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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150322
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A01G25/00 501F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059375
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】松村 豊正
(72)【発明者】
【氏名】谷口 輝行
(72)【発明者】
【氏名】清水 道浩
(57)【要約】
【課題】カバーを容易に取外せるとともに、カバーを取外したときの弁口の掃除が容易な弁装置を提供する。
【解決手段】弁装置1は、弁口101cが形成された弁座101aと、弁座に、弁口の軸線O1方向に離反可能に、弁口に対する軸線方向の第1側から着座する弁体55と、弁体が固定された弁軸45と、弁座に固定されるとともに、弁軸を軸線方向に移動可能に支持するヨーク10と、ヨークに固定された第1カバー70と、第1カバー及びヨークの少なくとも一方に着脱可能であり、弁座における軸線方向の第1側の端である弁座端101dを外側から覆う第2カバー80と、を備え、第1カバーにおける軸線方向の第1側とは反対側の第2側の端は、弁座端よりも軸線方向の第1側に配置され、第2カバーにおける軸線方向の第1側の端部は、第1カバーと軸線方向に重なる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁口が形成された弁座と、
前記弁座に、前記弁口の軸線方向に離反可能に、前記弁口に対する前記軸線方向の第1側から着座する弁体と、
前記弁体が固定された弁軸と、
前記弁座に固定されるとともに、前記弁軸を前記軸線方向に移動可能に支持するヨークと、
前記ヨークに固定された第1カバーと、
前記第1カバー及び前記ヨークの少なくとも一方に着脱可能であり、前記弁座における前記軸線方向の前記第1側の端である弁座端を外側から覆う第2カバーと、
を備え、
前記第1カバーにおける前記軸線方向の前記第1側とは反対側の第2側の端は、前記弁座端よりも前記軸線方向の前記第1側に配置され、
前記第2カバーにおける前記軸線方向の前記第1側の端部は、前記第1カバーと前記軸線方向に重なる、弁装置。
【請求項2】
前記第2カバーにおける前記軸線方向の前記第1側の端部は、前記第1カバーにおける前記軸線方向の前記第2側の端部に、外側から嵌合している、請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記第2カバーは、前記軸線方向に見たときに円弧状を呈する複数のカバー片を有し、
前記複数のカバー片における前記軸線方向の前記第1側の端部は、前記第1カバーにおける前記軸線方向の前記第2側の端部に、内側からそれぞれ嵌合している、請求項1に記載の弁装置。
【請求項4】
前記複数のカバー片のうち前記軸線周りに隣り合う一対の前記カバー片の一部同士は、前記軸線に交差する方向に重なり合う、請求項3に記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業用給水管等の配管構造における管を開閉するために、弁装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の弁装置は、弁座と、弁体と、を備える。
弁座は、平面視円環状の第1枠部及び第2枠部を備える。第1枠部の内部には、吸水パイプが配置される。第2枠部には、弁口が形成されている。第2枠部は、第1枠部の上面に固定される。
【0003】
弁体は、弁座に対して離反可能に着座する。弁体は、平面視円板状である。弁体における外周部の下面が、弁座の第2枠部の上面に当接することで、弁口が閉塞される。弁体が第2枠部の上面に対して上方に離間することで、弁口が解放される。
弁口が解放されたときに、弁座の弁口を通して流れた用水(水)は、弁体の下面に当たって流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-159009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
