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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150226
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】サウンド出力装置及び移動体
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20231005BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G10K15/04 302J
B60R11/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059220
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】原 篤弘
(72)【発明者】
【氏名】林 昌志
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA10
3D020BB01
3D020BC01
3D020BE03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】移動体の挙動に応じて回転体サウンドを効果的に強調するサウンド出力装置を提供する。
【解決手段】サウンド出力装置2は、エンジン10の回転数に基づいて、エンジン10から発するエンジンサウンドを強調するためのサウンドを示すサウンド信号を生成するサウンド生成部14と、車両の状態を示す車両情報を取得する車両情報取得部16と、車両情報に基づいて、車両の挙動を考慮した所定の処理をサウンド信号に施す変調付加部18と、所定の処理が施されたサウンド信号を、車両に搭載されたスピーカ12に出力する出力部24と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動力を発生する回転体を備えた移動体に搭載されるサウンド出力装置であって、
前記回転体の回転数に基づいて、前記回転体から発する回転体サウンドを強調するためのサウンドを示すサウンド信号を生成する生成部と、
前記移動体の状態を示す移動体情報を取得する取得部と、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体の挙動を考慮した所定の処理を前記サウンド信号に施す処理部と、
前記所定の処理が施された前記サウンド信号を、前記移動体に搭載されたスピーカに出力する出力部と、を備える
サウンド出力装置。
【請求項2】
前記生成部は、互いに異なる周波数の複数の前記サウンドをそれぞれ示す複数の前記サウンド信号を生成し、
前記処理部は、前記所定の処理として、前記複数のサウンド信号の各々に対して前記移動体情報に基づく変調周波数又は変調度で変調を付加し、且つ、前記変調を付加した前記複数のサウンド信号を加算し、
前記出力部は、加算された前記複数のサウンド信号を前記スピーカに出力する
請求項1に記載のサウンド出力装置。
【請求項3】
前記変調は、AM(Amplitude Modulation)変調、及び、FM(Frequency Modulation)変調のいずれかである
請求項2に記載のサウンド出力装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記所定の処理として、さらに、前記変調を付加した前記複数のサウンド信号の各々をフィルタ処理する
請求項2又は3に記載のサウンド出力装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記所定の処理として、さらに、加算した前記複数のサウンド信号をフィルタ処理する
請求項2又は3に記載のサウンド出力装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記フィルタ処理のフィルタ特性を動的に変化させる
請求項4又は5に記載のサウンド出力装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記所定の処理として、前記複数のサウンド信号の各々に対して前記移動体情報に基づく前記変調周波数で変調を付加し、前記スピーカから出力されるサウンドの周波数の最大値が閾値に達した場合に、前記変調周波数を低下させる
請求項4~6のいずれか1項に記載のサウンド出力装置。
【請求項8】
前記生成部は、互いに異なる周波数の複数の前記サウンドをそれぞれ示す複数の前記サウンド信号を生成し、
前記処理部は、前記所定の処理として、前記移動体情報に基づいて前記移動体の挙動を考慮した加飾サウンドを示す加飾サウンド信号を生成し、且つ、前記複数のサウンド信号と前記加飾サウンド信号とを加算し、
前記出力部は、加算された前記複数のサウンド信号及び前記加飾サウンド信号を前記スピーカに出力する
請求項1に記載のサウンド出力装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記回転体の回転数が第1の閾値に到達したこと、又は、前記回転体の回転数の単位時間当たりの変化量が第2の閾値を超えたことを条件として、前記所定の処理を前記サウンド信号に施す
請求項1~8のいずれか1項に記載のサウンド出力装置。
【請求項10】
