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特開2023-150320施設管理システム、施設管理方法、及び施設管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150320
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】施設管理システム、施設管理方法、及び施設管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20231005BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059372
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】島川 智行
(72)【発明者】
【氏名】川西 康友
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC29
(57)【要約】
【課題】施設に関する様々なデータを利用して施設のエネルギー消費量を最適化することが可能な施設管理システム、施設管理方法、及び施設管理プログラムを提供すること。
【解決手段】施設管理システムは、施設内の設備の計測データ及び前記施設に対応する環境データを含む施設データを取得する取得処理部と、前記取得処理部により取得される前記施設データのそれぞれについて、設備の設定操作により出力値を調整可能なデータであるか又は設備の設定操作により出力値を調整不可能なデータであるかを識別する識別処理部と、第1設備に対応する調整可能な第1施設データと、前記第1施設データに関連する調整不可能な第2施設データとに基づいて、前記第1施設データの最適設定値を推定する推定処理部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の設備の計測データ及び前記施設に対応する環境データを含む施設データを取得する取得処理部と、
前記取得処理部により取得される前記施設データのそれぞれについて、出力値を調整可能なデータであるか又は出力値を調整不可能なデータであるかを識別する識別処理部と、
第1設備に対応する調整可能な第1施設データと、前記第1施設データに関連する調整不可能な第2施設データとに基づいて、前記第1施設データの最適設定値を推定する推定処理部と、
を備える施設管理システム。
【請求項2】
前記環境データには、気象、前記施設内の人流、日射時間に関するデータが含まれる、
請求項1に記載の施設管理システム。
【請求項3】
前記識別処理部は、前記施設データに含まれる日時、名称、数値、ON/OFF、及び単位の少なくともいずれかの情報に基づいて、前記施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別する、
請求項1又は2に記載の施設管理システム。
【請求項4】
前記識別処理部は、複数の前記施設のそれぞれに対応する過去の前記施設データを用いて機械学習することにより、前記施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の施設管理システム。
【請求項5】
前記推定処理部は、調整不可能な前記施設データのうち、過去の前記第1施設データの変化特性に対応する変化特性を有する前記施設データを、前記第2施設データとして特定する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の施設管理システム。
【請求項6】
前記推定処理部は、前記取得処理部により取得される過去の前記施設データを用いて、前記第1施設データと前記第2施設データとの相関関係を学習する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の施設管理システム。
【請求項7】
前記推定処理部は、前記第1施設データと前記第2施設データとの相関関係に基づいて、前記第1施設データに対応する前記設備のエネルギー消費量が目標値を満たす前記最適設定値を推定する、
請求項6に記載の施設管理システム。
【請求項8】
前記推定処理部は、前記取得処理部により取得される現在の前記環境データに対応する前記最適設定値を推定する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の施設管理システム。
【請求項9】
一又は複数のプロセッサーが、
施設内の設備の計測データ及び前記施設に対応する環境データを含む施設データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得される前記施設データのそれぞれについて、出力値を調整可能なデータであるか又は出力値を調整不可能なデータであるかを識別する識別ステップと、
第1設備に対応する調整可能な第1施設データと、前記第1施設データに関連する調整不可能な第2施設データとに基づいて、前記第1施設データの最適設定値を推定する推定ステップと、
を実行する施設管理方法。
【請求項10】
施設内の設備の計測データ及び前記施設に対応する環境データを含む施設データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得される前記施設データのそれぞれについて、出力値を調整可能なデータであるか又は出力値を調整不可能なデータであるかを識別する識別ステップと、
第1設備に対応する調整可能な第1施設データと、前記第1施設データに関連する調整不可能な第2施設データとに基づいて、前記第1施設データの最適設定値を推定する推定ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための施設管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設のエネルギー消費量を管理する施設管理システム、施設管理方法、及び施設管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設のエネルギー消費量を管理するシステムが知られている。例えば、ビルなどの施設に設置されている設備の設定値を様々なデータに基づいて推定してエネルギー消費量を最適化するシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/118067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、施設では、BACnet(Building Automation and Control Networking Protocol)(「BACnet」;登録商標)などのビル用ネットワークを構築する通信規格を利用して設備の管理を行うことが可能である。BACnetを利用して取得されるデータには、設備の計測データだけでなく、施設に設置された様々なセンサーの検出データ(環境データなど)も含まれる。従来の技術では、施設内の設備について、施設に関する様々なデータを利用してエネルギー消費量を最適化する設定を行うことは困難である。
