(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150411
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G09F3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059512
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】林 琢也
(57)【要約】
【課題】缶の上部に安定して装着することができるラベルを提供する。
【解決手段】ラベル(1)は、タブ(2)が設けられた缶(6)の上面(61)に固定されるものであって、タブ(2)は、缶(6)を開封する際に引っ張られる引張部(3)と、缶(6)の上面(61)に固定される固定部(4)と、引張部(3)から缶(6)と離間した状態で延在し、引張部(3)と固定部(4)とを接続する接続部(5)とを有するものであり、缶(6)の上面(61)にラベル(1)が固定された状態において、上面(61)の外周縁(62)からタブ(2)に向かう方向に膨出する膨出部(7)を少なくとも備える切込み(L1)が形成されており、切込み(L1)により、接続部(5)の下側に挿入され、タブ(2)と上面(61)との間に係止される第1係止片(11)が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブが設けられた缶の上面に固定されるラベルであって、
前記タブは、
缶を開封する際に引っ張られる引張部と、
缶の上面に固定される固定部と、
前記引張部から前記缶と離間した状態で延在し、前記引張部と前記固定部とを接続する接続部とを有するものであり、
前記缶の上面に前記ラベルが固定された状態において、前記上面の外周縁からタブに向かう方向に膨出する膨出部を少なくとも備える切込みが形成されており、
前記切込みにより、前記接続部の下側に挿入され、前記タブと前記上面との間に係止される第1係止片が形成されていることを特徴とするラベル。
【請求項2】
前記引張部は、前記缶を開封する際に指を引っ掛ける引掛片を備え、
前記タブは、指を挿入する挿入孔が形成されたものであり、
前記第1係止片は、前記引張部において前記挿入孔を形成する周縁から前記引掛片を除く部位、または前記接続部の周縁から、前記接続部に挿入されるものであることを特徴とする、請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記膨出部は、前記固定部の少なくとも一部に沿わず、なおかつ前記固定部の全体を囲まないように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のラベル。
【請求項4】
前記缶の上面に前記ラベルが固定された状態において、前記接続部に対して前記第1係止片が存在する方向とは反対方向から、前記外周縁の外側に係止される第2係止片を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、缶の上部にラベルを設けて販促を行う場合がある。例えば特許文献1には、缶の上蓋より大きなサイズの板紙からなり、上蓋を覆う領域より外側で且つ対向する2箇所にそれぞれ折曲げ領域を形成するため2本の弓状の切込線が設けられ、その切込線の一部によって各折り曲げられる領域の中ほどに爪部分が区画されてなるラベルが開示されている。
【0003】
上記ラベルは、缶の上部に載置する時に各折曲げ領域を下方に折り曲げてそれぞれ内側向きの爪部分を出し、それらの爪部分を上蓋における縁の外側(リブ)に引っかけることにより、缶の上部に取り付けられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ラベルの爪部分をリブが浅い缶に引っかけて取り付けた場合、リブが浅いため、上記ラベルの爪部分が上記リブに十分に引っかからない。このため、缶の搬送時または店頭での缶の充填時などにおいて上記ラベルに外力が加わったときに、上記ラベルの爪部分が上記リブからすぐ取れることがあった。
【0006】
また、上記ラベルの爪部分をリブが深い缶に引っかけて取り付けた場合、缶の搬送時または店頭での缶の充填時などにおいて上記ラベルに外力が加わったときに、上記ラベルの爪部分が上記リブから取れることがあった。
【0007】