前記スピーカは、前記移動体に複数搭載され、
前記出力部は、複数の前記スピーカのうち、前記所定の処理が施された前記サウンド信号を出力する前記スピーカを動的に切り替える
請求項1~9のいずれか1項に記載のサウンド出力装置。
【請求項11】
ユーザを搭乗させた状態で移動する移動体であって、
回転駆動力を発生する回転体と、
請求項1~10のいずれか1項に記載のサウンド出力装置であって、前記回転体から発する回転体サウンドを強調するためのサウンドを示すサウンド信号を出力するサウンド出力装置と、
前記サウンド出力装置からの前記サウンド信号が入力されるスピーカと、を備える
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サウンド出力装置及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを搭載した車両において、車室内のスピーカから、実際のエンジンサウンドを模擬した擬似エンジンサウンドを出力させるためのサウンド出力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この擬似エンジンサウンドによって、車室内に聞こえてくるエンジンからの実際のエンジンサウンドが強調されることにより、運転者は、運転操作に連動した車両の挙動を把握しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6646080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したサウンド出力装置として、エンジンの回転数に基づいて擬似エンジンサウンドを生成するタイプのものが提案されている。しかしながら、この種のサウンド出力装置では、次のような課題が生じる。
【0005】
車両の種類(例えば、シリーズハイブリッド車両等)によっては、エンジンの回転数が常時一定となる場合がある。このような場合、上述したサウンド出力装置では、車両が加速又は減速しているのにも関わらず、実際のエンジンサウンド及び擬似エンジンサウンドの各音色が一定となってしまう。その結果、車両の挙動と車室内に聞こえてくるサウンド(実際のエンジンサウンド及び擬似エンジンサウンド)とが一致せず、運転者が運転操作に違和感を覚えるという課題が生じる。
【0006】
そこで、本開示は、移動体の挙動に応じて回転体サウンドを効果的に強調することができるサウンド出力装置及び移動体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るサウンド出力装置は、回転駆動力を発生する回転体を備えた移動体に搭載されるサウンド出力装置であって、前記回転体の回転数に基づいて、前記回転体から発する回転体サウンドを強調するためのサウンドを示すサウンド信号を生成する生成部と、前記移動体の状態を示す移動体情報を取得する取得部と、前記移動体情報に基づいて、前記移動体の挙動を考慮した所定の処理を前記サウンド信号に施す処理部と、前記所定の処理が施された前記サウンド信号を、前記移動体に搭載されたスピーカに出力する出力部と、を備える。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示のサウンド出力装置等では、移動体の挙動に応じて回転体サウンドを効果的に強調することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係るサウンド出力装置が搭載された車両を示す図である。
図2】実施の形態1に係るサウンド出力装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係るサウンド出力装置の変調付加部の構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態1に係るサウンド出力装置の変調付加部の機能を説明するための図である。
図5】比較例に係るサウンド出力装置の構成を示すブロック図である。
図6】比較例に係るサウンド出力装置においてスピーカから出力される擬似エンジンサウンドの周波数の時間変化を示すグラフである。
図7】実施の形態1に係るサウンド出力装置においてスピーカから出力される擬似エンジンサウンドの周波数の時間変化を示すグラフである。
図8】実施の形態2に係るサウンド出力装置の変調付加部の構成を示すブロック図である。
図9】実施の形態2に係るサウンド出力装置の変調付加部の機能を説明するための図である。
図10】実施の形態3に係るサウンド出力装置の構成を示すブロック図である。
図11】実施の形態3に係るサウンド出力装置においてスピーカから出力される擬似エンジンサウンドの周波数の時間変化を示すグラフである。
図12】実施の形態3の変形例に係るサウンド出力装置においてスピーカから出力される擬似エンジンサウンドの周波数の時間変化を示すグラフである。
図13】実施の形態4に係るサウンド出力装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述した問題を解決するために、本開示の一態様に係るサウンド出力装置は、回転駆動力を発生する回転体を備えた移動体に搭載されるサウンド出力装置であって、前記回転体の回転数に基づいて、前記回転体から発する回転体サウンドを強調するためのサウンドを示すサウンド信号を生成する生成部と、前記移動体の状態を示す移動体情報を取得する取得部と、前記移動体情報に基づいて、前記移動体の挙動を考慮した所定の処理を前記サウンド信号に施す処理部と、前記所定の処理が施された前記サウンド信号を、前記移動体に搭載されたスピーカに出力する出力部と、を備える。
