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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150310
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/42 20060101AFI20231005BHJP
   B01D 46/24 20060101ALI20231005BHJP
   B01D 39/12 20060101ALI20231005BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20231005BHJP
   F16K 17/04 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
B01D46/42 A
B01D46/24 Z
B01D39/12
B01D39/20 A
F16K17/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059353
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】谷口 徹
(72)【発明者】
【氏名】村上 直子
【テーマコード(参考)】
3H059
4D019
4D058
【Fターム(参考)】
3H059AA09
3H059CD05
3H059EE01
4D019AA01
4D019BA02
4D019BB02
4D019BB06
4D019BB09
4D019CA03
4D019CB04
4D058JA02
4D058JB03
4D058JB22
4D058KB05
4D058PA04
4D058PA12
4D058PA16
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA19
4D058SA20
4D058TA11
(57)【要約】
【課題】目詰まりを速やかに把握すると共に、目詰まりが生じた際の蒸気の通過流量の低下を抑制する。
【解決手段】フィルタ装置5は、蒸気が流入してくる第1室541と、第1室541から連通路543を介して蒸気が流入してくる第2室542とが区画された気体室54と、第1室541に設けられ、第1室541の蒸気が通過して気体室54の外部に流出する第1フィルタ56と、第2室542に設けられ、第2室542の蒸気が通過して気体室54の外部に流出する第2フィルタ57と、第1室541の圧力が閾値以上になると連通路543を開放する弁機構58とを備える。第2フィルタ57は、蒸気の単位通過流量当たりの通過音の大きさが第1フィルタ56よりも大きい。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が流入してくる第1室と、前記第1室から連通路を介して気体が流入してくる第2室とが区画された気体室と、
前記第1室に設けられ、前記第1室の気体が通過して前記気体室の外部に流出する第1フィルタと、
前記第2室に設けられ、前記第2室の気体が通過して前記気体室の外部に流出する第2フィルタと、
前記第1室の圧力が閾値以上になると前記連通路を開放する弁機構とを備え、
前記第2フィルタは、気体の単位通過流量当たりの通過音の大きさが前記第1フィルタよりも大きい
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ装置において、
前記第2フィルタは、気体の通過面積が前記第1フィルタよりも小さい
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフィルタ装置において、
前記気体室は、柱状に形成され、
前記第1室と前記第2室とは、前記連通路が形成された仕切壁によって前記気体室の軸方向に仕切られており、
前記第1フィルタは、前記第1室の周壁を形成しており、
前記第2フィルタは、前記第2室の周壁を形成している
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のフィルタ装置において、
前記弁機構は、前記第2室に設けられ、前記連通路を開閉する弁体と、前記弁体を閉弁方向に付勢するバネとを有し、前記第1室の圧力が前記閾値以上になると、前記弁体が前記バネの付勢力に抗して開弁方向に変位する
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のフィルタ装置において、
前記第1フィルタは、焼結金属フィルタであり、
前記第2フィルタは、非焼結金属フィルタである