本発明の一態様は、缶の上部に安定して固定することができるラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るラベルは、タブが設けられた缶の上面に固定されるラベルであって、前記タブは、缶を開封する際に引っ張られる引張部と、缶の上面に固定される固定部と、前記引張部から前記缶と離間した状態で延在し、前記引張部と前記固定部とを接続する接続部とを有するものであり、前記缶の上面に前記ラベルが固定された状態において、前記上面の外周縁からタブに向かう方向に膨出する膨出部を少なくとも備える切込みが形成されており、前記切込みにより、前記接続部の下側に挿入され、前記タブと前記上面との間に係止される第1係止片が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、缶の上部に安定して固定することができるラベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係るラベルが缶の上面に固定されている状態を示す図である。
【
図2】
図1に示すタブが設けられた缶の上面図である。
【
図4】
図1に示す缶の変形例に係るタブの上面図である。
【
図7】
図1に示すラベルに形成されている第1係止片を示す図である。
【
図8】
図7に示す第1係止片の変形例を示す図である。
【
図9】
図7に示す第1係止片の変形例を示す図である。
【
図10】
図7に示す第1係止片の変形例を示す図である。
【
図11】
図7に示す第1係止片の変形例を示す図である。
【
図12】
図1に示すラベルを缶に固定する方法を説明する図である。
【
図13】本発明の実施形態2に係るラベルの展開図である。
【
図14】
図13に示すラベルが缶の上面に固定されている状態を示す図である。
【
図16】
図13に示す缶およびラベルの寸法の関係を説明する図である。
【
図17】
図13に示す缶の変形例およびラベルの変形例の寸法の関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1~12を参照して詳細に説明する。なお、
図1~12において、ある軸線に対して上下対称または左右対称になっている構成については、対称となっている構成のうち一方の構成のみに符号を付し、他方の構成に符号を付すことを省略する。
【0012】
<ラベルの主要構成>
図1は、実施形態1に係るラベル1が、タブ2が設けられた缶6の上面61に固定されている状態を示す図である。
【0013】
本実施形態では、缶6はアルミ製の飲料缶である。缶6の材質は特に限定されず、例えばスチール製のものであってもよい。缶6の種類は特に限定されず、飲料缶のようなパーシャルオープンエンドの缶蓋でもよく、例えば食品缶などのツナ缶のフルオープンエンドの缶蓋であってもよい。本実施形態では、タブ2は、ステイオンタブ式であるが、プルタブ式でもよい。
【0014】
図1に示すように、ラベル1には、切込みL1が形成されている。この切込みL1は、缶6の上面61にラベル1が固定された状態において、缶6の上面61の外周縁62からタブ2に向かう方向D1に膨出する膨出部7を少なくとも備えるものである。なお、
図1に示す方向D1は一例であり、缶6の上面の外周縁62からタブ2に向かう方向であればこれに限られない。
【0015】
さらに、ラベル1には、切込みL1により、タブ2と缶6の上面61との間に係止される第1係止片11が形成されている。本実施形態では、第1係止片11は、タブ2の長手方向一端側と缶6の上面61との間に係止される。ここで、本明細書においてタブ2の長手方向とは、タブ2の対称軸線上を通る方向をいう。タブ2の長手方向一端側とは、長手方向における接続部5側(
図2参照)をいう。なお、第1係止片11は複数形成されていてもよい。
【0016】
また、ラベル1には、缶6の上面61にラベル1が固定された状態において、接続部5に対して第1係止片11が存在する方向とは反対方向D2から、外周縁62の外側63に係止される第2係止片12を備えている。なお、ラベル1の詳細な構成、並びに、ラベル1および缶6の固定方法については後述する。
【0017】
<タブの構成>
図2は、
図1に示すタブ2が設けられた缶6の上面図である。
図2において缶6の上面61(
図1参照)は省略している。
図3は、
図2のA-A線矢視断面図である。
図2および
図3に示すように、タブ2は、引張部3と、固定部4と、接続部5とを有するものであり、指を挿入する挿入孔21が形成されたものである。挿入孔21は、上からみて楕円状である。
【0018】
引張部3は、缶6を開封する際に実際に指がかかって引っ張られる箇所を含む。すなわち、引張部3は、缶6を開封する際に指を引っ掛ける引掛片31およびその近傍の領域である。本実施形態では、引掛片31は、引張部3において、引張部3の周縁に垂直な方向の直線が固定部4の上部を通過する領域(
