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特開2023-150360冷凍装置、式生成装置、冷凍システム、および式生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150360
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】冷凍装置、式生成装置、冷凍システム、および式生成方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20231005BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20231005BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20231005BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20231005BHJP
【FI】
F25B49/02 550
F24F11/54
F25B43/00 F
F24F11/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059446
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 誠
(72)【発明者】
【氏名】椛島 庸貴
(72)【発明者】
【氏名】山口 正喜
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA49
3L260CA32
3L260CB04
3L260CB14
3L260CB15
3L260CB18
3L260CB19
3L260CB25
3L260EA03
3L260HA01
3L260JA12
3L260JA22
(57)【要約】
【課題】冷凍装置のコストを低減する。
【解決手段】冷凍装置(100)は、運転に関する指標である第1指標を検出する第1検出部(D1)と、第1指標に基づき、該第1指標と異なる他の運転に関する指標である第2指標を推定する推定式が記憶された記憶部(M1)とを備える。推定式は、複数の既存の冷凍装置(10)の各々において取得した第1指標および第2指標に基づいて生成される。冷凍装置(100)は、第2指標を検出する第2検出部(D2)を備えない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転に関する指標である第1指標を検出する第1検出部(D1)と、
前記第1指標に基づき、該第1指標と異なる他の運転に関する指標である第2指標を推定する推定式が記憶された記憶部(M1)とを備え、
前記推定式は、複数の既存の冷凍装置(10)の各々において取得した前記第1指標および前記第2指標に基づいて生成され、
前記第2指標を検出する第2検出部(D2)を備えない
冷凍装置。
【請求項2】
前記推定式の生成に用いられる前記第1指標および前記第2指標は、前記既存の冷凍装置(10)の起動時、停止時、または運転の切り替え時に取得される
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
ケーシング(50)と、該ケーシング(50)の内部に収容される圧縮機構(52)および電動機(51)と、前記ケーシング(50)に接続された吐出管(55)とを有するとともに、該圧縮機構(52)から吐出された冷媒が前記ケーシング(50)の内部流路(54)を通過して前記吐出管(55)に送られる圧縮機(21)を更に備え、
前記第2指標は、前記内部流路(54)の下側に形成される油貯まり部(56)の油の濃度である
請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
圧縮機(21)と、放熱器(22,42)と、減圧弁(26,41)と、蒸発器(42,22)と、該圧縮機(21)に接続される吸入管(64)と、該吸入管(64)に繋がるアキュムレータ(24)とを更に備え、
前記第2指標は、前記アキュムレータ(24)の液面高さである
請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の冷凍装置(100)の前記記憶部(M1)に記憶される前記推定式を生成する
式生成装置。
【請求項6】
前記推定式を前記冷凍装置(100)に送信する通信部(A2)を更に備える
請求項5に記載の式生成装置。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1つに記載の冷凍装置(100)と、
前記冷凍装置(100)の前記記憶部(M1)に記憶される前記推定式を生成する式生成装置(5)とを備える
冷凍システム。
【請求項8】
複数の既存の冷凍装置(10)において運転に関する指標である第1指標および該第1指標と異なる他の運転に関する指標である第2指標を取得する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて取得した前記第1指標および前記第2指標から、前記第1指標に基づき前記第2指標を推定する推定式を生成する第2ステップとを含む
式生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置、式生成装置、冷凍システム、および式生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍サイクルを行う冷凍装置が知られている。冷凍装置の圧縮機は、その底部に潤滑油を貯留する油貯まり部を有する。圧縮機内に液冷媒が流入すると、油貯まり部の潤滑油に液冷媒が混入し混合液となる。この混合液中の潤滑油の濃度が低下すると、圧縮機の軸受等の摺動部が潤滑されずに焼き付くおそれがある。特許文献1に記載の圧縮機には、油貯まり部に油濃度センサが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-179876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油濃度センサは、圧縮機に設けられる他のセンサ(例えば、温度センサや圧力センサなど)に比べて値段が高い。このような値段の高いセンサを圧縮機に設けると、冷凍装置自体のコストが上昇してしまう。
【0005】
本開示の目的は、冷凍装置のコストを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、運転に関する指標である第1指標を検出する第1検出部(D1)と、前記第1指標に基づき、該第1指標と異なる他の運転に関する指標である第2指標を推定する推定式が記憶された記憶部(M1)とを備え、前記推定式は、複数の既存の冷凍装置(10)の各々において取得した前記第1指標および前記第2指標に基づいて生成され、前記第2指標を検出する第2検出部(D2)を備えない冷凍装置である。
【0007】
第1の態様では、冷凍装置(100)は記憶部(M1)に記憶された推定式から第2指標を推定できる。これにより、冷凍装置(100)に第2指標を検出する第2検出部(D2)を設ける必要がないので、冷凍装置(100)のコストを低減できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記推定式の生成に用いられる前記第1指標および前記第2指標は、前記既存の冷凍装置(10)の起動時、停止時、または運転の切り替え時に取得される。
【0009】
冷凍装置(100)が第2指標を推定するのは、冷凍装置(100)の起動時、停止時、または運転の切り替え時である。第2の態様では、この起動時、停止時、または運転の切り替え時に第1指標および第2指標を既存の冷凍装置(10)から取得することで、取得するデータの量を抑制できる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、ケーシング(50)と、該ケーシング(50)の内部に収容される圧縮機構(52)および電動機(51)と、前記ケーシング(50)に接続された吐出管(55)とを有するとともに、該圧縮機構(52)から吐出された冷媒が前記ケーシング(50)の内部流路(54)を通過して前記吐出管(55)に送られる圧縮機(21)を更に備え、前記第2指標は、前記内部流路(54)の下側に形成される油貯まり部(56)の油の濃度である。
【0011】
第3の態様では、油貯まり部(56)の油の濃度を測定するセンサは、他のセンサに比べて高価である。第2指標としての油貯まり部(56)の油の濃度を推定式から推定することにより、冷凍装置(100)のコストをより低減できる。
【0012】
