(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150260
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】通信装置、スマートキー装置、スマートキーシステムおよび通信方法
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20231005BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20231005BHJP
【FI】
E05B49/00 J
B60R25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059277
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 浩行
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250BB36
2E250CC09
2E250DD06
2E250FF23
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
(57)【要約】
【課題】不要な通信処理が行われることを抑制することができる通信装置、スマートキー装置、スマートキーシステムおよび通信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】実施形態の一態様に係る通信装置においては、コントローラを有する。コントローラは、通信装置における振動が検知された場合に、通信対象装置との通信処理を実行可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラを有する通信装置であって、
前記コントローラは、
前記通信装置における振動が検知された場合に、通信対象装置との通信処理を実行可能にする、
通信装置。
【請求項2】
前記通信装置における振動により発電し、前記通信装置に電力を供給する振動発電機
を備え、
前記コントローラは、
前記振動発電機の発電状態に基づいて前記振動を検知する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信処理の実行を指示するユーザ操作を受け付ける複数の操作部と、
前記振動発電機の発電した電力を蓄電する蓄電器と、
前記複数の操作部の操作に応じてオン状態となり、前記振動発電機と前記蓄電器とを接続して前記蓄電器を充電状態にする連携スイッチと
を備え、
前記蓄電器から前記通信装置に電力が供給される、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記蓄電器と前記連携スイッチとは、前記複数の操作部にそれぞれ対応して設けられている、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記蓄電器には、予め定めた時定数の放電回路が接続されている、
請求項3または4に記載の通信装置。
【請求項6】
車両へ動作指示信号を無線で送信するスマートキー装置において、
前記スマートキー装置の振動を動力源として電力供給を行う振動発電機と、
前記振動発電機による発電電力を用いて車両へ動作指示信号を送信する通信制御装置と
を備えるスマートキー装置。
【請求項7】
車両から供給される電力を受電する受電部
をさらに備え、
前記通信制御装置は、
車両の駆動を継続するために継続して送信される指示信号については、前記受電部で受電された電力を用いて送信する、
請求項6に記載のスマートキー装置。
【請求項8】
携帯用のスマートキー装置と、車両に設置された車載装置とを含むスマートキーシステムにおいて、
前記車載装置は、車両コントローラを有し、
前記車両コントローラは、
車両に設置された車両側操作部の操作状態を検出し、
前記スマートキー装置とのデータ通信状況と前記車両側操作部の操作状態とに応じて、車両の制御を行い、
前記スマートキー装置は、コントローラを有し、
前記コントローラは、
前記スマートキー装置における振動が検知された場合に、前記車載装置との通信処理を実行可能にする、
スマートキーシステム。
【請求項9】
携帯用のスマートキー装置と、車両に設置された車載装置とを含むスマートキーシステムにおいて、
前記車載装置は、
車両に設置された車両側操作部の操作状態を検出する車両側操作検出部と、
前記スマートキー装置とのデータ通信状況と前記車両側操作検出部による検出内容とに応じて車両の制御を行う車両コントローラと
を備え、
前記スマートキー装置は、
前記スマートキー装置の振動により発電する振動発電機と、
前記振動発電機により発電された電力で前記車載装置との通信を行う通信制御装置と
を備えるスマートキーシステム。
【請求項10】
通信装置の通信方法であって、
前記通信装置における振動を検知し、
前記通信装置における振動が検知された場合に、通信対象装置との通信処理を実行可能にする、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、スマートキー装置、スマートキーシステムおよび通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両のユーザが所持するスマートキーなどの通信装置と車両とが通信することで、車両の施錠や解錠、車両の起動などを可能にする技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術に係るスマートキーなどの通信装置においては、通信用の電波を発信する通信処理が常時(間欠的に継続してを含む)実行されている。しかしながら、このように通信処理が常時実行されるように構成すると、例えば通信が必要ないとき、言い換えると、通信が不要なときでも通信処理が行われることとなり、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、不要な通信処理が行われることを抑制することができる通信装置、スマートキー装置、スマートキーシステムおよび通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、通信装置において、コントローラを有する。前記コントローラは、前記通信装置における振動が検知された場合に、通信対象装置との通信処理を実行可能にする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不要な通信処理が行われることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る通信方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、スマートキーの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、通信制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、車両の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、スマートキーが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係るスマートキーの構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係るスマートキーの構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第4の実施形態に係るスマートキーの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する通信装置、スマートキー装置、スマートキーシステムおよび通信方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
