(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150336
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 5/08 20060101AFI20231005BHJP
H02K 9/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02K5/08 Z
H02K9/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059398
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605CC01
5H605DD05
5H605GG04
5H609PP01
5H609PP05
5H609QQ02
5H609RR58
5H609RR69
5H609RR75
(57)【要約】 (修正有)
【課題】放熱性の高い回転電機を提供する。
【解決手段】本発明の回転電機の一つの態様は、軸方向に延びる回転シャフト、回転シャフトの周面に固定されたロータおよびロータの周囲に配置された環状のステータを有するモータユニットと、軸方向一方側が開口し、モータユニットを収容した樹脂製の筒状ケース10と、筒状ケース10の開口部を塞ぐ金属製の蓋体20と、筒状ケース10の内壁に固定され、ステータを囲んでステータに接触して支持する金属製のモータハウジング30と、を備える。モータハウジング30は、軸方向一方側に位置し径方向に延びるフランジ部35を有する。フランジ部35は、蓋体20に対して熱的に面接触している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる回転シャフト、前記回転シャフトの周面に固定されたロータおよび前記ロータの周囲に配置された環状のステータを有するモータユニットと、
軸方向一方側が開口し、前記モータユニットを収容した樹脂製の筒状ケースと、
前記筒状ケースの開口部を塞ぐ金属製の蓋体と、
前記筒状ケースの内壁に固定され、前記ステータを囲んで前記ステータに接触して支持する金属製のモータハウジングと、
を備え、
前記モータハウジングは、軸方向一方側に位置し径方向に延びるフランジ部を有し、
前記フランジ部は、前記蓋体に対して熱的に面接触している、回転電機。
【請求項2】
前記フランジ部は、前記蓋体に対して放熱ゲル部材を介して熱的に面接触している、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記モータハウジングは、前記フランジ部の径方向内側に位置し前記フランジ部よりも軸方向一方側に突出する凸条部を有し、
前記蓋体は、前記凸条部よりも径方向外側に位置し、軸方向他方側の面から軸方向一方側に凹んだ凹条部を有し、
前記凸条部と前記凹条部は、前記放熱ゲル部材を収容する収容部を構成する、
請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記ロータおよび前記ステータの軸方向一方側に配置された制御基板を有し、
前記制御基板は、前記蓋体に対して第2放熱ゲル部材を介して熱的に面接触している、
請求項2または3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記放熱ゲル部材と前記第2放熱ゲル部材とは、同じ素材である、
請求項4に記載の回転電機。
【請求項6】
前記フランジ部は、前記蓋体における軸方向他方側の面に面接触し、
前記蓋体と前記フランジ部とは、締結部材によって前記筒状ケースに共締めされて互いに固定されている、
請求項1に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータとステータを有するモータを備えた回転電機が知られている。例えば、特許文献1には、ステータを樹脂モールドしたモータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転電機において、樹脂製のモータボディを用いた場合、ステータアッシーの発熱は熱伝導性の劣る樹脂材料を介した熱伝達により外気へ放熱しており、放熱量不足により性能低下の要因となり得る。一方で、樹脂製ケース自体を熱伝導性の高い特殊樹脂とすることも考えられるが、コスト面などの新たな課題が生じる。
【0005】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、放熱性の高い回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転電機の一つの態様は、軸方向に延びる回転シャフト、前記回転シャフトの周面に固定されたロータおよび前記ロータの周囲に配置された環状のステータを有するモータユニットと、軸方向一方側が開口し、前記モータユニットを収容した樹脂製の筒状ケースと、前記筒状ケースの開口部を塞ぐ金属製の蓋体と、前記筒状ケースの内壁に固定され、前記ステータを囲んで前記ステータに接触して支持する金属製のモータハウジングと、を備え、前記モータハウジングは、軸方向一方側に位置し径方向に延びるフランジ部を有し、前記フランジ部は、前記蓋体に対して熱的に面接触している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、放熱性の高い回転電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の回転電機を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