(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150418
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】経路生成方法、経路生成システム、及び経路生成プログラム
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01B69/00 303Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059520
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 頌梧
(72)【発明者】
【氏名】上原 大
(72)【発明者】
【氏名】岩村 圭将
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真之助
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043ED12
(57)【要約】
【課題】圃場において作業車両を自動走行させる目標経路の生成作業の作業性を向上させることが可能な経路生成方法、経路生成システム、及び自動走行プログラムを提供すること。
【解決手段】設定処理部713は、圃場F内の所定の位置に設定される基準点に基づいて目標経路Rを生成する複数の経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを特定する。生成処理部714は、特定される前記経路生成モードにより目標経路Rを生成する。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場において作業車両を自動走行させる目標経路を生成する経路生成方法であって、
前記圃場内の所定の位置に設定される基準点に基づいて前記目標経路を生成する複数の経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを特定することと、
特定される前記経路生成モードにより前記目標経路を生成することと、
を実行する経路生成方法。
【請求項2】
前記複数の経路生成モードのうちオペレータにより選択された前記経路生成モードを特定する、
請求項1に記載の経路生成方法。
【請求項3】
前記オペレータによる前記経路生成モードの選択操作を受け付ける第1画面を表示させる、
請求項2に記載の経路生成方法。
【請求項4】
前記作業車両の作業モードを、測位状態が所定状態から低下した場合に前記作業車両の自動走行を停止させる第1作業モード、及び、測位状態が前記所定状態から低下した場合に前記作業車両の自動走行を継続させる第2作業モードのうちいずれかに設定することをさらに実行し、
設定される前記作業モードに基づいて、前記経路生成モードを特定する、
請求項1に記載の経路生成方法。
【請求項5】
前記複数の経路生成モードのうち、設定される前記作業モードに応じた前記経路生成モードをオペレータに提示する、
請求項4に記載の経路生成方法。
【請求項6】
前記複数の経路生成モードのうち、圃場、作業車両、及び作業種別の少なくともいずれかの情報に基づいて、前記経路生成モードを特定する、
請求項1に記載の経路生成方法。
【請求項7】
前記経路生成モードが特定された場合に、前記基準点を通る基準線を設定する設定操作をオペレータから受け付ける第2画面を表示させ、
前記オペレータの設定操作に応じて設定される前記基準線を含む前記目標経路を生成する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の経路生成方法。
【請求項8】
前記複数の経路生成モードは、
前記圃場内の2つの位置のそれぞれにオペレータの設定操作に応じて設定される2つの前記基準点を通る基準線に基づいて前記目標経路を生成する第1経路生成モードと、
前記圃場内の前記作業車両の位置に設定される前記基準点を通り、前記作業車両の方位の方向に延伸する基準線に基づいて前記目標経路を生成する第2経路生成モードと、
前記圃場内の前記作業車両の位置に設定される前記基準点を通り、前記オペレータの設定操作に応じて設定される設定角度の方向に延伸する基準線に基づいて前記目標経路を生成する第3経路生成モードと、
のうち少なくともいずれか2つを含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の経路生成方法。
【請求項9】
前記目標経路を生成するための設定角度が記憶部に予め記憶されている場合に、前記複数の経路生成モードのうち前記第3経路生成モードを特定する、
請求項8に記載の経路生成方法。
【請求項10】
圃場において作業車両を自動走行させる目標経路を生成する経路生成システムであって、
前記圃場内の所定の位置に設定される基準点に基づいて前記目標経路を生成する複数の経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを特定する設定処理部と、
特定される前記経路生成モードにより前記目標経路を生成する生成処理部と、
を備える経路生成システム。
【請求項11】
圃場において作業車両を自動走行させる目標経路を生成する経路生成プログラムであって、
