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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015022
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】評価装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/105 20230101AFI20230124BHJP
【FI】
G06Q10/10 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114850
(22)【出願日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2021119182
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519063196
【氏名又は名称】株式会社ZENKIGEN
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】曽良 竜太
(72)【発明者】
【氏名】小荷田 成尭
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
(57)【要約】
【課題】人物の状態に関して可視化することが可能な評価装置及びプログラムを提供すること。
【解決手段】会話への参加者を評価する評価装置1であって、参加者のそれぞれを識別する識別情報と識別情報に紐づけられた参加者の会話に関する音声情報及び画像情報との少なくとも一方を対象情報として取得する対象情報取得部11と、取得した対象情報に基づいて、参加者の状態及び参加者同士の関係性の少なくとも一方を評価する評価部13と、評価結果を出力する出力部14と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会話への参加者を評価する評価装置であって、
前記参加者のそれぞれを識別する識別情報と前記識別情報に紐づけられた前記参加者の会話に関する音声情報及び画像情報の少なくとも一方とを対象情報として取得する対象情報取得部と、
取得した対象情報に基づいて、前記参加者の状態及び前記参加者同士の関係性の少なくとも一方を評価する評価部と、
評価結果を出力する出力部と、
を備える評価装置。
【請求項2】
前記評価部は、参加者同士の繋がりの評価値を用いて前記参加者の関係性を評価する、
請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記評価部は、参加者同士の繋がりの複数の評価値のバランスを用いて前記参加者の関係性を評価する、
請求項2に記載の評価装置。
【請求項4】
前記出力部は、組織図に前記評価結果を関連させて出力する、
請求項1から3のいずれかに記載の評価装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記参加者の状態と、前記参加者同士の関係性とを前記組織図に関連させて出力する、
請求項4に記載の評価装置。
【請求項6】
前記対象情報取得部は、前記参加者の会話に関する前記音声情報、及び前記画像情報並びに前記参加者のアンケート情報のうち少なくとも1つを対象情報として取得する、
請求項1に記載の評価装置。
【請求項7】
前記参加者は、第1種参加者と第2種参加者が存在し、
前記対象情報取得部は、前記第1種参加者及び前記第2種参加者の夫々の前記対象情報を取得し、
前記第1種参加者と前記第2種参加者の繋がりの指標として、質と量のうち少なくとも一方を選択する指標選択部をさらに備え、
前記評価部は、取得した前記対象情報に基づいて、選択された前記指標の値を演算し、当該指標の値を用いて、前記第1種参加者の状態及び前記第2種参加者の状態並びに前記第1種参加者と前記第2種参加者の関係性の少なくとも一方を評価し、
前記評価結果を可視化した情報として可視化情報を生成して所定の端末に出力する出力部をさらに備える、
請求項4に記載の評価装置。
【請求項8】
前記可視化情報は、前記第1種参加者と前記第2種参加者の繋がりの質と量を可視化した情報である、
請求項7に記載の評価装置。
【請求項9】
前記可視化情報は、前記第1種参加者にとって前記第2種参加者の成長実感を図る支援となる情報である、
請求項7に記載の評価装置。
【請求項10】
前記可視化情報は、前記第1種参加者と前記第2種参加者のうち少なくとも一方の状態を可視化した情報である、
請求項7に記載の評価装置。
【請求項11】
会話への参加者を評価する評価装置としてコンピュータを動作させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記参加者のそれぞれを識別する識別情報と前記識別情報に紐づけられた前記参加者の会話に関する音声情報及び画像情報の少なくとも一方を対象情報として取得する対象情報取得部、
取得した対象情報に基づいて、前記参加者の状態及び前記参加者同士の関係性の少なくとも一方を評価する評価部、
評価結果を出力する出力部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、評価装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
組織に所属している人物の状態は、組織のコンディションを考慮する上で非常に重要である。例えば、組織のコンディションを考慮する場合、所属する人物の組織に対するモチベーション、及び人物同士の関係性を良好に保つことが非常に重要である。このように人物のモチベーションを考慮するシステムとして、人物のライフイベントを考慮することができる人事管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6845595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、人物のモチベーション及び人物同士の関係性については、定量的に可視化することが難しい。そのため、組織のコンディションを可視化することも難しかった。そのため、組織における人物の状態や関係性が悪化したとしても気が付かないことが多く、組織コンディションに悪影響を与えることがあった。そこで、人物の状態に関して容易に判断することができれば好適である。
【0005】
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであり、人物の状態に関して容易に判断することが可能な評価装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、会話への参加者を評価する評価装置であって、前記参加者のそれぞれを識別する識別情報と前記識別情報に紐づけられた前記参加者の会話に関する音声情報及び画像情報の少なくとも一方を対象情報として取得する対象情報取得部と、取得した対象情報に基づいて、前記参加者の状態及び前記参加者同士の関係性の少なくとも一方を評価する評価部と、評価結果を出力する出力部と、を備える評価装置に関する。
【0007】
また、前記評価部は、参加者同士の繋がりの評価値を用いて前記参加者の関係性を評価するのが好ましい。
【0008】
また、前記評価部は、参加者同士の繋がりの複数の評価値のバランスを用いて前記参加者の関係性を評価するのが好ましい。
【0009】
また、前記関係情報取得部は、前記関係情報として、組織図と組織図における参加者の位置とを取得し、前記出力部は、参加者と評価結果との関係を組織図に関連させて出力するのが好ましい。
【0010】
また、前記出力部は、色分けした前記参加者の状態と、色分けした前記参加者同士の関係性とを前記組織図に関連させて出力するのが好ましい。
【0011】
また、本発明は、会話への参加者を評価する評価装置としてコンピュータを動作させるプログラムであって、前記コンピュータを、前記参加者のそれぞれを識別する識別情報と前記識別情報に紐づけられた前記参加者の会話に関する音声情報及び画像情報の少なくとも一方を対象情報として取得する対象情報取得部、取得した対象情報に基づいて、前記参加者の状態及び前記参加者同士の関係性の少なくとも一方を評価する評価部、評価結果を出力する出力部、として機能させるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、人物の状態に関して可視化することが可能な評価装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る評価装置を含む評価システムを示す概略図である。
図2】第1実施形態の評価装置の構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態の評価装置の評価部によって評価される内容の一例を示すグラフである。
図4】第1実施形態の評価装置の評価部によって評価される内容の一例を示すグラフである。
図5】第1実施形態の評価装置の評価部によって評価される内容の一例を示すグラフである。
図6】第1実施形態の評価装置の評価部によって評価される内容の一例を示す表である。
図7】第1実施形態の評価装置の出力部によって出力される組織図の一例を示す概略図である。
図8】第1実施形態の評価装置の出力部によって出力される組織図の他の一例を示す概略図である。
図9】第1実施形態の評価装置の出力部によって出力される組織図のさらに他の一例を示す概略図である。
図10】第1実施形態の評価装置の動作を示すフローチャートである。
図11】本発明の第2実施形態に係る評価装置の構成を示すブロック図である。
図12】第2実施形態の評価装置の出力部によって出力される内容の一例を示す表である。
図13】第2実施形態の評価装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図14】変形例に係る評価装置の出力内容を示す画面図である。
図15】変形例に係る評価装置の出力内容を示す画面図である。
図16】変形例に係る評価装置の出力内容を示す画面図である。
図17】変形例に係る評価装置の出力内容を示す画面図である。
図18】第4実施形態の評価装置の構成を示すブロック図である。
図19】第4実施形態の評価装置の出力部によって出力される可視化情報の一例を示す図である。
図20】第4実施形態の評価装置の出力部によって出力される可視化情報の一例を示す図である。
図21】第4実施形態の評価装置の出力部によって出力される可視化情報の一例を示す図である。
図22】第4実施形態の評価装置の出力部によって出力される可視化情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施形態に係る評価装置1及びプログラムについて、図1から図22を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る評価装置1及びプログラムの概要について説明する。
【0015】
評価装置1は、例えば、組織(コミュニティー)に所属する人物(以下、参加者ともいう)のオンライン上での会話の記録を用いて、参加者を評価する装置である。評価装置1は、例えば、上司と部下との会話又は同僚同士の会話の記録等を用いて、参加者の状態及び参加者同士の関係性の少なくとも一方を評価する。評価装置1は、評価結果を出力することにより、参加者の状態及び参加者同士の関係性等を可視化する。これにより、評価装置1は、組織における参加者の状態及び関係性等を容易に示すことができる。
【0016】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係る評価装置1及びプログラムについて、図1から図10を参照して説明する。
まず、評価装置1を含む評価システム100について説明する。
