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特開2023-150356流体性状監視システム、流体性状センサの検出値の異常の検出方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150356
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】流体性状監視システム、流体性状センサの検出値の異常の検出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/22 20060101AFI20231005BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20231005BHJP
   G01N 27/06 20060101ALI20231005BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01N27/22 B
G01N27/04 D
G01N27/06
G01N27/22 A
G01N27/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059441
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】亀田 幸則
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA01
2G060AA05
2G060AE30
2G060AF08
2G060AF11
2G060EA06
2G060EA08
2G060HA06
2G060HC15
2G060HD03
(57)【要約】
【課題】流体性状センサの異常による流体の性状の検出精度の低下を防止する。
【解決手段】流体性状監視システム100は、流体圧機器1に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサ10の検出値と、作業者により入力され流体圧機器1の状態を含むメンテナンス情報と、が入力される情報処理部30を備え、情報処理部30は、メンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と検出値とを比較して検出値の異常を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧機器に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサの検出値と、作業者により入力され前記流体圧機器の状態を含むメンテナンス情報と、が入力される情報処理部を備え、
前記情報処理部は、前記メンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と前記検出値とを比較して前記検出値の異常を検出することを特徴とする流体性状監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の流体性状監視システムであって、
前記情報処理部は、前記検出値の増減傾向が変化した場合にその前後の所定時間内に前記メンテナンス情報が入力されなければ、警告信号を出力することを特徴とする流体性状監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の流体性状監視システムであって、
前記検出値には、前記流体の誘電率または導電率が含まれ、
前記情報処理部は、前記流体の誘電率または導電率が増加から減少に変化した場合にその前後の所定時間内に前記メンテナンス情報が入力されなければ、前記警告信号を出力することを特徴とする流体性状監視システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の流体性状監視システムであって、
前記情報処理部は、前記流体圧機器の稼働開始から所定稼働時間内には、前記警告信号を出力しないことを特徴とする流体性状監視システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の流体性状監視システムであって、
前記情報処理部は、前記流体圧機器の稼働開始から所定稼働時間内には、前記流体性状センサの前記検出値の異常を検出しないことを特徴とする流体性状監視システム。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一つに記載の流体性状監視システムであって、
前記検出値には、前記流体の温度が含まれ、
前記所定稼働時間は、前記流体圧機器の稼働開始から前記流体の温度が所定値以上になるまでの間であることを特徴とする流体性状監視システム。
【請求項7】
流体圧機器に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサの検出値の異常の検出方法であって、
作業者により入力される前記流体圧機器の状態を含むメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と前記流体性状センサの検出値とを比較して前記検出値の異常を検出することを特徴とする流体性状センサの検出値の異常の検出方法。
【請求項8】
流体圧機器に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサの検出値の異常の検出をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
