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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150212
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】巻取り構造および巻取り方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/18 20060101AFI20231005BHJP
   B65H 19/28 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65H75/18 Z
B65H19/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059200
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000229818
【氏名又は名称】日本フイルコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】村上 晋也
(72)【発明者】
【氏名】梁井 英之
【テーマコード(参考)】
3F058
3F064
【Fターム(参考)】
3F058AA01
3F058AA02
3F058AB01
3F058AC04
3F058BB11
3F058BB12
3F058CA01
3F058CA05
3F058CA11
3F058DA02
3F058DA04
3F058DB03
3F058DB04
3F058DB05
3F058DB07
3F058DB12
3F058DB18
3F058EA03
3F058HA03
3F058HB02
3F058HB04
3F058HB07
3F058JA02
3F064AA01
3F064AA08
3F064CB02
(57)【要約】
【課題】シート状物品を巻き取る作業を容易にしつつ、巻き取ったシート状物品に折り目が付くことを抑える技術を提供する。
【解決手段】巻取り構造10は、周状に延在したループ形状のシート状物品16と、シート状物品16の内側に差し込まれる第1巻棒12aと、シート状物品16の外側から第1巻棒12aと係合する第2巻棒12bと、シート状物品16の内側に差し込まれて第1巻棒12aと離れて位置する第3巻棒14と、を備える。第1巻棒12aおよび第2巻棒12bは、対向して係合する合わせ面と、断面が円弧状に形成され、一対の合わせ面が係合した状態で円筒形状をなす外周面と、をそれぞれ有する。シート状物品16は、第1外周面および第2外周面の周りに巻回される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周状に延在したループ形状のシート状物品と、
前記シート状物品の内側に差し込まれる第1巻棒と、
前記シート状物品の外側から前記第1巻棒と係合する第2巻棒と、
前記シート状物品の内側に差し込まれて前記第1巻棒と離れて位置する第3巻棒と、を備え、
前記第1巻棒および前記第2巻棒は、
対向して係合する合わせ面と、
断面が円弧状に形成され、一対の前記合わせ面が係合した状態で円筒形状をなす外周面と、をそれぞれ有し、
前記シート状物品は、前記第1巻棒および前記第2巻棒の前記合わせ面に挟まれ、前記第1巻棒および前記第2巻棒の前記外周面の周りに巻回されることを特徴とする巻取り構造。
【請求項2】
一対の前記合わせ面は、湾曲して形成されることを特徴とする請求項1に記載の巻取り構造。
【請求項3】
一対の前記合わせ面は、同形状に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の巻取り構造。
【請求項4】
前記第1巻棒および前記第2巻棒は、同形状であり、
一対の前記合わせ面は、湾曲した凹部および凸部をそれぞれ有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の巻取り構造。
【請求項5】