ことを特徴とするフィルタ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に開示されているように、クリーンオーブンなどのガス使用機器に用いられるフィルタ装置が知られている。このクリーンオーブンでは、半導体や液晶パネルの製造のために供給される空気や窒素などの気体が、フィルタ装置を通過することで塵埃が分離除去されて清浄化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-156089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したクリーンオーブンなどの気体使用装置においては、フィルタ装置に目詰まりが生じると、気体の通過流量が著しく低下ないしゼロとなる虞がある。そのため、こうした目詰まりはできるだけ早く把握して、フィルタ装置の清掃や交換などの処置を行うことが望まれる。一方、フィルタ装置に目詰まりが生じた際において、気体の通過流量が低下等することを抑制したいという要望がある。
【0005】
本開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、目詰まりを速やかに把握すると共に、目詰まりが生じた際の気体の通過流量の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のフィルタ装置は、気体室と、第1フィルタと、第2フィルタと、弁機構とを備えている。前記気体室では、気体が流入してくる第1室と、前記第1室から連通路を介して気体が流入してくる第2室とが区画されている。前記第1フィルタは、前記第1室に設けられ、前記第1室の気体が通過して前記気体室の外部に流出する。前記第2フィルタは、前記第2室に設けられ、前記第2室の気体が通過して前記気体室の外部に流出する。前記弁機構は、前記第1室の圧力が閾値以上になると前記連通路を開放する。そして、前記第2フィルタは、気体の単位通過流量当たりの通過音の大きさが前記第1フィルタよりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
前記のフィルタ装置によれば、目詰まりを速やかに把握すると共に、目詰まりが生じた際の気体の通過流量の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、蒸気オーブンの概略構成を示す図である。
図2図2は、フィルタノズルの概略構成を示す断面図である。
図3図3は、図2におけるフィルタノズルを右側から視て示す図である。
図4図4は、図2に示すX-X線の断面図である。
図5図5は、フィルタノズルの弁機構の構成を示す拡大断面図である。
図6図6は、図5に示すY-Y線の断面図である。
図7図7は、弁機構の開弁状態を示す図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、蒸気オーブン100の概略構成を示す図である。蒸気オーブン100は、例えば食料品工場に設けられ、蒸気によって食材を焼くまたは蒸すなどして加熱調理するものである。具体的に、蒸気オーブン100では、フィルタノズル5から流出した蒸気によって食材が加熱調理される。
【0011】
この例において、蒸気は、気体の一例である。蒸気オーブン100は、気体を用いて各種処理を行う気体使用装置の一例である。フィルタノズル5は、フィルタ装置の一例である。
【0012】
蒸気オーブン100は、ケーシング1と、ファン3と、加熱器4と、フィルタノズル5とを備えている。
【0013】
ケーシング1内には、調理室11および循環流路14が形成されている。調理室11は、加熱調理する食材を収容する。循環流路14は、フィルタノズル5から流出した蒸気を調理室11との間で循環させる。具体的に、循環流路14は、流出端である一端が調理室11の流入口12と接続され、流入端である他端が調理室11の流出口13と接続されている。調理室11では、循環流路14から蒸気が流入口12を介して流入する一方、流出口13から蒸気が循環流路14に流出する。
【0014】
循環流路14には、流出口13側から順に、フィルタノズル5、加熱器4およびファン3が設けられている。つまり、循環流路14では、蒸気が、フィルタノズル5、加熱器4およびファン3の順に通過する。
【0015】
フィルタノズル5には、蒸気の供給管6が接続されている。フィルタノズル5は、供給管6から供給された蒸気を循環流路14に流出させる。より詳しくは、フィルタノズル5は供給管6からの蒸気を吹き出す。加熱器4は、フィルタノズル5から流出した蒸気を所定温度に加熱する。加熱器4は、例えば電気ヒータである。なお、加熱器4は、熱媒体が蒸気と熱交換して蒸気を加熱する加熱コイル等の熱交換器であってもよい。
【0016】
ファン3は、加熱器4で加熱された蒸気を吸い込んで、調理室11の流入口12側へ向かって吹き出す。つまり、ファン3は、調理室11から流出した蒸気が、フィルタノズル5から流出した新たな蒸気と混合して調理室11に戻る、蒸気の循環流れを形成する。こうして、蒸気の循環流れが形成されることで、調理室11内の食材が蒸気によって加熱調理される。
【0017】
次に、フィルタノズル5の構成について詳細に説明する。図2は、フィルタノズル5の概略構成を示す断面図である。図3は、図2におけるフィルタノズル5を右側から視て示す図である。図4は、図2に示すX-X線の断面図である。