作業者により入力される前記流体圧機器の状態を含むメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と前記流体性状センサの検出値とを比較して前記検出値の異常を検出させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体性状監視システム、流体性状センサの検出値の異常の検出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、検出対象流体の性状を検出する流体性状検出装置が開示されている。流体性状検出装置は、作動油を作動流体として駆動する油圧シリンダ等の流体圧機器に直接、または、油圧シリンダ等に接続される配管に取り付けられ、作動油の性状を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-49495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような流体性状検出装置には、流体性状検出装置そのものの故障を検出する機構がない。そのため、流体性状検出装置の故障に気づけずに、作動油の性状の検出精度が悪化するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、流体性状センサの異常による流体の性状の検出精度の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流体性状監視システムであって、流体圧機器に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサの検出値と、作業者により入力され流体圧機器の状態を含むメンテナンス情報と、が入力される情報処理部を備え、情報処理部は、メンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と検出値とを比較して検出値の異常を検出することを特徴とする。
【0007】
この発明では、情報処理部が、作業者により入力されるメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサの検出値とを比較することで流体性状センサの検出値の異常を検出する。これにより、作業者に流体性状センサのメンテナンスを促すことができるため、流体性状センサの異常による流体の性状の検出精度の低下が防止される。
【0008】
また、本発明は、情報処理部は、検出値の増減傾向が変化した場合にその前後の所定時間内にメンテナンス情報が入力されなければ、警告信号を出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、検出値には、流体の誘電率または導電率が含まれ、情報処理部は、流体の誘電率または導電率が増加から減少に変化した場合にその前後の所定時間内にメンテナンス情報が入力されなければ、警告信号を出力することを特徴とする。
【0010】
これらの発明では、作業者がメンテナンス情報の未入力に気づくことができ、メンテナンスを行っていない場合やメンテナンス情報が入力済みの場合は流体性状センサの異常に気付くことができる。
【0011】
また、本発明は、情報処理部は、流体圧機器の稼働開始直後から所定稼働時間内には、警告信号を出力しないことを特徴とする。
【0012】
この発明では、流体性状センサの検出値が不安定な流体圧機器の稼働直後において、流体性状センサの検出値の増減傾向が変化したことを示す警告信号が誤って出力されることが防止される。
【0013】
また、本発明は、情報処理部は、流体圧機器の稼働開始直後から所定稼働時間内には、流体性状センサの検出値の異常を検出しないことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、検出値には、流体の温度が含まれ、所定稼働時間は、流体圧機器の稼働開始から流体の温度が所定値以上になるまでの間であることを特徴とする。
【0015】
これらの発明では、流体性状センサの検出値が不安定な流体圧機器の稼働直後において、流体性状センサの検出値の異常が誤って検出されることが防止される。
【0016】
また、本発明は、流体圧機器に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサの検出値の異常の検出方法であって、作業者により入力される流体圧機器の状態を含むメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサの検出値とを比較して検出値の異常を検出することを特徴とする。
【0017】
この発明では、作業者により入力されるメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサの検出値とを比較することで流体性状センサの検出値の異常を検出する。これにより、作業者に流体性状センサのメンテナンスを促すことができるため、流体性状センサの異常による流体の性状の検出精度の低下が防止される。
【0018】
また、本発明は、流体圧機器に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサの検出値の異常の検出をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、作業者により入力される流体圧機器の状態を含むメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサの検出値とを比較して検出値の異常を検出させることを特徴とする。
【0019】
この発明では、作業者により入力されるメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサの検出値とを比較することで流体性状センサの検出値の異常を検出する。これにより、作業者に流体性状センサのメンテナンスを促すことができるため、流体性状センサの異常による流体の性状の検出精度の低下が防止される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、流体性状センサの異常による流体の性状の検出精度の低下が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る流体性状監視システムの概略図である。
