(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150297
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 57/023 20120101AFI20231005BHJP
F16H 57/037 20120101ALI20231005BHJP
B60T 1/06 20060101ALI20231005BHJP
B60K 17/12 20060101ALI20231005BHJP
B60K 1/00 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
F16H57/023
F16H57/037
B60T1/06 G
B60K17/12
B60K1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059332
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】出口 翼
(72)【発明者】
【氏名】池田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】大河内 啓太
【テーマコード(参考)】
3D042
3D235
3J063
【Fターム(参考)】
3D042AA06
3D042AB01
3D042BE01
3D235AA01
3D235BB18
3D235CC12
3D235GB12
3J063AA01
3J063AA04
3J063AB12
3J063AB13
3J063AC01
3J063AC11
3J063BB41
3J063CA05
3J063CA08
3J063CB02
3J063CB04
3J063CB06
3J063CD45
(57)【要約】
【課題】回転電機と減速機との間に少なくともロータ軸受とパーキングギヤとを備える車両用駆動装置において、軸方向の小型化を図る。
【解決手段】回転電機(1)のロータ(12)と一体的に回転するロータ軸(13)の外周面に、パーキングギヤ(51)が嵌合する第1嵌合部(135)と、ロータ軸受(B2)が嵌合する第2嵌合部(136)と、センサロータ(62)が嵌合する第3嵌合部(137)とが形成されている。第1嵌合部(135)、第2嵌合部(136)、及び第3嵌合部(137)が、軸方向第1側(L1)から軸方向第2側(L2)に向けて記載の順に配置されている。第1嵌合部(135)の外径は第2嵌合部(136)の外径より大きく、第2嵌合部(136)の外径は第3嵌合部(137)の外径より大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータを備えた回転電機と、
それぞれが車輪に駆動連結される一対の出力部材と、
前記ロータと一体的に回転するロータ軸と、
前記ロータ軸の回転を減速する減速機と、
前記減速機を介して伝達される前記ロータ軸の回転を一対の前記出力部材に分配する差動歯車機構と、
一対の前記出力部材の回転を規制するためのパーキングロック機構と、
前記ロータの回転を検出する回転センサと、
前記ロータ軸を回転自在に支持するロータ軸受と、
を備えた車両用駆動装置であって、
前記ロータ軸の回転軸心に沿う方向を軸方向とし、前記軸方向の一方側を軸方向第1側とし、前記軸方向の他方側を軸方向第2側として、
前記ロータと前記差動歯車機構とが同軸上に配置され、
前記ロータ、前記減速機、及び前記差動歯車機構が、前記軸方向第1側から前記軸方向第2側に向けて記載の順に配置され、
前記パーキングロック機構は、パーキングギヤと、パーキングギヤに対して選択的に係合してパーキングギヤの回転を規制する係合機構と、を備え、
前記回転センサは、前記ロータ軸と一体的に回転するセンサロータを備え、
前記ロータ軸の外周面における前記ロータと前記減速機との前記軸方向の間の領域に、前記パーキングギヤが嵌合する第1嵌合部と、前記ロータ軸受が嵌合する第2嵌合部と、前記センサロータが嵌合する第3嵌合部とが形成され、
前記第1嵌合部、前記第2嵌合部、及び前記第3嵌合部は、前記軸方向第1側から前記軸方向第2側に向けて記載の順に配置され、
前記第1嵌合部の外径は前記第2嵌合部の外径より大きく、前記第2嵌合部の外径は前記第3嵌合部の外径より大きい、車両用駆動装置。
【請求項2】
前記ロータ軸の前記回転軸心に直交する方向を径方向として、
前記ロータ軸受は、前記第2嵌合部に嵌合されたインナーレースと、前記インナーレースに対して前記径方向の外側に配置されて非回転部材である支持部材に支持されたアウターレースと、を備え、
前記回転センサは、前記センサロータに対して前記径方向の外側に配置されたセンサステータを備え、
前記センサステータが、前記アウターレースに一体的に連結され、前記アウターレースを介して前記支持部材に支持されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記ロータ軸受は、前記第2嵌合部に嵌合されたインナーレースを備え、
前記ロータ軸は、前記第1嵌合部に対して前記軸方向第1側に隣接する位置に前記軸方向第2側を向く第1段差面を有し、
前記パーキングギヤは、前記第1段差面と前記インナーレースとの前記軸方向の間に挟まれて前記軸方向に位置決めされている、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記ロータ軸は、前記第2嵌合部と前記第3嵌合部との前記軸方向の間に前記軸方向第2側を向く第2段差面を有し、
前記センサロータは、前記第2段差面に対して前記軸方向第2側から当接して前記軸方向に位置決めされている、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記ロータ軸の前記回転軸心に直交する方向を径方向として、
