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特開2023-150365印刷装置、マスク印刷方法および半田基板製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150365
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】印刷装置、マスク印刷方法および半田基板製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/08 20060101AFI20231005BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41F15/08 301A
B41F15/08 303E
H05K3/12 610N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059451
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 正幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 亮
(72)【発明者】
【氏名】豊田 奨
【テーマコード(参考)】
2C035
5E343
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA22
2C035FA24
2C035FB26
2C035FD01
2C035FE03
5E343AA02
5E343BB72
5E343DD03
5E343FF02
5E343GG06
(57)【要約】
【課題】マスクのテンションの変化により適した版離れ制御を実行し、半田ペーストの印刷品質の低下を抑制できる。
【解決手段】印刷装置は、所定の印刷パターンが設けられ、基板と接触可能な第1の領域と、第1の領域の両側に位置する第2の領域とを有するマスクを用いて、基板に半田ペーストを印刷する印刷装置であって、基板を保持し、保持された基板を昇降させる保持部と、マスクのテンションを計測する計測部と、マスクの第2の領域を吸引可能な吸引部と、計測部により計測されたマスクのテンションに基づいて、保持部により実行される基板とマスクとの版離れにおいて吸引部による第2の領域の吸引の要否を判定する制御部と、を備え、制御部は、第2の領域の吸引が必要であると判定した場合、吸引部に第2の領域を吸引させる。
【選択図】図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の印刷パターンが設けられ、基板と接触可能な第1の領域と、前記第1の領域の両側に位置する第2の領域とを有するマスクを用いて、前記基板に半田ペーストを印刷する印刷装置であって、
前記基板を保持し、保持された前記基板を昇降させる保持部と、
前記マスクのテンションを計測する計測部と、
前記マスクの前記第2の領域を吸引可能な吸引部と、
前記計測部により計測された前記マスクの前記テンションに基づいて、前記保持部により実行される前記基板と前記マスクとの版離れにおいて前記吸引部による前記第2の領域の吸引の要否を判定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2の領域の吸引が必要であると判定した場合、前記吸引部に前記第2の領域を吸引させる、
印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の領域の吸引が必要であると判定した場合、前記吸引部により前記第2の領域を吸引したまま前記保持部を所定高さだけ下降させた後、前記吸引部による前記第2の領域の吸引を停止するとともに、前記保持部を下降させて前記版離れを行う、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、計測された前記マスクの前記テンションに基づいて、前記マスクの前記テンションが第1の閾値以上であると判定した場合、前記吸引部による前記第2の領域の吸引を省略する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、計測された前記マスクの前記テンションに基づいて、前記マスクの前記テンションが第1の閾値未満、かつ、前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以上であると判定した場合、前記吸引部による前記第2の領域の吸引を実行させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記マスクの前記テンションが前記第2の閾値未満であると判定した場合、前記版離れを中止し、警告情報を生成して出力する、
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記保持部は、前記基板の両側面に当接して前記基板を保持する一対の当接部を有し、
前記吸引部は、前記保持部に設けられる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
所定の印刷パターンが設けられ、基板と接触可能な第1の領域と、前記第1の領域の両側に位置する第2の領域とを有するマスクを用いて、前記基板に半田ペーストを印刷する印刷装置が行うマスク印刷方法であって、
前記基板を保持し、
前記マスクのテンションを計測し、
計測された前記マスクの前記テンションに基づいて、前記第2の領域の吸引の要否を判定し、
前記第2の領域の吸引が必要であると判定した場合、前記第2の領域を吸引したまま前記基板を下降させて版離れを行う、
マスク印刷方法。
【請求項8】
所定の印刷パターンが設けられ、基板と接触可能な第1の領域と、前記第1の領域の両側に位置する第2の領域とを有するマスクを用いて、前記基板に半田ペーストを印刷する印刷装置が行う半田基板製造方法であって、
前記基板を保持し、
前記マスクのテンションを計測し、
計測された前記マスクの前記テンションに基づいて、前記第2の領域の吸引の要否を判定し、
前記第2の領域の吸引が必要であると判定した場合、前記第2の領域を吸引したまま前記基板を下降させて版離れを行う、
半田基板製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置、マスク印刷方法および半田基板製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マスクの上面にペースト状の半田を供給後、マスクの上面をスキージで掻くことにより、マスクの下面に重装したプリント基板に半田を印刷する印刷装置が開示されている。印刷装置は、マスクと、スキージと、マスクに対してスキージを離れる方向および接近する方向に変位させるスキージモータと、マスクに対してプリント基板を離れる方向および接近する方向に変位させる昇降部を有する基板支持装置と、スキージをマスクに接触させた状態から下降させ、スキージモータの電流値が所定の設定値になった時の、スキージの押し下げ量を検出する検出部と、検出部の検出する押し下げ量を基準値と比較して、押し下げ量の変化量を算出する算出部と、算出部の算出する押し下げ量の変化量より、テンションの変化量を特定する。印刷装置は、特定されたテンションの変化量に基づいて、版離れ制御パターンを変更し、変更後の版離れ制御パターンに基づく版離れ動作を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-33645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半田が印刷されたプリント基板の製造において、印刷装置は、版離れ動作による半田の印刷位置がずれたり、印刷された半田の形状が崩れたりする印刷品質の劣化を抑制するために、マスクからプリント基板を均一に版離れさせることが望ましい。しかし、印刷装置は、マスクのテンションの変化量に基づいて、版離れ時のプリント基板の下降量と下降動作時間(つまり、版離れ時間)とを変更し、版離れ動作を実行する。このような版離れ動作が実行された場合、プリント基板は、まず、プリント基板の周縁部から版離れが始まり、その後、プリント基板の周縁部から中心部に向かって版離れが完了する。つまり、印刷装置は、プリント基板の周縁部と中心部とでマスクから離れる時刻に変化が生じることで、印刷された半田の形状が崩れ、印刷品質が劣化する可能性があった。
【0005】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、マスクのテンションの変化により適した版離れ制御を実行し、半田ペーストの印刷品質の低下を抑制する印刷装置、マスク印刷方法および半田基板製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、所定の印刷パターンが設けられ、基板と接触可能な第1の領域と、前記第1の領域の両側に位置する第2の領域とを有するマスクを用いて、前記基板に半田ペーストを印刷する印刷装置であって、前記基板を保持し、保持された前記基板を昇降させる保持部と、前記マスクのテンションを計測する計測部と、前記マスクの前記第2の領域を吸引可能な吸引部と、前記計測部により計測された前記マスクの前記テンションに基づいて、前記保持部により実行される前記基板と前記マスクとの版離れにおいて前記吸引部による前記第2の領域の吸引の要否を判定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2の領域の吸引が必要であると判定した場合、前記吸引部に前記第2の領域を吸引させる、印刷装置を提供する。
【0007】
また、本開示は、所定の印刷パターンが設けられ、基板と接触可能な第1の領域と、前記第1の領域の両側に位置する第2の領域とを有するマスクを用いて、前記基板に半田ペーストを印刷する印刷装置が行う印刷方法であって、前記基板を保持し、前記マスクのテンションを計測し、計測された前記マスクの前記テンションに基づいて、前記第2の領域の吸引の要否を判定し、前記第2の領域の吸引が必要であると判定した場合、前記第2の領域を吸引したまま前記基板を下降させて版離れを行う、マスク印刷方法を提供する。
【0008】
