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特開2023-150219ガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150219
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/26 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G01M3/26 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059210
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛志
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 宏太
(72)【発明者】
【氏名】土佐 宗弘
(72)【発明者】
【氏名】大西 陽介
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA12
2G067CC04
2G067DD02
(57)【要約】
【課題】ガス管の漏洩を監視することが可能なガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法を供する。
【解決手段】ガス漏れ推定システムは、ガス管に沿って第1地点および第2地点が位置し、第1地点におけるガスの圧力に基づき、第2地点におけるガス漏れを推定するガス漏れ推定システムであって、学習済みの推定モデルを用いて、測定器が測定した第1地点におけるガスの圧力から第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値を求めるガス圧力推定手段と、第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値、および、第2地点における過去の正常時の圧力の実測値に基づき、第2地点におけるガス漏れが発生しているか否かを判定する判定手段と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス管に沿って第1地点および第2地点が位置し、前記第1地点におけるガスの圧力に基づき、前記第2地点におけるガス漏れを推定するガス漏れ推定システムであって、
前記ガス管の第1地点に位置し、前記ガス管内のガスの圧力を測定する測定器と、
前記第1地点におけるガスの圧力から前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定する推定モデルであって、前記第1地点および前記第2地点における正常時のガスの圧力の実測値を教師データとして、機械学習させることによって、学習済みの推定モデルを用いて、前記測定器が測定した前記第1地点におけるガスの圧力から前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値を求めるガス圧力推定手段と、
前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値、および、前記第2地点における過去の正常時の圧力の実測値に基づき、前記第2地点におけるガス漏れが発生しているか否かを判定する判定手段と、
を備えるガス漏れ推定システム。
【請求項2】
前記第1地点および前記第2地点を含む複数の地点が前記ガス管に位置しており、前記第1地点および前記第2地点は隣接している、請求項1に記載のガス漏れ推定システム。
【請求項3】
前記第1地点は前記第2地点よりも上流に位置している、請求項2に記載のガス漏れ推定システム。
【請求項4】
前記推定モデルは、前記第1地点におけるガスの圧力と、その圧力を取得した時刻および日付とから前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、前記第1地点および前記第2地点の圧力の実測値と、これらを取得した時刻および日付とを前記教師データとして学習されており、
前記ガス圧力推定手段は、前記学習済み推定モデルを用いて、前記測定器が測定した前記第1地点におけるガスの圧力、時刻および日付から前記第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める、請求項1から3のいずれか1項に記載のガス漏れ推定システム。
【請求項5】
前記推定モデルは、前記第1地点におけるガスの圧力および流量から前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、前記第1地点および前記第2地点の圧力の実測値と、前記第1地点の流量とを前記教師データとして学習されており、
前記ガス圧力推定手段は、前記学習済み推定モデルを用いて、前記測定器が測定した前記第1地点におけるガスの圧力およびガス流量から前記第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める、請求項1から4のいずれか1項に記載のガス漏れ推定システム。
【請求項6】
前記推定モデルは、前記第1地点におけるガスの圧力およびその圧力を取得した時の気温から前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、前記第1地点および前記第2地点の圧力の実測値と、前記圧力を取得した時の気温とを教師データとして学習されており、