第4の態様は、第2の態様において、圧縮機(21)と、放熱器(22,42)と、減圧弁(26,41)と、蒸発器(42,22)と、該圧縮機(21)に接続される吸入管(64)と、該吸入管(64)に繋がるアキュムレータ(24)とを更に備え、前記第2指標は、前記アキュムレータ(24)の液面高さである。
【0013】
第4の態様では、アキュムレータ(24)の液面高さを測定するセンサは、他のセンサに比べて高価である。第2指標としてのアキュムレータ(24)の液面高さを推定式から推定することにより、冷凍装置(100)のコストをより低減できる。
【0014】
第5の態様は、式生成装置を対象とし、第1~第4のいずれか1つの態様の冷凍装置(100)の前記記憶部(M1)に記憶される前記推定式を生成する。
【0015】
第5の態様では、式生成装置(5)によって、冷凍装置(100)の記憶部(M1)に記憶される推定式を生成できる。
【0016】
第6の態様は、第5の態様において、前記推定式を前記冷凍装置(100)に送信する通信部(A2)を更に備える。
【0017】
第6の態様では、冷凍装置(100)の記憶部(M1)に記憶された推定式を更新できる。
【0018】
第7の態様は、冷凍システムを対象とし、第1~第4のいずれか1つの態様の冷凍装置(100)と、前記冷凍装置(100)の前記記憶部(M1)に記憶される前記推定式を生成する式生成装置(5)とを備える。
【0019】
第7の態様では、冷凍装置(100)のコストを低減できる冷凍システム(1)を提供できる。
【0020】
第8の態様は、式生成方法を対象とし、複数の既存の冷凍装置(10)において運転に関する指標である第1指標および該第1指標と異なる他の運転に関する指標である第2指標を取得する第1ステップと、前記第1ステップにおいて取得した前記第1指標および前記第2指標から、前記第1指標に基づき前記第2指標を推定する推定式を生成する第2ステップとを含む。
【0021】
第8の態様では、冷凍装置(100)のコストを低減できる式生成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係る冷凍システムの全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、既存の空気調和装置の配管系統図である。
図3図3は、既存の空気調和装置の主要機器を示すブロック図である。
図4図4は、圧縮機を拡大した概略の構成図である。
図5図5は、第1指標と第2指標との関係を示す表である。
図6図6は、冷凍システムの動作の流れを示したフローチャートである。
図7図7は、変形例1に係るアキュムレータおよび圧縮機を拡大した概略の構成図である。
図8図8は、変形例1係る図5に相当する図である。
図9図9は、変形例2に係る図4に相当する図である。
図10図10は、変形例2に係る図5に相当する図である。
図11図11は、変形例3に係る図2に相当する図である。
図12図12は、変形例3に係る図5に相当する図である。
図13図13は、変形例4に係る図1に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0024】
《実施形態》
(1)冷凍システムの全体構成
図1に示すように、本実施形態の冷凍システム(1)は、複数の既存の空気調和装置(10)と、サーバ装置(2)と、演算装置(3)と、複数の新出の空気調和装置(100)とを備える。
【0025】
ここでいう「新出の空気調和装置(100)」とは、既存の空気調和装置(10)の後に製造メーカから出荷された空気調和装置のことである。新出の空気調和装置(100)は、既存の空気調和装置(10)と同じ型番の機種であってもよく、既存の空気調和装置(10)と同様の構成を有し既存の空気調和装置(10)と異なる型番の機種であってもよい。既存の空気調和装置(10)は、顧客によって実際に使用されている空気調和装置である。
【0026】
各既存の空気調和装置(10)、サーバ装置(2)、演算装置(3)および各新出の空気調和装置(100)は、インターネット(N)に接続される。サーバ装置(2)には、演算装置(3)が接続されてもよい。
【0027】
本実施形態の冷凍システム(1)では、既存の空気調和装置(10)のそれぞれにおいて、運転に関する指標である第1指標と、該第1指標と異なる他の運転に関する指標である第2指標とが取得される。第1指標は第1検出部(D1)で検出され、第2指標は第2検出部(D2)で検出される。取得された各指標は、インターネット(N)を経由してサーバ装置(2)へ送信される。
【0028】
演算装置(3)は、サーバ装置(2)に蓄積された多数の第1指標および第2指標に基づいて推定式を生成する。推定式は、第1指標に基づいて第2指標を推定する式である。新出の空気調和装置(100)は、演算装置(3)から出力された推定式および第1検出部(D1)から検出される第1指標に基づいて第2指標を推定し、推定した第2指標を用いて新出の空気調和装置(100)の動作を制御する。なお、本実施形態では、サーバ装置(2)および演算装置(3)が、本開示の式生成装置(5)に対応する。
【0029】
(2)既存の空気調和装置の概要
既存の空気調和装置(10)(以下、空気調和装置ともいう)について説明する。空気調和装置(10)は、本開示の冷凍装置の一例である。図2は、空気調和装置(10)の配管系統図である。空気調和装置(10)は、対象空間の空気の温度を調節する。本例の対象空間は、ビルなどの室内空間である。空気調和装置(10)は、対象空間の冷房および暖房を行う。本例の空気調和装置(10)は、1つの熱源ユニット(20)と、複数の利用ユニット(40)と、連絡配管(12)と、制御部(C)とを有する。複数の利用ユニット(40)と熱源ユニット(20)とは、連絡配管(12)を介して互いに接続される。この接続により、閉回路である冷媒回路(11)が構成される。
【0030】
冷媒回路(11)は、熱源ユニット(20)に設けられる熱源回路(20a)と、各利用ユニット(40)にそれぞれ設けられる利用回路(40a)とを含む。連絡配管(12)は、第1連絡配管(13)と第2連絡配管(14)とを含む。
【0031】
第1連絡配管(13)は、液連絡配管である。第1連絡配管(13)は、第1主管(13a)と、第1主管(13a)から分岐する複数の第1分岐管(13b)とを含む。第1主管(13a)の一端は、液閉鎖弁である第1閉鎖弁(15)を介して熱源回路(20a)に接続する。複数の第1分岐管(13b)のそれぞれの一端は、第1主管(13a)と接続する。複数の第1分岐管(13b)のそれぞれの他端は、対応する利用回路(40a)に接続する。
【0032】
第2連絡配管(14)は、ガス連絡配管である。第2連絡配管(14)は、第2主管(14a)と、第2主管(14a)から分岐する複数の第2分岐管(14b)とを含む。第2主管(14a)の一端は、ガス閉鎖弁である第2閉鎖弁(16)を介して熱源ユニット(20)に接続する。複数の第2分岐管(14b)のそれぞれの一端は、第2主管(14a)と接続する。複数の第2分岐管(14b)のそれぞれの他端は、対応する利用ユニット(40)に接続する。
【0033】
(2-1)熱源ユニット
熱源ユニット(20)は、室外に配置される室外ユニットである。熱源ユニット(20)は、例えばビルなどの屋上や地上に配置される。
【0034】
熱源ユニット(20)は、圧縮機(21)、熱源熱交換器(22)、熱源ファン(23)、およびアキュムレータ(24)を有する。熱源ユニット(20)は、冷媒の流路を切り換える四方切換弁(25)と、熱源膨張弁(26)とを有する。
【0035】
圧縮機(21)は、吸入した冷媒を圧縮する。圧縮機(21)は、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(21)は、スクロール型の回転式圧縮機である。圧縮機(21)は、揺動ピストン式、ローリングピストン式、スクリュー式などの他の回転式圧縮機でああってもよい。圧縮機(21)は、インバータ装置により運転周波数(回転数)が可変に構成される。
【0036】
熱源熱交換器(22)は、熱源熱交換器である。熱源熱交換器(22)は、フィンアンドチューブ式の空気熱交換器である。熱源熱交換器(22)は、その内部を流れる冷媒と室外空気とを熱交換させる。熱源熱交換器(22)は、本開示の放熱器および蒸発器として機能する。
【0037】
熱源ファン(23)は、室外において熱源熱交換器(22)の近傍に配置される。熱源ファン(23)は、熱源熱交換器(22)を通過する空気を搬送する。
【0038】
