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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150209
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】アシストウェア
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A41D13/00 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059196
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】594159010
【氏名又は名称】株式会社チャイルド
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】安藤 宏
(72)【発明者】
【氏名】梅沢 浩之
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AB01
3B011AC17
3B011AC22
(57)【要約】
【課題】本発明は、着用者への身体的負荷を軽減できるアシストウェアを提供することを目的とする。
【解決手段】
アシストウェア1は、胴体を覆う後身頃4及び前身頃5、左右の腕部を覆う左右の袖部6L、6R、及び該左右の袖部それぞれに連続して着用者の手に係止される先端部7、を備えたウェア本体2と、長尺状に形成されて長手方向に伸縮可能な1本の帯状伸縮体3と、を備え、帯状伸縮体3は、左右の袖部のうち左方の手覆い部7から、左方の袖部6L、後身頃4を通って、右方の袖部6R、右方の手覆い部7まで連続する経路10に配索され、帯状伸縮体3の長手寸法は、ウェア本体2における経路10の長さより短いとともに、着用状態で、帯状伸縮体3はウェア本体2に対して伸長して、収縮する方向に復元力が生じた状態である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体を覆う後身頃及び前身頃、左右の腕部を覆う左右の袖部、該左右の袖部、及び該左右の袖部それぞれに連続して着用者の手に係止される先端部、を備えたウェア本体と、
長尺状に形成されて長手方向に伸縮可能な少なくとも1本の帯状伸縮体と、を備え、
前記帯状伸縮体は、前記左右の袖部のうち左方の前記先端部から、前記左方の袖部、前記後身頃を通って、前記左右の袖部のうち右方の袖部、前記右方の前記先端部まで連続する前記ウェア本体の経路に配索され、
前記帯状伸縮体の長手寸法は、前記ウェア本体における前記経路の長さより短いとともに、着用状態で、前記帯状伸縮体は前記ウェア本体に対して伸長して、収縮する方向に復元力が生じた状態であることを特徴とするアシストウェア。
【請求項2】
前記帯状伸縮体は、前記左右の袖部それぞれに縫着されているとともに、前記後身頃では縫着されておらず、
前記帯状伸縮体は、前記後身頃において、左方の肩線部と前記左方の袖部とが交差する左側交差部、及び右方の肩線部と前記右方の袖部とが交差する右側交差部それぞれに支持され、
前記左側交差部と前記右側交差部とを結ぶ線上に、前記帯状伸縮体を挿通させる挿通部が設けられ、
前記帯状伸縮体は、前記挿通部に挿通されているとともに、前記帯状伸縮体が自然状態である際の前記左側交差部から前記右側交差部までの寸法は、前記ウェア本体の前記左側交差部から前記右側交差部までの寸法より短いことを特徴とする請求項1に記載のアシストウェア。
【請求項3】
前記左右の袖部は、それぞれ、襞状に縮められた状態で、前記帯状伸縮体に縫着されていることを特徴とする請求項1または2に記載のアシストウェア。
【請求項4】
前記帯状伸縮体は、複数本が束ねられて配索されていることを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載のアシストウェア。
【請求項5】
前記先端部は、前記左右の袖部それぞれに連続する一対の覆い部と、該一対の覆い部の先端縁同士が縫い合わされて構成されるとともに、着用者の手に係止される係止部と、を備えることを特徴とする請求項1~4のうち何れか一項に記載のアシストウェア。
【請求項6】