前記圃場内の所定の位置に設定される基準点に基づいて前記目標経路を生成する複数の経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを特定することと、
特定される前記経路生成モードにより前記目標経路を生成することと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための経路生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場において作業車両を自動走行させる目標経路を生成する経路生成方法、経路生成システム、及び経路生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場において作業車両を自動走行させる目標経路を生成する技術が知られている。例えば、圃場内の第1の位置(基準始点)と第2の位置(基準終点)とを取得し、基準始点及び基準終点を結ぶ線分を基準線として登録し、当該基準線に対して平行な直進経路(目標経路)を設定し、作業車両を当該直進経路に沿って自動走行させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、基準始点及び基準終点を取得するためにオペレータが作業車両を手動により走行させる必要がある。例えば、オペレータは作業車両を任意の位置に移動させて基準始点を登録した後、さらに作業車両を手動走行させて任意の位置で基準終点を登録する。このように、従来の技術では、目標経路を生成する作業に手間がかかる問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、圃場において作業車両を自動走行させる目標経路の生成作業の作業性を向上させることが可能な経路生成方法、経路生成システム、及び自動走行プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る経路生成方法は、圃場において作業車両を自動走行させる目標経路を生成する経路生成方法であって、前記圃場内の所定の位置に設定される基準点に基づいて前記目標経路を生成する複数の経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを特定することと、特定される前記経路生成モードにより前記目標経路を生成することと、を実行する経路生成方法である。
【0007】
本発明に係る経路生成システムは、設定処理部と生成処理部とを備える。前記設定処理部は、前記圃場内の所定の位置に設定される基準点に基づいて前記目標経路を生成する複数の経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを特定する。前記生成処理部は、特定される前記経路生成モードにより前記目標経路を生成する。
【0008】
本発明に係る経路生成プログラムは、圃場において作業車両を自動走行させる目標経路を生成する経路生成プログラムであって、前記圃場内の所定の位置に設定される基準点に基づいて前記目標経路を生成する複数の経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを特定することと、特定される前記経路生成モードにより前記目標経路を生成することと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるための経路生成プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圃場において作業車両を自動走行させる目標経路の生成作業の作業性を向上させることが可能な経路生成方法、経路生成システム、及び自動走行プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る作業車両の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る作業車両の一例を示す外観図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る操作装置の一例を示す外観図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る作業車両の目標経路の一例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図5C】
図5Cは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される作業画面の一例を示す図である。
【
図5D】
図5Dは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される作業画面の一例を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の実施形態に係る第1経路生成モードにおける経路生成方法を説明するための図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の実施形態に係る第1経路生成モードにおける経路生成方法を説明するための図である。
【
図6C】