前記シート状物品は、抄紙機に用いる工業用織物であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の巻取り構造。
【請求項6】
一対の前記外周面は、一対の前記合わせ面が前記シート状物品を挟んで係合した状態で、軸方向に沿って見て略真円形状をなすことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の巻取り構造。
【請求項7】
一対の前記外周面は、一対の前記合わせ面が係合した状態で軸方向に沿って見て楕円形状をなすことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の巻取り構造。
【請求項8】
前記凸部は、前記凹部よりも曲率半径が小さいことを特徴とする請求項4に記載の巻取り構造。
【請求項9】
前記第3巻棒は、1本であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の巻取り構造。
【請求項10】
前記第3巻棒は、複数本であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の巻取り構造。
【請求項11】
周状に延在したループ形状のシート状物品と、
前記シート状物品の内側に差し込まれる第1巻棒と、
前記シート状物品の外側から前記第1巻棒と係合する第2巻棒と、を備え、
前記第1巻棒および前記第2巻棒は、
対向して係合する合わせ面と、
断面が円弧状に形成され、一対の前記合わせ面が係合した状態で円筒形状をなす外周面と、をそれぞれ有し、
前記シート状物品は、前記第1巻棒および前記第2巻棒の前記合わせ面に挟まれ、前記第1巻棒および前記第2巻棒の前記外周面の周りに巻回されることを特徴とする巻取り構造。
【請求項12】
両端を有する帯状のシート状物品と、
折り返された前記シート状物品の折り返し部分の内側に配置される第1巻棒と、
前記シート状物品の外側から前記第1巻棒と係合する第2巻棒と、を備え、
前記第1巻棒および前記第2巻棒は、
対向して係合する合わせ面と、
断面が円弧状に形成され、一対の前記合わせ面が係合した状態で円筒形状をなす外周面と、をそれぞれ有し、
前記シート状物品は、前記第1巻棒および前記第2巻棒の前記合わせ面に挟まれ、前記第1巻棒および前記第2巻棒の前記外周面の周りに巻回されることを特徴とする巻取り構造。
【請求項13】
周状に延在したループ形状のシート状物品を複数の巻棒によって巻き取る巻取り方法であって、
第1巻棒が前記シート状物品の内側に差し込まれるステップと、
第2巻棒が前記シート状物品の外側から前記第1巻棒に係合されて、前記第1巻棒および前記第2巻棒の外周面によって円筒形状が形成されるステップと、
第3巻棒が前記第1巻棒から離れた位置でシート状物品の内側に差し込まれるステップと、
前記第1巻棒および前記第2巻棒の外周面に前記シート状物品が巻回されるステップと、を含むことを特徴とする巻取り方法。
【請求項14】
周状に延在したループ形状のシート状物品を複数の巻棒によって巻き取る巻取り方法であって、
第1巻棒が前記シート状物品の内側に差し込まれるステップと、
第2巻棒が前記シート状物品の外側から前記第1巻棒に係合されて、前記第1巻棒および前記第2巻棒の外周面によって円筒形状が形成されるステップと、
前記第1巻棒および前記第2巻棒の外周面に前記シート状物品が巻回されるステップと、を含むことを特徴とする巻取り方法。
【請求項15】
両端を有する帯状のシート状物品を複数の巻棒によって巻き取る巻取り方法であって、
折り返された前記シート状物品の折り返し部分の内側に第1巻棒が配置されるステップと、
第2巻棒が前記シート状物品の外側から前記第1巻棒に係合されて、前記第1巻棒および前記第2巻棒の外周面によって円筒形状が形成されるステップと、