また、本開示は、所定の印刷パターンが設けられ、基板と接触可能な第1の領域と、前記第1の領域の両側に位置する第2の領域とを有するマスクを用いて、前記基板に半田ペーストを印刷する印刷装置が行う半田基板製造方法であって、前記基板を保持し、前記マスクのテンションを計測し、計測された前記マスクの前記テンションに基づいて、前記第2の領域の吸引の要否を判定し、前記第2の領域の吸引が必要であると判定した場合、前記第2の領域を吸引したまま前記基板を下降させて版離れを行う、半田基板製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、マスクのテンションの変化により適した版離れ制御を実行し、半田ペーストの印刷品質の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る印刷装置の全体斜視図
図2】実施の形態1に係る印刷装置の部分透視斜視図
図3】実施の形態1に係る印刷装置の透視側面図
図4】印刷部の部分断面側面図
図5】印刷ヘッドの一例を説明する図
図6】印刷部の部分平面図
図7】印刷装置が備える印刷部の部分平面図
図8】マスクの一例を示す平面図
図9】マスク保持部によるマスクの保持状態を示す下面図
図10】マスクガイドによりガイドされるマスクの様子を示す正面図
図11】実施の形態1における印刷部の部分平面図
図12】実施の形態1における印刷部の平面図
図13】テンション計測装置の一例を示す図
図14】実施の形態1に係る印刷装置の制御系統を示すブロック図
図15】実施の形態1に係る印刷装置の版離れ動作手順例を説明するフローチャート
図16】印刷装置の収納動作例を説明する図
図17】印刷装置の収納動作例を説明する図
図18】印刷装置の引き出し動作例を説明する図
図19】印刷装置の引き出し動作例を説明する図
図20】マスクのテンション計測例を説明する図
図21】テンション計測装置の一例を説明する図
図22】版離れモード(通常モード)を説明する図
図23】版離れモード(マスク吸着版離れモード)を説明する図
図24】版離れモードごとのテーブル昇降機構の制御例を比較する図
図25】実施の形態2に係る印刷装置のマスク機種変更時の動作手順例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る印刷装置、マスク印刷方法および半田基板製造方法の構成および作用を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
(実施の形態1)
まず、図1を参照して、実施の形態1における印刷装置11について説明する。図1は、実施の形態1に係る印刷装置11の全体斜視図である。
【0013】
本実施の形態1に係る印刷装置11は、印刷対象物としての基板KB(図2参照)の上面に、半田ペースト等の半田ペーストPst(図2参照)を印刷する印刷部13と、この印刷部13に供給されるマスク27(図2参照)を格納するマスクチェンジャ15を含む装置である。マスク27は、基板KBに半田ペーストPstを印刷するための開口パターンが設けられたステンシルSUSと、テンションを与えながらステンシルSUSを保持するマスク枠271(図8参照)を有する。
【0014】
印刷部13は、印刷部カバー17によって覆われた基台19(図2参照)の上に基板搬送保持部21を有し、所定の印刷位置に搬送された基板KBに半田ペーストPstを印刷する。
【0015】
マスクチェンジャ15は、印刷部13の後部に隣接して設けられる。マスクチェンジャ15の筐体23はマガジン25を収納可能な内部空間SP(図2参照)を有しており、筐体23の後面側の下部には、内部空間SPに対してマスク27を収納したマガジン25を出し入れ可能な開口部29が設けられる。マスクチェンジャ15は、印刷部13にマスク27を供給するためのマスク通過開口71(図2参照)を有し、このマスク通過開口71を通じて印刷部13の内部と空間的に繋がる。マスクチェンジャ15の筐体23は、警報音または警報画面を出力可能なタッチパネル31、あるいは他の照明装置(例えば、LED等)を後面側の上部に有する。
【0016】
次に、図2図4を参照して、印刷部13およびマスクチェンジャ15の概要について説明する。図2は、実施の形態1に係る印刷装置11の部分透視斜視図である。図3は、実施の形態1に係る印刷装置11の透視側面図である。図4は、印刷部13の部分断面側面図である。
【0017】
基板搬送保持部21の上方には、マスクガイド33が設けられている。マスクガイド33の断面はL字状になっており、底面(水平部95)でマスク27を下支えしつつ、側面(垂直部97)にてマスク27をマスク保持部35のマスク保持位置まで案内する。マスクガイド33の上方には、印刷ヘッド37、および気体吹付け部43がそれぞれ設けられている。また、マスク保持位置の上方には、左右の2つのシリンダ45のそれぞれと、前後左右の4つのシリンダ47のそれぞれと、が設けられている。マスクガイド33の下方には、カメラ移動機構49およびカメラ51と、マスク下面クリーナ53が設けられている。
【0018】
基板搬送保持部21は、中間コンベア83に設けられる。基板搬送保持部21は、テーブル昇降機構67によりZ軸方向に昇降され、中間コンベア83上に搬入された基板KBを、クランパ87の間に挟んで保持する。これにより、基板搬送保持部21は、半田ペーストPstの印刷時の基板KBの位置ずれを抑制できる。
【0019】
また、基板搬送保持部21は、基板KBを保持した状態でマスク27のステンシルSUSの下面を吸着可能な吸着部20を備える。吸着部20は、印刷装置11に設けられる空気圧回路(不図示)に配管接続される。空気圧回路は、空圧発生源が接続される。空圧発生源は、真空ポンプと、エア供給源とを含む。吸着部20は、真空バルブを介して空圧発生源とブローバルブに接続される。真空バルブは、後述する吸着制御部173により入力ポートと出力ポートとを切り替えることにより、吸着部20の真空圧とブロー圧とを切り替え可能にする。
【0020】
印刷ヘッド37は、2つのスキージ121と、マスク移動部40と、テンション計測装置183を備える。印刷ヘッド37は、制御部159A(図14参照)によって駆動される。
【0021】
気体吹付け部43は、半田ペーストPstで汚れる前(すなわち使用前、あるいはマスク27に最初の半田ペーストPstが供給される前)のステンシルSUSの上面に付着した埃などを吹き飛ばす使用前マスククリーナとして機能する。気体吹付け部43は、マスク27の移動経路の上方をマスク27の移動方向(X軸方向)に対して交差する横方向に延びた管状部55と、管状部55の一端側に繋がるバルブ部57と、を備えている。管状部55は、2つの後述する前後方向ガイド部の後端側に、2つの前後方向ガイド部のそれぞれを跨ぐようにして設けられている。
【0022】
マスク下面クリーナ53は、マスク下面クリーナガイド(不図示)によって、マスクガイド33の下方の領域を、Y軸方向に移動自在に設けられている。マスク下面クリーナ53は、マスク下面クリーナ53に設けられた移動ベース連結部(不図示)によってカメラ移動機構49の移動ベース59との間で連結され、移動ベース59と一体となってY軸方向に移動する。
【0023】
マスク下面クリーナ53は、移動ベース59によってY軸方向に移動されないときは、印刷位置の前方に位置するクリーナ待機位置で待機する(図2参照)。マスク下面クリーナ53は、マスク下面クリーナガイドに設けられた下面クリーナ昇降部(不図示)によって、マスクガイド33に対して(つまり、印刷位置に搬送されたマスク27に対して)昇降自在となっている。
【0024】
マスク移動部40は、マスクチェンジャ15が備える後述のマガジン25と印刷部13内の印刷位置との間でマスク27を移動(搬送)可能な機能を有する。詳細には、マスク移動部40は、マガジン25からマスク27を引き出して印刷位置まで移動させ、印刷部13内の印刷位置からマスク27をマガジン25に戻す機能を有する。マスク移動部40は、印刷ヘッド37に接続されており、印刷ヘッド37の動作とともにY軸方向に移動可能である。また、マスク移動部40は、シリンダ110とロッド115を有している。マスク27を移動させる際は、シリンダ110を用いてロッド115をZ軸方向に移動させ、マスク枠271にロッド115を当接させる。
【0025】
マスクチェンジャ15は、印刷部13の後部に隣接して設けられており、筐体23、マガジン25、昇降機65、マスク通過開口71および昇降体73を備える。昇降機65は、水平面内に拡がった形状を有する昇降体73の一端側に設けられたナット部75と、ナット部75に螺合して上下方向に延びたボール螺子77と、ボール螺子77を回転駆動する昇降体昇降モータ79と、を備えている。
【0026】
昇降機65は、昇降体昇降モータ79が作動によりボール螺子77が回転し、ボール螺子77に設けられたナット部75を介して昇降体73が昇降する。昇降機65は、マガジン25を支持する昇降体73を作業空間SP1と供給空間SP2との間で昇降させることにより、筐体23の開口部29から搬入されたマガジン25を、筐体23の開口部29とその開口部29から離れた位置である作業空間SP1との間で移動させる収納体移動機構として機能する。
【0027】
基板搬送保持部21は、搬入コンベア81、中間コンベア83、搬出コンベア85、クランパ87および多段テーブル89のそれぞれを備える。搬入コンベア81、中間コンベア83および搬出コンベア85は、この順でX軸方向(左右方向とする)に並んでおり、搬入コンベア81、中間コンベア83、搬出コンベア85の順に基板KBを受け渡して搬送する。基板搬送保持部21は、中間コンベア83に搬入された基板KBをZ軸方向に昇降させて、基板KBへの半田ペーストPstの印刷と、マスク27のステンシルSUSの下面と基板KBとの間の版離れとを実行可能にする。
【0028】
クランパ87は、基板KBの大きさ、形状等に対応して配置された複数のサポートピン219を有する。クランパ87は、中間コンベア83とともにユニットを構成しており、中間コンベア83が搬入コンベア81から受け取った基板KBを、複数のサポートピン219のそれぞれにより中間コンベア83から持ち上げた状態に支持するとともに、その基板KBの両側をクランプして保持する。多段テーブル89は、基台19上に設けられており、中間コンベア83とクランパ87とにより構成されるユニットの全体を、基台19に対してXY平面上と上下方向(Z軸方向)とに移動させる。
【0029】
次に、図5を参照して、実施の形態1における印刷ヘッド37について説明する。図5は、印刷ヘッド37の一例を説明する図である。なお、図5に示す印刷部13は、印刷部カバー17の図示を省略している。
【0030】
印刷ヘッド37は、制御部159A(図13参照)によって駆動を制御される。制御部159Aは、2つのスキージ121、マスク移動部40、およびテンション計測装置183の制御を実行する。