図2中、ハッチングして示す領域)である。
【0019】
固定部4は、缶6の上面61に固定される部位である。固定部4は、第1固定部分41と、第2固定部分42とを有する。第1固定部分41は、缶6の上面61に固定される部分である。第2固定部分42は、第1固定部分41のうち、第1固定部分41に対して引張部3が存在する側とは反対側から、缶6の上面61の外周縁62に向かって上向きに延出している部分である。また、第2固定部分42と缶6の上面61とは離間している。
【0020】
接続部5は、タブ2において、引張部3以外の箇所をいう。すなわち、接続部5は、缶6の上面61と離間した状態で引張部3から延在し、引張部3と第2固定部分42とを接続する。また、接続部5は、缶6の上面61に固定されている部分を含まない。さらに、接続部5には、孔51が形成されている。孔51は、上からみて第1固定部分41よりも大きい。
【0021】
図1に示す第1係止片11は、タブ2が設けられた缶6の上面61にラベル1を固定する際に、引張部3において挿入孔21を形成する周縁22から引掛片31を除く部位32から、接続部5の下側に挿入されるものである。
図1に示す第1係止片11は、タブ2が設けられた缶6の上面61にラベル1を固定する際に、接続部5の周縁52から、接続部5の下側に挿入されるものである。これにより、第1係止片11を接続部5に挿入する際に、缶6がタブ2により誤開封される可能性を低減できる。
【0022】
本実施形態では、
図1に示す第1係止片11が接続部5に挿入される部位が、引張部3において挿入孔21を形成する周縁22から引掛片31の近傍を除く部位とされている。これにより、第1係止片11を接続部5に挿入する際、第1係止片11が引掛片31に触れることはない。したがって、第1係止片11を接続部5に挿入する際に、缶6がタブ2により誤開封される可能性をより低減できる。
【0023】
<タブの変形例>
図4は、
図1に示す缶6の変形例に係るタブ2Aの上面図である。
図5は、
図2のB-B線矢視断面図である。タブ2Aは、タブ2と異なりプルタブ式である。
【0024】
図4および
図5に示すように、タブ2Aは、引張部3Aと、固定部4Aと、接続部5Aとを有するものである。引張部3Aは、引張部3の挿入孔21と比べて、より大きな楕円状の挿入孔21Aが形成されている。接続部5Aは、接続部5と異なり、上からみたときに固定部4A側に向かってタブ2Aの開閉方向と直交する方向における幅が狭くなるように構成されている。
【0025】
<ラベルの詳細構成>
図6は、
図1に示すラベル1の展開図である。ラベル1は、印刷済の板紙を打ち抜いて作製されるものである。
図6に示すように、ラベル1は、缶6の上面61(
図1参照)にラベル1が固定された状態において、缶6の上面61を覆いかつ外周縁62に略沿うように、略等間隔に4本の弓状の切込みL2、L3、L4、およびL5が形成されている。なお、缶の上面61を覆う領域を領域R1と称する。
【0026】
切込みL2、L3、L4、およびL5は、それぞれ折り曲げられる領域R2、R3、R4、およびR5を形成するためのものである。切込みL2、L3、L4、およびL5は、ラベル1が缶6の上面61に固定される前の状態において、それぞれ略中間の位置に、領域R2、R3、R4、およびR5から領域R1に向かう方向に湾曲する部分を備える。これにより、缶6の上面61にラベル1が固定された状態において、外周縁62の外側63に係止される第2係止片12、第3係止片13、第4係止片14、および第5係止片15が形成されている。
【0027】
なお、第2係止片12、第3係止片13、第4係止片14、および第5係止片15が外周縁62の外側63に係止される構成であれば、外周縁62の周方向に略等間隔に配置されていなくてもよい。
【0028】
ラベル1は、切込みL1を挟んで第1係止片11と対向する部位が、缶6の上面61を覆う保護片16として機能する。保護片16は、領域R1において膨出部7の両端を通る直線に対して第1係止片11側の部分を意味する。本実施形態では、缶6の上面61にラベル1が固定された状態において、保護片16の外周部分は、缶6の外周縁62に重なるか、または外周縁62よりも外側に位置している。これにより、保護片16においてラベル1の外側からゴミなどが缶6の上面61に進入する可能性を低減できるため、缶6の飲み口を保護することができる。
【0029】
<第1係止片の構成>
図7は、