弁体の下面に当たった用水は、弁体の下面に沿って流れ、弁体の周囲に飛び散る虞がある。用水が飛び散るのを防止するために、弁装置が弁座、弁体等を外側から覆うカバーを備える場合がある。カバーは、弁体に固定される弁軸を移動可能に支持するヨーク等に固定される。
この場合、弁体で飛び散った用水は、カバーに当たって下方に向かって流れる。
しかしながら、ヨーク等にカバーを固定すると、弁口を掃除し難くなる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、カバーを容易に取外せるとともに、カバーを取外したときの弁口の掃除が容易な弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の弁装置は、弁口が形成された弁座と、前記弁座に、前記弁口の軸線方向に離反可能に、前記弁口に対する前記軸線方向の第1側から着座する弁体と、前記弁体が固定された弁軸と、前記弁座に固定されるとともに、前記弁軸を前記軸線方向に移動可能に支持するヨークと、前記ヨークに固定された第1カバーと、前記第1カバー及び前記ヨークの少なくとも一方に着脱可能であり、前記弁座における前記軸線方向の前記第1側の端である弁座端を外側から覆う第2カバーと、を備え、前記第1カバーにおける前記軸線方向の前記第1側とは反対側の第2側の端は、前記弁座端よりも前記軸線方向の前記第1側に配置され、前記第2カバーにおける前記軸線方向の前記第1側の端部は、前記第1カバーと前記軸線方向に重なることを特徴としている。
【0008】
この発明では、例えば、弁装置は、弁体に対する弁座側(軸線方向の第2側)が下方になるように配置される。弁装置では、ヨークにより支持された弁軸を、弁座に対して軸線方向に移動させ、弁座に、軸線方向に離反可能に、弁体を軸線方向の第1側(上方)から着座させることができる。弁座の弁座端は、第2カバーにより外側から覆われ、第2カバーにおける軸線方向の第1側(上方)の端部が、第1カバーと軸線方向に重なる。このため、弁座の弁口から流れ出て弁体に当たり、外側に向かって流れを変えた用水が、第1カバーと第2カバーとの間から外側に向かって流れるのを抑え、用水が弁体の周囲に飛び散るのを抑制することができる。
また、第1カバーはヨークに固定されるが、第2カバーは第1カバー及びヨークの少なくとも一方に着脱可能である。従って、弁装置から第2カバーを容易に取外すことができる。第2カバーを取外した際に、第1カバーにおける軸線方向の第2側(下方)の端が、弁座端よりも軸線方向の第1側(上方)に配置されているため、例えば、作業者の手を弁口に向かって延ばす際に第1カバーが支障となり難く、弁口の掃除を容易に行うことができる。
【0009】
また、前記弁装置において、前記第2カバーにおける前記軸線方向の前記第1側の端部は、前記第1カバーにおける前記軸線方向の前記第2側の端部に、外側から嵌合していてもよい。
この発明では、第1カバーにおける軸線方向の第2側(下方)の端部に、第2カバーにおける軸線方向の第1側(上方)の端部を、外側から容易に嵌合させることができる。
【0010】
また、前記弁装置において、前記第2カバーは、前記軸線方向に見たときに円弧状を呈する複数のカバー片を有し、前記複数のカバー片における前記軸線方向の前記第1側の端部は、前記第1カバーにおける前記軸線方向の前記第2側の端部に、内側からそれぞれ嵌合していてもよい。
この発明では、例えば複数のカバー片の半径が小さくなるように複数のカバー片を弾性的に変形させた状態で、第1カバー内に複数のカバー片を配置する。そして、複数のカバー片の形状を弾性的に復元させることにより、第1カバーにおける軸線方向の第2側(下方)の端部に、第2カバーにおける軸線方向の第1側(上方)の端部を、内側から容易に嵌合させることができる
【0011】
また、前記弁装置において、前記複数のカバー片のうち前記軸線周りに隣り合う一対の前記カバー片の一部同士は、前記軸線に交差する方向に重なり合ってもよい。
この発明では、軸線周りに隣り合う一対のカバー片の間を通して、用水が一対のカバー片の外側に流れ出るのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の弁装置では、カバーを容易に取外せるとともに、カバーを取外したときの弁口の掃除を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態の弁装置の一部を破断した正面図である。