【0031】
印刷ヘッド37は、X軸方向に延びてY軸方向に移動自在に設けられたスキージベース119と、スキージベース119の下方に設けられた2つのスキージ121と、スキージベース119の上面側に設けられたスキージ昇降駆動部123と、を備えている。2つのスキージ121のそれぞれは、Y軸方向に対向して配置される。スキージ昇降駆動部123は、2つのスキージ121のそれぞれをスキージベース119の下方で独立に昇降させる。
【0032】
印刷部13は、図7に示すように2つのシリンダ45を備える。シリンダ45は昇降ロッド117を有しており、昇降ロッド117をZ軸方向に動かすことができる。2つのシリンダ45のそれぞれが備える昇降ロッド117の下端はマスク枠271の上面に当接可能であり、印刷位置に配置されたマスク27を固定する。
【0033】
印刷部13は、4つのシリンダ47をさらに備える。シリンダ47は昇降ロッドを有しており、昇降ロッドをZ軸方向に動かすことができる。シリンダ47が備えるロッド115の下端は、マスク枠271の上面に当接可能であり、印刷位置に配置されたマスク27をシリンダ45の昇降ロッド117と共に固定する。シリンダ47は、マスク枠271の四隅を下方に押圧する。このように、マスク27は、シリンダ45、シリンダ47のそれぞれによってマスクガイド33に押圧され、印刷位置に固定される。
【0034】
マスク移動部40は、シリンダ110を用いてロッド115を駆動させ、マスク枠271の側面に沿ってロッド115を下降させた後、印刷ヘッド37の動作と共にY軸方向に移動することでマスクチェンジャ15へのマスク27の収納動作、あるいはマスクチェンジャ15からのマスク27の引き出し動作を実行する。
【0035】
印刷ヘッド37は、X軸方向に延びてY軸方向に移動自在に設けられたスキージベース119と、スキージベース119の下方に設けられた2つのスキージ121と、スキージベース119の上面側に設けられたスキージ昇降駆動部123と、を備えている。2つのスキージ121のそれぞれは、Y軸方向に対向して配置されている。スキージ昇降駆動部123は、2つのスキージ121のそれぞれをスキージベース119の下方に個別に昇降させる。
【0036】
印刷ヘッド37は、スクレイパユニット39を有する。スクレイパユニット39は、マスク27の半田ペーストPstを回収するペースト回収部として機能する。スクレイパユニット39は、X軸方向に延びたスクレイパベース133と、スクレイパベース133に設けられたスクレイパ昇降シリンダ135と、スクレイパ昇降シリンダ135によって昇降されるスクレイパ137と、を備えている。スクレイパベース133は、スキージベース119と同様に、2つのスキージベースガイド125のそれぞれによって左右の両端部が支持される。スクレイパベース133は、スキージベース119に連結されて、スキージベース119と一体となってY軸方向に移動する。スクレイパユニット39は、スクレイパ昇降シリンダ135を駆動させてスクレイパ137を昇降する。
【0037】
印刷ヘッド37は、スクレイパベース133に連結されたアーム部139と、アーム部139に連結されたテンション計測装置保持部141と、テンション計測装置183と、を備える。
【0038】
アーム部139は、マスクチェンジャ15側に設けられた2つのシリンダ47のそれぞれと、テンション計測装置保持部141とが連結される。テンション計測装置保持部141は、アーム部139に連結され、テンション計測装置183を保持する。
【0039】
テンション計測装置保持部141は、テンション計測装置保持部141の下部に開口を有し、この開口を通じて、測定子187がステンシルSUSの上面(Z方向側の面)に載置可能な構成を有する。テンション計測装置保持部141は、印刷ヘッド37と一体となってZ軸方向に昇降し、測定子187がステンシルSUSの上面から所定距離だけ離間した待機高さ位置と、測定子187がステンシルSUSの上面に載置される載置高さ位置との間で昇降される。テンション計測装置保持部141は、制御部159Aにより制御され、測定子187がステンシルSUSの上面に載置された後にマスク27のテンションを計測し、計測結果を制御部159Aに出力する。
【0040】
図6は、印刷部13の部分平面図である。基板搬送保持部21(図3図4参照)の上方にはマスクガイド33が設けられている。マスクガイド33は、Y軸方向(前後方向とする)に延びてX軸方向に対向するように平行に配置された一対のガイド部91と、一対のガイド部91の前方端部にX軸方向に延びて設けられた左右方向ガイド部93と、を有している。一対のガイド部91のそれぞれは、断面がL字状となるように形成され、水平部95と水平部95の外側に形成された垂直部97とを有する。一方、左右方向ガイド部93は、一対のガイド部91のそれぞれの水平部95と連接されて構成される。
【0041】
図7は、印刷装置11が備える印刷部の部分平面図である。マスクガイド33は、印刷位置からマスクチェンジャ15までのマスク27の移動をガイドする。マスク27は平面視において矩形形状を有しており、その左右のY軸辺のそれぞれがマスクガイド33の一対のガイド部91によってY軸方向に案内される。マスク27は、シリンダ45およびシリンダ47によって印刷位置に固定される。
【0042】
図8は、マスク27の一例を示す平面図である。マスク27は、略矩形状の金属板により構成される。マスク27は、基板KBの表面に形成された電極パターン(不図示)に対応するパターン開口99が形成されたステンシルSUSを備える。マスク27は、外周がマスク枠271によって支持される。マスク枠271は、Y方向の前側が前枠体103、Y方向の後側が後枠体105、X方向の右側が右枠体107、X方向の左側が左枠体109により構成され、ステンシルSUSとマスク枠271との間を接続部材100により接続する。
【0043】
マスクガイド33が有する一対のガイド部91のそれぞれの後端側は、水平面(XY平面)上においてマスクチェンジャ15の近傍位置(つまり、マスク27の引き出し、および収納が行われるマスク通過開口71付近)まで延びている。マスクガイド33は、マスク27の印刷位置とマスクチェンジャ15のマガジン25との間で搬送されるマスク27の搬送経路となる。
【0044】
図9は、印刷位置におけるマスク27を示す下面図である。気体吹付け部43は、下面側にX軸方向に並んで設けられた複数の気体噴出孔113のそれぞれが設けられている。
【0045】
図10は、マスクガイド33によりガイドされるマスク27の様子を示す正面図である。2つのシリンダ45のそれぞれと、4つのシリンダ47のそれぞれとは、マスクガイド33の左右のガイド部91のそれぞれが有する垂直部97に固定して設けられる。
【0046】
左右の2つのシリンダ45のそれぞれは、マスク保持部35のY軸方向に延びる左右の2つの直線部分のそれぞれの中間部の上方に設けられている。4つのシリンダ47のそれぞれは、マスク保持部35の四隅もしくはその近傍の上方に設けられている。
【0047】
図11は、実施の形態1における印刷部13の部分側面図である。マスク27は、シリンダ45の昇降ロッド117およびシリンダ47のロッド115によりマスク枠271が押さえられることによって、印刷位置に固定される。
【0048】
図12は、実施の形態1における印刷部13の平面図である。スキージベース119は、Y軸方向に延びた形状を有している。
【0049】
スキージベース119は、Y軸方向に延びてX軸方向に対向するように平行に配置された2つのスキージベースガイド125のそれぞれによって左右の両端部が支持されている。2つのスキージベースガイド125のうち一方のスキージベースガイド125の外側(X軸方向の外側)には、Y軸方向に延びたスキージベース移動ボール螺子127が設けられている。
【0050】
スキージベース移動ボール螺子127は、スキージベース119に設けられたスキージベースナット129に螺合している。スキージベース移動ボール螺子127は、スキージベース駆動モータ131と連結され、スキージベース駆動モータ131の駆動によってスキージベース移動ボール螺子127が回転すると、スキージベースナット129を介してスキージベース119がY軸方向に移動する。
【0051】
マスク上面クリーナ41は、スクレイパユニット39によって半田ペーストPstが回収された後のステンシルSUSの上面をクリーニングする機能を有するものであり、図12に示すように、スキージベース119に取り付けられている。これにより、マスク上面クリーナ41は、スキージベース119と一体となって、印刷ヘッド37とともに印刷位置に搬送されたマスク27上をY軸方向に移動してクリーニングする。なお、図11では、マスク上面クリーナ41の図示を省略している。
【0052】
気体吹付け部43は、マスク27の移動経路の上方をマスク27の移動方向(X軸方向)に対して交差する横方向に延びた管状部55と、管状部55の一端側に繋がるバルブ部57と、を備えている。管状部55は、2つのガイド部91のそれぞれの後端側に、2つのガイド部91のそれぞれを跨ぐようにして設けられている。
【0053】
管状部55は、バルブ部57を介して高圧気体GSを供給して複数の気体噴出孔113(図12参照)のそれぞれから下方に位置するステンシルSUSの上面に向かって高圧気体GSを噴射する。なお、マスク上面クリーナ41は、ステンシルSUSの上面に気体を吹き付けるもの(つまり、ブローするもの)に限定されず、例えばステンシルSUSの上面を吸引するもの、ブラッシングするもの、またはステンシルSUSの上面を拭き取るもの等であってもよい。
【0054】
カメラ移動機構49は、移動ベース59にカメラ51のカメラ筐体153が取り付けられている。カメラ筐体153は、略六面体形状で形成される。カメラ筐体153は、下面に下方撮像カメラ155、上面に上方撮像カメラ157のそれぞれの鏡筒が光軸をZ軸に沿う方向で取り付けられている。
【0055】
カメラ移動機構49は、移動ベース59のY軸方向への移動によって吸着部63をY軸方向に移動させることができる。吸着部63は、さらにYZアクチュエータ61によって、移動ベース59に対してY軸に沿う方向とZ軸に沿う方向とに移動することができる。このYZアクチュエータ61の移動機構は、ラックとピニオンとにより構成される直線駆動機構、リニアモータ機構等であってよい。
【0056】