図1に示すラベル1に形成されている第1係止片11を示す図である。
図7に示すように、切込みL1は、両端において円弧状の湾曲部8が形成されるとともに、中央部分に膨出部7を備える。また、本実施形態では、膨出部7は、円弧状に形成されている。これにより、缶6の上面61にラベル1を固定するときに、親指または人差し指で操作しやすくできる。
【0030】
<第1係止片の変形例>
図8~
図11は、
図7に示す第1係止片11の変形例を示す図である。なお、
図8(a)、
図8(b)、
図9(a)、
図9(b)、
図10(a)、
図10(b)、
図11(a)、および
図11(b)のそれぞれに示す第1係止片11A、11B、11C、11D、11E、11F、11G、および11Hを備えるラベルを、それぞれラベル1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、および1Hと称する。
【0031】
図8(a)に示すように、切込みLA1は、両端において第1直線部9が形成されるとともに、中央部分が三角形状に形成されている。これにより、膨出部7Aは、三角形状に形成されている。また、膨出部7Aは、缶6の上面61の外周縁62からタブ2に向かって縮小し、第1固定部分41において一点で接するように膨出している。
【0032】
図8(b)に示すように、切込みLB1は、両端において第5直線部92と、第5直線部92に垂直な第4直線部91と、が形成されるとともに、中央部分に膨出部7Bが形成されている。
【0033】
膨出部7Bは、互いに平行かつ同一長さの第2直線部71Bと、当該2つの第2直線部71Bの一端同士を直線的に接続する第3直線部72Bと、を有する。換言すれば、膨出部7Bは、矩形状である。
【0034】
膨出部7Bにおいては、第3直線部72Bを有するため、外部からの衝撃等によりラベル1Bが第3直線部72Bと平行な方向に移動した場合においても、第1係止片11Bが第1固定部分41に接している状態が維持される。したがって、タブ2と上面61との間に膨出部7Bが係止された状態を維持することができる。このため、ラベル1Bが缶6の上面61に固定されている状態を好適に維持することができる。
【0035】
図9(a)に示すように、切込みLC1は、両端において円弧状の湾曲部8が形成されるとともに、中央部分に膨出部7Cを備える。膨出部7Cは、膨出部7と異なり、第1固定部分41の近傍において、タブ2の長手方向に垂直な短手方向に沿う第3直線部71Cを備えている。換言すれば、膨出部7Cは、略台形状である。ラベル1Cは、膨出部7Cを備える切込みLC1が形成されていることにより、ラベル1Bと同様にラベル1Cが缶6の上面に固定されている状態を好適に維持することができる。
【0036】
図9(b)に示すように、切込みLD1は、両端において円弧状の湾曲部8が形成されるとともに、中央部分に膨出部7Dを備える。膨出部7Dは、膨出部7Cが備える第3直線部71Cに代えて、上からみてW字状の波型に形成された波型部71Dを備えている。このため、外部からの衝撃等によりラベル1Dがタブ2の短手方向と平行な方向に移動した場合においても、第1係止片11Dがタブ2と缶6の上面61との間に係止されている領域を増やすことができる。このため、ラベル1Dが缶6の上面61に固定されている状態を好適に維持することができる。
【0037】
なお、波型部71DにおいてW字状の波型に形成された線は、第1固定部分41よりもタブ2の長手方向一端側に位置している。このため、ラベル1Dがタブ2の短手方向と平行な方向に移動した場合においても第1固定部分41に引っかからず、ラベル1Dの取り外しの容易性を高めることができる。
【0038】
図10(a)に示すように、二つの切込みLE1は、両端において円弧状の湾曲部8が形成されるとともに、中央部分に円弧状の膨出部7Eを備える。換言すれば、ラベル1Eは、ラベル1と異なり、二つの第1係止片11Eを備える。一方の第1係止片11Eは、タブ2の短手方向一端側と缶6の上面61との間に係止される。ここで、本明細書においてタブ2の短手方向一端側とは、缶6の上面61にラベル1Eが固定された状態において、短手方向の領域R3側(
図6参照)をいう。
【0039】
他方の第1係止片11Eは、タブ2の短手方向他端側と缶6の上面61との間に係止される。ここで、本明細書においてタブ2の短手方向他端側とは、缶6の上面61にラベル1Eが固定された状態において、短手方向の領域R5側(
図6参照)をいう。これにより、外部からの衝撃等によりラベル1Eがタブ2の短手方向側に力が加えられた場合であっても、第1係止片11Eにより、タブ2と缶6の上面61との間に係止されている状態を好適に維持することができる。