<通信装置による通信方法の概要>
以下では先ず、第1の実施形態に係る通信装置による通信方法の概要について
図1を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る通信方法の概要を示す図である。
【0011】
以下では、第1の実施形態に係る通信システム1が、車両Cの通信システムに適用される場合を例に挙げて説明する。なお、本実施形態における車両Cの通信システムは、車両CのユーザUが所持する通信装置10(いわゆる、スマートキー)と、車両Cに搭載された車両制御装置100とが無線通信することで、エンジンキーを車両Cのキーシリンダに差し込むことなく、車両Cの施錠や解錠、ドアの開閉、車両Cの起動などを可能にするスマートキーシステムである。
【0012】
具体的に説明すると、
図1に示すように、第1の実施形態に係る通信システム1は、通信装置10と、車両制御装置100とを備える。
【0013】
通信装置10は、車両制御装置100などと通信する装置であり、具体的には車両CのユーザUに所持(携帯)される、携帯用のスマートキー装置である。なお、以下では、通信装置10を「スマートキー10」と記載する場合がある。また、スマートキー10は、リモートキーやワイヤレスキーなどとも呼ばれ、車両Cへ動作指示信号を無線で送信する。
【0014】
スマートキー10は、操作部20を備える。操作部20は、車両制御装置100に対する通信処理の実行を指示するユーザ操作を受け付ける。操作部20に対して指示される通信処理の内容の例は、上記したように、車両Cの施錠や解錠、ドアの開閉、車両Cの起動などの指示信号を送信する等の処理であるが、これらは例示であって限定されるものではない。なお、スマートキー10の詳細な構成については、
図2等を参照して後述する。
【0015】
車両制御装置100は、車両Cに搭載される。車両制御装置100は、例えば車両Cのドア、駆動源(エンジンや電動モータ)などを制御する。なお、車両制御装置100は、スマートキー10と通信を行い、スマートキー10からの指示信号に応じた処理(例えば、施錠処理)、またスマートキー10に車両状態(例えば、ドアの施錠状態等)を示す情報を送信する処理等を行う。
【0016】
また、スマートキーシステム(通信システム1)によっては、車両Cに設置された操作スイッチが操作されると車載機(車両制御装置100)がスマートキー10に当該操作に応じた信号を近距離無線で送信し、そして当該信号を受信したスマートキー10がスマートキー10の識別信号等を車載機に送信して、識別信号が一致すると、つまり正当なユーザU(正当なスマートキー10を持って、車両近辺に存在するユーザ)が操作したことを判断できれば、操作された操作スイッチに応じた動作を行うものがある(以下では、当該スマートキーシステムを「車両スイッチ連携型スマートキーシステム」と称する)。例えば、このような車両スイッチ連携型スマートキーシステムでは、スマートキー10が車両近辺に存在する状態で、エンジン起動スイッチ(キーが不要な押しボタン等)を操作すればエンジンが起動し、またドアノブを持つなどするとドアが解錠される。なお、車両制御装置100の詳細な構成については、
図4等を参照して後述する。
【0017】
ところで、従来技術に係るスマートキーにおいては、通信用の電波を発信する通信処理が常時実行されている。そのため、例えばユーザUが車両Cを運転せず、スマートキーが車両Cから離れた場所(自宅など)にあるようなとき、すなわち車両制御装置100との通信が不要なときでも、スマートキーでは通信処理が行われることとなる。
【0018】
そして、従来技術に係るスマートキーは、電池を備え、かかる電池から供給される電力を用いて通信処理を行っている。そのため、上記したように通信処理が常時実行されると、使用状況によっては電池の蓄電電力を使い切ってしまって通信処理が突然実行されなくなり、車両Cの施錠や解錠などができなくなることがあった。
【0019】
また、近年、通信処理が常時実行されるスマートキーを悪用して車両Cを盗難する、いわゆるリレーアタックという手法が存在する。リレーアタックは、自宅にあるスマートキーと車庫に駐車している車両の車両制御装置との間の通信を中継器で中継することにより、スマートキーが車両の近くに存在するように見せかけ(正規の車両所有者が車両の近くに存在するのと同じ状態とし)、スマートキーシステムにおける解錠動作(スマートキーと車両制御装置とが通信できる範囲にスマートキーが接近するとドアを解錠する)や、エンジン起動動作(スマートキーと車両制御装置とが通信できる範囲にスマートキーが存在する状態でエンジン起動スイッチ(押しボタン等)を操作するとエンジンを起動する)を、不正に行わせるものである。これは、スマートキーにおいて通信処理が常時実行されることを利用した盗難手法であり、対策が望まれていた。
【0020】
そこで、本実施形態に係るスマートキー10にあっては、必要なときだけ通信処理を実行することで、不要な通信処理が行われることを抑制するようにし、消費電力を低減し、また車両Cの盗難の防止を図るようにした。
【0021】
具体的には、スマートキー10は、スマートキー(通信装置)10における振動を検知する(ステップS1)。スマートキー10には、振動発電機が搭載(内蔵)されており、スマートキー10は、かかる振動発電機の発電状態に基づいてスマートキー10の振動を検知する。
【0022】
詳しくは、例えばスマートキー10を所持したユーザUがスマートキー10を持った手を動かす動作、例えば手を振るなどの動作を行うと、当該動作の振動により振動発電機は発電する。スマートキー10は、かかる振動発電機において発電が行われた発電状態の場合に、スマートキー10における振動を検知する。
【0023】
ユーザUは、車両Cの施錠や解錠などの所望する動作を行う際に、スマートキー10を持ち、さらに操作部(操作ボタン)20を押すなどの操作を行うので、スマートキー10はユーザUによる手に取る動作や操作に伴い自然に振動することになる。その結果、以上のような方法により、スマートキー10は通信が必要な状態を検出することができる。
【0024】
次いで、スマートキー10は、振動が検知された場合に、車両制御装置100との通信処理を実行可能にする(ステップS2)。例えば、スマートキー10に、車両制御装置100との通信処理を実行する通信制御装置(