前記一対の覆い部のうち、一方の覆い部は着用者の掌に対向するように設けられ、
前記一方の覆い部の外面に、滑り止め加工が施されていることを特徴とする請求項1~5のうち何れか一項に記載のアシストウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシストウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場等において前屈姿勢をとることの多い作業従事者や介護施設の従事者、或いは農作業従事者等であって、前屈姿勢を伴う被着者が立位姿勢に回復するときの身体的負荷を軽減するために身体に装着して使用する負担軽減スーツが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された従来の負担軽減スーツは、被着者の背面を覆う背面部と、被着者の腰に巻き付けられる腰ベルトと、被着者の臀部を覆う臀部シートと、被着者の各大腿部に巻き付けられる一対の大腿部ベルトと、一端が腰ベルトに支持されて、被着者の背面に沿って上方に延在する側面視S字状に形成された帯状弾性部材と、該帯状弾性部材に連続するとともに、被着者の胸面に沿って下方に延在して他端が腰ベルトに支持される肩ベルトと、を備える。
【0004】
このような従来の負担軽減スーツによれば、直立姿勢から前屈姿勢に移る際には、帯状弾性帯は身体の前屈に併せてS字変形部が円曲変形し、この前屈姿勢から、例えば重い荷物を持ち上げようとすると、作業者固有の力に併せて蓄勢された帯状弾性帯の復元力がベスト背面部のポケットを介して上半身が起き上がる方向に作用する。この結果、前屈時に帯状弾性帯の変形作用により蓄勢された復元力が作業者の上半身に作用して負荷が軽減されるため、荷物等を楽に持ち運ぶことができると共に作業者の力以上の重さの荷物を持ち運ぶこともできる。この原理により、荷物の積み降ろし、或いは移動等に伴う作業者への負担が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-058526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の負担軽減スーツは、前屈姿勢を伴う被着者が立位姿勢に回復するときの身体的負荷を軽減するためのものであるが、装着するのに手間がかかる場合があった。
【0007】
本発明は、着脱の手間を軽減しつつ、着用者への身体的負荷を軽減できるアシストウェアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するために本発明は以下の構成を備える。
【0009】
即ち、請求項1に記載の本発明は、胴体を覆う後身頃及び前身頃、左右の腕部を覆う左右の袖部、該左右の袖部、及び該左右の袖部それぞれに連続して着用者の手に係止される先端部、を備えたウェア本体と、長尺状に形成されて長手方向に伸縮可能な少なくとも1本の帯状伸縮体と、を備え、前記帯状伸縮体は、前記左右の袖部のうち左方の前記先端部から、前記左方の袖部、前記後身頃を通って、前記左右の袖部のうち右方の袖部、前記右方の前記先端部まで連続する前記ウェア本体の経路に配索され、前記帯状伸縮体の長手寸法は、前記ウェア本体における前記経路の長さより短いとともに、着用状態で、前記帯状伸縮体は前記ウェア本体に対して伸長して、収縮する方向に復元力が生じた状態であることを特徴とする。
【0010】
以上のような本発明によれば、帯状伸縮体は、左右の袖部のうち左方の先端部から、左方の袖部、後身頃を通って、左右の袖部のうち右方の袖部、右方の先端部まで連続するウェア本体の経路に配索され、帯状伸縮体の長手寸法は、ウェア本体における前記経路の長さより短いとともに、着用状態で、帯状伸縮体の両端は先端部を介して着用者の手に係止されていることにより、帯状伸縮体はウェア本体に対して伸長して、収縮する方向に復元力が生じた状態である。これによれば、着用者が荷物を持ち運ぶ際に、帯状伸縮体における蓄積された復元力が、着用者の両腕から背中に作用する。即ち、帯状伸縮体の蓄積された復元力が、着用者の両腕を含む上半身に作用することにより、着用者が荷物を持ち運ぶ際の身体的負荷が軽減される。また、本発明のアシストウェアは、袖を広げた時のシルエットがT字型であり、従来技術の如く腰ベルトや臀部シート、肩ベルト等を有していないことから、着脱の手間を軽減することができる。