四方切換弁(25)は、切換機構の一例である。四方切換弁(25)は、冷房サイクルである第1冷凍サイクルと、暖房サイクルである第2冷凍サイクルとを切り換えるように、冷媒回路(11)の流路を変更する。四方切換弁(25)は、第1ポート(P1)、第2ポート(P2)、第3ポート(P3)、および第4ポート(P4)を有する。四方切換弁(25)の第1ポート(P1)は、圧縮機(21)の吐出部と繋がる。四方切換弁(25)の第2ポート(P2)は、アキュムレータ(24)を介して圧縮機(21)の吸入部と繋がる。四方切換弁(25)の第3ポート(P3)は、第2閉鎖弁(16)を介して第2連絡配管(14)と繋がる。四方切換弁(25)の第4ポート(P4)は、熱源熱交換器(22)のガス端と繋がる。
【0039】
四方切換弁(25)は、第1状態と第2状態とに切り換わる。第1状態(図2の実線で示す状態)の四方切換弁(25)は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とを連通し且つ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とを連通する。第2状態(図2の破線で示す状態)の四方切換弁(25)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通し、第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通する。
【0040】
アキュムレータ(24)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。アキュムレータ(24)は、中空の円筒状の容器である。アキュムレータ(24)には、戻し管(65)が接続される。戻し管(65)には、第1開閉弁(66)が設けられる。第1開閉弁(66)は、電磁開閉弁であるが、開度が調節可能な電動弁であってもよい。
【0041】
熱源膨張弁(26)は、冷媒を減圧する。熱源膨張弁(26)は、室外膨張弁である。熱源膨張弁(26)は、熱源回路(20a)において、第1閉鎖弁(15)と熱源熱交換器(22)の間に配置される。熱源膨張弁(26)は、開度が調節可能な電子膨張弁である。熱源膨張弁(26)は、本開示の減圧弁として機能する。
【0042】
熱源ユニット(20)は、油戻し機構を有する。油戻し機構は、油分離器(31)と、油管(32)と、第2開閉弁(33)とを有する。油分離器(31)は、圧縮機(21)の吐出部に設けられる。油分離器(31)は、圧縮機(21)から吐出された冷媒中から油を分離する。油管(32)は、その流入端が油分離器(31)に接続し、その流出端が圧縮機(21)の油貯まり部(56)(詳細は後述する)と連通する。第2開閉弁(33)は、油管(32)に設けられる。第2開閉弁(33)は、電磁開閉弁であるが、開度が調節可能な電動弁であってもよい。
【0043】
熱源ユニット(20)は、制御部(C)に含まれる第1制御装置(C1)を有する。
【0044】
(2-2)利用ユニット
利用ユニット(40)は、ビルなどの室内に設置される室内ユニットである。利用ユニット(40)は、利用膨張弁(41)、利用熱交換器(42)、および利用ファン(43)を有する。
【0045】
利用膨張弁(41)は、冷媒を減圧する。利用膨張弁(41)は、室内膨張弁である。利用膨張弁(41)は、利用回路(40a)における利用熱交換器(42)の液側の流路に配置される。利用膨張弁(41)は、開度が調節可能な電子膨張弁である。利用膨張弁(41)は、本開示の減圧弁として機能する。
【0046】
利用熱交換器(42)は、室内熱交換器である。利用熱交換器(42)は、フィンアンドチューブ式の空気熱交換器である。利用熱交換器(42)は、その内部を流れる冷媒と室内空気とを熱交換させる。利用熱交換器(42)は、本開示の蒸発器および放熱器として機能する。
【0047】
利用ファン(43)は、室内において利用熱交換器(42)の近傍に配置される。利用ファン(43)は、利用熱交換器(42)を通過する空気を搬送する。
【0048】
利用ユニット(40)は、制御部(C)に含まれる第2制御装置(C2)を有する。各利用ユニット(40)の第2制御装置(C2)と、第1制御装置(C1)とは、通信線(W)を介して互いに接続される。通信線(W)は、有線または無線である。
【0049】
(2-3)圧縮機の詳細
図4に示すように、圧縮機(21)は、ケーシング(50)と、ケーシング(50)の内部に収容される電動機(51)および圧縮機構(52)を有する。圧縮機(21)は、電動機(51)と圧縮機構(52)とを連結する回転軸(53)を有する。ケーシング(50)は、中空の縦長の容器である。ケーシング(50)の内部は、圧縮機構(52)から圧縮された吐出冷媒が満たされる。圧縮機(21)は、いわゆる高圧ドーム型である。ケーシング(50)の内部には、吐出冷媒が流れる内部流路(54)が形成される。ケーシング(50)の外部は、外気雰囲気となる。
【0050】
電動機(51)は、ステータ(51a)とロータ(51b)とを有する。ステータ(51a)は、ケーシング(50)の内周面に固定される。ステータ(51a)は、ステータコアと、ステータコアに巻回されるコイルとを有する(図示省略)。ロータ(51b)は、ステータ(51a)の内部に配置され、回転軸(53)と連結する。電動機(51)では、コイルが通電することで回転磁界が形成される。この回転磁界によりロータ(51b)および回転軸(53)が回転する。
【0051】
圧縮機構(52)は、回転軸(53)によって駆動される。圧縮機構(52)は、その内部の圧縮室において冷媒を圧縮する。圧縮機構(52)には、圧縮室で圧縮した冷媒が吐出される吐出ポート(52a)が形成される。本例の圧縮機構(52)の吐出ポート(52a)は、ケーシング(50)の上壁(50b)の近傍に位置する。吐出ポート(52a)は、ケーシング(50)の上壁(50b)に対向するように上方を向いて開口している。
【0052】
ケーシング(50)の胴部(50a)には、吐出管(55)が接続される。吐出管(55)の入口端はケーシング(50)の内部に連通し、吐出管(55)の出口端は冷媒回路(11)の高圧ガスラインと繋がる。
【0053】
ケーシング(50)の内部には、圧縮機構(52)の吐出ポート(52a)から吐出管(55)までの間に内部流路(54)が形成される。圧縮機構(52)の吐出ポート(52a)から吐出された冷媒は、内部流路(54)において電動機(51)の周囲を通過した後、吐出管(55)に送られる。
【0054】
ケーシング(50)の底部には、油貯まり部(56)が形成される。油貯まり部(56)には、冷凍機油である油が貯まる。油は、圧縮機(21)内の摺動部の潤滑油である。冷凍機油は、回転軸(53)に形成された油通路を介して圧縮機構(52)や軸受け(図示省略)の摺動部に供給される。ケーシング(50)の油貯まり部(56)には、油管(32)の流出端が連通する。
【0055】
(2-4)センサ
図3および図4に示すように、空気調和装置(10)は、複数のセンサを備える。複数のセンサは、吐出温度センサ(71)と、吐出圧力センサ(72)と、吸入圧力センサ(73)と、吸入温度センサ(74)と、油温度センサ(75)と、油濃度センサ(76)と、外気温度センサ(77)とを含む。
【0056】
本実施形態の吐出温度センサ(71)は、吐出管(55)に設けられる。吐出温度センサ(71)は、圧縮機(21)から吐出される冷媒の温度を検出する。厳密には、吐出温度センサ(71)は、圧縮機構(52)から吐出される冷媒の温度を検出する。
【0057】
吐出圧力センサ(72)は、冷媒回路(11)の高圧ガスラインの圧力(高圧圧力)を検出する。吐出圧力センサ(72)は、吐出管(55)に設けられ、吐出冷媒の圧力を検出する。
【0058】
吸入圧力センサ(73)は、冷媒回路(11)の低圧ガスラインの圧力(低圧圧力)を検出する。吸入圧力センサ(73)は、吸入管(64)に設けられ、吸入冷媒の圧力を検出する。吸入圧力センサ(73)は、低圧ガスラインのうちアキュムレータ(24)の上流側に設けられてもよい。
【0059】
吸入温度センサ(74)は、圧縮機(21)に流入する前の冷媒の温度を検出する。具体的には、吸入温度センサ(74)は、圧縮機(21)の吸入管(64)に配置される。
【0060】
油温度センサ(75)は、油貯まり部(56)に貯留された油の温度を検出する。油温度センサ(75)は、油貯まり部(56)に配置される。
【0061】
油濃度センサ(76)は、油貯まり部(56)に貯留された油の濃度を検出する。油の濃度は、油貯まり部(56)に貯まった、油に冷媒が溶け込んだ流体のうち、実際の油が占める割合を意味する。油濃度センサ(76)は、油貯まり部(56)に配置される。
【0062】
外気温度センサ(77)は、室外空気の温度を検出する。外気温度センサ(77)は、熱源ユニットに配置される。
【0063】
空気調和装置(10)は、圧縮機(21)の回転数を計測する回転数検知部(78)を備える。回転数検知部(78)は、例えば電動機(51)の回転数を計測し、圧縮機(21)の回転数を求める。圧縮機(21)の回転数は、電動機(51)の発熱量を推定することにも利用される。