【0012】
本態様によれば、生成部は、回転体の回転数に基づいてサウンド信号を生成し、処理部は、移動体情報に基づいて移動体の挙動を考慮した所定の処理をサウンド信号に施す。これにより、スピーカから出力される、実際の回転体サウンドを強調するためのサウンド(以下、「擬似回転体サウンド」という)の周波数成分は、回転体に基づく成分と、移動体の挙動に基づく成分とを含むようになる。そのため、仮に、回転体の回転数が一定となっている場合であっても、スピーカから出力される擬似回転体サウンドの音色は、移動体の挙動に応じて変化するようになる。その結果、移動体の挙動と移動体の内部に聞こえてくるサウンド(実際の回転体サウンド及びスピーカから出力される擬似回転体サウンド)とを一致させることができ、移動体の挙動に応じて回転体サウンドを効果的に強調することができる。
【0013】
例えば、前記生成部は、互いに異なる周波数の複数の前記サウンドをそれぞれ示す複数の前記サウンド信号を生成し、前記処理部は、前記所定の処理として、前記複数のサウンド信号の各々に対して前記移動体情報に基づく変調周波数又は変調度で変調を付加し、且つ、前記変調を付加した前記複数のサウンド信号を加算し、前記出力部は、加算された前記複数のサウンド信号を前記スピーカに出力するように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、簡単な構成で、移動体の挙動に応じて回転体サウンドを効果的に強調することができる。
【0015】
例えば、前記変調は、AM(Amplitude Modulation)変調、及び、FM(Frequency Modulation)変調のいずれかであるように構成してもよい。
【0016】
例えば、前記処理部は、前記所定の処理として、さらに、前記変調を付加した前記複数のサウンド信号の各々をフィルタ処理するように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、スピーカから出力される擬似回転体サウンドの音色を、移動体の挙動に一致したサウンドの音色により近付けることができる。
【0018】
例えば、前記処理部は、前記所定の処理として、さらに、加算した前記複数のサウンド信号をフィルタ処理するように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、スピーカから出力される擬似回転体サウンドの音色を、移動体の挙動に一致したサウンドの音色により近付けることができる。
【0020】
例えば、前記処理部は、前記フィルタ処理のフィルタ特性を動的に変化させるように構成してもよい。
【0021】
本態様によれば、スピーカから出力される擬似回転体サウンドの音色を、移動体の挙動に一致したサウンドの音色により効果的に近付けることができる。
【0022】
例えば、前記処理部は、前記所定の処理として、前記複数のサウンド信号の各々に対して前記移動体情報に基づく前記変調周波数で変調を付加し、前記スピーカから出力されるサウンドの周波数の最大値が閾値に達した場合に、前記変調周波数を低下させるように構成してもよい。
【0023】
本態様によれば、擬似回転体サウンドにより、擬似的なギア変速感を表現することができる。
【0024】
例えば、前記生成部は、互いに異なる周波数の複数の前記サウンドをそれぞれ示す複数の前記サウンド信号を生成し、前記処理部は、前記所定の処理として、前記移動体情報に基づいて前記移動体の挙動を考慮した加飾サウンドを示す加飾サウンド信号を生成し、且つ、前記複数のサウンド信号と前記加飾サウンド信号とを加算し、前記出力部は、加算された前記複数のサウンド信号及び前記加飾サウンド信号を前記スピーカに出力するように構成してもよい。
【0025】
本態様によれば、簡単な構成で、移動体の挙動に応じて回転体サウンドを効果的に強調することができる。
【0026】
例えば、前記処理部は、前記回転体の回転数が第1の閾値に到達したこと、又は、前記回転体の回転数の単位時間当たりの変化量が第2の閾値を超えたことを条件として、前記所定の処理を前記サウンド信号に施すように構成してもよい。
【0027】
本態様によれば、適切なタイミングで所定の処理をサウンド信号に施すことができ、処理部の処理負荷を軽減することができる。
【0028】
例えば、前記スピーカは、前記移動体に複数搭載され、前記出力部は、複数の前記スピーカのうち、前記所定の処理が施された前記サウンド信号を出力する前記スピーカを動的に切り替えるように構成してもよい。
【0029】
本態様によれば、擬似回転体サウンドにより移動体の挙動を効果的に表現することができる。
【0030】
本開示の一態様に係る移動体は、ユーザを搭乗させた状態で移動する移動体であって、回転駆動力を発生する回転体と、請求項1~10のいずれか1項に記載のサウンド出力装置であって、前記回転体から発する回転体サウンドを強調するためのサウンドを示すサウンド信号を出力するサウンド出力装置と、前記サウンド出力装置からの前記サウンド信号が入力されるスピーカと、を備える。
【0031】
本態様によれば、上述と同様に、移動体の挙動に応じて回転体サウンドを効果的に強調することができる。