前記第1巻棒および前記第2巻棒の外周面に前記シート状物品が巻回されるステップと、を含むことを特徴とする巻取り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周状に延在したループ形状のシート状物品を巻き取る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、経糸及び緯糸が合成繊維マルチフィラメント糸からなる平織組織のエアバッグ用の織物を巻き芯に巻いた織物ロールが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-143407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート状物品を巻棒で巻き取る際に、折り目を付けずに緩みなく巻き取ることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、シート状物品を巻き取る作業を容易にしつつ、巻き取ったシート状物品に折り目が付くことを抑える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の巻取り構造は、周状に延在したループ形状のシート状物品と、シート状物品の内側に差し込まれる第1巻棒と、シート状物品の外側から第1巻棒と係合する第2巻棒と、シート状物品の内側に差し込まれて第1巻棒と離れて位置する第3巻棒と、を備える。第1巻棒および第2巻棒は、対向して係合する合わせ面と、断面が円弧状に形成され、一対の合わせ面が係合した状態で円筒形状をなす外周面と、をそれぞれ有する。シート状物品は、第1巻棒および第2巻棒の合わせ面に挟まれ、第1巻棒および第2巻棒の外周面の周りに巻回される。
【0007】
本発明の別の態様は、巻取り構造である。この巻取り構造は、周状に延在したループ形状のシート状物品と、シート状物品の内側に差し込まれる第1巻棒と、シート状物品の外側から第1巻棒と係合する第2巻棒と、を備える。第1巻棒および第2巻棒は、対向して係合する合わせ面と、断面が円弧状に形成され、一対の合わせ面が係合した状態で円筒形状をなす外周面と、をそれぞれ有する。シート状物品は、第1巻棒および第2巻棒の合わせ面に挟まれ、第1巻棒および第2巻棒の外周面の周りに巻回される。
【0008】
本発明のさらに別の態様もまた、巻取り構造である。この巻取り構造は、両端を有する帯状のシート状物品と、折り返されたシート状物品の折り返し部分の内側に配置される第1巻棒と、シート状物品の外側から第1巻棒と係合する第2巻棒と、を備える。第1巻棒および第2巻棒は、対向して係合する合わせ面と、断面が円弧状に形成され、一対の合わせ面が係合した状態で円筒形状をなす外周面と、をそれぞれ有する。シート状物品は、第1巻棒および第2巻棒の合わせ面に挟まれ、第1巻棒および第2巻棒の外周面の周りに巻回される。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、周状に延在したループ形状のシート状物品を複数の巻棒によって巻き取る巻取り方法である。この巻取り方法は、第1巻棒がシート状物品の内側に差し込まれるステップと、第2巻棒がシート状物品の外側から第1巻棒に係合されて、第1巻棒および第2巻棒の外周面によって円筒形状が形成されるステップと、第3巻棒が第1巻棒から離れた位置でシート状物品の内側に差し込まれるステップと、第1巻棒および第2巻棒の外周面にシート状物品が巻回されるステップと、を含む。
【0010】
本発明のさらに別の態様もまた、周状に延在したループ形状のシート状物品を複数の巻棒によって巻き取る巻取り方法である。この巻取り方法は、第1巻棒がシート状物品の内側に差し込まれるステップと、第2巻棒がシート状物品の外側から第1巻棒に係合されて、第1巻棒および第2巻棒の外周面によって円筒形状が形成されるステップと、第1巻棒および第2巻棒の外周面にシート状物品が巻回されるステップと、を含む。
【0011】
本発明のさらに別の態様もまた、巻取り方法である。この方法は、両端を有する帯状のシート状物品を複数の巻棒によって巻き取る巻取り方法であって、折り返されたシート状物品の折り返し部分の内側に第1巻棒が配置されるステップと、第2巻棒がシート状物品の外側から第1巻棒に係合されて、第1巻棒および第2巻棒の外周面によって円筒形状が形成されるステップと、第1巻棒および第2巻棒の外周面にシート状物品が巻回されるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シート状物品を巻き取る作業を容易にしつつ、巻き取ったシート状物品に折り目が付くことを抑える技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例の巻取り構造の斜視図である。