吸着部63は、カメラ移動機構49により、マスク通過開口71の直前まで移動される。吸着部63は、マスク通過開口71の直前まで移動された状態で、YZアクチュエータ61により供給対象となるマスク27の格納高さ(Z軸方向)まで昇降された後、YZアクチュエータ61により後方に移動されて、マスクチェンジャ15の内部に進入し、マガジン25内に格納されたマスク27の枠101(具体的には、前枠体103)の位置まで移動される。
【0057】
また、吸着部63は、このマスク対向位置からさらにY軸方向に移動される。これにより、吸着部63は、枠101に対する吸着位置の微調整が可能となる。吸着位置に微調整された吸着部63は、マスクチェンジャ15のマガジン25に格納されたマスク27が備える枠101(具体的には、前枠体103)の側面を吸着して、マガジン25の内部からマスク通過開口71を通じて、印刷部13内へマスク27を引き出すことができる。
【0058】
マスク27の引き出し動作および収納動作は、カメラ移動機構49と、印刷ヘッド37と、により実行される。カメラ移動機構49は、マガジン25内から印刷部13内の印刷位置の途中までマスク27を引き出す。印刷ヘッド37は、印刷部13内の途中まで引き出された状態のマスク27を、印刷処理が行われる印刷位置まで搬送する。
【0059】
吸着部63は、例えば印刷装置11に設けられる空気圧回路(不図示)に配管接続される。空気圧回路は、空圧発生源が接続される。空圧発生源は、真空ポンプと、エア供給源とを含む。吸着部63は、真空バルブを介して空圧発生源とブローバルブに接続される。真空バルブは、後述する制御部159Aにより入力ポートと出力ポートとを切り替えることにより、吸着部63の真空圧とブロー圧とを切り替え可能にする。
【0060】
マスクチェンジャ15およびカメラ移動機構49は、マガジン25に収納されたマスク27をマガジン25から引き出して印刷位置まで搬送する。
【0061】
ここで、図13を参照して、テンション計測装置183について説明する。図13は、テンション計測装置183の一例を説明する図である。アーム部139およびテンション計測装置保持部141の斜視図である。テンション計測装置183は、アーム部139に設けられたテンション計測装置保持部141により保持される。アーム部139は印刷ヘッド37に設けられおり、テンション計測装置183は印刷ヘッド37と一体的に駆動される。
【0062】
テンション計測装置183は、マスク27のテンションを計測する。テンション計測装置183は、印刷ヘッド37におけるアーム部139と、テンション計測装置保持部141とが連結され、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向のそれぞれに印刷ヘッド37と一体的に移動される。テンション計測装置183は、マスク27の入れ替え時、あるいは基板KBが所定枚数印刷されるごとにマスク27のテンションの計測を実行し、計測結果をテンション計測制御部178に出力する。
【0063】
具体的に、テンション計測装置183は、テンションを計測可能な測定子187がテンション計測装置保持部141に形成された開口185を通じてステンシルSUSの上面に載置可能な構成を有する。テンション計測装置183は、テンション計測制御部178によりステンシルSUSの上面に載置されると、開口185を通じて測定子187がステンシルSUSの上面に載置され、テンションを計測する。
【0064】
テンション計測装置183は、筐体191と、テンション計測装置保持部141と、テンションゲージ193と、を含んで構成される。テンション計測装置保持部141は、アーム部139に連結され、マスク27に対向し、略矩形状に形成された設置面を有する。テンション計測装置保持部141は、筐体191およびテンションゲージ193を支持し、設置面の略中央位置に形成された開口185に測定子187を収容する。
【0065】
筐体191は、円筒状に形成され、測定子187、スピンドル軸189、および計測用荷重195のそれぞれを収容する。測定子187は、ステンシルSUSの上面に載置されると、計測用荷重195が印加される。マスク27のテンションを計測する。スピンドル軸189は、測定子187と接続部190との間でそれぞれ固定的に接続されて、テンションの計測時に、計測用荷重195が印加された測定子187と一体的にZ軸方向に昇降される。接続部190は、スピンドル軸189およびテンションゲージ193との間でそれぞれ接続される。接続部190は、-Z方向に印加された計測用荷重195と、マスク27から受けるZ方向の反作用とに基づいて、テンションゲージ193を引っ張る張力あるいは接続部190の高さ位置が変化する。
【0066】
テンションゲージ193は、接続部190との間で接続され、接続部190により伝達される-Z方向への張力、または接続部190の-Z方向への降下量に基づいて、マスク27のテンションを計測する。テンションゲージ193は、テンション計測制御部178との間で電気的に接続され、テンション計測制御部178に計測結果を出力する。
【0067】
次に、図14を参照して、実施の形態1に係る印刷装置11の制御系統について説明する。図14は、実施の形態1に係る印刷装置11の制御系統を示すブロック図である。
【0068】
印刷装置11における制御部159Aは、所謂プロセッサであり、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成されて、メモリ159Bと協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、制御部159Aは、メモリ159Bに保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。なお、ここでいう各部は、基板搬送保持制御部165、マスク搬送設置制御部167、印刷動作制御部169、撮像制御部171、吸着制御部173、スクレイパ制御部174、昇降機制御部175、粘度計制御部177、およびテンション計測制御部178等である。
【0069】
メモリ159Bは、例えば制御部159Aの各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、制御部159Aの動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、制御部159Aにより生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、制御部159Aの動作を規定するプログラムが書き込まれている。
【0070】
メモリ159Bは、テンション計測装置183により計測されたマスク27のテンションに基づいて、基板KBの版離れモードの判定するための第1閾値および第2閾値のそれぞれを記憶する。第1閾値は、計測されたマスク27のテンションが通常の版離れ制御を実行可能な値であるか否かを判定するための閾値である。第2閾値は、第1閾値よりも小さい値であって、計測されたマスク27のテンションがマスク吸着版離れモードを実行可能な値であるか否かを判定するための閾値である。なお、第1閾値および第2閾値のそれぞれは、マスク27の種類ごとに異なる値が設定されてよい。
【0071】
また、メモリ159Bは、印刷対象であるマスク27ごとの生産データと、マスクチェンジャ15のマガジン25内に収納されたマスクに関する情報とを記憶する。なお、生産データは、各マスクの大きさの情報と、各マスクの識別情報とを少なくとも含む。また、マスクに関する情報は、各マスクの識別情報、マガジン25内における収納位置の情報、半田印刷で使用済みであるか否かの情報等を含む。
【0072】
基板搬送保持制御部165は、基板搬送保持部21による基板KBの搬送制御(具体的には、搬入制御、搬出制御)、および保持制御を実行する。また、基板搬送保持制御部165は、基板KBの搬入時にカメラ51により撮像された基板KBの撮像画像に基づいて、マスク27に対する基板KBの位置合わせ制御を実行する。印刷動作制御部169から出力された半田印刷動作の完了報告を取得した場合、基板搬送保持制御部165は、現在設定されている版離れモードに基づいて、テーブル昇降機構67の複数の送りねじ69のそれぞれをモータ(不図示)で回転させて、基板搬送保持部21を-Z方向に下降し、版離れ動作を実行する。基板搬送保持制御部165は、版離れ動作が終了して版離れ状態となった基板KBを搬出する。なお、テーブル昇降機構67は、送りネジ69の代わりに基板KBをZ軸方向に昇降可能なシリンダを備えてもよい。
【0073】
マスク搬送設置制御部167は、印刷ヘッド37およびカメラ移動機構49のそれぞれを制御し、マスクチェンジャ15へのマスク27の引き出し制御および収納制御を行う。具体的に、マスク搬送設置制御部167は、移動ベース駆動モータ151による移動ベース59のY軸方向への移動制御と、YZアクチュエータ61による吸着部63のY軸方向およびZ軸方向への移動制御と、吸着部63による枠101の側面への吸着制御と、をそれぞれ実行する。マスク搬送設置制御部167は、所定の印刷位置にマスク27を搬送した後、シリンダ45,47のそれぞれを駆動させて、マスク27を保持する。
【0074】
印刷動作制御部169は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に印刷ヘッド37を駆動させて、印刷制御を行う。具体的に、印刷動作制御部169は、スキージベース駆動モータ131によるスキージベース119のY軸方向への移動制御と、スキージ昇降駆動部123によるスキージ121のZ軸方向の昇降制御と、をそれぞれ実行する。
【0075】
印刷動作制御部169は、粘度計制御部177から出力された半田コネ動作のパラメータに基づいて、2本のスキージ121のそれぞれを制御し、新たなマスク27のステンシルSUSの上面に移載された半田ペーストPstをこねて、所定の粘度(狙い値)になるように調整する。
【0076】
撮像制御部171は、所定の基板搬送位置で基板搬送保持部21によって保持された基板KBの下面と、印刷位置に搬送されたステンシルSUSの上面とを、カメラ51の制御を実行して撮像させる。具体的に、撮像制御部171は、移動ベース駆動モータ151による移動ベース59のY軸方向への移動制御と、移動ベース59に沿ったカメラ51のX軸方向への移動制御と、カメラ51が備える下方撮像カメラ155による基板KBの上面の撮像制御と、カメラ51が備える上方撮像カメラ157によるマスク27の下面の撮像制御と、をそれぞれ実行する。
【0077】