【0032】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0033】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0034】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0035】
(実施の形態1)
[1-1.サウンド出力装置の構成]
図1図4を参照しながら、実施の形態1に係るサウンド出力装置2の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係るサウンド出力装置2が搭載された車両4を示す図である。図2は、実施の形態1に係るサウンド出力装置2の構成を示すブロック図である。図3は、実施の形態1に係るサウンド出力装置2の変調付加部18の構成を示すブロック図である。図4は、実施の形態1に係るサウンド出力装置2の変調付加部18の機能を説明するための図である。
【0036】
図1に示すように、サウンド出力装置2は、例えば自動車等の車両4に搭載されている。車両4は、運転者6等のユーザを搭乗させた状態で移動する移動体の一例である。車両4のエンジンルーム8には、回転駆動力を発生するエンジン10(回転体の一例)が搭載されている。車両4が例えばシリーズハイブリッド車両である場合には、車両4の駆動源はモータ(図示せず)であり、エンジン10は発電に用いられる。また、車両4が例えばCVT(Continuously Variable Transmission:無段階変速機)車両である場合には、車両4の駆動源はエンジン10である。
【0037】
車両4の車室内には、複数のスピーカ12が搭載されている。複数のスピーカ12は、例えば、右側(運転席側)のフロントドアに配置された右フロントスピーカ、左側(助手席側)のフロントドアに配置された左フロントスピーカ、右側のリアドアに配置された右リアスピーカ、及び、左側のリアドアに配置された左リアスピーカ等を含む。なお、説明の都合上、図1では、1つのスピーカ12(右フロントスピーカ)のみを図示している。
【0038】
サウンド出力装置2は、車両4の車室内に聞こえてくるエンジン10からの実際のエンジンサウンド(回転体サウンドの一例)を強調するための擬似エンジンサウンドを、複数のスピーカ12から出力させるための装置である。なお、擬似エンジンサウンドとは、実際のエンジンサウンドを模擬したサウンドである。このように、実際のエンジンサウンドが擬似エンジンサウンドによって強調されることにより、運転者6は、運転操作に連動した車両4の挙動を把握しやすくなり、運転者6の運転感覚が高められる。
【0039】
図2に示すように、サウンド出力装置2は、複数のサウンド生成部14(生成部の一例)と、車両情報取得部16と、複数の変調付加部18(処理部の一例)と、複数の音量調整部20と、複数の加算器22(処理部の一例)と、複数の出力部24とを備えている。
【0040】
複数のサウンド生成部14の各々は、エンジン10に配置された回転数センサ(図示せず)から、エンジン10の回転数を示す回転数情報を取得する。複数のサウンド生成部14はそれぞれ、回転数情報により示されるエンジン10の回転数に基づいて、互いに異なる周波数の複数の擬似エンジンサウンド(複数のサウンドの一例)をそれぞれ示す複数のサウンド信号(デジタル信号)を生成する。複数の擬似エンジンサウンドの各周波数は、例えば、エンジン10の回転数に同期した周波数を1次として、2次、2.5次、4次、・・・等の周波数である。
【0041】
車両情報取得部16は、車両4の状態を示す車両情報(移動体情報の一例)を取得する。車両情報は、例えば、車両4の車速、車両4の加速度、タイヤの回転速度、タイヤの回転数、ドライブシャフトの回転数、プロペラシャフトの回転数、GPS(Global Positioning System)の位置情報、ドライブレコーダにより撮像された画像データ等を示す情報である。この車両情報は、車両4の挙動(加速及び減速等)に応じて変化する情報である。
【0042】
複数の変調付加部18はそれぞれ、複数のサウンド生成部14に1対1で対応して設けられている。複数の変調付加部18はそれぞれ、車両情報取得部16からの車両情報に基づく変調周波数で、複数のサウンド生成部14により生成された複数のサウンド信号にAM(Amplitude Modulation)変調を付加する。すなわち、複数の変調付加部18はそれぞれ、車両情報に基づいて、車両4の挙動を考慮した所定の処理を複数のサウンド信号に施す。具体的には、複数の変調付加部18の各々は、例えば車両4が加速しているのに伴って擬似エンジンサウンドの周波数が増大するように、車両情報に基づく変調周波数でサウンド信号にAM変調を付加する。
【0043】
図3に示すように、複数の変調付加部18の各々は、サウンド生成部26と、ゲイン調整部28と、乗算器30と、加算器32とを有している。サウンド生成部26は、車両情報取得部16からの車両情報に基づいて、擬似エンジンサウンドを示すサウンド信号(デジタル信号)を生成する。ゲイン調整部28は、サウンド生成部26により生成されたサウンド信号のゲインを調整する。乗算器30は、サウンド生成部14により生成されたサウンド信号と、ゲイン調整部28によりゲインが調整されたサウンド信号とを乗算する。加算器32は、サウンド生成部14により生成されたサウンド信号の振幅と、乗算器30により乗算されたサウンド信号の振幅とを加算する。