【0011】
また、帯状伸縮体は、左右の袖部それぞれに縫着されているとともに、後身頃では縫着されておらず、帯状伸縮体は、後身頃において、左方の肩線部と左方の袖部とが交差する左側交差部、及び右方の肩線部と右方の袖部とが交差する右側交差部それぞれに支持され、左側交差部と右側交差部とを結ぶ線上に、帯状伸縮体を挿通させる挿通部が設けられ、帯状伸縮体は、挿通部に挿通されているとともに、帯状伸縮体が自然状態である際の左側交差部から右側交差部までの寸法は、ウェア本体の左側交差部から右側交差部までの寸法より短いことが好ましい。これによれば、帯状伸縮体は、後身頃では縫着されていないとともに挿通部に挿通されており、アシストウェアを着用状態において、帯状伸縮体の復元力が、着用者の左右の肩甲骨同士を引き寄せるように作用する。これにより、着用者が荷物を持ち運ぶ際の身体的負荷がより一層、軽減される。
【0012】
また、左右の袖部は、それぞれ、襞状に縮められた状態で、帯状伸縮体に縫着されていることが好ましい。これによれば、着用した際に、まず帯状伸縮体が伸長し、その後、袖部の襞が伸ばされる。即ち、袖部の襞が伸ばされることにより、帯状伸縮体の伸長が阻まれることがなく、帯状伸縮体における蓄積された復元力を、着用者の両腕に作用させる。
【0013】
また、帯状伸縮体は、複数本が束ねられて配索されていることが好ましい。これによれば、帯状伸縮体の本数を変更することで、着用者に作用する力(帯状伸縮体の復元力)を調節することができる。
【0014】
また、先端部は、左右の袖部それぞれに連続する一対の覆い部と、該一対の覆い部の先端縁同士が縫い合わされて構成されるとともに、着用者の手に係止される係止部と、を備えることが好ましい。このように先端部に係止部が設けられていることにより、着用状態で、帯状伸縮体の一方の端部が、着用者の一方の手に係止され、帯状伸縮体の他方の端部が、着用者の他方の手に係止されることにより、帯状伸縮体が伸長され、伸長されることにより生じる復元力を着用者に作用させる構成を実現できる。
【0015】
また、一対の覆い部のうち、一方の覆い部は着用者の掌に対向するように設けられ、一方の覆い部の外面に、滑り止め加工が施されていることが好ましい。これによれば、着用者が例えば荷物を持ち運ぶ際に、滑り止め加工された覆い部を荷物に対して滑り難くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、着脱の手間を軽減しつつ、着用者への身体的負荷を軽減ですることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態にかかるアシストウェアを着用した状態を前方から見た斜視図である。
図2】前記アシストウェアを着用した状態を後方から見た斜視図である。
図3】前記アシストウェアを示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態にかかるアシストウェア1について、図1~3を参照して説明する。本実施形態のアシストウェア1は、図1~3に示すように、平置き状態でT字状に形成されたウェア本体2と、該ウェア本体2に配索される1本の帯状伸縮体3と、を備える。図1は、本発明の一実施の形態にかかるアシストウェア1を着用した状態を前方から見た斜視図である。図2は、アシストウェア1を着用した状態を後方から見た斜視図である。図3は、アシストウェア1を示す背面図である。
【0019】
ウェア本体2は、図1、2に示すように、胴体を覆う後身頃4及び前身頃5と、左右の腕部を覆う左右の袖部6L、6Rと、該左右の袖部6L、6Rそれぞれに連続して設けられる手覆い部7(先端部)と、を備える。本実施形態では、後身頃4及び前身頃5は、着用者の腰骨全体を覆う程度の長さ(丈)を有して構成されている。また、本実施形態では、後身頃4及び前身頃5の着丈方向を「上下方向」と記し、上下方向に直交する方向を「左右方向」と記す場合がある。
【0020】
このウェア本体2は、図1、2に示すように、後身頃4及び前身頃5を構成する生地が左右の脇線部21L、21R(図1に示す)、及び左右の肩線部22L、22Rで縫い合わされ、かつ、各袖繰り23にて各袖部6L、6Rが後身頃4及び前身頃5に縫い合わされて構成されている。尚、以下では、後身頃4及び前身頃5で構成された部位を「身頃部20(図2に示す)」と記す場合がある。身頃部20には、着用者の頭部が挿通される襟ぐり24が設けられている。