図2参照)が設けられ、通信制御装置が振動を検知した場合に通信処理を実行可能に制御する。また、スマートキー10に設置された振動発電機によって発電された電力により通信処理を行う構成(通信制御装置に供給する電力をスマートキー10の振動発電機による発電電力とする構成)とすることで、振動を検知した場合に通信処理を実行可能にすることもできる。
【0025】
次いで、スマートキー10は、車両制御装置100との間で通信処理を実行する(ステップS3)。例えば、スマートキー10は、操作部20で受け付けた内容に応じた通信処理を実行する。一例として、スマートキー10は、操作部20で車両Cの施錠を示すユーザ操作を受け付けた場合、車両Cの施錠を指示する指示信号を無線通信で車両制御装置100へ送信する。また、スマートキー10は、スマートキー10の存在を知らせるための通信、あるいは認証のための各種情報を、随時あるいは車両制御装置100からの要求信号に応じて車両制御装置100に送信する。
【0026】
そして、車両Cの車両制御装置100は、スマートキー10との通信によって受信した指示信号に基づき動作する(ステップS4)。一例として、車両制御装置100は、スマートキー10との通信によって車両Cの施錠を指示する信号を受信した場合、車両Cのドアロック部(
図4参照)を制御して施錠を行う。また、他例としては、車両制御装置100は、スマートキー10からの存在を示す通信あるいは認証信号と、ユーザU等による車両に設置された操作スイッチ(
図4参照)の操作状態とに応じて、車両Cのドアロック部(
図4参照)の施錠・解錠制御や、エンジンの起動制御を行う。
【0027】
このように、本実施形態に係るスマートキー10にあっては、スマートキー10における振動が検知された場合に、つまりユーザUが通信(スマートキーの各種操作等)を行うためにスマートキー10を手に取る、あるいは操作部(操作ボタン)20を操作したことが振動により検出された場合に、通信対象装置である車両制御装置100との通信処理を実行可能にするようにした。なお、スマートキー10がユーザUにより持たれていない状態、例えばテーブルの上に置かれているような状況では、スマートキー10は振動せず、車両制御装置100との通信処理は行われないことになる。
【0028】
これにより、本実施形態にあっては、必要なときだけ通信処理を実行可能とすることができ、よって不要な通信処理が行われることを抑制することができる。従って、本実施形態に係るスマートキー10にあっては、消費電力を低減することができ、電池の蓄電量不足による車両Cの施錠や解錠などができなくなることを抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態にあっては、上記したリレーアタックなどの手法を用いた車両Cの盗難を効果的に防止することができる。すなわち、正規ユーザがスマートキー10を使用するためにスマートキー10を手に取る、あるいは操作部(操作ボタン)20等を操作してスマートキー10が振動しない限り、スマートキー10は通信処理について実行可能とならない。従って、窃盗犯等が、スマートキー10自体を入手して振動させない限り、スマートキー10は解除信号等を車両Cに送信しないことになるため、上記のリレーアタックなどの手法を用いた車両Cの盗難を効果的に防止することができる。
【0030】
<通信システムの全体構成>
図1は、本実施形態に係る通信システム1の構成例を示すブロック図でもある。なお、
図1等のブロック図では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0031】
換言すれば、
図1等のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0032】
また、各図の説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0033】
図1に示すように、実施形態に係る通信システム1は、スマートキー10と、車両Cに搭載された車両制御装置100とを含む。スマートキー10と、車両制御装置100とは、例えば近距離無線通信により、スマートキー各種機能が適当に動作する距離範囲(例えば、正規ユーザが車両Cの状態を確認できる距離(例えば10m程度))で通信接続可能とされる。
【0034】
<スマートキーの構成>
先ず、通信装置であるスマートキー10の構成について
図2を参照して説明する。
図2は、スマートキー10の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、スマートキー10は、上記した操作部20と、通信制御装置30と、振動発電機50と、キャパシタ51と、電源回路52と、受電回路53とを備える。
【0035】
操作部20は、通信処理の実行を指示するユーザ操作を受け付けるもので、指示内容に対応した複数の操作ボタン(押しボタン)等により構成される。操作部20は、第1操作部20aと、第2操作部20bと、第3操作部20cとを含む。本例では、第1操作部20aは車両Cのドアを施錠する操作、第2操作部20bは車両Cのドアを解錠する操作、第3操作部20cは車両Cのドアを開閉する操作を行うためのものである。
【0036】
なお、操作部20には、上記操作に加えてあるいは代えて、例えば車両Cの駆動源(エンジン等)を起動する操作など、その他の内容の操作に対応する操作部が含まれてもよく、またその数は、操作したい機能の数等に応じて任意に設定可能である。また、以下では、各操作部20a~20cを特に区別せずに説明する場合には「操作部20」と記載する。
【0037】
通信制御装置30は、車両Cの車両制御装置100(
図1参照)との通信に関する通信処理などを実行する。なお、通信制御装置30の構成については、
図3を参照して後述する。
【0038】
通信制御装置30には、スイッチ60が接続される。スイッチ60は、操作部20に対するユーザ操作に応じてオン、オフする。スイッチ60は、ユーザUが操作部20を操作している(例えば、押しボタンを押している場合)場合にオン状態となり、ユーザUが操作部20を操作していない場合にオフ状態となる。
【0039】
スイッチ60は、操作部20の数に対応して複数あり、より詳しくは第1スイッチ60aと、第2スイッチ60bと、第3スイッチ60cとを含む。第1スイッチ60aは、第1操作部20aに対する操作と連動し、ユーザUが第1操作部20aを操作している場合にオンする。第2スイッチ60bは、第2操作部20bに対する操作と連動し、ユーザUが第2操作部20bを操作している場合にオンする。第3スイッチ60cは、第3操作部20cに対する操作と連動し、ユーザUが第3操作部20cを操作している場合にオンする。そして、通信制御装置30は、スイッチ60(60a,60b,60c)がオンされることで、対応する操作部20(20a,20b,20c)がユーザUにより操作されたことを検出する。
【0040】
振動発電機50は、振動発電機50に加わる振動、つまり振動発電機50が搭載されたスマートキー10における振動により発電し、スマートキー10に電力を供給する発電機である。すなわち、振動発電機50は、スマートキー10の振動を動力源としてスマートキー10へ電力供給を行う。
