特開 2023-150290 貼付治療器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023150290

(43)【公開日】2023-10-16

(54)【発明の名称】貼付治療器

(51)【国際特許分類】

   A61N 2/08 20060101AFI20231005BHJP

   C09J 7/38 20180101ALI20231005BHJP

【ＦＩ】

A61N2/08 A

C09J7/38

A61N2/08 B

【審査請求】未請求

【請求項の数】3

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022059319

(22)【出願日】2022-03-31

(71)【出願人】

【識別番号】504090455

【氏名又は名称】株式会社ストーンマーケット

(74)【代理人】

【識別番号】100197642

【弁理士】

【氏名又は名称】南瀬 透

(74)【代理人】

【識別番号】100099508

【弁理士】

【氏名又は名称】加藤 久

(74)【代理人】

【識別番号】100182567

【弁理士】

【氏名又は名称】遠坂 啓太

(74)【代理人】

【識別番号】100219483

【弁理士】

【氏名又は名称】宇野 智也

(72)【発明者】

【氏名】中村 泰二郎

【テーマコード（参考）】

4C106

4J004

【Ｆターム（参考）】

4C106AA01

4C106BB02

4C106CC02

4C106DD01

4C106EE20

4C106FF09

4C106FF16

4J004AB01

4J004CB03

4J004CC02

4J004CE01

4J004FA08

(57)【要約】

【課題】粘着シートに貼り付けられた砂状物を直接皮膚に触れさせ、砂状物の効果を得つつ、永久磁石による磁力の効果を得ることができる貼付治療器を提供する。
【解決手段】貼付治療器１０は、基材シート２１に裏面に粘着層２２が設けられた可撓性の粘着シート２０と、粘着層２２に付着させた微粉末による砂状物３０と、粘着シート２０のおもて面に設けられた永久磁石４０とを備えている。この砂状物３０が直接皮膚に触れることで、砂状物３０の効果により患部の状態が改善することが期待できる。また、粘着シート２０のおもて面には、永久磁石４０が設けられているので、永久磁石４０からの磁力が血行を促進させることで肩こり等が緩和することが期待できる。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

基材シートの裏面に粘着層が設けられた可撓性の粘着シートと、
前記粘着層に付着させた砂状物と、
前記粘着シートのおもて面に設けられた永久磁石とを備えた貼付治療器。

【請求項2】

前記砂状物は、粒径が７５μｍから４５０μｍの間の所定の大きさに形成された請求項１記載の貼付治療器。

【請求項3】

前記永久磁石には装飾体が設けられた請求項１または２記載の貼付治療器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、基材シートに粘着層が設けられた可撓性の粘着シートと、粘着シートの粘着層により貼り付けられた砂状物とを備えた貼付治療器に関するものである。

【背景技術】

【0002】

基材シートに粘着層が設けられた可撓性の粘着シートに突起物が貼り付けられた貼付治療器として、特許文献１に記載されたものが知られている。

【0003】

特許文献１に記載の貼付式鎮痛シートは、長方形、円形などの布製支持体の表面に多数のガラス球、プラスチックス球、金属球などの微小球（突起物）を耐水性も含め強い接着力を有する接着剤で固定したものである。

【0004】

この突起物は、例えば、合成樹脂部材、ガラス部材、及び、金属部材のいずれかで構成され、合成樹脂部材で構成される場合、例えばセラミック粒、硬質ゴム粒であり、また、ガラス部材で構成される場合、例えばガラス粒である。また、突起物は、金属部材で構成される場合、例えばアルミナ粒である、と記載されている。
また、突起物の大きさは、突起物が粒状に形成される場合、その直径が４ｍｍ以下の大きさで形成され、より好ましくは、直径が１．０ｍｍ～２．０ｍｍである、と記載されている。

【0005】

特許文献１に記載の貼付式鎮痛シートでは、突起物に磁気機能を備えるよう構成してもよいとの記載があるが、より大きな磁気効果を得るために、粘着シートのおもて面に永久磁石が配置されることがある。
ここで、粘着シートの皮膚側である裏面に粒状物が貼り付けられ、粘着シートのおもて面に永久磁石が配置された従来の貼付治療器について図３に基づいて説明する。

【0006】

図３に示す従来の貼付治療器１００は、前述のように、粘着シート２０の皮膚側である裏面に粒状物１０１が貼り付けられ、粘着シート２０のおもて面に永久磁石４０が配置されている。また、粒状物１０１は、球体状に形成された石、例えば、水晶とすることができ、直径が約２ｍｍに形成されている。

