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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150241
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 47/02 20060101AFI20231005BHJP
   F24F 11/41 20180101ALI20231005BHJP
【FI】
F25B47/02 550G
F24F11/41 250
F24F11/41 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059242
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣崎 佑
(72)【発明者】
【氏名】仲田 昇平
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA36
3L260CB14
3L260CB15
3L260EA07
(57)【要約】
【課題】消費電力の増加を最小限に抑えつつ、室外熱交換器を短時間で除霜する。
【解決手段】空気調和機1の制御装置は、除霜運転を実行するとき、圧縮機11から吐出された冷媒を室外熱交換器14に供給するように流路を切り替える四方弁12を制御し、暖房運転が実行されている最中に除霜運転の実行が必要であるか否かを判定し、吐出温度が吐出温度閾値より低いときに、除霜運転を実行する前に膨張弁15の開度を小さくし、吐出温度が吐出温度閾値より低いときで、かつ、圧縮機11に吸入される冷媒の圧力である蒸発圧力が蒸発圧力閾値より低いときに、除霜運転を実行する前に圧縮機11が加熱されるようにクランクケースヒータ41を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と四方弁と利用側熱交換器と膨張弁と室外熱交換器とが順に接続される冷媒回路と、
前記圧縮機から吐出された冷媒の温度である吐出温度を測定する吐出温度センサと、
前記圧縮機を加熱するヒータと、
前記膨張弁と前記四方弁と前記ヒータとを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
除霜運転を実行するとき、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器に供給するように流路を切り替える前記四方弁を制御し、
暖房運転が実行されている最中に前記除霜運転の実行が必要であるか否かを判定し、
前記吐出温度が第1閾値より低いときに、前記除霜運転を実行する前に、前記膨張弁の開度を小さくし、
前記吐出温度が前記第1閾値より低いときで、かつ、前記圧縮機に吸入される冷媒の圧力である蒸発圧力が第2閾値より低いときに、前記除霜運転を実行する前に、前記圧縮機が加熱されるように前記ヒータを制御する、
空気調和機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ヒータが前記圧縮機を加熱する前に、前記膨張弁の開度を小さくする
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記除霜運転を実行する前に、前記圧縮機が加熱されるように、前記ヒータを制御する
請求項1または請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
室内機と室外機とを循環する他の熱媒体と室内の空気とを熱交換する室内熱交換器をさらに備え、
前記利用側熱交換器は、前記冷媒と前記他の熱媒体とを熱交換する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
暖房運転中に室外熱交換器が着霜したときに、暖房運転を一時的に停止して、室外熱交換器を凝縮器として機能させることで室外熱交換器を除霜させる除霜運転を行う空気調和機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-170096号公報