前記パーキングギヤは、前記第1嵌合部に嵌合するギヤ側嵌合部と、前記ギヤ側嵌合部に対して前記径方向の外側に形成されて前記係合機構が係合する係合部と、を備え、
前記係合部と前記ロータ軸受とが、前記径方向に沿う径方向視で重複するように配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機と、車輪に駆動連結される一対の出力部材と、回転電機のロータと一体的に回転するロータ軸と、ロータ軸の回転を減速する減速機と、減速機を介して伝達されるロータ軸の回転を一対の出力部材に分配する差動歯車機構とを備えた車両用駆動装置が利用されている。このような車両用駆動装置の一例が、特開2021-124185号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
特許文献1の車両用駆動装置(動力伝達装置1)では、ロータ(ロータコア21)と減速機(遊星減速ギア4)と差動歯車機構(差動機構5)とが、同軸上に、記載の順に配置されている。そして、ロータ軸(モータシャフト20)の外周面におけるロータと減速機との軸方向の間の領域に、ロータ軸を回転自在に支持するロータ軸受(べアリングB1)と、パーキングロック機構(パークロック機構3)を構成するパーキングギヤ(パークギア30)とが固定されている。
【0004】
特許文献1の装置では、当該特許文献1の
図3に示されているように、ロータ軸の外周面に、ロータ軸受とパーキングギヤとが軸方向に間隔を空けて独立して固定されている。このような構成では、ロータ軸受及びパーキングギヤのそれぞれに対して軸方向の位置決めのための構造(例えば段差形状やスナップリングの突き当て等)を設ける必要があり、装置全体が軸方向に大型化しやすかった。また、特許文献1には、ロータの回転を検出する回転センサの配置について何ら記載されておらず、ロータ軸受及びパーキングギヤに対して同様に独立して固定する場合には、軸方向にさらに大型化する可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、回転電機と減速機との間に少なくともロータ軸受とパーキングギヤとを備える車両用駆動装置において、軸方向の小型化を図ることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る車両用駆動装置は、
ロータを備えた回転電機と、
それぞれが車輪に駆動連結される一対の出力部材と、
前記ロータと一体的に回転するロータ軸と、
前記ロータ軸の回転を減速する減速機と、
前記減速機を介して伝達される前記ロータ軸の回転を一対の前記出力部材に分配する差動歯車機構と、
一対の前記出力部材の回転を規制するためのパーキングロック機構と、
前記ロータの回転を検出する回転センサと、
前記ロータ軸を回転自在に支持するロータ軸受と、
を備えた車両用駆動装置であって、
前記ロータ軸の回転軸心に沿う方向を軸方向とし、前記軸方向の一方側を軸方向第1側とし、前記軸方向の他方側を軸方向第2側として、
前記ロータと前記差動歯車機構とが同軸上に配置され、
前記ロータ、前記減速機、及び前記差動歯車機構が、前記軸方向第1側から前記軸方向第2側に向けて記載の順に配置され、
前記パーキングロック機構は、パーキングギヤと、パーキングギヤに対して選択的に係合してパーキングギヤの回転を規制する係合機構と、を備え、
前記回転センサは、前記ロータ軸と一体的に回転するセンサロータを備え、
前記ロータ軸の外周面における前記ロータと前記減速機との前記軸方向の間の領域に、前記パーキングギヤが嵌合する第1嵌合部と、前記ロータ軸受が嵌合する第2嵌合部と、前記センサロータが嵌合する第3嵌合部とが形成され、
前記第1嵌合部、前記第2嵌合部、及び前記第3嵌合部は、前記軸方向第1側から前記軸方向第2側に向けて記載の順に配置され、
前記第1嵌合部の外径は前記第2嵌合部の外径より大きく、前記第2嵌合部の外径は前記第3嵌合部の外径より大きい。
【0008】
この構成によれば、ロータ軸の外周面に形成された第1嵌合部、第2嵌合部、及び第3嵌合部を段階的に小径となるように形成することで、パーキングギヤとロータ軸受とに加え、回転センサも含めて、これらを互いに接近させて配置することが容易である。よって、回転電機と減速機との間にロータ軸受とパーキングギヤとを備え、さらに回転センサを備える車両用駆動装置において、軸方向の小型化を図ることができる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
車両用駆動装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、車両用駆動装置100は、回転電機1と、それぞれが車輪Wに駆動連結される一対の出力部材2と、減速機3と、差動歯車機構4とを主要構成として備えている。また、本実施形態の車両用駆動装置100は、パーキングロック機構5と、回転センサ6とを備えている。
【0012】
本実施形態において、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を意味する。この概念には、2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態や、2つの回転要素が1つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態が含まれる。このような伝動部材には、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材(軸、歯車機構、ベルト、チェーン等)が含まれ、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置(摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等)が含まれても良い。