図2】流体圧機器の稼働時における経過時間と作動流体の電気的特性値との関係を表す図である。
図3】流体圧機器のメンテナンスによる電気的特性値の変化を表す図である。
図4】情報処理部がメンテナンス信号を出力する処理手順を示すフローチャートである。
図5】情報処理部が異常信号を出力する処理手順を示すフローチャートである。
図6】情報処理部が警告信号を出力する処理手順を示すフローチャートである。
図7】流体圧機器のメンテナンスがされたとみなす電気的特性値の変化を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る流体性状監視システム100について説明する。
【0023】
流体性状監視システム100は、例えば作動流体としての作動油により駆動される油圧ポンプ、油圧モータ、油圧バルブ、油圧シリンダ等の流体圧機器1に用いられる。流体性状監視システム100は、流体圧機器1に給排される作動油、作動水、及び圧縮空気等の作動流体の性状を検出して監視し、作動流体の劣化や流体性状監視システム100そのものの異常を作業者に報知するものである。これにより、作業者は、流体圧機器1の作動流体の交換や追加、及び流体性状監視システム100そのもののメンテナンス等を行う。なお、流体性状監視システム100の監視対象は、流体圧機器1の作動流体に限らず、潤滑油や切削油、燃料、溶媒、及び化学薬品といった種々の液体や気体であってもよい。以下では、流体性状監視システム100の監視対象である流体圧機器1の作動流体を、単に「作動流体」とも称する。
【0024】
図1に示すように、流体性状監視システム100は、流体圧機器1に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサ10と、作業者により流体圧機器1の状態を含むメンテナンス情報が入力される端末20と、流体性状センサ10の検出値及びメンテナンス情報が入力される情報処理部30と、を備える。
【0025】
流体性状センサ10は、例えば、流体圧機器1に直接、または、流体圧機器1に接続される配管に取り付けられ、流体圧機器1に給排される作動流体の性状を検出する。具体的には、流体性状センサ10は、作動流体の劣化を監視するために、作動流体の誘電率や導電率といった電気的特性値、及び温度等を検出する。
【0026】
流体性状センサ10は、作動流体の性状を検出する検出部11と、検出部11の検出結果を情報処理部30に送信するセンサ側送信部12と、を有する。検出部11は、本実施形態では、互いに対向して設けられた一対の電極(図示せず)を有する。検出部11は、一対の電極に印加した電圧値と、一対の電極間に流れる電流値と、から作動流体の誘電率や導電率等の電気的特性値を検出する。また、検出部11では、一方の電極に取り付けられる温度センサにより温度を検出する。検出部11には、公知の構成を採用することができるため、構成の詳細な図示及び説明は省略する。また、以下では、流体性状センサ10が検出する電気的特性値が誘電率や導電率である場合について説明するが、流体性状センサ10が検出する電気的特性値は誘電率や導電率に限られない。センサ側送信部12は、検出部11の検出値を無線通信により連続的にまたは一定の時間間隔で情報処理部30に送信し出力する。
【0027】
端末20は、例えば、スマートフォン等の携帯端末やパーソナルコンピュータである。端末20は、作業者から入力されるメンテナンス情報を情報処理部30に出力するとともに、後述するように、流体圧機器1のメンテナンスを促すメンテナンス信号、流体性状センサ10の異常を報知する異常信号、及び作業者に警告する警告信号が情報処理部30から入力される。これにより、作業者は端末20を通じて、流体圧機器1のメンテナンスの要否や流体性状センサ10の異常等を把握することができる。
【0028】
端末20は、作業者により流体圧機器1の状態を含むメンテナンス情報の入力を受け付ける入力部21と、入力部21に入力されたメンテナンス情報を情報処理部30に送信する端末側送信部22と、情報処理部30からの情報を受信する端末側受信部23と、各種情報を表示する表示部24と、を有する。
【0029】
入力部21は、例えば、スマートフォンのタッチパネルやパーソナルコンピュータのキーボード等である。端末20には、メンテナンス情報の入力を補助するためのアプリケーションがインストールされ、作業者は、アプリケーションの表示を基に流体圧機器1のメンテナンス情報を入力部21に入力する。具体的には、入力部21に入力するメンテナンス情報は、作動流体の交換や追加の日時、流体圧機器1に設けられ作動流体中の異物を除去するフィルタの交換の日時、流体圧機器1の異常を検出した日時や異常の内容、及び流体圧機器1の状態等を含む。「流体圧機器1の状態」とは、例えば流体圧機器1の動作音が大きくなった等、作業者により作動流体の劣化度を推測できる情報のことであり、流体圧機器1に手を加えずに得られる流体圧機器1の日常的なメンテナンス情報である。このように、メンテナンス情報は、実際に流体圧機器1に手を加えたという情報と、流体圧機器1に手を加えずに得られる情報と、を含む。なお、入力部21に入力するメンテナンス情報は、作動流体の劣化度を推測できる情報であれば、上記に限らない。
【0030】