図2】実施例の巻取り構造の正面図である。
図3】シート状物品の巻取り方法について説明するための図である。
図4】第1変形例の巻取り構造の正面図である。
図5】第2変型例の巻棒の正面図である。
図6】第3変型例の巻棒の正面図である。
図7】第4変型例の2つの巻棒の側面図である。
図8】第5変型例の巻取り構造の正面図である。
図9】第6変形例の第1巻棒および第2巻棒の正面図である。
図10】第7実施例の巻取り構造の正面図である。
図11】第8実施例の巻取り構造の正面図である。
図12】第9実施例の巻取り構造について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施例の巻取り構造10の斜視図である。また、図2は、実施例の巻取り構造10の正面図である。巻取り構造10は、第1巻棒12a、第2巻棒12b、第3巻棒14およびシート状物品16を備える。
【0015】
シート状物品16は、例えば、抄紙機に用いられる工業用織物であり、ベルトコンベアに用いるベルトのように周状に延在する。シート状物品16は、予め設定した所定幅で形成され、幅方向(軸方向)に沿う方向に見てループしている。シート状物品16は、工業用織物に限られず、例えば、不織布、紙、ゴム、フィルム等であってよい。いずれにしても、シート状物品16は、周状に延在したループ形状をなす。シート状物品16は、全長が数十メートルを超え、所定幅は数メートルを超えるものがあるため、巻棒で巻回して搬送される。このとき、シート状物品16は、ループ形状であり、巻き取るために2箇所で折り返すことになるが、折り目を付けずに巻回することが望ましい。そこで実施例の巻取り構造10では、複数の巻棒を用いて折り目を付きにくくする巻取り構造10を形成する。
【0016】
第1巻棒12aおよび第2巻棒12b(これらを区別しない場合、「巻棒12」という)は、同形状の半割体であり、互いに合わさって円筒形状をなす。第1巻棒12aおよび第2巻棒12bを同じ大きさで同形状にすることで、製造コストを低減できる。第1巻棒12a、第2巻棒12bおよび第3巻棒14は、プラスチック、発泡プラスチック、アルミ、鉄などの材料で形成されてよい。第1巻棒12aは、第1外周面20aおよび第1合わせ面22aを有し、第2巻棒12bは、第2外周面20bおよび第2合わせ面22bを有する。
【0017】
第1外周面20aおよび第2外周面20b(これらを区別しない場合、「外周面20」という)は、断面が円弧状にそれぞれ形成され、半筒状にそれぞれ形成される。これにより、第1外周面20aおよび第2外周面20bを組み合わせて円筒形状が形成できる。
【0018】
第1合わせ面22aおよび第2合わせ面22b(これらを区別しない場合、「合わせ面22」という)は、同形状に形成され、互いに係合可能に形成される。一対の合わせ面22が対向して係合した状態で、図2に示すように一対の外周面20が円筒形状をなす。一対の合わせ面22の間には、シート状物品16の被挟持部16aが挟まれる。
【0019】
一対の合わせ面22は、湾曲してそれぞれ形成される。例えば、第1合わせ面22aは凸状に形成され、第2合わせ面22bは、凹状に形成されてよい。これによって、一対の合わせ面22が平面である場合と比べて、被挟持部16aを滑りにくく挟持できる。これによって、巻棒12がシート状物品16を巻回する際にシート状物品16が緩んでシワが発生することを抑えられる。
【0020】
第1合わせ面22aは、対向する第2合わせ面22bに対して、凹んで形成される凹部24と、突出して形成される凸部26とを有する。これにより、第1合わせ面22aは略S字状に形成される。凹部24および凸部26は、それぞれ湾曲して同じ曲率で形成される。第2合わせ面22bも第1合わせ面22aと同様に略S字状に形成される。これにより、合わせ面22に凹部および凸部が交互に複数形成される場合と比べて、凹部24の凹み量および凸部26の突出量を十分に確保してシート状物品16の滑り止めを十分に効かせつつ、凹部24および凸部26の曲率半径が小さくなり過ぎて、シート状物品16に曲げ痕が残ることを抑えることができる。シート状物品16に波形の曲げ痕が残ると、シート状物品16を展開した際に全長が短くなり、ベルトコンベアに取り付けにくくなる。なお、凹部24および凸部26がつながる部分は平面状であってよい