吸着制御部173は、マガジン25内に格納されたマスク27の引き出し動作時に、制御部159Aから送信されたマスク吸着を開始する旨の制御指令に基づいて、空気圧回路に設けられた真空バルブにポート切替信号を送信し、真空ポンプによりカメラ移動機構49が備える吸着部63内部を負圧にして、吸着部63に枠101(具体的には、枠101の前枠体103)の側面を吸着させる。また、吸着制御部173は、制御部159Aから送信されたマスク吸着を終了する旨の制御指令に基づいて、空気圧回路に設けられる真空バルブにポート切替信号を送り、真空バルブのポートをブローバルブに切り替えさせて、吸着部63の吸着状態を解除させる。
【0078】
また、吸着制御部173は、版離れモードがマスク吸着版離れモードに設定された場合、テンション計測制御部178から送信された制御指令に基づいて、空気圧回路に設けられた真空バルブにポート切替信号を送信し、真空ポンプにより基板搬送保持部21の吸着部20内部を負圧にして、吸着部20にマスク27のステンシルSUS(第1の領域の一例)の下面(具体的には、基板KBと接触する側の面)を吸着させる。また、吸着制御部173は、テーブル昇降機構67が所定高さ(例えば、5mm等)だけ下降された後、テンション計測制御部178から送信されたマスク吸着を終了する旨の制御指令に基づいて、空気圧回路に設けられる真空バルブにポート切替信号を送り、真空バルブのポートをブローバルブに切り替えさせて、吸着部20の吸着状態を解除させる。
【0079】
スクレイパ制御部174は、マスク搬送設置制御部167によりマスク27の入れ替えが開始される前に、スクレイパユニット39を駆動させ、現在設置されているステンシルSUSの上面から半田ペーストPstを回収する。また、スクレイパ制御部174は、マスク搬送設置制御部167によりマスク27の入れ替えが終了すると、新たに搬入されたステンシルSUSの上面に回収された半田ペーストPstを移載する。
【0080】
昇降機制御部175は、昇降機65における昇降体昇降モータ79の駆動制御を実行し、マスクチェンジャ15内のマガジン25の位置(高さ)を昇降させる。また、昇降機制御部175は、安全制御部179を含んで構成される。
【0081】
粘度計制御部177は、スクレイパ制御部174により新たに搬入されたステンシルSUSの上面への半田ペーストPstの移載が完了すると、印刷ヘッド37を昇降させて、XY平面上における半田ペーストPst位置で粘度計昇降シリンダ198を駆動させて、待機高さ位置から当接高さ位置まで粘度計197を下降させる。粘度計制御部177は、マスク27上に移載された半田ペーストPstに粘度計197の下端部を接触させ、接触された半田ペーストPstの粘度を測定させる。粘度計制御部177は、粘度計197から出力された半田ペーストPstの粘度の測定結果を取得する。粘度計制御部177は、取得された測定結果に基づいて、半田ペーストPstの現在の粘度を所定粘度にするための半田コネ動作のパラメータ(例えば、スキージ121の角度、印圧、コネ時間等)を決定する。粘度計制御部177は、決定された半田コネ動作のパラメータを印刷動作制御部169に出力する。粘度計制御部177は、印刷動作制御部169による半田コネ動作が終了すると、粘度計197により半田ペーストPstの粘度を再度測定させる。
【0082】
なお、粘度計制御部177は、事前にメモリ159Bに記録された複数の印刷条件のそれぞれのうちいずれかの印刷条件を決定してよい。ここでいう印刷条件は、スキージ121のそれぞれのマスク27に対する印刷角度、スキージ121の印刷速度(つまり、印刷時の移動速度)等である。
【0083】
テンション計測制御部178は、マスク搬送設置制御部167により新しいマスク27が搬入された場合、メモリ159Bに記憶されたマスク27の大きさに基づいて、印刷ヘッド37が備えるテンション計測装置183の測定子187がマスク27の中心位置Pt(図22参照)、かつ、載置高さ位置に位置するように印刷ヘッド37を移動させる。テンション計測装置183は、測定子187がマスク27上に載置されると、マスク27のテンションの計測を実行する。テンション計測制御部178は、テンション計測装置183により計測されたテンションを取得し、取得されたテンションに基づいて、版離れモードを決定する。テンション計測制御部178は、現在設定されている版離れモードを、決定された版離れモードに変更(設定)する。
【0084】
安全制御部179は、マスクチェンジャ15の内部空間SPに設けられた各制御、および昇降機65への電力供給制御と、を実行する。具体的に、安全制御部179は、第1の運用モードと第2の運用モードとを切り替えることで、上述した制御を実行する。
【0085】
ここでいう第1の運用モードは、作業者によりマガジン25の交換、マガジン25へのマスク27の供給作業が行われている間に実行される制御であって、昇降機65への動力用電力の供給を停止させる制御である。なお、第1の運用モードにおいて、安全制御部179は、タッチパネル31を通じて警報音を発生させて、作業者に注意を喚起してもよい。
【0086】
また、第2の運用モードは、マガジン25と印刷部13との間でマスク27の引き出し処理または収納処理が実行されている間に実行される制御であって、昇降機65への動力用電力の供給を行う制御である。
【0087】
制御部159Aは、半田ペーストPstの粘度が所定粘度になるまで、粘度計制御部177による半田ペーストPstの粘度の計測動作と、印刷動作制御部169による半田コネ動作とを繰り返し実行させる。
【0088】
次に、図15を参照して、版離れモードの設定手順および版離れ動作手順のそれぞれを説明する。図15は、実施の形態1に係る印刷装置11の版離れ動作手順例を説明するフローチャートである。なお、図15に示す動作手順におけるステップSt11~ステップSt16の処理は、版離れモードを設定するための版離れモードの設定処理である。また、図15に示す動作手順におけるステップSt17~ステップSt22の処理は、設定された版離れモードに基づいて、印刷済みの基板KBの版離れを実行するための版離れ動作処理である。
【0089】
印刷部13は、生産対象である基板KBの種類が変更されるタイミングで、図15に示す動作手順を実行する。なお、図15に示す動作手順のうちステップSt12~ステップSt16のそれぞれの処理は、印刷部13が基板KBの印刷枚数が事前に設定された所定枚数以上であると判定したタイミングで実行されてもよいし、印刷装置11の電源がONとなったタイミングに実行されてもよい。
【0090】
マスク搬送設置制御部167は、メモリ159Bに記憶された生産データに基づいて、基板KBの種類の変更があると判定した場合、スクレイパ制御部174にステンシルSUSの上面に載置された半田ペーストPstの回収を実行させる。マスク搬送設置制御部167は、スクレイパ制御部174から出力された半田ペーストPstの回収処理の終了通知に基づいて、現在、印刷に使用されているマスク27を、新たな生産対象である基板KBに対応するマスク27に入れ替えるマスク入れ替え動作(具体的には、マスク27の収納動作および引き出し動作)を実行する(St11)。ここで、マスク27の収納動作または引き出し動作に関連する印刷ヘッド37の各機構について説明する。
【0091】
印刷ヘッド37は、制御部159Aにおけるマスク搬送設置制御部167(図14参照)により制御されて、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向にそれぞれ駆動される。ロッド115は、シリンダ110に連結されて、シリンダ110と一体となってY軸に沿う方向に駆動される。ロッド115は、Z軸方向に昇降されて吸着部63によってマスクチェンジャ15内のマガジン25から引き出されたマスク27の枠101の側面に当接し、Y軸に沿う方向に駆動されて、マスク27をY軸に沿う方向に搬送する。
【0092】
シリンダ110は、基板KBに半田ペーストPstを印刷する印刷ヘッド37に設けられ、印刷ヘッド37と一体となって駆動される。印刷ヘッド37は、X軸に沿う方向に延在するスキージベース119を有する。マスク搬送設置制御部167は、スキージベース駆動モータ131を駆動させ、スキージベース119と一体的に構成されたシリンダ110のロッド115がY軸に沿う方向に移動される。つまり、マスク搬送設置制御部167は、ロッド115を枠101に当接させた状態でY軸に沿う方向に移動させることで、マスクガイド33に沿ってマスク27を印刷位置まで搬送することができる。
【0093】
印刷ヘッド37は、スキージ昇降駆動部123に設けられた2つのZ軸モータ163のそれぞれにより、スキージベース119の下方に2つのスキージ121のそれぞれを個別に昇降させる。これにより、スキージ121は、マスク27より上方の退避位置への移動が可能となる。つまり、スキージ121は、退避位置に移動する際に、マスク27の枠101に対する干渉が回避可能となる。
【0094】
吸着部63は、基板KBの上面およびマスク27の下面を撮像するカメラ51を備えたカメラ移動機構49に設けられる。カメラ移動機構49は、X軸に沿う方向に延在する移動ベース59を有する。カメラ移動機構49は、移動ベース59に対して、移動ベース59の延在方向(X軸に沿う方向)に移動自在に設けられる。この移動ベース59には、移動ベースナット149が固定される。移動ベースナット149は、Y軸に沿う方向に延在する移動ベース移動ボール螺子147と螺合される。移動ベース移動ボール螺子147は、移動ベース駆動モータ151により駆動される。移動ベース駆動モータ151が駆動され、移動ベース移動ボール螺子147を介して移動ベースナット149が移動することにより、移動ベース59に設けられた吸着部63は、カメラ51とともにY軸に沿う方向に移動される。これにより、吸着部63に枠101が吸着されたマスク27は、マスクガイド33によりY軸に沿う方向に搬送される。
【0095】
また、制御部159Aにおけるマスク搬送設置制御部167(図14参照)は、マスク27の枠101の側面にロッド115が当接した状態で、スキージベース駆動モータ131を駆動することにより、マスク27を印刷位置に搬送したり、印刷位置にあるマスク27をマスクチェンジャ15側に向かって搬送したりすることができる。
【0096】
また、制御部159Aにおけるマスク搬送設置制御部167(図14参照)は、枠101の側面に吸着部63が当接した状態で、移動ベース駆動モータ151およびYZアクチュエータ61のそれぞれを駆動することにより、マスク通過開口71を通じてマガジン25からマスク27を引き出したり、ロッド115により印刷位置よりも後方に搬送されたマスク27を、マスク通過開口71を通じてマガジン25に収納したりする。
【0097】
(マスクの収納動作)