【0013】
また、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いる。
【0014】
本実施形態では、回転電機1、出力部材2、減速機3、差動歯車機構4、パーキングロック機構5、及び回転センサ6は、全て同軸上に配置されている。以下の説明では、これらに共通の回転軸心に沿う方向を「軸方向L」とする。軸方向Lは、後述するロータ軸13の回転軸心に沿う方向でもある。そして、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側を「軸方向第2側L2」とする。また、上記の共通の回転軸心に直交する方向(ロータ軸13の回転軸心に直交する方向)を「径方向R」とする。そして、径方向Rにおいて、回転軸心側を「径方向内側R1」とし、その反対側を「径方向外側R2」とする。
【0015】
また、回転電機1、パーキングロック機構5、回転センサ6、減速機3、及び差動歯車機構4は、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向けて、記載の順に配置されている。これらは、ケース9内に収容されている。本実施形態では、ケース9は、第1ケース部91と、第2ケース部92と、カバー部93とを備えている。
【0016】
第1ケース部91は、第1周壁部911を備えている。第1周壁部911は、回転電機1の径方向外側R2を覆う筒状に形成されている。
【0017】
第2ケース部92は、第2周壁部921と、第1側壁部922と、隔壁部923とを備えている。第2周壁部921は、減速機3、差動歯車機構4、回転センサ6、及びパーキングロック機構5の径方向外側R2を覆う筒状に形成されている。第1側壁部922は、第2周壁部921から径方向内側R1に延出するように形成されている。本実施形態では、第1側壁部922は、第2周壁部921の軸方向第2側L2の開口を塞ぐように、第2周壁部921と一体的に形成されている。また、第2周壁部921は、第1周壁部911に対して軸方向第2側L2から接合されている。
【0018】
隔壁部923は、第2ケース部92において、減速機3及び差動歯車機構4の配置領域と、回転センサ6及びパーキングロック機構5の配置領域とを、軸方向Lに区画するように配置されている。本実施形態では、隔壁部923は、減速機3と回転センサ6との軸方向Lの間に配置されている。そして、隔壁部923は、第2周壁部921に固定されている。
【0019】
カバー部93は、回転電機1の軸方向第1側L1を覆うように形成されている。本実施形態では、カバー部93は、第1周壁部911の軸方向第1側L1の開口を塞ぐように、第1周壁部911に対して軸方向第1側L1から接合されている。
【0020】
回転電機1は、ステータ11とロータ12とを備えている。回転電機1は、車輪W(
図2を参照)の駆動力源として機能する。回転電機1は、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置(図示を省略)と電気的に接続されている。そして、回転電機1は、蓄電装置に蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、回転電機1は、車輪Wの側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置を充電する。
【0021】
ステータ11は、円筒状のステータコア11aを備えている。ステータコア11aは、ケース9の第1周壁部911に固定されている。ロータ12は、円筒状のロータコア12aを備えている。ロータコア12aは、ステータコア11aに対して回転可能に支持されている。本実施形態では、ロータ12は、ロータ軸13と一体的に回転するように連結されている。
【0022】
本実施形態では、回転電機1はインナロータ型の回転電機である。そのため、ロータコア12aが、ステータコア11aに対して径方向内側R1に配置されている。また、ロータ軸13が、ロータコア12aに対して径方向内側R1に配置されている。
【0023】
また、本実施形態では、回転電機1は回転界磁型の回転電機である。そのため、ステータ11は、ステータコイル11bを更に備えている。本実施形態では、ステータコイル11bは、ステータコア11aに対して軸方向第1側L1に突出した第1コイルエンド部11cと、ステータコア11aに対して軸方向第2側L2に突出した第2コイルエンド部11dとが形成されるように、ステータコア11aに巻装されている。また、図示は省略するが、ロータコア12aには、永久磁石が設けられている。
【0024】
本実施形態では、ロータ軸13は、ロータコア12aと同軸の筒状に形成されている。また、ロータ軸13は、ロータコア12aから軸方向Lの両側に突出するように配置されている。ロータ軸13は、軸本体部131と、軸本体部131から軸方向第1側L1に突出する第1軸方向突出部132と、軸本体部131から軸方向第2側L2に突出する第2軸方向突出部133とを有している。
【0025】
軸本体部131には、ロータコア12aが固定されている。第1軸方向突出部132は、第1軸受B1を介して、カバー部93に対して回転自在に支持されている。第2軸方向突出部133は、ケース9の隔壁部923を軸方向Lに貫通するように配置されている。第2軸方向突出部133は、第2軸受B2を介して、隔壁部923に対して回転自在に支持されている。また、本実施形態において、第2軸方向突出部133には、回転センサ6及びパーキングロック機構5も設けられている。この点に関しては後述する。さらに、第2軸方向突出部133は、減速機3を構成する遊星歯車機構31のサンギヤSGが形成されたサンギヤ形成部材15と一体的に回転するように連結されている。