【0017】
評価システム100は、図1に示すように、複数のユーザ端末101と、評価装置1と、を備える。評価システム100は、例えば、社内ネットワークの一部として構成される。
【0018】
ユーザ端末101は、例えば、PCやスマートフォン等の情報通信端末である。ユーザ端末101は、他のユーザ端末101とネットワークNを介して接続される。本実施形態において、ユーザ端末101は、一例として、インターネットを介して他のユーザ端末101と接続される。ユーザ端末101は、例えば、参加者ごとに割り当てられ、参加者同士の会話の実施に用いられる。ユーザ端末101は、参加者を識別する識別情報と、参加者の会話に関する音声情報及び画像情報とを対象情報として格納する。
【0019】
次に、本実施形態に係る評価装置1について説明する。
評価装置1は、会話への参加者を評価する装置である。評価装置1は、図2に示すように、評価結果格納部10と、対象情報取得部11と、関係情報取得部12と、評価部13と、出力部14と、出力内容切替部15と、を備える。
【0020】
評価結果格納部10は、例えば、ハードディスク等の記録装置である。評価結果格納部10は、参加者ごとに評価結果を格納する。評価結果格納部10は、後述する取得された対象情報を格納してもよい。
【0021】
対象情報取得部11は、例えば、CPUが動作することにより実現される。対象情報取得部11は、参加者のそれぞれを識別する識別情報と識別情報に紐づけられた参加者の会話に関する音声情報及び画像情報の少なくとも一方を対象情報として取得する。対象情報取得部11は、例えば、ユーザ端末101のそれぞれから対象情報を取得する。対象情報取得部11は、例えば、所定の期間内に実施された会話に関する対象情報を取得する。また、対象情報取得部11は、参加者から提供されるアンケートに対する回答の情報を取得する。本実施形態では、対象情報取得部11が対象情報として、音声情報及び画像情報の両方を取得する場合を例に説明する。
【0022】
関係情報取得部12は、例えば、CPUが動作することにより実現される。関係情報取得部12は、参加者同士の所定の組織内における関係を示す関係情報を取得する。関係情報取得部12は、例えば、関係情報として、参加者同士の関係を規定したネットワークデータとネットワークデータにおける参加者の位置とを取得する。関係情報取得部12は、ネットワークデータとして、組織図、同僚同士の関係を示す表、社外関係者との関係を示す表、又はプロジェクトチームの構成を示す表等を関係情報として取得する。本実施形態では、関係情報取得部12が関係情報として組織図を取得する例を説明する。
【0023】
評価部13は、例えば、CPUが動作することにより実現される。評価部13は、取得した対象情報に基づいて、参加者の状態及び参加者同士の関係性の少なくとも一方を評価する。本実施形態において、評価部13は、取得した対象情報に含まれる参加者の音声情報及び画像情報の少なくとも一方に基づいて、参加者の状態及び参加者同士の関係性の両者を評価する。なお、本実施形態では、評価部13は、音声情報及び画像情報の両方を含む対象情報に基づいて、参加者の状態及び参加者同士の関係性の両者を評価する。評価部13は、参加者同士の関係性として、参加者同士の繋がりの強さを質及び量で評価する。また、評価部13は、参加者同士の繋がりの評価値を用いて参加者の関係性を評価する。具体的には、評価部13は、参加者同士の繋がりの複数の評価値のバランスを用いて参加者の関係性を評価する。本実施形態では、評価部13は、参加者同士の人としての繋がりの評価値と、仕事の繋がりの評価値とを用いて参加者の関係性を評価する。また、本実施形態では、評価部13は、参加者同士の人としての繋がりの評価値と、仕事の繋がりの評価値とのバランスを用いて参加者の関係性を評価する。評価部13は、参加者状態評価部131と、人物関連評価部132と、仕事関連評価部133と、関連性評価部134と、を備える。
【0024】
参加者状態評価部131は、参加者の状態を評価する。参加者状態評価部131は、例えば、参加者のストレス、モチベーション、心理的安全性、エンゲージメント、及び成長実感等を評価する。ここで、エンゲージメントとは、従業員の会社に対する愛着心、貢献心、帰属意識や思い入れ等が考えられる。エンゲージメントは、他のモチベーションや心理的安全性等と同様に、動画やその他データからAI解析されてもよい。参加者状態評価部131は、例えば、ストレスの有無について、参加者の表情を用いて評価する。参加者状態評価部131は、例えば、参加者が笑顔を見せている頻度に基づいてストレスの有無を評価する。参加者状態評価部131は、笑顔の頻度が多いほど、ストレスが無いと評価する。また、参加者状態評価部131は、例えば、参加者状態評価部131は、笑顔の頻度だけでなく質(形・仕草の大きさ等)によって判断する。
【0025】
また、参加者状態評価部131は、モチベーションについて、参加者の集中度を用いて評価する。参加者状態評価部131は、参加者の目線、重心等から算出された集中度を用いて参加者のモチベーションを評価する。参加者状態評価部131は、例えば、目線の向き、及び重心の位置を数値化することにより、集中度を算出する。ここで、重心とは、参加者の体の揺れ具合や、画面に対する体の距離の変化をいう。
【0026】
また、参加者状態評価部131は、心理的安全性及び成長実感等について、アンケートの回答を数値化することによって評価する。参加者状態評価部131は、これに加えて、その他情報(動画情報、過去の勤務履歴、入社時の性格診断、ヘルスケアプロダクトの情報等)を用いて心理的安全性及び成長実感等について総合的に判断してもよい。参加者状態評価部131は、例えば、評価されたストレス、モチベーション、心理的安全性、エンゲージメント、及び成長実感等をレーダーチャートに展開する。参加者状態評価部131は、展開したレーダーチャートについて、予め定められた形状に近いか否かによって、参加者の状態の良否を判断する。参加者状態評価部131は、例えば、展開したレーダーチャートについて、より正方形に近いか否かに基づいて、参加者の状態の良否を評価する。参加者状態評価部131は、例えば、より正方形に近いレーダーチャートを良い状態として数値化することにより、参加者を評価する。参加者状態評価部131は、例えば、参加者の状態を色に置き換えて表現する。例えば、参加者状態評価部131は、参加者の状態が良好から不良に向かうにしたがって、青、黄色、赤等の順に置き換えて表現する。参加者状態評価部131は、参加者の評価結果を参加者の識別情報に紐づけて評価結果格納部10に格納する。
【0027】
人物関連評価部132は、参加者同士の人物的な繋がりを評価する。人物関連評価部132は、例えば、参加者同士の人物的な繋がりを評価して評価値を算出する。人物関連評価部132は、図3に示すように、例えば、参加者の表情及び動作から、参加者の共感度を算出する。人物関連評価部132は、例えば、表情及び動作が明るい場合に、参加者の共感度が高いと判断する。
【0028】
また、人物関連評価部132は、参加者の発話量から対話比率を算出する。人物関連評価部132は、例えば、参加者の発話量が多い場合に、対話比率が高いと判断する。人物関連評価部132は、参加者それぞれの識別情報に紐づけて、人物的な繋がりの評価を評価結果格納部10に格納する。
【0029】
仕事関連評価部133は、参加者同士の仕事的な繋がりを評価する。仕事関連評価部133は、例えば、参加者同士の仕事的な繋がりを評価して評価値を算出する。仕事関連評価部133は、図3に示すように、参加者の目線及び重心の位置から、集中度を算出する。仕事関連評価部133は、例えば、目線及び重心の位置がユーザ端末101に向く方向に近い場合に、集中度が高いと判断する。
【0030】
また、仕事関連評価部133は、発話内容から情報発散を算出する。仕事関連評価部133は、例えば、発話内容の関連度合い(発話内容ごとの関連性)を数値化することにより、参加者の発話内容の情報発散(情報発散度合い)を算出する。仕事関連評価部133は、例えば、発話内容の関連度合いが高い場合に、参加者の発話内容の情報発散を低いと評価する。仕事関連評価部133は、参加者それぞれの識別情報に紐づけて、仕事的な繋がりの評価を評価結果格納部10に格納する。
【0031】
関連性評価部134は、参加者の関連性を評価する。関連性評価部134は、例えば、人物的な関連性と仕事的な関連性とを組み合わせて評価する。関連性評価部134は、図4及び図5に示すように、共感度、対話比率、集中度、及び情報発散を各辺に配置した四角形(正方形)の表を用いて参加者を評価する。関連性評価部134は、図5に示すように、4つの指標について正方形の中心に近い場合に、参加者同士の関連性を良好と判断する。一方、関連性評価部134は、4つの指標について正方形の中心から外れる場合に、参加者同士の関連性を不良と判断する。関連性評価部134は、例えば、4つの指標同士の偏差を算出することにより、参加者同士の関係性を数値化する。また、関連性評価部134は、例えば、図3から図5に示す、人の繋がりと仕事の繋がりとについて、それぞれの指標がより近いほど良好と判断する。関連性評価部134は、図6に示すように、人の繋がり及び仕事の繋がりを関係性の状況として評価する。また、関連性評価部134は、人の繋がりと仕事の繋がりとのそれぞれの数値に基づいて、関係性を色で評価する。関連性評価部134は、人物的な関連性と仕事的な関連性の組み合わせた結果の評価について、参加者のそれぞれの識別情報に紐づけて評価結果格納部10に格納する。なお、「繋がり」とは、コミュニティー(組織)における参加者の関係を示すものである。
【0032】
出力部14は、例えば、CPUが動作することにより実現される。出力部14は、評価結果をネットワークデータに関連させて出力する。本実施形態において、出力部14は、評価結果を組織図に重畳して出力する。出力部14は、例えば、図7に示すように、評価結果を色分けした参加者の状態と、色分けした参加者同士の関連性とを組織図に関連させて出力する。出力部14は、評価した参加者の結果について、組織図における参加者の位置に重畳して出力する。また、出力部14は、評価した参加者同士の関係性について、組織図内の参加者同士を繋ぐ線に重畳して出力する。出力部14は、例えば、評価結果格納部10に格納されている参加者の状態、人物的な繋がり、仕事的な繋がり、及び組み合わされた総合的な繋がりの評価結果を読み出す。出力部14は、読み出した評価結果に含まれる識別情報を用いて、組織図における参加者の位置と繋がりに評価結果を重ねて表示する。なお、図8において、出力部14は、線が太いほど関連性が高いことを示す。また、出力部14は、図8において、参加者の状態について、線が太いほど状態が良好であることを示す。また、関連性評価部134は、色で評価するのに代えて、組織図(ネットワーク図)に対して、印をつける、点滅する、囲いをつける(波線、点線等)、オブジェクトにアニメーションを付ける、オブジェクトの外側に吹き出し等のポップアップのオブジェクトでメッセージを入れる等で評価結果を出力してもよい。
【0033】
出力内容切替部15は、例えば、CPUが動作することにより実現される。出力内容切替部15は、出力部14による出力内容を切り替える。出力内容切替部15は、例えば、図8に示すように、特定の時期(例えば繁忙期)における参加者の状態と関係性とを組織図に重ねた出力に切り替えて、出力部14に出力させる。また、出力内容切替部15は、例えば、図9に示すように、仕事の繋がりとモチベーションとを組織図に重ねた出力に切り替えて、出力部14に出力させる。また、出力内容切替部15は、人の繋がりとストレスとを組織図に重ねた出力に切り替えて、出力部14に出力させる。
【0034】
次に、評価装置1の動作の流れについて、図10のフローチャートを参照して説明する。