【特許文献2】国際公開第2018/179137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該除霜運転では、冷媒回路における圧縮機や熱交換器などに蓄熱された熱が除霜に用いられる。そのため、空気調和機は、暖房運転中における圧縮機から吐出される吐出冷媒の温度(吐出温度)が高いほど除霜運転に要する時間が短くなる。一方、暖房運転中の吐出温度が低いほど除霜運転に要する時間が長くなり、暖房運転が中断される時間が長くなるため使用者の快適性が低下する。従来、吐出冷媒の温度が低いときに圧縮機をヒータで加熱する空気調和機が知られている(特許文献2)。これによれば、圧縮機から吐出される冷媒の温度を上げることで、除霜運転に要する時間を短縮させることができる。しかしながら、吐出温度が閾値より低い場合は必ずヒータを動作させることになるため、消費電力が増加してしまう。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、消費電力の増加を最小限に抑えつつ、室外熱交換器を短時間で除霜する空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による空気調和機は、圧縮機と四方弁と利用側熱交換器と膨張弁と室外熱交換器とが順に接続される冷媒回路と、前記圧縮機から吐出された冷媒の温度である吐出温度を測定する吐出温度センサと、前記圧縮機を加熱するヒータと、前記膨張弁と前記四方弁と前記ヒータを制御する制御装置を備え、前記制御装置は、除霜運転を実行するとき、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器に供給するように流路を切り替える四方弁を制御し、前記暖房運転が実行されている最中に前記除霜運転の実行が必要であるか否かを判定し、前記吐出温度が第1閾値より低いときに、前記除霜運転を実行する前に、前記膨張弁の開度を小さくし、前記吐出温度が前記第1閾値より低いときで、かつ、前記圧縮機に吸入される冷媒の圧力である蒸発圧力が第2閾値より低いときに、前記除霜運転を実行する前に、前記圧縮機が加熱されるように前記ヒータを制御する。
【発明の効果】
【0007】
開示の空気調和機は、消費電力の増加を最小限に抑えつつ、室外熱交換器を短時間で除霜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の空気調和機を示す回路図である。
図2図2は、実施例1の空気調和機を示すブロック図である。
図3図3は、除霜準備動作を示すフローチャートである。
図4図4は、実施例2の空気調和機を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる空気調和機について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例0010】
図1は、実施例1の空気調和機1を示す回路図である。空気調和機1は、室外機2と室内機3とを備えている。室外機2は、屋外に設置されている。室内機3は、空気調和機1により冷暖房される室内に設置されている。空気調和機1は、冷媒回路5と水回路6とをさらに備えている。冷媒回路5は、室外機2の内部に配置されている。冷媒回路5は、圧縮機11と四方弁12と室外熱交換器14と膨張弁15と中間熱交換器16(利用側熱交換器)とを備えている。
【0011】
圧縮機11は、吸入管17と吐出管18とを備えている。圧縮機11は、吸入管17を介して供給される気相冷媒を圧縮し、圧縮された気相冷媒を吐出管18に吐出する。圧縮機11の内部には、冷凍機油が貯留されている。冷凍機油は、圧縮機11を潤滑し、圧縮機11に摩耗、焼き付きが発生することを防止する。
【0012】
四方弁12は、第1接続口121と第2接続口122と第3接続口123と第4接続口124とを備えている。第1接続口121は、吸入管17に接続され、吸入管17を介して圧縮機11に接続されている。第2接続口122は、吐出管18に接続され、吐出管18を介して圧縮機11に接続されている。第3接続口123は、室外熱交換器14に接続されている。第4接続口124は、中間熱交換器16に接続されている。四方弁12は、暖房位置または冷房位置に切り替えられる。四方弁12が暖房位置に切り替えられているときに、第2接続口122は、第4接続口124に接続され、第3接続口123は、第1接続口121に接続される。四方弁12が冷房位置に切り替えられているときに、第2接続口122は、第3接続口123に接続され、第4接続口124は、第1接続口121に接続される。
【0013】