【0018】
フィルタノズル5は、蒸気のろ過機能を有するノズルである。具体的に、フィルタノズル5は、区画部材50と、第1フィルタ56と、第2フィルタ57と、弁機構58とを備えている。
【0019】
区画部材50は、気体室54を区画形成している。気体室54は、供給管6からの蒸気が流入し得る空間である。区画部材50は、フィルタノズル5の略外郭を形成している。区画部材50は、柱状、詳しくは略円柱状に形成されている。つまり、気体室54は、柱状、詳しくは略円柱状に形成されている。
【0020】
区画部材50は、軸方向の両端に位置する第1区画壁51および第2区画壁52を有している。そして、この例では、第1フィルタ56および第2フィルタ57が、区画部材50における軸回りの周壁を形成している。こうして、気体室54は、第1区画壁51および第2区画壁52と、第1フィルタ56および第2フィルタ57とで区画されている。
【0021】
気体室54には、蒸気が流入してくる第1室541と、第1室541から連通路543を介して蒸気が流入してくる第2室542とが区画されている。具体的に、第1室541と第2室542とは、連通路543が形成された仕切壁53によって気体室54の軸方向に仕切られている。つまり、仕切壁53は、区画部材50の軸方向において、第1区画壁51と第2区画壁52との間に配置されている。また、第1区画壁51、仕切壁53および第2区画壁52は、互いに同軸に設けられている。
【0022】
第1フィルタ56は、第1区画壁51と仕切壁53との間に設けられて、第1室541の周壁を形成している。つまり、第1フィルタ56は第1室541に設けられている。第2フィルタ57は、仕切壁53と第2区画壁52との間に設けられて、第2室542の周壁を形成している。つまり、第2フィルタ57は第2室542に設けられている。
【0023】
より詳しくは、第1フィルタ56および第2フィルタ57は、何れも円筒状に形成されている。第1フィルタ56は、第1区画壁51と仕切壁53とによって挟持され、第2フィルタ57は、仕切壁53と第2区画壁52とによって挟持されている。こうして、第1室541は、第1区画壁51、仕切壁53および第1フィルタ56によって区画されている。第2室542は、仕切壁53、第2区画壁52および第2フィルタ57によって区画されている。
【0024】
第1区画壁51には、供給管6が接続されている。第1区画壁51には、第1室541に開口する流入口55が形成されている。つまり、流入口55は、供給管6と第1室541とを連通させる。供給管2からの蒸気は、流入口55を介して第1室541に流入する。流入口55は、区画部材50および気体室54と同軸に形成されている。
【0025】
連通路543は、前述の如く、仕切壁53に形成されている。連通路543は、第1室541と第2室542とを連通させる。つまり、連通路543は、第1室541と第2室542とに開口している。連通路543は、区画部材50および気体室54と同軸に形成されている。この例では、連通路543の開口面積は、流入口55の開口面積よりも小さい。
【0026】
第1フィルタ56は、第1室541の蒸気が通過して気体室54の外部に流出するものである。第2フィルタ57は、第2室542の蒸気が通過して気体室54の外部に流出するものである。この例において、気体室54の外部は、循環流路14である。つまり、第1フィルタ56は、第1室541の流出口を形成し、第2フィルタ57は、第2室542の流出口を形成している。第1フィルタ56および第2フィルタ57は、蒸気が通過する際、蒸気中の異物を分離除去する、ろ材である。
【0027】
区画部材50では、第1区画壁51と仕切壁53とが第1シャフト50aによって連結され、仕切壁53と第2区画壁52とが第2シャフト50bによって連結されている。具体的に、第1シャフト50aおよび第2シャフト50bのそれぞれは、区画部材50の軸方向に延びている。第1シャフト50aは、第1フィルタ56の外周に複数配置されている。第2シャフト50bは、第2フィルタ57の外周に複数配置されている。
【0028】
第1シャフト50aおよび第2シャフト50bのぞれぞれの両端部には、雄ねじが形成されている。図2図4に示すように、第1シャフト50aの一端は、仕切壁53の周縁部に形成された貫通孔に螺合している。第1シャフト50aの他端は、第1区画壁51の周縁部に形成された貫通孔に挿入されナット50cで締結されている。こうして第1区画壁51と仕切壁53とが連結されることで、第1フィルタ56が第1区画壁51および仕切壁53によって挟持される。図2図3に示すように、第2シャフト50bの一端は、仕切壁53の周縁部に形成された貫通孔に螺合している。第2シャフト50bの他端は、第2区画壁52の周縁部に形成された貫通孔に挿入されナット50cで締結されている。こうして仕切壁53と第2区画壁52とが連結されることで、第2フィルタ57が仕切壁53および第2区画壁52によって挟持される。
【0029】