【0026】
減速機3は、ロータ軸13の回転を減速する。
図3に示すように、本実施形態では、減速機3は、ロータ12及び差動歯車機構4と同軸上に配置された遊星歯車機構31を備えている。本実施形態では、遊星歯車機構31は、サンギヤSGと、キャリヤCRと、第1リングギヤRG1と、第2リングギヤRG2との4つの回転要素を備えている。
【0027】
サンギヤSGは、減速機3の入力要素である。そのため、サンギヤSGは、ロータ12と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、サンギヤSGは、サンギヤ形成部材15の外周面に形成されており、そのサンギヤ形成部材15がロータ軸13と一体的に回転するように連結されている。
【0028】
キャリヤCRは、第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2を回転自在に支持するように構成されている。第1ピニオンギヤPG1と第2ピニオンギヤPG2とは、互いに一体的に回転するように連結されている。第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2は、それらの軸心回りに回転(自転)すると共に、キャリヤCRと共にサンギヤSGを中心として回転(公転)する。第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2は、それらの公転軌跡に沿って、互いに間隔を空けて複数設けられている。第1ピニオンギヤPG1は、第1リングギヤRG1に噛み合っている。第2ピニオンギヤPG2は、サンギヤSGと第2リングギヤRG2とに噛み合っている。第2ピニオンギヤPG2は、第1ピニオンギヤPG1よりも大径に形成されている。また、第2ピニオンギヤPG2は、第1ピニオンギヤPG1に対して軸方向第1側L1に配置されている。
【0029】
第1リングギヤRG1は、減速機3の出力要素である。第2リングギヤRG2は、非回転部材に固定されている。本実施形態では、第2リングギヤRG2は、非回転部材としてのケース9の隔壁部923に固定されている。また、第2リングギヤRG2は、第1リングギヤRG1に対して軸方向第1側L1に配置されている。
【0030】
図1に示すように、差動歯車機構4は、軸部材41と、ピニオンギヤ42と、サイドギヤ43と、差動ケース46とを備えている。軸部材41は、差動ケース46と一体的に回転するように、差動ケース46に支持されている。軸部材41は、径方向Rに沿って延在するように配置されている。本実施形態では、複数の軸部材41が径方向Rに沿うように放射状に配置された構成(例えば、軸方向Lに沿う軸方向視で、4つの軸部材41が十字状に配置された構成)となっている。
【0031】
ピニオンギヤ42は、傘歯車であり、軸部材41により回転自在に支持されている。ピニオンギヤ42は、軸部材41を中心として回転(自転)自在、かつ、差動ケース46の回転軸心を中心として回転(公転)自在に構成されている。本実施形態では、複数の軸部材41のそれぞれに、ピニオンギヤ42が取り付けられている。
【0032】
サイドギヤ43は、一対設けられており、これら一対のサイドギヤ43が軸部材41に対して軸方向Lの両側に分かれて配置されている。一対のサイドギヤ43のそれぞれは、ピニオンギヤ42に噛み合うとともに、出力部材2に駆動連結されている。本実施形態では、一対のサイドギヤ43のうち、軸方向第1側L1のサイドギヤ43は、筒状に形成された連結部43aを介して、一対の出力部材2のうちの一方である第1出力部材21に駆動連結されている。軸方向第2側L2のサイドギヤ43は、一対の出力部材2のうちの他方である第2出力部材22に駆動連結されている。
【0033】
差動ケース46は、差動歯車機構4の入力要素である。このため、差動ケース46は、減速機3の出力要素である第1リングギヤRG1と一体的に回転するように連結されている。本実施形態の差動ケース46は、第1部材46aと第2部材46bとを備えている。第1部材46aと第2部材46bとは、締結部材47によって軸方向Lに接合されている。本実施形態では、第1部材46aが軸部材41に対して軸方向第1側L1に配置され、第2部材46bが軸部材41に対して軸方向第2側L2に配置されている。そして、第1部材46aと第2部材46bとは、軸部材41を軸方向Lに挟むように支持している。
【0034】
減速機3の出力要素である第1リングギヤRG1の回転は差動ケース46に伝わり、差動ケース46が回転することで軸部材41も回転する。一対の出力部材2に回転速度の差があれば、軸部材41に支持されたピニオンギヤ42が回転して、一対の出力部材2が相対回転する。このようにして、差動歯車機構4は、減速機3を介して伝達されるロータ12の回転を一対の出力部材2(第1出力部材21と第2出力部材22)に分配する。
【0035】
第1出力部材21は、軸方向第2側L2の端部で、一方のサイドギヤ43と一体的に回転する連結部43aと一体的に回転するように駆動連結されているとともに、減速機3、隔壁部923、及び回転電機1の径方向内側R1にこれらを貫通するように配置されている。第1出力部材21は、軸方向第1側L1の端部で、第1ドライブシャフトDS1と一体的に回転するように駆動連結されている。第1出力部材21は、第1ドライブシャフトDS1を介して、一対の車輪Wのうちの一方と一体的に回転するように駆動連結されている。
【0036】
第2出力部材22は、他方のサイドギヤ43と一体的に形成された筒状部材で構成されており、第2ドライブシャフトDS2と一体的に回転するように駆動連結されている。第2出力部材22は、第2ドライブシャフトDS2を介して、一対の車輪Wのうちの他方と一体的に回転するように駆動連結されている。