室外熱交換器14は、膨張弁15に接続されている。中間熱交換器16は、膨張弁15に接続されている。膨張弁15は、膨張弁15を通過する冷媒の流量を開度に応じて調節する。すなわち、膨張弁15は、室外熱交換器14が凝縮器として機能しているときに、室外熱交換器14から中間熱交換器16に流れる冷媒の流量を開度に応じて調節し、室外熱交換器14から供給された高温高圧の液相冷媒を開度に応じて減圧させる。膨張弁15は、中間熱交換器16が凝縮器として機能しているときに、中間熱交換器16から室外熱交換器14に流れる冷媒の流量を開度に応じて調節し、中間熱交換器16から供給された高温高圧の液相冷媒を開度に応じて減圧させる。
【0014】
水回路6は、ポンプ21と室内熱交換器22と中間熱交換器16とを備えている。ポンプ21は、室外機2の内部に配置されている。ポンプ21は、中間熱交換器16に接続され、室内熱交換器22に接続されている。ポンプ21は、中間熱交換器16から供給される水を室内熱交換器22に供給することで水回路6に水を循環させる。なお、水回路6には、水と異なる他の熱媒体が循環されることもできる。熱媒体としては、不凍液が例示される。室内熱交換器22は、室内機3の内部に配置されている。室内熱交換器22は、中間熱交換器16に接続されている。
【0015】
空気調和機1は、吐出温度センサ31と熱交温度センサ32と蒸発圧力センサ33とを備えている。吐出温度センサ31は、吐出管18のうちの圧縮機11の近傍に設けられ、圧縮機11から吐出される高温高圧の気相冷媒の温度を測定する。熱交温度センサ32は、室外熱交換器14の近傍に設けられ、室外熱交換器14の温度を測定する。蒸発圧力センサ33は、吸入管17に設けられ、圧縮機11に吸入される低温低圧の気相冷媒の圧力を測定する。すなわち、蒸発圧力センサ33により測定される圧力は、中間熱交換器16が蒸発器として機能しているときに、中間熱交換器16を流れる冷媒の圧力に等しく、室外熱交換器14が蒸発器として機能しているときに、室外熱交換器14を流れる冷媒の圧力に等しい。
【0016】
図2は、実施例1の空気調和機1を示すブロック図である。空気調和機1は、クランクケースヒータ41と室外ファンモータ42と制御装置43とをさらに備えている。クランクケースヒータ41は、圧縮機11の外周に巻き付けられ、圧縮機11の外殻を形成する容器を加熱し、圧縮機11の内部に貯留される冷媒と冷凍機油とを加熱する。
【0017】
室外ファンモータ42は、室外機2の内部に配置されている。空気調和機1は、図示されていない室外ファンをさらに備えている。室外ファンは、室外機2の内部に配置されている。室外ファンは、室外ファンモータ42により回転され、室外熱交換器14に外気が熱的に接触するように、外気を送風する。室外ファンモータ42は、制御装置43に制御され、外気が室外熱交換器14の内部を通過して外気が室外熱交換器14に熱的に接触するように、室外ファンを回転させる。室外熱交換器14を外気が通過する負荷(通風抵抗)は、室外熱交換器14が着霜したときに、増加する。室外ファンモータ42が室外ファンを回転させるときに消費する入力電力は、室外熱交換器14を外気が通過する負荷(通風抵抗)が増加することにより、増加する。
【0018】
制御装置43は、コンピュータであり、記憶装置44とCPU45(Central Processing Unit)とを備えている。記憶装置44には、制御装置43にインストールされるコンピュータプログラムが記録され、CPU45により利用される情報が記録される。CPU45は、制御装置43にインストールされるコンピュータプログラムを実行することにより、情報処理し、記憶装置44を制御する。CPU45は、さらに、圧縮機11と四方弁12と膨張弁15とポンプ21と吐出温度センサ31と熱交温度センサ32と蒸発圧力センサ33とクランクケースヒータ41と室外ファンモータ42とを制御する。記憶装置44には、吐出温度閾値(第1閾値)と蒸発圧力閾値(第2閾値)とが記録されている。
【0019】
空気調和機1が実行する動作は、冷房運転と暖房運転と除霜準備動作と除霜運転と冷媒寝込み対策運転とを含んでいる。
【0020】
[冷房運転]
冷房運転は、たとえば、空気調和機1がユーザにより操作されたときに実行される。制御装置43は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、四方弁12を制御し、四方弁12を冷房位置に切り替える。制御装置43は、圧縮機11を制御し、吸入管17を介して供給された低温低圧の気相冷媒を圧縮する。低温低圧の気相冷媒は、圧縮機11により圧縮され、高温高圧の気相冷媒に状態変化する。圧縮機11は、さらに、高温高圧の気相冷媒を吐出管18に吐出する。四方弁12は、冷房位置に切り替えられていることにより、吐出管18に吐出された高温高圧の気相冷媒を室外熱交換器14に供給する。