端末側送信部22は、入力部21に入力されたこれらのメンテナンス情報を無線通信により情報処理部30に送信する。また、端末側受信部23は、後述するように情報処理部30から送信されるメンテナンス信号、異常信号、及び警告信号を無線通信により受信し、受信した信号に基づいて表示部24が各種情報を表示する。具体的には、端末側受信部23がメンテナンス信号を受信すると、表示部24は流体圧機器1のメンテナンスを促す情報を表示する。また、端末側受信部23が異常信号を受信すると、表示部24は流体性状センサ10のメンテナンスを促す情報を表示する。また、端末側受信部23が警告信号を受信すると、表示部24はメンテナンス情報の入力を促す情報を表示するとともに、流体性状センサ10が異常の可能性があることを表示する。
【0031】
情報処理部30は、CPU等の演算処理装置、記憶装置、表示装置、入力装置、及び通信装置等を有し、記憶装置に予め記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、情報処理部30で行う後述の各処理を実行する。情報処理部30は、本実施形態では、流体性状センサ10及び端末20と無線通信されるクラウド上のサーバである。なお、情報処理部30は、クラウド上のサーバに限らず、流体性状センサ10及び端末20と無線通信または有線通信される装置(コンピュータ)であればよい。このように、情報処理部30は、ネットワークを通じて流体性状センサ10及び端末20と通信される。情報処理部30は、流体性状センサ10から入力される検出値から流体圧機器1のメンテナンスの要否を判定し、メンテナンスが必要であると判定するとメンテナンス信号を端末20に出力する。また、情報処理部30は、流体性状センサ10から入力される検出値と端末20から出力されるメンテナンス信号とから、流体性状センサ10の検出値の異常を検出し異常信号として端末20に出力するとともに流体性状センサ10の異常の可能性を検出し警告信号として端末20に出力する。
【0032】
情報処理部30は、流体性状センサ10のセンサ側送信部12から送信される流体性状センサ10の検出値及び端末20の端末側送信部22から送信されるメンテナンス情報を受信する処理部側受信部31と、流体性状センサ10の検出値から作動流体の劣化を検出する劣化検出部32と、端末20から入力されるメンテナンス情報に基づいて異常判定値を設定する異常判定値設定部33と、異常判定値と流体性状センサ10の検出値とを比較して流体性状センサ10の検出値の異常を検出する異常検出部34と、劣化検出部32及び異常検出部34の検出結果を端末20に送信し報知する処理部側送信部35と、を有する。なお、これら処理部側受信部31等は、情報処理部30の各機能を仮想的なユニットとして示したものであり、物理的に存在することを意味するものではない。
【0033】
処理部側受信部31により、流体性状センサ10から検出値が入力される。また、処理部側受信部31により、端末20から流体圧機器1のメンテナンス情報が入力される。
【0034】
劣化検出部32は、流体性状センサ10の検出値から、流体圧機器1の作動流体の劣化を検出する。具体的には、劣化検出部32は、流体性状センサ10が検出した作動流体の電気的特性値から、作動流体の交換等のメンテナンスの要否を判定する。以下では、メンテナンスとして作動流体の交換を行う場合について説明する。本実施形態では、図2に示すように、作動流体の電気的特性値(誘電率や導電率)は、作動流体の劣化とともに増加する。劣化検出部32は、流体性状センサ10が検出した作動流体の電気的特性値が所定の閾値に収まっているかどうか(所定の閾値以下であるかどうか)を判定する。電気的特性値が閾値に収まっていなければ(閾値よりも大きければ)、作動流体が劣化しており交換が必要であるとして、メンテナンス信号を処理部側送信部35を通じて端末20に出力する。なお、メンテナンスの要否を判定する閾値は、一つの値ではなく、一定の数値幅を有する数値範囲であってもよい。また、電気的特性値が閾値に収まっておりメンテナンスが不要である場合であっても、作動流体の劣化度を作業者に報知するための信号を出力してもよい。
【0035】
このように作動流体の劣化が検出された状態では、実際に作動流体が劣化していることだけでなく、作動流体が劣化しておらず流体性状センサ10の異常により作動流体の劣化が誤検出された可能性も考えられる。そのため、流体性状監視システム100では、異常判定値設定部33及び異常検出部34により流体性状センサ10の検出値の異常を検出し、作業者に報知する。
【0036】
異常判定値設定部33は、メンテナンス情報から流体性状センサ10の検出値を推測することで、流体性状センサ10の検出値の異常を検出するための異常検出値を設定する。本実施形態では、図2に示すように、流体性状センサ10が検出する作動流体の電気的特性値(誘電率、導電率)は、流体圧機器1の稼働時間の増加により作動流体が劣化することで増加し、劣化していない新しい作動流体に交換することで減少する。情報処理部30には、予め、作動流体を交換してからの経過時間と作動流体の電気的特性値との相関を示す電気的特性値マップが記憶される。電気的特性値マップは、図2においては作動流体を交換してからその次に作動流体を交換するまでの区間における経過時間と作動流体の電気的特性値との相関を示すものである。電気的特性値マップには、予め情報処理部30に記憶されたものに限らず、流体性状センサ10の検出結果を蓄積したものを利用してもよい。
【0037】
異常判定値設定部33は、電気的特性値マップに基づき、作動流体の取り得る電気的特性値の閾値である異常検出値を設定する。具体的には、異常判定値設定部33は、作動流体の交換の直後であれば、電気的特性値マップにおける作動流体の交換直後の電気的特性値に対して、電気的特性値のブレを考慮した値を異常検出値として設定する。また、異常判定値設定部33は、作動流体の交換から時間が経過していれば、当該経過時間と電気的特性値マップとを基に異常検出値を設定する。なお、図3に示すように、メンテナンスとして新しい作動流体の追加や流体圧機器1のフィルタ交換がされた場合では、作動流体の電気的特性値の変化(図3に示すb,c)は、作動流体の交換(図3に示すa)よりも小さい。そのため、異常判定値設定部33は、作動流体の追加の直後や流体圧機器1のフィルタ交換の直後であれば、異常検出値として、作動流体の交換の直後よりも大きい閾値を設定する。異常判定値設定部33が設定する異常検出値は、異常検出部34に出力される。