まず、対象情報取得部11は、ユーザ端末101から対象情報を取得する(ステップS1)。次いで、関係情報取得部12は、関係情報を取得する(ステップS2)。次いで、参加者状態評価部131は、取得された対象情報に基づいて、参加者の状態を評価する(ステップS3)。参加者状態評価部131は、評価結果を評価結果格納部10に格納する。
【0035】
次いで、人物関連評価部132は、参加者同士の人物的な関連性を評価する(ステップS4)。人物関連評価部132は、評価結果を評価結果格納部10に格納する。
【0036】
次いで、仕事関連評価部133は、参加者同士の仕事的な関連性を評価する(ステップS5)。仕事関連評価部133は、評価結果を評価結果格納部10に格納する。
【0037】
次いで、関連性評価部134は、人物的な関連性と仕事的な関連性とを組み合わせて評価する(ステップS6)。関連性評価部134は、評価結果を評価結果格納部10に格納する。
【0038】
出力部14は、組織図に評価結果を重ねて出力する(ステップS7)。出力部14は、例えば、組織図に評価結果を重ねてディスプレイ等に表示させる。
【0039】
次いで、出力内容を切り替えるか否かが判断される(ステップS8)。出力内容を切り替える場合(ステップS8:YES)、処理は、ステップS9に進む。一方、出力内容を切り替えない場合、本フローによる処理は、終了する。
【0040】
ステップS9において、出力内容切替部15は、出力内容を切り替えて出力部に出力させる。次いで、さらに出力内容を切り替えるか否かが判断される(ステップS10)。出力内容を切り替える場合(ステップS10:YES)、処理は、ステップS9に戻る。一方、出力内容を切り替えない場合(ステップS10:NO)、本フローによる処理は、終了する。
【0041】
次に、プログラムについて説明する。
評価装置1に含まれる各構成は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0042】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、表示プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0043】
以上、本実施形態に係る評価装置1及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(1)会話への参加者を評価する評価装置1であって、参加者のそれぞれを識別する識別情報と識別情報に紐づけられた参加者の会話に関する音声情報及び画像情報の少なくとも一方を対象情報として取得する対象情報取得部11と、取得した対象情報に基づいて、参加者の状態及び参加者同士の関係性の少なくとも一方を評価する評価部13と、評価結果を出力する出力部14と、を備える。これにより、人物の状態に関する評価結果を出力することができる。したがって、人物の状態に関して容易に判断することができる。
【0044】
(2)評価部13は、参加者同士の繋がりの評価値を用いて参加者の関係性を評価する。これにより、参加者同士の関係を多面的に評価することができるので、より参加者同士の関係を詳細に判断することができる。
【0045】
(3)評価部13は、参加者同士の繋がりの複数の評価値のバランスを用いて参加者の関係性を評価する。これにより、参加者同士の関連性のより良いバランスの観点から判断することができる。
【0046】
(4)出力部14は、組織図に評価結果を関連させて出力する。これにより、参加者同士の関係と、参加者の状態とを容易に可視化することができる。
【0047】
(5)出力部14は、色分けした参加者の状態と、色分けした参加者同士の関係性とを組織図に関連させて出力する。これにより、参加者同士の関係と、参加者の状態とをより容易に可視化することができる。
【0048】
(6)コミュニティーへの参加者の状態を評価する評価装置1であって、参加者のそれぞれを識別する識別情報と識別情報に紐づけられた参加者の会話に関する音声情報及び画像情報の少なくとも一方を対象情報として取得する対象情報取得部11と、参加者同士の所定の組織内における関係を示す関係情報を取得する関係情報取得部12と、取得した対象情報に含まれる参加者の音声情報に基づいて、参加者の状態及び参加者同士の関係性を評価する評価部13と、評価結果を関係情報に関連させて出力する出力部14と、を備える。これにより、参加者の状態と、参加者の関係性とを容易に判断することができる。
【0049】
(7)関係情報取得部12は、関係情報として、参加者同士の関係を規定したネットワークデータとネットワークデータにおける参加者の位置とを取得し、出力部14は、参加者と評価結果との関係をネットワークデータに関連させて出力する。これにより、組織における立場と、参加者の状態及び参加者同士の関連性をより容易に判断することができる。
【0050】
(8)評価装置1は、出力部による出力内容を切り替える出力内容切替部15をさらに備え、出力部は、出力内容切替部15による切り替えに基づいて、評価結果の内容を異ならせて出力する。これにより、多面的な視点から、参加者の状態と参加者の関係性とを判断することができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る評価装置1及びプログラムについて、図11から図13を参照して説明する。第2実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0052】
第2実施形態に係る評価装置1及びプログラムは、人事や経営層等に、異常やベストプラクティスを伝えることが可能な装置である。第2実施形態に係る評価装置1及びプログラムは、所定の条件を超えた評価結果について、別途出力する機能を有する。第2実施形態に係る評価装置1及びプログラムは、例えば、鬱傾向の検知、コンディション低下の検知、及びコンディション良好の検知等を可能にする装置である。評価装置1は、このような検知を警告(アラート)として外部に出力する。
【0053】
第2実施形態に係る評価装置1は、指標取得部16と、検出部17と、出力方法設定部18と、をさらに備える点で、第1実施形態と異なる。また、第2実施形態に係る評価装置1は、対象情報取得部11が、参加者の会話を実施した日時をさらに取得する点で、第1実施形態と異なる。また、第2実施形態に係る評価装置1は、評価部13が、取得した対象情報に基づいて、予め定められた指標に関する参加者の状態を評価する点で、第1実施形態と異なる。第2実施形態に係る評価装置1は、評価部13が、会話間隔評価部135をさらに備える点で第1実施形態と異なる。第2実施形態に係る評価装置1は、出力部が検出された結果を別途出力する点で、第1実施形態と異なる。なお、評価部13が評価する指標は、第1実施形態に係る評価結果を含んでもよい。
【0054】
指標取得部16は、例えば、CPUが動作することにより実現される。指標取得部16は、予め定められた指標と、予め定められた指標に対するしきい値とを取得する。指標取得部16は、例えば、評価装置1に予め格納された指標と、しきい値とを取得する。
【0055】
評価部13は、取得された指標と、しきい値とに関する参加者の状態を評価する。具体的には、参加者状態評価部131、人物関連評価部132、仕事関連評価部133、及び関連性評価部134は、取得された指標と、しきい値とに関する参加者の状態を評価する。参加者状態評価部131、人物関連評価部132、仕事関連評価部133、及び関連性評価部134は、例えば、鬱傾向か否か、コンディションの良否、及び参加者同士関係性の良否を指標として評価する。また、参加者状態評価部131、人物関連評価部132、仕事関連評価部133、及び関連性評価部134は、各指標について、取得したしきい値と比較することで、参加者の状態を評価する。参加者状態評価部131、人物関連評価部132、仕事関連評価部133、及び関連性評価部134は、例えば、しきい値を良い側に超える指標について、良い指標として評価する。一方、参加者状態評価部131、人物関連評価部132、仕事関連評価部133、及び関連性評価部134は、例えば、しきい値を悪い側に超える指標について、悪い指標として評価する。
【0056】
会話間隔評価部135は、参加者の会話を実施した間隔を評価する。会話間隔評価部135は、例えば、参加者間の会話の実施タイミングについて、前回の日時から、次の日時までの間隔を評価する。即ち、会話間隔評価部135は、参加者間の会話について、前回の日時から、取得した対象情報に含まれる会話の日時までの間隔を評価する。会話間隔評価部135は、例えば、既に評価された会話の評価結果を評価結果格納部から取得する。会話間隔評価部135は、取得した評価結果と、取得した対象情報に含まれる会話との間隔を評価する。会話間隔評価部135は、例えば、しきい値よりも短い間隔の実施タイミングについて、緊密であると評価する。一方、会話間隔評価部135は、例えば、しきい値よりも長い間隔の実施タイミングについて、希薄化していると評価する。
【0057】
また、会話間隔評価部135は、参加者間の会話の実施タイミングについて、前回の日時から現在の日時までの間隔を評価する。会話間隔評価部135は、例えば、評価結果格納部10に格納されている評価結果から、前回実施された会話の日時を取得する。会話間隔評価部135は、取得した前回の日時から評価時点の日時までの間隔を評価する。会話間隔評価部135は、例えば、しきい値よりも長い間隔の実施タイミングについて、希薄化していると評価する。
【0058】
検出部17は、例えば、CPUが動作することにより実現される。検出部17は、評価結果のうち、所定のしきい値から外れた評価結果(指標)を検出する。検出部17は、例えば、参加者の状態の良否及び参加者同士の関係性の良否について、しきい値から外れた評価結果を検出する。具体的には、検出部17は、参加者の鬱傾向の検出、コンディション低下の検出、コンディション良好の検出、関係性の悪化の検出、及び関係性の良化の検出を実施する。
【0059】
また、検出部17は、参加者の会話を実施した間隔の評価について、所定以上又は所定以下の間隔を検出する。検出部17は、例えば、しきい値以上又はしきい値以下の会話の間隔を検出することにより、参加者同士の関係の希薄化、及び参加者同士の関係の緊密化について検出する。また、検出部17は、評価時点の日時まで、実施されていない会話のしきい値以上の間隔を検出する。これにより、検出部17は、参加者同士の関係の希薄化について検出する。
【0060】
出力方法設定部18は、例えば、CPUが動作することにより実現される。出力方法設定部18は、評価結果の出力方法及びタイミングを設定する。出力方法設定部18は、例えば、出力方法及びタイミングについての設定を受け付けて、出力部による出力方法及びタイミングを設定する。出力方法設定部18は、例えば、出力方法として、参加者の状態を示すダッシュボードへの表示のみ、メールでの通知、及びレポートでの通知の少なくとも1つを設定する。また、出力方法設定部18は、例えば、タイミングとして、評価後即時及びバッチ処理後の少なくとも1つを設定する。
【0061】
出力部14は、検出された評価結果(指標)を出力する。出力部14は、検出された評価結果について、第1実施形態の評価結果とは別に出力する。出力部14は、例えば、出力方法設定部18によって設定された出力方法及びタイミングで検出された評価結果を出力する。出力部14は、例えば、図12に示すように、しきい値から外れた度合いの高いと評価された順に評価結果を出力する。
【0062】
次に、評価装置1の動作について、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
まず、対象情報取得部11は、対象情報を取得する(ステップS11)。次いで、参加者状態評価部131、人物関連評価部132、仕事関連評価部133、関連性評価部134、及び会話間隔評価部135は、予め定められた指標としきい値とを取得する(ステップS12)。