【0064】
空気調和装置(10)は、電動機(51)の電流値を計測する電流値検知部(79)を備える。電流値検知部(79)は、例えば非接触式の電流センサである。
【0065】
吐出温度センサ(71)、吐出圧力センサ(72)、吸入圧力センサ(73、吸入温度センサ(74)と、油温度センサ(75)、油濃度センサ(76)、外気温度センサ(77)、回転数検知部(78)、および電流値検知部(79)は、本開示の第1検出部(D1)に対応する。油濃度センサ(76)は、本開示の第2検出部(D2)に対応する。
【0066】
(2-5)制御部
制御部(C)は、空気調和装置(10)の動作を制御する。制御部(C)は、第1制御装置(C1)と第2制御装置(C2)とを含む。第1制御装置(C1)および第2制御装置(C2)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0067】
第1制御装置(C1)は、熱源ユニット(20)側の熱源制御部である。第1制御装置(C1)は、圧縮機(21)、熱源ファン(23)、四方切換弁(25)、熱源膨張弁(26)、第1開閉弁(66)、および第2開閉弁(33)を制御する。具体的には、第1制御装置(C1)は、圧縮機(21)の運転および停止と、圧縮機(21)の回転数と、熱源ファン(23)の運転および停止と、熱源ファン(23)の回転数と、四方切換弁(25)の流路の連通状態と、熱源膨張弁(26)の開度と、第1開閉弁(66)の開閉状態と、第2開閉弁(33)の開閉状態とを制御する。
【0068】
第2制御装置(C2)は、利用ユニット(40)側の利用制御部である。第2制御装置(C2)は、利用ファン(43)および利用膨張弁(41)を制御する。第2制御装置(C2)は、利用ファン(43)の回転数と、利用膨張弁(41)の開度とを制御する。
【0069】
本実施形態の制御部(C)は、空気調和装置(10)の起動時、停止時、および運転の切り替え時に、油濃度センサ(76)の検出値に基づき冷媒回路(11)を制御する。具体的には、本実施形態の制御部(C)は、油濃度センサ(76)の検出値に基づき圧縮機(21)の回転数を制御する。油の濃度は、圧縮機(21)の摺動部の潤滑不良を抑制することに役立つ。なお、制御部(C)は、空気調和装置(10)の起動時、停止時、および運転の切り替え時のうち少なくとも1つにおいて、油濃度センサ(76)の検出値に基づき冷媒回路(11)を制御すればよい。
【0070】
ここで、「空気調和装置(10)の起動時」とは、空気調和装置(10)の運転を開始したときである。このとき、複数の利用ユニット(40)のうち全部が運転を開始してもよく、一部が運転を開始してもよい。「空気調和装置(10)の停止時」とは、空気調和装置(10)の運転を停止したときであり、複数の利用ユニット(40)の全部が運転を停止したときである。「空気調和装置(10)の運転の切り替え時」とは、運転する利用ユニット(40)の数が変化したとき(言い換えると、空調能力が変化したとき)、およびデフロスト運転を開始したときを含む。
【0071】
制御部(C)は、油濃度センサ(76)の検出値に基づき冷媒回路(11)を制御するのと同時に、第1検出部(D1)および第2検出部(D2)から第1指標および第2指標を取得する。言い換えると、制御部(C)は、空気調和装置(10)の起動時、停止時、および運転の切り替え時に、第1検出部(D1)および第2検出部(D2)から第1指標および第2指標を取得する。これにより、推定式の生成に用いられるデータ(第1指標および第2指標)の量を抑制できる。
【0072】
制御部(C)は、第1通信部(A1)を有する。第1通信部(A1)は、第1検出部(D1)および第2検出部(D2)から取得したデータ(第1指標および第2指標)をサーバ装置(2)に送信する送信部を含む。このとき、第1通信部(A1)は、取得したデータを取得して直ぐに送信してもよく、複数回取得したデータをまとめて送信してもよい。
【0073】
(3)空気調和装置の運転動作
空気調和装置(10)の運転動作について図2を参照しながら説明する。空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。加えて、空気調和装置(10)は、デフロスト運転を行う。デフロスト運転は、いわゆる逆サイクルデフロスト運転である。冷房運転とデフロスト運転の冷媒の流れは、基本的には同じである。図2では、冷房運転時の冷媒の流れを実線矢印で示し、暖房運転時の冷媒の流れを破線矢印で示している。
【0074】
(3-1)冷房運転
冷房運転では、第1制御装置(C1)が圧縮機(21)および熱源ファン(23)を運転させ、四方切換弁(25)を第1状態とし、熱源膨張弁(26)を全開とする。第2制御装置(C2)が利用ファン(43)を運転させ、利用膨張弁(41)を所定開度に調節する。
【0075】
冷房運転時の冷媒回路(11)は、第1冷凍サイクルを行う。第1冷凍サイクルでは、熱源熱交換器(22)が放熱器(厳密には、凝縮器)として機能し、利用熱交換器(42)が蒸発器として機能する。
【0076】
具体的には、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、熱源熱交換器(22)を流れる。熱源熱交換器(22)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。熱源熱交換器(22)で凝縮した冷媒は、第1連絡配管(13)を流れ、各利用回路(40a)に分流する。各利用回路(40a)では、冷媒が利用膨張弁(41)で減圧された後、利用熱交換器(42)を流れる。利用熱交換器(42)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。各利用熱交換器(42)で蒸発した冷媒は、第2連絡配管(14)で合流した後、アキュムレータ(24)を通過し、圧縮機(21)に吸入される。
【0077】
(3-2)暖房運転
暖房運転では、第1制御装置(C1)が圧縮機(21)および熱源ファン(23)を運転させ、四方切換弁(25)を第2状態とし、熱源膨張弁(26)を所定開度に調節する。第2制御装置(C2)が利用ファン(43)を運転させ、利用膨張弁(41)を所定開度に調節する。
【0078】
暖房運転時の冷媒回路(11)は、第2冷凍サイクルを行う。第2冷凍サイクルでは、利用熱交換器(42)が放熱器(厳密には、凝縮器)として機能し、熱源熱交換器(22)が蒸発器として機能する。
【0079】
具体的には、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、第2連絡配管(14)を流れ、各利用回路(40a)に分流する。各利用回路(40a)では、冷媒が利用熱交換器(42)を流れる。利用熱交換器(42)では、冷媒が室内空気に放熱して凝縮する。各利用熱交換器(42)で凝縮した冷媒は、各利用膨張弁(41)で減圧されたのち、第1連絡配管(13)で合流する。第1連絡配管(13)の冷媒は、熱源膨張弁(26)で減圧された後、熱源熱交換器(22)を流れる。熱源熱交換器(22)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。熱源熱交換器(22)で蒸発した冷媒は、アキュムレータ(24)を通過し、圧縮機(21)に吸入される。
【0080】
(3-3)デフロスト運転
空気調和装置(10)は、主として冬季にデフロスト運転を行う。空気調和装置(10)は、暖房運転中に熱源熱交換器(22)に霜が付着すると、デフロスト運転を行う。
【0081】
デフロスト運転では、第1制御装置(C1)が圧縮機(21)および熱源ファン(23)を運転させ、四方切換弁(25)を第1状態とし、熱源膨張弁(26)を所定開度に調節する。第2制御装置(C2)が利用ファン(43)を運転させ、利用膨張弁(41)を所定開度に調節する。
【0082】
デフロスト運転時の冷媒回路(11)は、第1冷凍サイクルを行う。第1冷凍サイクルでは、熱源熱交換器(22)が放熱器(厳密には、凝縮器)として機能し、利用熱交換器(42)が蒸発器として機能する。
【0083】
熱源熱交換器(22)の表面には、霜が付着している。圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、熱源熱交換器(22)を流れる。熱源熱交換器(22)では、冷媒が霜に放熱して凝縮する。冷媒の熱により霜が融ける。熱源熱交換器(22)で凝縮した冷媒は、第1連絡配管(13)を流れ、各利用回路(40a)に分流する。各利用回路(40a)では、冷媒が利用膨張弁(41)で減圧された後、利用熱交換器(42)を流れる。利用熱交換器(42)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。各利用熱交換器(42)で蒸発した冷媒は、第2連絡配管(14)で合流した後、アキュムレータ(24)を通過し、圧縮機(21)に吸入される。