【0041】
振動発電機50としては、各種の振動電気変換方式を利用した発電機を用いることができる。例えば、振動発電機50は、振動によりコイル内の磁石が移動して発電する、あるいは磁石により形成された磁場内を振動によりコイルが移動する電磁誘導式や、振動によりコイル内の磁歪材料が湾曲して発電する磁歪式などの発電機を用いることができる。
【0042】
キャパシタ51は、振動発電機50の発電した電力を蓄電する。かかるキャパシタ51から、後述するように、スマートキー10に電力が供給される。なお、キャパシタ51は、蓄電器の一例である。また、振動発電機50には、キャパシタ51への蓄電に必要な整流回路、電圧調整回路(定電圧回路)等が設けられている。
【0043】
振動発電機50とキャパシタ51との間には、連携スイッチ70が介挿される。連携スイッチ70は、スイッチ60と連携するスイッチ(連動スイッチ)である。詳しくは、連携スイッチ70は、複数の操作部20の操作に応じてオン状態となり、振動発電機50とキャパシタ51とを接続してキャパシタ51を充電状態にする。
【0044】
より詳しくは、連携スイッチ70は、スイッチ60がオンのとき(第1、第2、第3スイッチ60a,60b,60cのいずか1つでもオンのとき)、言い換えると、操作部20がユーザUによって操作されているとき(第1、第2、第3操作部20a,20b,20cのいずれか1つでも操作されているとき)にオンする(キャパシタ51を充電状態にする)。一方、連携スイッチ70は、スイッチ60がオフされるとき(第1、第2、第3スイッチ60a,60b,60cの全てがオフのとき)、言い換えると、操作部20がユーザUによって操作されてないとき(第1、第2、第3操作部20a,20b,20cの全てが操作されていないとき)にオフする。
【0045】
電源回路52は、入力された電力を通信制御装置30などの電源として供給する回路であり、電源供給ラインを選択(接続・遮断)するスイッチ回路、電源電圧を各電源供給先に適した電圧に変換する電圧変換回路等の必要な回路を有する。例えば、電源回路52は、キャパシタ51から入力された電力を通信制御装置30での使用に適した電圧に変換して、通信制御装置30に供給する。また、電源回路52は、後述する受電回路53から入力された電力(車両Cから受電した電力)を通信制御装置30等の電源として供給する。
【0046】
ここで、通信制御装置30に電力を供給するキャパシタ51の容量について説明する。キャパシタ51の容量は、キャパシタ部品種別の選定により任意の値に設定可能であるが、本実施形態では、スマートキー10がユーザUによって振動されなくなって振動発電機50からの電力が停止した後、通信制御装置30において設定されている各操作機能の一連の処理(最も電力消費量が大きいもの)が1回行える程度(必要な余裕度を持たせる)通信処理が実行できる電力量を保持するような値に設定される。
【0047】
これにより、通信制御装置30に対して通信処理に必要な電力が安定して供給され(振動発電機50の発電電力は振動状態により変わり不安定)、通信制御装置30は安定した通信処理を行うことができる。
【0048】
また、電源回路52には、通信制御装置30による一連の通信処理が終了した時点(かかる時点を電源供給から所定時間経過後と推定しても可)で、キャパシタ54の残留電力を放電する放電回路(キャパシタを設置するスイッチング回路等で構成)を設けられている。
【0049】
これにより、ユーザUの操作による通信処理後に残留電力が廃棄され、その後の怪しい操作・手口等(言い換えると、車両Cの盗難につながるような操作・手口等)に対する通信処理を防止できる。
【0050】
さらに、電源回路52またはキャパシタ51には、キャパシタ51の残留電力を所定時間(振動発電機50の発電終了(つまりユーザUがスマートキー10を放した時刻)からユーザUによる操作があると予想される時間以上、不正利用が開始される可能性が生じると予想される時間(ユーザUがスマートキー10を放してからの経過時間)以下)で放電する放電回路が設けられる。
【0051】
これにより、キャパシタ51の残留電力が適当な時間で廃棄され、その後の怪しい操作・手口等に対する通信処理を防止できる。
【0052】
すなわち、振動発電機50の発電終了(つまりユーザUがスマートキー10を放した時刻)から所定時間が経過すると、キャパシタ51から通信制御装置30へ電力が供給されなくなるため、通信制御装置30において通信処理が実行されない。そのため、例えば自宅に保管(テーブル上に放置等)しているスマートキー10においては、ユーザUが使用する際等以外ではスマートキー10に振動が加わらないので(静止状態になるので)、通信用の電波が発信されず、上記したリレーアタックなどの手法を用いた車両Cの盗難をより効果的に防止することができる。
【0053】
このように、本実施形態に係るキャパシタ51には、予め定めた時定数の放電回路が接続されているため、キャパシタ51の残留電力が適切に廃棄(放電)され、よって車両Cの盗難をより効果的に防止することができる。
【0054】
なお、正規ユーザによる操作に関しては、スマートキー10を持つこと、操作することによる振動により発電され、キャパシタ51に蓄電されるので、発電能力、操作部20の反応時間設定(操作部20のホールド時間を発電に必要な時間に設定)等を適宜設定することにより問題なく、対処可能である。
【0055】
図2の説明を続けると、受電回路53は、車両Cから供給される電力を受電して電源回路に供給する回路である。なお、受電回路53は、受電部の一例である。
【0056】
受電回路53は、車両Cと接続部80を介して電気的に接続可能とされる。詳しくは、車両C側に給電部107(
図4参照)が設けられ、かかる給電部107と受電回路53とがコネクタ等で電気的に接続されることで、受電回路53は車両Cからの電力を受電する。
【0057】
なお、スマートキー10の受電回路53に対する車両Cからの給電は、上述のように電源ケーブルなどを利用した有線給電であってもよいし、例えば無線給電(例えば電磁誘導方式や磁界共鳴方式、電界結合方式などの無線給電)のような他方式であってもよい。
【0058】
受電回路53によって受電された車両Cからの電力は、キャパシタ51などに蓄電されずに電源回路52に入力されて、通信制御装置30の電源として利用される。なお、車両Cからの電力は、車両走行中、スマートキー10の通信制御装置30と車両Cとの間で定期的あるいは不定期に行われる通信処理(例えば認証処理など)等に用いられるが、これについては後述する。
【0059】
ここで、上記した通信制御装置30の構成について
図3を参照して説明する。
図3は、通信制御装置30の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、通信制御装置30は、通信部31と、制御部40と、記憶部41とを備える。
【0060】
通信部31は、車両Cの車両制御装置100と無線通信で通信可能に接続する通信インターフェイスであり、所定の近距離通信方式で車両制御装置100との間で各種の信号やデータなどの送受信を行う。