【0064】
次いで、参加者状態評価部131は、予め定められた指標に基づいて、参加者の状態を評価する(ステップS13)。また、参加者状態評価部131は、評価結果を評価結果格納部10に格納する。次いで、人物関連評価部132は、予め定められた指標に基づいて、参加者同士の人物的な繋がりを評価する(ステップS14)。人物関連評価部132は、評価結果を評価結果格納部10に格納する。次いで、仕事関連評価部133は、予め定められた指標に基づいて、参加者同士の仕事的な繋がりを評価する(ステップS15)。人物関連評価部132は、評価結果を評価結果格納部10に格納する。次いで、関連性評価部134は、人物的な関連性と仕事的な関連性とを組み合わせて評価する(ステップS16)。関連性評価部134は、評価結果を評価結果格納部10に格納する。次いで、会話間隔評価部135は、予め定められた指標に基づいて、参加者同士の会話の間隔を評価する(ステップS17)。会話間隔評価部135は、評価結果を評価結果格納部10に格納する。
【0065】
次いで、検出部17は、評価された指標のうち、しきい値から外れた評価結果があるか否かを判断する(ステップS18)。しきい値から外れた評価結果がある場合、処理は、ステップS19に進む。一方、しきい値から外れた評価結果が無い場合、本フローによる処理は、終了する。
【0066】
ステップS19において、検出部17は、しきい値から外れた評価結果を検出する。次いで、出力部は、出力方法設定部18によって設定されている出力方法を取得する(ステップS20)。次いで、出力部14は、設定されている出力方法に従って、検出された評価結果を出力する(ステップS21)。これにより、本フローによる動作は、終了する。
【0067】
以上、本実施形態に係る評価装置1及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(9)コミュニティーへの参加者の状態を評価する評価装置1であって、参加者のそれぞれを識別する識別情報と識別情報に紐づけられた参加者の会話に関する音声情報及び画像情報とを対象情報として取得する対象情報取得部11と、取得した対象情報に基づいて、予め定められた指標に関する参加者の状態を評価する評価部13と、評価結果のうち、所定のしきい値から外れた評価結果を検出する検出部17と、検出された評価結果を出力する出力部14と、を備える。これにより、人物の状態に関して可視化することができる。特に、異常やベストプラクティスを評価結果として検出して出力することができるので、状況への早期対処に資する装置を提供することができる。
【0068】
(10)対象情報取得部11は、対象情報として、参加者の会話を実施した日時をさらに取得し、評価部13は、参加者の会話を実施した間隔を評価し、検出部17は、所定以上又は所定以下の間隔を検出する。これにより、参加者同士の間の関係の緊密化又は希薄化を検出することができる。したがって、参加者同士の間の関係をより良好に保つような指標を検出することができる。
【0069】
(11)評価装置1は、評価結果の出力方法及びタイミングを設定する出力方法設定部18をさらに備え、出力部14は、出力方法設定部18によって設定された出力方法及びタイミングで評価結果を出力する。これにより、一般的な評価結果とは別に設定された出力方法及びタイミングで検出された評価結果を出力することができる。したがって、異常やベストプラクティスの発生を判別しやすく出力することができる。
【0070】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る評価装置1及びプログラムについて、説明する。第3実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0071】
第3実施形態に係る評価装置1は、参加者同士の会話の間に、ハラスメント行為の発生を検出する。これにより、第3実施形態に係る評価装置1は、ハラスメント行為に対する早期対処を促すことを可能にする。
【0072】
第3実施形態に係る評価装置1は、人物関連評価部132が、対象情報(音声情報)に含まれる文言を評価する点で、第1及び第2実施形態と異なる。また、第3実施形態に係る評価装置1は、検出部17が、検出された文言から不適切として評価された用語を検出する点で、第1及び第2実施形態と異なる。第3実施形態に係る評価装置1は、出力部14が、検出された用語に基づいて評価結果を出力する点で、第1及び第2実施形態と異なる。
【0073】
人物関連評価部132は、例えば、対象情報の音声情報に含まれる文言を抽出することで、文言を評価する。人物関連評価部132は、例えば、予め不適切と設定されている用語に対して、抽出した文言の類似度を算出することにより、抽出された文言を評価する。
検出部17は、例えば、算出された類似度が予め定められたしきい値以上と評価された文言を検出する。
【0074】
以上、本実施形態に係る評価装置1及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(12)評価部13は、対象情報に含まれる文言を評価し、検出部17は、検出された文言から不適切として設定された用語を検出し、出力部14は、検出された用語に基づいて、評価結果を出力する。これにより、早急に対処すべき緊急の状態を容易に検出することができる。また、検出された結果を判別しやすいように出力することができる。
【0075】
以上、本発明の評価装置及びプログラムの第1乃至第3実施形態につき説明したが、本開示は、上述の第1乃至第3実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0076】
例えば、上記第1乃至第3実施形態において、出力部14は、図14及び図15に示すように、会話を実施した実績を出力するようにしてもよい。また、出力部14は、図16に示すように、参加者ごとに実施した会話の状況と、他の参加者との関係性の推移を出力してもよい。また、出力部14は、図17に示すように、参加者同士の間の発話量、情報発散、及びコンディションの推移を出力するようにしてもよい。これにより、瞬間的な関係性に加え、参加者の状態及び参加者同士の関係性の推移を判断することができる。
【0077】
また、上記第1乃至第3実施形態において、参加者を1つの組織に所属する例で説明したが、これに制限されない。参加者は、情報処理端末を用いて会話をする関係であれば、どのような組織に所属していてもよい。例えば、参加者は、1つの組織に所属する人物と、取引先の人物とであってもよい。また、例えば、参加者は、内定者と、内定先の人物とであってもよい。また、参加者は、所定の組織に新たに参加する人物と、既に組織に参加している人物とであってもよい。
【0078】
また、上記第1乃至第3実施形態において、参加者は、複数であってもよい。例えば、参加者のそれぞれが1つのユーザ端末101を用いて参加するグループミーティング等であってもよい。対象情報取得部11は、それぞれのユーザ端末101から、対応する識別情報と、音声情報及び画像情報とを取得可能である限り、人数及び会話の内容に制限はない。
【0079】
また、上記第1乃至第3実施形態において、関連性評価部134は、4つの指標同士の偏差を算出することにより、参加者同士の関係性を数値化するとしたが、これに制限されない。関連性評価部134は、4つ又はそれ以上の数の指標の分散又は分布を用いて参加者同士の関係性を評価してもよい。また、関連性評価部134は、指標の数に応じた辺の数を有する多角形を用いて評価してもよい。また、関連性評価部134は、多角形を用いずに、個々の指標の条件にしたがって、参加者同士の関係性を評価してもよい。
【0080】
なお、関連性評価部134は、バランス(偏差)、分散、又は分布に限定されず、指標に応じた予め定められた基準で評価を決定してもよい。関連性評価部134は、例えば、部下に対してコーチングするフェーズである場合、上司の発話比率は、バランスではなく高い方が良いという基準で評価するのが好ましい。また、関連性評価部134は、例えば、心理的安全性、共感行動(うなずき、相手の感情に寄り添う、表情又は話速のミラーリング等)、承認行動等(承認の言葉、否定の言葉を言わない、相手の言葉を遮らない等)については、基本的に高い方が良いという基準で評価するのが好ましい。なお、関連性評価部134は、評価する人物の状態や性格等に応じて、基準を変更してもよい。
【0081】
また、関連性評価部134は、例えば、集中ゲージが高すぎるとパワハラ傾向の恐れもあるので、中庸が良いという考えに対し、部下、上司のアイスブレイクが多めの面談(配属初期等)は、集中ゲージが低い方がリラックスして望ましいと判断できる場合もあるので、低い方が良いという基準で評価するのが好ましい。
【0082】
また、関連性評価部134は、参加者の属性又は参加者に付随するデータ(過去の行為(休職履歴、過去の動画の言動等)、現在の状態(ヘルスケアプロダクトの指標等)、又は考え等(サーベイ等))によって、柔軟に基準を変化させてもよい。関連性評価部134は、例えば、過去にメンタルヘルスを害して休職した人、又は勤務時間の超過が続いている人については、望ましい値を変更する、等をしてもよい。
【0083】
また、関連性評価部134は、他方の指標の高低に応じて、一方の指標の高低の評価の基準を変化させてもよい。例えば、関連性評価部134は、早口でまくしたてられると発言しなくなる、という傾向が動画から取得できた人については、それに適した形で指標を変更してもよい。また、関連性評価部134は、当日又は直近の動画、サーベイを用いて取得したヘルスケアプロダクトや勤怠データ等からコンディションが悪いと判断される人に対しては、それに適した形で指標を変えてもよい。また、関連性評価部134は、性格診断、ストレスチェック、人事評価情報(360度評価等も含む)、業績情報(営業成績等)、他のメンバーとのコミュニケーション頻度、及び質、属性(役職、学歴、部署等)、又は参加者に付随するデータ(過去の行為(休職履歴、過去の動画の言動等)、現在の状態(ヘルスケアプロダクトの指標等)、又は考え等(サーベイ等))、組織図から見たつながりの傾向(業務上の関与メンバーが多い、少ない等)、ヘルスケアプロダクトの出力結果等によって、指標を変更するようにしてもよい。また、関連性評価部134は、組織を構成するメンバーの特性や非明示的な役割(例:バフ要員と呼ばれる、「直接的な又は目に見える業務貢献度は高くないが、場を和ませるなどの行為により間接的又は非明示的な業務貢献度の高いメンバー」の概念等が存在する)に応じて、評価値を調整するようにしてもよい。なお、関連性評価部134は、例えば、動画、アンケート、属性、参加者に付随するデータ(過去の行為(休職履歴、過去の動画の言動等)、現在の状態(ヘルスケアプロダクトの指標等)、又は考え等(サーベイ等))又はその他のデータ等から組織を構成するメンバーの特性や非明示的な役割を取得する。
【0084】
関連性評価部134は、一例として、上司の振る舞いとして、傾聴行動及び承認行動を指標としてもよい。また、関連性評価部134は、例えば、部下の振る舞いとして、積極性、開放性、及び集中を指標としてもよい。関連性評価部134は、一例として、関係性として、量(例えば、会話を実施した回数や会話の長さ等)を指標としてもよい。関連性評価部134は、一例として、傾聴高度を示す特徴量として、頷き、相槌(表示、話速、及び姿勢変化のミラーリング)を用いてもよい。関連性評価部134は、一例として、承認行動を示す特徴量として、肯定又は同意の言葉、否定の言葉、及び遮りの回数を用いてもよい。
【0085】
関連性評価部134は、一例として、積極性を示す特徴量として、活性(ポジティブワード)及び発言量を用いてもよい。関連性評価部134は、一例として、開放性を示す特徴量として、活性(ネガティブワード)及び発言量を用いてもよい。関連性評価部134は、一例として、集中を示す特徴量として、目線及び体の揺れを用いてもよい。関連性評価部134は、一例として、量を示す特徴量として、頻度、量、及び対話比率を用いてもよい。
