できるようになる。
【0090】
また、非自動運転中に比べ、自動運転中には、ドライバが運転操作を行わないからこそ、安心感を得るために、少なくともどの程度の範囲までが障害物センサ群2の検出対象となっているのかをドライバが把握したい要求が特にあると考えられる。実施形態1によれば、表示制御部19は、自車が非自動運転中には上述の検出目安画像を表示させない一方、自動運転中である場合に上述の検出目安画像を表示させるので、検出目安画像がドライバにとって特に必要と思われる状況で検出目安画像を表示させることが可能になる。
【0091】
他にも、実施形態1の構成によれば、自車の速度が大きくなるのに応じて検出目安領域を広げる。自車の速度が大きくなるほど、ドライバは早目に進行方向前方の状況を把握したい要求があると考えられるが、以上の構成によれば、自車の速度が大きくなるのに応じて、検出目安領域を自車の進行方向に広げることができるので、この要求を満たすことが可能になる。
【0092】
また、実施形態1の構成によれば、自車の速度が小さくなるのに応じて検出目安領域を狭める。よって、渋滞時には検出目安領域を狭めることができる。渋滞時には、自車近辺に常に障害物としての先行車や並走車が位置することになると考えられるが、渋滞時に検出目安領域を狭めることで、近辺に位置するこの先行車や並走車を障害物として通知する対象から外しやすくすることが可能になる。その結果、渋滞時には、近辺に位置する先行車や並走車について障害物通知領域を示す画像を表示させることを抑え、煩わしさを低減することが可能になる。
【0093】
また、実施形態1の構成によれば、環境要因に基づいて補正された障害物センサ群2の検出範囲に応じて検出目安領域を更新することにより、環境要因によって障害物センサ群2の検出範囲が狭まった場合に、検出目安領域が狭まっていることをドライバに正しく通知することができるので、ドライバの不安を低減することが可能となる。
【0094】
(変形例1)
また、自車と障害物とが鉢合わせすると予測されるまでの時間であるTTC(Time To Collision)を算出し、TTCが設定値を下回った場合に警報表示や警告音を出力する構成(以下、変形例1)としてもよい。以下では、この変形例1について図を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、この変形例1以降の説明において、それまでの実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
変形例1の運転支援システム200は、図15に示すように、ウインカスイッチ8と音声出力装置9とをさらに含む点、及びHCU1の代わりにHCU1aを含む点を除けば、実施形態1の運転支援システム100と同様である。
【0096】
ウインカスイッチ8は、ドライバによる方向指示器のランプ点灯操作(つまり、ウインカランプの点灯操作)を検出するためのスイッチであって、左右のウインカランプの点灯操作をそれぞれ検出するように設けられている。ウインカスイッチ8は、ランプ点灯操作が行われた場合に、左右どちらのウインカランプの点灯操作が行われたかを示す信号を出力する。
【0097】
音声出力装置9は、スピーカ等から構成され、HCU1aの指示に従って、ブザー音や音声を出力する。
【0098】
HCU1aは、センサ作動検出部11、自動運転判定部12、車速特定部13、相対位置特定部14、相対速度特定部15、検出目安領域選択部16、変換前設定部17、投影変換部18、表示制御部19、及びTTC判定部20を備える。つまり、TTC判定部20を備える点を除けば、実施形態1のHCU1と同様である。以降では、図16を用いて、TTC判定部20での処理について説明を行う。図16では、HCU1aが備える部材のうち、TTC判定部20での処理を説明するために必要な部材以外については省略している。
【0099】
TTC判定部20は、相対位置特定部14で特定した自車に対する障害物の相対位置が、検出目安領域の範囲内であった場合に、この障害物について相対位置特定部14で特定した自車に対する相対位置と、この障害物について相対速度特定部15で特定した自車に対する相対速度と、ウインカスイッチ8の信号をもとに、TTCを算出する。
【0100】
一例として、自車に対する障害物の相対位置の経時変化から、自車と障害物とが鉢合わせる関係にあるかを推定する。そして、鉢合わせる関係にあると推定した場合には、現在位置から鉢合わせすると推定される地点までの距離を、自車に対する障害物の相対速度で除算することでTTCを算出する。
【0101】
また、自車と障害物とが鉢合わせる関係にない場合、つまり、自車線や自車線の隣接車線を障害物が並走している場合や自車線の対向車線を障害物が走行している場合には、TTCを無限大として算出する。
【0102】
ただし、自車と障害物とが鉢合わせる関係にない場合であっても、ウインカスイッチ8の信号から、障害物が進路変更する方向を特定できる場合には、特定した方向に自車が進路変更するものとして、自車と障害物とが鉢合わせる関係にあるかを推定し直す。そして、鉢合わせる関係にあると推定した場合には、現在位置から鉢合わせすると推定される地点までの距離を、自車に対する障害物の相対速度で除算することでTTCを算出する。
【0103】