【0005】
本発明の目的は、施設に関する様々なデータを利用して施設のエネルギー消費量を最適化することが可能な施設管理システム、施設管理方法、及び施設管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る施設管理システムは、施設内の設備の計測データ及び前記施設に対応する環境データを含む施設データを取得する取得処理部と、前記取得処理部により取得される前記施設データのそれぞれについて、出力値を調整可能なデータであるか又は出力値を調整不可能なデータであるかを識別する識別処理部と、第1設備に対応する調整可能な第1施設データと、前記第1施設データに関連する調整不可能な第2施設データとに基づいて、前記第1施設データの最適設定値を推定する推定処理部と、を備える。
【0007】
本発明の他の局面に係る施設管理方法は、一又は複数のプロセッサーが、施設内の設備の計測データ及び前記施設に対応する環境データを含む施設データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得される前記施設データのそれぞれについて、出力値を調整可能なデータであるか又は出力値を調整不可能なデータであるかを識別する識別ステップと、第1設備に対応する調整可能な第1施設データと、前記第1施設データに関連する調整不可能な第2施設データとに基づいて、前記第1施設データの最適設定値を推定する推定ステップと、を実行する施設管理方法である。
【0008】
本発明の他の局面に係る施設管理プログラムは、施設内の設備の計測データ及び前記施設に対応する環境データを含む施設データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得される前記施設データのそれぞれについて、出力値を調整可能なデータであるか又は出力値を調整不可能なデータであるかを識別する識別ステップと、第1設備に対応する調整可能な第1施設データと、前記第1施設データに関連する調整不可能な第2施設データとに基づいて、前記第1施設データの最適設定値を推定する推定ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるための施設管理プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、施設に関する様々なデータを利用して施設のエネルギー消費量を最適化することが可能な施設管理システム、施設管理方法、及び施設管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る施設管理システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る施設管理システムで使用される監視設備情報DBの一例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る施設管理システムで使用される施設データ情報DBの一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る施設データ情報DBに含まれるデータ名称の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る施設管理システムで使用される調整可否情報DBの一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る管理サーバーにおける識別処理の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る管理サーバーにおける識別処理の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る管理サーバーにおける推定処理の一例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る管理者端末に表示される推奨設定ページの一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る管理者端末に表示される推奨設定ページの一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る施設管理システムで実行される施設管理処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、本発明の実施形態に係る施設管理システムで実行される施設管理処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[施設管理システム1]
図1に示すように、本発明の実施形態に係る施設管理システム1は、管理サーバー2と監視装置3と管理者端末4とを含む。管理サーバー2、監視装置3、及び管理者端末4は、インターネット、LAN、WAN、又は公衆電話回線などの通信網NWを介して通信可能である。施設管理システム1は、複数の設備が設置される施設に導入される。前記施設は、商業ビルなどの商業施設、役所などの公共施設、ホテル、旅館等の宿泊施設、複合施設など種々の施設である。前記設備は、空調機器、ボイラー、冷凍機、ポンプ、送風機などの空調設備、高圧機器、発電機、電源機器などの電気設備、警報機、消火機などの消防設備など種々の設備である。本実施形態では、前記施設の一例として、商業ビルを挙げる。
【0013】
監視装置3は、複数の施設のそれぞれに設置される監視対象の設備(以下、監視対象設備ともいう。)を監視する。具体的には、監視装置3は、例えばBACnetを利用して監視対象設備の監視を行う。監視装置3は、所謂ビル自動管理制御システムに含まれてもよい。
【0014】
管理サーバー2は、各施設に対して設備管理サービスを提供し、設備管理サービスサイトを運営する。具体的には、管理サーバー2は、監視装置3による監視対象設備に対する監視結果(計測データ、環境データなど)を取得して、監視結果のレポートを管理者端末4に出力する。また、管理サーバー2は、施設及び各設備のエネルギー消費量を算出して、算出結果のレポートを管理者端末4に出力する。また、管理サーバー2は、各設備の設定値を管理し、設備の最適な設定値を推定して、推定結果のレポートを管理者端末4に出力する。
【0015】