次に、図16および図17のそれぞれを参照して、印刷位置に位置するマスク27をマガジン25に収納する収納動作について詳細に説明する。図16は、印刷装置11の収納動作例を説明する図である。図17は、印刷装置11の収納動作例を説明する図である。なお、図15に示す動作手順例では、半田ペーストPstの粘度調整に関する動作手順を省略している。
【0098】
マスクチェンジャ15のマガジン25内にマスク27を収納する場合、印刷装置11におけるマスク搬送設置制御部167は、シリンダ110によってロッド115を下降させて、シリンダ110のロッド115を後枠体105の前側面に当接させる(St11-1)。なお、マスク搬送設置制御部167は、ロッド115の位置が後枠体105の前方に位置するまで移動させ、ロッド115を下降させた後に、印刷ヘッド37をY軸に沿った方向、かつ、マスクチェンジャ15に接近する方向に移動させて、後枠体105の前側面にロッド115を当接させてよい。なお、この時、カメラ移動機構49は、退避位置で待機している。
【0099】
マスク搬送設置制御部167は、図16のステップSt11-2に示すように、後枠体105の前側面にロッド115を当接させた状態で、スキージベース119がY軸に沿う方向、かつ、マスクチェンジャ15に接近する方向に印刷ヘッド37を移動させる。マスク搬送設置制御部167は、ロッド115が当接したマスク27を、スキージベース119の移動限界まで移動させる(St11-2)。
【0100】
マスク搬送設置制御部167は、スキージベース119の移動限界までマスク27を搬送した後、図17のステップSt11-3に示すように、シリンダ110によってロッド115を上昇させ、Y軸に沿う方向、かつ、マスクチェンジャ15から離間する方向へ印刷ヘッド37を移動(退避)させる。
【0101】
マスク搬送設置制御部167は、マスク搬送設置制御部167による印刷ヘッド37の退避が行われた後、カメラ移動機構49を退避位置から移動させる。マスク搬送設置制御部167は、吸着部63が前枠体103の側面(前面)に当接する位置までカメラ移動機構49を移動させる(St11-3)。
【0102】
マスク搬送設置制御部167は、カメラ移動機構49をY軸に沿う方向、かつ、マスクチェンジャ15に接近する方向に移動させて、吸着部63に当接されたマスク27を、マスク通過開口71を通じてマガジン25内の所定の格納位置まで移動させる(St11-4)。なお、この時、吸着部63は、枠101を吸着せずにマスク27を収納してもよいし、吸着した状態でマスク27を収納してもよい。
【0103】
(マスクの引き出し動作)
図18および図19を参照して、実施の形態1に係る印刷装置11のマスク27の引き出し動作手順について説明する。図18は、実施の形態1に係る印刷装置11のマスク27の引き出し動作手順例を説明する図である。図19は、実施の形態1に係る印刷装置11のマスク27の引き出し動作手順例を説明する図である。
【0104】
マスクチェンジャ15からマスク27を引き出す場合、印刷装置11におけるマスク搬送設置制御部167は、Y軸に沿う方向、かつ、マスクチェンジャ15に接近する方向にカメラ移動機構49を移動する。カメラ移動機構49は、吸着部63がマスク通過開口71の直前の位置で停止する。YZアクチュエータ61は、マスク搬送設置制御部167により制御されて、マスク通過開口71からマスク27を引き出し可能な位置(高さ)まで吸着部63の位置(高さ)をZ軸に沿う方向に上昇させ、マガジン25内に格納されたマスク27の枠101に当接する位置まで吸着部63の位置をY軸に沿う方向に移動させる。吸着制御部173は、図18のステップSt11-5に示すように、吸着部63が引き出したいマスク27における枠101の側面に当接すると、真空バルブを駆動させて、吸着部63による枠101の側面の吸着を実行させる(St11-5)。
【0105】
マスク搬送設置制御部167は、Y軸に沿う方向、かつ、マスクチェンジャ15から離間する方向にカメラ移動機構49を移動させて、吸着部63により吸着された状態のマスク27を牽引する(St11-6)。マスク搬送設置制御部167は、図18のステップSt11-6に示すように、吸着部63が吸着したマスク27を、移動ベース59の移動限界まで牽引する。マスク搬送設置制御部167は、移動限界までの牽引制御を実行した後、マスク27および印刷ヘッド37と、カメラ移動機構49との間の干渉(衝突)を回避させるために、カメラ移動機構49を退避させる。具体的に、マスク搬送設置制御部167は、YZアクチュエータ61を駆動させ、吸着部63の位置(高さ)をZ軸方向に下降させて印刷位置へのマスク27の搬送軌跡上からカメラ移動機構49を退避させる。なお、退避方法は、これに限定されなくてよい。マスク搬送設置制御部167は、例えば、カメラ移動機構49そのものをZ軸方向に下降させることで、印刷位置へのマスク27の搬送軌跡上からカメラ移動機構49を退避させてもよい。
【0106】
マスク搬送設置制御部167によるカメラ移動機構49の退避が行われた後、マスク搬送設置制御部167は、スキージベース119を移動させて、Y軸に沿う方向、かつ、マスクチェンジャ15に接近する方向へ印刷ヘッド37を移動させる。マスク搬送設置制御部167は、シリンダ110のロッド115の位置がマスク27の枠101(具体的には、後枠体105)の後方に位置するまで移動させた後、シリンダ110によってロッド115を下降させて、後枠体105の後側面にロッド115を当接させる(つまり、後枠体105の後側面にロッド115を引っ掛ける)(St11-7)。なお、マスク搬送設置制御部167は、ロッド115の位置が後枠体105の後方に位置するまで移動させ、印刷ヘッド37を下降させた後に、印刷ヘッド37をY軸に沿った方向、かつ、マスクチェンジャ15から離間する方向に移動させて、後枠体105の後側面にロッド115を当接させてよい。
【0107】
マスク搬送設置制御部167は、ロッド115が後枠体105の後側面に当接した状態で、Y軸に沿う方向、かつ、マスクチェンジャ15から離間する方向へ印刷ヘッド37を移動させて、印刷位置までマスク27を搬送させる(St11-8)。マスク搬送設置制御部167は、印刷位置までマスク27を移動させた後、印刷ヘッド37を上昇させて、後枠体105からロッド115を離間させることで、マスク27の引き出し動作を終了する。
【0108】
マスク搬送設置制御部167は、マスク27の引き出し動作を終了した後、印刷ヘッド37を駆動させ、2つのシリンダ45のそれぞれと、4つのシリンダ47のそれぞれとで、マスク保持部35の四隅である枠101(図8参照)を下方に押圧する。マスク搬送設置制御部167は、マスク27の入れ替え動作が完了した旨の制御指令を生成し、生成された制御指令をテンション計測制御部178に出力する。
【0109】
テンション計測制御部178は、マスク搬送設置制御部167から出力された制御指令に基づいて、新たなマスク27のテンションの計測を開始する。テンション計測制御部178は、印刷ヘッド37を駆動させて、テンション計測制御部178の測定子187をステンシルSUSの上面に載置して、マスク27のテンションの計測を実行する。テンション計測制御部178は、開口185を通じて測定子187がステンシルSUSの上面に載置され、テンションを計測する(St12)。
【0110】
ここで、図20および図21のそれぞれを参照して、マスク27のテンション計測について説明する。図20は、マスク27のテンション計測装置183の一例を説明する図である。図21は、テンション計測装置183の一例を説明する図である。なお、図20では説明を分かり易くするために、アーム部139の図示を省略するとともに、テンション計測装置保持部141を部分的に図示している。
【0111】
マスク27は、第1の領域の一例としてのステンシルSUSと枠101との間がポリエステル製布等の接続部材100により接続される。第2の領域の一例としての接続部材100は、所定のテンションを有した状態でステンシルSUSと枠101との間を接続するように張り付けられ、ステンシルSUSと枠101との相対位置を位置決めする。
【0112】
テンション計測装置183は、テンション計測制御部178により、ステンシルSUSの上面に載置されて、マスク27のテンションを計測する。具体的に、テンション計測装置183は、測定子187がステンシルSUSの中心位置Ptに載置されると、測定子187に-Z方向に計測用荷重195を印加する。なお、中心位置Ptは、枠101の四隅の対角線のそれぞれの交点である。テンション計測装置183は、-Z方向に印加された計測用荷重195と、マスク27から受けるZ方向の反作用とに基づく接続部190の高さ位置あるいは接続部190の張力に基づいて、テンションを計測する。テンション計測装置183は、計測結果をテンション計測制御部178に出力する。
【0113】
テンション計測制御部178は、メモリ159Bに記憶された第1の閾値および第2の閾値のそれぞれに基づいて、計測されたマスク27のテンションが通常の版離れモードを実行するのに十分なテンションであるか否かを判定する(St13)。
【0114】
テンション計測制御部178は、ステップSt13の処理において、計測されたマスク27のテンションが第1の閾値以上であると判定した場合、通常の版離れモードを実行するのに十分なテンションであると判定し(St13,YES)、版離れモードを通常モードに設定する(St14)。
【0115】
また、テンション計測制御部178は、ステップSt13の処理において、計測されたマスク27のテンションが第1の閾値未満、かつ、第2の閾値以上であると判定した場合、通常の版離れモードを実行するのに十分なテンションでないと判定し(St13,Warning)、版離れモードをマスク吸着版離れモードに設定する(St15)。
【0116】
また、テンション計測制御部178は、ステップSt13の処理において、計測されたマスク27のテンションが第2の閾値未満であると判定した場合、版離れ動作の実行に必要なテンションでないと判定し(St13,NO)、テンションが不足している旨の警告を生成してタッチパネル31に出力し、印刷装置11(つまり、設備)の動作を停止する(St16)。
【0117】
ここで、図22を参照して、ステップSt17~ステップSt18の処理で実行される通常モードにおける版離れ動作について説明する。図22は、版離れモード(通常モード)を説明する図である。
【0118】