図2】同弁装置の一部を破断した側面図である。
図3】本発明の第2実施形態の弁装置の一部を破断した正面図である。
図4】本発明の第3実施形態の弁装置の一部を破断した正面図である。
図5】同弁装置の第1カバー及び第2カバーの嵌合状態を説明する図である。
図6】本発明の第4実施形態の弁装置の一部を破断した正面図である。
図7】同弁装置の一部を破断した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る弁装置の第1実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の弁装置1は、農業用給水管等の配管構造100を構成する管101を開閉するために用いられる。管101は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂により、円筒状に形成されている。
図示はしないが、配管構造100は、管101以外に配管構造100を収容する枡本体、枡本体内の用水(水)を圃場に供給するための給水管等を有する。
【0015】
弁装置1は、弁座101aと、ヨーク10と、弁軸45と、弁体55と、第1カバー70と、第2カバー80と、を備える。
弁座101aは、管101の端部である。すなわち、弁座101aは円筒状である。弁座101aの外周面には、全周にわたって溝101bが形成されている。弁座101aには、弁口101cが形成されている。弁口101cは、管101の端部における、管101の管路である。
【0016】
ここで、弁座101a及び第2カバー80は筒状に形成され、弁軸45は棒状に形成され、弁体55は円板状に形成され、第1カバー70は有頂筒状に形成されている。弁座101a、弁軸45、弁体55、第1カバー70、及び第2カバー80それぞれの中心軸(軸線)は、共通軸と同軸に配置されている。以下では、共通軸を軸線O1と言う。軸線O1は、弁口101cの軸線でもある。
例えば、弁装置1は、軸線O1が上下方向に沿い、弁体55に対する弁座101a側が下方(軸線O1方向の第2側)になるように配置される。なお、弁装置1は、軸線O1が上下方向に対して傾斜するように配置されてもよい。
弁装置1を上下方向から見て、軸線O1に直交(交差)する方向を径方向と言い、軸線O1回りに周回する方向を周方向と言う。
以下では、弁座101aにおける上方(軸線O1方向の第1側。軸線O1方向の第2側とは反対側)の端を、弁座端101dと言う。
【0017】
ヨーク10の構成は、弁座101aに固定されるとともに、前記弁軸45を前記軸線O1方向に移動可能に支持できれば、特に限定されない。例えば、ヨーク10は、支持台11と、複数の脚部12と、台座部13と、を有する。
支持台11は、複数の支持片16A,16Bと、連結部材17と、を有する。
本実施形態では、支持片16Aの構成と支持片16Bの構成とは、互いに同一である。このため、支持片16Aの構成を、符号の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「A」を付加することで示す。支持片16Bのうち支持片16Aに対応する構成を、支持片16Aの符号と同一の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「B」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。
例えば、支持片16Aの後述する支持板20Aと支持片16Bの支持板20Bとは、互いに同一の構成である。後述する脚部12A,12B等についても、同様である。
【0018】
支持片16Aは、支持板20Aと、フランジ21Aと、座部22Aと、を有する。
支持板20Aは、平面視で矩形状を呈する。平面視において、支持板20Aの外周縁のうちの1辺(以下では、切欠き辺と言う)には、半円状の切欠き20aAが形成されている。
支持片16Aは、複数(本実施形態では3つ)のフランジ21Aを有する。複数のフランジ21Aは、支持板20Aが有する4辺のうち、切欠き20aAが形成されていない3つの辺から、支持板20Aの厚さ方向(下方)に向かって突出している。
座部22Aは、前記切欠き辺の両端部にそれぞれ設けられている。なお、一対の座部22Aのうち一方は、示されていない。以下では、一対の座部22Aのように、複数の構成のうち、一部のみしか示されていない場合がある。