【0021】
第1巻棒12aは、正面視にて、膨出部27と、膨出部27からテーパ状に形成された尖端部28とを有する。第1巻棒12aに形成された尖端部28には、アールが形成されており、シート状物品16を傷つけにくくなっている。第2巻棒12bも第1巻棒12aの尖端部28と同様である。
【0022】
第3巻棒14は、円筒形状に形成される。第1巻棒12aおよび第2巻棒12bの外周面20にはシート状物品16が複数層に巻回されて巻回部16bが形成されるが、第3巻棒14にはシート状物品16が1層だけ巻かれる。第3巻棒14を1本にすることで、巻取り構造10をシンプルな構成にできる。また、巻取り構造10を展開した場合に、第1巻棒12aおよび第3巻棒14がシート状物品16の内側にあるため、第1巻棒12aおよび第3巻棒14を吊り上げることでシート状物品16を持ち上げることが可能となり、抄紙機や不織布製造機に掛け入れやすくできる。
【0023】
図3は、シート状物品16の巻取り方法について説明するための図である。第1巻棒12aおよび第3巻棒14は、シート状物品16の内側に差し込まれる。第1巻棒12aおよび第3巻棒14を差し込む順番はどちらが先でもよい。第1巻棒12aおよび第3巻棒14は、シート状物品16内でほぼ最も離れた位置、すなわちシート状物品16の全長の半分ほど離れた位置で差し込まれる。シート状物品16は、第1巻棒12aを差し込んだ位置と、第3巻棒14を差し込んだ位置で折り返される。これにより、シート状物品16を巻き取った場合、シート状物品16の折り返し部分に第1巻棒12aおよび第3巻棒14が位置して、シート状物品16の折り返し部分に折り目が付くことを抑えることができる。
【0024】
作業者は、シート状物品16の内側に第1巻棒12aを差し込んだ後、シート状物品16の外側から第1巻棒12aの第1合わせ面22aに第2巻棒12bの第2合わせ面22bを係合させる。これにより、第1巻棒12aおよび第2巻棒12bがシート状物品16の被挟持部16aを挟んだ状態で円筒形状をなす。
【0025】
次に、作業者は、第1巻棒12aおよび第2巻棒12bを軸周りに回転させ、第1巻棒12aおよび第2巻棒12bの外周面20に2重になったシート状物品16を巻回させ、第3巻棒14に達するまでシート状物品16を巻き取る。これにより、第1巻棒12aおよび第2巻棒12bの外周面20に図2に示す巻回部16bが形成され、シート状物品16の巻取りが完了し、図2に示す巻取り構造10が形成される。なお、図2に示す巻取り構造10から第1巻棒12aおよび第2巻棒12bは抜き取られ、第3巻棒14だけ残してもよい。
【0026】
シート状物品16は、図2に示す巻取り構造10の状態でそのまま搬送されてよく、巻取り構造10から第1巻棒12aおよび第2巻棒12bを抜き取った状態で搬送してもよい。第1巻棒12aおよび第2巻棒12bを抜き取ることで、第1巻棒12aおよび第2巻棒12bを再利用でき、搬送時に重量を低減できる。
【0027】
一対の巻棒12が円筒形状をなすため、外周面20にシート状物品16を巻回する作業が一対の巻棒12を転がすことで容易にでき、巻回部16bも円筒形状になるためシート状物品16の緩みやシワを生じにくくできる。また、一対の合わせ面22が湾曲した面で係合した状態にあるため、シート状物品16の被挟持部16aがずれにくく、シート状物品16が緩んだ状態で巻回されにくい。
【0028】
巻棒12の尖端部28は、巻回方向31の後方側に配置される。つまり、第1巻棒12aは、シート状物品16の折り返し部分に膨出部27が当たるようにシート状物品16の内側に差し込まれる。これにより、シート状物品16が尖端部28で折り返されることを避けることができる。
【0029】