【0044】
これにより、車両情報に基づく変調周波数でAM変調が付加されたサウンド信号の波形は、例えば図4の(a)に示すようになる。この場合、図4の(b)に示すように、AM変調が付加されたサウンド信号の周波数成分は、エンジン10に基づく成分と、車両4の挙動に基づく複数の変調成分とを含むようになる。
【0045】
なお、本実施の形態では、複数の変調付加部18はそれぞれ、車両情報取得部16からの車両情報に基づく変調周波数で、複数のサウンド信号にAM変調を付加したが、これに限定されず、車両情報取得部16からの車両情報に基づく変調度で、複数のサウンド信号にAM変調を付加してもよい。変調度を変化させることにより、図4の(b)に示す変調成分の大きさが変化し、擬似エンジンサウンドの成分の大きさを制御することができる。
【0046】
複数の音量調整部20はそれぞれ、複数のサウンド生成部14に1対1で対応して設けられている。複数の音量調整部20はそれぞれ、車両情報取得部16からの車両情報に基づいて、AM変調が付加された複数のサウンド生成部14からの複数のサウンド信号の各音量を調整する。具体的には、各音量調整部20は、例えば車両4の車速が大きいほど音量が大きくなるように、AM変調が付加されたサウンド生成部14からのサウンド信号の音量を調整する。
【0047】
複数の加算器22の各々は、複数の音量調整部20によりそれぞれ音量が調整された複数のサウンド信号を加算する。
【0048】
複数の出力部24はそれぞれ、複数の加算器22に1対1で対応して設けられている。複数の出力部24はそれぞれ、複数の加算器22の各々により加算された複数のサウンド信号を、複数のスピーカ12に出力する。なお、複数の出力部24の各々は、加算器22により加算された複数のサウンド信号を、デジタル信号からアナログ信号に変換した後に増幅して、スピーカ12に出力する。
【0049】
複数のスピーカ12の各々は、出力部24からのサウンド信号に基づく擬似エンジンサウンドを出力する。これにより、複数のスピーカ12の各々から、エンジン10の回転数だけでなく、車両4の挙動をも考慮した擬似エンジンサウンドが出力される。
【0050】
複数のスピーカ12の各々から出力された擬似エンジンサウンドによって、車両4の車室内に聞こえてくるエンジン10からの実際のエンジンサウンドが強調される。なお、実際のエンジンサウンドをより効果的に強調するために、スピーカ12毎に、各スピーカ12から出力される擬似エンジンサウンドの音量等のパラメータの重み付けを行ってもよい。
【0051】
[1-2.効果]
次に、実施の形態1に係るサウンド出力装置2と比較例に係るサウンド出力装置100とを比較しながら、実施の形態1に係るサウンド出力装置2により得られる効果について説明する。
【0052】
ここで、図5を参照しながら、比較例に係るサウンド出力装置100の構成について説明する。図5は、比較例に係るサウンド出力装置100の構成を示すブロック図である。なお、図5において、実施の形態1に係るサウンド出力装置2の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
図5に示すように、比較例に係るサウンド出力装置100は、複数の変調付加部18を備えていない点で、実施の形態1に係るサウンド出力装置2と異なっている。これにより、比較例に係るサウンド出力装置100では、複数のスピーカ12の各々から出力される擬似エンジンサウンドは、エンジン10の回転数のみを考慮した擬似エンジンサウンドとなる。
【0054】
比較例に係るサウンド出力装置100では、複数のスピーカ12の各々から出力される擬似エンジンサウンドの周波数の時間変化は、例えば図6に示すようになる。図6は、比較例に係るサウンド出力装置100においてスピーカ12から出力される擬似エンジンサウンドの周波数の時間変化を示すグラフである。なお、図6では、エンジン10の回転数が2000rpmで一定である状態で、時間0(sec)から車両4が加速しているものとする。
【0055】
車両4が例えばシリーズハイブリッド車両である場合には、エンジン10の回転数は、常時一定となる。また、車両4が例えばCVT車両である場合には、車両4の加速時には、エンジン10の回転数は、上昇してすぐに上限値に張り付くようになる。比較例に係るサウンド出力装置100では、このようにエンジン10の回転数が一定である場合、図6に示すように、複数のスピーカ12の各々から出力される擬似エンジンサウンドの周波数成分は、エンジン10に基づく成分のみを含むため、擬似エンジンサウンドの周波数は、例えば100Hz及び200Hzで一定となる。その結果、車両4が加速しているのにも関わらず、実際のエンジンサウンド及び擬似エンジンサウンドの各音色が一定となってしまうため、車両4の挙動と車両4の車室内に聞こえてくるサウンド(実際のエンジンサウンド及び擬似エンジンサウンド)とが一致せず、運転者6が運転操作に違和感を覚えるという課題が生じる。
【0056】
これに対して、実施の形態1に係るサウンド出力装置2では、上述したように、複数のスピーカ12の各々から、エンジン10の回転数だけでなく、車両4の挙動をも考慮した擬似エンジンサウンドが出力される。そのため、実施の形態1に係るサウンド出力装置2では、複数のスピーカ12の各々から出力される擬似エンジンサウンドの周波数の時間変化は、例えば図7に示すようになる。図7は、実施の形態1に係るサウンド出力装置2においてスピーカ12から出力される擬似エンジンサウンドの周波数の時間変化を示すグラフである。なお、図7では、エンジン10の回転数が2000rpmで一定である状態で、時間0(sec)から車両4が加速しているものとする。