【0040】
図10(b)に示すように、切込みLE1は、両端において円弧状の湾曲部8が形成されるとともに、中央部分に円弧状の膨出部7Eを備える。また、切込みLF1は、両端において円弧状の湾曲部8が形成されるとともに、中央部分に膨出部7Fを備える。膨出部7Fは、膨出部7Eと異なり、第1固定部分41の近傍において、タブ2の長手方向に沿う第3直線部71Fを備えている。換言すれば、ラベル1Fは、ラベル1Eと異なり、第1係止片11Eと、第1係止片11Fとを備える。
【0041】
第1係止片11Fは、タブ2の短手方向一端側と缶6の上面61との間に係止される。第1係止片11Eは、タブ2の短手方向他端側と缶6の上面61との間に係止される。
【0042】
これにより、ラベル1Fは、ラベル1Eが奏する効果に加えて、外部からの衝撃等によりラベル1Fがタブ2の長手方向側に力が加えられた場合であっても、第3直線部71Fに対応する第1係止片11Fが第1固定部分41に接する状態を維持できる。このため、タブ2と缶6の上面61との間に係止されている状態を好適に維持することができる。
【0043】
図11(a)に示すように、切込みLG1は、中央部分に円弧状の膨出部7Gが形成されている。そして、膨出部7Gと、膨出部7Gの両端と、を直線で結ぶ図形は、上からみて半円状である。
【0044】
切込みLG1は、膨出部7Gの両端から缶6の上面61の外周縁62からタブ2に向かって湾曲している湾曲部が形成されている。このため、ラベル1Hは、ラベル1と異なり、切込みLH1により孔17が形成されている。これにより、第1係止片11Gと、保護片16との間に距離が形成されるため、缶6の上面61にラベル1Gを固定するときに、親指または人差し指が保護片16に接触する可能性を低減でき、親指または人差し指で第1係止片11Gを操作しやすくできる。
【0045】
図11(b)に示すように、切込みLH1は、両端において第1直線部9が形成されるとともに、中央部分に膨出部7Hが形成されている。膨出部7Hは、互いに平行かつ同一長さの第2直線部71Hと、当該2つの第2直線部71Hの一端から第1固定部分41の少なくとも一部に沿わないように湾曲している湾曲部72Hと、を有する。換言すれば、膨出部7Hは、第1固定部分41の少なくとも一部に沿わず、なおかつ第1固定部分41の全体を囲まないように形成されている。このため、タブ2の短手方向側に力を加えた場合に、第2直線部71Hと湾曲部72Hとが接続している箇所が第1固定部分41に引っかかるため、ラベル1Hが缶6の上面に固定されている状態を維持される。また、第1固定部分41の少なくとも一部を囲んでいる部分において、第1係止片11と第1固定部分41との間に距離が形成されるため、缶6の上面61に固定されたラベル1を取り出しやすくすることができる。
【0046】
なお、第1固定部分41の少なくとも一部に沿わず、なおかつ第1固定部分41の全体を囲まないように形成されている膨出部としては、上述の
図7~
図11(a)、
図13(b)の膨出部(7~7G、7J)を例として捉えることができる。例えば、
図7に示す膨出部7のように第1固定部分41と反対側に湾曲している形態、あるいは
図8に示す膨出部(7A、7B)のように第1固定部分41に対して直線状の形態などが、第1固定部分41の少なくとも一部に沿わず、なおかつ第1固定部分41の全体を囲まないように形成されている膨出部の形態として好ましいといえる。
【0047】
なお、缶6の上面61に固定されたラベル1Hよりも例えばラベル1のように取り外しの容易性を高めたい場合には、第1係止片11Hを短手方向側に力を加えたときに、第1係止片11Hが第1固定部分41に引っかからない構成に変形されればよい。
【0048】
<ラベルを缶に接続する方法>
図12は、
図1に示すラベル1を缶6に固定する方法を説明する図である。
図12(a)は、
図1に示すラベル1が缶6に固定されている前の状態を示す図である。
図12(b)は、
図1に示すラベル1に形成されている切込みL1が接続部5の下側に挿入された後の状態を示す図である。
図12(c)は、
図1に示すラベル1が缶6に固定された後の状態を示す図である。
【0049】
図12(a)に示すように、ラベル1は缶6の上側から下側に向かって缶6の上面61または外周縁62に載せるようにして取り付けられる。次に、
図12(b)に示すように、第1係止片11は、接続部5の周縁52から接続部5の下側に挿入されて、タブ2と缶6の上面61との間に係止される。これにより、ラベル1は、缶6の上面61に安定して固定することができる。