なお、自車と障害物とが鉢合わせる関係にあるかは、衛星測位システムで用いる受信機を用いて検出した自車の現在位置の経時変化から予測できる自車の予測軌跡と、自車に対する障害物の相対位置の経時変化から予測できる障害物の予測軌跡とが交わるか否かによって推定する構成としてもよい。
【0104】
TTC判定部20は、上述したようにして算出したTTCが設定値を下回った場合には、音声出力装置9から警告音を出力させる。また、TTC判定部20は、TTCが設定値を下回った場合には、TTCが設定値を下回ったことを表示制御部19に通知する。ここで言うところの設定値とは、任意に設定可能な値であって、例えば3.2secとする。
【0105】
TTCが設定値を下回ったことの通知を受けた表示制御部19では、警告を示すアイコン画像(以下、警告アイコン画像)や自車が進路変更する方向を示すアイコン画像(進路アイコン画像)を、検出目安画像や障害物通知画像に重畳してHUD4に送信する。その結果、警告アイコン画像や進路アイコン画像が、検出目安画像や障害物通知画像とともにウインドシールドに投影される。
【0106】
ここで、図17を用いて、障害物との鉢合わせについて警告するアイコン画像の表示の一例について説明を行う。図17では、自動運転中に、障害物が存在する自車の右隣りの車線に車線変更する場合を例に挙げている。図17のDが警告アイコン画像を示しており、Eが進路アイコン画像を示している。
【0107】
自車の右斜め前方に追越車(図17のOV2)を検出している場合には、黄色で表される障害物通知領域や円弧状の波紋を含んだ検出目安画像が表示される。ここで、自車が右隣りの車線に車線変更しようとする場合に、追越車とのTTCが設定値を下回ると、黄色で表される障害物通知領域や円弧状の波紋だけでなく、図17に示すような警告アイコン画像(図17のD)が表示され、追越車との鉢合わせの危険性を知らせてくれる。また、警告アイコン画像だけでなく、進路変更の方向を示す進路アイコン画像(図17のE)も表示される。
【0108】
また、自車が右隣りの車線に車線変更しようとしていない場合には、追越車とのTTCが設定値を下回らないので、黄色で表される障害物通知領域や円弧状の波紋は表示されるが、警告音の出力や警告アイコン画像の表示は行われないことになる。
【0109】
このように、変形例1によれば、自車と障害物とが鉢合わせすると推定されるまでの残り時間が設定値を下回った場合に限り、黄色で表される障害物通知領域や円弧状の波紋に加えて、警告音を出力したり警告アイコン画像を表示させたりする。よって、障害物との鉢合わせの危険性がある場合に限り、警告音の出力や警告アイコン画像の表示といった特別な警告を行って、障害物との鉢合わせの危険性があることをドライバに気付かせることができる。
【0110】
なお、図17では、自車が車線変更する場合の例について示したが、車線変更の場合に限らず、交差点での右左折時にも適用できるのは言うまでもない。また、自車の進路変更する方向をウインカスイッチ8の信号から特定する構成を示したが、ウインカスイッチ8以外に、自車の進路変更する方向をドライバが指示するスイッチが自車に設けられている場合には、そのスイッチの信号から自車の進路変更する方向を特定する構成としてもよい。
【0111】
(変形例2)
前述の実施形態では、障害物センサ群2が作動中であっても、自車が非自動運転中の場合には、青色の検出目安画像を表示させない構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車が非自動運転中の場合であっても、障害物センサ群2が作動中であれば、自動運転中の場合と同様に青色の検出目安画像を表示させる構成としてもよい。
【0112】
(変形例3)
また、周辺監視ECU3で検出した障害物が自車の対向車線に位置することを特定した場合に、自車の対向車線に位置する障害物については、障害物通知領域や円弧状の波紋を表示させないようにすることが好ましい。
【0113】
障害物が自車の対向車線に位置することは、一例として、自車前方の路面を撮像するカメラの撮像画像を画像認識してセンターラインを検出し、障害物がこのセンターラインを挟んで自車線とは反対側に位置することをもとに特定すればよい。この場合、障害物センサ群2には、自車前方の路面を撮像するカメラを含む構成とする。なお、他の方法によって自車の対向車線に位置する障害物を特定できる場合には、他の方法を用いてもよいことは言うまでもない。
【0114】
変形例2によれば、自車の対向車線に位置する対向車両については、障害物通知領域や円弧状の波紋を表示させないで済むので、対向車両と自車がすれ違うたびに障害物通知領域や円弧状の波紋が表示されることによる煩わしさを防止できる。
【0115】
(変形例4)
前述の実施形態では、障害物通知領域を黄色、障害物通知領域を除く検出目安領域を青色で表示させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、障害物通知領域と障害物通知領域を除く検出目安領域との色が異なりさえすれば、他の色で表示させる構成であってもよい。色を異ならせる場合、色の属性のうちの黄色や青色といった色相を異ならせる構成に限らず、彩度や明度を異ならせる構成としてもよい。
【0116】
(変形例5)