【0057】
実施の形態1に係るサウンド出力装置2では、車両4が例えばシリーズハイブリッド車両又はCVT車両であることにより、エンジン10の回転数が一定である場合であっても、図7に示すように、複数のスピーカ12の各々から出力される擬似エンジンサウンドの周波数成分は、エンジン10に基づく成分と、車両4の挙動に基づく複数の変調成分とを含むため、擬似エンジンサウンドの周波数は、時間の経過とともに(すなわち、車両4の挙動に応じて)変化するようになる。より具体的には、図7に示すように、エンジンに基づく成分の周波数(100Hz、200Hz)は一定であるが、複数の変調成分の各周波数は、エンジンに基づく成分に対して時間0(sec)から上昇及び低下する。
【0058】
その結果、車両4が加速するのに伴って、擬似エンジンサウンドの音色が変化するため、車両4の挙動と車両4の車室内に聞こえてくるサウンド(実際のエンジンサウンド及び擬似エンジンサウンド)とが一致し、運転者6は、運転操作に連動した車両4の挙動を把握しやすくなり、運転者6の運転感覚を向上させることができる。したがって、実施の形態1に係るサウンド出力装置2では、車両4の挙動に応じてエンジンサウンドを効果的に強調することができるという効果を得ることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、エンジン10の回転数が一定である場合に、上述した効果が得られることについて説明したが、これに限定されず、エンジン10の回転数が急激に変動した場合にも、上述した効果を得ることができる。この場合、エンジン10の回転数の単位時間当たりの変化量を監視しておき、単位時間当たりの変化量が閾値(第2の閾値の一例)を超える場合に、複数の変調付加部18の各動作をオンさせるようにしてもよい。
【0060】
(実施の形態2)
図8及び図9を参照しながら、実施の形態2に係るサウンド出力装置2Aの構成について説明する。図8は、実施の形態2に係るサウンド出力装置2Aの変調付加部18Aの構成を示すブロック図である。図9は、実施の形態2に係るサウンド出力装置2Aの変調付加部18Aの機能を説明するための図である。なお、以下に示す各実施の形態において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0061】
実施の形態2に係るサウンド出力装置2Aでは、変調付加部18Aの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、変調付加部18Aは、車両情報取得部16からの車両情報に基づく変調周波数で、サウンド信号にFM(Frequency Modulation)変調を付加する。すなわち、変調付加部18Aは、車両情報に基づいて、車両4の挙動を考慮した所定の処理をサウンド信号に施す。
【0062】
図8に示すように、変調付加部18Aは、サウンド生成部26と、ゲイン調整部28と、加算器32Aとを有している。サウンド生成部26は、車両情報取得部16からの車両情報に基づいて、擬似エンジンサウンドを示すサウンド信号を生成する。ゲイン調整部28は、サウンド生成部26により生成されたサウンド信号のゲインを調整する。加算器32Aは、回転数情報により示されるエンジン10の回転数と同期した周波数と、ゲイン調整部28によりゲインが調整されたサウンド信号の周波数とを加算する。加算器32Aは、加算結果をサウンド生成部14に出力する。これにより、サウンド生成部14により生成されたサウンド信号にFM変調が付加される。
【0063】
これにより、車両情報に基づく変調周波数でFM変調が付加されたサウンド信号は、例えば図9の(a)に示すようになる。この場合、図9の(b)に示すように、FM変調が付加されたサウンド信号の周波数成分は、エンジン10に基づく成分と、車両4(図1参照)の挙動に基づく複数の変調成分とを含むようになる。したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0064】
(実施の形態3)
図10を参照しながら、実施の形態3に係るサウンド出力装置2Bの構成について説明する。図10は、実施の形態3に係るサウンド出力装置2Bの構成を示すブロック図である。
【0065】
図10に示すように、実施の形態3に係るサウンド出力装置2Bは、上記実施の形態1で説明した構成要件に加えて、複数のフィルタ34を備えている。複数のフィルタ34はそれぞれ、複数のサウンド生成部14に1対1で対応して設けられている。複数のフィルタ34はそれぞれ、回転数センサ(図示せず)からの回転数情報に基づいて、AM変調が付加された複数のサウンド生成部14からの複数のサウンド信号の各々をフィルタ処理する。具体的には、複数のフィルタ34の各々は、ハイパスフィルタであり、サウンド信号の周波数成分のうち、回転数情報により示される回転数と同期した周波数以下の周波数成分のみを減衰させる。
【0066】