【0084】
(4)新出の空気調和装置
新出の空気調和装置(100)は、既存の空気調和装置(10)において、センサおよび制御部(C)の構成が異なる。ここでは、新出の空気調和装置(100)について、既存の空気調和装置(10)と異なる点について説明する。なお、新出の空気調和装置(100)が、本開示の冷凍装置に対応する。
【0085】
新出の空気調和装置(100)は、第2検出部(D2)である油濃度センサ(76)を備えていない。
【0086】
新出の空気調和装置(100)の制御部(C)は、第1記憶部(M1)を更に有する。第1記憶部(M1)は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などで構成される。
【0087】
第1記憶部(M1)には、油貯まり部(56)の油の濃度を推定する推定式が記憶される。本実施形態の第1記憶部(M1)は、第1制御装置(C1)に設けられる。推定式は、演算装置(3)で生成される。推定式は、新出の空気調和装置(100)の製造段階において、第1記憶部(M1)に記憶される。第1記憶部(M1)は、本開示の記憶部に対応する。
【0088】
新出の空気調和装置(100)の第1通信部(A1)は、式生成装置(5)から送信された推定式を受信する受信部を含む。新出の空気調和装置(100)の第1通信部(A1)が受信部を含むので、新出の空気調和装置(100)が最新の推定式を受信できる。これにより、制御部(C)が推定精度の向上した最新の推定式から第2指標を推定できる。なお、新出の空気調和装置(100)は、第1通信部(A1)を有さなくてもよい。この場合には、制御部(C)は出荷時に記憶された推定式に基づいて第2指標を推定する。
【0089】
制御部(C)は、空気調和装置(10)の運転が切り替わったときに、第1指標および第1記憶部(M1)に記憶された推定式に基づいて、油貯まり部(56)の油の濃度を推定する。制御部(C)は、推定した油の濃度に基づき冷媒回路(11)を制御する。具体的には、本実施形態の制御部(C)は、推定した油の濃度に基づき圧縮機(21)の回転数を制御する。
【0090】
(5)サーバ装置
サーバ装置(2)は、インターネット(N)のクラウド上に設けられる。サーバ装置(2)は、第2記憶部(M2)と、第2通信部(A2)とを有する。
【0091】
第2記憶部(M2)は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などで構成される。第2記憶部(M2)には、既存の空気調和装置(10)から送信された多数の第1指標および第2指標が記憶される。第2記憶部(M2)には、式生成部(G)で生成された推定式が記憶される。
【0092】
第2通信部(A2)は、複数の既存の空気調和装置(10)から送信された第1指標および第2指標を受信する受信部を含む。受信部は、演算装置(3)から送信された推定式を受信する。第2通信部(A2)は、記憶している多数の第1指標および第2指標を演算装置(3)に送信する送信部を含む。送信部は、第2記憶部(M2)に記憶された推定式を新出の空気調和装置(100)に送信する。第2通信部(A2)は、本開示の通信部に対応する。
【0093】
(6)演算装置
演算装置(3)は、製造メーカなどの作業者が操作を行う。演算装置(3)は、例えばパーソナルコンピュータである。演算装置(3)は、マイクロコンピュータ及びメモリディバイスを含む。メモリディバイスは、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納する。
【0094】
演算装置(3)は、第3通信部(A3)および式生成部(G)を有する。
【0095】
第3通信部(A3)は、サーバ装置(2)から送信された多数の第1指標および第2指標を受信する受信部を含む。第3通信部(A3)は、式生成部(G)で生成された推定式をサーバ装置(2)に送信する送信部を含む。
【0096】
式生成部(G)は、第1指標に基づいて第2指標である油貯まり部(56)の油の濃度を推定する推定式(厳密には、回帰式)を生成する。回帰式は、ディープラーニング等を用いた機械学習によって決定される。回帰式は、第1指標および第2指標を入力値として機械学習によって得られる。なお、式生成部(G)は、予め導出された回帰式の係数を機械学習によって取得することにより推定式を生成してもよい。
【0097】
第1指標としては、以下の(a1)~(a9)の少なくとも1つが含まれる。
【0098】
(a1)圧縮機(21)の吐出温度
(a2)圧縮機(21)の吐出圧力
(a3)圧縮機(21)の吸入温度
(a4)圧縮機(21)の吸入圧力
(a5)油貯まり部(56)の油の温度
(a6)圧縮機(21)の回転数
(a7)電動機(51)の電流値
(a8)冷媒循環量
(a9)外気温度
以下に、(a1)~(a9)の各第1指標と油貯まり部(56)の油の濃度との関係を説明する。なお、図5に各第1指標と第2指標との概略の関係を示す。
【0099】
上記(a1)は、圧縮機(21)の吐出温度である。圧縮機(21)の吐出温度は、第1検出部(D1)としての吐出温度センサ(71)によって検出される。圧縮機(21)の吐出温度が低い場合、圧縮機(21)から吐出されるガス冷媒の過熱度が小さいので、圧縮機(21)内で冷媒が凝縮し易くなる。そのため、圧縮機(21)の吐出温度が低下すると、液冷媒が油貯まり部(56)の油に混入し、油の濃度が低下する。
【0100】
上記(a2)は、圧縮機(21)の吐出圧力である。圧縮機(21)の吐出圧力は、第1検出部(D1)としての吐出圧力センサ(72)によって検出される。圧縮機(21)の吐出圧力が低い場合、圧縮機(21)から吐出されるガス冷媒の過熱度が小さいので、圧縮機(21)内で冷媒が凝縮し易くなる。そのため、圧縮機(21)の吐出温度が低下すると、液冷媒が油貯まり部(56)の油に混入し、油の濃度が低下する。
【0101】
上記(a3)は、圧縮機(21)の吸入温度である。圧縮機(21)の吸入温度は、第1検出部(D1)としての吸入温度センサ(74)によって検出される。圧縮機(21)の吸入温度は、圧縮機(21)内の冷媒の凝縮量の計算に用いられる。油の濃度は、油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量と蒸発量とに基づいて導出できるので、圧縮機(21)の吸入温度は推定式を生成する際に役立つ。
【0102】
上記(a4)は、圧縮機(21)の吸入圧力である。圧縮機(21)の吸入圧力は、第1検出部(D1)としての吸入圧力センサ(73)によって検出される。圧縮機(21)の吸入圧力は、圧縮機(21)内の冷媒の凝縮量の計算に用いられる。油の濃度は、油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量と蒸発量とに基づいて導出できるので、圧縮機(21)の吸入温度は推定式を生成する際に役立つ。
【0103】
上記(a5)は、油貯まり部(56)の油の温度である。油貯まり部(56)の油の温度は、第1検出部(D1)としての油濃度センサ(76)によって検出される。油貯まり部(56)の油の温度が低下すると、圧縮機(21)内の冷媒の凝縮量が増加する。そのため、液冷媒が油貯まり部(56)の油に混入し、油の濃度が低下する。
【0104】
上記(a6)は、圧縮機(21)の回転数である。圧縮機(21)の回転数は、第1検出部(D1)としての回転数検知部(78)によって検出される。圧縮機(21)の回転数が低下すると、圧縮機(21)内の圧力が低下し、冷媒の蒸発温度が低下する。これにより、冷媒の蒸発量が増加し、油貯まり部(56)の油に混入していた冷媒量が減少する。そのため、油の濃度が上昇する。
【0105】
上記(a7)は、電動機(51)の電流値である。電動機(51)の電流値は、第1検出部(D1)としての電流値検知部(79)によって検出される。電動機(51)の電流値が低下すると、電動機(51)の発熱量が減少する。これにより、圧縮機(21)内の温度が低下することに伴い、冷媒の凝縮量が増加する。そのため、油の濃度が低下する。
【0106】
上記(a8)は、冷媒循環量である。冷媒循環量は、圧縮機内を通過する冷媒の量である。冷媒循環量は、圧縮機(21)の回転数から求めることができる。冷媒循環量が減少すると、圧縮機(21)内で凝縮する冷媒量も減少する。そのため、油の濃度は上昇する。
【0107】
上記(a9)は、外気温度である。外気温度は、第1検出部(D1)としての外気温度センサ(77)によって検出される。外気温度が低下すると、圧縮機(21)のケーシング(50)の温度が低下し、圧縮機(21)内の冷媒の凝縮量が増加する。そのため、油の濃度は低下する。