座部22Aには、図示しない通孔が形成されている。座部22Aは、支持板20Aに連結部材17を取付けるための部材である。
【0019】
支持板20Aにおける切欠き20aAの周縁部は、弁座101aの溝101bに嵌め合わされている。
支持片16Aの座部22A及び支持片16Bの座部22Bは、互いに対向している。なお、本明細書において、対向するとは、接触する意味も含む。
本実施形態では、支持片16A及び支持片16Bは、互いに同一の形状である。すなわち、弁装置1において、支持片16A及び支持片16Bにより、部品の共通化がなされている。
支持片16A及び支持片16Bは、径方向の1つである左右方向に、弁座101aを挟んでいる。以下では、径方向の他の1つであって左右方向に直交する方向を、前後方向と言う。
【0020】
例えば、連結部材17は、図示しないボルトと、ナットと、を有する。ボルトの軸部は、支持片16Aの座部22Aの通孔及び支持片16Bの座部22Bの通孔に、それぞれ通されている。ナットは、ボルトの軸部に嵌め合っている。ボルトの頭部及びナットは、座部22A,22Bを左右方向に挟み込んでいる。
以上のようにして、支持台11は、弁座101aの径方向外側で弁座101aに固定されている。
弁座101aは、支持台11よりも上方に突出している。
【0021】
本実施形態では、ヨーク10は、複数の脚部12として、一対の脚部12A,12Bを有する。
脚部12Aは、支持台11から上方に延びている。脚部12Aの軸線O1に直交する断面は、U字状である。脚部12Aは、背板25Aと、一対の側板26Aと、第1折り返し片27Aと、第2折り返し片28Aと、を有する。
背板25Aは、軸線O1方向に延び、背板25Aの厚さ方向が左右方向に沿うように配置されている。背板25Aにおける軸線O1側の面には、軸線O1方向に延びる凸条25aAが形成されている。
各側板26Aは、背板25Aにおける周方向の各端縁から背板25Aの厚さ方向(径方向外側)に向かって突出している。一対の側板26Aは、前後方向に互いに対向している。一対の側板26Aは、背板25Aよりも下方に突出している。
【0022】
各第1折り返し片27Aは、側板26Aの下端から一対の側板26Aの内側に向かってそれぞれ突出している。一対の第1折り返し片27Aは、支持片16A(支持台11)の支持板20Aにネジ等により固定されている。
各第2折り返し片28Aは、側板26Aの上端から一対の側板26Aの内側に向かってそれぞれ突出している。
【0023】
台座部13は、左右方向に延び、脚部12A,12Bの先端部同士を連結している。台座部13は、背板31と、一対の側板32と、雌ネジ部材33と、固定板34,35と、を有する。なお、背板31及び一対の側板32で、連結部36を構成する。
背板31は、左右方向に延び、背板31の厚さ方向が前後方向に沿うように配置されている。
各側板32は、背板31における軸線O1方向の各端縁から背板31の厚さ方向(前方)に突出している。一対の側板32は、軸線O1方向に互いに対向している。以下では、一対の側板32のうち、下方に配置された側板32を側板32Aとも言い、上方に配置された側板32を側板32Bとも言う。
各側板32には、軸線O1方向に貫通する通孔(符号省略)が形成されている。一対の側板32の通孔は、軸線O1上にそれぞれ形成されている。
【0024】
雌ネジ部材33は、ネジ本体38と、鍔部39と、を有する。
ネジ本体38は、円筒状である。ネジ本体38の内周面には、雌ネジ38aが形成されている。ネジ本体38は、一対の側板32の通孔内に、軸線O1に沿って配置されている。
鍔部39は、円環状である。鍔部39は、ネジ本体38の下端部から径方向外側に向かって、ネジ本体38の全周にわたって突出している。鍔部39は、側板32Aの下方から、側板32Aに接触している。
雌ネジ部材33を構成するネジ本体38及び鍔部39は、真鍮等により一体に形成されている。
雌ネジ部材33は、図示しない支持機構により、連結部36に対して軸線O1回りに回転可能、かつ、軸線O1方向に移動不能に支持されている。
【0025】
固定板34の中心には、通孔(符号省略)が形成されている。固定板34は、側板32Aの下方から、側板32Aに接触している。固定板34は、側板32Aに固定されている。
固定板34の通孔内には、雌ネジ部材33の鍔部39が配置されている。
固定板35の中心には、通孔(符号省略)が形成されている。固定板35は、側板32Bの上方から、側板32Bに接触している。固定板35は、側板32Bに固定されている。