前記ガス圧力推定手段は、前記学習済み推定モデルを用いて、前記測定器が測定した前記第1地点におけるガスの圧力および気温から前記第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める、請求項1から5のいずれか1項に記載のガス漏れ推定システム。
【請求項7】
前記判定手段は、前記圧力の推定値をPsとし、前記第2地点における過去の正常時の圧力の実測値をPrとして、下記式で求められる誤差率Eを算出し、
E=100×(Ps-Pr)/Pr
Eが所定の閾値Rtを超えた場合、ガス漏れが発生していると判定する、請求項1から6のいずれか1項に記載のガス漏れ推定システム。
【請求項8】
前記Rtは、0.015以上である、請求項7に記載のガス漏れ推定システム。
【請求項9】
ガス管に沿って第1地点および第2地点が位置し、前記第1地点におけるガスの圧力に基づき、前記第2地点におけるガス漏れを推定するガス漏れの推定方法であって、
前記ガス管の第1地点に位置におけるガスの圧力を測定する工程(A)と、
前記第1地点におけるガスの圧力から前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定する推定モデルであって、前記第1地点および前記第2地点における正常時のガスの圧力の実測値を教師データとして、機械学習させた学習済みの推定モデルを用いて、前記測定器が測定した前記第1地点におけるガスの圧力から前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値を求める工程(B)と、
前記圧力に関する情報の推定値、および、前記第2地点における過去の正常時の圧力の実測値に基づき、前記第2地点におけるガス漏れが発生しているか否かを判定する(C)工程と、
を備えたガス漏れの推定方法。
【請求項10】
前記第1地点および前記第2地点を含む複数の地点が前記ガス管に位置しており、前記第1地点および前記第2地点は隣接している、請求項9に記載のガス漏れの推定方法。
【請求項11】
前記第1地点は前記第2地点よりも上流に位置している、請求項10に記載のガス漏れの推定方法。
【請求項12】
前記推定モデルは、前記第1地点におけるガスの圧力と、その圧力を取得した時刻および日付とから前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、前記第1地点および前記第2地点の圧力の実測値と、これらを取得した時刻および日付とを前記教師データとして学習されており、
前記工程(B)は、前記測定器が測定した前記第1地点におけるガスの圧力、時刻および日付から前記第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める、請求項9から11のいずれか1項に記載のガス漏れの推定方法。
【請求項13】
前記推定モデルは、前記第1地点におけるガスの圧力および流量から前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、前記第1地点および前記第2地点の圧力の実測値と、前記第1地点の流量とを前記教師データとして学習されており、
前記工程(B)は、前記測定器が測定した前記第1地点におけるガスの圧力およびガス流量から前記第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める、請求項9から12のいずれか1項に記載のガス漏れの推定方法。
【請求項14】
前記推定モデルは、前記第1地点におけるガスの圧力およびその圧力を取得した時の気温から前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、前記第1地点および前記第2地点の圧力の実測値と、前記圧力を取得した時の気温とを教師データとして学習されており、
前記工程(B)は、前記測定器が測定した前記第1地点におけるガスの圧力および気温から前記第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める、請求項9から13のいずれか1項に記載のガス漏れの推定方法。
【請求項15】
前記工程(C)は、前記圧力の推定値をPsとし、前記第2地点における過去の正常時の圧力の実測値をPrとして、下記式で求められる誤差率Eを算出し、
E=100×(Ps-Pr)/Pr
Eが所定の閾値Rtを超えた場合、ガス漏れが発生していると判定する、請求項9から14のいずれか1項に記載のガス漏れの推定方法。
【請求項16】
前記Rtは、0.015以上である、請求項15に記載のガス漏れの推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス配管の漏洩を検出する方法として、例えば特許文献1は、車両から路面にレーザ光を照射し、反射光を検出することによって道路に埋設されたガス配管から漏洩しているガス成分を検出する技術を開示している。また、特許文献2は、配管に設けられた2つの地点におけるガスの流量を比較することによって、ガス漏れを検知する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-80629号公報