【0038】
なお、異常判定値設定部33は、電気的特性値マップだけでなく、演算を用いて異常検出値を設定してもよい。具体的には、異常判定値設定部33は、作動流体の交換による電気的特性値の変化値(減少値)を演算するとともに、作動流体の交換からの時間経過による電気的特性値の変化値(増加値)を演算して、異常検出値を設定してもよい。以下では、異常検出値として、一つの値の閾値が設定される場合について説明する。
【0039】
異常検出部34は、流体性状センサ10の検出値が異常検出値の閾値(具体的には、閾値以下)に収まっているかどうか判定する。異常検出部34は、流体性状センサ10の検出値が異常検出値の閾値に収まっていれば流体性状センサ10の異常を検出しない。一方で、異常検出部34は、流体性状センサ10の検出値が異常検出値の閾値に収まっていなければ流体性状センサ10の検出値の異常を検出し、流体性状センサ10の異常を報知する異常信号を処理部側送信部35を通じて端末20に出力する。
【0040】
図2に示すように、作動流体の交換の直後には、流体性状センサ10が検出する電気的特性値が減少することが推測される。しかしながら、流体性状センサ10の検出した電気的特性値にこの変化が反映されておらず、電気的特性値が大きいままである場合は、流体性状センサ10の異常が疑われる。よって、異常検出部34は、作動流体の交換の直後であるにも関わらず流体性状センサ10の検出した電気的特性値が大きいままで減少しない場合では、流体性状センサ10の検出値の異常を検出する。
【0041】
また、流体圧機器1の稼働中には、作動流体の交換まで流体性状センサ10が検出する電気的特性値が増加することが推測される。しかしながら、流体性状センサ10の検出した電気的特性値にこの変化が反映されておらず、電気的特性値が減少した場合や増加しない場合では、流体性状センサ10の異常が疑われる。よって、異常検出部34は、作動流体の交換をしていないにも関わらず流体性状センサ10の検出した電気的特性値が減少した場合や、作動流体の交換から時間が経過しているにも関わらず電気的特性値が増加しない場合では、流体性状センサ10の検出値の異常を検出する。
【0042】
このように、流体性状センサ10の検出値の異常の検出方法は、作業者により入力される流体圧機器1の状態を含むメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサ10の検出値とを比較して検出値の異常を検出する。流体性状監視システム100では、メンテナンス情報から推測される流体性状センサ10の検出値と、実際の流体性状センサ10の検出値と、を比較することで流体性状センサ10の検出値の異常を検出する。言い換えれば、流体性状監視システム100では、作動流体の劣化が検出された原因が、実際の作動流体の劣化によるものか流体性状センサ10の異常によるものかを判別することができる。これにより、作業者に流体性状センサ10のメンテナンスを促すことができるため、流体性状センサ10の異常による流体の性状の検出精度の低下が防止される。
【0043】
また、流体性状センサ10の検出値の異常が検出された状態では、実際に流体性状センサ10に異常が生じていることだけでなく、流体性状センサ10に異常がなく作業者により行われた作動流体の交換等のメンテナンス情報が未入力である可能性も考えられる。メンテナンス情報が未入力である場合では、電気的特性値の変化は、流体性状センサ10の異常ではなく作動流体の交換等のメンテナンスにより生じたものであり、流体性状センサ10は正常である可能性がある。よって、異常検出部34は、流体性状センサ10の検出値がメンテナンスの実施と同様に変化するとともに、作業者がメンテナンス情報を未入力である場合に、警告信号を出力する。警告信号は、作業者がメンテナンス情報を未入力である可能性があることと、流体性状センサ10が異常の可能性があることと、を作業者に報知するための信号である。
【0044】
具体的には、異常検出部34は、流体性状センサ10の検出値の増減傾向が変化(極値を持つように変化)した場合にその前後の所定時間内にメンテナンス情報が入力されなければ、作業者に警告信号を出力する。本実施形態では、異常検出部34は、流体性状センサ10が検出した作動流体の誘電率または導電率が増加から減少に変化した場合にその前後の所定時間内にメンテナンス情報が入力されなければ、警告信号を処理部側送信部35を通じて端末20に出力する。ここで、「増加から減少に変化」とは、ノイズによる微小な変化を含まず、誘電率または導電率が所定量以上変化することである。流体性状センサ10の検出値の極値は、フィルタ処理を用いてノイズを除去し、流体性状センサ10の検出値の傾きが正から負に変わる点を判別することで検出できる。また、「所定時間」とは、流体圧機器1のメンテナンスの前後で作業者が当該作業を行ったというメンテナンス情報を入力部21に入力可能な長さに設定される。例えば、「所定時間」は、半日程度の長さに設定される。これにより、作業者がメンテナンス情報の未入力に気づくことができ、メンテナンスを行っていない場合やメンテナンス情報が入力済みの場合は流体性状センサ10の異常に気付くことができる。
【0045】