【0026】
弁軸45は、軸線O1上に配置されている。弁軸45は、軸本体46と、小径部47と、大径部48と、を有する。軸本体46、小径部47、及び大径部48は、それぞれ円柱状である。軸本体46、小径部47、及び大径部48は、上方から下方に向かってこの順で同軸に配置されている。
軸本体46の外周面には、図示しない雄ネジが形成されている。軸本体46の雄ネジは、雌ネジ部材33の雌ネジ38aに嵌め合っている。
小径部47の外径は、軸本体46の外径よりも小さい。大径部48の外径は、小径部47の外径よりも大きい。
【0027】
弁軸45における上側の部分には、図示しない公知の回転抑制部を介してハンドル49が接続されている。ハンドル49は、持ち手49aと、軸部49bと、を有する。持ち手49a及び軸部49bは、軸線O1と同軸に配置されている。持ち手49aは、軸部49bよりも上方に配置されている。持ち手49aの外径は、軸部49bの外径よりも大きい。
持ち手49aは、ハンドル49において、作業者が直接把持する部分である。軸部49bは、回転抑制部に接続されている。
ハンドル49を軸線O1回りの第1向きに回転させると、回転抑制部により弁軸45が軸線O1回りに回転することなく、ヨーク10に対して弁軸45が下方に移動する。一方で、ハンドル49を軸線O1回りの第1向きとは反対の第2向きに回転させると、回転抑制部により弁軸45が軸線O1回りに回転することなく、ヨーク10に対して弁軸45が上方に移動する。
以上のように、ヨーク10は、弁軸45を軸線O1方向に移動可能に支持する。
【0028】
弁体55は、弁本体56と、突出部57と、取付け部材58と、を有する。
弁本体56は、平面視で矩形を呈する板状である。弁本体56は、軸線O1と同軸に、弁座101aよりも上方に配置されている。弁本体56の下面は、弁座101aに対して軸線O1方向に対向する対向面56aである。対向面56aは、平坦である。弁本体56の上面は、弁本体56における対向面56aとは反対の非対向面56bである。
弁本体56の非対向面56bには、収容穴56cが形成されている。収容穴56cは、軸線O1上に形成されている。収容穴56cは、円柱状である。収容穴56cは、弁本体56を軸線O1方向に貫通していなく、非対向面56bのみに形成されている。
弁軸45の大径部48は、弁本体56の収容穴56c内に配置されている。大径部48と収容穴56cとは、図示しない係合機構により周方向に係合している。すなわち、弁軸45は、弁本体56に対して軸線O1周りに回転するのを規制されている。
【0029】
対向面56aの外周縁には、全周にわたって溝56dが形成されている。溝56d内には、Oリング等の封止部材61が配置されている。封止部材61の下端は、対向面56aよりも下方に突出している。
突出部57は、対向面56aの外周縁における溝56d(封止部材61)よりも径方向外側に設けられている。突出部57は、円環状であり、対向面56aに軸線O1周りの全周にわたって設けられている。
突出部57は、対向面56a及び封止部材61よりも下方に突出している。
【0030】
弁本体56における左右方向を向く側面には、軸線O1方向に延びる一対の凸条62がそれぞれ形成されている。すなわち、本実施形態の弁装置1は、一対の凸条62を1つの組として、2組の一対の凸条62を備える。
各組を構成する一対の凸条62は、前後方向に互いに間隔を空けて配置されている。一方の組の一対の凸条62の間に、脚部12Aの凸条25aAが配置され、他方の組の一対の凸条62の間に、脚部12Bの凸条25aBが配置されている。
このように構成されているため、ヨーク10に対して弁体55は軸線O1方向に移動可能であるが、軸線O1回りに回転するのが規制される。
【0031】
本実施形態では、取付け部材58は、符号を省略した第1取付け片と、第2取付け片と、を有する。各取付け片は、それぞれ板状である。なお、各取付け片の形状は、板状に限定されない。一対の取付け片は、一体に構成されてもよい。
各取付け片は、平面視で矩形状を呈する。平面視において、各取付け片の外周縁のうちの1辺には、図示しない半円状の切欠きが形成されている。
【0032】
各取付け片は、弁本体56の非対向面56bにボルト等により着脱可能に取付けられている。弁軸45の小径部47は、各取付け片の切欠き内に配置されている。小径部47と各取付け片の切欠きとは、図示しない係合機構により周方向に係合している。すなわち、弁軸45は、取付け部材58に対して軸線O1周りに回転するのを規制されている。