【0021】
室外熱交換器14は、四方弁12から供給された高温高圧の気相冷媒と外気とを熱交換し、高温高圧の気相冷媒を冷却し、外気を加熱する。高温高圧の気相冷媒は、室外熱交換器14に冷却され、過冷却状態の高温高圧の液相冷媒に状態変化する。すなわち、室外熱交換器14は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。高温高圧の液相冷媒は、膨張弁15に供給される。
【0022】
膨張弁15は、室外熱交換器14から中間熱交換器16に流れる冷媒の流量を調節し、室外熱交換器14から供給された高温高圧の液相冷媒を減圧させる。高温高圧の液相冷媒は、膨張弁15に減圧され、低温低圧の気液二相冷媒に状態変化する。低温低圧の気液二相冷媒は、中間熱交換器16に供給される。
【0023】
中間熱交換器16は、膨張弁15から供給された低温低圧の気液二相冷媒と、水回路6を循環する水とを熱交換し、水を冷却し、低温低圧の気液二相冷媒を加熱する。低温低圧の気液二相冷媒は、中間熱交換器16に加熱され、低温低圧の気相冷媒に状態変化する。すなわち、中間熱交換器16は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。低温低圧の気相冷媒は、四方弁12に供給される。四方弁12は、冷房位置に切り替えられていることにより、中間熱交換器16から供給された低温低圧の気相冷媒を、吸入管17を介して圧縮機11に供給する。
【0024】
制御装置43は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、ポンプ21を制御し、中間熱交換器16からポンプ21に供給された水を室内熱交換器22に供給することで水が水回路6を循環する。室内熱交換器22は、ポンプ21から供給された水と、室内機3が設置された室内の空気とを熱交換し、水を加熱し、室内の空気を冷却する。室内熱交換器22により加熱された水は、中間熱交換器16に供給される。室内機3は、室内熱交換器22が室内の空気を冷却することにより、室内を冷房する。
【0025】
[暖房運転]
暖房運転は、たとえば、空気調和機1がユーザにより操作されたときに実行される。制御装置43は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、四方弁12を制御し、四方弁12を暖房位置に切り替える。制御装置43は、圧縮機11を制御し、吸入管17を介して供給された低温低圧の気相冷媒を圧縮する。低温低圧の気相冷媒は、圧縮機11により圧縮され、高温高圧の気相冷媒に状態変化する。圧縮機11は、さらに、高温高圧の気相冷媒を吐出管18に吐出する。四方弁12は、暖房位置に切り替えられていることにより、吐出管18に吐出された高温高圧の気相冷媒を中間熱交換器16に供給する。
【0026】
中間熱交換器16は、四方弁12から供給された高温高圧の気相冷媒と、水回路6を循環する水とを熱交換し、高温高圧の気相冷媒を冷却し、水を加熱する。高温高圧の気相冷媒は、中間熱交換器16に冷却され、過冷却状態の高温高圧の液相冷媒に状態変化する。すなわち、中間熱交換器16は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。高温高圧の液相冷媒は、膨張弁15に供給される。
【0027】
膨張弁15は、中間熱交換器16から室外熱交換器14に流れる冷媒の流量を調節し、中間熱交換器16から供給された高温高圧の液相冷媒を減圧させる。高温高圧の液相冷媒は、膨張弁15に減圧され、低温低圧の気液二相冷媒に状態変化する。低温低圧の気液二相冷媒は、室外熱交換器14に供給される。
【0028】
室外熱交換器14は、膨張弁15から供給された低温低圧の気液二相冷媒と外気とを熱交換し、外気を冷却し、低温低圧の気液二相冷媒を加熱する。低温低圧の気液二相冷媒は、室外熱交換器14に加熱され、低温低圧の気相冷媒に状態変化する。すなわち、室外熱交換器14は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。低温低圧の気相冷媒は、四方弁12に供給される。四方弁12は、暖房位置に切り替えられていることにより、室外熱交換器14から供給された低温低圧の気相冷媒を、吸入管17を介して圧縮機11に供給する。