図6Cは、本発明の実施形態に係る第1経路生成モードにおける経路生成方法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の実施形態に係る第2経路生成モードにおける経路生成方法を説明するための図である。
【
図8B】
図8Bは、本発明の実施形態に係る第2経路生成モードにおける経路生成方法を説明するための図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図9C】
図9Cは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図10A】
図10Aは、本発明の実施形態に係る第3経路生成モードにおける経路生成方法を説明するための図である。
【
図10B】
図10Bは、本発明の実施形態に係る第3経路生成モードにおける経路生成方法を説明するための図である。
【
図11A】
図11Aは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される作業画面の一例を示す図である。
【
図11B】
図11Bは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される作業画面の一例を示す図である。
【
図12A】
図12Aは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される作業画面の一例を示す図である。
【
図12B】
図12Bは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される作業画面の一例を示す図である。
【
図13A】
図13Aは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図13B】
図13Bは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る操作装置によって実行される経路生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る操作装置によって実行される経路生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施形態に係る作業車両に記憶される設定方位角情報の一例を示す図である。
【
図21A】
図21Aは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図21B】
図21Bは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図21C】
図21Cは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図21D】
図21Dは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る自動走行システム1は、作業車両10と、衛星20と、基地局(不図示)とを含んでいる。本実施形態では、作業車両10がトラクタである場合を例に挙げて説明する。なお、他の実施形態として、作業車両10は、田植機、コンバイン、建設機械、又は除雪車などであってもよい。作業車両10は、圃場F(
図4参照)内をオペレータの操作に応じて、目標経路Rに従って走行しながら所定の作業(例えば耕耘作業)を行う。具体的には、作業車両10は、自動操舵に応じて目標経路Rを直進走行し、オペレータによる手動操舵(運転操作)に応じて旋回走行する。作業車両10は、直進経路の自動走行と旋回経路の手動走行とを切り替えながら圃場F内を走行して作業を行う。目標経路Rは、オペレータの操作に基づいて予め生成され、経路データとして記憶されてもよい。また、作業車両10は、車速を自動的に増減させる機能(車速制御機能)を備えてもよい。例えば、作業車両10は、走行経路に応じて自動的に車速を変化させてもよい。
【0013】
作業車両10は、例えば
図4に示す圃場Fにおいて、直進走行と旋回走行とを繰り返しながら作業が終了するまで走行する。複数の直進経路のそれぞれは互いに略平行である。
図4に示す目標経路Rは一例であって、目標経路Rは、作業車両10のサイズ、作業機14のサイズ、作業内容、圃場Fの形状などに応じて適宜決定される。
【0014】
なお、自動走行システム1は、オペレータが操作する操作端末(タブレット端末、スマートフォンなど)を含んでもよい。前記操作端末は、携帯電話回線網、パケット回線網、無線LANなどの通信網を介して作業車両10と通信可能である。例えばオペレータは、前記操作端末において、各種情報(作業車両情報、圃場情報、作業情報など)などを登録する操作を行う。また、オペレータは、作業車両10から離れた場所において、前記操作端末に表示される走行軌跡により、作業車両10の走行状況、作業状況などを把握することが可能である。
【0015】
[作業車両10]
図1及び
図2に示すように、作業車両10は、車両制御装置11、記憶部12、走行装置13、作業機14、通信部15、測位装置16、操作装置17などを備える。車両制御装置11は、記憶部12、走行装置13、作業機14、測位装置16、操作装置17などに電気的に接続されている。なお、車両制御装置11及び測位装置16は、無線通信可能であってもよい。また、車両制御装置11及び操作装置17は、無線通信可能であってもよい。
【0016】