本実施形態では、管理サーバー2単体が本発明に係る施設管理システムに相当するが、本発明に係る施設管理システムは、管理サーバー2、監視装置3、及び管理者端末4のうち一又は複数の構成要素を含むものであってもよい。例えば、管理サーバー2、監視装置3、及び管理者端末4の構成要素が協働して後述する施設管理処理(図11及び図12参照)を分担して実行する場合には、その処理を実行する複数の構成要素を含むシステムを本発明に係る施設管理システムとして捉えることが可能である。例えば、管理サーバー2、監視装置3、及び管理者端末4が、本発明に係る施設管理システムを構成してもよい。また、管理サーバー2が監視装置3の機能を兼ね備えてよい。この場合は、管理サーバー2及び管理者端末4が、本発明に係る施設管理システムを構成してもよい。
【0016】
[監視装置3]
図1に示すように、監視装置3は、制御部31、記憶部32、操作表示部33、及び通信I/F34などを備えるサーバーである。なお、監視装置3は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステムであってもよいし、クラウドサーバーで構成されてもよい。また、監視装置3で実行される各種の処理は、一又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。監視装置3は、BACnetを利用して複数の施設のそれぞれに設置された監視対象設備の監視を行う。監視装置3の機能は、管理サーバー2に含まれてもよい。
【0017】
通信I/F34は、監視装置3を有線又は無線で通信網NWに接続し、通信網NWを介して管理サーバー2などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。また、通信I/F34は、監視対象設備との間でBACnetに従ったデータ通信を実行する。
【0018】
操作表示部33は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0019】
記憶部32は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部32には、監視設備情報データベース(以下、監視設備情報DBという。)321、施設データ情報データベース(以下、施設データ情報DBという。)322が含まれる。
【0020】
図2は、所定の施設B1に対応する監視設備情報DB321の一例を示す図である。監視設備情報DB321には、施設B1に設置された設備のうち監視対象の設備(監視対象設備)ごとに、名称(監視設備名称)、監視項目、単位、分類などの情報が含まれる。監視設備情報DB321に登録される監視対象設備は、BACnetを利用可能な通信機能を備えており、前記監視項目に応じたデータを制御部31に定期的に送信する。監視設備情報DB321に登録される各情報は、施設B1の管理者、前記設備管理サービスのサービス提供者などにより予め登録される。
【0021】
図3は、所定の施設B1に対応する施設データ情報DB322の一例を示す図である。施設データ情報DB322には、前記監視対象設備から取得した施設データごとに、取得日時、データ名称、検出値、単位などの情報が含まれる。前記取得日時は、前記監視対象設備から施設データを取得した日時である。前記データ名称は、施設データに付与された名称である。前記データ名称には、記号、数字、テキスト情報などが含まれる。図4には、前記データ名称の一例を示している。前記データ名称は、命名規則がなく、例えば施設又は設備のメーカーなどにより設定される。前記検出値は、計測値、設定値などである。例えば、監視対象設備が空調(エアコン)の場合、前記検出値は設定温度であり、監視対象設備が換気扇の場合、前記検出値はON又はOFFの設定状態であり、監視対象設備が給湯器の場合、前記検出値は給湯タンクの貯水量である。
【0022】
また、監視対象設備が環境センサーの場合、前記検出値はセンサーの検出値である。例えば、環境センサーが気温を計測する温度センサーの場合、前記検出値は温度(外気温)である。また例えば、環境センサーが湿度を計測する湿度センサーの場合、前記検出値は湿度(外湿度)である。また例えば、環境センサーが人流を計測するセンサーの場合、前記検出値は人数(入場者数など)である。また例えば、環境センサーが日射時間を計測するセンサーの場合、前記検出値は日射時間(日照時間)である。
【0023】
このように、施設データ情報DB322には、施設B1内の設備の計測データ及び施設B1に対応する環境データを含む様々な施設データが含まれる。また、前記環境データには、気象、施設B1内の人流、日射時間に関するデータが含まれる。なお、記憶部32には、施設ごとに、監視設備情報DB321及び施設データ情報DB322が記憶される。すなわち、監視装置3は、複数の施設を監視することが可能である。
【0024】
ここで、前記施設データには、出力値を調整可能なデータ(コントロール可能なデータ)と、出力値を調整不可能なデータ(コントロール不可能なデータ)とが含まれる。例えば、監視対象設備が空調(エアコン)の場合、ユーザーが設定温度を設定する操作により出力値である温度(室温)を調整することが可能である。この場合、前記設定温度は調整可能な施設データである。また、空調のON/OFFの設定状態は調整可能な施設データである。
【0025】
また例えば、監視対象設備が換気扇の場合、ユーザーが換気扇をON又はOFFする操作により出力値(消費電力、電流など)を調整することが可能である。この場合、換気扇のON/OFFの設定状態は調整可能な施設データである。
【0026】
また例えば、監視対象設備が給湯器の場合、ユーザーが給湯タンクの貯水量を設定する操作により出力値(消費電力、電流など)を調整することが可能である。この場合、前記貯水量は調整可能な施設データである。
【0027】
これに対して、監視対象設備が環境センサーの場合、計測される気温(外気温)、湿度(外湿度)、人流、日射時間などは、環境に応じた出力値であり調整することができないデータである。このため、気温(外気温)、湿度(外湿度)、人流、日射時間は、調整不可能な施設データである。
【0028】
制御部31は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部31は、前記ROM又は記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより監視装置3を制御する。
【0029】
具体的には、制御部31は、各施設内の各監視対象設備から計測データ、環境データなどの施設データを取得して記憶部32に記憶する(図3参照)。
【0030】
監視装置3は、BACnetを利用したビル自動管理制御システムなど、周知の技術を適用することができる。
【0031】