【特許文献2】特開平9-61283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、車両を走行させてガスの漏洩を検出するため、日常的にガス配管からの漏洩を監視するという目的には適していない。また、特許文献2の技術は、主として末端の各家庭やその近傍でのガスの漏洩検知を目的としており、高圧ガス管などより上流でのガス配管における漏洩の検知には適していないことも考えられる。本開示は、ガス管の漏洩を監視することのできるガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係るガス漏れ推定システムは、ガス管に沿って第1地点および第2地点が位置し、前記第1地点におけるガスの圧力に基づき、前記第2地点におけるガス漏れを推定するガス漏れ推定システムであって、前記ガス管の第1地点に位置し、前記ガス管内のガスの圧力を測定する測定器と、前記第1地点におけるガスの圧力から前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定する推定モデルであって、前記第1地点および前記第2地点における正常時のガスの圧力の実測値を教師データとして、機械学習させることによって、学習済みの推定モデルを用いて、前記測定器が測定した前記第1地点におけるガスの圧力から前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値を求めるガス圧力推定手段と、前記第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値、および、前記第2地点における過去の正常時の圧力の実測値に基づき、前記第2地点におけるガス漏れが発生しているか否かを判定する判定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、ガス管の漏洩を監視することが可能なガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態のガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法が適用可能なガス管の一例を説明する模式図である。
図2図2は、本実施形態のガス漏れ推定システム101の構成を示す模式図である。
図3図3は、情報処理装置30の機能を示すブロック図である。
図4図4は、本実施形態のガス漏れの推定方法を示すフローチャートである。
図5図5は、実施例の結果の一例を示す図である。
図6図6は、実施例において、閾値とガス漏れの検出に要する時間および誤検知数との関係を示す図である。
図7図7は、実施例において、閾値とガス漏れの検出に要する時間および誤検知数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
近年、AI(Artificial Intelligence)技術が発展し、種々の分野において、AIを利用する試みがなされている。本願発明者は、機械学習を利用することによってガス管の漏洩を推定することを検討し、ガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法を想到した。以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、構成の一部が省略されたりしている。
【0009】
図1は、本開示のガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法が適用可能な配管の一例を説明する模式図である。ガス管M1は、例えば、高圧ガス管であり、矢印の向きにガスが流れている。例えば、ガス管M1の内径は、例えば、直径140.2mm~724.0mmであり、1.00MMPa~3.92MPa程度の圧力で都市ガスが移送されている。
【0010】
ガス管M1には、途中に地点A、B、CおよびDが位置しており、それぞれにガスの圧力を測定する測定器が配置されている。地点Aが上流側であり、地点Dが下流側である。つまり、地点A~Dはアルファベットの順で上流側に位置している。また、地点Dには、分岐するガス管M2が接続されている。
【0011】
地点A~Dの間隔は、すべて等しくてもよいし、2以上の間隔が互いに異なっていてもよい。地点A~Dは、ガス圧力を調整するガバナーステーション、あるいは、維持管理のためにバルブが設けられるバルブステーションなどであってよい。これらの施設を配置するために、用地が必要であることから、実際の配管上では、地点A~Dの間隔は互いに異なっている。
【0012】
以下において詳細に説明するように、本開示のガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法は、ガス管に沿って第1地点および第2地点が位置し、第1地点におけるガスの圧力に基づき、第2地点におけるガス漏れを推定する。具体的には、正常時のデータを用いて第1地点におけるガスの圧力から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定する推定モデルを機械学習によって生成し、学習済みの推定モデルを用いて、第1地点におけるガスの圧力から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定する。この推定モデルは、学習時に用いるデータが取得された地点に固有である。つまり、地点Aから地点Bの圧力を推定する推定モデルは、これらの地点で最も精度よくガス漏れの推定を行うことができる。
【0013】
第2地点におけるガス漏れとは、第2地点を中心として上流側および下流側の所定の距離の範囲において、ガス管からガスの漏洩が発生していることをいう。この範囲でガスが漏洩することによって第2地点における計測される圧力が低下する。例えば、第2地点で何等かの理由によりガスの圧力が計測できない場合、第1地点におけるガスの圧力の実測値からガスの漏洩が生じているか否かを推定できる。第2地点においてガスの圧力が計測できる場合には、計測値と推定値とから計測器の異常を判定したり、計測結果の確認に使うことができる。
【0014】