実施の形態3に係るサウンド出力装置2Bでは、複数のスピーカ12の各々から出力される擬似エンジンサウンドの周波数の時間変化は、例えば図11に示すようになる。図11は、実施の形態3に係るサウンド出力装置2Bにおいてスピーカ12から出力される擬似エンジンサウンドの周波数の時間変化を示すグラフである。なお、図11では、エンジン10の回転数が2000rpmで一定である状態で、時間0(sec)から車両4(図1参照)が加速しているものとする。
【0067】
図11に示すように、複数のフィルタ34によって、擬似エンジンサウンドの周波数成分のうち、低い周波数の変調成分がカットされる。より具体的には、上述した図7では、エンジンに基づく成分(100Hz、200Hz)に対して時間0(sec)から周波数が低下する複数の変調成分が存在していたが、図11ではこれらの複数の変調成分がカットされている。これにより、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、擬似エンジンサウンドの音色を車両4の挙動に一致したサウンドの音色により近付けることができ、車両4の加速感をより効果的に演出することができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、AM変調が付加された複数のサウンド生成部14からの複数のサウンド信号の各々をフィルタ処理したが、これに限定されず、加算器22により加算された複数のサウンド信号をフィルタ処理してもよい。また、フィルタ処理する際に、フィルタ特性(例えば、カットオフ周波数等)を動的に変化させてもよい。これにより、擬似エンジンサウンドの音色を、車両4の挙動に一致したサウンドの音色により効果的に近付けることができる。
【0069】
また、図12は、実施の形態3の変形例に係るサウンド出力装置2Bにおいてスピーカ12から出力される擬似エンジンサウンドの周波数の時間変化を示すグラフである。図12に示すように、擬似エンジンサウンドの周波数の最大値が設定上限値(閾値の一例)に達した場合に、変調周波数を低下させるように制御してもよい。これにより、擬似エンジンサウンドにより、擬似的なギア変速感を表現することができる。また、システムの制約により生成できる周波数に制限がある場合にも有効である。
【0070】
(実施の形態4)
図13を参照しながら、実施の形態4に係るサウンド出力装置2Cの構成について説明する。図13は、実施の形態4に係るサウンド出力装置2Cの構成を示すブロック図である。
【0071】
図13に示すように、実施の形態4に係るサウンド出力装置2Cは、複数のサウンド生成部14と、車両情報取得部16と、複数のサウンド生成部36(処理部の一例)と、複数の音量調整部20と、複数の加算器22(処理部の一例)と、複数の出力部24とを備えている。
【0072】
複数のサウンド生成部36の各々は、車両情報取得部16から車両情報を取得する。複数のサウンド生成部36はそれぞれ、車両情報に基づいて、互いに異なる周波数の複数の加飾サウンドをそれぞれ示す複数の加飾サウンド信号を生成する。複数の加飾サウンドの各々は、車両4(図1参照)の挙動を考慮した、実際のエンジンサウンドを模擬したサウンドである。具体的には、複数のサウンド生成部36の各々は、例えば車両4が加速しているのに伴って加飾サウンドの周波数が増大するように、車両情報に基づいて加飾サウンドを生成する。なお、複数の加飾サウンドの各周波数は、例えば、エンジン10の回転数に同期した周波数を1次として、2次、2.5次、4次、・・・等の周波数である。
【0073】
複数の音量調整部20はそれぞれ、複数のサウンド生成部14及び複数のサウンド生成部36に1対1で対応して設けられている。複数の音量調整部20はそれぞれ、車両情報取得部16からの車両情報に基づいて、複数のサウンド生成部14からの複数のサウンド信号、及び、複数のサウンド生成部36からの複数の加飾サウンド信号の各音量を調整する。
【0074】
複数の加算器22の各々は、複数の音量調整部20によりそれぞれ音量が調整された複数のサウンド信号及び複数の加飾サウンド信号を加算する。すなわち、複数のサウンド生成部36及び複数の加算器22は、車両4の挙動を考慮した所定の処理を複数のサウンド信号に施す。
【0075】
複数の出力部24はそれぞれ、複数の加算器22の各々により加算された複数のサウンド信号及び複数の加飾サウンド信号を、複数のスピーカ12に出力する。これにより、複数のスピーカ12の各々から、エンジン10の回転数だけでなく、車両4の挙動をも考慮した擬似エンジンサウンドが出力される。
【0076】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0077】
(他の変形例)
以上、一つ又は複数の態様に係るサウンド出力装置及び移動体について、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を上記実施の形態に施したものや、異なる実施の形態又は変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0078】
上記各実施の形態では、サウンド出力装置2(2A,2B,2C)を車両4に搭載する場合について説明したが、これに限定されず、例えば航空機、電車又は船舶等の各種移動体に搭載してもよい。
【0079】
また、上記各実施の形態では、車両4が自動車である場合について説明したが、これに限定されず、例えば建機又は農機等の各種車両であってもよい。
【0080】