印刷動作制御部169は、半田ペーストPstが載置されたステンシルSUSの上面でスキージ121を摺動させて、ステンシルSUSの第1の領域AR1(図23参照)に形成された電極パターンを通じて基板KBへ半田ペーストPstを印刷する(St17)。印刷動作制御部169は、現在設定されている通常モードに基づいて、テーブル昇降機構67を下降させて、マスク27(具体的には、ステンシルSUS)の下面から基板KBを離間させる版離れ動作を実行する(St18)。
【0119】
ここで、図23を参照して、ステップSt19~ステップSt22の処理で実行されるマスク吸着版離れモードにおける版離れ動作について説明する。図23は、版離れモード(マスク吸着版離れモード)を説明する図である。
【0120】
また、印刷動作制御部169は、ステップSt15の処理の後、基板搬送保持部21が備える吸着部20によりステンシルSUSの下面の第2の領域AR2を真空吸引する(St19)。印刷動作制御部169は、吸着部20によるステンシルSUSの真空吸引を維持したまま、半田ペーストPstが載置されたステンシルSUSの上面でスキージ121を摺動させて、ステンシルSUSに形成された電極パターンを通じて基板KBへ半田ペーストPstを印刷する(St20)。これにより、実施の形態1に係る印刷装置11は、マスク27のテンションが十分でない場合であっても、スキージ121がステンシルSUSの上面を摺動する印刷動作に伴ってマスク27(具体的には、ステンシルSUS)の位置が変化する位置ずれをより効果的に抑制できる。
【0121】
印刷動作制御部169は、半田ペーストPstの印刷が終了した後、基板搬送保持部21によるステンシルSUSの下面の第2の領域AR2の真空吸引を維持したまま、指定量H1(例えば、2mm、5mm等)だけテーブル昇降機構67を下降させる(St21)。なお、指定量H1は、マスク27のテンションに基づいて、決定あるいは算出されてよい。例えば、印刷動作制御部169は、マスク27のテンションが第1の閾値未満、かつ、第2の閾値以上であると判定した場合、指定量H1を決定するための判定処理をさらに実行することにより、計測されたテンションにより適した指定量H1を決定あるいは算出してよい。
【0122】
印刷動作制御部169は、指定量H1だけテーブル昇降機構67を下降させた後に、吸着制御部173によるステンシルSUSの下面の第2の領域AR2の真空吸引をOFFさせて、テーブル昇降機構67を下降させてステンシルSUSの下面(具体的には、第1の領域AR1)から基板KBを離間させる版離れ動作を実行する(St22)。
【0123】
以上により、実施の形態1に係る印刷装置11は、マスク27のテンションが十分でない場合であっても、基板搬送保持部21による真空吸引によりステンシルSUSの下面(第1の領域AR1)と基板KBの上面とが接触した状態を維持したまま、テーブル昇降機構67を指定量H1だけ下降させる。これにより、印刷装置11は、接続部材100の張力を高めることができ、テンションが十分高い場合のステンシルSUSの下面と基板KBの上面との接触状態を再現することができる。
【0124】
また、印刷装置11は、テンションが十分高い場合のステンシルSUSの下面と基板KBの上面との接触状態を再現した状態から、基板搬送保持部21による真空吸引をOFFにして、テーブル昇降機構67を下降させることで、通常モードにおける版離れ動作を再現できる。したがって、印刷装置11は、テンションが十分でない場合であっても、ステンシルSUSの下面から基板KBの上面を均一に離間(版離れ)させることができるため、基板KBの上面に印刷された半田ペーストの形状変化を抑制して印刷品質の劣化を抑制できる。
【0125】
図24を参照して、通常モードにおけるテーブル昇降機構67の下降制御と、マスク吸着版離れモードにおけるテーブル昇降機構67の下降制御とをそれぞれ説明する。図24は、版離れモードごとのテーブル昇降機構67の制御例を比較する図である。
【0126】
速度グラフCON1は、版離れモードが通常モードに設定された時のテーブル昇降機構67(つまり、基板KB)の下降速度を示すグラフである。印刷動作制御部169は、版離れモードが通常モードに設定されている場合、速度グラフCON1に示すテーブル昇降機構67の下降制御を実行する。具体的に、通常モードにおける印刷動作制御部169は、基板搬送保持部21による基板KBの真空吸引をOFFにした状態でテーブル昇降機構67を下降させて、ステンシルSUSの下面と基板KBの上面とを離間させる。
【0127】
速度グラフCON2は、版離れモードがマスク吸着版離れモードに設定された時のテーブル昇降機構67(つまり、基板KB)の下降速度を示すグラフである。印刷動作制御部169は、版離れモードがマスク吸着版離れモードに設定されている場合、速度グラフCON2に示すテーブル昇降機構67の下降制御を実行する。
【0128】
具体的に、通常モードにおける印刷動作制御部169は、基板搬送保持部21による基板KBの真空吸引をONにした状態でテーブル昇降機構67を指定量H1だけ下降させた後、テーブル昇降機構67の下降制御を停止して、基板KBの真空吸引をOFF状態にする。印刷動作制御部169は、基板KBの真空吸引をOFF状態にした後、テーブル昇降機構67の下降制御を再開してステンシルSUSの下面と基板KBの上面とを離間させる。
【0129】
以上により、実施の形態1における印刷部13は、テンションの計測結果に基づいて、版離れモードを変更することにより、ステンシルSUSの下面から基板KBの上面を均一に離間させることができる。
【0130】
以上により、実施の形態1に係る印刷装置11は、所定のパターン開口99(印刷パターンの一例)が設けられ、基板KBと接触可能な第1の領域AR1と、第1の領域AR1の両側に位置する第2の領域AR2とを有するマスク27を用いて、基板KBに半田ペーストPstを印刷する。印刷装置11は、基板KBを保持し、保持された基板KBを昇降させる基板搬送保持部21(保持部の一例)と、マスク27のテンションを計測するテンション計測装置183(計測部の一例)と、マスク27の第2の領域AR2を吸引可能な吸着部20(吸引部の一例)と、テンション計測装置183により計測されたマスク27のテンションに基づいて、基板搬送保持部21により実行される基板KBとマスク27との版離れにおいて吸着部20による第2の領域AR2の吸引の要否を判定する制御部159Aと、を備える。制御部159Aは、ステンシルSUSの下面の吸引が必要であると判定した場合、吸着部20にステンシルSUSの下面を吸引させる。
【0131】
これにより、実施の形態1に係る印刷装置11は、マスク27のテンションにより適した版離れ動作を実行できる。したがって、印刷装置11は、新たなマスク27のテンションにより適したマスク版離れモードを実行することで、マスク27の下面(第1の領域AR1)と基板KBの上面とを均一に版離れさせることができ、テンションに起因する印刷品質の劣化を抑制することができる。
【0132】
また、以上により、実施の形態1に係る印刷装置11における制御部159Aは、第2の領域AR2の吸引が必要であると判定した場合、吸着部20により第2の領域AR2を吸引したまま基板搬送保持部21を所定高さ(例えば、5mm等)だけ下降させた後、吸着部20による第2の領域AR2の吸引を停止するとともに、基板搬送保持部21を下降させて版離れを行う。これにより、実施の形態1に係る印刷装置11は、マスク27のテンションにより適した版離れ動作を実行できる。したがって、印刷装置11は、テンションが低いマスク27であっても、吸着部20によるステンシルSUSの下面の第2の領域AR2を吸引させるマスク吸着版離れモードを実行することで、マスク27の下面(第1の領域AR1)と基板KBの上面とを均一に版離れさせることができ、テンションに起因する印刷品質の劣化を抑制することができる。
【0133】
また、以上により、実施の形態1に係る印刷装置11における制御部159Aは、計測されたマスク27のテンションに基づいて、マスク27のテンションが第1の閾値以上であると判定した場合、吸着部20による第2の領域AR2の吸引を省略する。これにより、実施の形態1に係る印刷装置11は、マスク27のテンションが版離れ動作において十分なテンションであると判定した場合、版離れモードを通常モードに設定して版離れ動作を実行する。
【0134】
また、以上により、実施の形態1に係る印刷装置11における制御部159Aは、マスク27のテンションに基づいて、マスク27のテンションが第1の閾値未満、かつ、第1の閾値よりも小さい第2の閾値以上であると判定した場合、吸着部20による第2の領域AR2の吸引を実行させる。これにより、実施の形態1に係る印刷装置11は、マスク27のテンションが版離れ動作においてテンションでないと判定した場合、版離れモードをマスク吸着版離れモードに設定して版離れ動作を実行する。
【0135】
また、以上により、実施の形態1に係る印刷装置11における制御部159Aは、マスク27のテンションが第2の閾値未満であると判定した場合、版離れを中止し、警告情報を生成して出力する。これにより、実施の形態1に係る印刷装置11は、マスク27のテンションが版離れ動作において必要なテンションでないと判定した場合、版離れモードをマスク吸着版離れモードに設定して版離れ動作を実行する。
【0136】
また、以上により、実施の形態1に係る印刷装置11における基板搬送保持部21は、基板KBの両側面に当接して基板KBを保持する一対のクランパ87(当接部の一例)を有する。吸着部20は、基板搬送保持部21に設けられる。これにより、実施の形態1に係る印刷装置11は、基板KBの両側面に当接して基板KBを保持することにより、半田ペーストPstの印刷において、基板KBの位置ずれを抑制することができる。
【0137】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1に係る印刷装置11は、マスク27の入れ替え等の所定のタイミングでマスク27のテンションを計測し、計測されたテンションに基づいて、版離れモードを決定する例を示した。実施の形態2に係る印刷装置11は、テンションの計測および版離れモードの決定だけでなく、半田ペーストPstの回収および移載、基板KBを支持するサポートピン219の配置変更、半田ペーストPstの粘度計測および粘度調整等の各処理を自動で実行する例について説明する。なお、実施の形態2に係る印刷装置11の構成は、実施の形態1に係る印刷装置11と略同様の構成を有するため、同様の構成に同一の符号を付与して説明を省略する。
【0138】
次に、図25を参照して、実施の形態2に係る印刷装置11の動作手順について説明する。図25は、実施の形態2に係る印刷装置のマスク機種変更時の動作手順例を説明する図である。