の筒状ケースを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のモータハウジングを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のフランジ部周辺の部分拡大図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の蓋体を示す平面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の回転電機の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る回転電機について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
各図には、以下に説明する実施形態の回転電機における中心軸Jを仮想的に示している。
以下の説明においては、中心軸Jの軸方向を単に「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。各図に示すZ軸は、中心軸Jが延びる方向を示している。以下の説明においては、軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」と呼び、軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。
【0011】
本実施形態において、下側は「軸方向一方側」に相当し、上側は「軸方向他方側」に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。また、
図1では、説明のために、中心軸Jを挟んだ左右両側のそれぞれにおいて異なる周方向位置の断面を示している。
【0012】
図1に示すように、回転電機100は、モータユニット1と、筒状ケース10と、蓋体20と、モータハウジング30と、を備える。
モータユニット1は、回転シャフト40と、ロータ50と、ステータ70と、制御基板80と、を備える。
【0013】
回転シャフト40は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。回転シャフト40は、ベアリング5a,5bによって中心軸J回りに回転可能に支持されている。ロータ50は、中心軸Jを中心として回転可能である。ロータ50は回転シャフト40の周面に固定されている。ロータ50は、ロータコア51と、マグネット52と、を有する。ロータコア51は、中心軸Jを囲む環状である。ロータコア51の径方向内側には回転シャフト40が軸方向に通されている。マグネット52は、ロータコア51に固定されている。図示は省略するがマグネット52は、例えば、周方向に間隔を空けて複数設けられている。
【0014】
ステータ70は、ロータ50の径方向外側に位置する。ステータ70は、ロータ50の周囲に配置される。ステータ70は、ロータ50を囲む環状である。ステータ70は、ステータコア71と、ステータコア71に取り付けられたインシュレータ72と、インシュレータ72を介してステータコア71に取り付けられた複数のコイル73と、を有する。
【0015】
ステータコア71は、ロータコア51を囲んでいる。ステータコア71は、ロータコア51を囲む円環状のコアバック71aと、図示は省略するが、コアバック71aから径方向内側に延びる複数のティースと、を有する。複数のティースは、周方向に沿って並んで配置されている。コアバック71aのうち上側の端部を除いた部分は、モータハウジング30の後述する第1周壁部32内に圧入されて固定されている。これにより、ステータ70は、モータハウジング30に固定されている。複数のティースの径方向内側の端部は、ロータ50の外周面と僅かな隙間を介して対向している。つまり、本実施形態においてステータ70は、ロータ50の外周面と非接触の状態で配置されている。インシュレータ72およびコイル73は、ステータコア71から軸方向両側に突出している。
【0016】
制御基板80は、ロータ50およびステータ70の上側に配置される。詳細は後述するが、制御基板80は、蓋体20に熱的に面接触している。制御基板80は、嵌合突起14c(詳細は後述)に嵌合することで筒状ケース10に位置決めされる。制御基板80には、
図1に示すように、複数の端子83の一端部が接続されている。図示は省略するが、複数の端子83の他端部は、コネクタ部19に設けられている。コネクタ部19に図示しない外部電源が接続されることで、当該外部電源の電力が、端子83から制御基板80に供給される。図示は省略するが、制御基板80は、コイル73と電気的に接続されている。図示しない外部電源から制御基板80に供給された電力は、コイル73に供給される。
【0017】
筒状ケース10は、蓋体20の下側に位置する。筒状ケース10は、上側が開口する筒状である。本実施形態において筒状ケース10は、樹脂製である。
図2に示すように、筒状ケース10は、底壁部11と、外周壁12と、リブ壁12bと、内壁14と、コネクタ部19と、を有する。底壁部11は、中心軸Jを囲む円環状である。底壁部11は、ステータ70の下側に位置する。
【0018】
外周壁12は、底壁部11の縁部から上側に延びる円筒状である。外周壁12の上面は、蓋体20が接合される接合面である。外周壁12の上面は、溝部12aを有する。溝部12aは全周に亘って設けられている。図示は省略するが、溝部12aには、シール材が設けられる。外周壁12は、突壁13を有する。突壁13は、外周壁12の径方向外側に突出する。突壁13は、周方向に間隔をあけて複数(