【0086】
上記を実現するために、評価装置1は、対象情報に含まれる音声情報及び画像情報の少なくとも一方の内容を特定する内容特定部(図示せず)と、参加者の状態及び属性を含む参加者情報を特定する参加者情報特定部(図示せず)と、特定された内容及び参加者情報に基づいて評価に用いる指標を決定する指標決定部(図示せず)と、決定された指標に対して予め定められた最適値を取得する最適値取得部(図示せず)と、を備えてもよい。そして、関連性評価部134は、取得された最適値と、対象情報に含まれる参加者の決定された指標に関する評価値とを用いて、参加者の関係性を評価してもよい。この場合、評価部13は、人物関連評価部132及び仕事関連評価部133を備えなくてもよい。また、指標決定部は、外部から指定された指標を評価に用いる指標として決定してもよい。また、参加者情報特定部は、予め入力されている属性、アンケート結果、参加者の健康状態、参加者の感情等を参加者情報として特定してもよい。また、参加者情報特定部は、過去の動画情報、ヘルスケアプロダクトの情報、会社の持っている属性情報、人事データ(過去の評価等)、他のメンバーとのコミュニケーション頻度及び質、組織図から見た繋がりの傾向(業務上の関与メンバーが多い、少ない等)を参加者情報として特定してもよい。
【0087】
ここで、指標決定部は、対象情報に関する特定された内容及び参加者情報の少なくとも一方を用いて指標を決定してもよい。また、指標決定部は、特定された内容及び参加者情報に基づいて評価に用いる指標の優先度を決定し、優先度及び予め指定された用いる指標の数に基づいて具体的な指標の内容を決定してもよい。指標決定部は、例えば、予め特定された内容に対して優先度が決定された指標から、指定された数の指標を評価に用いる指標として決定してもよい。一例として、内容特定部が上司から部下への注意を与える内容であると特定した場合であって、参加者情報特定部が参加者の性格を引っ込み思案であると特定した場合を考える。この場合、指標決定部は、例えば、高圧的になっているか、話速が早いか、威圧的な文言を使っていないか、話が一方的になっていないか等の指標を優先的に評価に用いる指標として決定する。また、指標決定部は、例えば、参加者について、おどおどしていないか、呼吸に異常が無いか、攻撃的になっていないか等の指標を優先的に評価に用いる指標として決定する。
【0088】
また、他の一例として、内容特定部が同僚同士の仕事の会話であると判断した場合であって、参加者情報特定部が参加者同士を同期であり、参加者同士の性格を陽気と特定した場合を考える。この場合、指標決定部は、例えば、深刻な話になっていないか、お互いの会話の間隔が適切か、情報発散が適切か、話がはずんでいるか等の指標を優先的に評価に用いる指標として決定する。
【0089】
また、例えばコーチングの会話だった場合に、過去の会話(同じ上司又は別の上司)では、前半部下に話をさせて、後半は上司が話すパターンが、部下の各指標(笑顔、集中、エンゲージメント、その後の業務成果等)に好影響であるとAI解析結果で判明したとする。その場合、指標決定部は、上司に対して発話割合及びその推移比率について優先的にアドバイスする指標を評価する指標として決定してもよい。
【0090】
また、関連性評価部134は、参加者の属性(例えば、性格、入社年度、新卒/中途、役職、学歴、経験部署、社内のサーベイデータ、採用活動時に取得したデータ(動画含む)等)又は参加者に付随するデータ(過去の行為(休職履歴、過去の動画の言動等)、現在の状態(ヘルスケアプロダクトの指標等)、又は考え等)を加味して、関連性を評価してもよい。
【0091】
また、上記第1乃至第3実施形態において、対象情報として画像情報を含むとしたが、これに制限されない。対象情報は、音声情報のみであってもよい。音声情報のみである場合、評価部13は、目線、重心、及び表情に変えて、声の震え、声色、声量、及びピッチを用いてもよい。例えば、心理的安全性や承認行動等を音声から判断してもよい。また、評価部13は、発話内容を取得して得られたデータを自然言語処理することで、AIの示唆を出すようにしてもよい。
【0092】
また、上記第1乃至第3実施形態において、出力部14は、参加者の状態及び参加者同士の関係性に加えてアンケート結果もしくはアンケート結果等と複合解析したAI解析データ等を一緒に出力してもよい。また、出力部14は、一例として、評価されたストレス、モチベーション、心理的安全性、及び成長実感のAI解析データをアンケートと一緒に出力してもよい。
【0093】
また、上記第1乃至第3実施形態において、音声情報からハラスメント行為の発生を検出したが、これに制限されない。評価部13は、対象情報に含まれる前記参加者の行為を評価してもよい。検出部17は、検出された行為から不適切として設定された行為を検出してもよい。出力部14は、検出された行為に基づいて、評価結果を出力してもよい。これにより、例えば、大声でどなる、机をたたく等の挙動についてもハラスメント行為として検出することができる。したがって、より早急に対処すべき状態をより広範に検出することができる。
【0094】
また、上記第1乃至第3実施形態において、出力部14が評価結果を組織図に重畳して出力する例を説明したが、これに制限されない。出力部14は、ネットワークデータの所定の位置にカーソルを合わせることで、関連する評価結果を出力するようにしてもよい。また、出力部14は、評価結果を動画で出力するようにしてもよい。また、出力部14は、評価結果を2画面又は別画面で表示するようにしてもよい。
【0095】
また、上記第1乃至第3実施形態において、評価部13は、画像情報のみで評価してもよい。例えば、評価部13は、音声情報が壊れていた場合、マイクが壊れていた場合でも、表情・挙動などの画像情報のみでAI解析してもよい。また、評価部13は、障がいをもつ参加者が本サービスをもとにコミュニケーションを実施する場合などに、音声情報を使わず、画像情報のみでAI解析するようにしてもよい。
【0096】
また、上記第1乃至第3実施形態において、評価部13は、対象情報を時系列で分析し、時系列で出力(画像、文書、動画等)してもよい。また、出力部14は、外部から入力されるアンケート結果もしくはアンケート結果等と複合解析したAI解析データを評価結果とともに出力してもよい。また、上記実施形態において、評価部13は、参加者(企業もしくはグループ)ごとに、コンディションの良否、組織の文化・特徴を定義して、型化するようにしてもよい。この場合、評価部13は、参加者による設定、予め定められた設定、又はそれまで蓄積された対象情報からAIによって判定された設定を正解データとしてもよい。また、外部データは、アンケートに限らず、参加者の属性(例えば、性格、入社年度、新卒/中途、役職、学歴、経験部署、サーベイデータ、採用活動時に取得したデータ等(動画含む)、ストレスチェック/人事評価情報(360度評価等も含む)/業績情報(営業成績など)/他のメンバーとのコミュニケーション頻度及び質、組織図から見た繋がりの傾向(業務上の関与メンバーが多い、少ない等)/ヘルスケアプロダクトの出力結果、職歴等)、又は参加者に付随するデータ(過去の行為(休職履歴、過去の動画の言動等)、現在の状態(ヘルスケアプロダクトの指標等)、又は考え等(サーベイ等))であってもよい。
【0097】
また、評価部13は、参加者について型化するだけではなく、該当する参加者の所属する組織及び参加者等の人事関連施策に反映するようにしてもよい。評価部13は、例えば、型化によってカルチャーが明文化されることによる社内コミュニケーションのあり方への使用、人事異動(新入社員の配属含む)、人事考課、その他の人事施策を考える際の参考にする等に反映してもよい。また、評価部13は、型化するだけでなく、AIの評価基準をブラッシュアップしてもよい。評価部13は、例えば、参加者の該当する部署の対象情報に関して、AI判断の基準を変えることに用いてもよい。
【0098】
また、上記第1乃至第3実施形態において、評価装置1は、採用面接システムの1つとしても用いることができる。また、例えば、評価装置1は、採用面接用のAIと、職場評価用のAIとを連携させることができる。評価装置1は、例えば、両者のAIの判断結果から採用面接から職場の環境までの一連の状況を高度化することができる。例えば、評価装置1は、採用時のデータをもとに、職場を高度化することができる。また、例えば、評価装置1は、職場のデータをもとに、採用プロセスを高度化することができる。また、例えば、評価装置1は、採用から職場環境までの一連のプロセスを総合的に評価し、効率的か・最適かを判断し、アドバイスするようにすることができる。また、評価装置1は、配属(部署、チーム、プロジェクト等)、人事異動、業務内容、及び業務を共同実施する社員との相性等を鑑みたアサインの最適化を図ることができる。
【0099】
例えば、採用時のデータをもとに、職場を高度化する場合、求職者の選考動画、面接動画、及びその他付属情報等(学歴、職歴、適性検査、学力テスト、年齢等)をAI解析し、入社後の初期配属(どの部署、チームが良いか、どの仕事が適切か、どの上司・同僚と相性が良い・悪いか等)やその後の人事異動、人事考課、その他人事目的に使用する等が考えられる。また、例えば、職場のデータをもとに、採用プロセスを高度化する場合、ある部署・チームに配属になった人は活躍しやすい、成長しやすい、辞めやすい、休職しやすい、カルチャーフィットしづらい等といった情報を、採用選考時の採否判断(初期配属やキャリア形成など採用時に判断するその他情報を含む)の参考情報として用いることができる。また、その際に、求職者の状態(所定の部署への配属の良否、属性、その他の情報)及び求職者に付随する全ての付随データに基づいて、AI解析の内容を変更するようにしてもよい。また、例えば、採用から職場環境までの一連のプロセスを総合的に評価し、効率的か・最適かを判断し、アドバイスする場合、上記の2つのデータを総合的に考慮して、AI解析・レコメンド精度の向上を図るようにしてもよい。また、例えば、採用から職場環境までの一連の人物の流れを一体の人事システムとして捉えて評価し、人事等にレコメンドを行うようにしてもよい。
【0100】
また、評価装置1は、「総合的に評価」について、採用と職場環境をそれぞれ別の人事システムと捉えるのではなく、同一の人事システムと捉え、全体最適を考慮して評価するようにしてもよい。例えば、人事部の採用チームのKPI(Key Performance Indicator)達成が、人事部の職場チームのKPI達成の妨げになっているケース(又はその逆)等において効果的である。一例として、採用チームとしては、適性検査における「自己主張」のスコア、或いは評価部13による「熱量」のスコア(評価値)の内定者平均点を高めたいと考えているものの、それを追求しすぎると、職場チームが重視している「心理的安全性」等のスコア(評価値)が著しく下がる可能性がある場合等に効果的である。この場合、評価部13は、採用チームに対して、「自己主張/熱量のスコアのみを追求すると職場チームの心理的安全性のスコアの急激な低下が懸念される。そのため、『自己主張/熱量スコアはこのくらいの数値に抑える』『自己主張/熱量スコアが高く、かつ別スコア(例:協調性等)が高い求職者のみを合格させる』などの手法を取ると、職場チームの追求する心理的安全性スコアが下がりすぎず、かつ採用チームのKPIである自己主張/熱量スコアの向上をバランスよく追求できます」といったような、職場チームなど他部署・グループ(例えば、人事部を含む他のグループ)を含めた全体最適のアドバイスを実施することが可能となる。
【0101】