さらに、流体圧機器1の稼働開始直後では、作動流体の温度が増加するため、作動流体の劣化度に関わらず電気的特性値が変化する。よって、異常検出部34は、流体圧機器1の稼働開始から所定稼働時間内には、流体性状センサ10の異常を作業者に報知しないとともに警告信号を出力しない。具体的には、「所定稼働時間」とは、流体性状センサ10が検出した作動流体の温度が、流体圧機器1の稼働開始から所定値以上になるまでの間である。また、作動流体の温度の「所定値」は、流体圧機器1の稼働開始後に作動流体の温度が安定する数値に近く、かつ当該数値よりも小さく設定される。例えば、作動流体の温度は、冬場では、流体圧機器1の非稼働時には10度程度であり、流体圧機器1の稼働時には40~60度程度である。この場合では、作動流体の温度の「所定値」は、10度と40度の間の温度に設定される。これにより、流体性状センサ10の検出値が不安定な流体圧機器1の稼働直後において、作業者に流体性状センサ10の異常及び検出値の増減傾向が変化したことを誤報知することが防止される。
【0046】
図4は、情報処理部30により流体圧機器1のメンテナンスを促すメンテナンス信号を出力する上記の処理をフローチャートにまとめたものである。情報処理部30は、処理部側受信部31を通じて流体性状センサ10から検出値が入力されるごとに図4に示す処理を繰り返して実行する。
【0047】
図4に示すように、情報処理部30は、流体性状センサ10から検出値が入力されると、ステップS101において、流体性状センサ10の電気的特性値(具体的には、誘電率や導電率)が所定の閾値に収まっていないかどうかを判定する。ステップS101において、流体性状センサ10の電気的特性値が所定の閾値に収まっている(閾値内である)と判定すると、メンテナンス信号を出力せずに処理を終了する。ステップS101において、流体性状センサ10の電気的特性値が所定の閾値に収まっていない(閾値外である)と判定すると、ステップS102に進み、メンテナンス信号を処理部側送信部35を通じて端末20に出力して処理を終了する。端末20は、メンテナンス信号が入力されると、表示部24が流体圧機器1のメンテナンスを促す情報を表示し、作業者に報知する。
【0048】
図5は、情報処理部30により流体性状センサ10の異常を報知する異常信号を出力する上記の処理をフローチャートにまとめたものである。情報処理部30は、処理部側受信部31を通じて流体性状センサ10から検出値が入力されるごとに図5に示す処理を繰り返して実行する。
【0049】
図5に示すように、情報処理部30は、まず、ステップS201において、入力済みのメンテナンス情報から流体性状センサ10の検出値を推測して異常検出値を設定する。続いて、ステップS202へと進み、流体性状センサ10の検出値が異常検出値に収まっていないかどうか判定する。ステップS202において、流体性状センサ10の検出値が異常検出値に収まっている(異常検出値内である)と判定すると、異常信号を出力せずに処理を終了する。ステップS202において、流体性状センサ10の検出値が異常検出値に収まっていない(異常検出値外である)と判定すると、ステップS203に進み、流体性状センサ10が検出した作動流体の温度が所定値より大きいかどうか(言い換えれば、流体圧機器1の稼働開始から所定期間内であるかどうか)を判定する。ステップS203において、流体性状センサ10が検出した作動流体の温度が所定値より小さい(流体圧機器1の稼働開始から所定期間内である)と判定すると、異常信号を出力せずに処理を終了する。ステップS203において、流体性状センサ10が検出した作動流体の温度が所定値よりも大きいと判定すると、ステップS204に進み、異常信号を処理部側送信部35を通じて端末20に出力して処理を終了する。端末20は、異常信号が入力されると、表示部24が流体性状センサ10のメンテナンスを促す情報を表示し、作業者に報知する。また、端末20は、メンテナンス信号と異常信号の二つが入力されると、メンテナンス信号による報知よりも異常信号による報知を優先して行う。なお、端末20は、メンテナンス信号による報知と異常信号による報知を併せて行ってもよい。また、ステップS203は、上記の順序に限らず、ステップS201やステップS202の前に実行されてもよい。
【0050】
図6は、情報処理部30により警告信号を出力する上記の処理をフローチャートにまとめたものである。情報処理部30は、異常信号が出力されるごとに図6に示す処理を繰り返して実行する。つまり、警告信号を出力する処理は、流体性状センサ10の異常が検出された状態で行われる。
【0051】
図6に示すように、情報処理部30は、まず、ステップS301において、流体性状センサ10の検出値の増減傾向が変化したかどうか(具体的には、誘電率または導電率が増加から減少に変化したかどうか)判定する。ステップS301において、流体性状センサ10の検出値の増減傾向が変化しないと判定すると、警告信号を出力せずに処理を終了する。ステップS301において、流体性状センサ10の検出値の増減傾向が変化したと判定すると、ステップS302に進み、その前後の所定時間内にメンテナンス情報が入力されていないかどうか判定する。ステップS302において、所定時間内にメンテナンス情報が入力されたと判定すると、警告信号を出力せずに処理を終了する。ステップS302において、所定時間内にメンテナンス情報が入力されないと判定すると、ステップS303に進み、警告信号を処理部側送信部35を通じて端末20に出力して処理を終了する。端末20は、警告信号が入力されると、表示部24がメンテナンス情報の入力を促す情報を表示するとともに流体性状センサ10が異常の可能性があるということを表示し、作業者に報知する。このように、端末20は、異常信号に加えて警告信号が入力されると、異常信号による報知よりも警告信号による報知を優先して行う。なお、端末20は、異常信号による報知と警告信号による報知を併せて行ってもよい。
【0052】