【0108】
(7)冷凍システムの動作
冷凍システム(1)の動作について、図6を参照しながら説明する。なお、本実施形態の冷凍システム(1)を動作させることにより、本開示の式生成方法を実現できる。
【0109】
ステップST11では、既存の空気調和装置(10)の制御部(C)は、第1指標および第2指標を取得する。具体的には、制御部(C)は、空気調和装置(10)の運転が切り替わったときに、第1指標および第2指標を取得する。取得した第1指標および第2指標は、第1通信部(A1)からインターネット(N)を経由して、サーバ装置(2)に送信される。ステップST11は、本開示の第1ステップに対応する。
【0110】
ここで、第1指標は、圧縮機(21)の吐出温度、吐出圧力、吸入温度、および吸入圧力と、圧縮機(21)の回転数と、電動機(51)の電流値である。第2指標は、油貯まり部(56)の油の濃度である。
【0111】
ステップST12では、サーバ装置(2)は、第2記憶部(M2)に多数の既存の空気調和装置(10)から送信された第1指標および第2指標を記憶する。詳細には、ステップST12では、サーバ装置(2)の第2通信部(A2)で受信した第1指標および第2指標を、第2記憶部(M2)に記憶する。
【0112】
ステップST13では、演算装置(3)は、多数の第1指標および第2指標に基づいて推定式を生成する。詳細には、ステップST13では、演算装置(3)の第3通信部(A3)からサーバ装置(2)の第2通信部(A2)に、第2記憶部(M2)に記憶された多数の第1指標および第2指標を送信するように指令する。サーバ装置(2)の第2通信部(A2)は、多数の第1指標および第2指標を演算装置(3)の第3通信部(A3)に送信する。演算装置(3)の式生成部(G)は、受信した多数の第1指標および第2指標に基づいて推定式を生成する。生成された推定式は、サーバ装置(2)に送信され、第2記憶部(M2)に記憶される。ステップST13は、本開示の第2ステップに対応する。
【0113】
ステップST14では、演算装置(3)は、新出の空気調和装置(100)に推定式を送信する。詳細には、サーバ装置(2)の第2通信部(A2)が、インターネット(N)を経由して、新出の空気調和装置(100)に推定式を送信する。ステップST14では、演算装置(3)に記憶された推定式を、記憶媒体に記録し、記録媒体を介して新出の空気調和装置(100)に送信してもよい。
【0114】
ステップST15では、新出の空気調和装置(100)の第1記憶部(M1)に推定式が記憶される。詳細には、新出の空気調和装置(100)の第1通信部(A1)が推定式を受信し、記憶部(M1)が受信した推定式を記憶する。
【0115】
ステップST16では、新出の空気調和装置(100)の制御部(C)は、推定した第2指標に基づいて、新出の空気調和装置(100)の運転を制御する。具体的には、新出の空気調和装置(100)の制御部(C)は、空気調和装置(100)の運転が切り替わったときに、新出の空気調和装置(100)の第1検出部(D1)で取得した第1指標および第1記憶部(M1)に記憶された推定式に基づき第2指標を推定し、推定した第2指標に基づいて、新出の空気調和装置(100)の運転を制御する。
【0116】
このように、冷凍システム(1)が動作して、新出の空気調和装置(100)に推定式が記憶されることにより、新出の空気調和装置(100)が油濃度センサ(76)を備えていなくても、油貯まり部(56)の油の濃度を推定して、新出の空気調和装置(100)の運転を制御することができる。これにより、新出の空気調和装置(100)のコストを低減できる。
【0117】
加えて、従来、このような推定式を算出するためには、空気調和装置(10)の製造メーカにおいて保有する空気調和装置から第1指標および第2指標を取得しなければならなかった。そのため、取得できる各指標の数に限りがあり、精度の高い推定式を生成するのが困難であった。多数の第1指標および第2指標を取得することも可能であるが、そのためには多くの工数が必要であった。これらの点においても、本開示の冷凍システムでは、各指標を取得する工数が削減できるとともに、精度の高い推定式を生成できる。
【0118】
(8)特徴
(8-1)
新出の空気調和装置(100)は、運転に関する指標である第1指標を検出する第1検出部(D1)と、第1指標に基づき、該第1指標と異なる他の運転に関する指標である第2指標を推定する推定式が記憶された第1記憶部(M1)とを備える。推定式は、複数の既存の冷凍装置(10)の各々において取得した第1指標および第2指標に基づいて生成される。新出の空気調和装置(100)は、第2指標を検出する第2検出部(D2)を備えない。
【0119】
新出の空気調和装置(100)は、第1記憶部(M1)に記憶された推定式から第2指標である油貯まり部(56)の油の濃度を推定できる。これにより、新出の空気調和装置(100)に油濃度センサを設ける必要がないので、新出の空気調和装置(100)のコストを低減できる。
【0120】
(8-2)
推定式の生成に用いられる第1指標および第2指標は、既存の空気調和装置(10)の起動時、停止時、または運転の切り替え時に取得される。ここで、新出の空気調和装置(100)が第2指標を推定するのは、新出の空気調和装置(100)の運転の起動時、停止時、または運転の切り替え時である。そのため、既存の空気調和装置(10)から該空気調和装置の運転の起動時、停止時、または運転の切り替え時において第1指標および第2指標を取得することで、取得するデータの量を抑制できる。
【0121】
(8-3)
新出の空気調和装置(100)は、ケーシング(50)と、該ケーシング(50)の内部に収容される圧縮機構(52)および電動機(51)と、ケーシング(50)に接続された吐出管(55)とを有するとともに、該圧縮機構(52)から吐出された冷媒がケーシング(50)の内部流路(54)を通過して前記吐出管(55)に送られる圧縮機(21)を更に備える。第2指標は、内部流路(54)の下側に形成される油貯まり部(56)の油の濃度である。
【0122】
油貯まり部(56)の油の濃度を測定するセンサは、温度センサや圧力センサのような他のセンサに比べて高価である。第2指標として油貯まり部(56)の油の濃度を推定式から推定することにより、新出の空気調和装置(100)のコストをより低減できる。
【0123】
(8-4)
式生成装置(5)は、新出の空気調和装置(100)の第1記憶部(M1)に記憶される推定式を生成する。式生成装置(5)によって、新出の空気調和装置(100)の第1記憶部(M1)に記憶される推定式を生成できる。
【0124】
(8-5)
式生成装置(5)は、推定式を新出の空気調和装置(100)に送信する第2通信部(A2)を備える。これにより、新出の空気調和装置(100)の第1記憶部(M1)に記憶された推定式を更新できる。
【0125】
(8-6)
冷凍システム(1)は、新出の空気調和装置(100)と、該新出の空気調和装置(100)記憶部(M1)に記憶される前記推定式を生成する式生成装置(5)とを備える。これにより、新出の空気調和装置(100)のコストを低減した冷凍システム(1)を提供できる。
【0126】
(8-7)
式生成方法では、複数の既存の冷凍装置(10)において運転に関する指標である第1指標および該第1指標と異なる他の運転に関する指標である第2指標を取得する第1ステップと、第1ステップにおいて取得した第1指標および第2指標から、第1指標に基づき第2指標を推定する推定式を生成する第2ステップとを含む。これにより、新出の空気調和装置(100)コストを低減する式生成方法を提供できる。
【0127】
(9)変形例
上記実施形態については以下のような変形例としてもよい。なお、以下の説明では、原則として上記実施形態と異なる点について説明する。
【0128】
(9-1)変形例1
変形例1は、推定式によって推定される第2指標が上記実施形態と異なる。言い換えると、本変形例は、第1指標および第2指標が上記実施形態と異なる。本変形例では、第2指標はアキュムレータ(24)の液面高さである。液面高さは、アキュムレータ(24)内に貯まった液冷媒の高さであり、アキュムレータ(24)の底面から液冷媒の液面までの高さを意味する。
【0129】
(9-1-1)アキュムレータの詳細
アキュムレータ(24)の内部には、ガス貯留部(61)と液貯留部(62)とが形成される。ガス貯留部(61)は、アキュムレータ(24)の内部空間の上部に位置し、液貯留部(62)は、アキュムレータ(24)の内部空間の下部あるいは底部に位置する。アキュムレータ(24)には、流入管(63)と吸入管(64)と戻し管(65)とが接続する。
【0130】