ここで、従来の技術では、施設内の設備について、施設に関する様々なデータ(調整可能なデータ、調整不可能なデータなど)を利用してエネルギー消費量を最適化する設定を行うことが困難である。これに対して、本実施形態に係る施設管理システム1は、以下に示すように、施設に関する様々なデータを利用して施設のエネルギー消費量を最適化することが可能である。
【0032】
[管理サーバー2]
図1に示すように、管理サーバー2は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、及び通信I/F24などを備えるサーバーである。なお、管理サーバー2は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステムであってもよいし、クラウドサーバーで構成されてもよい。また、管理サーバー2で実行される各種の処理は、一又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。
【0033】
通信I/F24は、管理サーバー2を有線又は無線で通信網NWに接続し、通信網NWを介して監視装置3、管理者端末4などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0034】
操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0035】
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。具体的には、記憶部22には、調整可否情報データベース(以下、調整可否情報DBという。)221が含まれる。
【0036】
図5は、施設B1に対応する調整可否情報DB221の一例を示す図である。調整可否情報DB221には、前記監視対象設備から取得する施設データ(計測データ、環境データなど)ごとに、取得日時、データ名称、検出値、単位、調整可否などの情報が含まれる。調整可否情報DB221の各情報は、監視装置3の施設データ情報DB322(図3参照)に記憶される各情報に、調整可否の情報が付加されたものであってもよい。前記調整可否は、出力値を調整可能であるか又は調整不可能であるかを識別する識別情報(フラグ)である。例えば、前記施設データがエアコンの設定温度の場合、当該設定温度はユーザーがエアコンを操作して調整可能なデータであるため、当該施設データに、調整可能であることを示す「1」が登録される。また例えば、前記施設データが温度センサーの気温(外気温)の場合、当該気温は調整不可能なデータであるため、当該施設データに、調整不可能であることを示す「0」が登録される。
【0037】
制御部21は、監視装置3から取得する施設データに基づいて、前記施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別し、識別結果を調整可否情報DB221に登録する。
【0038】
なお、他の実施形態として、調整可否情報DB221の一部又は全部が、管理サーバー2から通信網NWを介してアクセス可能な他のサーバーに記憶されてもよい。この場合、管理サーバー2の制御部21は、前記他のサーバーから前記情報を取得して、後述の施設管理処理(図11及び図12参照)などの各処理を実行してもよい。
【0039】
また、記憶部22には、管理者端末4に表示される推奨設定ページP1(図9及び図10参照)などの各種のウェブページを生成するためのデータなども記憶される。なお、本実施形態において、管理サーバー2の制御部21は、前記各種のウェブページを生成してそのウェブページの情報を管理者端末4に送信することにより、管理者端末4に前記各種のウェブページを表示させることが可能である。また、他の実施形態として、管理サーバー2の制御部21は、管理者端末4に前記各種のウェブページを表示するために必要なデータを送信することにより、管理者端末4の制御部41に前記各種のウェブページの表示を実行させてもよい。
【0040】
さらに、記憶部22には、制御部21に後述の施設管理処理(図11及び図12参照)を実行させるための施設管理プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記施設管理プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、管理サーバー2が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部22に記憶される。
【0041】
制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより管理サーバー2を制御する。
【0042】
具体的には、制御部21は、図1に示すように、取得処理部211、識別処理部212、推定処理部213、出力処理部214などの各種の処理部を含む。なお、制御部21は、前記CPUで前記施設管理プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記施設管理プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0043】
取得処理部211は、施設B1内の設備の計測データ及び施設B1に対応する環境データを含む施設データを取得する。例えば、取得処理部211は、監視装置3から施設データ情報DB322(図3参照)に記憶された施設データを取得する。他の実施形態として、取得処理部211は、施設B1内の設備から直接、前記施設データを取得してもよい。また、取得処理部211は、施設B1外の機関から環境データを取得してもよい。例えば、取得処理部211は、公的機関から施設B1の地域に応じた気象データ(気温、湿度、日射時間など)を取得してもよい。取得処理部211は、取得した前記施設データの情報(取得日時、データ名称、検出値、単位)を調整可否情報DB(図5参照)に登録する。調整可否情報DBには、過去の所定時間の施設データ(履歴データ)が記憶される。
【0044】
識別処理部212は、取得処理部211により取得される前記施設データのそれぞれについて、調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別する識別処理を実行する。具体的には、識別処理部212は、前記施設データに含まれる取得日時、データ名称、検出値(数値、ON/OFF)、及び単位の少なくともいずれかの情報に基づいて、前記施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別する。
【0045】