図2は、本実施形態のガス漏れ推定システム101の構成を示す模式図である。本実施形態のガス漏れ推定システムは、ガス管内のガスの圧力を測定する測定器10A、10B、10C、10Dと、情報処理装置30を備える。測定器10A、10B、10C、10Dはそれぞれ地点A、B、C、Dに配置されている。ガス漏れ推定システム101は、前述したように第1地点におけるガスの圧力に基づき、第2地点におけるガス漏れを推定するため、少なくとも第1地点に対応する地点の測定器を備えていればよい。ただし、後述するように推定モデルの学習のため、第1地点および第2地点における過去の正常時の圧力の実測値が必要である。このため、第2地点における圧力の実測値を求めるために、第2地点に対応する地点の測定器を備えていることが好ましい。
【0015】
第1地点および第2地点は、ガス管M1に沿って配置された複数の地点から選ばれる任意の2つの地点であってもよく、いずれが上流に位置していてもよい。例えば、第1地点および第2地点は地点Aおよび地点Cであってもよい。機械学習によって、推定モデルに地点Aおよび地点Cに最適な重みづけがなされる。しかし、より確度の高い推定が可能な推定モデルを得るためには、第1地点および第2地点は互いに隣接していることが好ましい。また、第1地点は第2地点より上流に位置していることが好ましい。
【0016】
地点A~Dにはさらに流量計11A~11Dが配置されていてもよい。
【0017】
測定器10A、10B、10C、10Dで測定されたその地点における圧力のデータは、ネットワーク20を介して情報処理装置30に送信される。ネットワーク20は、インターネット回線であってもよいし、電話回線、携帯電話回線、その他の無線通信回線、あるいは、専用回線であってもよい。
【0018】
図3は情報処理装置30の機能を示すブロック図である。情報処理装置30は、ガス圧力推定手段31と、判定手段32と、記憶手段33とを備える。図3では、情報処理装置30は、例えば、マイクロコンピュータ、サーバーなどであり、CPUなどの情報処理ユニットと、RAM、ROM、HDDやSSDなどの記憶装置と、ネットワーク20からデータを受け取るための通信装置とを備えている。これらの構成によって、ガス圧力推定手段31および判定手段32は、ソフトウエアとして実現されている。また、記憶装置によって記憶手段33は、ハードウエアとして実現されている。
【0019】
図3では、情報処理装置30は、1つの装置として示しているが、ガス圧力推定手段31、判定手段32および記憶手段33のうちの一部は、物理的に分離した装置であり、ネットワーク20によって情報を送受信できるように構成されていてもよい。例えば、記憶手段33は、クラウド上の記憶媒体であってもよいし、後述するガス圧力推定手段31もクラウド上に記憶されていてもよい。
【0020】
ガス圧力推定手段31は、学習済み推定モデルを用いて、第1地点におけるガスの圧力から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定する。つまり、第1地点におけるガスの圧力の実測値を受け取ると、第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値を出力する。学習済み推定モデルは、第1地点におけるガスの圧力から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定する。推定モデルは、予め第1地点および第2地点における正常時のガスの圧力の実測値を教師データとして、機械学習させられている。
【0021】
ガス管M1には分岐するガス管M2が接続されていたり(図1)、下流側にガスを消費する一般住宅が接続されている。また、そのような分岐するガス管やガスを消費する住宅は、均一に位置しているわけではない。このため、学習済み推定モデルは、機械学習を行った第1地点および第2地点に固有の推定モデルである。具体的には、第1地点および第2地点として、地点Aおよび地点Bを選択した場合、得られる学習済み推定モデルは、地点Aにおけるガスの圧力の実測値を受け取ると、地点Bにおけるガスの圧力に関する情報の推定値を出力するモデルとして最適化されている。
【0022】
好ましくは、推定モデルは、第1地点におけるガスの圧力と、その圧力を取得した時刻および日付とから第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定する。また、推定モデルは、第1地点および第2地点の圧力の実測値と、これらを取得した時刻および日付とを教師データとして学習されていることが好ましい。この場合、ガス圧力推定手段31は、学習済み推定モデルを用いて、測定器10A~10Dが測定した第1地点におけるガスの圧力、時刻および日付から第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める。
【0023】
ガス管中のガスの圧力は、ガスの使用量によって変化し、ガスの使用量の変化は、おおむね1日単位の周期を有していると考えられる。また、ガスの使用量の1年にわたる変化も周期性を有していると考えられる。例えば、1日を通して、夕方から夜の時間帯にガスの使用量が多くなり、1年を通して冬の時期にはガスの使用量が多くなると考えられる。したがって、推定モデルが、第1地点におけるガスの圧力を取得した時刻および日付をさらに用いることによって、より正確に第2地点の圧力を推定できると考えられる。
【0024】
推定モデルは、第1地点におけるガスの圧力および流量から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定してもよい。この場合、推定モデルは、第1地点および第2地点の圧力の実測値と、第1地点の流量とを教師データとして学習されていることが好ましい。