流入管(63)は、蒸発器を通過した冷媒が流れる。流入管(63)は、アキュムレータ(24)の頂部を貫通する。流入管(63)の流入端は、冷媒回路(11)の低圧ガスラインと繋がる。厳密には、流入管(63)の流入端は、四方切換弁(25)の第2ポート(P2)と繋がる。流入管(63)の流出端は、アキュムレータ(24)の上部に位置し、ガス貯留部(61)と連通する。
【0131】
吸入管(64)は、アキュムレータ(24)で分離された後のガス冷媒が流出する。吸入管(64)は、アキュムレータ(24)の底部を貫通する。吸入管(64)の流入端は、アキュムレータ(24)の上部に位置し、ガス貯留部(61)と連通する。吸入管(64)の流出端は、圧縮機(21)の圧縮機構(52)の吸入ポート(図示省略)と直に繋がる。
【0132】
戻し管(65)は、アキュムレータ(24)内の液冷媒を吸入管(64)に送る。戻し管(65)は、戻し流路の一例である。戻し管(65)は、アキュムレータ(24)で分離された後の液冷媒が流れる。加えて、戻し管(65)は、アキュムレータ(24)に残る冷凍機油が流れる。戻し管(65)の流入端は、アキュムレータ(24)の底部に位置し、液貯留部(62)と連通する。戻し管(65)の流入端は、アキュムレータ(24)の底部に開口していなくてもよく、底部よりも上方に位置してもよい。戻し管(65)の流出端は吸入管(64)の中途部に接続する。戻し管(65)には、上述した第1開閉弁(66)が設けられる。
【0133】
吸入管(64)は、戻し管(65)の接続部よりも上流側の第1吸入路(64a)と、戻し管(65)の接続部よりも下流側の第2吸入路(64b)とを含む。
【0134】
なお、戻し流路は、戻し管(65)でなくてもよく、吸入管(64)の流入側に形成した戻し穴であってもよい。戻し穴は、吸入管(64)のうちアキュムレータ(24)の内部の底部付近に位置する部分に形成される。アキュムレータ(24)の液冷媒は、戻し穴を通じて吸入管(64)に流入する。
【0135】
(9-1-2)センサ
既存の空気調和装置(10)および新出の空気調和装置(100)は、入口温度センサ(81)と、液面高さセンサ(82)とを更に有する。
【0136】
入口温度センサ(81)は、アキュムレータ(24)に流入する前の冷媒の温度を検出する。言い換えると、吸入温度センサ(74)は、蒸発器として機能する熱源熱交換器(22)や利用熱交換器(42)を流出した冷媒の温度を検出する。
【0137】
液面高さセンサ(82)は、アキュムレータ(24)の液面高さを検出する。液面高さセンサ(82)は、アキュムレータ(24)の筐体の内壁に高さ方向に複数配置されるセンサで構成される。
【0138】
(9-1-3)演算装置
式生成部(G)は、第1指標に基づいて第2指標であるアキュムレータ(24)の液面高さを推定する推定式(厳密には、回帰式)を生成する。第1指標としては、以下の(b1)~(b6)の少なくとも1つが含まれる。
【0139】
(b1)アキュムレータ(24)の入口温度
(b2)アキュムレータ(24)の出口温度
(b3)圧縮機(21)の吐出温度
(b4)圧縮機(21)の吸入圧力
(b5)冷媒循環量
(b6)アキュムレータ(24)の入口乾き度
以下に、(b1)~(b6)の各第1指標と第2指標であるアキュムレータ(24)の液面高さとの関係を説明する。なお、図8に各第1指標と第2指標との概略の関係を示す。
【0140】
上記(b1)は、アキュムレータ(24)の入口温度である。アキュムレータ(24)の入口温度は、第1検出部(D1)としての入口温度センサ(81)によって検出される。アキュムレータ(24)の入口温度は、アキュムレータ(24)から戻し管(65)に流出する液冷媒の流量の計算などに用いられる。液面高さは、例えばこの液冷媒の流量を変数とする推定式から求められる。そのため、アキュムレータ(24)の入口温度は、推定式を生成する際に役立つ。
【0141】
上記(b2)は、アキュムレータ(24)の出口温度である。アキュムレータ(24)の出口温度は、第1検出部(D1)としての吸入温度センサ(74)によって検出される。アキュムレータ(24)の出口温度は、アキュムレータ(24)から戻し管(65)に流出する液冷媒の流量の計算などに用いられる。液面高さは、例えばこの液冷媒の流量を変数とする推定式から求められる。そのため、アキュムレータ(24)の入口温度は、推定式を生成する際に役立つ。
【0142】
上記(b3)は、圧縮機(21)の吐出温度である。圧縮機(21)の吐出温度は、第1検出部(D1)としての吐出温度センサ(71)によって検出される。アキュムレータ(24)の液面高さが上昇すると、圧縮機(21)に流入する二層冷媒中の液冷媒の量が増加するので、圧縮機(21)の吐出温度が低下する。そのため、圧縮機(21)の吐出温度は、アキュムレータ(24)の液面高さを推定するのに役立つ。
【0143】
上記(b4)は、圧縮機(21)の吸入圧力である。圧縮機(21)の吸入圧力は、第1検出部(D1)としての吸入圧力センサ(73)によって検出される。圧縮機(21)の吸入圧力は、アキュムレータ(24)から戻し管(65)に流出する液冷媒の流量の計算などに用いられる。液面高さは、例えばこの液冷媒の流量を変数とする推定式から求められる。そのため、アキュムレータ(24)の入口温度は、推定式を生成する際に役立つ。
【0144】
上記(b5)は、冷媒循環量である。冷媒循環量は、圧縮機(21)の回転数から求めることができる。冷媒循環量が増加すると、アキュムレータ(24)に流入する冷媒量が増加するので、アキュムレータ(24)の液面高さが上昇する。
【0145】
上記(b6)は、アキュムレータ(24)の入口乾き度である。アキュムレータ(24)の入口乾き度が上昇すると、アキュムレータ(24)に流入する冷媒に含まれる液量が減少するので、アキュムレータ(24)の液面高さは低下する。
【0146】
このように、本変形例の冷凍システム(1)の第2指標は、アキュムレータ(24)の液面高さである。アキュムレータ(24)の液面高さを検出するセンサは、温度センサや圧力センサなどの他のセンサに比べて高価である。第2指標としてのアキュムレータ(24)の液面高さを推定式から推定することにより、新出の空気調和装置(100)に液面高さセンサ(82)を設ける必要がないので、新出の空気調和装置(100)のコストをより低減できる。
【0147】
(9-2)変形例2
変形例2は、推定式によって推定される第2指標が上記実施形態と異なる。言い換えると、本変形例は、第1指標および第2指標が上記実施形態と異なる。本変形例では、第2指標は圧縮機(21)の油面高さである。油面高さは、油貯まり部(56)における油面の高さであり、圧縮機(21)のケーシング(50)の底面から油の液面までの高さを意味する。
【0148】
(9-2-1)センサ
既存の空気調和装置(10)および新出の空気調和装置(100)は、油面高さセンサ(83)を更に有する。油面高さセンサ(83)は、油貯まり部(56)の油面の高さを検出する。油面高さセンサ(83)は、ケーシング(50)の内壁に高さ方向に複数配置されるセンサで構成される。油面高さセンサ(83)は、本開示の第2検出部(D2)に対応する。
【0149】
(9-2-2)演算装置
式生成部(G)は、第1指標に基づいて第2指標である油貯まり部(56)の油面の高さを推定する推定式を生成する。第1指標としては、以下の(c1)~(c9)の少なくとも1つが含まれる。
【0150】
(c1)圧縮機(21)の吐出温度
(c2)圧縮機(21)の吐出圧力
(c3)圧縮機(21)の吸入温度
(c4)圧縮機(21)の吸入圧力
(c5)油貯まり部(56)の冷凍機油の温度
(c6)圧縮機(21)の回転数
(c7)電動機(51)の電流値
(c8)冷媒循環量
(c9)外気温度
以下に、(c1)~(c9)の各第1指標と油貯まり部(56)の油面の高さとの関係を説明する。なお、図10に各第1指標と第2指標との概略の関係を示す。
【0151】
上記(c1)は、圧縮機(21)の吐出温度である。圧縮機(21)の吐出温度が低い場合、圧縮機(21)から吐出されるガス冷媒の過熱度が小さいので、圧縮機(21)内で冷媒が凝縮し易くなる。そのため、圧縮機(21)の吐出温度が低下すると、液冷媒が油貯まり部(56)の油に混入し、油面の高さが上昇する。
【0152】
上記(c2)は、圧縮機(21)の吐出圧力である。圧縮機(21)の吐出圧力が低い場合、圧縮機(21)から吐出されるガス冷媒の過熱度が小さいので、圧縮機(21)内で冷媒が凝縮し易くなる。そのため、圧縮機(21)の吐出温度が低下すると、液冷媒が油貯まり部(56)の油に混入し、油面の高さが上昇する。
【0153】
上記(c3)は、圧縮機(21)の吸入温度である。圧縮機(21)の吸入温度は、圧縮機(21)内の冷媒の凝縮量の計算に用いられる。油面の高さは、油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量と蒸発量とに基づいて導出できるので、圧縮機(21)の吸入温度は推定式を生成する際に役立つ。