例えば、前記施設データのデータ名称(図4参照)に「温度設定」の用語が含まれ、かつ前記施設データに「度」又は「℃」の単位が含まれる場合に、識別処理部212は、当該施設データを調整可能なデータであると識別する。また例えば、前記施設データのデータ名称に「ON」又は「OFF」の用語が含まれる場合に、識別処理部212は、当該施設データを調整可能なデータであると識別する。
【0046】
また例えば、前記施設データのデータ名称に「外気温」又は「外湿度」の用語が含まれる場合に、識別処理部212は、当該施設データを調整不可能なデータであると識別する。また例えば、前記施設データのデータ名称に人数(入場者数など)の単位が含まれる場合に、識別処理部212は、当該施設データを調整不可能なデータであると識別する。また例えば、前記施設データのデータ名称に「日射時間」の用語が含まれ、かつ前記施設データに時間の単位が含まれる場合に、識別処理部212は、当該施設データを調整不可能なデータであると識別する。
【0047】
他の実施形態として、識別処理部212は、過去の前記施設データを用いて機械学習することにより、前記施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別してもよい。例えば図6に示すように、識別処理部212の学習部Aに、過去の複数の前記施設データが入力される。学習部Aに入力されるデータには、調整可能であるか否かを識別する識別情報(フラグ)が付与されたデータ(教師データ)と、当該識別情報が付与されていないデータとが含まれてもよい。学習部Aは、これら入力データを機械学習して、前記施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを推定する学習済みモデルを生成する。識別処理部212の識別部Aは、機械学習で学習された学習済みモデルを用いて、取得した施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別する。なお、識別部Aは、学習段階及び利用段階のそれぞれにおいて、前記学習済みモデルを利用して、施設B1の施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別する。
【0048】
なお、機械学習の手法は周知の方法を適用することができる。例えば、機械学習には、教師ありデータを用いる教師あり学習(Supervised Learning)、教師なしデータを用いる教師なし学習(Unsupervised Learning)、強化学習(Reinforcement Learning)などのアルゴリズムがあり、さらに、これらの手法を実現するうえで、特徴量そのものの抽出を学習する、「深層学習(ディープラーニング:Deep Learning)」と呼ばれる手法が用いられる。
【0049】
他の実施形態として、識別処理部212は、過去の複数の施設における前記施設データを用いて機械学習することにより、特定の施設B1における前記施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別してもよい。例えば図7に示すように、識別処理部212の学習部Aに、複数の施設B1、施設B2、…、施設Bnのそれぞれにおける過去の前記施設データが入力される。学習部Aに入力されるデータには、調整可能であるか否かを識別する識別情報(フラグ)が付与されたデータ(教師データ)と、当該識別情報が付与されていないデータとが含まれてもよい。学習部Aは、これら入力データを機械学習して、前記施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを推定する学習済みモデルを生成する。識別処理部212の識別部Aは、機械学習で学習された学習済みモデルを用いて、施設B1の施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別する。
【0050】
識別処理部212は、前記識別処理の識別結果を前記施設データに関連付けて登録する。例えば、識別処理部212は、前記施設データが調整可能なデータであると識別した場合に、調整可否情報DB221(図5参照)において、当該施設データに、調整可能であることを示す「1」を関連付けて登録する。また例えば、識別処理部212は、前記施設データが調整不可能なデータであると識別した場合に、調整可否情報DB221において、当該施設データに、調整不可能であることを示す「0」を関連付けて登録する。
【0051】
推定処理部213は、所定の設備(本発明の第1設備)に対応する調整可能な施設データ(本発明の第1施設データ)と、当該施設データに関連する調整不可能な施設データ(本発明の第2施設データ)とに基づいて、当該設備に対応する施設データの最適設定値を推定する。
【0052】
例えば、推定処理部213は、施設B1のエアコンの過去の設定温度と、当該設定温度に影響を与える環境データ(外気温、外湿度、人流、日射時間など)とに基づいて、エアコンの最適な設定温度を推定する。また、例えば、推定処理部213は、施設B1の換気扇の過去の設定状態(ON/OFF)と、当該設定状態に影響を与える環境データ(外気温、外湿度、人流、日射時間など)とに基づいて、換気扇の最適な設定状態(ON/OFF)を推定する。また、例えば、推定処理部213は、施設B1の給湯器の過去の設定貯水量と、当該設定貯水量に影響を与える環境データ(外気温、外湿度、人流、日射時間など)とに基づいて、給湯器の最適な設定貯水量を推定する。
【0053】
ここで、前記最適設定値の具体的な推定方法について、エアコンの設定温度を例に挙げて説明する。
【0054】
例えば図8に示すように、推定処理部213の学習部Bに、施設B1の過去の複数の調整可能な施設データ及び調整不可能な施設データと、施設B1の過去のエネルギー消費量(例えばエアコンの消費電力)の目標値とが入力される。学習部Bは、調整不可能な施設データのうち、調整可能な施設データに関連する調整不可能な施設データを学習する。具体的には、学習部Bは、調整不可能な施設データのうち、調整可能な施設データの変化特性に対応する変化特性を有する施設データを特定(学習)する。例えば、過去の施設データにおいて、調整不可能な施設データである外気温がD1度からD2度に上昇している場合において、エアコンの設定温度がT1からT2に下げられていた場合に、学習部Bは、外気温がエアコンの設定温度に関連すると判断する。また例えば、過去の施設データにおいて、調整不可能な施設データである人流(入場者数)がM1(人)からM2(人)に増加している場合において、エアコンの設定温度がT1(度)からT2(度)に下げられていた場合に、学習部Bは、人流がエアコンの設定温度に関連すると判断する。
【0055】