以上のように、流体性状監視システム100では、流体性状センサ10の検出値から流体圧機器1の作動流体の劣化を検出し、作業者に流体圧機器1のメンテナンスを促す報知をする。また、流体性状監視システム100では、作業者により入力されるメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサ10の検出値とを比較することで流体性状センサ10の検出値の異常を検出し、作業者に報知する。言い換えれば、流体性状監視システム100では、作動流体の劣化が検出された原因が、実際の作動流体の劣化によるものか流体性状センサ10の異常によるものかを判別することができる。これにより、作業者に流体性状センサ10の異常を報知し流体性状センサ10のメンテナンスを促すことができるため、流体性状センサ10の異常による流体の性状の検出精度の低下が防止される。
【0053】
さらに、流体性状監視システム100では、流体性状センサ10の検出値の増減傾向が変化した場合にその前後の所定時間内にメンテナンス情報が入力されなければ、作業者にその旨を報知するための警告信号を出力する。これにより、作業者がメンテナンス情報の未入力に気づくことができ、メンテナンスを行っていない場合やメンテナンス情報が入力済みの場合は流体性状センサ10の異常に気付くことができる。加えて、流体性状監視システム100では、流体圧機器1の作動流体の劣化を、圧力や粘度といった物理的なパラメータではなく、誘電率や導電率といった電気的なパラメータから検出する。そのため、作動流体の劣化の検出感度が高い。
【0054】
また、流体性状監視システム100では、流体圧機器1の稼働開始から所定期間内には、流体性状センサ10の異常を作業者に報知しないとともに警告信号を出力しない。これにより、流体性状センサ10の検出値が不安定な流体圧機器1の稼働直後において、作業者に流体性状センサ10の検出値の異常が誤って検出されること及び検出値の増減傾向が変化したこと示す警告信号が誤って出力されることが防止される。
【0055】
なお、本実施形態の流体性状監視システム100では、情報処理部30が、端末20に異常信号及び警報信号を出力し、作業者に流体性状センサ10の異常及びメンテナンス情報が入力されずに流体性状センサ10の検出値の増減傾向が変化したことを報知する。これに限らず、情報処理部30は、作業者に上記事項を報知できれば、端末20以外に異常信号及び警報信号を出力してもよい。また、メンテナンス情報は、作業者により端末20に入力されるものに限らず、作業者により入力されたメンテナンス情報が情報処理部30に入力される構成であればよい。言い換えれば、端末20は、流体性状監視システム100に必須の構成ではない。
【0056】
また、流体性状監視システム100では、情報処理部30が警報信号を出力することは必須ではなく、情報処理部30が流体性状センサ10の異常を検出し作業者に報知する構成であればよい。さらに、流体性状センサ10の異常及び検出値の増減傾向が変化したことを誤報知する可能性はあるものの、流体性状監視システム100では、情報処理部30が流体圧機器1の稼働開始直後から異常信号及び警告信号を出力する構成であってもよい。
【0057】
また、流体性状監視システム100では、作業者によりメンテナンス情報が入力されなくても、図7に示すように、流体性状センサ10の検出値が異常検出値を超えて、その後検出値が所定値以下となった場合は、流体圧機器1のメンテナンスが行われたとみなしてもよい。また、流体性状センサ10の検出値の変化量(図7に示すグラフの傾き)が所定値を超えて、その後検出値が所定値以下となった場合は、流体圧機器1のメンテナンスが行われたとみなしてもよい。さらに、所定値以下となった検出値を参照して、メンテナンスとして、作動流体の交換、作動流体の追加、フィルタ交換、のいずれかがされたとみなしてもよい。流体圧機器1のメンテナンスが行われたとみなされた場合には、その旨を示す信号が出力される。
【0058】
また、流体性状監視システム100では、流体性状センサ10が検出する作動流体の電気的特性値は誘電率や導電率であり、誘電率や導電率は、流体圧機器1の稼働時間の増加により作動流体が劣化することで増加し、劣化していない新しい作動流体に交換することで減少する。これに限らず、流体性状センサ10が検出する作動流体の電気的特性値は、誘電率や導電率以外の、作動流体が劣化することで減少するパラメータであってもよい。この場合では、当該電気的特性値は、劣化していない新しい作動流体に交換することで増加する。
【0059】
また、異常判定値設定部33及び異常検出部34の処理は、コンピュータにこれを実行させるためのプログラムとして提供されてもよい。言い換えれば、異常判定値設定部33及び異常検出部34の処理を実行するためのプログラムは、流体圧機器1に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサ10の検出値の異常の検出をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、作業者により入力される流体圧機器1の状態を含むメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサ10の検出値とを比較して検出値の異常を検出させる。
【0060】
上述した一連の処理を実行するためのプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体によって提供される。例えば、コンピュータが実行する各種プログラムは、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよいまた、コンピュータが実行する各種プログラムは、ネットワークを通じて提供されるアプリケーションであってもよい。
【0061】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0062】