【0037】
パーキングロック機構5は、一対の出力部材2の回転を規制するために設けられている。本実施形態では、パーキングロック機構5は、ロータ軸13の回転を規制することで、減速機3及び差動歯車機構4を介して、一対の出力部材2の回転を規制する。
図1に示すように、パーキングロック機構5は、パーキングギヤ51と、当該パーキングギヤ51に対して選択的に係合してパーキングギヤ51の回転を規制する係合機構52とを備えている。
【0038】
パーキングギヤ51は、ロータ軸13と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、パーキングギヤ51は、筒状部511と、係合部512と、フランジ部513と、ギヤ側嵌合部514とを備えている。筒状部511は、ロータ軸13と同軸の筒状に形成されている。筒状部511の外周面に、係合部512が一体的に形成されている。係合部512は、ギヤ歯で構成されている。この係合部512には、係合機構52が選択的に係合する。
【0039】
フランジ部513は、筒状部511から径方向内側R1に延出するように形成されている。フランジ部513は、筒状部511における軸方向第1側L1の部位から径方向内側R1に延出するように形成されている。フランジ部513の内周面に、ギヤ側嵌合部514が一体的に形成されている。このギヤ側嵌合部514は、ロータ軸13に対して相対回転不能な状態で嵌合している。本実施形態では、ギヤ側嵌合部514はスプライン歯を有しており、ギヤ側嵌合部514とロータ軸13とは、スプライン係合によって相対回転が規制された状態で嵌合している。
【0040】
係合機構52は、パーキングギヤ51の係合部512(ギヤ歯)に選択的に係合するパーキングポールを含む。パーキングポールは、電動モータ等のアクチュエータにより駆動されるパーキングロッドを介して、パーキングギヤ51の係合部512(ギヤ歯)に係合した係合位置と、パーキングギヤ51の係合部512(ギヤ歯)に係合していない非係合位置との間で、軸方向Lに沿う軸心回りに回動するように構成されている。
【0041】
回転センサ6は、ロータ12の回転を検出する目的で設けられている。回転センサ6は、センサステータ61とセンサロータ62とを備えている。センサステータ61は、センサロータ62に対して径方向外側R2に配置されている。センサステータ61は、非回転部材であるケース9の隔壁部923に支持されている。本実施形態では、隔壁部923が「支持部材」に相当する。センサロータ62は、ロータ軸13に嵌合されて当該ロータ軸13と一体的に回転する。回転センサ6としては、例えばレゾルバを用いることができる。
【0042】
ロータ軸13は、第1軸受B1及び第2軸受B2によって軸方向Lの2箇所で回転自在に支持されている。上述したように、ロータ軸13は軸本体部131から軸方向第1側L1に突出する第1軸方向突出部132と、軸本体部131から軸方向第2側L2に突出する第2軸方向突出部133とを有している。そして、第1軸方向突出部132とカバー部93との径方向Rの間に第1軸受B1が配置され、第2軸方向突出部133と隔壁部923との径方向Rの間に第2軸受B2が配置されて、軸方向Lの2箇所でロータ軸13が回転自在に支持されている。
【0043】
図3に示すように、ロータ軸13を回転自在に支持する一対の軸受のうちの1つである第2軸受B2は、インナーレース71と、アウターレース72と、これらの間に保持されたボール73とを備えている。インナーレース71は、ロータ軸13の第2軸方向突出部133に嵌合されている。アウターレース72は、インナーレース71に対して径方向外側R2に配置されており、非回転部材であるケース9の隔壁部923に支持されている。インナーレース71とアウターレース72とは、これらの間に保持された複数のボール73により相対回転自在であり、これにより、ロータ軸13がケース9に対して回転自在に支持されている。本実施形態では、第2軸受B2が「ロータ軸受」に相当する。
【0044】
本実施形態では、これらのパーキングギヤ51、回転センサ6、及び第2軸受B2が、軸方向Lに並んでロータ軸13の第2軸方向突出部133に設けられている。これらは、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向けて、パーキングギヤ51、第2軸受B2、及び回転センサ6の順に配置されている。
【0045】
ここで、ロータ軸13の第2軸方向突出部133は、ロータコア支持部134と、第1嵌合部135と、第2嵌合部136と、第3嵌合部137とを有している。これらは、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向けて、ロータコア支持部134、第1嵌合部135、第2嵌合部136、及び第3嵌合部137の順に配置されている。ロータコア支持部134は、軸本体部131に対して軸方向第2側L2に一体化された部位であり、肉厚に形成されて、軸方向第2側L2からロータコア12aを軸方向Lに支持している。このロータコア支持部134と径方向Rに沿う径方向視で重複するように、第2コイルエンド部11dが配置されている。
【0046】
ロータ軸13の第2軸方向突出部133は、ロータコア支持部134に対して軸方向第2側L2に隣接する位置に、軸方向第2側L2を向く段差面134aを有している。段差面134aは、ロータコア支持部134の外周面から径方向内側R1に向かって延在している。そして、段差面134aの径方向内側R1の端部から軸方向第2側L2に延びるように、第1嵌合部135が設けられている。第1嵌合部135は、段差面134aの径方向Rの長さの分だけ、ロータコア支持部134よりも小径に形成されている。本実施形態では、段差面134aが「第1段差面」に相当する。