このように、推定処理部213は、調整不可能な施設データ(例えば環境データ)のうち、調整可能な施設データ(計測データ)の変化特性に対応する変化特性を有する調整不可能な施設データを特定する。上述の例では、推定処理部213は、調整不可能な環境データ(外気温、外湿度、人流、日射時間など)のうち、調整可能な設定温度の変化特性(上昇及び下降変化)に対応する変化特性を有する外気温を特定する。推定処理部213は、調整不可能な一つの施設データ(例えば外気温)を特定してもよいし、複数の施設データ(外気温、人流など)を特定してもよい。また、推定処理部213は、過去の複数の施設データを用いて、調整可能な施設データと調整不可能な施設データとの相関関係を学習してもよい。
【0056】
また、学習部Bは、過去の施設データに基づいて、エアコンの消費電力が目標値を満たす設定温度を学習する。例えば、学習部Bは、エアコンの設定温度がT1の場合の消費電力、エアコンの設定温度がT2の場合の消費電力など、設定温度ごとの消費電力に基づいて、設定温度が消費電力の目標値を満たすか否かを学習する。学習部Bは、これら入力データを機械学習して、調整可能なデータ(ここではエアコンの設定温度)の最適設定値(最適な設定温度)を推定する学習済みモデルを生成する。
【0057】
推定処理部213の推定部Bは、機械学習で学習された学習済みモデルを用いて、設備の現在の設定値に対する最適設定値を推定する。推定部Bには、施設B1の現在の調整可能な施設データ及び調整不可能な施設データと、施設B1の現在のエネルギー消費量の目標値とが入力される。例えば、推定部Bには、エアコンの現在の設定温度(調整可能な施設データ)と、設定温度に関連する現在の環境データ(外気温、外湿度、人流、日射時間など)(調整不可能な施設データ)と、現在のエアコンの電力消費量の目標値とが入力される。推定部Bは、機械学習で学習された学習済みモデルを用いて、例えばエアコンの現在の設定温度と現在の外気温と現在のエアコンの電力消費量の目標値とに基づいて、現在の外気温において前記目標値を満たす最適な設定温度(最適設定値)を推定する。
【0058】
このように、推定処理部213は、調整可能な施設データと調整不可能な施設データとの相関関係に基づいて、調整可能な施設データに対応する設備のエネルギー消費量が目標値を満たす最適設定値を推定する。また、推定処理部213は、現在の環境データに対応する前記最適設定値を推定する。
【0059】
出力処理部214は、推定処理部213の推定結果を出力する。具体的には、出力処理部214は、前記最適設定値を管理者端末4に提示する。例えば図9に示すように、出力処理部214は、管理者端末4に推奨設定ページP1を表示させる。推奨設定ページP1には、施設の名称、対象設備の設置場所、表示名称、設備名称などの設備情報と、現在設定値、推奨設定値、消費電力削減量などの設定情報とが表示される。例えば設備が空調(エアコン)の場合、前記現在設定値に現在の設定温度(「25℃」)が表示され、前記推奨設定値に推定処理部213により推定された最適な設定温度(「21℃」)が表示され、前記消費電力削減量に推奨設定値に変更した場合に削減される消費電力の予想削減量(「10%」)が表示される。
【0060】
出力処理部214は、前記推定結果のデータを管理者端末4にメール送信してもよいし、前記推定結果のレポートをプリンター(不図示)から印刷させてもよい。
【0061】
制御部21は、推奨設定ページP1において管理者が「設定変更」のボタンを選択した場合に、対象設備に対して設定値の変更指示を出力してもよい。例えば、制御部21は、エアコンに対して設定温度を25度から21度に変更させる指示を出力してもよい。各設備は、管理者による設定変更操作に応じて設定値を変更してもよいし、制御部21から取得する変更指示に応じて設定値を変更してもよい。
【0062】
図10には、推奨設定ページP1の他の例を示している。図10に示す推奨設定ページP1には、複数の対象設備のそれぞれに対応する現在設定値、推奨設定値、消費電力削減量などの情報が含まれる。制御部21は、施設B1に対して設定されたエネルギー消費量の目標値(目標消費電力)と、現在の調整可能な施設データ及び調整不可能な施設データとに基づいて、施設B1内の各設備の最適設定値を推定する。また、制御部21は、設備ごとに消費電力削減量を算出する。そして、制御部21は、施設B1全体の現在の消費電力(「W1」)と、前記目標消費電力(「W0」)と、各設備の消費電力削減量とに基づいて、前記目標消費電力に対する達成率を算出する。このように、制御部21は、施設B1の複数の設備の推奨設定値をまとめて推定してもよい。
【0063】
制御部21は、図10に示す推奨設定ページP1において管理者が「一括設定変更」のボタンを選択した場合に、各対象設備に対して設定値の変更指示を出力してもよい。各設備は、管理者による設定変更操作に応じて設定値を変更してもよいし、制御部21から取得する変更指示に応じて設定値を変更してもよい。
【0064】
[管理者端末4]
図1に示すように、管理者端末4は、制御部41、記憶部42、操作表示部43、及び通信I/F44などを備える。管理者端末4は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピューターのような情報処理装置である。
【0065】
通信I/F44は、管理者端末4を有線又は無線で通信網NWに接続し、通信網NWを介して管理サーバー2などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0066】
操作表示部43は、各種のウェブページなどの情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0067】
記憶部42は、各種の情報を記憶するHDD、SSD又はフラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶部である。例えば、記憶部42には、ブラウザプログラム等の制御プログラムが記憶される。具体的に、前記ブラウザプログラムは、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)などの通信プロトコルに従って管理サーバー2などの外部装置との間で通信処理を制御部41に実行させるための制御プログラムである。また、前記ブラウザプログラムは、管理サーバー2との間で予め定められた通信プロトコルに従って通信処理を実行するための専用アプリケーションであることも考えられる。
【0068】
制御部41は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部41は、前記ROM又は記憶部42に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより管理者端末4を制御する。
【0069】