【0021】
後身頃4及び前身頃5は、例えば特許第5473380号に開示された凹凸模様を有する伸縮性経編地から構成されている。この伸縮性経編地は、伸縮パワー及び/又は伸長性を異にする複数の領域を有して構成されているとともに、体型に応じた補整機能を発揮するように用いられる。例えば、背中及び骨盤がサポートされて、肩が開いて背中が伸びた理想的な姿勢を維持できる。本実施形態では、後身頃4は、左右方向の伸縮率が、上下方向の伸縮率より大きくなるように構成されている。このような身頃部20により、着用者の胴体にフィットして、後述する帯状伸縮体3の復元力を着用者に伝わり易くする。
【0022】
また、図2、3に示すように、後身頃4には、左方の肩線部22Lと左方の袖部6Lとが交差する左側交差部40Lと右方の肩線部22Rと右方の袖部6Rとが交差する右側交差部40Rとを結ぶ直線上に、帯状伸縮体3を挿通させる挿通部41が設けられている。挿通部41は、図3に示すように、矩形状に設けられているとともに、上方の辺41L1及び下方の辺41L2それぞれが後身頃4に縫着されている。この挿通部41に、後述する帯状伸縮体3の中央帯状体3Cが挿通される。
【0023】
左右の袖部6L、6Rはそれぞれ、合成繊維のポリエステル、ポリウレタン、ナイロンを含む生地から構成されている。各袖部6L、6Rは、該袖部6L、6Rを構成する生地が袖下60で縫い合わされることにより構成されている。各袖部6L、6Rは、袖丈方向の伸縮率が、袖丈方向に直交する袖部6L、6Rの周方向の伸縮率より大きくなるように構成されている。
【0024】
左方の袖部6Lは、後述する帯状伸縮体3の一端側帯状体3Aが、左方の肩線部22Lと左方の袖部6Lとが交差する左側交差部40Lから袖中心線60Lに重なって、手覆い部7の端部7aまで配索されている。また、右方の袖部6Rは、後述する帯状伸縮体3の他端側帯状体3Bが、右方の肩線部22Rと右方の袖部6Rとが交差する右側交差部40Rから袖中心線60Lに重なって、手覆い部7の端部7bまで配索されている。また、本実施形態では、左右の袖部6L、6Rの袖丈方向の中央部分が襞状に縮められた状態で、帯状伸縮体3が縫着されている。
【0025】
手覆い部7は、図3に示すように、各袖部6L、6Rの先端に連続して設けられている。この手覆い部7は、袖先に向かうにしたがって幅寸法が狭くなる一対の覆い部71、71と、一対の覆い部71、71の先端縁同士が縫い合わされて構成されるとともに、着用者の指間に架け渡されて着用者の手に係止される係止部72と、を備える。一対の覆い部71、71のうち一方は、着用状態で、着用者の掌に対向(接触)するように設けられ、他方は着用者の手の甲に対向(接触)するように設けられている。
【0026】
また、手覆い部7には、一対の覆い部71、71の先端縁同士が縫い合わされることにより形成された係止部72より袖下60側(帯状伸縮体3から離れた側)の第1開口部73と、係止部72より袖中心線60L側(帯状伸縮体3側)の第2開口部74と、が設けられている。第1開口部73には、例えば親指が挿通され、第2開口部74には、例えば親指以外の4本の指が挿通される。
【0027】
また、手覆い部7には、図3に示すように、各袖部6L、6Rの後袖部に、滑り止め組織布70が縫い付けられている。滑り止め組織布70は、例えば特許第4143692号に開示された滑り止め組織布から構成されている。これによれば、着用状態では、滑り止め組織布70が一方の覆い部71の掌側の外面に位置されることになる。即ち、手覆い部7には、掌側の外面に、滑り止め加工が施されている。これによれば、着用者が例えば荷物を持ち運ぶ際に、手覆い部7が荷物に対して滑り難くすることができる。
【0028】
帯状伸縮体3は、図1~3に示すように、長尺状に形成されて長手方向に伸縮可能な1本の生地テープが2つ折りされて構成されている。帯状伸縮体3は、伸び率(引張力を加えたときの変形量)が220%~250%となるように構成されている。この帯状伸縮体3は、ポリウレタンの太いタイプ420d(530dでも可)が用いられているとともに、ポリウレタン混合率41%の素材を用いて構成されている。また本実施形態における、帯状伸縮体3は、例えば国際公開WO2020/031383号公報に開示されたレース編地から構成されている。