【0061】
記憶部41は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部41には、各種データおよび各種プログラムなどが記憶される。なお、本実施形態では、各操作部20a,20b,20cの操作時に車両Cに送信される指示データが、記憶部41に記憶されている。
【0062】
制御部40は、いわゆるコントローラであり、検知部40aと、通信処理部40bとを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0063】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部40の検知部40aおよび通信処理部40bとして機能する。また、制御部40の検知部40aおよび通信処理部40bの少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0064】
次に、
図2および
図3に示す各構成要素が、車両Cへの指示信号送信時に行う動作の流れについて説明する。なお、以下では、理解の便宜のため、ユーザUが第1操作部20aを操作した場合の動作を例示しながら説明する。
【0065】
図2に示すように、スマートキー10においては、第1操作部20aに対するユーザ操作を受け付けると、第1スイッチ60aがオンし、それに連携して連携スイッチ70もオンする。
【0066】
ユーザUがスマートキー10を手に取る等すると、スマートキー10の振動と共に振動発電機50が振動し、振動発電機50が発電を開始する。なお、この時点では、連携スイッチ70はオフ状態で、振動発電機50の発電電力はキャパシタ51には充電されない。
【0067】
続いて、ユーザUが操作部20のいずれかを操作(押圧等)すると、対応するスイッチ60がオンとなり、連携スイッチ70もオンとなって、振動発電機50の発電電力はキャパシタ51に充電される。なお、ユーザUによる操作部20の操作も振動発電機50に振動を加え、振動発電機50は発電することになる。
【0068】
ユーザUによる操作部20の操作に際して、通信制御装置30(検知部40a)はどの操作部20が操作されたかを判断する。なお、各スイッチ60の通信制御装置30と反対側の端子には電源回路52から電圧が印加されており、スイッチ60がオンになると対応する通信制御装置30側のスイッチ60の端子が高電圧(オフでは低電圧)となるので、この電圧変化を監視することにより検知部40aはどの操作部20が操作されたかを判断することができる。
【0069】
なお、スイッチ60は、操作部20の操作から所定時間その状態保持されるようになっており(弾性体、ラッチ機構等による)、通信制御装置30(検知部40a)による操作された操作部20の判断時には、電源回路52および通信制御装置30には振動発電機50の発電によりキャパシタ51に蓄積された電力が供給されるようになっている。
【0070】
そして、通信制御装置30(通信処理部40b)は、操作された操作部20に対応した送信指示データを記憶部41から読み出し、通信部31に当該送信指示データを車両Cへ送信させる。すなわち、通信制御装置30は、振動発電機50による発電電力を用いて車両Cへ動作指示信号を送信する。
【0071】
このように、通信制御装置30は、電源回路52からの電源供給により通信を行うようになっている。詳細には、通信制御装置30の検知部40aが振動を振動発電機50による発電の有無により振動を検知し、検知結果を通信処理部40bに送信する。そして、通信処理部40bは当該振動の検知結果に基づき送信可否の判断を行って、送信可であれば操作されたスイッチ60に対応した指示データを記憶部41から読み出し、通信部31に当該指示データを車両C向け送信させている。つまり、振動発電機50の発電状態により振動の有無が判断されており、振動発電機50が振動センサを兼用していることになる。
【0072】
また、ユーザUが操作部20の操作を止めると、連携スイッチ70はオフ状態となり、振動発電機50の発電電力はキャパシタ51には充電されなくなる。そして、キャパシタ51に蓄積された電力は、通信制御装置30による車両Cへの指示信号送信に伴い、また放電回路により放電され、キャパシタ51の蓄積電力は無くなる。
【0073】
さらに、車両Cが自宅の駐車場に駐車する等してスマートキー10がテーブル等に放置された場合(静止状態)、振動発電機50は非発電状態、連携スイッチ70はオフ状態、キャパシタ51の蓄電量無状態、受電回路53(外部からの電源供給無)からの電源供給無状態となり、スマートキー10からの電波送信は行われなくなる。
【0074】
つまり、動作原理としては、通信制御装置30は、振動発電機50の発電状態で振動を検知し、振動検知時に送信指示データを車両Cに送信するものとなっている。
【0075】
なお、車両C走行中(エンジン起動中)、受電回路53は車両Cの電源が接続部80から供給され、そして当該電力が電源回路52を介して通信制御装置30に供給されて、通信制御装置30と車両Cとの間でエンジン起動(起動維持)に必要な情報(スマートキーの認証情報等)のやり取りが行われる。すなわち、通信制御装置30は、車両Cの駆動を継続するために継続して送信される指示信号については、受電回路53で受電された電力を用いて送信する。
【0076】
このように、受電回路53は、振動発電機50による充分な発電が望めない状態(ユーザUがスマートキー10を手に持って充分な振動がスマートキー10に与えられる状態が期待できない、車両C走行中の状態)において、電源回路52に安定した充分な電力が供給されるように設置されている。これにより、走行中(エンジン起動中)における、通信制御装置30と車両Cとの間のエンジン起動に必要な情報のやり取りが、安定して行われることとなる。
【0077】
次に、理解の便宜のため、ユーザUが第1操作部20aを操作した場合(すなわち、ユーザUがスマートキー10で車両Cのドアを施錠した場合)の動作を説明する。
【0078】
第1操作部20aに対するユーザ操作(ユーザUによるスマートキー10での車両Cのドア施錠操作)を受け付けると、第1スイッチ60aがオンし、それに連携して連携スイッチ70もオンする。なお、第1スイッチ60aおよび連携スイッチ70のオン状態は、時限保持機構、ホールド回路等により、所定時間維持される。
【0079】
そして、スマートキー10はユーザUにより手に持たれ、またその第1操作部20aに対する操作が行われていることから、スマートキー10には振動が加えられており、振動発電機50は発電する。振動発電機50によって発電された電力は、連携スイッチ70を介してキャパシタ51に供給されて蓄電される。キャパシタ51に蓄電された電力は電源回路52に供給され、定格電圧に変換されるなどの適当な電源処理が施されて通信制御装置30に供給される。そして、電源が供給された通信制御装置30は動作を開始する。
【0080】