また、自車がおかれた環境に応じて、ウインドシールドに投影する画像の輝度や色を変化させる構成としてもよい。一例として、夜には画像の輝度や明度を下げて視認しやすくする。他の例としては、雪道では輝度や明度を高くしたり、検出目安領域の色を青色から緑色に変えたりすることで視認しやすくする。夜であることは、時刻や照度センサを用いて特定すればよい。雪道であることは、カメラで路面を撮像した撮像画像を画像認識し、路面に広がる白色を検出することで特定すればよい。
【0117】
(変形例6)
また、自車が追越車に頻繁に追い越しされる場合のように、自車から見た左側や右側といった一定の方向に障害物を頻繁に検出する場合には、障害物通知画像や円弧状の波紋をその都度表示させるのを中止して、障害物を頻繁に検出している方向の広範囲に検出目安画像と異なる色の固定色を表示させる構成としてもよい。
【0118】
障害物を頻繁に検出しているか否かは、時間あたりの障害物の検出数から判定すればよい。固定色は、一例として半透明のオレンジ色とするなどすればよい。また、固定色を表示させる範囲は、自車の右側に障害物を頻繁に検出している場合には、図18に示すように、検出目安画像を投影する投影面の右方向の広範囲(図18のF参照)とすればよい。自車の左方向に障害物を頻繁に検出している場合には、検出目安画像を投影する投影面の左方向の広範囲に固定色を表示させる構成とすればよい。
【0119】
変形例6によれば、障害物通知画像や円弧状の波紋が頻繁に移動したり、頻繁に現れたり消えたりすることによる煩わしさを防止することができる。
【0120】
(変形例7)
前述の実施形態では、HCU1で投影変換を行って検出目安画像や障害物通知画像を得る構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、障害物の有無、自車に対する障害物の方向、自車に対する障害物の相対速度、自車の速度、検出目安領域選択部16で選択できる範囲といた条件別に、予め投影変換した複数パターンの検出目安画像や障害物通知画像をHCU1のメモリに記憶しておき、この条件に合った検出目安画像や障害物通知画像をメモリから読み出す構成としてもよい。
【0121】
(変形例8)
前述の実施形態では、HCU1で投影変換を行った画像を、HUD4を用いて、自車のウインドシールドを通して自車のドライバに見える景色に重畳表示させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、HCU1で投影変換を行った画像を、自車前方の景色などといった、自車のドライバに見える景色を撮像した撮像画像に重畳表示させる構成としてもよい。
【0122】
変形例8によっても、少なくともどの程度の範囲までが障害物センサの検出対象となっているかを、自車のドライバに見える景色と比較可能に表すことができるので、少なくともどの程度の範囲までが障害物センサの検出対象となっているのかをドライバが直感的に把握できるようになる。
【0123】
本実施形態の運転支援システム100で実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の運転支援システム100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0124】
さらに、本実施形態の運転支援システム100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の運転支援システム100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0126】
1 HCU
2 障害物センサ群
3 周辺監視ECU
4 HUD
14 相対位置特定部
16 検出目安領域選択部
17 変換前設定部
17a 検出範囲更新機能部
18 投影変換部
19 表示制御部
21 環境要因センサ群
22 検出範囲補正部
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-1】
図10-2】
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
車速特定部13は、車両状態センサ群5に含まれる車速センサの信号から、自車の速度を特定する。相対位置特定部14は、周辺監視ECU3で検出した自車に対する障害物の相対位置を、自車に対する障害物の相対位置と特定する。すなわち、相対位置特定部14は、障害物センサ群2によって障害物を検出した場合に、自車に対する障害物の相対位置を特定する。相対速度特定部15は、周辺監視ECU3で検出した自車に対する障害物の相対速度を、自車に対する障害物の相対速度と特定する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
ここで、S7の処理によってHUD4でウインドシールドに投影される検出目安画像の表示態様について、図11、12を用いて説明を行う。図11、12は、自車のドライバ
から見た前方の景色を示す模式図である。図11は、自車の右側方に追越車が位置する場合であって、図12は自車の右斜め前方に追越車が位置する場合である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
変形例によれば、自車の対向車線に位置する対向車両については、障害物通知領域や円弧状の波紋を表示させないで済むので、対向車両と自車がすれ違うたびに障害物通知領域や円弧状の波紋が表示されることによる煩わしさを防止できる。