通信部15は、作業車両10を有線又は無線で通信網に接続し、通信網を介して外部機器(操作端末など)との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0017】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、車両制御装置11に自動走行処理を実行させるための自動走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。なお、前記自動走行プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して作業車両10にダウンロードされて記憶部12に記憶されてもよい。また、記憶部12には、操作装置17において生成される目標経路Rのデータが記憶されてもよい。
【0018】
走行装置13は、作業車両10を走行させる駆動部である。
図2に示すように、走行装置13は、エンジン131、前輪132、後輪133、トランスミッション134、フロントアクスル135、リアアクスル136、ハンドル137などを備える。なお、前輪132及び後輪133は、作業車両10の左右にそれぞれ設けられている。また、走行装置13は、前輪132及び後輪133を備えるホイールタイプに限らず、作業車両10の左右に設けられるクローラを備えるクローラタイプであってもよい。
【0019】
エンジン131は、不図示の燃料タンクに補給される燃料を用いて駆動するディーゼルエンジン又はガソリンエンジンなどの駆動源である。走行装置13は、エンジン131とともに、又はエンジン131に代えて、電気モーターを駆動源として備えてもよい。なお、エンジン131には、不図示の発電機が接続されており、当該発電機から作業車両10に設けられた車両制御装置11等の電気部品及びバッテリー等に電力が供給される。なお、前記バッテリーは、前記発電機から供給される電力によって充電される。そして、作業車両10に設けられている車両制御装置11、測位装置16、及び操作装置17等の電気部品は、エンジン131の停止後も前記バッテリーから供給される電力により駆動可能である。
【0020】
エンジン131の駆動力は、トランスミッション134及びフロントアクスル135を介して前輪132に伝達され、トランスミッション134及びリアアクスル136を介して後輪133に伝達される。また、エンジン131の駆動力は、PTO軸(不図示)を介して作業機14にも伝達される。走行装置13は、車両制御装置11の命令に従って走行動作を行う。
【0021】
作業機14は、例えば耕耘機、播種機、草刈機、プラウ、又は施肥機などであって、作業車両10に着脱可能である。これにより、作業車両10は、作業機14各々を用いて各種の作業を行うことが可能である。
図2には、作業機14が耕耘機である場合を示している。作業機14は、作業車両10において、不図示の昇降機構により昇降可能に支持されてもよい。車両制御装置11は、前記昇降機構を制御して作業機14を昇降させることが可能である。
【0022】
ハンドル137は、オペレータ又は車両制御装置11によって操作される操作部である。例えば走行装置13は、オペレータ又は車両制御装置11によるハンドル137の操作に応じて、油圧式パワーステアリング機構(不図示)などによって前輪132の角度を変更し、作業車両10の進行方向を変更する。
【0023】
また、走行装置13は、ハンドル137の他に、車両制御装置11によって操作される不図示のシフトレバー、アクセル、ブレーキ等を備える。そして、走行装置13では、車両制御装置11による前記シフトレバーの操作に応じて、トランスミッション134のギアが前進ギア又はバックギアなどに切り替えられ、作業車両10の走行態様が前進又は後進などに切り替えられる。また、車両制御装置11は、前記アクセルを操作してエンジン131の回転数を制御する。また、車両制御装置11は、前記ブレーキを操作して電磁ブレーキを用いて前輪132及び後輪133の回転を制動する。
【0024】
測位装置16は、測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164などを備える通信機器である。例えば、測位装置16は、
図2に示すように、オペレータが搭乗するキャビン18の上部に設けられている。また、測位装置16の設置場所はキャビン18に限定されない。さらに、測位装置16の測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164は、作業車両10において異なる位置に分散して配置されていてもよい。なお、前述したように測位装置16には前記バッテリーが接続されており、当該測位装置16は、エンジン131の停止中も稼働可能である。また、測位装置16として、例えば携帯電話端末、スマートフォン、又はタブレット端末などが代用されてもよい。
【0025】
測位制御部161は、一又は複数のプロセッサーと、不揮発性メモリ及びRAMなどの記憶メモリとを備えるコンピュータシステムである。記憶部162は、測位制御部161に測位処理を実行させるための測位制御プログラム、及び測位情報、移動情報などのデータを記憶する不揮発性メモリなどである。例えば、前記測位制御プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部162に記憶される。なお、前記測位制御プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して測位装置16にダウンロードされて記憶部162に記憶されてもよい。