また、上記各実施の形態では、車両4の挙動を考慮した所定の処理をサウンド信号に施したが、回転数センサからの回転数情報を監視しておき、回転数情報により示されるエンジン10の回転数が上限値又は任意の設定値(第1の閾値の一例)に到達したことを条件として、車両4の挙動を考慮した所定の処理をサウンド信号に施してもよい。例えば、上記実施の形態1において、エンジン10の回転数が上限値又は任意の設定値に到達したタイミングで、複数の変調付加部18の各動作をオフからオンに切り替えてもよい。これにより、所定の処理をサウンド信号に施す際の処理負荷を低減することができる。
【0081】
また、上記各実施の形態では、車両4の挙動に応じて擬似エンジンサウンドの周波数を制御するようにしたが、これに限定されず、車両4の挙動に応じて擬似エンジンサウンドの音量を制御するようにしてもよい。すなわち、車両4が加速するのに伴って擬似エンジンサウンドの音量が増大するように、車両4の挙動を考慮した所定の処理をサウンド信号に施してもよい。
【0082】
また、上記各実施の形態では、複数のサウンド生成部14の全てを動作させたが、これに限定されず、複数のサウンド生成部14の各動作のオン・オフを適宜切り替えることにより、車両4の挙動に応じて擬似エンジンサウンドの周波数を制御するようにしてもよい。あるいは、複数の出力部24は、擬似エンジンサウンドを出力するスピーカ12を動的に切り替えることにより、擬似エンジンサウンドで車両4の挙動(加速又は減速)を表現するようにしてもよい。例えば、車両4の加速時には、フロントスピーカから擬似エンジンサウンドを出力し、車両4の減速時には、リアスピーカから擬似エンジンサウンドを出力してもよい。あるいは、これとは逆に、車両4の加速時には、リアスピーカから擬似エンジンサウンドを出力し、車両4の減速時には、フロントスピーカから擬似エンジンサウンドを出力してもよい。
【0083】
(その他)
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0084】
また、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0085】
(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムで実現され得る。RAM又はハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0086】
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、ROMからRAMにコンピュータプログラムをロードし、ロードしたコンピュータプログラムにしたがって演算等の動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0087】
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールには、上記の超多機能LSIが含まれてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有してもよい。
【0088】
(4)本開示は、上記に示す方法で実現されてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムで実現してもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号で実現してもよい。
【0089】
また、本開示は、コンピュータプログラム又はデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD、半導体メモリなどに記録したもので実現してもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号で実現してもよい。
【0090】
また、本開示は、コンピュータプログラム又はデジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送してもよい。
【0091】
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムにしたがって動作してもよい。
【0092】
また、プログラム又はデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、又はプログラム又はデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0093】
(5)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本開示は、例えばエンジンサウンドを強調するための擬似エンジンサウンドを車両のスピーカに出力するサウンド出力装置として適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
2,2A,2B,2C,100 サウンド出力装置
4 車両
6 運転者
8 エンジンルーム
10 エンジン
12 スピーカ
14,26,36 サウンド生成部
16 車両情報取得部
18,18A 変調付加部
20 音量調整部
22,32,32A 加算器
24 出力部
28 ゲイン調整部
30 乗算器
34 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13