また、例えば、採用から職場環境までの一連のプロセスを総合的に評価し、効率的か・最適かを判断し、アドバイスする場合、人事部等に制限されず、求職者に対して実施するようにしてもよい。例えば、対象情報に限定されず、自己紹介等の自己を収めた音声情報又は画像情報を提供した求職者に対して、評価結果を出力するようにしてもよい。この際に、職場環境の評価結果及び求職者のAI解析結果を参考に、求職者向けのアドバイス内容を高度化するようにしてもよい。これは、予め配属先が決まっている求職者に対して特に効果的である。また、評価装置1は、採用面接等の採用における会話の中で、上記第2及び第3実施形態のような警告に該当する状況を検出した場合に、外部に出力するようにしてもよい。また、採用のコミュニケーション以外に、例えば営業などにおいて、不適切な発言を見つけるようにしてもよい。背景として、例えば、採用面接において、従来の面接では圧迫面接などもあったものの、そうした圧迫面接は候補者体験(求職者が「この企業に行きたい」「魅力的である」「面接してよかった(学びがあるなど)」と思ってもらうこと)を損ねてしまう可能性がある。従来のアナログの面接では、ブラックボックス化して面接の内容を人事部など第三者が外部からコミュニケーションの様子を把握する手立てがなかった。そのため、そうした不適切な言動を検知してアラートすることで候補者体験を向上させることができれば好ましい。
【0102】
その際に、企業の持っている求職者の情報(新卒採用であれば学歴、年齢、性別、適性試験の結果、エントリーシートの内容、その他採用選考に関して求職者が企業側へ送付する情報)を元に、アラート機能の性能をチューニングしてもよい。また、コミュニケーション後に参加者(求職者のみでなく面接官も含む)から取得したアンケート結果やヘルスケアプロダクトの値に基づき、アラート機能の検知性を向上や、アラート機能の性能をチューニングするようにしてもよい。また、面接官に付随する情報(過去のコミュニケーションの成功・失敗履歴や傾向、参加者の属性(例えば、性格、入社年度、新卒/中途、役職、学歴、経験部署)、サーベイデータ、採用活動時に取得したデータ等(動画含む)、ストレスチェック/人事評価情報(360度評価等も含む)/業績情報(営業成績など)/他のメンバーとのコミュニケーション頻度及び質、組織図から見た繋がりの傾向(業務上の関与メンバーが多い、少ない等)/ヘルスケアプロダクトの出力結果、職歴等)、又は参加者に付随するデータ(過去の行為(休職履歴、過去の動画の言動等)、現在の状態(ヘルスケアプロダクトの指標等)、又は考え等(サーベイ等))をもとに、アラート機能の性能をチューニングすることも考えられる。また、組織によって、どのような言動を不適切とするかは変わることが考えられる。そこで、当該組織の性質に合わせる形で、アラート機能の性能をチューニングするようにしてもよい。この時、AIがチューニングを実施してもよく、組織やサービスベンダーが手運用でチューニングを実施してもよい。
【0103】
また、上記実施形態において、評価装置1は、採用時のデータと職場時のデータとを比較し、対象となる求職者(新入社員)のコミュニケーションスタイルの変化を分析し、プロファイリングしてもよい。これにより、一例として、求職者(新入社員)のコンピテンシー情報(環境適応力、成長度合い、ストレス耐性、モチベーションの推移等)の、入社時から最新AI解析時までの推移を判定し、各種人事施策(人事考課、人事異動、相性の良い・悪い社員の見極め、その他)に役立てるとともに、それによって採用から環境の活動の高度化を図ってもよい。また、UI、UXの面について、採用AIと職場AIとの2種類があり、それぞれのダッシュボードがあった場合、どちらか一方の解析結果をもう片方のダッシュボード等(レポートやメールを含む)に表示する(あるいは直接表示させないまでも形を変えて表示する)ようにしてもよい。
【0104】
また、例えば、評価装置1から得られる職場データの関係性や、参加者の性格、状態等を用いて、採用面接において、組織に合う人材を選出するシステムの一部として評価装置1を採用することができる。例えば、この職場は、こういう求職者を採用するとすぐに辞める傾向がある等の傾向のアドバイスや、採用時のデータをもとに、こういう職場はアタック系が多いので、弱い人を入れてはだめ、柔らかい組織なのでストレートに話す人や角の立つ言葉で話す人を入れると文化が壊れるといったアドバイスを出力するシステムの一部として、評価装置1を含めることができる。
【0105】
また、上記第1乃至第3実施形態において、参加者状態評価部131は、ストレスの判断に笑顔の頻度を用いたが、これに制限されない。参加者状態評価部131は、ストレスの判断に笑顔の頻度を用いずともよい。
【0106】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る評価装置1及びプログラムについて説明する。第4実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0107】
第4実施形態に係る評価装置1は、上司のような第1種参加者と部下のような第2種参加者との繋がりの質と量のうち少なくとも1つの指標値を用いて、参加者の状態及び参加者同士の関係性のうち少なくとも一方を評価し、その評価結果を第1種参加者に可視化して提示する。
ここで、ユーザ端末101のうち、第1種参加者により使用されるユーザ端末101を特に「ユーザ端末101-1」と呼び、第2種参加者により使用されるユーザ端末101を特に「ユーザ端末101-2」と呼ぶ。
【0108】
本発明の第4実施形態に係る評価装置1は、図18に示すように、評価結果格納部10と、対象情報取得部11と、つながり指標選択部51と、関係情報取得部12と、評価部13と、出力部14と、出力内容切替部15と、を備える。
【0109】
対象情報取得部11は、第1種参加者を識別する識別情報と、当該識別情報に紐づけられた第1種参加者の会話に関する、アンケート情報、音声情報、及び画像情報のうち少なくとも1つとを対象情報としてユーザ端末101-1から取得する。
同様に、対象情報取得部11は、第2種参加者を識別する識別情報と、当該識別情報に紐づけられた第2種参加者の会話に関する、アンケート情報、音声情報、及び画像情報のうち少なくとも1つとを対象情報としてユーザ端末101-2から取得する。
【0110】
つながり指標選択部51は、例えば、CPUが動作することにより実現される。つながり指標選択部51は、第1種参加者と第2種参加者の繋がりの指標として、質の指標と量の指標のうち少なくとも一方の指標を選択する。
評価部13は、取得した対象情報に基づいて、選択された指標の値(以下、「指標値」とも呼ぶ)を演算し、当該指標値を用いて、参加者の状態及び参加者同士の関係性の少なくとも一方を評価し、その評価結果を評価結果格納部10に格納する。
なお、評価をするための値(例えば上述の第1乃至第3実施形態における評価値)は、指標値の一例である。
【0111】
出力部14は、評価結果を可視化した情報(以下、「可視化情報」と呼ぶ)を生成する可視化情報生成部141と、可視化情報をユーザ端末101-1に出力する可視化情報出力部142とを有している。ここで、上述の図3乃至図9図12、及び図14乃至図17に示される情報も可視化情報の一例である。即ち、可視化情報生成部141及び可視化情報出力部142は、第4実施形態で追加された構成ではなく、図2及び図11に図示はされていないが、第1乃至第3実施形態の出力部14にも元々有していたものである。
【0112】
以下、第4実施形態の評価装置1の理解を容易なものとすべく、具体的な事例として、第1種参加者として上司が採用され、第2種参加者として部下が採用され、上司と部下による1対1の会議又は面談(1on1)を通じて会話をした場合における、上司に提示される可視化情報の一例について、図19乃至図21を参照して説明する。
【0113】
第4実施形態では、つながり指標選択部51により質の指標が選択される場合、音声情報及び画像情報のみならず、アンケート情報が対象情報の一部として、対象情報取得部11に取得される。
アンケート情報は、1対1の会議又は面談(1on1)の前に取得されるアンケート情報(以下、「事前アンケート情報」と呼ぶ)と、1対1の会議又は面談(1on1)の後に取得されるアンケート情報(以下、「事後アンケート情報」と呼ぶ)が存在する。
【0114】
例えば、上司向けの事前アンケート情報としては、部下と「今日話したいことがありますか」という問いに対して、「はい」か「いいえ」の回答を示す情報を採用することができる。
例えば、部下向けの事前アンケート情報としては、次の第1乃至第3回答情報を採用することができる。第1回答情報は、上司と「今日話したいことがありますか」という問いに対して、「はい」か「いいえ」の回答を示す情報である。第2回答情報は、「今の体調はどうですか」という問いに対して、「良い」、「やや良い」、「やや悪い」、「悪い」の中から選択された回答を示す情報である。第3回答情報は、「今の気持ちは以下のどの表現に近いですか」という問いに対して、「スッキリ」、「ちょっとスッキリ」、「ちょっとモヤモヤ」、「モヤモヤ」の中から選択された回答を示す情報である。
【0115】
例えば、上司向けの事後アンケート情報としては、次の第1乃至第4回答情報を採用することができる。第1回答情報は、「メンバー(部下)のコンディションはどうみえましたか」という問いに対して、「良い」、「やや良い」、「やや悪い」、「悪い」の中から選択された回答を示す情報である。第2回答情報は、「メンバー(部下)の現在の業務は順調ですか」という問いに対して、「順調」、「やや順調」、「やや順調でない」、「順調でない」の中から選択された回答を示す情報である。第3回答情報は、「メンバー(部下)はいまモチベーション高く仕事ができていますか」という問いに対して、「高い」、「やや高い」、「やや低い」、「低い」の中から選択された回答を示す情報である。第4回答情報は、「システム(評価装置1)が安定した状態で1対1の会議又は面談(1on1)を実施できましたか」という問いに対して、「はい」か「いいえ」の回答を示す情報である。
例えば、部下向けの事後アンケート情報としては、次の第1乃至第3回答情報を採用することができる。第1回答情報は、「今の気持ちは以下のどの表現に近いですか」という問いに対して、「スッキリ」、「ちょっとスッキリ」、「ちょっとモヤモヤ」、「モヤモヤ」の中から選択された回答を示す情報である。第2回答情報は、「あなた(部下)の現在の業務は順調ですか」という問いに対して、「順調」、「やや順調」、「やや順調でない」、「順調でない」の中から選択された回答を示す情報である。第3回答情報は、「あなた(部下)はいまモチベーション高く仕事ができていますか」という問いに対して、「高い」、「やや高い」、「やや低い」、「低い」の中から選択された回答を示す情報である。
【0116】
また、第4実施形態では、つながり指標選択部51により量の指標が選択される場合、1対1の会議又は面談(1on1)の実施履歴(過去に取得された対象情報の一部)をもとにした以下の第1乃至第3項目の各集計値が、量の指標値として採用される。
第1項目は、総合回数である。第2項目は、総合時間である。第3項目は、平均実施量(頻度)である。例えば第3項目は、任意の期間、1対1の会議又は面談(1on1)が平均何回実施されたかにより集計可能である。また例えば、第3項目は、任意の期間、平均何時間の1対1の会議又は面談(1on1)が実施されたかにより集計可能である。
なお、上司に対して、複数の部下(メンバー)が存在する場合、部下毎に集計も可能である。
【0117】
1対1の会議又は面談(1on1)が実施される毎に、上述のような対象情報が取得され、上司と部下の繋がりの質及び量の指標値に基づいて、上司と部下の状態及び上司と部下の関係性の評価が評価部13によりなされ、それらの評価結果が評価結果格納部10に格納される。
【0118】