【0050】
次に、
図12(c)に示すように、折り曲げられる領域R2、R3、R4、およびR5のそれぞれを、切込みL2、L3、L4、およびL5に沿って下方に折り曲げる。また、第2係止片12、第3係止片13、第4係止片14、および第5係止片15を出して、缶6の上面61の外周縁62の外側63に係止させる。これにより、ラベル1は、缶6の上面61により安定して固定することができる。そして、折り曲げられる領域R2、R3、R4、およびR5のそれぞれを缶6の側面64に当接させる。
【0051】
なお、ラベル1は、第1係止片11と、第2係止片12とが形成されていれば、缶6の上面61に安定して固定することができるため、第3係止片13、第4係止片14、および第5係止片15の一部または全部が形成されていなくてもよい。
【0052】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。また、ラベル1Iを缶に固定する方法についても、ラベル1を缶に固定する方法と同様であるため、その記載を省略する。
【0053】
<ラベルの詳細構成>
図13は、本発明の実施形態2に係るラベル1Iの展開図である。
図14は、
図13に示すラベル1Iが缶6の上面61に固定されている状態を示す図である。
図15は、
図14に示すタブ2が設けられた缶6の上面図である。
【0054】
図13~
図15に示すように、ラベル1Iは、ラベル1と異なり、缶6の上面61にラベル1Iが固定された状態において、缶6の上面61の外周縁62に略沿うように、略等間隔に2本の弓状の切込みL2およびL4が形成されている。
【0055】
ラベル1Iには、領域R1と異なり、缶6の上面61の一部を覆う領域RA1が形成されている。換言すれば、領域RA1の外周の一部は、缶6の外周縁62よりも内側に位置している。
【0056】
図15に示すように、缶6の上面61にラベル1Iが固定された状態において、缶6の上面61には、ラベル1Iに覆われていない領域R6が形成されている。領域R6は、缶6の上面61にラベル1Iが固定された状態において、ラベル1Iの外周面と、缶6の上面61の外周縁62と、により区画される領域である。
【0057】
そして、缶6の上面61に固定された状態において、保護片16Aの外周部分の一部は、缶6の外周縁62よりも内側に位置している。つまり、保護片16の外周部分の一部は缶6の外形よりも小さい。これにより、保護片16Aの一部が、缶6の外周縁62の上に載ることなく、ラベル1Iの自重によりラベル1Iの上面に嵌まり込む。このため、保護片16Aは、第1係止片11との間にタブ2を挟んでラベル1を固定するための押さえ片としても機能することができる。
【0058】
<切込みの寸法>
図16は、
図13に示す缶6およびラベル1Iの寸法の関係を説明する図である。
図17は、缶6Aおよびラベル1Jの寸法の関係を説明する図である。
図16(a)および
図17(a)は、それぞれアルミ製の缶6およびスチール製の缶6Aの断面図を示している。
図16(b)および
図17(b)は、それぞれラベル1Iおよび1Jの寸法を示す上面図を示している。
【0059】
図16(a)に示すように、缶6の上面61は、缶6の上面61の外周縁62からタブ2に向かう方向に上向きに膨出している。缶6の上面61のうちタブ2の長手方向一端側における接続部5近傍の面と、缶6の上面61の外周縁62の上端65と、の距離d1は、例えば2mmである。
【0060】
図16(b)に示すように、距離d1が2mmの場合、膨出部7の対称軸線上における膨出部7の先端および湾曲部8の先端間の距離d2は、例えば5mmである。また、距離d1が2mmの場合、切込みL1の両端に形成されている湾曲部8の先端間の距離d3は、18mmである。
【0061】
図17(a)に示すように、缶6Aの上面61Aは、缶6Aの上面61Aの外周縁62Aから缶6Aの内部に向かって窪んでいる。缶6Aにおいては、距離d1は、例えば5mmである。
【0062】
図17(b)に示すように、距離d1が5mmの場合、膨出部7Jの対称軸線上における膨出部7Jの先端および湾曲部8Jの先端間の距離d2は、例えば10mmである。また、距離d1が5mmの場合、切込みLJ1の両端に形成されている湾曲部8Jの先端間の距離d3は、23mmである。
【0063】
なお、
図16および
図17を用いて説明した寸法に関しては、あくまで一例に過ぎず、缶の形状やラベルのサイズに応じて適宜定めればよい。
【0064】
<まとめ>