このように構成された区画部材50によれば、例えば、第1フィルタ56を交換する場合には、ナット50cを外して第1区画壁51を第1シャフト50aから抜くことで、第1フィルタ56を取り外すことができる。また、第2フィルタ57を交換する場合には、ナット50cを外して第2区画壁52を第2シャフト50bから抜くことで、第2フィルタ57を取り外すことができる。
【0030】
弁機構58は、第1フィルタ56に目詰まりが生じた際、第1室541から蒸気を第2室542に流入させて第2フィルタ57から流出させる。弁機構58は、第1室541の圧力が閾値以上になると、連通路543を開放する。つまり、弁機構58は、第1室541の圧力が閾値未満のときは、連通路543を閉鎖する。つまり、第1フィルタ56に目詰まりが生じることにより第1室541の圧力が閾値以上になると、連通路543が開放される。
【0031】
図5は、フィルタノズル5の弁機構58の構成を示す拡大断面図である。弁機構58は、第2室542に設けられている。弁機構58は、弁体581と、弁座582と、バネ583と、バネ受け584とを有している。
【0032】
弁体581は、連通路543を開閉する。弁体581は、第2室542に収容されており、連通路543と同軸の円板状に形成されている。弁体581は、第2室542(即ち、気体室54)の軸方向に変位自在に設けられている。つまり、弁体581は、第2室542の軸方向に変位することによって連通路543を開閉する。
【0033】
弁座582は、仕切壁53に形成されている。具体的に、弁座582は、連通路543の第2室542側の開口端の周縁に設けられている。弁座582は、環状に形成されている。弁体581は、第2室542の軸方向に変位することで弁座582に離着座し、連通路543を開閉する。つまり、弁体581は、弁座582に着座することで連通路543を閉鎖し、弁座582から離座することで連通路543を開放する。
【0034】
バネ583は、弁体581を閉弁方向に付勢する。バネ583は、例えばコイルバネにより形成されている。バネ583は、第2室542において弁体581よりも第2区画壁52側に設けられている。バネ583の一端は、弁体581に接続されている。より詳しくは、バネ583の一端は、弁体581に形成された環状の凹部に嵌め込まれて接続されている。バネ583の他端は、バネ受け584によって支持されている。
【0035】
図6は、図5に示すY-Y線の断面図である。弁機構58には、弁体581のガイド部585が設けられている。ガイド部585は、弁体581と同軸の円筒状に形成されており、第2室542において弁体581の外周側に設けられている。より詳しくは、ガイド部585は、仕切壁53と一体形成されている。弁体581は、ガイド部585の内周面と摺動自在に設けられている。つまり、弁体581は、ガイド部585の内周面に沿って、第2室542の軸方向に変位する。ガイド部585の内周面には、リング状のストッパ586が設けられている。ストッパ586は、弁体581の第2区画壁52側への変位を規制する。
【0036】
また、ガイド部585と弁体581との間には、蒸気を流通させるための流通部581aが形成されている。流通部581aは、弁体581の周方向において複数設けられている。流通部581aは、弁体581の周縁が部分的に切除されることにより形成される。この構成によれば、連通路543から第2室542に流入した蒸気は、流通部581aを通って、第2フィルタ57から流出する。
【0037】
また、弁機構58には、バネ583の付勢力を調整する調整ネジ588が設けられている。調整ネジ588は、第2室542の軸方向に第2区画壁52を貫通している。より詳しくは、調整ネジ588は、第2室542の軸方向に進退自在に第2区画壁52に螺合している。調整ネジ588を進退させることにより、バネ受け584が第2室542の軸方向に変位する。バネ受け584が変位することにより、バネ583の付勢力が変更される。具体的に、バネ受け584が弁体581側へ変位すると、バネ583の付勢力は増大し、バネ受け584が第2区画壁52側へ変位すると、バネ583の付勢力は減少する。
【0038】
また、弁機構58には、バネ受け584のガイド部587が設けられている。ガイド部587は、弁体581と同軸の円筒状に形成されており、第2室542においてバネ受け584の外周側に設けられている。ガイド部587は、第2区画壁52と一体形成されている。バネ受け584は、ガイド部587の内周面に沿って変位する。
【0039】
弁機構58では、例えば第1フィルタ56の目詰まりによって第1室541の圧力が閾値以上になると、弁体581がバネ583の付勢力に抗して開弁方向に変位する。そのため、弁体581が弁座582から離座し、連通路543が開放される。これにより、第1室541から蒸気が第2室542に流入して第2フィルタ57から流出し得る。また、弁機構58では、第1室541の圧力が閾値未満になると、弁体581がバネ583の付勢力によって閉弁方向に変位する。そのため、弁体581が弁座582に着座し、連通路543が閉鎖される。この場合、第1フィルタ56に目詰まりは実質的には生じておらず、第1室541の蒸気は第1フィルタ56から流出する。