可視化情報生成部141は、1対1の会議又は面談(1on1)が複数の部下と複数回実施された場合の評価結果(評価履歴)に基づいて、図19に示す上司向けの全体レポート(複数の可視化情報がダッシュボード化されたレポート)を生成することができる。可視化情報出力部142は、上司向けの全体レポートをユーザ端末101-1に出力する。
【0119】
上司(第1種参加者)は、ユーザ端末101-1に表示された上司向けの全体レポートを視認することができる。
図19に示すように、上司向けの全体レポートは、領域A1、情報C11、情報C12、及び情報C13、並びに、情報B11、情報B12、及び情報B13を含むように構成されている。
【0120】
上司向けの全体レポートのうち、領域A1は、複数の部下の氏名を表示して、当該複数の部下のうち所望の部下が選択されると、選択された部下の詳細な評価結果を示す情報(例えば後述の図20図21に示す情報)に画面表示を遷移させる領域である。
【0121】
情報C11、情報C12、及び情報C13は、上司と部下の繋がりの量の指標値に基づく評価結果を示す可視化情報の一例である。
情報C11は、発話の割合の指標値に基づく評価結果を示す可視化情報である。
情報C12は、面談回数及び利用時間の夫々の指標値に基づく評価結果を示す可視化情報である。
情報C13は、メンバー(部下)毎のリストのうち、量の指標値に基づく評価結果の概要である。なお、上司(第1種参加者)は、領域A1の代わりに、情報C13に示される複数の部下のうち所望の部下を選択しても、選択した部下の詳細な評価結果を示す情報(例えば後述の図20図21に示す情報)に画面表示を遷移させることができる。
【0122】
情報B11、情報B12、及び情報B13は、上司と部下の繋がりの質の指標値に基づく評価結果を示す可視化情報の一例である。
【0123】
情報B11は、メンバー(部下)の開放性という質の指標値を横軸とし、メンバー(部下)の積極性という質の指標値を縦軸とする2次元平面上に、当該開放性及び当該積極性の指標値を示す点をプロットしたものであり、メンバー(部下)の開放性と積極性の傾向を示す情報である。
メンバー(部下)の開放性と積極性の傾向としては、次の4種類に区分される。まず、第1種目は、積極性は高いが開放性が低い種類であり、「独走・不安」の種類である。第2種目は、積極性も開放性も高い種類であり、「成長・活性」の種類である。第3種目は、積極性は低いが開放性は高い種類であり、「快適・甘え」の種類である。第4種目は、積極性も開放性も低い種類であり、「非活性」の種類である。
【0124】
ここで、積極性の指標値の演算手法の一例について説明する。
積極性の指標値とは、次の3つのラベルを示す値である。第1のラベルは、1対1の会議又は面談(1on1)の場において、主体的に会話を進められているか、というものである。第2のラベルは、前向きに、肯定的な発言が行えているか、というものである。第3のラベルは、自分の中で考えを整理出来ており、上司からの指摘に対してテンポよく返答できているかというものである。
このような積極性の指標値を算出すべく、対象情報が解析される。具体的には例えば、動画時間が解析されて「面談長さ」が求められる。100%換算した際の部下発話割合が解析されて「部下発話割合」が求められる。テキスト感情解析がなされて、ポジティブ度が定義されて、前向きな発言がどの程度あるかという観点で、「部下のポジティブな発言」が求められる。レスポンスの速さ、応答速度が解析されて、「テンポの速さ」が求められる。
これらの「面談長さ」、「部下発話割合」、「部下のポジティブな発言」、及び「テンポの速さ」に基づいて、次のような第1及び第2設計思想から、積極性の指標値が算出される。即ち、第1設計思想とは、面談時間、部下発話割合をみて、一定数値以下は積極性が低いと判断するというものである。第2設計思想とは、テンポの速さ、ポジティブ発言で積極性を判断するというものである。
【0125】
また、開放性の指標値の演算手法の一例について説明する。
開放性の指標値とは、次の3つのラベルを示す値である。第1のラベルは、自分の思想・考えを話そうとしているか、というものである。第2のラベルは、上司の考えを聞き、受け入れようとしているか、というものである。第3のラベルは、考えが異なる際は、上司の考えにも、指摘できるか、というものである。
このような開放性の指標値を算出すべく、対象情報が解析される。具体的には例えば、テキスト感情解析がなされて、ネガティブ度が定義されて、部下の発言内容に否定的なニュアンスが含まれるかどうかという観点で、「部下のネガティブな発言」が求められる。また、思考を話していると文章自体は長くなるはずという観点、及び、相槌、はい、そうですね、そう思います、すみませんが多いのは、開放性が低いと想定するという観点から、会話の内容が解析されて、「文章の平均の長さ」が求められる。
これらの「部下のネガティブな発言」、及び「文章の平均の長さ」に基づいて、次のような設計思想から、開放性の指標値が算出される。即ち、開放性の設計思想とは、「部下の発言の割合が一定以上あるか」と「部下のネガティブな発言も生じているか」の観点で整理するというものである。
【0126】
情報B12は、同心円状に90度毎に、メンバー(部下)の安心及び集中、並びに上司の傾聴及び承認という質の指標値を均等に配置した2次元平面上に、当該安心、当該集中、当該傾聴、及び当該承認の指標値を表す点をプロットしたものであり、上司のふるまいの平均値及びメンバー(部下)のふるまいの平均値を示す情報である。
【0127】
ここで、上司の傾聴の指標値の演算手法の一例について説明する。
傾聴の指標値とは、部下の話を聞く姿勢がふるまいに表れているかというラベルを示す値である。
このような傾聴の指標値を算出すべく、対象情報が解析される。具体的には例えば、部下発話(2秒以上)に対して一定割合以上相槌をしているかという点で対象情報が解析されて、「相槌」が求められる。
この「相槌」に基づいて、次のような設計思想から、傾聴の指標値が算出される。即ち、傾聴の設計思想とは、傾聴姿勢、話を聞いているか、感情的共感があるかの観点で求めるというものである。
【0128】
また、上司の承認の指標値の演算手法の一例について説明する。
承認の指標値とは、部下の発言に対して肯定的なリアクションが打てているかというラベルを示す値である。
このような承認の指標値を算出すべく、対象情報が解析される。具体的には例えば、部下側の発言に対しての肯定の発言のリアクション回数が解析されて、「承認の言葉」が求められる。部下側の発言に対しての否定の発言のリアクション回数が解析されて、「否定の言葉」が求められる。部下が10秒以上発話後すぐの発言(例えば、部下の発話後0.2秒以内に発話し、5秒以上継続して発話すること)を遮りと定義して、発話のタイミングが解析されて、「遮り」が求められる。
これらの「承認の言葉」、「否定の言葉」、及び「遮り」に基づいて、次のような設計思想から、承認の指標値が算出される。即ち、承認の設計思想とは、承認/否定のワードと、話者交代のテンポで求めるというものである。
【0129】
また、部下の集中の指標値の演算手法の一例について説明する。
集中の指標値とは、1対1の会議又は面談(1on1)の場において、部下が集中しているか(相手の話を集中して聴いているか)を示す値である。
このような集中の指標値を算出すべく、対象情報が解析される。具体的には例えば、上司の発話時と非発話時における部下の「目線」の角度の変化、及び画像データからの頭頂部の特徴点の変化量から「体の動き」が求められる。
これらの「目線」及び「体の動き」に基づいて、次のような設計思想から、集中の指標値が算出される。即ち、集中の設計思想とは、相手の発話中区間における目や体の動きを集中度合いとしてスコアを求めるというものである。
【0130】
また、部下の安心の指標値の演算手法の一例について説明する。
安心の指標値とは、1対1の会議又は面談(1on1)の場において、部下が安心して発言が行われているかを示す値である。
このような安心の指標値を算出すべく、対象情報が解析される。具体的には例えば、部下の画像データから取得された顔の特徴量が解析されることで、「表情」が求められる。画像データから取得された頭頂部の特徴点の変化量から、「体の揺れ」が求められる。上司と部下の発話の掛け合いの回数が加算されて、「ラリー回数」が求められる。
これらの「表情」、「体の揺れ」及び「ラリー回数」に基づいて、次のような設計思想から、安心の指標値が算出される。即ち、安心の設計思想とは、緊張状態ではないか、緩和(笑顔が多い)状態であるかという観点で求めるというものである。
【0131】
情報B13は、メンバー(部下)毎のリストのうち、質の指標値に基づく評価結果の概要である。なお、上司(第1種参加者)は、領域A1の代わりに、情報B13に示される複数の部下のうち所望の部下を選択しても、選択した部下の詳細な評価結果を示す情報(例えば後述の図20図21に示す情報)に画面表示を遷移させることができる。
【0132】
図20及び図21は、1対1の会議又は面談(1on1)が所定部下と実施される毎にその評価結果に基づいて生成される可視化情報の一例を示している。
可視化情報生成部141は、1対1の会議又は面談(1on1)が所定部下と実施された場合の評価結果に基づいて、図20及び図21に示すレポート(複数の可視化情報を含むレポート)を生成する。可視化情報出力部142は、図20及び図21に示すレポートをユーザ端末101-1に出力する。
上司(第1種参加者)は、ユーザ端末101-1に表示されたレポートを視認することで、所定部下と実施した1対1の会議又は面談(1on1)についての評価結果を認識することができる。
【0133】
図20のレポートには、所定部下と実施した1対1の会議又は面談についての評価結果のまとめとして、「メンバー(所定部下)との1on1(1対1の会議又は面談)をより深めるためには」というサジェストと、トークテーマのパターンが含まれている。
【0134】
また、図20のレポートには、情報B21、情報B22、及び情報B23が含まれている。
情報B21、情報B22、及び情報B23は、上司と所定部下の繋がりの質の指標値に基づく評価結果を示す可視化情報の一例である。
【0135】
情報B21は、開放性という質の指標値を横軸とし、積極性という質の指標値を縦軸とする2次元平面上に、所定部下(所定のメンバー)についての当該開放性及び当該積極性の指標値を示す点をプロットしたものである。情報B21は、所定部下と実施した1対1の会議又は面談(1on1)についての、当該所定部下(所定のメンバー)の開放性と積極性の傾向を示す情報である。
【0136】
情報B22は、所定部下と実施した1対1の会議又は面談(1on1)についての、トークテーマの傾向を示す情報である。
【0137】
情報B23は、所定部下と1対1の会議又は面談(1on1)が複数回実施された場合における、開放性及び積極性の各指標値の変化の時系列を示す情報である。
【0138】
ここで、上司(第1種参加者)は、情報B23等において、所定部下との1対1の会議又は面談(1on1)の過去の回を指定すると、当該過去の回についての情報B21及び情報B22を表示させることができる。
上司(第1種参加者)は、情報B23における開放性及び積極性の各指標値の変化の時系列を視認したり、今回と過去の回の情報B21及び情報B22を比較することで、所定部下についての成長実感やその後の部下への接し方に関する示唆を得ることができる。換言すると、情報B23や、複数回の情報B21及びB22は、上司にとって部下の成長実感を高めるための視覚化情報であって、上司と部下の間の業務における期待値のすり合わせや、上司の部下に対する最適なふるまいを実現可能な視覚化情報の一例である。
【0139】
また、所定部下と実施した1対1の会議又は面談(本例では2022年06月22日水曜日の1on1)についての評価結果の詳細や、当該1対1の会議又は面談(1on1)についての各種履歴は、図20の下部及び図21のレポートに含まれている。