【0029】
制御装置43は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、ポンプ21を制御し、室外熱交換器14からポンプ21に供給された水を室内熱交換器22に供給することで水が水回路6を循環する。室内熱交換器22は、ポンプ21から供給された水と、室内機3が設置された室内の空気とを熱交換し、水を冷却し、室内の空気を加熱する。室内熱交換器22により冷却された水は、室外熱交換器14に供給される。室内機3は、室内熱交換器22が室内の空気を加熱することにより、室内を暖房する。
【0030】
室外熱交換器14は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、室外熱交換器14を通過する冷媒により冷却され、結露することがあり、着霜することがある。
【0031】
[除霜準備動作]
除霜準備動作は、暖房運転中に、暖房運転に並行して実行される。図3は、除霜準備動作を示すフローチャートである。制御装置43は、熱交温度センサ32を用いて室外熱交換器14の温度を測定する。暖房運転中に、除霜運転が必要な状態になっているか否か、もしくは除霜運転が必要な状態になりそうか否かを判断するため、制御装置43は、室外熱交換器14の温度が所定温度(例えば、-2℃)以下であるか否か、つまり、室外熱交換器14が着霜しつつあるか否かを判定し、室外熱交換器14除霜運転の要否を判定する(ステップS1)。
【0032】
制御装置43は、室外熱交換器14の温度が所定温度以下、つまり、除霜運転が必要であると判定されたときに(ステップS1、Yes)、吐出温度センサ31を用いて吐出温度を測定し、吐出温度が温度閾値より低いか否かを判定する(ステップS2)。吐出温度は、圧縮機11から吐出される高温高圧の気相冷媒の温度を示している。制御装置43は、記憶装置44に記録されている吐出温度閾値より吐出温度が低いときに(ステップS2、Yes)、膨張弁15を制御し、膨張弁15の開度を所定の制御量(固定値)だけ絞る(ステップS3)。吐出温度閾値は冷媒の種類により異なる値が設定され、除霜運転の所要時間が許容できる範囲(例えば15分)となる吐出温度が予め試験等によって求められる。膨張弁15の開度が絞られることにより、室外熱交換器14に供給される低温低圧の気液二相冷媒の流量は、低下し、圧縮機11に供給される低温低圧の気相冷媒の圧力は、低下する。吐出温度が吐出温度閾値以上となるまで繰り返し膨張弁15の開度を絞る制御を行う場合があるため、一度で過度に絞り過ぎないようにする必要があり、前述の所定の制御量は小さい値が設定される。圧縮機11に供給される低温低圧の気相冷媒の過熱度は、室外熱交換器14に供給される低温低圧の気液二相冷媒の流量が減少することにより、上昇する。吐出温度は、低温低圧の気相冷媒の過熱度が上昇することにより、上昇する。
【0033】
制御装置43は、膨張弁15の開度が絞られた後に、蒸発圧力センサ33を用いて蒸発圧力を測定する(ステップS4)。制御装置43は、記憶装置44に記録されている蒸発圧力閾値より蒸発圧力が小さくないときに(ステップS4、No)、ステップS2~S4の処理を繰り返し実行する。すなわち、制御装置43は、蒸発圧力が蒸発圧力閾値より小さくないときに、吐出温度センサ31を用いて吐出温度を測定し、吐出温度が吐出温度閾値より低いときに、再度、膨張弁15の開度を絞る。蒸発圧力閾値は、推奨される圧縮機11の使用圧力範囲の下限に基づいて設定される。膨張弁15の開度を絞ることによって蒸発圧力も低下する。蒸発圧力が蒸発圧力閾値より小さくなければ、更に膨張弁15を絞っても信頼性への影響は少ない。
【0034】
制御装置43は、蒸発圧力が蒸発圧力閾値より小さくなったときに(ステップS4、Yes)、クランクケースヒータ41を制御し、圧縮機11を加熱する(ステップS5)。膨張弁15の開度を絞ることによって蒸発圧力も低下する。蒸蒸発圧力が蒸発圧力閾値より小さいと、更に膨張弁15を絞ると信頼性が低下する。そのため、クランクケースヒータ41を制御して圧縮機11を加熱することで吐出温度を上昇させる。
【0035】