【0040】
このように、第1フィルタ56に目詰まりが生じていない通常時は、蒸気は第1フィルタ56を通過して流出し、第1フィルタ56に目詰まりが生じた非常時は、蒸気は第2フィルタ57を通過して流出する。つまり、フィルタノズル5では、第1フィルタ56は通常時のメインフィルタとして機能し、第2フィルタ57は非常時の予備フィルタとして機能する。この構成により、フィルタノズル5では、第1フィルタ56に目詰まりが生じた際でも、気体の通過流量の低下が抑制される。
【0041】
第2フィルタ57は、蒸気の単位通過流量当たりの通過音の大きさが第1フィルタ56よりも大きい。蒸気の通過音は、蒸気が第1フィルタ56または第2フィルタ57を通過する際に発生する異音である。
【0042】
具体的に、第1フィルタ56および第2フィルタ57は、互いにフィルタの種類が異なる。この例では、第1フィルタ56は、焼結金属フィルタである。第2フィルタ57は、非焼結金属フィルタ、即ち焼結金属製でないフィルタである。焼結金属フィルタは、粒子径の異なる複数種の金属粉末を焼結成形してなる金属ろ材である。第2フィルタ57は、例えば、金網やパンチングプレートである。金網は、縦の金属線と横の金属線とが織られてなる金属ろ材である。パンチングプレートは、鋼板を打ち抜いて多数の孔を形成した金属ろ材である。この例では、第1フィルタ56の孔径は、第2フィルタ57の孔径よりも小さい。
【0043】
また、第2フィルタ57は、蒸気の通過面積が第1フィルタ56よりも小さい。具体的には、図2に示すように、第1室541の容積は、第2室542の容積よりも大きい。より詳しくは、第1室541の軸方向長さは、第2室542の軸方向長さよりも長い。そのため、第1フィルタ56の軸方向長さは、第2フィルタ57の軸方向長さよりも長い。そのため、第1フィルタ56の内周面の面積は、第2フィルタ57の内周面の面積よりも大きい。なお、この例では、第1フィルタ56および第2フィルタ57は、互いに径が略同じである。
【0044】
以上のように構成されたフィルタノズル5では、供給管6からの蒸気が第1室541に流入する。この状態では、第1室541の圧力が閾値未満であり、連通路543が弁機構58によって閉鎖されている。第1室541の蒸気は、第1フィルタ56を通過して循環流路14に流出する(図2に示す矢印参照)。蒸気が第1フィルタ56を通過する際、蒸気中の異物が分離除去される。こうして、フィルタノズル5から循環流路14に清浄な蒸気が供給される。
【0045】
図7は、弁機構58の開弁状態を示す図5相当図である。ここで、第1フィルタ56に目詰まりが生じると、第1室541の圧力が閾値以上まで上昇し得る。第1室541の圧力が閾値以上になると、図7に示すように、弁機構58が開弁することによって連通路543が開放される。そうすると、第1室541に滞留していた蒸気が、連通路543を介して第2室542に流入する。第2室542に流入した蒸気は、第2フィルタ57を通過して循環流路14に流出する(図7に示す矢印参照)。蒸気が第2フィルタ57を通過する際、蒸気中の異物が分離除去される。こうして、フィルタノズル5から循環流路14に清浄な蒸気が供給される。
【0046】
このように、フィルタノズル5では、第1フィルタ56に目詰まりが生じた際、蒸気が第2フィルタ57を通過して循環流路14に流出する。そのため、フィルタノズル5では、フィルタにおける蒸気の通過流量の低下が抑制される。そのため、循環流路14に対する清浄な蒸気の供給流量の低下が抑制される。
【0047】
また、第2フィルタ57の蒸気の通過音が、第1フィルタ56の蒸気の通過音よりも大きいため、蒸気が第2フィルタ57を通過すると、その蒸気の通過音がユーザに十分に聴こえ得る。これにより、第1フィルタ56に目詰まりが生じたことが、蒸気の通過音によって報知される。そのため、第1フィルタ56の目詰まりを速やかに把握することができる。したがって、第1フィルタ56の清掃や交換を速やかに行うことができる。このように、フィルタの目詰まりが速やかに把握されると共に、目詰まりが生じた際の蒸気の通過流量の低下が抑制される。
【0048】
また、第2フィルタ57の蒸気の通過面積が、第1フィルタ56の蒸気の通過面積よりも小さいため、第2フィルタ57における蒸気の通過流速が、第1フィルタ56における蒸気の通過流速よりも大きくなる。そのため、第2フィルタ57における蒸気の通過音が増大し得る。したがって、第1フィルタ56に目詰まりが生じたことを確実に把握することができる。
【0049】