【0047】
第1嵌合部135は、パーキングギヤ51が嵌合する部位である。第1嵌合部135には、パーキングギヤ51が相対回転不能な状態で嵌合している。本実施形態では、第1嵌合部135の外周面にはスプライン歯が形成されており、ギヤ側嵌合部514として同じくスプライン歯を有するパーキングギヤ51が、スプライン係合によって相対回転が規制された状態で嵌合している。また、パーキングギヤ51は、第1嵌合部135に対して軸方向第1側L1に隣接する位置に設けられた段差面134aと、パーキングギヤ51に対して軸方向第2側L2に配置された第2軸受B2のインナーレース71との間に挟まれて、軸方向Lに位置決めされている。
【0048】
ロータ軸13の第2軸方向突出部133は、第1嵌合部135に対して軸方向第2側L2に隣接する位置に、軸方向第2側L2を向く段差面135aを有している。段差面135aは、第1嵌合部135の外周面から径方向内側R1に向かって延在している。そして、段差面135aの径方向内側R1の端部から軸方向第2側L2に延びるように、第2嵌合部136が設けられている。第2嵌合部136は、段差面135aの径方向Rの長さの分だけ、第1嵌合部135よりも小径に形成されている。
【0049】
第2嵌合部136は、第2軸受B2が嵌合する部位である。第2嵌合部136には、第2軸受B2のインナーレース71が圧入されて相対回転不能な状態で嵌合している。インナーレース71は、第1嵌合部135に設けられたパーキングギヤ51のフランジ部513に対して、軸方向第2側L2から当接している。第2嵌合部136の径方向外側R2には、ケース9の隔壁部923の一部であって軸方向第1側L1に向かって突出する軸方向突出部924が、径方向視で第2嵌合部136と重複するように配置されている。そして、その軸方向突出部924の内周面に、第2軸受B2のアウターレース72が圧入されて相対回転不能な状態で嵌合している。
【0050】
本実施形態では、ケース9の隔壁部923の軸方向突出部924よりもさらに径方向外側R2に、パーキングギヤ51の筒状部511及び係合部512が、径方向視で軸方向突出部924及び第2嵌合部136と重複するように配置されている。そして、係合部512と第2嵌合部136に嵌合した第2軸受B2とが、径方向視で重複するように配置されている。
【0051】
このように、本実施形態では、
ロータ軸13の回転軸心に直交する方向を径方向Rとして、
パーキングギヤ51は、第1嵌合部135に嵌合するギヤ側嵌合部514と、ギヤ側嵌合部514に対して径方向外側R2に形成されて係合機構52が係合する係合部512と、を備え、
係合部512と第2軸受B2とが、径方向Rに沿う径方向視で重複するように配置されている。
【0052】
この構成によれば、パーキングギヤ51の係合部512に一定の軸方向L長さを確保しつつ、係合部512及び第2軸受B2のそれぞれの軸方向Lの配置領域が重なる分、パーキングギヤ51及び第2軸受B2の配置のためのスペースを小さく抑えることができる。よって、車両用駆動装置100全体の小型化を図ることができる。
【0053】
ロータ軸13の第2軸方向突出部133は、第2嵌合部136に対して軸方向第2側L2に隣接する位置に、軸方向第2側L2を向く段差面136aを有している。段差面136aは、第2嵌合部136の外周面から径方向内側R1に向かって延在している。そして、段差面136aの径方向内側R1の端部から軸方向第2側L2に延びるように、第3嵌合部137が設けられている。第3嵌合部137は、段差面136aの径方向Rの長さの分だけ、第2嵌合部136よりも小径に形成されている。本実施形態では、段差面136aが「第2段差面」に相当する。
【0054】
第3嵌合部137は、センサロータ62が嵌合する部位である。第3嵌合部137には、センサロータ62が圧入されて相対回転不能な状態で嵌合している。また、センサロータ62は、第3嵌合部137に対して軸方向第1側L1に隣接する位置に設けられた段差面136aに対して軸方向第2側L2から当接して軸方向Lに位置決めされている。センサロータ62は、段差面136aと、センサロータ62に対して軸方向第2側L2に配置されたスナップリング81との間に挟まれて、軸方向Lに位置決めされている。
【0055】
センサステータ61は、本実施形態では、ケース9に直接支持されるのではなく、第2軸受B2を介して間接的にケース9に支持されている。本実施形態では、第2軸受B2のアウターレース72は、軸方向第2側L2に向かって突出するように一体形成されたセンサ保持部72Aを有している。センサ保持部72Aは、センサロータ62に対して径方向外側R2に配置されるセンサステータ61を一体的に保持している。こうして、本実施形態のセンサステータ61は、アウターレース72に一体的に連結されて、アウターレース72を介してケース9の隔壁部923の軸方向突出部924に支持されている。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の車両用駆動装置100は、
ロータ12を備えた回転電機1と、
それぞれが車輪Wに駆動連結される一対の出力部材2と、
ロータ12と一体的に回転するロータ軸13と、
ロータ軸13の回転を減速する減速機3と、
減速機3を介して伝達されるロータ軸13の回転を一対の出力部材2に分配する差動歯車機構4と、
一対の出力部材2の回転を規制するためのパーキングロック機構5と、
ロータ12の回転を検出する回転センサ6と、
ロータ軸13を回転自在に支持する第2軸受B2と、
を備えた車両用駆動装置100であって、
ロータ軸13の回転軸心に沿う方向を軸方向Lとし、軸方向Lの一方側を軸方向第1側L1とし、軸方向Lの他方側を軸方向第2側L2として、