制御装置43は、圧縮機11が加熱された後に、蒸発圧力センサ33を用いて蒸発圧力を測定する(ステップS6)。制御装置43は、蒸発圧力が蒸発圧力閾値より小さいときに(ステップS6、Yes)、依然として信頼性が低下する恐れがあると判断されるので、クランクケースヒータ41を用いて圧縮機11を継続して加熱する(ステップS5)。制御装置43は、蒸発圧力が蒸発圧力閾値より小さくないときに(ステップS6、No)、信頼性への影響は少なくなったと判断されるので、クランクケースヒータ41による圧縮機11の加熱を停止する(ステップS7)。制御装置43は、圧縮機11の加熱が停止された後に、吐出温度センサ31を用いて吐出温度を測定する(ステップS8)。制御装置43は、記憶装置44に記録されている吐出温度閾値より吐出温度が低いときに(ステップS8、Yes)、ステップS3~S7の処理を繰り返し実行する。吐出温度が吐出温度閾値より低くないときに(ステップS2、No)(ステップS8、No)、暖房運転が継続して実行される。
【0036】
空気調和機1は、暖房運転が実行されている最中に除霜準備動作が実行されることにより、暖房運転が実行されている最中に、吐出温度を吐出温度閾値より高くすることができる。空気調和機1は、膨張弁15の開度が絞られても吐出温度が吐出温度閾値より高くならないときに、クランクケースヒータ41が圧縮機11を加熱することにより、吐出温度を確実に吐出温度閾値より高くすることができる。
【0037】
[除霜運転]
除霜運転は、除霜運転が必要な状態になっているか否か、もしくは除霜運転が必要な状態と判定されたときに、暖房運転の後に実行される。制御装置43は、空気調和機1が除霜運転を実行するときに、四方弁12を制御し、四方弁12を冷房位置に切り替える。制御装置43は、圧縮機11を制御し、吸入管17を介して供給された低温低圧の気相冷媒を圧縮する。低温低圧の気相冷媒は、圧縮機11により圧縮され、高温高圧の気相冷媒に状態変化する。圧縮機11は、さらに、高温高圧の気相冷媒を吐出管18に吐出する。四方弁12は、冷房位置に切り替えられていることにより、吐出管18に吐出された高温高圧の気相冷媒を室外熱交換器14に供給する。
【0038】
室外熱交換器14は、四方弁12から供給された高温高圧の気相冷媒と、室外熱交換器14に着霜した霜とを熱交換し、高温高圧の気相冷媒を冷却し、霜を加熱する。高温高圧の気相冷媒は、室外熱交換器14に冷却され、過冷却状態の高温高圧の液相冷媒に状態変化する。すなわち、室外熱交換器14は、空気調和機1が除霜運転を実行するときに、凝縮器として機能する。高温高圧の液相冷媒は、膨張弁15に供給される。室外熱交換器14に着霜した霜は、加熱され、融解する。室外熱交換器14は、霜が融解することにより、除霜される。
【0039】
膨張弁15は、室外熱交換器14から中間熱交換器16に流れる冷媒の流量を調節し、室外熱交換器14から供給された高温高圧の液相冷媒を減圧させる。高温高圧の液相冷媒は、膨張弁15に減圧され、低温低圧の気液二相冷媒に状態変化する。低温低圧の気液二相冷媒は、中間熱交換器16に供給される。
【0040】
中間熱交換器16は、膨張弁15から供給された低温低圧の気液二相冷媒と、水回路6を循環する水とを熱交換し、水を冷却し、低温低圧の気液二相冷媒を加熱する。低温低圧の気液二相冷媒は、中間熱交換器16に加熱され、低温低圧の気相冷媒に状態変化する。すなわち、中間熱交換器16は、空気調和機1が除霜運転を実行するときに、蒸発器として機能する。低温低圧の気相冷媒は、四方弁12に供給される。四方弁12は、冷房位置に切り替えられていることにより、中間熱交換器16から供給された低温低圧の気相冷媒を、吸入管17を介して圧縮機11に供給する。
【0041】
吐出温度は、冷媒回路5を循環する冷媒として冷媒R290が利用されるときに、他の冷媒(たとえば、冷媒R32)が冷媒回路5を循環するときと比較して、低くなることがある。室外熱交換器14に着霜した霜は、吐出温度が低いときに、融けにくく、室外熱交換器14に着霜した霜が融解する時間は、吐出温度が低いときに、長時間化することがある。空気調和機1は、暖房運転が実行される最中に除霜準備動作が実行されることにより、冷媒R290が冷媒として利用される場合でも、吐出温度を吐出温度閾値より高くすることができる。空気調和機1は、吐出温度が高いことにより、室外熱交換器14に着霜した霜を短時間に融解させることができ、除霜運転に要する時間(除霜時間)を短縮することができる。空気調和機1は、除霜時間が短縮されることにより、暖房運転が中断される時間を短縮することができ、除霜運転による快適性の低下を抑制することができる。
【0042】
[冷媒寝込み対策運転]