図2では6個)配置されている。突壁13は、上側に開口する空洞13aを有する。空洞13aは、軸方向に延びている。溝部12aにシール材が設けられた状態で蓋体20を介して空洞13aに上側からタッピンねじ13b(
図1参照)をねじ込むことで、筒状ケース10と蓋体20をシールした状態で固定できる。外周壁12には、コネクタ部19が設けられている。
【0019】
リブ壁12bは、外周壁12から径方向内側に突出する。リブ壁12bは、底壁部11から上側に延びる。リブ壁12bは、周方向に間隔をあけて複数(
図2では6個)配置されている。リブ壁12bの上面は、外周壁12の上面よりも下側に位置する。
【0020】
内壁14は、底壁部11から上側に突出している。より詳細には、内壁14は、底壁部11の径方向外周縁部から上側に突出している。内壁14は、中心軸Jを囲む円環状である。
図1に示すように、内壁14は、ステータ70の径方向外側に位置する。内壁14は、ステータ70を径方向外側から囲んでいる。内壁14は、外周壁12よりも径方向内側に位置する。内壁14の上面は、外周壁12の上面よりも下側に位置する。
【0021】
径方向で外周壁12と内壁14との間には、嵌合突起14cが設けられている。嵌合突起14cは、周方向に間隔をあけて複数(
図2では6個)配置されている。嵌合突起14cは、上側に突出する。嵌合突起14cは、径方向に延びるリブ14dにより外周壁12と内壁14とに繋がっている。リブ14dは、底壁部11から上側に突出している。図示は省略するが、嵌合突起14cは、制御基板80の貫通孔に嵌合することで、制御基板80を位置決めする。
【0022】
モータハウジング30は、金属製である。モータハウジング30を構成する材料は、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の放熱性を有する部材である。モータハウジング30は、例えば、板金部材にプレス加工を施すことによって作られている。つまり、本実施形態においてモータハウジング30は、プレス加工品である。モータハウジング30は、筒状ケース10の上側に固定されている。モータハウジング30は、底板部31と、第1周壁部32と、段部33と、第2周壁部34と、フランジ部35と、を有する。
【0023】
底板部31は、中心軸Jを中心とする円環状である。底板部31は、タッピンねじ、コネジ、ボルト等の締結部材31a(
図1参照)をねじ込むことで、筒状ケース10の底壁部11に固定される。第1周壁部32は、底板部31の外縁から上側に延びる。第1周壁部32は円筒状である。第1周壁部32における上側の端部は、内壁14の上面よりも上側に位置する。第1周壁部32は、筒状ケース10の内壁14に圧入されて固定されている。第1周壁部32は、径方向外側からステータ70を囲んでいる。第1周壁部32は、ステータ70におけるステータコア71に径方向外側から接触して支持する。
【0024】
第1周壁部32がステータ70におけるステータコア71に径方向外側から接触して支持することで、ステータ70におけるコイル73で生じた熱は、第1周壁部32に伝達されて放熱される。
【0025】
段部33、第2周壁部34およびフランジ部35は、周方向に間隔をあけて複数(
図2では6個ずつ)配置されている。段部33、第2周壁部34およびフランジ部35は、筒状ケース10における嵌合突起14cおよび端子83等から離れた位置に配置されている。段部33は、第1周壁部32における上側の端部から径方向外側に延びる。段部33の径方向外側の位置は、制御基板80よりも径方向外側、且つ、外周壁12よりも径方向内側の位置である。第2周壁部34は、段部33における径方向外側の端部から上側に延びる。第2周壁部34における上側の端部は、外周壁12の上面よりも下側の位置である。
【0026】
フランジ部35は、第2周壁部34における上側の端部から径方向外側に延びる。フランジ部35は、リブ壁12bの上側に位置する。フランジ部35は、リブ壁12bと軸方向で対向する。リブ壁12bの周方向の位置は、フランジ部35の周方向の中心位置である。フランジ部35がリブ壁12bと軸方向で対向することで、フランジ部35が下側に撓んだ際にリブ壁12bは下側からフランジ部35を支持できる。
【0027】
図4に示すように、モータハウジング30は、凸条部36を有している。凸条部36は、周方向に延びている。凸条部36は、フランジ部35における径方向内側に配置される。凸条部36は、フランジ部35よりも上側に突出する。凸条部36は、フランジ部35が湾曲して構成されている。ステータ70におけるコイル73で生じた熱は、第1周壁部32、段部33および第2周壁部34を介してフランジ部35に伝達される。
【0028】
図1に示すように、蓋体20は、筒状ケース10の上側に配置されている。
図5に示すように、蓋体20は、円板状である。蓋体20は、筒状ケース10の開口部を塞ぐ。本実施形態において蓋体20は、金属製である。蓋体20を構成する材料は、例えば、鉄である。蓋体20は、例えば、板金部材にプレス加工を施すことによって作られている。つまり、本実施形態において蓋体20は、プレス加工品である。
【0029】
蓋体20は、円板部21と、突部22と、挿通孔23と、凹条部24と、を有する。円板部21の径方向端部は、筒状ケース10における外周壁12の上面に上側から接する。突部22は、円板部21の外縁から径方向外側に突出する。突部22は、周方向に間隔をあけて複数(