弁軸45の大径部48が取付け部材58に取付け部材58の下方から係止することにより、弁本体56に対して弁軸45が上方に移動するのが規制される。
以上のようにして、弁軸45の下端部に弁本体56が固定されている。
【0033】
ハンドル49を軸線O1回りの第1向きに回転させると、弁座101aに対して弁体55が下方に移動し、弁座101aに弁体55の対向面56aが封止部材61を介して接触する。弁体55が、弁座101aに着座する。このとき、弁座101aの弁口101cを用水が流れなく、弁口101cが閉じた閉状態となる。このときに、弁体55の突出部57は、弁座101aに対する径方向外側に、弁座101aを径方向外側から囲うように配置される。
一方で、弁口101cが閉状態から、ハンドル49を軸線O1回りの第2向きに回転させると、弁座101aに対して弁体55が上方に移動し、弁座101aに対して弁体55が上方に離間する。このとき、弁座101aの弁口101cを用水が流れ、弁口101cが開いた開状態となる。
以上のように、弁体55は、弁座101aに対して軸線O1方向に離反可能に、弁口101cに対する上方から着座する。
【0034】
第1カバー70は、有頂筒状に形成されている。第1カバー70は、天壁71と、外周壁72と、フランジ(第1カバー70における下方の端部)73と、を有する。
天壁71は、円板状であり、軸線O1と同軸に配置されている。天壁71における軸線O1上には、図示しない通孔が形成されている。天壁71の通孔には、ハンドル49の軸部49bが配置されている。例えば、天壁71は、ヨーク10の連結部36にボルト等により固定されている。
【0035】
外周壁72は、円筒状に形成され、天壁71の外周縁から下方に向かって延びている。
フランジ73は、円環状に形成され、外周壁72の下端部から径方向外側に向かって突出している。フランジ73は、外周壁72に、外周壁72の全周にわたって形成されている。
フランジ73(第1カバー70)の下端は、弁座端101dよりも上方に配置されている。
天壁71、外周壁72、及びフランジ73を有する第1カバー70は、例えば、ステンレス鋼板をプレス加工すること等により、一体に形成されている。
第1カバー70は、ヨーク10における上方の部分を径方向外側から覆う。
【0036】
第2カバー80は、第1外周壁81と、フランジ(第2カバー80における上方の端部)82と、を有する。
第1外周壁81は、円筒状に形成されている。第1外周壁81は、軸線O1と同軸に配置されている。
フランジ82は、円環状に形成され、第1外周壁81の上端部から径方向内側に向かって突出している。フランジ82は、第1外周壁81に、第1外周壁81の全周にわたって形成されている。
第1外周壁81の内径は、第1カバー70のフランジ73の外径よりも大きい。
フランジ82の内径は、フランジ73の外径よりも小さく、外周壁72の外径よりも大きい。
第1外周壁81及びフランジ82を有する第2カバー80は、第1カバー70と同様に製造される。
【0037】
第2カバー80のフランジ82は、第1カバー70のフランジ73に、フランジ73にの上方から接触している。第2カバー80のフランジ82は、第1カバー70のフランジ73に、径方向外側から嵌合(係合)している。第2カバー80のフランジ82は、第1カバー70と軸線O1方向に重なる。
第2カバー80は、弁座101aの弁座端101d及び弁体55を径方向外側から覆う。
【0038】
第1カバー70に対して第2カバー80を上方に移動させると、フランジ73,82の嵌合が解除されて、第1カバー70から第2カバー80を取外すことができる。一方で、第1カバー70の上方から第2カバー80を下方に移動させると、第2カバー80のフランジ82内を第1カバー70の天壁71及び外周壁72が通り、第1カバー70のフランジ73に第2カバー80のフランジ82が、フランジ73の上方から嵌合する。
以上のように、第2カバー80は、第1カバー70に着脱可能である。
【0039】
以上のように構成された弁装置1では、弁口101cが開状態のときに、配管構造100の管101から弁口101cを通して枡本体内に流れ込んだ用水は、給水管を通して圃場に供給される。