【0007】

このように構成された従来の貼付治療器１００では、粒状物１０１が直接患部に触れることで、石が有する効果を発揮させることができ、永久磁石４０により磁力が患部を刺激するため、磁力による効果も得ることができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0008】

【特許文献1】特開２０１６－４２９８６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0009】

しかし、従来の貼付治療器１００では、突起物となる粒状物１０１は微小球であるが直径が２ｍｍほどの球状物であることから、皮膚に貼り付けると粒状物１０１が永久磁石４０を局所的に突き上げてしまう。そうなると、永久磁石４０が接着剤により粘着シート２０のおもて面に貼り付けられていても、永久磁石４０が皮膚面に対して傾斜してしまい剥がれてしまうことがある。

【0010】

永久磁石が粘着シートの裏面に配置することもできるが、粒状物の直径が永久磁石の厚みより小さい、例えば、砂状物くらいの大きさである場合には、砂状物が患部に直接触れることができないおそれがある。

【0011】

そこで本発明は、粘着シートに貼り付けられた砂状物を直接皮膚に触れさせ、砂状物の効果を得つつ、永久磁石による磁力の効果を得ることができる貼付治療器を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0012】

本発明の貼付治療器は、基材シートの裏面に粘着層が設けられた可撓性の粘着シートと、前記粘着層に付着させた砂状物と、前記粘着シートのおもて面に設けられた永久磁石とを備えたことを特徴としたものである。

【0013】

本発明の貼付治療器によれば、粘着層に砂状物を付着させているため、砂状物を層厚とすることなく砂状物を粘着層に配置することができる。従って、粘着シートのおもて面に永久磁石が設けられていても、砂状物が永久磁石を突き上げ、永久磁石を剥がすことなく、粘着シートを皮膚に貼り付けることができる。

【0014】

前記砂状物は、粒径が７５μｍから４５０μｍの間の所定の大きさに形成されたものとすることができる。そうすることで、粘着層に隙間なく、砂状物の厚みを均一に付着させることができる。

【0015】

前記永久磁石には装飾体が設けられたものとすることができる。永久磁石に装飾体が配置されていることで、永久磁石を覆い隠すことができるため、意匠性を高めることができ、磁気式の貼付治療器を貼っていることを周囲に知られずに治療することができる。

【発明の効果】

【0016】

本発明によれば、粘着シートのおもて面に永久磁石が設けられていても、砂状物が永久磁石を突き上げ、永久磁石を剥がすことなく、粘着シートを皮膚に貼り付けることができる。よって、本発明によれば、粘着シートに貼り付けられた砂状物を直接皮膚に触れさせ、砂状物の効果を得つつ、永久磁石による磁力の効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【0017】

【図1】本発明の実施の形態に係る貼付治療器を示す図であり、（Ａ）は、貼付治療器の貼り付け側から見た図、（Ｂ）は（Ａ）に示す貼付治療器のＡ－Ａ線断面図である。

【図2】図１に示す永久磁石の製造方法を説明するための図であり、（Ａ）は粘着シートに砂状物を散布した状態を示す一部拡大図、（Ｂ）は（Ａ）に示す粘着シートから余剰の砂状物を除去した状態の一部拡大図、（Ｃ）は粘着シートのおもて面に永久磁石を配置した状態の一部拡大図である。

【図3】従来の貼付治療器を説明するための図である。

【発明を実施するための形態】

【0018】

本発明の実施の形態に係る貼付治療器を図面に基づいて説明する。
図１に示す貼付治療器１０は、患部に貼り付けると砂状物により効果と、磁力による血行を促進する効果が得られるものである。

【0019】

貼付治療器１０は、基材シート２１の裏面に粘着層２２が設けられた可撓性の粘着シート２０と、粘着シート２０に粘着層２２により貼り付けられ、微粉末による砂状物３０と、粘着層２２の反対側の粘着シート２０（基材シート２１）のおもて面に設けられた永久磁石４０と、永久磁石４０に設けられた装飾体５０とを備えている。

【0020】

なお、貼付治療器１０では、皮膚に貼り付けられることで皮膚に接触する粘着シート２０の領域（接触領域Ｓ１）であって、砂状物３０が付着する付着領域Ｓ２の外側の領域には、粘着層を保護するための剥離シート（保護シート）が覆われているが、図１および図２では省略している。