【0025】
また、ガス圧力推定手段31は、学習済み推定モデルを用いて、測定器10A~10Dが測定した前記第1地点におけるガスの圧力およびガス流量から第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める。ガス管中のガスの圧力は、ガスの流量によって変化すると考えられるため、推定モデルが、第1地点における流量も用いることによって、より正確に第2地点の圧力を推定できると考えられる。
【0026】
推定モデルは、第1地点におけるガスの圧力およびその圧力を取得した時の気温から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定してもよい。この場合、推定モデルは、第1地点および第2地点の圧力の実測値と、圧力を取得した時の気温とを教師データとして学習されていることが好ましい。また、ガス圧力推定手段31は、学習済み推定モデルを用いて、測定器10A~10Dが測定した第1地点におけるガスの圧力および気温から第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める。
【0027】
ガスの使用量は、気温にも影響されるため、推定モデルが、気温も用いることによって、より正確に第2地点の圧力を推定できると考えられる。
【0028】
推定モデルが求める第2地点におけるガスの圧力に関する情報は、種々のパラメータであってよい。例えば、第2地点におけるガスの圧力に関する情報は第2地点におけるガス圧力であってもよいし、第1地点の圧力に対する第2地点の圧力の比であってもよい。
【0029】
判定手段32は、第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値、および、前記第2地点における過去の正常時の圧力の実測値に基づき、前記第2地点におけるガス漏れが発生しているか否かを判定する。
【0030】
例えば、判定手段32は、第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値として第2地点におけるガスの圧力の推定値Psとし、第2地点における過去の正常時の圧力の実測値をPrとして、下記式で求められる誤差率Eを算出する。
E=100×(Ps-Pr)/Pr
さらに、判定手段32は、Eが所定の閾値Rtを超えた場合、ガス漏れが発生していると判定する。
【0031】
第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値は、ガス圧力推定手段31が求めた値であり、第2地点における過去の正常時の圧力の実測値は例えば、記憶手段33に記憶されている。
【0032】
以下において説明するように、閾値Rtは、例えば、0.015以上であってよい。これにより、誤検知を抑制しつつ、できるだけ短い時間でガス漏れの可能性があることを判定することができる。
【0033】
ガス漏れ推定システム101によるガス漏れの可能性の判定は、任意のタイミングで1度だけ行ってもよい。しかし、ガス管M1の監視という観点では、所定の時間間隔で継続的に繰り返して行うことが好ましい。これにより、ガス管M1を継続的に監視してガス漏れの有無を推定することができる。
【0034】
次に本実施形態のガス漏れの推定方法を説明する。図4は、本実施形態のガス漏れの推定方法を示すフローチャートである。本実施形態のガス漏れの推定方法は、ガス管内のガスの圧力を測定する工程(A)と、第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値を求める工程(B)と、ガス漏れが発生しているか否かを判定する工程(C)とを備える。
【0035】
(1)学習済みの推定モデルの用意
本実施形態のガス漏れの推定方法を実行する前に、まず、学習済みの推定モデルを用意する。上述したように、第1地点におけるガスの圧力から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定する推定モデルに、第1地点および第2地点における正常時のガスの圧力の実測値を教師データとして機械学習させることにより、学習済みの推定モデルを得る。教師データを用いた機械学習は、任意の情報処理装置で行うことができる。例えば商業的に提供されている種々の機械学習ライブラリを利用して推定モデルの学習を行うことができる。また種々の機械学習ライブラリから、本開示のガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法に適したライブラリを選択することができる。第1地点および第2地点における正常時のガスの圧力の実測値は、第1地点および第2地点として、地点A、B、C、Dから任意の2点を選択し、選択した地点における測定器10A~10Dを用いて、取得することができる。
【0036】
上述したように推定モデルは、第1地点におけるガスの圧力に加えて、第1地点におけるガスの圧力を取得した時刻および日付、第1地点におけるガスの流量、および、第1地点におけるガスの圧力を取得した時の気温から選ばれる少なくとも1つをさらに入力パラメータとして用いてもよい。
【0037】
得られた学習済み推定モデルは、以下の工程(B)で利用できるように、工程(B)を行う情報処理装置に記憶させたり、ネットワーク等によって得られた学習済み推定モデルが記憶されている情報処理装置と、工程(B)を行う情報処理装置とで情報の送受が可能な状態にしておくことが好ましい。
【0038】