【0154】
上記(c4)は、圧縮機(21)の吸入圧力である。圧縮機(21)の吸入圧力は、圧縮機(21)内の冷媒の凝縮量の計算に用いられる。油面の高さは、油貯まり部(56)における冷媒の凝縮量と蒸発量とに基づいて導出できるので、圧縮機(21)の吸入温度は推定式を生成する際に役立つ。
【0155】
上記(c5)は、油貯まり部(56)の油の温度である。油貯まり部(56)の油の温度が低下すると、圧縮機(21)内の冷媒の凝縮量が増加する。そのため、液冷媒が油貯まり部(56)の油に混入し、油面の高さが上昇する。
【0156】
上記(c6)は、圧縮機(21)の回転数である。圧縮機(21)の回転数が上昇すると、圧縮機(21)の外部に流出する油量が増加するので、油面の高さは低下する。
【0157】
上記(c7)は、電動機(51)の電流値である。電動機(51)の電流値が上昇すると、圧縮機(21)の回転数が上昇し、圧縮機(21)の外部に流出する油量が増加する。そのため、油面の高さは低下する。
【0158】
上記(c8)は、冷媒循環量である。冷媒循環量が低下すると、圧縮機(21)内で凝縮する冷媒量も減少する。そのため、油面の高さは低下する。
【0159】
上記(c9)は、外気温度である。外気温度が低下すると、油貯まり部(56)の油の温度が低下し、油に溶け込むことができる冷媒量が増加する。これにより、油量が増加し、油面の高さは上昇する。
【0160】
このように、本変形例の冷凍システム(1)の第2指標は、圧縮機(21)の油面高さである。油面高さセンサ(83)は、温度センサや圧力センサなどの他のセンサに比べて高価である。第2指標としての圧縮機(21)の油面高さを推定式から推定することにより、新出の空気調和装置(100)に油面高さセンサ(83)を設ける必要がないので、新出の空気調和装置(100)のコストをより低減できる。
【0161】
(9-3)変形例3:熱源熱交換器の着霜量の推定
変形例2は、推定式によって推定される第2指標が上記実施形態と異なる。言い換えると、本変形例は、第1指標および第2指標が上記実施形態と異なる。本変形例では、第2指標は熱源熱交換器(22)の着霜量である。
【0162】
(9-2-1)センサ
既存の空気調和装置(10)および新出の空気調和装置(100)は、複数のセンサを有する。図11に示すように、複数のセンサは、外気温度センサ(77)、外気湿度センサ(84)、圧力センサ(85)、熱源熱交換器入口温度センサ(86)、熱源熱交換器出口温度センサ(87)、および霜センサ(88)を更に有する。本変形例の複数のセンサは、全て熱源ユニット(20)に設けられる。
【0163】
外気温度センサ(77)は、室外空気の温度を検出する。外気湿度センサ(84)は、室外空気の湿度を検出する。圧力センサ(85)は、熱源熱交換器(22)に設けられる。圧力センサ(85)は、蒸発器として利用する熱源熱交換器(22)の蒸発圧力を検出する。
【0164】
熱源熱交換器入口温度センサ(86)は、蒸発器として利用する熱源熱交換器(22)に流入する冷媒の温度を検出する。熱源熱交換器出口温度センサ(87)は、蒸発器として利用する熱源熱交換器(22)から流出した冷媒の温度を検出する。霜センサ(88)は、霜の量を検出する。霜センサ(88)は、熱源熱交換器(22)に配置される。
【0165】
本変形例では、外気温度センサ(77)、外気湿度センサ(84)、圧力センサ(85)、熱源熱交換器入口温度センサ(86)、および熱源熱交換器出口温度センサ(87)が、第1検出部(D1)に対応する。霜センサ(88)が、第2検出部(D2)に対応する。
【0166】
(9-2-2)演算装置
式生成部(G)は、第1指標に基づいて第2指標である熱源熱交換器(22)の着霜量を推定する推定式を生成する。第1指標としては、以下の(d1)~(d5)の少なくとも1つが含まれる。
【0167】
(d1)外気温度
(d2)外気湿度
(d3)熱源熱交換器(22)の蒸発圧力
(d4)熱源熱交換器(22)の入口温度
(d5)熱源熱交換器(22)の出口温度
以下に、(d1)~(d5)の各第1指標と油貯まり部(56)の油面の高さとの関係を説明する。なお、図12に各第1指標と第2指標との概略の関係を示す。
【0168】
上記(d1)は、外気温度である。外気温度が低下すると、冷媒の蒸発温度が低下するので、熱源熱交換器(22)の着霜量は増加する。
【0169】
上記(d2)は、外気湿度である。外気湿度が低下すると、室外空気の水分量が減少しているので、熱源熱交換器(22)の着霜量が減少する。
【0170】
上記(d3)は、熱源熱交換器(22)の蒸発圧力である。熱源熱交換器(22)の蒸発圧力が低下すると、冷媒の蒸発温度も低下する。これにより、熱源熱交換器(22)の着霜量が増加する。
【0171】
上記(d4)は、熱源熱交換器(22)の入口温度である。熱源熱交換器(22)の入口温度が低下すると、外気温度に対する冷媒温度が低下する。これにより、熱源熱交換器(22)の着霜量が増加する。
【0172】
上記(d5)は、熱源熱交換器(22)の出口温度である。熱源熱交換器(22)の出口温度が低下すると、外気温度に対する冷媒温度が低下する。これにより、熱源熱交換器(22)の着霜量が増加する。
【0173】
このように、本変形例の冷凍システム(1)の第2指標は、熱源熱交換器(22)の着霜量である。霜センサ(88)は、温度センサや圧力センサなどの他のセンサに比べて高価である。第2指標としての熱源熱交換器(22)の着霜量を推定式から推定することにより、新出の空気調和装置(100)に霜センサ(88)を設ける必要がないので、新出の空気調和装置(100)のコストをより低減できる。
【0174】
(9-4)変形例4
変形例4は、式生成装置の構成が上記実施形態と異なる。図13に示すように、本変形例の冷凍システム(1)の式生成装置(5)は、サーバ装置(2)で構成される。
【0175】
本変形例のサーバ装置(2)は、マイクロコンピュータ及びメモリディバイスを含む。メモリディバイスは、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納する。サーバ装置(2)は、機能的な構成要素として、式生成部(G)を有する。式生成部(G)の構成は、上記実施形態と同じである。本変形例では、サーバ装置(2)において、第1指標に基づいて第2指標を推定する推定式が生成される。
【0176】
このように、本変形例の冷凍システム(1)では、作業者を介さずに推定式が生成されるので、作業者の作業負担が軽減される。
【0177】
(10)その他の実施形態
本開示の冷凍装置は、空気調和装置でなくてもよく、冷凍サイクルを行う装置であれば、他の装置であってもよい。他の装置としては、冷蔵庫や冷凍庫などの空気を冷却する冷却装置、海上コンテナやトレーラの庫内を冷却する輸送用冷凍装置、温水を生成する給湯装置などがある。
【0178】
本開示の冷凍システム(1)では、式生成部(G)における推定式の生成に用いられる第1指標または第2指標は、第1検出部(D1)または第2検出部(D2)で検出したものでなくてもよい。具体的には、例えば、既存の冷凍装置(100)が第1指標から第2指標を推定する推定式を記憶した記憶部(M1)を有する場合には、該推定式によって推定されて既存の冷凍装置(100)の運転に用いられた第2指標をサーバ装置(2)に送信することで、サーバ装置(2)の記憶部に蓄積する。式生成部(G)では、このサーバ装置(2)の記憶部に記憶された第2指標を用いて、第1指標から第2指標を推定する推定式を生成する。言い換えると、式生成部(G)は、既存の冷凍装置(100)で推定された第2指標を用いて、第1指標から第2指標を推定する推定式を生成する。
【0179】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0180】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0181】
以上説明したように、本開示は、冷凍装置、式生成装置、冷凍システム、および式生成方法について有用である。
【符号の説明】
【0182】
1 冷凍システム
5 式生成装置
21 圧縮機
22 熱源熱交換器(放熱器、蒸発器)
24 アキュムレータ
26 熱源膨張弁(減圧弁)
41 利用膨張弁(減圧弁)
42 利用熱交換器(蒸発器、放熱器)
50 ケーシング
51 電動機
52 圧縮機構
54 内部流路
55 吐出管
64 吸入管
100 新出の空気調和装置(冷凍装置)
A2 第2通信部(通信部)
D1 第1検出部
D2 第2検出部
M1 第1記憶部(記憶部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13