また、各スイッチ60における通信制御装置30の反対側の端子には電源回路52から電圧が印加されているが、第1スイッチ60aだけがオンとなっているため、各スイッチ60における通信制御装置30側の端子の電圧は、第1スイッチ60aが高電圧、第2スイッチ60bおよび第3スイッチ60cが低電圧となる。通信制御装置30は、入力されるこれら端子の電圧から、第1スイッチ60a(車両Cのドアの施錠操作に対応)が操作されたことを検出し、記憶部41から車両Cのドアの施錠指示のデータを読み出して、通信部31に当該指示データを車両Cに向け送信させる。
【0081】
また、ユーザによる第1操作部20aに対する操作が終了すれば、所定の保持時間後に第1スイッチ60aおよび連携スイッチ70はオフ状態となり、キャパシタ51への充電は遮断される。そして、キャパシタ51の蓄電電力は放電回路により放電されて空となり、通信制御装置30はその動作が停止し、その後の通信は行われなくなる。
【0082】
これにより、本実施形態にあっては、必要なときだけ通信処理を実行可能とすることができ、よって不要な通信処理が行われることを抑制することができる。
【0083】
なお、車両スイッチ連携型スマートキーシステムの場合、通信制御装置30は、操作部20による操作が無くても、前述したようにスマートキー10の存在(車両側の通信装置の近傍に存在)を示すための通信、車両側の通信装置からの通信に対する回答信号や識別・認証信号の通信を行うように構成されている。そして、連携スイッチ70は振動検知時にも操作部20の操作時と同様にオン状態となるように制御される構成とされている。このような構成により、車両スイッチ連携型スマートキーシステムでは、スマートキー10が振動している場合、つまり正当なユーザUがスマートキー10を手に取っている等の場合にスマートキー10の存在(車両側の通信装置の近傍に存在)を示すための通信、車両側の通信装置からの通信に対する回答信号や識別・認証信号の通信を行うことになる。従って、以上のような構成により、車両スイッチ連携型スマートキーシステムにおける必要で、正当な通信が行われることになる。
【0084】
<車両制御装置を備えた車両の構成>
次に、車両制御装置100を備えた車両Cの構成について
図4を参照して説明する。
図4は、車両Cの構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、車両Cは、上記した車両制御装置100と、操作スイッチ101と、通信部102と、ドアロック部103と、ドア開閉部104と、駆動源105と、バッテリ106と、給電部107とを備える。なお、車両制御装置100は、通信対象装置の一例であり、また車両Cに設置された車載装置の一例でもある。
【0085】
操作スイッチ101は、車両Cに設置され、ユーザ操作を受け付ける。なお、
図4では、図示の簡略化のため、操作スイッチ101を1つのブロックで示したが、操作スイッチ101には、上記したエンジンの起動操作を受け付けるエンジン起動スイッチ、ドアロック部103の施錠・解錠動作を受け付ける施錠・解錠スイッチなどが含まれる。操作スイッチ101は、受け付けた操作に対応する信号を車両制御装置100へ出力する。なお、操作スイッチ101は、車両側操作部の一例である。
【0086】
通信部102は、スマートキー10の通信制御装置30と無線通信で通信可能に接続する通信インターフェイスであり、通信制御装置30(通信部31)との間で各種の信号やデータなどの送受信を行う。
【0087】
ドアロック部103は、車両Cのドアを施錠または解錠するロック機構である。ドア開閉部104は、車両Cのドアを開閉する開閉機構である。駆動源105は、車両Cを駆動させる駆動力を出力する機構であり、例えばエンジンや電動モータなどである。
【0088】
バッテリ106は、車両Cに搭載される各種の機器や回路などに電力を供給する。給電部107は、バッテリ106に接続される。そして、給電部107は、スマートキー10と電気的に接続されたとき、スマートキー10(正確には受電回路53(
図2参照))に対してバッテリ106の電力を適切な形態(スマートキー10の定格電圧に変換する等)として供給する。
【0089】
車両制御装置100は、操作検出部110と、車両制御部120と、記憶部130とを備える。記憶部130は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部130には、各種データおよび各種プログラムなどが記憶される。
【0090】
車両制御部120は、いわゆる車両装置制御用のコントローラ(車両コントローラ)であり、ドアロック制御部120aと、ドア開閉制御部120bと、駆動源制御部120cと、給電制御部120dとを備える。操作検出部110および車両制御部120は、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0091】
コンピュータのCPUは、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、操作検出部110、車両制御部120のドアロック制御部120a、ドア開閉制御部120b、駆動源制御部120cおよび給電制御部120dとして機能する。また、操作検出部110、車両制御部120のドアロック制御部120a、ドア開閉制御部120b、駆動源制御部120cおよび給電制御部120dの少なくともいずれか一部または全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0092】
操作検出部110は、操作スイッチ101の操作状態を検出する。操作検出部110には、操作スイッチ101で受け付けた操作に対応する信号が入力され、かかる信号に基づき操作スイッチ101の操作状態を示す情報を車両制御部120へ出力する。ここでの操作状態は、例えばエンジン起動スイッチが操作された状態や、施錠・解錠スイッチが操作された状態などである。なお、操作検出部110は、車両側操作検出部の一例である。
【0093】
車両制御部120のドアロック制御部120aは、ドアロック部103を制御する。例えば、ドアロック制御部120aは、スマートキー10の通信制御装置30との通信によって車両Cの施錠を指示する信号を受信した場合、ドアロック部103を制御してドアの施錠を行う。また、ドアロック制御部120aは、車両Cの解錠を指示する信号を受信した場合、ドアロック部103を制御してドアの解錠を行う。
【0094】
ドア開閉制御部120bは、ドア開閉部104を制御する。例えば、ドア開閉制御部120bは、スマートキー10の通信制御装置30との通信によって車両Cのドアの開閉を指示する信号を受信した場合、ドア開閉部104を制御してドアの開閉を行う。
【0095】
駆動源制御部120cは、駆動源105を制御する。例えば、駆動源制御部120cは、スマートキー10の通信制御装置30との通信によって車両Cの起動を指示する信号を受信した場合、駆動源105を起動制御して車両Cを起動させる。
【0096】
また、車両スイッチ連携型スマートキーシステムにおいて、車両制御部120は、スマートキー10とのデータ通信状況と操作スイッチ101の操作状態(言い換えると、操作検出部110による検出内容)とに応じて、車両Cの制御を行う。
【0097】