【0026】
通信部163は、測位装置16を有線又は無線で通信網に接続し、通信網を介して基地局サーバーなどの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0027】
測位用アンテナ164は、衛星20から発信される電波(GNSS信号)を受信するアンテナである。
【0028】
測位制御部161は、測位用アンテナ164が衛星20から受信するGNSS信号に基づいて作業車両10の現在位置を算出する。例えば、作業車両10が圃場Fを自動走行する場合に、測位用アンテナ164が複数の衛星20のそれぞれから発信される電波(発信時刻、軌道情報など)を受信すると、測位制御部161は、測位用アンテナ164と各衛星20との距離を算出し、算出した距離に基づいて作業車両10の現在位置(緯度及び経度)を算出する。また、測位制御部161は、作業車両10に近い基地局(基準局)に対応する補正情報を利用して作業車両10の現在位置を算出する、リアルタイムキネマティック方式(RTK-GPS測位方式(RTK方式))による測位を行ってもよい。このように、作業車両10は、RTK方式による測位情報を利用して自動走行を行う。なお、作業車両10の現在位置は、測位位置(例えば測位用アンテナ164の位置)と同一位置であってもよいし、測位位置からずれた位置であってもよい。
【0029】
操作装置17は、作業車両10に搭乗するオペレータが操作する機器であり、各種情報を表示したり、オペレータの操作を受け付けたりする。具体的には、操作装置17は、各種設定画面を表示させてオペレータから各種の設定操作を受け付けたり、走行中の作業車両10に関する情報を表示させたりする。操作装置17の具体的構成は後述する。
【0030】
車両制御装置11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、車両制御装置11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより作業車両10を制御する。また、車両制御装置11は、前記CPUで前記自動走行プログラムに従った各種の処理を実行する。
【0031】
具体的には、車両制御装置11は、作業車両10の走行を制御する。例えば、車両制御装置11は、作業車両10の走行モードが手動走行(手動走行モード)の場合に、オペレータの操作(手動操舵)に基づいて作業車両10を手動走行させる。例えば、車両制御装置11は、オペレータによるハンドル操作、変速操作、シフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作などの運転操作に対応する操作情報を取得し、当該操作情報に基づいて走行装置13に走行動作を実行させる。
【0032】
また、車両制御装置11は、作業車両10の走行モードが自動走行(自動走行モード)の場合に、測位制御部161により測位される作業車両10の現在位置を示す位置情報(測位情報)に基づいて作業車両10を自動走行させる。例えば、車両制御装置11は、作業車両10が自動走行開始条件を満たし、オペレータから走行開始指示を取得すると、前記測位情報に基づいて作業車両10の自動走行を開始させる。また、車両制御装置11は、予め生成された目標経路R(直進経路)に従って作業車両10を自動走行させる。
【0033】
また、車両制御装置11は、複数の経路生成モード(詳細は後述)のうちいずれかに設定された経路生成モードに応じて生成された目標経路R(直進経路)に従って作業車両10を自動走行させることが可能である。例えばオペレータが第1経路生成モードを選択した場合に、車両制御装置11は、第1経路生成モードにより生成された目標経路Rに従って作業車両10を自動走行させる。また、例えばオペレータが第2経路生成モードを選択した場合に、車両制御装置11は、第2経路生成モードにより生成された目標経路Rに従って作業車両10を自動走行させる。また、例えばオペレータが第3経路生成モードを選択した場合に、車両制御装置11は、第3経路生成モードにより生成された目標経路Rに従って作業車両10を自動走行させる。なお、経路生成モードの設定処理は、操作装置17において実行される。
【0034】
本実施形態に係る自動走行システム1は、3つの経路生成モード(第1経路生成モード、第2経路生成モード、第3経路生成モード)を備えているが、本発明はこれに限定されない。前記経路生成モードの詳細については後述する。
【0035】
また、車両制御装置11は、作業車両10が直進経路の終端に到達すると走行モードを手動走行に切り替える。車両制御装置11は、作業車両10が終端に到達したと判定した場合に走行モードを手動走行に切り替えてもよいし、オペレータの操作に応じて走行モードを手動走行に切り替えてもよい。走行モードが手動走行に切り替えられると、例えばオペレータは、手動操舵により作業車両10を旋回走行(手動走行)させる。
【0036】
以上のようにして、車両制御装置11は、オペレータによる操作装置17における操作に応じて走行モードを切り替えて、作業車両10を、自動操舵により直進経路(目標経路R)を自動走行させ、手動操舵により旋回経路を手動走行させる。