(2)ガス管内のガスの圧力を測定する工程(A)(S1)
第1の地点として選択した地点A~Dのいずれかにおいて、測定器を用いて、ガスの圧力を測定する。ガス管M1の監視という観点では、所定の時間間隔で繰り返して測定を行うことがこのましい。
【0039】
(3)第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値を求める工程(B)(S2)
得られた学習済みの推定モデルに、工程(A)によって得られた第1の地点におけるガスの圧力を入力し、第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値を求める。
【0040】
(4)ガス漏れが発生しているか否かを判定する工程(C)(S3)
第2地点における圧力に関する情報の推定値、および、第2地点における過去の正常時の圧力の実測値に基づき、第2地点におけるガス漏れが発生しているか否かを判定する。
【0041】
第2地点における圧力に関する情報の推定値は、工程(B)で求めた推定値を用いる。第2地点における過去の正常時の圧力の実測値は、例えば、推定モデルの機械学習の際に教師データとして用いた値を利用することができる。
【0042】
また、上述したように、例えば、第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値として第2地点におけるガスの圧力の推定値Psとし、第2地点における過去の正常時の圧力の実測値をPrとして、下記式で求められる誤差率Eを算出する。
E=100×(Ps-Pr)/Pr
さらに、Eが所定の閾値Rtを超えた場合、ガス漏れが発生していると判定する。閾値Rtは、例えば、0.015以上であってよい。
【0043】
このように本開示のガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法によれば、第2地点でのガスの圧力を、第1地点におけるガスの圧力から推定し、さらに、第2地点においてガス漏れが発生しているか否かを推定する。このため、例えば、事故、故障、停電などで、第2地点でのガスの圧力を測定することができない場合でも、第1地点のガスの圧力から第2地点でのガスの圧力を推定したり、ガス漏れの有無を推定することができる。また、第2地点でガス圧が計測できる場合には、計測値と推定値とから計測器の異常を判定したり、計測結果の確認に用いることができる。
【0044】
このような機械学習による推定モデルを利用することによって、新たに計測機器を設置することなく、ガス漏れの有無を判定することができる。また、ガス管には複数の計測器が備えられているため、各地点において、本開示のガス漏れ推定システムまたはガス漏れの推定方法を用いることによって、ガス管のガス漏れを連続的に監視することが可能である。
【0045】
本開示のガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法は上記実施形態に限られず種々の改変が可能である。例えば、情報処理装置の構成は上記実施形態に限られない。また、状処理装置の構成の一部または全部は、例えばクラウドサーバー等であってもよい。また、推定モデルは、例えば、適当なタイミングで定期的にまたは不定期的に教師データを用いて機械学習を行ってもよい。また、推定モデルは、本実施形態で説明した入力パラメータに加えて他のパラメータを用いて第2の地点の圧力を推定してもよい。
【0046】
以下、ガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法の実施例を説明する。ガス管に配置された隣接する2か所の地点における正常時のガスの圧力の測定結果を用いて、本実施形態のガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法を検証した。
【0047】
(1) 第1の地点および第2の地点として用意したガスの圧力の実測値は、午前1時0分から、翌日の午前0時まで1分おきに取得した。データ数は1381点であった。このため、第1の地点および第2の地点におけるガスの圧力の実測値の配列は、その圧力が取得された時刻も表している。例えば、3番目のガスの圧力の実測値は、午前1時2分に取得したガスの圧力であることを示している。
【0048】
(2) 推定モデルとして以下の関数を設定した。
Y=F(X)
目的変数(Y)=第2の地点の圧力(推定)/第1の地点の圧力(実測)
説明変数(X)=第1の地点の圧力
上述した第1地点および第2地点における正常時のガスの圧力の実測値を教師データとして、Pythonの以下のライブラリを用いて学習済み推定モデルを得た。
・pandas
・numpy
・scipy
・matplotlib
・japanize_matplotlib
・tqdm
・datetime
・scikit-learn
・lightgbm
【0049】
(3) 実際にガス管からガス漏れが生じた際の圧力データを得ることが困難であるため、第1地点における正常時のガスの圧力の実測値において、午後12時0分から1時間、異常が生じたと仮定して実測値を異常データに置き換え、検証データ1とした。同様に、第1地点における正常時のガスの圧力の実測値において、午後9時0分から1時間、異常が生じたと仮定して実測値を異常データに置き換え、検証データ2とした。
【0050】
異常データは、過去の中圧管破損時におけるガス噴出量の実績値を、計算によって高圧状態におけるガス漏れに換算し、10000Nm/hのガス漏れが発生することを想定した。上記の異常が発生した時間にガスの需要量が正常時に比べて10000Nm/h増大したと仮定し、ガスの需要量を入力データとしてガス管の圧力状態をシミュレーションできる解析ソフトを用いて、異常時のガス圧を計算によって求めた。正常時の圧力データには、ある夏の平日のデータを用いた。