【0029】
また、帯状伸縮体3は、一端を含んで左方の袖部6Lに配索される一端側帯状体3Aと、他端を含んで右方の袖部6Rに配索される他端側帯状体3Bと、一端側帯状体3Aと他端側帯状体3Bとの間において、一端側帯状体3A及び他端側帯状体3Bに連続して後身頃4に配索される中央帯状体3Cと、を備える。
【0030】
尚、本実施形態では、帯状伸縮体3は、長尺状に形成されて長手方向に伸縮可能な1本の生地テープが2つ折りされて構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。帯状伸縮体3は、3つ折りされて構成されていてもよく、4つ折りされて構成されていてもよい。これによれば、着用者に作用する力(帯状伸縮体の復元力)を調整することができる。
【0031】
このような帯状伸縮体3は、図3に示すように、一端側帯状体3Aが左方の肩線部22Lと左方の袖部6Lとが交差する左側交差部40Lから袖中心線60Lに重なって、手覆い部7の端部7aまで配索されている。また、他端側帯状体3Bが、右方の肩線部22Rと右方の袖部6Rとが交差する右側交差部40Rから袖中心線60Lに重なって、手覆い部7の端部7bまで配索されている。また、左右の袖部6L、6Rの袖丈方向の中央部分が、襞状に縮められた状態で、帯状伸縮体3が縫着されている。即ち、帯状伸縮体3は、ウェア本体2における、左右の袖部6L、6Rのうち左方の手覆い部7の端部7aから、左方の袖部6L、後身頃4の挿通部41を通って、左方の袖部6Lのうち右方の袖部6R、右方の手覆い部7の端部7bまで連続する経路10(図3に示す)に配索されている。また、中央帯状体3Cは、一端が左側交差部40Lに縫い付けられ、挿通部41に挿通されて、他端が右側交差部40Rに縫い付けられて、左側交差部40Lと右側交差部40Rとの間は縫い付けられていない。また、自然状態における帯状伸縮体3の中央帯状体3Cの長手寸法は、左側交差部40Lから右側交差部40Rまでを結ぶ寸法より短くなるように形成されていて、アシストウェア1を着用した際に、最初に帯状伸縮体3が伸長することにより、収縮する方向の復元力が、着用者の左右の肩甲骨を引き寄せるようになっている。
【0032】
このようなアシストウェア1を着用する場合には、図3に示すように、第1開口部73に親指を挿通し、第2開口部74に着用者の親指以外の4本の指を挿通した状態で、襟ぐり24に、着用者の頭が通されることにより着用状態となる。このように、親指が第1開口部73に挿通され、親指以外の4本の指が第2開口部74に挿通されて、手の甲と掌との間に、係止部72が架け渡されることにより、帯状伸縮体3の端部7a、7bが、アシストウェア1を介して着用者に係止される。
【0033】
また、帯状伸縮体3の中央帯状体3Cが伸長し、収縮する方向の復元力が、着用者の左右の肩甲骨を引き寄せるように作用するとともに、帯状伸縮体3の一端側帯状体3A及び他端側帯状体3Bが伸長し、その後、袖部6L、6Rの襞が伸ばされる。即ち、袖部6L、6Rの襞が伸ばされることにより、帯状伸縮体3の一端側帯状体3A及び他端側帯状体3Bの伸長が阻まれることなく、帯状伸縮体3における蓄積された復元力が、着用者の両腕に作用する。
【0034】
このようなアシストウェア1の着用状態では、帯状伸縮体3の一端側帯状体3A及び他端側帯状体3Bが着用者の肩(左側交差部40Lや右側交差部40Rに対向する位置)と小指を結ぶ線上に位置して、帯状伸縮体3における蓄積された復元力が、着用者の両腕に作用するとともに、帯状伸縮体3の中央帯状体3Cは、左側交差部40L及び右側交差部40Rの間に配索されて、着用者の左右の肩甲骨を引き寄せるように作用する。これによれば、帯状伸縮体3の蓄積された復元力が、着用者の両腕を含む上半身に作用することにより、着用者が荷物を持ち運ぶ際の身体的負荷を軽減することができる。
【0035】
上述した実施形態によれば、図1、2に示すように、帯状伸縮体3は、左右の袖部6L、6Rのうち左方の手覆い部7から、左方の袖部6L、後身頃4を通って、左右の袖部6L、6Rのうち右方の袖部6R、右方の手覆い部7まで連続するウェア本体2の経路10に配索され、帯状伸縮体3の長手寸法は、ウェア本体2における経路10の長さより短いとともに、着用状態で、帯状伸縮体3はウェア本体2に対して伸長して、収縮する方向に復元力が生じた状態である。