【0140】
さらにまた、可視化情報生成部141は、1対1の会議又は面談(1on1)が複数の上司と複数の部下との間で複数回実施された場合の評価結果(評価履歴)に基づいて、図22に示す、組織メンバー(上述でいう上司も含む)のコンディションを可視化した組織図を生成することができる。可視化情報出力部142は、組織図をユーザ端末101-1に出力する。
【0141】
ここで、図19に示す上司向けの全体レポート並びに図20及び図21に示すレポートを、上司にとって部下の成長実感を高めるための視覚化情報であって、上司と部下の間の業務における期待値のすり合わせや、上司の部下に対する最適なふるまいを実現可能な視覚化情報の一例として用いることもできる。
具体的には例えば、下記のようなステップSS1乃至SS3のサイクルを繰り返すことで、上司にとって部下(メンバー)の成長実感を高めることが可能になる。
【0142】
ステップSS1において、上司は、図19に示す上司向けの全体レポートを用いて、コミュニケーションに課題があるメンバー(部下)を特定する。具体的には例えば、上司は、情報B11において、開放性及び積極性の両方のスコア(指標値)が低い(非活性)のメンバーを、課題があるメンバーと特定することができる。また例えば、上司は、情報B12において、安心や集中のスコア(指標値)が平均値より低いメンバー、即ち、部下のふるまいの指標値が低いメンバーを、課題があるメンバーと特定することができる。また例えば、上司は、情報C13において、対話頻度が低いメンバー(例えば経過日数が223日と他と比べて非常に長いメンバー)を、課題があるメンバーと特定することができる。また例えば、上司は、情報B13において、開放性や積極性のスコア(指標値)が継続して低いメンバーを、課題があるメンバーと特定することができる。
【0143】
ステップSS2において、上司は、課題があるメンバーについての図20及び図21に示すレポートの内容(個別の1対1の会議又は面談(1on1)のレポートの内容)を確認して、具体的に問題がありそうな部分を把握する。その後、上司は、図20のレポートにある上述のサジェストやトークテーマの内容を踏まえて、次回の1対1の会議又は面談(1on1)の準備を行い、次回の1対1の会議又は面談(1on1)においてその内容を実践する。
【0144】
ステップSS3において、上司は、次回の1対1の会議又は面談(1on1)が実施された後、その1対1の会議又は面談(1on1)についての図20及び図21のレポートの内容を振り返り、改善が起きたかを振り返り、次々回の1対1の会議又は面談(1on1)の準備を行う。
【0145】
上司(第1種参加者)は、ユーザ端末101-1に表示された図22の組織図を視認することができる。
図22の例の組織図は、役員、本部長、部長、リーダー、メンバーからなる組織図を示している。
ここで、役員と本部長の関係は、役員が上司であり本部長が部下の関係である。本部長と部長の関係は、本部長が上司であり部長が部下の関係である。部長とリーダーの関係は、部長が上司でありリーダーが部下の関係である。リーダーとメンバーの関係は、リーダーが上司でありメンバーが部下の関係である。
図22の例の組織図では、上司と部下の繋がりの質の指標値、具体的には例えば積極性と開放性の指標値に基づいて、上司と部下の繋がりの評価が、「活性・成長」、「独走・不安」、及び「非活性」の3種類のうちの何れかであるとして決定されている。上述したように、「活性・成長」とは、積極性も開放性も高いという評価結果である。「独走・不安」とは、積極性は高いが開放性が低いという評価結果である。「非活性」とは、積極性も開放性も低いという評価結果である。
図22の例では、これらの評価結果が、上司と部下を結ぶ線の種類として区別して示されている。具体的に太線は、「活性・成長」を示している。細線は、「独走・不安」を示している。破線は、「非活性」を示している。
なお、「活性・成長」、「独走・不安」、及び「非活性」といった3つの評価を区別して視覚化する形態は、図22の例に特に限定されない。例えば、線の太さ、線の形状(破線、一点鎖線、二点鎖線、波線等)、線の色といった、各種各様な形態を採用することができる。さらにいえば、評価結果を区別して視覚する別の形態として、印、点滅、囲い、アニメーション等、任意の形態を採用することができる。
また、人を示す長方形が塗られていることは、当該人が非活性状態であることを示している。
なお、人が非活性状態である等の人の状態の評価結果を視覚化する形態も、図22の例に特に限定されない。例えば、このような形態として、印、点滅、囲い、アニメーション等、任意の形態を採用することができる。
【0146】
例えば本部長は、図22の組織図のうち領域D1を視認することで、部長陣は快適な状態で業務に取り組めていることを推測することができる。
他方で、例えば本部長は、図22の組織図のうち領域D2を視認することで、現場のメンバー(リーダー含む)は不安を抱えていたり、非活性なメンバー(リーダー含む)が多いことから、部長陣と現場のメンバー(リーダー含む)との間で十分な意思疎通が図れていないことを推測することができる。
そして、例えば本部長は、これらの推測の結果に基づいて、自身が立てた戦略が部長陣には浸透しているが、部長陣から現場には十分に浸透しておらず、部長陣と現場の間で期待値のすり合わせができていない故に、皺寄せが現場のメンバーにきていると想定することができる。
このように、視覚化された図22の組織図を用いることで、本部長又は部長陣のふるまいにより、現場にしわ寄せがきている実情を特定することができる。
そして、このような特定の結果に基づいて、部下のフォロー、上司に対するマネジメント研修・指導、配置換え、人事考課への反映等の組織改善施策が実施可能となる。
【0147】
なお、上述の第4実施形態の説明において、第1種参加者として上司が採用され、第2種参加者として部下が採用され、上司と部下が1対1の会議又は面談(1on1)を通じて会話をした場合において、可視化情報が上司に提示される例について説明した。しかしながら、可視化情報は、1対1の会議又は面談(1on1)を通じて会話をした上司のみならず、他のユーザに提示されてもよい。即ち、可視化情報出力部142は、組織図を第1種ユーザ以外のユーザのユーザ端末101に出力することができる。具体的には例えば、可視化情報出力部142は、人事部に所属するユーザのユーザ端末101や、1対1で会議又は面談(1on1)を通じて会話をした上司(例えば課長)にとっての上司(例えば、その課長にとっての上司である部長)のユーザ端末101に組織図を出力するようにしてもよい。
また例えば、第1種参加者として上司が採用され、第2種参加者として部下が採用された場合において、可視化情報の一部は、第1種参加者である上司に提示されなくてもよい。
また例えば、図22の例の組織図は、1対1の会議又は面談(1on1)を通じて会話をした第1種参加者には提示されず、あらかじめ設定された人事部に所属するユーザのユーザ端末101や、1対1で会議又は面談(1on1)を通じて会話をした上司(例えば課長)にとっての上司(例えば、その課長にとっての上司である部長)のユーザ端末101にのみ提示されるように制御されてもよい。
また例えば、上述の第4実施形態における図22の例の組織図のうち、第1種参加者である上司とその上司により管理される部署に所属する部下のみを含む組織図のみが、第1種参加者である上司に提示されてもよい。
【0148】
また、上述の第4実施形態の図22の例の組織図の説明において、上司と部下の繋がりの評価が、「活性・成長」、「独走・不安」、及び「非活性」の3種類のうちの何れかであるとして決定されるものとしたが、上司と部下のつながりの評価は、特にこれに限定されない。即ち例えば、上司と部下の繋がりの評価は、「快適・甘え」を含む4種類のうちいずれかであるとして決定され、組織図が出力されてもよい。ここで、「快適・甘え」とは、「開放性は高いが積極性が低いという評価結果」である。なお、上司と部下のつながりの評価は、上述の4種類に限定されず適宜採用されてもよい。
【0149】
また、上述の第4実施形態の説明において、上司向けのレポートとして、図19の例のもの、即ち、1対1の会議又は面談(1on1)が複数の部下と複数回実施された場合の評価結果(評価履歴)に基づいて生成されるものが採用されたが、特にこれに限定されない。即ち例えば、1人の上司(第1種参加者)と1人の部下(第2種参加者)との1回の1対1の会議又は面談(1on1)が完了した時点において、上司向けのレポートが生成されてもよい。
【0150】
また、上述の第4実施形態の情報B12の説明において、同心円状に90度毎に、メンバー(部下)の安心及び集中、並びに上司の傾聴及び承認という質の指標を均等に配置した2次元平面上にプロットされるものとしたが、特にこれに限定されない。即ち例えば、指標の種類は4種類に限定されず、情報B12は、指標の種類数に応じた角度毎にプロットされたものが採用されてもよい。
【0151】
以上、第4実施形態に係る評価装置1及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(13)図18の対象情報取得部11は、参加者の会話に関する、アンケート情報、音声情報、及び画像情報のうち少なくとも1つを対象情報として取得する。
これにより、評価部13は、より精度の高い評価をすることができる。特に、参加者同士の繋がりの質に基づく評価に対しては、さらに一段と精度が高くなる。
【0152】
(14)参加者は、第1種参加者(例えば上司)と第2種参加者(例えば部下)が存在する。
対象情報取得部11は、第1種参加者及び第2種参加者の夫々の対象情報を取得する。
つながり指標選択部51は、第1種参加者と第2種参加者の繋がりの指標として、質と量のうち少なくとも一方を選択する。
評価部13は、取得した対象情報に基づいて、選択された指標の値(即ち指標値)を演算し、当該指標値を用いて、第1種参加者の状態及び第2種参加者の状態並びに第1種参加者と第2種参加者の関係性の少なくとも一方を評価する。
出力部14は、評価結果を可視化した情報として可視化情報を生成して第1種参加者のユーザ端末101-1に出力する。
これにより、第1種参加者(例えば上司)は、可視化情報を閲覧することで、気づきを得て、改善を検討することができる。
【0153】
(15)可視化情報は、第1種参加者と第2種参加者の繋がりの質と量を可視化した情報(例えば図19乃至図22に示す各種情報)であるようにすることができる。
これにより、第1種参加者(例えば上司)は、気づきを得ることが即座かつ容易に実現でき、その結果より良い改善を検討することができる。
【0154】
(16)可視化情報は、第1種参加者にとって第2種参加者の成長実感を図る支援となる情報(例えば図19乃至図21に示す情報)であることができる。
これにより、第1種参加者にとって第2種参加者との業務における期待値のすり合わせや、第1参加者の第2参加者に対する最適なふるまいをみつけることが容易に可能になる。その結果、第1種参加者(例えば上司)は、気づきを得ることが即座かつ容易に実現でき、その結果より良い改善を検討することができる。
【0155】
(17)可視化情報は、第1種参加者と第2種参加者のうち少なくとも一方の状態を可視化した情報(例えば図22に示す情報)であることができる。
これにより、第1種参加者(例えば上司)は、気づきを得ることが即座かつ容易に実現でき、その結果より良い改善を検討することができる。
【符号の説明】
【0156】
1 評価装置
11 対象情報取得部
12 関連性取得部
13 評価部
14 出力部
15 出力内容切替部
17 検出部
51 つながり指標選択部
141 可視化情報生成部
142 可視化情報出力部
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