具体的には、車両スイッチ連携型スマートキーシステムにおいては、上記したように、正当なユーザUがスマートキー10を手に取っている等でスマートキー10が振動している場合に、スマートキー10と車両制御装置100との間で、スマートキー10が車両制御装置100の近傍に存在することを示すための通信、車両制御装置100からスマートキー10への回答信号や識別・認証信号の通信が行われる。車両制御部120は、かかる通信が行われる通信状況であり、かつ、操作スイッチ101が操作された場合、当該操作に応じた車両Cの制御(例えばエンジンの起動、ドアの施錠、解錠、開閉などの制御)を行う。逆に言えば、車両制御部120は、かかる通信が行われない通信状況である場合、操作スイッチ101が操作されたとしても、車両Cの制御(例えばエンジンの起動などの制御)を行わない。従って、窃盗犯等が、スマートキー10自体を入手して振動させない限り、車両Cの制御が行わないため、上記のリレーアタックなどの手法を用いた車両Cの盗難を効果的に防止することができる。
【0098】
給電制御部120dは、給電部107を制御する。例えば、給電制御部120dは、給電部107がスマートキー10と電気的に接続されたことを検知すると、給電部107を制御し、バッテリ106の電力を、給電部107を介してスマートキー10に給電する。
【0099】
<スマートキーの制御処理>
次に、通信装置であるスマートキー10における具体的な処理手順について
図5を用いて説明する。
図5は、スマートキー10が実行する処理手順を示すフローチャートである。この処理は、スマートキー10起動状態において繰り返し実行される。
【0100】
図5に示すように、スマートキー10の制御部40は、スマートキー10における振動を検知したか否かを判定する(ステップS10)。具体的には、制御部40は、スマートキー10に内蔵された振動発電機50の発電状態に基づいて、スマートキー10の振動を検知したか否かを判定する。
【0101】
制御部40は、スマートキー10の振動が検知されないと判定された場合(ステップS10,No)、すなわち振動発電機50が発電状態ではない場合、処理を終える。他方、制御部40は、スマートキー10の振動が検知されたと判定された場合(ステップS10,Yes)、すなわち振動発電機50が発電状態である場合、車両制御装置100との通信処理を予め定めた所定時間実行可能として(ステップS11)、処理を終える。なお、この所定時間は、スマートキー10の振動が検知されてから、つまりユーザUが操作のためスマートキー10を手に取ってから、操作部20の操作を行うまでの一般的な時間にオフセットを加えた時間(つまり、正規ユーザによる操作と判断できる時間)、例えば10秒程度に設定される。
【0102】
そして、制御部40は、上記所定時間内にユーザによる操作部20の操作を検出した場合に、車両制御装置100との間で操作内容に応じた通信処理、例えば車両Cの施錠を指示する信号の送信等、を実行する。なお、これらの通信処理は、例えばユーザUによる操作部20の操作をトリガとする割り込み処理により実行される。
【0103】
上述してきたように、第1の実施形態に係るスマートキー(通信装置)10は、制御部40を有する。制御部40は、スマートキー10における振動が検知された場合に、車両制御装置(通信対象装置)100との通信処理を実行可能にする。これにより、不要な通信処理が行われることを抑制することができる。
【0104】
(第2の実施形態)
<第2の実施形態に係るスマートキーの構成>
次いで、第2の実施形態に係るスマートキー10の構成について
図6を参照しつつ説明する。
図6は、第2の実施形態に係るスマートキー10の構成例を示すブロック図である。なお、第1の実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0105】
図6に示すように、第2の実施形態において、キャパシタ51と連携スイッチ70とは、複数の操作部20(第1、第2、第3操作部20a,20b,20c)にそれぞれ対応して設けられている。
【0106】
具体的には、キャパシタ51は、複数ある操作部20に応じて複数あり、対応する通信処理の実行に必要な電力を蓄電する。本例の場合、キャパシタ51は、第1キャパシタ51aと、第2キャパシタ51bと、第3キャパシタ51cとを含む。
【0107】
そして、第1キャパシタ51aは、第1操作部20aに対応する通信処理の実行に必要な電力を蓄電できる容量のキャパシタが使用されている。第2キャパシタ51bは、第2操作部20bに対応する通信処理の実行に必要な電力を蓄電できる容量のキャパシタが使用されている。第3キャパシタ51cは、第3操作部20cに対応する通信処理の実行に必要な電力を蓄電できる容量のキャパシタが使用されている。
【0108】
また、振動発電機50と各キャパシタ51a~51cとの間にはそれぞれ、第1~第3連携スイッチ70a~70cが介挿される。第1連携スイッチ70aは、上記した第1スイッチ60aと連携するスイッチである。同様に、第2連携スイッチ70bは第2スイッチ60bと連携するスイッチであり、第3連携スイッチ70cは、第3スイッチ60cと連携するスイッチである。
【0109】
なお、これら各第1~第3スイッチ60a~60c(第1~第3操作部20a~20c)と各第1~第3連携スイッチ70a~70cとの連携動作は、
図2に示した第1の実施形態における各第1~第3スイッチ60a~60c(第1~第3操作部20a~20c)と連携スイッチ70との連携動作と同様の動作となる。
【0110】
第2の実施形態に係るスマートキー10にあっては、上記のように構成されることで、操作された操作部20に応じたキャパシタ51から、当該操作に対応する通信処理が実行可能な量の電力が通信制御装置30に供給されることになる。また、各キャパシタ51の容量が対応する各通信処理に必要な電力量に対して過多とならないので(適当な容量に個別設定可能)、充電時間が不要に長くならず、通信制御装置30への電力供給の遅延を抑えることができる。従って、第2の実施形態に係るスマートキー10は、通信処理を確実に安定して実行することができる。
【0111】
具体的操作例を挙げると、第1操作部20aがユーザ操作を受け付けた場合、第1スイッチ60aがオンとなり、そしてそれに連携して第1連携スイッチ70aがオンとなって、振動発電機50の発電電力が第1キャパシタ51aに蓄電される。なお、この際、ユーザUがスマートキー10を手に取り、第1操作部20aを操作(押圧等)しているので、スマートキー10(振動発電機50)は振動しており、振動発電機50は発電状態にある。
【0112】
そして、電源回路52は、第1キャパシタ51aに蓄電された電力により、通信制御装置30に電源電力を供給し、また各第1~第3スイッチ60a~60cの通信制御装置30に対して反対側の端子に電圧を印加する。このとき、第1スイッチ60aだけがオンとなっているので(第2、第3スイッチ60b、60cはオフ)、スイッチ60の通信制御装置30側端子は、第1スイッチ60aだけが高電圧(電源回路52による印加電圧)となっている。
【0113】
そして、電源電力が供給された通信制御装置30は動作を開始し、スイッチ60が接続された各入力の電圧を確認して、第1操作部20aのユーザ操作を検出し、第1操作部20aに対応する操作指示信号である車両Cのドアの施錠指示信号を車両Cに送信するように通信部31を制御する。