一方で、作業者は、圃場の水位(地下水位)が、予め定められた所定の高さ以上であることを検出すると、弁口101cを閉状態する。すると、圃場への用水の供給が停止する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の弁装置1では、ヨーク10により支持された弁軸45を、弁座101aに対して軸線O1方向に移動させ、弁座101aに、軸線O1方向に離反可能に、弁体55を上方から着座させることができる。弁座101aの弁座端101dは、第2カバー80により外側から覆われ、第2カバー80のフランジ82が、第1カバー70と軸線O1方向に重なる。このため、弁座101aの弁口101cから流れ出て弁体55に当たり、外側に向かって流れを変えた用水が、第1カバー70と第2カバー80との間から外側に向かって流れるのを抑え、用水が弁体55の周囲に飛び散るのを抑制することができる。
また、第1カバー70はヨーク10に固定されるが、第2カバー80は第1カバー70に着脱可能である。従って、弁装置1から第2カバー80を容易に取外すことができる。第2カバー80を取外した際に、第1カバー70の下端が、弁座端101dよりも上方に配置されているため、例えば、作業者の手を弁口101cに向かって延ばす際に第1カバー70が支障となり難く、弁口101cの掃除を容易に行うことができる。
【0041】
第2カバー80のフランジ82は、第1カバー70のフランジ73に、径方向外側から嵌合している。このため、第1カバー70のフランジ73に、第2カバー80のフランジ82を、径方向外側から容易に嵌合させることができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図3に示すように、本実施形態の弁装置2は、第1実施形態の弁装置1における第2カバー80に代えて、第2カバー120を備えている。
第2カバー120は、有頂筒状に形成されている。第2カバー120は、天壁121と、第2外周壁122と、前記フランジ82と、第1外周壁81と、を有する。
天壁121は、円板状であり、軸線O1と同軸に配置されている。天壁121には、軸線O1に、通孔121aが形成されている。通孔121aの内径は、ハンドル49の持ち手49aの外径よりも大きい。
第2外周壁122は、円筒状に形成され、天壁121の外周縁から下方に向かって延びている。
フランジ82は、第2外周壁122の下端部から径方向外側に向かって突出している。
【0043】
第2カバー120の天壁121、第2外周壁122、及びフランジ82は、第1カバー70に、径方向外側から嵌合している。第2カバー120の天壁121、第2外周壁122、及びフランジ82は、第1カバー70と軸線O1方向に重なる。
第1カバー70に対して第2カバー120を上方に移動させると、前記嵌合が解除されるとともに、天壁121の通孔121aをハンドル49が通り、第1カバー70から第2カバー120を取外すことができる。一方で、第1カバー70の上方から第2カバー120を下方に移動させると、天壁121の通孔121aをハンドル49が通り、第1カバー70に第2カバー120の天壁121、第2外周壁122、及びフランジ82が、第1カバー70の上方から嵌合する。
以上のように、第2カバー120は、第1カバー70に着脱可能である。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の弁装置2では、第2カバー120を容易に取外せるとともに、第2カバー120を取外したときの弁口101cの掃除を容易に行うことができる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図4及び図5を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4及び図5に示すように、本実施形態の弁装置3は、第1実施形態の弁装置1における第1カバー70及び第2カバー80に代えて、第1カバー125及び第2カバー130を備えている。
第1カバー125は、前記第1カバー70において、フランジ73が外周壁72の下端部から径方向内側に向かって突出している。フランジ73は、外周壁72に、外周壁72の全周にわたって形成されている。
【0046】
第2カバー130は、複数(本実施形態では2つ)のカバー片131A,131Bを有する。カバー片131A,131Bは、軸線O1方向に見たときに円弧状を呈する。なお、第2カバー130が有するカバー片の数は2つに限定されず、3つ以上でもよい。
カバー片131Aは、周壁片132Aと、フランジ片(カバー片における上方の端部)133Aと、を有する。