具体的に、制御部41は、記憶部42に記憶されている前記ブラウザプログラムに従って各種の処理を実行することによりブラウザ処理部411として機能する。ブラウザ処理部411は、管理サーバー2から通信網NWを介して提供されるウェブページを操作表示部43に表示させ、操作表示部43に対する操作を管理サーバー2に入力するブラウザ処理を実行することが可能である。すなわち、管理者端末4は、制御部41によって前記ブラウザプログラムが実行されることにより、管理サーバー2の操作用端末として機能することが可能である。なお、制御部41に含まれる一部又は全部の処理部は電子回路で構成されていてもよい。
【0070】
例えば、管理者端末4では、施設管理システム1で提供される設備管理サービスの設備管理サービスサイトに対応する所定のURLへのアクセス要求を行うためのユーザー操作が行われた場合に、制御部41が、管理サーバー2から前記設備管理サービスサイトのウェブページのデータを取得して、操作表示部43に前記設備管理サービスサイトのウェブページを表示させる。なお、例えば前記所定のURLへのアクセス要求は、予め登録されたウェブサイトの一覧からの選択操作、情報検索サイトにおける検索結果からの選択操作、又はテキスト入力操作などによって行われる。また、管理者端末4に管理サーバー2に対応する専用アプリケーションがインストールされている場合には、管理者端末4の管理者が当該専用アプリケーションを起動する操作を行うことにより操作表示部43に前記設備管理サービスサイトのウェブページが表示される。
【0071】
例えば、施設B1の管理者は、前記設備管理サービスを利用する際に、管理者端末4に表示された前記設備管理サービスサイトのログインページ(不図示)にログイン情報(ID、パスワード)を入力する。前記ログイン情報が認証されると、制御部41は、操作表示部43に各種ウェブページ(例えば推奨設定ページP1(図9及び図10参照))を表示させる。
【0072】
[施設管理処理]
以下、図11及び図12を参照しつつ、施設管理システム1において実行される施設管理処理について説明する。具体的に、本実施形態では、管理サーバー2の制御部21によって前記施設管理処理が実行される。
【0073】
なお、本発明は、前記施設管理処理に含まれる一又は複数のステップを実行する施設管理方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記施設管理処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記施設管理処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部21が前記施設管理処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサーが当該施設管理処理における各ステップを分散して実行する施設管理方法も他の実施形態として考えられる。
【0074】
図11は、前記施設管理処理において最適設定値を推定する推定処理の学習段階の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0075】
先ず、ステップS11において、制御部21は、複数の施設のそれぞれの設備に対応する過去の施設データを取得する。例えば、制御部21は、施設ごとの施設データ情報DB322(図3参照)から施設データ(取得日時、データ名称、検出値、単位など)を取得する(図7参照)。
【0076】
次に、ステップS12において、制御部21は、複数の施設のそれぞれの設備に対応する過去の施設データを用いて機械学習して学習済みモデルを生成する。例えば、制御部21は、調整可能であるか否かを識別する識別情報(フラグ)が付与された施設データ(教師データ)と、当該識別情報が付与されていない施設データとを機械学習して、対象の施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを推定する学習済みモデルを生成する(図7参照)。
【0077】
次に、ステップS13において、制御部21は、対象の施設B1の設備に対応する過去の施設データを取得する。例えば、制御部21は、施設B1の施設データ情報DB322(図3参照)から施設データ(取得日時、データ名称、検出値、単位など)を取得する(図7参照)。
【0078】
次に、ステップS14において、制御部21は、機械学習で学習された学習済みモデルを用いて、施設B1に対応する施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別する(図7参照)。
【0079】
次に、ステップS15において、制御部21は、施設B1の過去のエネルギー消費量の目標値を取得する。例えば、制御部21は、対象の設備が空調(エアコン)の場合、空調のエネルギー消費量(消費電力)の目標値を取得する(図8参照)。制御部21は、管理者により過去に設定された目標値を取得する。
【0080】
次に、ステップS16において、制御部21は、ステップS14で識別した施設データを取得する。例えば、制御部21は、施設B1に対応する過去の調整可能な施設データと、過去の調整不可能な施設データとを取得する(図8参照)。
【0081】
次に、ステップS17において、制御部21は、前記エネルギー消費量の目標値と、前記調整可能な施設データ及び前記調整不可能な施設データとを用いて機械学習して学習済みモデルを生成する。例えば、制御部21は、施設B1に対応するエネルギー消費量の目標値と、施設B1に対応する調整可能な施設データ及び調整不可能な施設データとを用いて機械学習して、施設B1における対象の設備の最適設定値を推定する学習済みモデルを生成する(図8参照)。
【0082】
具体的には、制御部21は、施設B1における調整不可能な施設データ(例えば環境データ)のうち、調整可能な施設データ(計測データ)に関連する調整不可能な施設データを学習する。例えば、制御部21は、調整不可能な環境データ(外気温、外湿度、人流、日射時間など)のうち、過去の調整可能なエアコンの設定温度の変化特性(上昇及び下降変化)に対応する変化特性を有する外気温を特定する。すなわち、制御部21は、過去の複数の施設データを用いて、調整可能な施設データと調整不可能な施設データとの相関関係を学習する。
【0083】
また、制御部21は、施設B1における過去の施設データに基づいて、設備のエネルギー消費量が目標値を満たす最適設定値を学習する。例えば、制御部21は、エアコンの設定温度ごとの消費電力に基づいて、設定温度が消費電力の目標値を満たすか否かを学習する。制御部21は、機械学習により、調整可能なデータ(例えばエアコンの設定温度)の最適設定値(最適な設定温度)を推定する学習済みモデルを生成する(図8参照)。