図4は、第1変形例の巻取り構造100の正面図である。変形例の巻取り構造100は、図2に示す巻取り構造10と比べて、第1巻棒112aおよび第2巻棒112bが異形である点で異なり、第3巻棒114の外径が第1巻棒112aおよび第2巻棒112bの外径よりも小さい点で異なる。
【0030】
第1巻棒112aの第1合わせ面122aは、第1凹部124aおよび第1凸部126aを有する。第2巻棒112bの第2合わせ面122bは、第2凹部124bおよび第2凸部126bを有する。第1凹部124aの曲率半径は、第1凸部126aの曲率半径より小さい。第2凹部124bの曲率半径は、第2凸部126bより大きく、第1凸部126aの曲率半径と同じである。第2凸部126bの曲率半径は、第1凹部124aの曲率半径と同じである。これにより、第1合わせ面122aおよび第2合わせ面122bが面で合わさることができる。例えば第1凹部124aの曲率半径は、第1凸部126aの曲率半径の半分であるが、この比率に限定されない。
【0031】
第1巻棒112aは、シート状物品16の内側に差し込まれ、第2巻棒112bは、シート状物品16の外側から第1巻棒112aに係合する。これにより、第1外周面120aおよび第2外周面120bは円筒形状をなす。シート状物品16の外側に配置される第2巻棒112bが、第1巻棒112aよりも小型であるため、第2巻棒112bを第1巻棒112aに係合させる作業が容易である。
【0032】
図5は、第2変型例の巻棒212の正面図である。第2変型例の巻棒212は、図2に示す第1巻棒12aと比べて、ほぼ同じ外形であるが、2部材で形成される点で異なる。
【0033】
巻棒212は、円筒部30およびテーパ部32を有し、円筒部30にテーパ部32を固定させて形成される。円筒部30は、中空であり、通常のシートを巻回する巻き芯として機能するものであってよく、安価である。
【0034】
テーパ部32は、円筒部30と同様に円筒部30の中心軸方向に延在する。テーパ部32は、大径部32a、小径部32bおよび結合部32cを有する。大径部32aおよび小径部32bは正面視にて円弧状に形成される。大径部32aは、小径部32bよりも大径である。大径部32aおよび小径部32bの一端は互いに連結され、他端は結合部32cであって円筒部30に結合する。結合方法は、接着や溶着等であってよい。
【0035】
一対の巻棒212は、図2に示すように合わされて円筒状の外周面20を形成する。一対の巻棒212を合わせた際に、大径部32aは外周面20となり、小径部32bは合わせ面22となる。小径部32bの曲率半径は、円筒部30の半径と略同一であってよい。これにより、一対の巻棒212を合わせた際に隙間が形成されにくくできる。
【0036】
巻棒212が、中空状に形成されるため、軽量化でき、シート状物品16を巻き取る作業を容易にできる。また、円筒部30が高い剛性を有するため、巻棒212のしなりを抑えることができる。
【0037】
図6は、第3変型例の巻棒312の正面図である。第3変型例の巻棒312は、図2に示す第1巻棒12aと比べて、中空形状である点と、内部に複数の筋交い部34a,34b,34c,34d,34eを有する点が異なる。巻棒312の外形は、第1巻棒12aと同じである。
【0038】
3つの筋交い部34a,34b,34eは、互いに接続して3方向に延在し、正面視にて、120度ずれて位置する。また、3つの筋交い部34c,34d,34eも、互いに接続して3方向に延在し、正面視にて、120度ずれて位置する。2つの筋交い部34a,34bと、2つの筋交い部34c,34dとが、筋交い部34eによって連結されており、この構造によって巻棒312は、十分な剛性が確保され、しなりを抑えることができる。なお、巻棒312の内側の全ての筋交い部34a,34b,34c,34d,34eを取り除いた巻棒であってもよい。
【0039】
図7は、第4変型例の2つの巻棒412の側面図である。図7は巻棒412の外周面側を見た図である。一方の巻棒412の雄継手36と、他方の巻棒412の雌継手38が嵌合して、2つの巻棒412は、軸方向に連結している。雄継手36および雌継手38の一方は、雄継手36および雌継手38の他方に、軸方向に直交する方向に沿って差し込まれる。