周壁片132Aは、軸線O1方向に見たときに円弧状を呈する。周壁片132Aの中心角は、180°を超えることが好ましい。
フランジ片133Aは、周壁片132Aの上端部から径方向外側に向かって突出している。フランジ片133Aは、周壁片132Aに、周方向における周壁片132Aの全範囲にわたって形成されている。
カバー片131A,131Bは、軸線O1周りに隣り合う。
【0047】
カバー片131Aのフランジ片133Aは、第1カバー125のフランジ73に、フランジ73の上方から接触している。フランジ片133A,133Bは、第1カバー125のフランジ73に、径方向内側からそれぞれ嵌合している。
カバー片131A,131Bの周方向の端部同士は、径方向に重なり合っている。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の弁装置3では、第2カバー130を容易に取外せるとともに、第2カバー130を取外したときの弁口101cの掃除を容易に行うことができる。
さらに、例えばカバー片131A,131Bの半径が小さくなるようにカバー片131A,131Bを弾性的に変形させた状態で、第1カバー125内にカバー片131A,131Bを配置する。そして、カバー片131A,131Bの形状を弾性的に復元させることにより、第1カバー125のフランジ73に、第2カバー130のフランジ片133A,133Bを、径方向内側から容易に嵌合させることができる。
【0049】
カバー片131A,131Bの周方向の端部同士は、径方向に重なり合っている。このため、カバー片131A,131Bの間を通して、用水がカバー片131A,131Bの径方向外側に流れ出るのを抑制することができる。
なお、カバー片131A,131Bの周方向の端部同士は、径方向に重なり合わなくてもよい。
【0050】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図6及び図7を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6及び図7に示すように、本実施形態の弁装置4は、第3実施形態の弁装置3における第2カバー130に代えて、第2カバー135を備えている。
なお、この例では、第1カバー125は、フランジ73を有さなくてもよい。
第2カバー135は、楕円筒状に形成されている。第2カバー135では、前後方向の外径よりも、左右方向の外径が長い。第2カバー135は、複数(本実施形態では2つ)のカバー片136A,136Bを有する。
カバー片136Aは、カバー片131Aのフランジ片133Aに代えて、公知の着脱機構137Aを有する。着脱機構137Aは、ヨーク10の脚部12Aに着脱可能である。
なお、着脱機構は、第1カバー125及びヨーク10の脚部12Aにそれぞれ着脱可能であってもよい。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の弁装置4では、第3実施形態の弁装置3と同様の効果を奏することができる。
【0052】
以上、本発明の第1実施形態から第4実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、第1実施形態では、第1カバー70の外周壁72及び第2カバー80の第1外周壁81は、それぞれ円筒状に形成されるとした。しかし、これらの外周壁は、互いに対応する多角形の筒状に形成されてもよい。例えば、第1カバーの外周壁が6角形の筒状に形成されている場合には、第2カバーの第1外周壁も6角形の筒状に形成する。
第2実施形態から第4実施形態についても、第1実施形態と同様である。
【0053】
弁体55は、突出部57及び取付け部材58を有さなくてもよい。
弁座101aは、管101の端部以外の部材で構成されてもよい。
弁装置1は、弁体55に代えて、弁口101cを自動的に開閉する自動給水栓を備えてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,2,3,4 弁装置
10 ヨーク
45 弁軸
55 弁体
70,125 第1カバー
80,120,130,135 第2カバー
101a 弁座
101c 弁口
101d 弁座端
131A,131B,136A,136B カバー片
O1 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7