ロータ12と差動歯車機構4とが同軸上に配置され、
ロータ12、減速機3、及び差動歯車機構4が、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向けて記載の順に配置され、
パーキングロック機構5は、パーキングギヤ51と、パーキングギヤ51に対して選択的に係合してパーキングギヤ51の回転を規制する係合機構52と、を備え、
回転センサ6は、ロータ軸13と一体的に回転するセンサロータ62を備え、
ロータ軸13の外周面におけるロータ12と減速機3との軸方向Lの間の領域に、パーキングギヤ51が嵌合する第1嵌合部135と、第2軸受B2が嵌合する第2嵌合部136と、センサロータ62が嵌合する第3嵌合部137とが形成され、
第1嵌合部135、第2嵌合部136、及び第3嵌合部137は、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向けて記載の順に配置され、
第1嵌合部135の外径は第2嵌合部136の外径より大きく、第2嵌合部136の外径は第3嵌合部137の外径より大きい。
【0057】
この構成によれば、ロータ軸13の外周面に形成された第1嵌合部135、第2嵌合部136、及び第3嵌合部137を段階的に小径となるように形成することで、パーキングギヤ51と第2軸受B2とに加え、回転センサ6も含めて、これらを互いに接近させて配置することが容易である。よって、回転電機1と減速機3との間に第2軸受B2とパーキングギヤ51とを備え、さらに回転センサ6を備える車両用駆動装置において、軸方向Lの小型化を図ることができる。
【0058】
この場合において、
ロータ軸13の回転軸心に直交する方向を径方向Rとして、
第2軸受B2は、第2嵌合部136に嵌合されたインナーレース71と、インナーレース71に対して径方向外側R2に配置されて非回転部材である隔壁部923に支持されたアウターレース72と、を備え、
回転センサ6は、センサロータ62に対して径方向外側R2に配置されたセンサステータ61を備え、
センサステータ61が、アウターレース72に一体的に連結され、アウターレース72を介して隔壁部923に支持されていることが好ましい。
【0059】
この構成によれば、センサステータ61を支持するための支持部を、隔壁部923やその他の非回転部材に別途設ける必要がない。よって、第2軸受B2及び回転センサ6の配置のためのスペースを小さく抑えることができ、ひいては、これらを配置しつつ車両用駆動装置100全体のさらなる小型化を図ることができる。
【0060】
また、
第2軸受B2は、第2嵌合部136に嵌合されたインナーレース71を備え、
ロータ軸13は、第1嵌合部135に対して軸方向第1側L1に隣接する位置に軸方向第2側L2を向く段差面134aを有し、
パーキングギヤ51は、段差面134aとインナーレース71との軸方向Lの間に挟まれて軸方向Lに位置決めされていることが好ましい。
【0061】
この構成によれば、ロータ軸13に形成された段差面134aとインナーレース71とで挟むことで、例えばスナップリング等の他の部材を設けることなく、パーキングギヤ51を軸方向Lに位置決めすることができる。しかも、軸方向Lに並べて配置されるパーキングギヤ51とインナーレース71とが直接接するので、パーキングギヤ51及び第2軸受B2の配置のためのスペースを小さく抑えることができ、ひいては、車両用駆動装置100全体のさらなる小型化を図ることができる。
【0062】
また、
ロータ軸13は、第2嵌合部136と第3嵌合部137との軸方向Lの間に軸方向第2側L2を向く段差面136aを有し、
センサロータ62は、段差面136aに対して軸方向第2側L2から当接して軸方向Lに位置決めされていることが好ましい。
【0063】
この構成によれば、ロータ軸13に形成された段差面136aを利用することで、軸方向第1側L1には例えばスナップリング等の他の部材を設けることなく、センサロータ62を軸方向Lに位置決めすることができる。よって、回転センサ6の配置のためのスペースを小さく抑えることができ、ひいては、車両用駆動装置100全体のさらなる小型化を図ることができる。
【0064】
このような構成において、回転電機1、ロータ軸13、パーキングギヤ51、第2軸受B2、及び回転センサ6は、例えば以下のようにして組み付けることができる。
【0065】
まず、軸本体部131にロータ12が固定されたロータ軸13の第1嵌合部135に、軸方向第2側L2からパーキングギヤ51を取り付け、さらに第2嵌合部136に第2軸受B2のインナーレース71を取り付ける。このとき、パーキングギヤ51が段差面134aとインナーレース71とで軸方向Lに挟まれた状態となる。その後、ロータ軸13の第3嵌合部137に、軸方向第2側L2から回転センサ6のセンサロータ62を取り付け、さらにスナップリング81を取り付ける。このとき、センサロータ62が段差面136aとスナップリング81とで軸方向Lに挟まれた状態となる。
【0066】
次に、これらのロータ12、ロータ軸13、パーキングギヤ51、インナーレース71、及びセンサロータ62が一体化されたユニットを、ステータ11が固定された第1ケース部91に組み付ける。
【0067】
また、第2ケース部92の隔壁部923の軸方向突出部924に、軸方向第1側L1から第2軸受B2のアウターレース72を取り付ける。本実施形態では、アウターレース72のセンサ保持部72Aにセンサステータ61が一体的に保持されているので、軸方向突出部924にアウターレース72を取り付けることにより、センサステータ61も間接的に軸方向突出部924に支持された状態となる。なお、本例では、組付時にはボール73はアウターレース72に保持されることを想定しているが、インナーレース71に保持されても良い。