【0040】
雄継手36は、先端側に向かって幅広になるように形成される。雌継手38は、軸方向の奥側に向かって幅広になっており、先端側が狭くなっている。これにより、雄継手36および雌継手38が嵌合すると、2つの巻棒412の軸方向の動きが制限される。巻棒412の一方の端部には雄継手36が形成され、他方の端部には雌継手38が形成される。これによって、巻棒412を軸方向にいくつも連結することが可能になる。なお、雄継手36および雌継手38は、嵌合状態で軸方向に離れる動きを制限し、軸方向に直交する方向に沿って差し込める形状であれば図7に示す形状に限定されない。
【0041】
シート状物品16の幅は、長いものでは11メートルほどになり、巻棒412も同じ長さ又はその幅よりも0.5から1メートル程度余裕を持った長さが要求される。巻棒412が軸方向に連結可能になると、分解した1本の巻棒412の長さが短くなる。これにより、巻棒412の持ち運びが容易になり、保管スペースを小さくできる。
【0042】
図8は、第5変型例の巻取り構造500の正面図である。第5変型例の巻取り構造500は、図2に示す巻取り構造10と比べて、第1巻棒512aおよび第2巻棒512bの外形が異なる。
【0043】
第1巻棒512aは、第1外周面520aおよび第1合わせ面522aを有し、第2巻棒512bは、第2外周面520bおよび第2合わせ面522bを有する。第1合わせ面522aおよび第2合わせ面522bは、同形状で対向して係合する。
【0044】
第1外周面520aおよび第2外周面520bは、断面が円弧状に形成され、第1合わせ面522aおよび第2合わせ面522bが係合した状態で円筒形状をなす。また、図2に示す第1巻棒12aおよび第2巻棒12bの外周が軸方向に沿って見て略真円形状であるのに対し、第1外周面520aおよび第2外周面520bは、楕円形状である。第1合わせ面522aおよび第2合わせ面522bが対向する方向が短径に形成される。
【0045】
図8(a)では第3巻棒14が第1巻棒512aおよび第2巻棒512bの上に載置された状態にあり、図8(b)では第3巻棒14が第1巻棒512aおよび第2巻棒512bと水平方向に並んだ状態にある。
【0046】
図8(a)および図8(b)に示す第1巻棒512aおよび第2巻棒512bの長径が水平方向に沿った状態で、第1巻棒512aおよび第2巻棒512bが地面40に載置されている。第1巻棒512aおよび第2巻棒512bの長径が水平方向に沿うことで、巻取り構造500の高さを低くでき、梱包時の高さを抑えることができる。また、巻取り構造500が軸周りに転びにくくなり、安定して搬送できる。
【0047】
図9は、第6変形例の第1巻棒612aおよび第2巻棒612bの正面図であり、シート状物品616を挟んだ状態を示す。第6変形例の第1巻棒612aおよび第2巻棒612bは、図2に示す第1巻棒12aおよび第2巻棒12bに比べて、厚いシート状物品616を挟んでいる点で異なる。
【0048】
第1巻棒612aは、第1外周面620aおよび第1合わせ面622aを有し、第2巻棒612bは、第2外周面620bおよび第2合わせ面622bを有する。第1外周面620aおよび第2外周面620bは、第1合わせ面622aおよび第2合わせ面622bがシート状物品616を挟んで係合した状態で、軸方向に沿って見て略真円形状をなす。シート状物品616を挟まずに合わせた場合、第1外周面620aおよび第2外周面620bは、第1合わせ面622aおよび第2合わせ面622bの対向方向に潰れた状態になり、略真円形状をなさない。
【0049】
第1合わせ面622aは、湾曲した凹部42aおよび凸部44aを有し、第2合わせ面622bは、湾曲した凹部42bおよび凸部44bを有する。凸部44aの曲率半径r1は、凹部42bの曲率半径r2よりも小さく、とくにシート状物品616の厚さの分だけ小さくなっている。これによって、凸部44aおよび凹部42bが厚いシート状物品616を隙間なく挟むことが可能となる。同様に凹部42aは曲率半径r2を有し、凸部44bは曲率半径r1を有する。この凹凸係合によって、シート状物品616を挟んだ状態で、第1外周面620aおよび第2外周面620bが軸方向に沿って見て略真円形状をなすことができる。