【0051】
(4) 下記式に従って、各時刻における誤差率Eを算出した。
E=100×(Ps-Pr)/Pr
Psは、検証データ1および検証データ2を学習済みモデルに入力して得られた第2地点における予測値であり、Prは、第2地点における正常時のガスの圧力の実測値である。また、正常時のデータとして、第1地点における正常時のガスの圧力の実測値を学習済みモデルに入力して得られた第2地点における予測値をPsとし、第2地点における正常時のガスの圧力の実測値をPrとして、同様に誤差率Eを求めた。
【0052】
結果を図5から図7に示す。図5において、Nは、正常時のデータの誤差率Eを示し、E1およびE2はそれぞれ検証データ1および2による誤差率Eを示す。図5から分かるように、E1の誤差率Eは午後12時から1時の間で大きな値を示している。同様に、E2の誤差率は、午後9時から午後10時の間で大きな値を示している。これらの結果から、学習済み推定モデルによれば、第1の地点の圧力に基づき、第2地点における圧力の異常を適切に推定できると考えられる。
【0053】
図6は、E1において、閾値Rtを変えた場合に、誤差率Eが閾値Rtを超え、ガス漏れが発生していると判定するまでに要する時間と、誤検知の数との関係を示す。誤検知の数は、設定した異常データ以外の範囲で誤差率Eが閾値Rtを超えた数を示す。同様に図7は、E2において、閾値Rtを変えた場合に、誤差率Eが閾値Rtを超え、ガス漏れが発生していると判定するまでに要する時間と、誤検知の数との関係を示す。誤検知の数は、設定した異常データ以外の範囲で誤差率Eが閾値Rtを超えた数を示す。
【0054】
図6および図7から閾値Rtを小さくすれば、ガス漏れが発生していると判定するまでに要する時間は短くなるが、誤検知の数も多くなる。これらの結果から、例えば、Rtを0.015以上に設定すれば誤検知の数を十分に小さくしてガス漏れの発生を判定できることが分かる。
【0055】
本実施形態のガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法を用いてガス漏れを判定し、判定結果に基づき、例えばガス漏れに対応するように人員を配置する場合には、人員が出動に要する時間、許容できる誤検知数に応じて閾値Rtを決定することができる。
【0056】
このように、本実施例によれば、機械学習によって学習させた推定モデルを用いて、ガス管の第1の地点の圧力から、第2の地点の圧力を推定できることが分かった。
【0057】
本開示のガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法は、以下のようにも説明することができる。
【0058】
第1の構成に係るガス漏れ推定システムは、ガス管に沿って第1地点および第2地点が位置し、第1地点におけるガスの圧力に基づき、第2地点におけるガス漏れを推定するガス漏れ推定システムであって、ガス管の第1地点に位置し、ガス管内のガスの圧力を測定する測定器と、第1地点におけるガスの圧力から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定する推定モデルであって、第1地点および第2地点における正常時のガスの圧力の実測値を教師データとして、機械学習させることによって、学習済みの推定モデルを用いて、測定器が測定した第1地点におけるガスの圧力から第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値を求めるガス圧力推定手段と、第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値、および、第2地点における過去の正常時の圧力の実測値に基づき、第2地点におけるガス漏れが発生しているか否かを判定する判定手段と、を備える。
【0059】
第2の構成に係るガス漏れ推定システムは、第1の構成において、第1地点および第2地点を含む複数の地点がガス管に位置しており、第1地点および第2地点は隣接している、請求項1に記載のガス漏れ推定システム。
【0060】
第3の構成に係るガス漏れ推定システムは、第2の構成において、第1地点は第2地点よりも上流に位置している、請求項2に記載のガス漏れ推定システム。
【0061】
第4の構成に係るガス漏れ推定システムは、第1~3のいずれか1つの構成において、推定モデルは、第1地点におけるガスの圧力と、その圧力を取得した時刻および日付とから第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、第1地点および第2地点の圧力の実測値と、これらを取得した時刻および日付とを教師データとして学習されており、ガス圧力推定手段は、学習済み推定モデルを用いて、測定器が測定した第1地点におけるガスの圧力、時刻および日付から第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める。
【0062】
第5の構成に係るガス漏れ推定システムは、第1~4のいずれか1つの構成において、推定モデルは、第1地点におけるガスの圧力および流量から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、第1地点および第2地点の圧力の実測値と、第1地点の流量とを教師データとして学習されており、ガス圧力推定手段は、学習済み推定モデルを用いて、測定器が測定した第1地点におけるガスの圧力およびガス流量から第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める。