【0068】
次に、これらの隔壁部923、アウターレース72、ボール73、及びセンサステータ61が一体化された第1のユニットを、第1ケース部91、ステータ11、ロータ12、ロータ軸13、パーキングギヤ51、インナーレース71、及びセンサロータ62が一体化された第2のユニットに組み付ける。
【0069】
上述したように、本実施形態では、ロータ軸13の外周面に形成された第1嵌合部135、第2嵌合部136、及び第3嵌合部137を、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かうに従って段階的に小径となるように(言い換えれば、階段状に)形成した。このため、ロータ軸13に対して、軸方向第2側L2から、パーキングギヤ51、インナーレース71、及びセンサロータ62の順に嵌合させることができ、これらを容易に組み付けることができる。また、それにより得られるユニット(上記の第2のユニット)に、センサステータ61が一体的に保持されているアウターレース72が嵌合された隔壁部923(上記の第1のユニット)を軸方向第2側L2から取り付けることで、これらの組み付けも容易に行うことができる。
【0070】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、パーキングギヤ51が段差面134aと第2軸受B2のインナーレース71との間に挟まれて軸方向Lに位置決めされている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、パーキングギヤ51は少なくとも段差面134aに対して軸方向第2側L2から当接して軸方向Lに位置決めされていれば良い。例えばパーキングギヤ51が、段差面134aと、軸方向第2側L2に取り付けられるスナップリングとの間に挟まれて軸方向Lに位置決めされても良い。
【0071】
(2)上記の実施形態では、第2軸受B2のインナーレース71が、パーキングギヤ51に対して軸方向第2側L2から当接して軸方向Lに位置決めされている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、インナーレース71が例えば段差面135aに対して軸方向第2側L2から当接して軸方向Lに位置決めされても良い。
【0072】
(3)上記の実施形態では、第2軸受B2のアウターレース72にセンサ保持部72Aが一体的に形成され、そのセンサ保持部72Aにセンサステータ61が保持されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばセンサステータ61が固定部材を用いてアウターレース72の側面に直接固定されても良い。
【0073】
(4)上記の実施形態では、第2軸受B2のアウターレース72と回転センサ6のセンサステータ61とが一体的に設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、アウターレース72とセンサステータ61とが互いに独立した部品として別々に設けられても良い。
【0074】
(5)上記の実施形態では、パーキングギヤ51の係合部512と第2軸受B2とが径方向視で重複するように配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、係合部512と第2軸受B2とが径方向視で重複せず、これらの軸方向Lの配置領域が互いに異なっていても良い。
【0075】
(6)上記の実施形態では、回転電機1、出力部材2、減速機3、及び差動歯車機構4が同軸上に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、少なくとも回転電機1、出力部材2、及び差動歯車機構4が同軸上に配置されていれば、減速機3はこれらとは異なる軸上に配置されても良い。
【0076】
(7)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1:回転電機、2:出力部材、3:減速機、4:差動歯車機構、5:パーキングロック機構、6:回転センサ、9:ケース、11:ステータ、11a:ステータコア、11b:ステータコイル、11c:第1コイルエンド部、11d:第2コイルエンド部、12:ロータ、12a:ロータコア、13:ロータ軸、15:サンギヤ形成部材、21:第1出力部材、22:第2出力部材、31:遊星歯車機構、41:軸部材、42:ピニオンギヤ、43:サイドギヤ、43a:連結部、46:差動ケース、46a:第1部材、46b:第2部材、47:締結部材、51:パーキングギヤ、52:係合機構、61:センサステータ、62:センサロータ、71:インナーレース、72:アウターレース、72A:センサ保持部、73:ボール、81:スナップリング、91:第1ケース部、92:第2ケース部、93:カバー部、100:車両用駆動装置、131:軸本体部、132:第1軸方向突出部、133:第2軸方向突出部、134:ロータコア支持部、134a:段差面(第1段差面)、135:第1嵌合部、135a:段差面、136:第2嵌合部、136a:段差面(第2段差面)、137:第3嵌合部、511:筒状部、512:係合部、513:フランジ部、514:ギヤ側嵌合部、911:第1周壁部、921:第2周壁部、922:第1側壁部、923:隔壁部(支持部材)、924:軸方向突出部、B1:第1軸受、B2:第2軸受(ロータ軸受)、CR:キャリヤ、DS1:第1ドライブシャフト、DS2:第2ドライブシャフト、L:軸方向、L1:軸方向第1側、L2:軸方向第2側、PG1:第1ピニオンギヤ、PG2:第2ピニオンギヤ、R:径方向、R1:径方向内側、R2:径方向外側、RG1:第1リングギヤ、RG2:第2リングギヤ、SG:サンギヤ、W:車輪