【0114】
従って、スマートキー10は、第1操作部20aの操作があった場合、第1操作部20aに対応する通信処理が必要とする電力量に適当な容量を持つ(適当な容量に設定された)第1キャパシタ51aからの電力を用いることになる。よって、第1操作部20aに対応する通信処理に充分な量の電力が、遅延を抑えて通信制御装置30に提供され、通信制御装置30は当該通信処理を確実に安定して実行することができる。
【0115】
(第3の実施形態)
<第3の実施形態に係るスマートキーの構成>
次いで、第3の実施形態に係るスマートキー10の構成について
図7を参照しつつ説明する。
図7は、第3の実施形態に係るスマートキー10の構成例を示すブロック図である。なお、第1の実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0116】
図7に示すように、第3の実施形態においては、複数ある操作部20に応じて複数のラッチ回路90を備える。複数の各ラッチ回路90は、各スイッチ60のオン動作から所定時間の間、対応する出力(本実施形態では高電圧)を維持する。そして、各ラッチ回路90の出力は、連携スイッチ70の状態を制御(ラッチ回路90が高電圧の場合に連携スイッチ70はオン)する。なお、ラッチ回路90は時定数(充放電)回路やタイマで実現でき、連携スイッチ70はリレーやスイッチング回路で実現できる。
【0117】
つまり、第1ラッチ回路90aは、第1操作部20aが操作されると第1スイッチ60aのオン状態への遷移に伴い、第1ラッチ回路90aに設定された時間(第1操作部20aに対応する通信処理の実行に必要な電力を蓄電するのに要する時間に対応)に渡り連携スイッチ70をオンとする。これにより、キャパシタ51には、第1ラッチ回路90aに設定された時間、連携スイッチ70を介して振動発電機50から発電電力が充電される。
【0118】
第2ラッチ回路90bおよび第3ラッチ回路90cも上記と同様に動作し、キャパシタ51には、第2操作部20bおよび第3操作部20cに対応する通信処理の実行に必要な電力が蓄電されることになる。
【0119】
そして、電源回路52は、キャパシタ51に蓄電された電力により、通信制御装置30に電源電力を供給し、また各第1~第3スイッチ60a~60cの通信制御装置30に対して反対側の端子に電圧を印加する。このとき、操作されたスイッチ60だけがオンとなっているので、スイッチ60の通信制御装置30側端子は、操作されたスイッチ60だけが高電圧(電源回路52による印加電圧)となっている。
【0120】
そして、電源電力が供給された通信制御装置30は動作を開始し、スイッチ60が接続された各入力の電圧を確認して、ユーザUにより操作された操作部20を検出し、当該操作部20に対応する操作指示信号、例えば車両Cのドアの施錠指示信号を車両Cに送信するように通信部31を制御する。
【0121】
第3の実施形態に係るスマートキー10にあっては、キャパシタ51に充電される電力量が操作された操作部20に応じて設定されるので、つまり通信制御装置30が行う通信処理内容に応じて設定されるので、キャパシタ51には適切な電力量が充電されて通信制御装置30に提供されることになる。従って、通信制御装置30は、通信処理を安定して確実に実行することができる。
【0122】
具体的操作例を挙げると、第1操作部20aがユーザ操作を受け付けた場合、第1スイッチ60aがオンとなり、そしてそれに連動して第1ラッチ回路90aが第1ラッチ回路90aに設定された時間に渡り連携スイッチ70をオンとして、振動発電機50の発電電力がキャパシタ51に蓄電される。なお、この際、ユーザUがスマートキー10を手に取り、第1操作部20aを操作(押圧等)しているので、スマートキー10(振動発電機50)は振動しており、振動発電機50は発電状態にある。
【0123】
そして、電源回路52は、キャパシタ51に蓄電された電力により、通信制御装置30に電源電力を供給し、また各第1~第3スイッチ60a~60cの通信制御装置30に対して反対側の端子に電圧を印加する。このとき、第1スイッチ60aだけがオンとなっているので(第2、第3スイッチ60b、60cはオフ)、スイッチ60の通信制御装置30側端子は、第1スイッチ60aだけが高電圧(電源回路52による印加電圧)となっている。
【0124】
そして、電源電力が供給された通信制御装置30は動作を開始し、スイッチ60が接続された各入力の電圧を確認して、第1操作部20aのユーザ操作を検出し、第1操作部20aに対応する操作指示信号である車両Cのドアの施錠指示信号を車両Cに送信するように通信部31を制御する。
【0125】
そして、この場合、キャパシタ51は、第1ラッチ回路90aに設定された時間(第1操作部20aに対応して通信制御装置30が行う通信処理に必要な電力量を充電する時間に相当)に渡り充電される。つまり、通信制御装置30が行う通信処理内容に応じてキャパシタ51への充電量が設定されるので、キャパシタ51には適切な電力量が充電されて通信制御装置30に提供されることになる。
【0126】
(第4の実施形態)
<第4の実施形態に係るスマートキーの構成>
次いで、第4の実施形態に係るスマートキー10の構成について
図8を参照しつつ説明する。
図8は、第4の実施形態に係るスマートキー10の構成例を示すブロック図である。なお、第1の実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0127】
図8に示すように、第4の実施形態においては、振動発電機50をキャパシタ51に直接接続した(
図2における連携スイッチ70を削除した)構成となっている。つまり、スマートキー10が振動した際(ユーザUがスマートキー10を手に取り操作した際等)に振動発電機50が発電した電力で通信制御装置30を動作させ、通信制御装置30によって通信部31にユーザUが操作した操作部20に応じた指示信号を車両Cに送信させるようにした構成である。この構成の場合、キャパシタ51の容量やキャパシタ51の充放電回路の充放電時定数を調整して、キャパシタ51の蓄電量や蓄電電力の保持時間を適当な値に設定する(設計時に実験等を行い設定する)。
【0128】
なお、動作については、
図2に示した第1の実施形態と同様(連携スイッチ70が常時オンの場合と同じ)となるので、詳細説明は省略する。
【0129】
なお、上記各実施形態では、スマートキー10は、振動発電機の発電状態に基づいて振動を検知するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えばスマートキー10は、振動センサを備え、振動センサからの出力に基づいて振動を検知するように構成してもよい。
【0130】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0131】
1 通信システム
10 スマートキー
40 制御部(コントローラ)
50 振動発電機
51 キャパシタ
100 車両制御装置
120 車両制御部(車両コントローラ)