【0139】
印刷装置11における制御部159Aは、生産データに基づいて、「機種A」の基板KBの生産(印刷)が終了したと判定した場合、マスク27の入れ替え動作を開始する。制御部159Aは、メモリ159Bに記憶され、次に生産される「機種B」基板KBの生産データを読み込む(St31)。
【0140】
スクレイパ制御部174は、スクレイパ137を制御し、「機種A」の基板KBに対応するマスク27(つまり、現在使用されているマスク27)の上面の半田ペーストPstを回収する(St32)。
【0141】
マスク搬送設置制御部167および撮像制御部171は、それぞれ印刷ヘッド37とカメラ移動機構49とを駆動させて、「機種A」の基板KBに対応するマスク27をマスクチェンジャ15のマガジン25内に収納する(St33)。
【0142】
制御部159Aは、メモリ159Bに記憶された「機種B」の基板KBの生産データに基づいて、基板KBのサポートピン219の配置を変更して、再配置する(St34)。
【0143】
マスク搬送設置制御部167および撮像制御部171は、それぞれ印刷ヘッド37とカメラ移動機構49とを駆動させて、マスクチェンジャ15のマガジン25内から「機種B」の基板KBに対応するマスク27を引き出し、印刷位置まで搬入する(St35)。
【0144】
テンション計測制御部178は、印刷ヘッド37を駆動させ、印刷位置に位置する「機種B」の基板KBに対応するステンシルSUSの上面における略中央にテンション計測装置183の測定子187を載置し、マスク27のテンションを計測する(St36)。
【0145】
テンション計測制御部178は、計測されたマスク27のテンションに基づいて、「機種B」に対応するマスク27の版離れモードを決定し、設定する(St37)。
【0146】
基板搬送保持制御部165は、基板KBを保持する一対のクランパ87の間の距離を、「機種B」の基板KBに対応する幅に変更(調整)する(St38)。
【0147】
スクレイパ制御部174は、スクレイパ137を制御し、回収された半田ペーストPstを、「機種B」の基板KBに対応するステンシルSUSの上面に移載する(St39)。
【0148】
粘度計制御部177は、印刷ヘッド37を駆動させ、粘度計197を用いて、ステンシルSUSの上面に移載された半田ペーストPstの粘度を計測する(St40)。粘度計制御部177は、粘度計197により計測された粘度に基づいて、半田ペーストPstの粘度が事前に設定された狙い値(つまり、所定粘度)にするための半田コネ動作を決定し、印刷動作制御部169に出力する。
【0149】
印刷動作制御部169は、粘度計制御部177から出力された制御指令に基づいて、印刷ヘッド37のスキージ121を駆動させ、半田ペーストPstに半田コネ動作を実行する(St41)。
【0150】
制御部159Aは、印刷部13が備える温調機(不図示)を制御し、印刷部13内の雰囲気の温度設定を変更する(St42)。制御部159Aは、生産データに基づいて、「機種B」の基板KBの生産(印刷)を開始する。
【0151】
以上により、実施の形態2に係る印刷装置11は、マスク27の入れ替え動作がある場合に、新たな基板KBに対応するマスク27に自動で入れ替えを行うとともに、版離れモードの設定、サポートピン219の配置変更、半田ペーストPstの粘度調整等を行うことにより、新たなマスク27を用いた基板KBの生産をより効率的に開始できる。
【0152】
以上により、実施の形態2に係る印刷装置11は、第1のパターン開口(第1の印刷パターンの一例)が設けられた第1のマスクを用いて第1の基板に半田ペーストPstを印刷し、第2のパターン開口(第2の印刷パターンの一例)が設けられた第2のマスクを用いて第2の基板に半田ペーストPstを印刷する。第1のマスクおよび第2のマスクは、基板KBと接触可能な第1の領域AR1と、第1の領域AR1の両側に位置する第2の領域AR2とを有する。印刷装置11は、第1の基板または第2の基板を保持する基板搬送保持部21(保持部の一例)と、第1のマスクおよび第2のマスクのテンションを計測する粘度計197(計測部の一例)と、第2の基板と接触する第2のマスクの第2の領域AR2を吸引可能な吸着部20と、第1のマスクから第2のマスクに交換された後、粘度計197により第2のマスクのテンションを計測させ、粘度計197により計測された第2のマスクのテンションに基づいて、基板搬送保持部21により実行される第2の基板と第2のマスクとの版離れにおいて吸着部20による第2の領域AR2の吸引の要否を判定する制御部159Aと、を備える。制御部159Aは、第2の領域AR2の吸引が必要であると判定した場合、吸着部20に第2の領域AR2を吸引させる。
【0153】
なお、ここでいう第1の基板は、例えば、図25の動作手順における「機種A」に対応する。第1のマスクは、例えば、図25の動作手順における「機種A」に対応するマスク27である。同様に、第2の基板は、例えば、図25の動作手順における「機種B」に対応する。第2のマスクは、例えば、図25の動作手順における「機種B」に対応するマスク27である。
【0154】
なお、ここでいう第1のパターン開口は、第1の基板の表面に形成された電極パターン(不図示)の配置に対応する配置で、ステンシルSUSに設けられた開口である。第2のパターン開口は、第2の基板の表面に形成された電極パターン(不図示)の配置に対応する配置で、ステンシルSUSに設けられた開口である。
【0155】
これにより、実施の形態2に係る印刷装置11は、マスク27の入れ替え動作がある場合に、新たなマスク27により適した版離れモードを設定できる。したがって、印刷装置11は、新たなマスク27のテンションにより適したマスク版離れモードを実行することで、マスク27の下面の第1の領域AR1と基板KBの上面とを均一に版離れさせることができ、テンションに起因する印刷品質の劣化を抑制することができる。
【0156】
また、以上により、実施の形態2に係る印刷装置11は、第1のマスクと第2のマスクとを交換する印刷ヘッド37およびカメラ移動機構49(マスク牽引部の一例)と、をさらに備える。印刷ヘッド37およびカメラ移動機構49は、第1のマスクが備える枠101に当接して、複数のマスク27のそれぞれを格納可能なマガジン25内へ第1のマスクを格納し、マガジン25に格納された第2のマスクが備える枠101の側面を吸着し、マガジン25から第2のマスクを引き出して半田ペーストPstの印刷位置まで牽引する。これにより、実施の形態2に係る印刷装置11は、第1のマスクと第2のマスクとを自動で入れ替え、入れ替え後の第2のマスクのテンションに基づいて、新たなマスク27により適した版離れモードを設定できる。
【0157】
また、以上により、実施の形態2に係る印刷装置11は、第1のマスクの上面から半田ペーストPstを回収し、第2のマスクの上面に半田ペーストPstを移載するスクレイパ137(移載部の一例)と、をさらに備える。制御部159Aは、第1のマスクと第2のマスクとの交換時に、スクレイパ137に第1のマスクの上面の半田ペーストPstを回収させ、印刷ヘッド37およびカメラ移動機構49により印刷位置に第2のマスクが牽引された後に、スクレイパ137により回収された半田ペーストPstを第2のマスクの上面に移載させる。これにより、実施の形態2に係る印刷装置11は、第1のマスクと第2のマスクとを自動で入れ替え、入れ替え後の第2のマスクのテンションに基づいて、新たなマスク27により適した版離れモードを設定できる。
【0158】
また、以上により、実施の形態2に係る印刷装置11は、半田ペーストPstの粘度を計測する粘度計197(粘度計測部の一例)と、第2のマスクの上面に移載された半田ペーストPstをこねるスキージ121と、さらに備える。制御部159Aは、半田ペーストPstが第2のマスクの上面に移載された後、粘度計197に半田ペーストPstの粘度を計測させ、計測された半田ペーストPstの粘度に基づいて、スキージ121に半田ペーストPstをこねさせる。これにより、実施の形態2に係る印刷装置11は、第1のマスクと第2のマスクとを自動で入れ替える間に、半田ペーストPstの粘度が変化した場合であっても、粘度計197により計測された粘度に基づいて、半田こねを実行できる。したがって、印刷装置11は、第2のマスクを用いた第2の基板の生産をより効率的に開始できる。
【0159】
また、以上により、実施の形態2に係る印刷装置11は、第1の基板の下面を支持する複数のサポートピン219と、複数のサポートピン219のそれぞれの位置を変更可能な吸着ヘッド233および吸着ノズル235(吸着部の一例)と、を備える。制御部159Aは、印刷ヘッド37およびカメラ移動機構49により第1のマスクがマガジン25内に格納された後、吸着ヘッド233および吸着ノズル235により複数のサポートピン219のそれぞれを吸着し、第2の基板の下面を支持可能な位置に搬送して設置する。これにより、実施の形態2に係る印刷装置11は、第1のマスクと第2のマスクとを自動で入れ替える間に、第2の基板に対応するように複数のサポートピン219のそれぞれの配置を変更できる。したがって、印刷装置11は、第2のマスクを用いた第2の基板の生産をより効率的に開始できる。
【0160】
また、以上により、実施の形態2に係る印刷装置11における基板搬送保持部21は、基板KBの両側面に当接して基板KBを保持する一対のクランパ87(当接部の一例)を有する。吸着部20は、基板搬送保持部21に設けられる。これにより、実施の形態2に係る印刷装置11は、基板KBの両側面に当接して基板KBを保持することにより、半田ペーストPstの印刷において、基板KBの位置ずれを抑制することができる。
【0161】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本開示は、マスクのテンションの変化により適した版離れ制御を実行し、半田ペーストの印刷品質の低下を抑制する印刷装置、印刷方法および半田基板製造方法として有用である。
【符号の説明】
【0163】
11 印刷装置
15 マスクチェンジャ
20 吸着部
21 基板搬送保持部
27 マスク
37 印刷ヘッド
49 カメラ移動機構
87 クランパ
99 パターン開口
100 接続部材
101 枠
131 スキージベース駆動モータ
115 ロッド
159A 制御部
183 テンション計測装置
197 粘度計
219 サポートピン
233 吸着ヘッド
235 吸着ノズル
KB 基板
SUS ステンシル
Pst 半田ペースト
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