冷媒寝込み対策運転は、空気調和機1が長期間運転されなかったときに実行される。制御装置43は、空気調和機1が長期間運転されなかったときに、クランクケースヒータ41を制御して、圧縮機11を加熱する。圧縮機11が加熱されることにより、圧縮機11に貯留されている冷凍機油は、加熱され、冷凍機油の温度は、上昇する。冷凍機油に溶解されている冷媒は、冷凍機油の温度が上昇することにより、冷凍機油から放出される。
【0043】
圧縮機11に貯留されている冷凍機油は、空気調和機1が長期間運転されなかったときに、外気に冷やされて低温になることがある。冷媒回路5を循環する冷媒は、圧縮機11に貯留されている冷凍機油が低温になったときに、冷媒が冷凍機油に溶け込む冷媒寝込みが発生することがある。冷凍機油の潤滑性能は、冷凍機油が冷媒に希釈されることにより、低下する。冷凍機油の潤滑性能は、冷凍機油に溶解されている冷媒が冷凍機油から放出されることにより、向上する。空気調和機1は、冷媒寝込み対策運転が実行されることにより、冷媒寝込みによる冷凍機油の潤滑性能の低下を解消し、圧縮機11を適切に潤滑することができ、圧縮機11の摩耗、焼き付きを適切に防止することができる。空気調和機1は、除霜準備動作で圧縮機11を加熱するヒータが、冷媒寝込み対策運転で圧縮機11を加熱するクランクケースヒータ41と兼用されている。このため、空気調和機1は、除霜準備動作で圧縮機11を加熱するヒータがクランクケースヒータ41と別個に設けられる必要がなく、部品点数を低減し、製造コストを低減することができる。
【0044】
[実施例1の空気調和機1の効果]
実施例1の空気調和機1は、圧縮機11と膨張弁15と四方弁12と吐出温度センサ31とクランクケースヒータ41と制御装置43を備えている。圧縮機11は、吸入冷媒を圧縮して吐出冷媒を吐出する。膨張弁15は、中間熱交換器16と室外熱交換器14とを接続する経路の途中に設けられて開度に応じて冷媒を減圧する。四方弁12は、暖房運転を実行するとき吸入冷媒を室外熱交換器14から圧縮機11に供給して吐出冷媒を中間熱交換器16に供給するように流路を切り替える。四方弁12は、除霜運転を実行するとき吸入冷媒を中間熱交換器16から圧縮機11に供給し吐出冷媒を室外熱交換器14に供給するように流路を切り替える。吐出温度センサ31は、吐出冷媒の温度である吐出温度を測定する。制御装置43は、暖房運転が実行されている最中に除霜運転の実行が必要であるか否かを判定する。制御装置43は、さらに、吐出温度が吐出温度閾値より低いときに、除霜運転を実行する前に、膨張弁15の開度を小さくする。制御装置43は、さらに、吐出温度が吐出温度閾値より低いときで、かつ、吸入冷媒の蒸発圧力が蒸発圧力閾値より低いときに、除霜運転を実行する前に、圧縮機11が加熱されるようにクランクケースヒータ41を制御する。
【0045】
実施例1の空気調和機1は、除霜運転が実行される前の暖房運転を実行している最中に除霜準備動作を行うことにより、吐出温度を高くすることができる。実施例1の空気調和機1は、吐出温度が高いことにより、室外熱交換器14を高温に加熱することができ、室外熱交換器14に着霜した霜を短時間に融かすことができ、除霜時間を短縮することができる。実施例1の空気調和機1は、除霜時間が短縮されることにより、暖房運転が中断される時間を短縮することができ、暖房運転時に快適性の低下を抑制することができる。
【0046】
また、実施例1の空気調和機1の制御装置43は、クランクケースヒータ41が圧縮機11を加熱する前に、膨張弁15の開度を小さくする。実施例1の空気調和機1は、圧縮機11の加熱より膨張弁15の開度を優先して絞ることにより、吐出温度を上昇させるときに消費される電力の上昇を抑制することができる。
【0047】
また、実施例1の空気調和機1の制御装置43は、冷媒寝込み対策用のクランクケースヒータ41を用いて除霜運転が実行される前に圧縮機11を加熱する。実施例1の空気調和機1は、吐出温度を上昇させるために圧縮機11を加熱するヒータをクランクケースヒータ41と別個に備える必要がなく、部品点数を低減することができ、製造コストを低減することができる。
【実施例0048】
図4は、実施例2の空気調和機51を示す回路図である。実施例2の空気調和機51は、既述の実施例1の空気調和機1の中間熱交換器16が室内熱交換器52に置換され、水回路6が省略され、他の部分は、既述の実施例1の空気調和機1と同じである。室内熱交換器52は、室内機3の内部に配置されている。
【0049】