本発明の態様1に係るラベル(1~1J)は、タブ(2、2A)が設けられた缶(6、6A)の上面(61、61A)に固定されるラベル(1~1J)であって、タブ(2、2A)は、缶(6、6A)を開封する際に引っ張られる引張部(3、3A)と、缶(6、6A)の上面(61、61A)に固定される固定部(4、4A)と、引張部(3、3A)から缶(6、6A)と離間した状態で延在し、引張部(3、3A)と固定部(4、4A)とを接続する接続部(5、5A)とを有するものであり、缶(6、6A)の上面(61、61A)にラベル(1~1J)が固定された状態において、上面(61、61A)の外周縁(62、62A)からタブ(2、2A)に向かう方向に膨出する膨出部(7~7H、7J)を少なくとも備える切込み(L1~LH1、LJ1)が形成されており、切込み(L1~LH1、LJ1)により、接続部(5、5A)の下側に挿入され、タブ(2、2A)と上面(61、61A)との間に係止される第1係止片(11~11H、11J)が形成されている。
【0065】
上記の構成によれば、接続部(5、5A)の下側に挿入されて、タブ(2、2A)と缶(6、6A)の上面(61、61A)との間に係止される。これにより、ラベル(1~1J)は、缶(6、6A)の上面(61、61A)に安定して固定することができる。
【0066】
本発明の態様2に係るラベル(1~1J)は、上記態様1において、引張部(3、3A)が、缶(6、6A)を開封する際に指を引っ掛ける引掛片(31、31A)を備え、タブ(2、2A)が、指を挿入する挿入孔(21、21A)が形成されたものであり、第1係止片(11~11H、11J)が、引張部(3、3A)において挿入孔(21、21A)を形成する周縁(22、22A)から引掛片(31、31A)を除く部位、接続部(5、5A)の周縁(52、52A)から、接続部(5、5A)に挿入されるものである。
【0067】
上記の構成によれば、第1係止片(11~11H、11J)を接続部(5、5A)に挿入する際に、缶(6、6A)がタブ(2、2A)により誤開封される可能性を低減できる。
【0068】
本発明の態様3に係るラベル(1~1J)は、上記態様1または2において、膨出部(7~7H、7J)は、固定部(4、4A)の少なくとも一部に沿わず、なおかつ固定部(4、4A)の全体を囲まないように形成されている。
【0069】
上記の構成によれば、例えばタブ(2、2A)の短手方向側に力を加えた場合に、膨出部(7~7H、7J)が固定部(4、4A)に引っかかるため、ラベル1Hが缶(6、6A)の上面(61、61A)に固定されている状態を維持される。また、ラベル(1~1J)は、例えば固定部(4、4A)の少なくとも一部を囲んでいる部分において、第1係止片(11~11H、11J)と固定部(4、4A)との間に距離が形成されるため、缶(6、6A)の上面(61、61A)に固定されたラベル(1~1J)を取り出しやすくすることができる。
【0070】
本発明の態様4に係るラベル(1~1J)は、上記態様1から3の何れかにおいて、缶(6、6A)の上面(61、61A)にラベル(1~1J)が固定された状態において、接続部(5、5A)に対して第1係止片(11~11H、11J)が存在する方向とは反対方向(D2)から、外周縁(62、62A)の外側(63、63A)に係止される第2係止片(12)を備えている。
【0071】
上記の構成によれば、第2係止片(12)により、缶(6、6A)の上面(61、61A)の外周縁(62、62A)の外側(63、63A)に係止させる。これにより、ラベル(1~1J)は、缶(6、6A)の上面(61、61A)により安定して固定することができる。
【0072】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I、1J ラベル
2、2A タブ
3、3A 引張部
4、4A 固定部
5、5A 接続部
6、6A 缶
7、7A、7B、7C、7D、7E、7F、7G、7H、7J 膨出部
11、11A、11B、11C、11D、11E、11F、11G、11H、11J 第1係止片
12 第2係止片
21、21A 挿入孔
22、22A 挿入孔を形成する周縁
31、31A 引掛片
41、41A 第1固定部分
42、42A 第2固定部分
52、52A 接続部の周縁
61、61A 上面
62、62A 外周縁
63、63A 外周縁の外側
L1、LA1、LB1、LC1、LD1、LE1、LF1、LG1、LH1、LJ1、L2、L3、L4、L5 切込み
D1 缶の上面の外周縁からタブに向かう方向
D2 接続部に対して第1係止片が存在する方向とは反対方向