【0021】

粘着シート２０の基材シート２１は、例えば、円形状のウレタン製シートにより形成されている。基材シート２１は、おもて面に意匠性を高めるための絵柄、模様やマークなどを印刷することができる。また、基材シート２１は、透明としたり、肌色としたりすることができる。粘着層２２は、基材シート２１に、接着剤が塗布または噴霧されることにより形成されている。

【0022】

砂状物３０は、天然石、人工石や金属とすることができる。天然石や人工石とした場合には、水晶、トルマリン、ヘマタイト、ラジウム、ガーネットとすることができる。また、金属とした場合には、チタン、ゲルマニウムが使用できる。
砂状物３０は、土であれば細砂と称されるサイズのものが使用でき、粒径が７５μｍから４５０μｍの間の所定の大きさの微粉末が使用できる。

【0023】

永久磁石４０は、円盤状に形成されている。永久磁石４０は、例えば、粘着シート２０に接着剤により貼り付けられている。

【0024】

装飾体５０は、永久磁石４０のおもて面に貼り付けられ、飾り付けられている。装飾体５０は、光に反射して輝くようにカットされた、水晶、ガラスやアクリル樹脂により形成されたラインストーンと称されるものとすることができる。

【0025】

本実施の形態では、粘着シート２０は、直径Ｒｓが約２０ｍｍで、基材シート２１の厚みが約５０μｍ、粘着層２２の厚みが約３０μｍに形成されている。
砂状物３０の付着範囲は、直径Ｒｂが約３ｍｍに形成されている。
永久磁石４０は、直径Ｒｍが約３．５ｍｍ、厚みｔが約１ｍｍに形成されている。

【0026】

以上のように構成された本発明の実施の形態に係る貼付治療器の製造方法について図面に基づいて説明する。
図２（Ａ）に示すように準備された粘着シート２０の粘着面である粘着層のうち、剥離シートから露出した付着領域Ｓ２に、砂状物３０を散布する。

【0027】

そして、図２（Ｂ）に示すように、粘着シート２０を裏返して落下させたり、空気を噴射して吹き飛ばしたりして、粘着層２２に付着していない余剰の砂状物３０を除去する。
このとき、粘着層２２に接触していない砂状物３０は付着せず、除去される。また、砂状物３０として、粒径が７５μｍから４５０μｍの間の所定の大きさにものを使用している。そのため、砂状物３０は、粘着層２２に隙間なく、厚みを均一に付着させることができる。

【0028】

次に、接着側に接着剤を塗布した永久磁石４０を粘着シート２０のおもて面に貼り付ける。次に、図１（Ｂ）に示すように永久磁石４０に装飾体５０を貼り付ける。
例えば、接着剤により装飾体５０を永久磁石４０に貼り付けるときには、接着剤を熱可塑性樹脂とすることができる。そうすることで、装飾体５０の底面を加熱して接着剤を軟化させ、永久磁石４０に載せて放置すると接着剤が硬化することで、装飾体５０を永久磁石４０に固着させることができる。

【0029】

本実施の形態では、砂状物３０が水晶により形成されている。水晶は、身体のリズムを整え安定した精神状態が保て、筋肉の緊張からおこる肩こりや腰痛などを改善すると言われている。この砂状物３０が直接皮膚に触れることで、砂状物３０の効果により患部の状態が改善することが期待できる。また、粘着シート２０のおもて面には、永久磁石４０が設けられているので、永久磁石４０からの磁力が血行を促進させることで肩こり等が緩和することが期待できる。

【0030】

更に、永久磁石４０に装飾体５０が配置されていることで、永久磁石４０を覆い隠すことができるため、貼付治療器１０の意匠性を高めることができ、磁気式の貼付治療器１０を貼っていることを周囲に知られずに治療することができる。

【産業上の利用可能性】

【0031】

本発明は、患部に貼り付け砂状物の効果を得ることができ、永久磁石により磁力の効果を得ることができるので、皮膚に貼り付ける貼付治療器に好適である。

【符号の説明】

【0032】

１０ 貼付治療器
２０ 粘着シート
２１ 基材シート
２２ 粘着層
３０ 砂状物
４０ 永久磁石
５０ 装飾体
Ｒｓ 直径
Ｒｂ 直径
Ｒｍ 直径
ｔ 厚み
Ｓ１ 接触領域
Ｓ２ 付着領域

【図1】

【図2】

【図3】