流体性状監視システム100では、情報処理部30が、異常判定値と流体性状センサ10の検出値とを比較することで流体性状センサ10の検出値の異常を検出し、作業者に報知するため、作業者に流体性状センサ10のメンテナンスを促すことができ、流体性状センサ10の異常による流体の性状の検出精度の低下が防止される。
【0063】
流体性状監視システム100では、情報処理部30が、流体性状センサ10の検出値の増減傾向が変化した場合にその前後の所定時間内にメンテナンス情報が入力されなければ、作業者にその旨を報知するための警告信号を出力する。そのため、作業者がメンテナンス情報の未入力に気づくことができ、メンテナンスを行っていない場合やメンテナンス情報が入力済みの場合は流体性状センサ10の異常に気付くことができる。
【0064】
流体性状監視システム100では、情報処理部30が、流体圧機器1の稼働開始から所定稼働時間内には、流体性状センサ10の異常を作業者に報知しないとともに警告信号を出力しないため、流体圧機器1の稼働直後において、作業者に流体性状センサ10の異常及び検出値の増減傾向が変化したことを誤報知することが防止される。
【0065】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0066】
流体性状監視システム100は、流体圧機器1に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサ10の検出値と、作業者により入力され流体圧機器1の状態を含むメンテナンス情報と、が入力される情報処理部30を備え、情報処理部30は、メンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と検出値とを比較して流体性状センサ10の検出値の異常を検出し作業者に報知する。
【0067】
この構成では、情報処理部30が、作業者により入力されるメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサ10の検出値とを比較することで流体性状センサ10の検出値の異常を検出する。これにより、作業者に流体性状センサ10のメンテナンスを促すことができるため、流体性状センサ10の異常による流体の性状の検出精度の低下が防止される。
【0068】
また、情報処理部30は、検出値の増減傾向が変化した場合にその前後の所定時間内にメンテナンス情報が入力されなければ、警告信号を出力する。
【0069】
また、検出値には、流体の誘電率または導電率が含まれ、情報処理部30は、流体の誘電率または導電率が増加から減少に変化した場合にその前後の所定時間内にメンテナンス情報が入力されなければ、警告信号を出力する。
【0070】
これらの構成では、作業者がメンテナンス情報の未入力に気づくことができ、メンテナンスを行っていない場合やメンテナンス情報が入力済みの場合は流体性状センサ10の異常に気付くことができる。
【0071】
また、情報処理部30は、流体圧機器1の稼働開始から所定稼働時間内には、警告信号を出力しない。
【0072】
この構成では、流体性状センサ10の検出値が不安定な流体圧機器1の稼働直後において、流体性状センサ10の検出値の増減傾向が変化したことを示す警告信号が誤まって出力されることが防止される。
【0073】
また、情報処理部30は、流体圧機器1の稼働開始直後から所定稼働時間内には、流体性状センサ10の検出値の異常を検出しない。
【0074】
また、検出値には、流体の温度が含まれ、所定稼働時間は、流体圧機器1の稼働開始から流体の温度が所定値以上になるまでの間である。
【0075】
これらの構成では、流体性状センサ10の検出値が不安定な流体圧機器1の稼働直後において、流体性状センサ10の検出値の異常が誤って検出されることが防止される。
【0076】
また、流体圧機器1に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサ10の検出値の異常の検出方法は、作業者により入力される流体圧機器1の状態を含むメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサ10の検出値とを比較して検出値の異常を検出する。
【0077】
この構成では、作業者により入力されるメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサ10の検出値とを比較することで流体性状センサ10の検出値の異常を検出する。これにより、作業者に流体性状センサ10のメンテナンスを促すことができるため、流体性状センサ10の異常による流体の性状の検出精度の低下が防止される。
【0078】
また、流体圧機器1に取り付けられ流体の性状を検出する流体性状センサ10の検出値の異常の検出をコンピュータに実行させるためのプログラムは、作業者により入力される流体圧機器1の状態を含むメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサ10の検出値とを比較して検出値の異常を検出させる。
【0079】
この構成では、作業者により入力されるメンテナンス情報に基づいて設定した異常判定値と流体性状センサ10の検出値とを比較することで流体性状センサ10の検出値の異常を検出する。これにより、作業者に流体性状センサ10のメンテナンスを促すことができるため、流体性状センサ10の異常による流体の性状の検出精度の低下が防止される。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0081】
1・・・流体圧機器、10・・・流体性状センサ、20・・・端末、30・・・情報処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7