【0050】
図10は、第7実施例の巻取り構造700の正面図である。第7実施例の巻取り構造700は、図2に示す巻取り構造10と比べて、第3巻棒14の本数が多い点で異なる。
【0051】
巻取り構造700では、2本の第3巻棒14の境界部分を、第1巻棒12aおよび第2巻棒12bの上に載せる。第3巻棒14の数は、3本や4本にすることも可能であり、その場合は第3巻棒14の径をより小さくしてよい。このように、第3巻棒14の数は複数であってよい。第3巻棒14の本数を複数にすることで、巻取り構造700を吊り上げる際に、引っ掛け可能な巻棒の位置が増えるため、支持しやすく、抄紙機や不織布製造機に掛け入れやすくできる。
【0052】
なお、第1巻棒12aおよび第2巻棒12bがシート状物品16を巻き取った後、抜き取られてよい。つまり、第1巻棒12aおよび第2巻棒12bがシート状物品16を巻き取った後、中心軸方向に押し出されて抜き取られ、第3巻棒14とシート状物品16のみで構成された巻取り構造700が搬送されてよい。第1巻棒12aおよび第2巻棒12bに巻き取られた巻回部16bは、ある程度の剛性を有し、材料によっては巻棒がなくとも形状を維持することが可能である。
【0053】
図11は、第8実施例の巻取り構造800の正面図である。第8実施例の巻取り構造800は、図2に示す巻取り構造10と比べて、第3巻棒14が無い点で異なる。つまり、巻取り構造800は、シート状物品16、第1巻棒12aおよび第2巻棒12bのみで構成される。第1巻棒12aおよび第2巻棒12bは、図2に示す巻取り構造10と同じ構成を有する。これにより、巻取り構造800の構成を簡素化および軽量化できる。
【0054】
図12は、第9実施例の巻取り構造について説明するための図である。図9に示す巻取り構造は、巻き取る途中の工程を示す。第9実施例の巻取り構造は、図2に示す巻取り構造10と比べて、シート状物品116がループ形状でなく、第3巻棒14が無い点で異なる。第9実施例の巻取り構造は、シート状物品116、第1巻棒12aおよび第2巻棒12bを備える。
【0055】
シート状物品116は、帯状に形成され、両端を有する。シート状物品116は、中央で折り返した折り返し部分116bを有する。第1巻棒12aは、折り返し部分116bの内側に配置される。第2巻棒12bは、シート状物品116の外側から第1巻棒12aに係合する。第1巻棒12aの第1合わせ面22aおよび第2巻棒12bの第2合わせ面22bがシート状物品116の被挟持部16aを挟持した状態で、シート状物品116を巻き取って第9実施例の巻取り構造が形成される。これにより、シート状物品116を折り返した状態で巻き取ることが可能であるため、巻取り作業においてシート状物品116を展開する長さを半分にすることができ、作業スペースを小さくでき、第1巻棒12aおよび第2巻棒12bに巻き取る回転数を半分にできる。
【0056】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態はあくまでも例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0057】
例えば、実施例では、一対の合わせ面22が略S字状に形成される態様を示したが、この態様に限られない。例えば、合わせ面22に、湾曲した凹部および凸部の組が複数形成されてよい。また、一対の合わせ面22が凹凸形状で係合すれば、湾曲しない部分があってもよく、一部に平面が形成されていてもよい。例えば、凹部と凸部がつながる部分が平面状に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 巻取り構造、 12a 第1巻棒、 12b 第2巻棒、 12 巻棒、 14 第3巻棒、 16 シート状物品、 16a 被挟持部、 16b 巻回部、 20a 第1外周面、 20b 第2外周面、 20 外周面、 22a 第1合わせ面、 22b 第2合わせ面、 22 合わせ面、 24 凹部、 26 凸部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12