【0063】
第6の構成に係るガス漏れ推定システムは、第1~5のいずれか1つの構成において、推定モデルは、第1地点におけるガスの圧力およびその圧力を取得した時の気温から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、第1地点および第2地点の圧力の実測値と、圧力を取得した時の気温とを教師データとして学習されており、ガス圧力推定手段は、学習済み推定モデルを用いて、測定器が測定した第1地点におけるガスの圧力および気温から第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める。
【0064】
第7の構成に係るガス漏れ推定システムは、第1~6のいずれか1つの構成において、判定手段は、圧力の推定値をPsとし、第2地点における過去の正常時の圧力の実測値をPrとして、下記式で求められる誤差率Eを算出し、
E=100×(Ps-Pr)/Pr
Eが所定の閾値Rtを超えた場合、ガス漏れが発生していると判定する。
【0065】
第8の構成に係るガス漏れ推定システムは、第7の構成において、Rtは、0.015以上である。
【0066】
第9の構成に係るガス漏れの推定方法は、ガス管に沿って第1地点および第2地点が位置し、前記第1地点におけるガスの圧力に基づき、前記第2地点におけるガス漏れを推定するガス漏れの推定方法であって、ガス管の第1地点に位置におけるガスの圧力を測定する工程(A)と、第1地点におけるガスの圧力から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定する推定モデルであって、第1地点および第2地点における正常時のガスの圧力の実測値を教師データとして、機械学習させた学習済みの推定モデルを用いて、測定器が測定した第1地点におけるガスの圧力から第2地点におけるガスの圧力に関する情報の推定値を求める工程(B)と、圧力に関する情報の推定値、および、第2地点における過去の正常時の圧力の実測値に基づき、第2地点におけるガス漏れが発生しているか否かを判定する(C)工程と、を備える。
【0067】
第10の構成に係るガス漏れの推定方法は、第9の構成において、第1地点および第2地点を含む複数の地点がガス管に位置しており、第1地点および第2地点は隣接している。
【0068】
第11の構成に係るガス漏れの推定方法は、第10の構成において、第1地点は第2地点よりも上流に位置している。
【0069】
第12の構成に係るガス漏れの推定方法は、第9~11のいずれか1つの構成において、推定モデルは、第1地点におけるガスの圧力と、その圧力を取得した時刻および日付とから第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、第1地点および第2地点の圧力の実測値と、これらを取得した時刻および日付とを教師データとして学習されており、工程(B)は、測定器が測定した第1地点におけるガスの圧力、時刻および日付から第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める。
【0070】
第13の構成に係るガス漏れの推定方法は、第9~12のいずれか1つの構成において、推定モデルは、第1地点におけるガスの圧力および流量から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、第1地点および第2地点の圧力の実測値と、第1地点の流量とを教師データとして学習されており、工程(B)は、測定器が測定した第1地点におけるガスの圧力およびガス流量から第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める。
【0071】
第14の構成に係るガス漏れの推定方法は、第9~13のいずれか1つの構成において、推定モデルは、第1地点におけるガスの圧力およびその圧力を取得した時の気温から第2地点におけるガスの圧力に関する情報を推定し、第1地点および第2地点の圧力の実測値と、圧力を取得した時の気温とを教師データとして学習されており、工程(B)は、測定器が測定した第1地点におけるガスの圧力および気温から第2地点における圧力に関する情報の推定値を求める。
【0072】
第15の構成に係るガス漏れの推定方法は、第9~14のいずれか1つの構成において、工程(C)は、圧力の推定値をPsとし、第2地点における過去の正常時の圧力の実測値をPrとして、下記式で求められる誤差率Eを算出し、
E=100×(Ps-Pr)/Pr
Eが所定の閾値Rtを超えた場合、ガス漏れが発生していると判定する。
【0073】
第16の構成に係るガス漏れの推定方法は、第15の構成において、Rtは、0.015以上である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本開示の実施形態によるガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法は、種々のガス管のガス漏れ推定システムおよびガス漏れの推定方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0075】
10A~10D…測定器、11A~11D…流量計、20…ネットワーク、30…情報処理装置、31…ガス圧力推定手段、32…判定手段、33…記憶手段、101…推定システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7