【0084】
上述の学習段階で生成された前記学習済みモデル(最適設定値推定モデル)は記憶部22に記憶される。
【0085】
図12は、前記施設管理処理において最適設定値を推定する推定処理の利用段階の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0086】
先ず、ステップS21において、制御部21は、対象の施設B1に対応する現在の施設データを取得する。例えば、制御部21は、施設B1に対応する施設データ情報DB322(図3参照)から現在の施設データ(取得日時、データ名称、検出値、単位など)を取得する。
【0087】
次に、ステップS22において、制御部21は、取得した現在の施設データについて、ステップS12において生成された学習済みモデルを用いて、調整可能な施設データであるか又は調整不可能な施設データであるかを識別する。
【0088】
次に、ステップS23において、制御部21は、施設B1の現在のネルギー消費量の目標値を取得する。例えば、制御部21は、対象の設備が空調(エアコン)の場合、空調のエネルギー消費量(消費電力)の目標値を取得する。
【0089】
次に、ステップS24において、制御部21は、ステップS22で識別した施設データを取得する。例えば、制御部21は、施設B1に対応する現在の調整可能な施設データと、現在の調整不可能な施設データとを取得する(図8参照)。
【0090】
次に、ステップS25において、制御部21は、ステップS17において生成された学習済みモデル(最適設定値推定モデル)を用いて、現在の前記エネルギー消費量の目標値と、現在の調整可能な施設データ及び現在の調整不可能な施設データとに基づいて、施設B1における対象の設備の最適設定値を推定する(図8参照)。例えば、制御部21は、前記学習済みモデルを用いて、エアコンの現在の設定温度と現在の外気温と現在のエアコンの電力消費量の目標値とに基づいて、最適な設定温度を推定する。
【0091】
最後に、ステップS26において、制御部21は、推定結果を出力する。例えば図9及び図10に示すように、制御部21は、管理者端末4に推奨設定ページP1を表示させ、推奨設定ページP1において、推定した最適設定温度を表示させる。以上のように、制御部21は、前記施設管理処理を実行する。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係る施設管理システム1は、施設内の設備の計測データ及び前記施設に対応する環境データを含む施設データを取得する取得処理部211と、取得処理部211により取得される前記施設データのそれぞれについて、設備の設定操作により出力値を調整可能なデータであるか又は設備の設定操作により出力値を調整不可能なデータであるかを識別する識別処理部212と、第1設備に対応する調整可能な第1施設データと、前記第1施設データに関連する調整不可能な第2施設データとに基づいて、前記第1施設データの最適設定値を推定する推定処理部213と、を備える。
【0093】
上記構成によれば、設備の計測データだけでなく、施設に設置された様々なセンサーの検出データ(環境データなど)、施設外(施設外に設置されたセンサー、外部機関、インターネットなど)から取得した環境データ(気象データなど)も利用して、設備の最適設定値を推定することができる。よって、施設に関する様々なデータを利用して施設のエネルギー消費量を最適化することが可能となる。
【0094】
なお、前記環境データには、気象、前記施設内の人流、日射時間に関するデータが含まれてもよい。
【0095】
また、施設管理システム1では、識別処理部212は、前記施設データに含まれる日時、名称、数値、ON/OFF、及び単位の少なくともいずれかの情報に基づいて、前記施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別してもよい。これにより、前記施設データを、容易に調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別することができる。
【0096】
また、施設管理システム1では、識別処理部212は、複数の前記施設のそれぞれに対応する過去の前記施設データを用いて機械学習することにより、前記施設データが調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別してもよい。これにより、前記施設データを、確実に調整可能なデータであるか又は調整不可能なデータであるかを識別することができる。
【0097】
また、施設管理システム1では、推定処理部213は、調整不可能な前記施設データのうち、過去の前記第1施設データの変化特性に対応する変化特性を有する前記施設データを、前記第2施設データとして特定してもよい。また、推定処理部213は、取得処理部211により取得される過去の前記施設データを用いて、前記第1施設データと前記第2施設データとの相関関係を学習してもよい。
【0098】
また、施設管理システム1では、推定処理部213は、前記第1施設データと前記第2施設データとの相関関係に基づいて、前記第1施設データに対応する前記設備のエネルギー消費量が目標値を満たす前記最適設定値を推定してもよい。また、推定処理部213は、取得処理部211により取得される現在の前記環境データに対応する前記最適設定値を推定してもよい。これにより、現在の環境に応じた最適な設定値を推定ことができる。
【0099】
また、施設管理システム1は、過去の施設データと現在の施設データからコントロール可能又はコントロール不可能のポイントを自動で判別し、エネルギー消費量の経年データと照らし合わせることで、コントロール可能なポイントをどのように設定すればエネルギー消費量が最小化するかを提案するシステムである。また、施設管理システム1は、コントロール可能又はコントロール不可能なポイントを識別する識別部と、過去のエネルギー消費量のデータを用いてコントロール可能なポイントをどのように設定すればよいかを学習して提案する推定部とを備えている。前記推定部においては、エネルギー消費量の削減だけでなく、快適度(湿度、室温など)、二酸化炭素濃度などを一定に保つような設定をしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 :施設管理システム
2 :管理サーバー
3 :監視装置
4 :管理者端末
21 :制御部
211 :取得処理部
212 :識別処理部
213 :推定処理部
214 :出力処理部
411 :ブラウザ処理部
DB221 :調整可否情報
DB321 :監視設備情報
DB322 :施設データ情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12