【0037】
ここで、作業車両10を自動走行させる目標経路R(直進経路)は、オペレータによる作業(経路生成作業)に基づいて生成される。前記経路生成作業において、従来の技術では、基準始点(A点)及び基準終点(B点)を取得するためにオペレータが作業車両10を手動により走行させる必要がある。例えば、オペレータは作業車両10を任意の位置に移動させてA点を登録した後、さらに作業車両10を手動走行させて任意の位置でB点を登録する。このため、経路生成作業に手間がかかる問題が生じる。これに対して、本実施形態の構成によれば、以下に示すように、経路生成作業の作業性を向上させることが可能である。以下では、操作装置17の具体的構成について説明する。
【0038】
[操作装置17]
図1に示すように、操作装置17は、操作制御部71、記憶部72、操作表示部73などを備える。操作装置17は、作業車両10に着脱可能な機器であってもよい。また、操作装置17は、オペレータが携帯可能な携帯端末(タブレット端末、スマートフォンなど)であってもよい。また、操作装置17は、車両制御装置11に有線又は無線により通信可能に接続されている。
【0039】
操作表示部73は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部と、操作を受け付ける操作ボタン又はタッチパネルなどの操作部とを備えるユーザーインターフェースである。操作表示部73は、操作制御部71の指示に応じて各種の設定画面、作業画面などを表示する。また、操作表示部73は、前記設定画面、前記作業画面において、オペレータの操作を受け付ける。
【0040】
また、前記操作部は、作業車両10に自動走行を開始させる際にオペレータが走行開始指示を行う自動走行ボタンと、作業車両10と目標経路Rとの位置偏差を補正するオフセット操作(補正操作)を行うオフセットボタンと、前記設定画面及び前記作業画面において選択操作を行う複数の選択ボタンとを含んでいる(いずれも不図示)。
【0041】
操作装置17は、例えば
図2及び
図3に示すように、キャビン18内のハンドル137付近に設置される。
【0042】
記憶部72は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。記憶部72には、操作装置17に後述の経路生成処理(
図14及び
図15参照)を実行させるための経路生成プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記経路生成プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部72に記憶される。なお、前記経路生成プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して操作装置17にダウンロードされて記憶部72に記憶されてもよい。また、前記経路生成プログラムは、作業車両10の記憶部12に記憶されてもよい。また、記憶部72には、操作装置17において生成される目標経路Rのデータが記憶されてもよい。
【0043】
操作制御部71は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、操作制御部71は、前記ROM又は記憶部72に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより操作装置17を制御する。
【0044】
具体的には、
図1に示すように、操作制御部71は、表示処理部711、受付処理部712、設定処理部713、及び生成処理部714などの各種の処理部を含む。なお、操作装置17は、前記CPUで前記経路生成プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記経路生成プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0045】
表示処理部711は、各種情報を操作表示部73に表示させる。例えば、表示処理部711は、各種の設定を行う設定画面(
図5、
図7、
図9、
図13等)、作業車両10の走行状況、作業状況等の走行情報を含む作業画面D1(
図11、
図12等)などを操作表示部73に表示させる。
【0046】
受付処理部712は、オペレータによる各種操作を受け付ける。例えば、受付処理部712は、前記設定画面において、目標経路Rを生成するための操作、すなわち経路生成作業に関する各種操作をオペレータから受け付ける。
【0047】
設定処理部713は、複数の経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを特定する。なお、前記複数の経路生成モードは、圃場F内の所定の位置に設定される基準点(例えばA点)に基づいて目標経路Rを生成する経路生成モードである。設定処理部713は、本発明の設定処理部の一例である。
【0048】