制御装置43は、空気調和機51が冷房運転を実行するときに、既述の実施例1の空気調和機1が冷房運転を実行するときと同様に、圧縮機11と四方弁12とを制御する。空気調和機51は、冷房運転が実行されるときに、室内熱交換器52が室内の空気と冷媒とを熱交換することにより、室内を冷房する。制御装置43は、空気調和機51が暖房運転を実行するときに、既述の実施例1の空気調和機1が暖房運転を実行するときと同様に、圧縮機11と四方弁12とを制御する。空気調和機51は、暖房運転が実行されるときに、室内熱交換器52が室内の空気と冷媒とを熱交換することにより、室内を暖房する。
【0050】
制御装置43は、空気調和機51が除霜準備動作を実行するときに、既述の実施例1の空気調和機1が除霜準備動作を実行するときと同様に、圧縮機11と四方弁12と膨張弁15とクランクケースヒータ41とを制御する。空気調和機51は、除霜準備動作が実行されるときに、膨張弁15の開度が絞られたり、クランクケースヒータ41が圧縮機11を加熱したりすることにより、吐出温度を吐出温度閾値より高くする。制御装置43は、空気調和機51が除霜運転を実行するときに、既述の実施例1の空気調和機1が除霜運転を実行するときと同様に、圧縮機11と四方弁12とを制御する。空気調和機51は、除霜運転が実行されるときに、室外熱交換器14が冷媒と、室外熱交換器14に着霜した霜とを交換することにより、霜を溶かし、室外熱交換器14を除霜する。空気調和機51は、除霜運転が実行される前の暖房運転を実行している最中に、除霜準備動作が実行され、吐出温度を高くすることができる。
【0051】
空気調和機51は、暖房運転時のうちの除霜運転が実行される前に除霜準備動作が実行されていることにより、除霜運転時に吐出温度を高くすることができる。空気調和機51は、除霜運転時に吐出温度が高いことにより、室外熱交換器14を高温に加熱することができ、室外熱交換器14に着霜した霜を短時間に融かすことができ、除霜運転に要する時間を短縮することができる。空気調和機51は、除霜時間が短縮されることにより、暖房運転が中断される時間を短縮することができ、暖房運転時に快適性の低下を抑制することができる。すなわち、水回路6が省略された場合でも、空気調和機51は、既述の実施例1の空気調和機1と同様に、除霜運転の前の暖房運転時に吐出温度を上昇させることができる。
【0052】
ところで、既述の実施例の空気調和機では、室外熱交換器14の温度変化に基づいて除霜運転の要否が判定されているが、室外熱交換器14の温度変化と異なる他の情報に基づいて除霜運転の要否を判定してもよい。室外熱交換器14を外気が通過する負荷は、室外熱交換器14が着霜したときに増加し、室外ファンモータ42が消費する電力は、室外熱交換器14を外気が通過する負荷が増加することにより、増加する。このため、制御装置43は、室外ファンモータ42が消費する電力の変化に基づいて室外熱交換器14が着霜しているか否かを判定することができる。すなわち、制御装置43は、室外ファンモータ42が消費する電力の変化に基づいて、室外熱交換器14が着霜しているか否かを判定し、除霜運転の要否を判定してもよい。このように除霜運転の要否が判定された場合でも、空気調和機は、既述の実施例の空気調和機と同様に、除霜運転の前の暖房運転時に吐出温度を上昇させることができ、室外熱交換器14を短時間で除霜することができる。
【0053】
ところで、既述の実施例の空気調和機では、蒸発圧力センサ33を用いて蒸発圧力を測定しているが、蒸発圧力センサ33と異なる他の手段を用いて蒸発圧力を推測してもよい。たとえば、制御装置43は、熱交温度センサ32により測定された熱交温度に基づいて蒸発圧力を算出してもよい。このように蒸発圧力が算出された場合でも、空気調和機は、既述の実施例の空気調和機と同様に、除霜運転の前の暖房運転時に吐出温度を上昇させることができ、室外熱交換器14を短時間で除霜することができる。
【0054】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0055】
1 :空気調和機
5 :冷媒回路
6 :水回路
11:圧縮機
12:四方弁
14:室外熱交換器
15:膨張弁
16:中間熱交換器
21:ポンプ
22:室内熱交換器
31:吐出温度センサ
32:熱交温度センサ
33:蒸発圧力センサ
41:クランクケースヒータ
42:室外ファンモータ
43:制御装置
51:空気調和機
52:室内熱交換器
図1
図2
図3
図4