図2では6個)配置されている。挿通孔23は、突部22を軸方向に貫通する。挿通孔23は、筒状ケース10の空洞13aと軸方向に重なる位置に配置される。上述したように、筒状ケース10の溝部12aにシール材が設けられた状態で、蓋体20の挿通孔23を上側から挿通したタッピンねじ13b(
図1参照)を筒状ケース10の空洞13aにねじ込むことで、筒状ケース10と蓋体20をシールした状態で固定できる。シール材は、例えば、Oリングである。
【0030】
凹条部24は、
図4に示すように、円板部21の下面から上側に凹んでいる。凹条部24は、周方向に延びている。凹条部24は、全周に亘って設けられている。凹条部24は、凸条部36よりも径方向外側に位置する。凸条部36よりも径方向外側に位置する円板部21の径方向端部は、フランジ部35および凸条部36よりも上側に離れて位置する。つまり、蓋体20は、筒状ケース10の開口部を塞いだときに、凸条部36と凹条部24と離れている。凸条部36と凹条部24は、収容部25を構成する。収容部25は、空間である。収容部25は、放熱ゲル部材G1を収容する。収容部25が放熱ゲル部材G1を収容することで、フランジ部35の熱は、蓋体20に伝達される。つまり、フランジ部35は、放熱ゲル部材G1を介して蓋体20に対して熱的に面接触している。フランジ部35が放熱ゲル部材G1を介して蓋体20に対して熱的に面接触することで、ステータ70におけるコイル73で生じた熱は、第1周壁部32、段部33、第2周壁部34およびフランジ部35を介して蓋体20に伝達されて放熱される。すなわち、ステータ70におけるコイル73で生じた熱は、金属製のモータハウジング30および放熱ゲル部材G1を介して金属製の蓋体20に放熱される。従って、高温化によるモータユニット1の性能低下を抑制できる。
【0031】
蓋体20が筒状ケース10の開口部を塞いだときに、凸条部36と凹条部24と離れており、放熱ゲル部材G1は負荷が加わったときに変形する。そのため、収容部25の容積よりも大きな体積で放熱ゲル部材G1が収容された場合でも、筒状ケース10と蓋体20を固定する際の圧力で放熱ゲル部材G1は変形し、例えば、凸条部36と円板部21との隙間から径方向内側にはみ出る。従って、シール性を保持した状態で筒状ケース10と蓋体20とを固定できる。
【0032】
放熱ゲル部材G1の素材としては、熱伝達をする高熱伝導率を有するゲル材であれば特に限定されない。
【0033】
本実施形態における制御基板80は、蓋体20に対して熱的に面接触している。制御基板80は、第2放熱ゲル部材G2を介して蓋体20に対して熱的に面接触している。制御基板80が第2放熱ゲル部材G2を介して蓋体20に対して熱的に面接触していることで、制御基板80で生じた熱は、第2放熱ゲル部材G2を介して金属製の蓋体20に伝わり放熱される。従って、高温化による制御基板80の性能低下を抑制できる。
【0034】
第2放熱ゲル部材G2は、放熱ゲル部材G1と同じ素材である。放熱ゲル部材G1と第2放熱ゲル部材G2とが同じ素材であることで、放熱ゲル部材として複数種の素材を準備する必要がなくなり製造効率の向上および製造コストの低減に寄与できる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の回転電機100によれば、モータハウジング30におけるフランジ部35が蓋体20に対して熱的に面接触しているため、放熱性を高くすることができる。
【0036】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0037】
上記実施形態では、フランジ部35が蓋体20に対して放熱ゲル部材G1を介して熱的に面接触する構成を例示したが、この構成に限定されない。
例えば、
図6に示すように、フランジ部35が蓋体20に対して直接接触することで、熱的に面接触する構成であってもよい。
【0038】
この構成を採る場合には、フランジ部35を突壁13の上面まで延びる寸法とし、蓋体20とフランジ部35とが、タッピンねじ(ねじ)13bによって筒状ケース10における突壁13に共締めされて互いに固定できる。そのため、蓋体20とフランジ部35とをタッピンねじ13bによってまとめて突壁13に固定することができる。これにより、モータハウジング30および蓋体20を固定する作業を容易にできる。
この構成を採る場合には、フランジ部35を介して筒状ケース10と蓋体20をシールすることになるため、筒状ケース10と蓋体20とのシール性確保の観点から、フランジ部35が蓋体20に対して放熱ゲル部材G1を介して熱的に面接触する構成を採ることが好ましい。
【0039】
本発明が適用される回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、どのような機器に搭載されてもよい。回転電機は、減速機構を備えるアクチュエータに搭載されてもよい。回転電機は、発電機であってもよい。本発明が適用されるポンプの用途は、特に限定されない。ポンプは、どのような機器に搭載されてもよい。ポンプは、例えば、車両に搭載されてもよい。ポンプは、どのような流体を送るポンプであってもよい。ポンプは、オイルを送るオイルポンプであってもよい。なお、以上に、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0040】
1…モータユニット、10…筒状ケース、 13b…タッピンねじ(締結部材)、 20…蓋体、 24…凹条部、 25…収容部、 30…モータハウジング、 35…フランジ部、 36…凸条部、 40…回転シャフト、 50…ロータ、 70…ステータ、 80…制御基板、 100…回転電機、 G1…放熱ゲル部材、 G2…第2放熱ゲル部材、 J…中心軸