以上のように、前記実施形態のフィルタノズル5は、気体室54と、第1フィルタ56と、第2フィルタ57と、弁機構58とを備えている。気体室54では、蒸気が流入してくる第1室541と、第1室541から連通路543を介して蒸気が流入してくる第2室542とが区画されている。第1フィルタ56は、第1室541に設けられ、第1室541の蒸気が通過して気体室54の外部に流出する。第2フィルタ57は、第2室542に設けられ、第2室542の蒸気が通過して気体室54の外部に流出する。弁機構58は、第1室541の圧力が閾値以上になると連通路543を開放する。そして、第2フィルタ57は、蒸気の単位通過流量当たりの通過音の大きさが第1フィルタ56よりも大きい。
【0050】
この構成によれば、第1フィルタ56に目詰まりが生じて第1室541の圧力が閾値以上になると、連通路543が開放される。そうすると、第1室541から蒸気が第2室542に流入して第2フィルタ57から流出する。そのため、目詰まりが生じた際でも、蒸気の通過流量の低下を抑制することができる。また、第2フィルタ57の蒸気の通過音が、第1フィルタ56の蒸気の通過音よりも大きいため、蒸気が第2フィルタ57を通過することで、蒸気の通過音がユーザに十分に聴こえ得る。そのため、蒸気の通過音をもって、第1フィルタ56の目詰まりを速やかに把握することができる。このように、フィルタの目詰まりを速やかに把握することができると共に、目詰まりが生じた際の蒸気の通過流量の低下を抑制することができる。
【0051】
また、第2フィルタ57の蒸気の通過音によって第1フィルタ56の目詰まりを把握できることから、第2フィルタ57は第1フィルタ56の目詰まりを報知する報知機構を兼ねている。そのため、報知機構を別途設けなくてもよい。
【0052】
また、前記実施形態のフィルタノズル5において、第2フィルタ57は、蒸気の通過面積が第1フィルタ56よりも小さい。
【0053】
この構成によれば、第2フィルタ57における蒸気の通過流速が、第1フィルタ56における蒸気の通過流速よりも大きくなる。そのため、第2フィルタ57における蒸気の通過音を増大させることができる。したがって、第1フィルタ56に目詰まりが生じたことを確実に把握することができる。
【0054】
また、前記実施形態のフィルタノズル5において、弁機構58は、第2室542に設けられ、連通路543を開閉する弁体581と、弁体581を閉弁方向に付勢するバネ583とを有し、第1室541の圧力が閾値以上になると、弁体581がバネ583の付勢力に抗して開弁方向に変位する。
【0055】
この構成によれば、第1室541の圧力とバネ583の付勢力との大小関係によって、連通路543が開閉される。そのため、第1室541の圧力を検出する圧力センサや、その圧力センサの検出値に基づいて連通路543を開閉する電磁弁等の電気機器が不要である。したがって、電気機器の故障等によって連通路543が開放不可となる事態を未然に防止することができる。
【0056】
また、前記実施形態のフィルタノズル5において、第1フィルタ56は、焼結金属フィルタであり、第2フィルタ57は、非焼結金属フィルタである。
【0057】
この構成によれば、簡易に、第2フィルタ57の蒸気の単位通過流量当たりの通過音の大きさを第1フィルタ56のそれよりも大きくすることができる。
【0058】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0059】
例えば、気体室54における第1室541および第2室542の区画態様は、前述したものに限られず、第1室541と第2室542とが連通路543を介して連通する区画態様であれば如何なるものでもよい。
【0060】
また、第1フィルタ56および第2フィルタ57は、互いに蒸気の通過面積が同じであってもよい。また、第1フィルタ56の蒸気の通過面積が、第2フィルタ57の蒸気の通過面積よりも小さくてもよい。
【0061】
また、第2フィルタ57の蒸気の単位通過流量当たりの通過音の大きさを第1フィルタ56のそれよりも大きくすることができるのであれば、フィルタの種類や孔径の大きさについては前述したものに限られない。
【0062】
また、弁機構58は、電動弁や電磁弁により形成するようにしてもよい。
【0063】
また、本開示のフィルタ装置で扱う気体は、蒸気に限られず、例えば空気を対象としてもよい。
【0064】
また、本開示のフィルタ装置は、蒸気オーブン100以外の蒸気使用装置に用いるようにしてもよいし、蒸気以外の気体の使用装置に用いるようにしてもよい。
【0065】
また、本開示のフィルタ装置は、蒸気を吹き出す蒸気ノズルとして用いたが、例えば、蒸気システムにおける蒸気の供給配管の途中に設けられ、その供給配管を流れる蒸気を清浄にするフィルタとして用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本開示の技術は、フィルタ装置について有用である。
【符号の説明】
【0067】
5 フィルタノズル(フィルタ装置)
53 仕切壁
54 気体室
541 第1室
542 第2室
543 連通路
56 第1フィルタ
57 第2フィルタ
58 弁機構
581 弁体
583 バネ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7