【0036】
また、帯状伸縮体3は、左右の袖部それぞれに縫着されているとともに、後身頃4では縫着されておらず、帯状伸縮体3は、後身頃4において、左方の肩線部22Lと左方の袖部6Lとが交差する左側交差部40L、及び右方の肩線部22Rと右方の袖部6Rとが交差する右側交差部40Rそれぞれに支持され、左側交差部40Lと右側交差部40Rとを結ぶ線上に、帯状伸縮体3を挿通させる挿通部41が設けられ、帯状伸縮体3は、挿通部41に挿通されているとともに、帯状伸縮体3が自然状態である際の左側交差部40Lから右側交差部40Rまでの寸法は、ウェア本体2の左側交差部40Lから右側交差部40Rまでの寸法より短くなるように形成されている。これによれば、帯状伸縮体3は、後身頃4では縫着されていないとともに挿通部41に挿通されており、アシストウェアを着用状態において、帯状伸縮体3の復元力が、着用者の左右の肩甲骨同士を引き寄せるように作用する。これにより、着用者が荷物を持ち運ぶ際の身体的負荷がより一層、軽減される。
【0037】
また、左右の袖部6L、6Rは、それぞれ、襞状に縮められた状態で、帯状伸縮体3に縫着されている。これによれば、着用した際に、まず帯状伸縮体3が伸長し、その後、袖部6L、6Rの襞が伸ばされることにより、帯状伸縮体3の伸長が阻まれることなく、帯状伸縮体3における蓄積された復元力を、着用者の両腕に作用させることができる。
【0038】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形例も本発明に含まれる。
【0039】
前記実施形態では、1本の帯状伸縮体3がウェア本体2に配索されてアシストウェア1が構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。同じ長さの帯状伸縮体3が複数本束ねられて、ウェア本体2に配索されていてもよい。これによれば、帯状伸縮体3の本数を変更することで、着用者に作用する力(帯状伸縮体3の復元力)を調節することができる。
【0040】
また、前記実施形態では、アシストウェア1を着用する場合には、第1開口部73に親指を挿通し、第2開口部74に着用者の親指以外の4本の指を挿通した状態で、帯状伸縮体3は、着用者の肩と小指を結ぶ線上に位置するように着用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。アシストウェア1は、各袖部6L、6Rを内側に360度回転させた状態で、第1開口部73に親指を挿通し、第2開口部74に着用者の親指以外の4本の指を挿通して、帯状伸縮体3が着用者の腕部に螺旋状に巻かれるように配索されてもよいし、各袖部6L、6Rを外側に360度回転させた状態で、第1開口部73に親指を挿通し、第2開口部74に着用者の親指以外の4本の指を挿通して、帯状伸縮体3が着用者の腕部に螺旋状に巻かれるように配索されてもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、手覆い部7(先端部)は、袖先に向かうにしたがって幅寸法が狭くなる一対の覆い部71、71と、一対の覆い部71、71の先端縁同士が縫い合わされて構成されるとともに、着用者の指間に架け渡されて着用者の手に係止される係止部72と、を備えて構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、先端部は、左右の袖部6L、6Rに支持されるとともにリング状に設けられて、リング状の先端部に着用者の指が挿入されることで、着用者の手に係止されるようになっていてもよいし、5本の指がそれぞれ挿入されるような袋状(手袋状)に設けられて、着用者の手に係止されるようになっていてもよい。
【0042】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
1 アシストウェア
2 ウェア本体
3 帯状伸縮体
4 後身頃
5 前身頃
6L、6R 左右の袖部
7 手覆い部(先端部)
71、71 一対の覆い部
72 係止部
10 経路
22L 左方の肩線部
22R 右方の肩線部
40L 左側交差部
40R 右側交差部
41 挿通部
図1
図2
図3