本実施形態に係る前記複数の経路生成モードには、圃場F内の2つの位置のそれぞれにオペレータの設定操作に応じて設定される2つの基準点(A点及びB点)を通る基準線L1に基づいて目標経路Rを生成する第1経路生成モードと、圃場F内の作業車両10の位置(例えば現在位置)に設定される基準点(A点)を通り、作業車両10の方位(車両方位)の方向に延伸する基準線L1に基づいて目標経路Rを生成する第2経路生成モードと、圃場F内の作業車両10の位置(例えば現在位置)に設定される基準点(A点)を通り、オペレータの設定操作に応じて設定される設定方位角d1(設定角度)の方向に延伸する基準線L1に基づいて目標経路Rを生成する第3経路生成モードとが含まれる。
【0049】
オペレータは前記複数の経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを選択することが可能である。
図5Aには、設定画面P1の一例を示している。例えば、オペレータが経路生成作業を行う場合にメニュー画面の作業設定(不図示)を選択すると、表示処理部711は、設定画面P1を操作表示部73に表示させる。
【0050】
設定画面P1には、前記経路生成モードを設定する設定項目K11(「基準線作成」)、前記設定方位角を設定する設定項目K12(「設定方位角」)などが含まれる。なお、オペレータは、操作ボタンK1を押下することにより、設定項目の選択位置及び表示ページを移動させることができ、決定ボタンK2を押下することにより設定項目を選択することができ、戻るボタンK3を押下することにより表示ページを前ページに移動させることができる。各ボタンK1~K3は、操作表示部73における前記操作部の一例である。
【0051】
オペレータが設定項目K11を選択すると、表示処理部711は、
図5Bに示す設定画面P11を表示させる。表示処理部711は、設定画面P11において、複数の経路生成モードの選択欄と、各選択欄に対応する説明情報とを表示させる。すなわち、表示処理部711は、オペレータによる経路生成モードの選択操作を受け付ける設定画面P11(本発明の第1画面の一例)を表示させる。複数の経路生成モードには、前記第1経路生成モードに対応する「A点+B点」(設定項目K13)、前記第2経路生成モードに対応する「A点+車両方位角」(設定項目K14)、前記第3経路生成モードに対応する「A点+設定方位角」(設定項目K15)が含まれる。オペレータは、
図5Bに示す設定画面P11において、前記第1経路生成モード、前記第2経路生成モード、及び前記第3経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを選択することが可能である。
【0052】
設定処理部713は、前記複数の経路生成モードのうちオペレータにより選択された経路生成モードを特定する。また、表示処理部711は、前記経路生成モードが特定された場合に、基準点(A点)を通る基準線L1を設定する設定操作をオペレータから受け付ける作業画面D1(本発明の第2画面の一例)を表示させる。そして、生成処理部714は、設定処理部713により特定される前記経路生成モードにより目標経路Rを生成する。具体的には、生成処理部714は、オペレータの設定操作に応じて設定される基準線L1を含む目標経路Rを生成する。生成処理部714は、本発明の生成処理部の一例である。
【0053】
なお、操作制御部71は、各設定画面において、カーソル、マウスなどのポインターが位置する設定項目に対応する前記説明情報を音声出力(音声ガイダンス)してもよい。例えば設定画面P1(
図5A参照)においてカーソルを「基準線作成」の設定項目K11に合わせると、操作制御部71は、「基準線作成はA点+B点に設定されています」などの音声メッセージを出力する。また、例えば設定画面P11(
図9A参照)においてカーソルを「A点+設定方位角」の設定項目K15に合わせると、操作制御部71は、「A点と設定方位角の設定から基準線を作成する方法です」などの音声メッセージを出力する。なお、操作制御部71は、音声出力機能のON/OFFを切り替え可能であってもよい。
【0054】
[経路生成方法の具体例]
次に、前記第1経路生成モード、前記第2経路生成モード、及び前記第3経路生成モードのそれぞれにおける目標経路Rの生成方法の具体例を説明する。
【0055】
[第1経路生成モード]
設定画面P11においてオペレータが「A点+B点」(設定項目K13)を選択して決定ボタンK2を押下すると、受付処理部712がオペレータの選択操作を受け付け、設定処理部713は前記第1経路生成モードを特定する。設定処理部713が前記第1経路生成モードを特定すると、表示処理部711は、基準線L1を設定する設定操作をオペレータから受け付ける作業画面D1(
図5C参照)を操作表示部73に表示させる。オペレータは、圃場F内において作業車両10を任意の位置に移動させてA点登録ボタンKaを押下する。例えば、オペレータは、作業車両10を圃場Fの外周端部に移動させてA点登録ボタンKaを押下する。オペレータがA点登録ボタンKaを押下すると、設定処理部713は作業車両10の現在位置を第1基準点(A点)として登録する。設定処理部713がA点を登録すると、表示処理部711は、第2基準点(B点)の登録操作を受け付ける作業画面D1(
図5D参照)を操作表示部73に表示させる。オペレータは、作業車両10に走行及び作業させたい方向(目標方向)に、作業車両10を手動走行させる(
図6A参照)。具体的には、オペレータは、作業車両10が作業領域で作業する際の作業方向(例えば耕耘方向)に平行な方向に作業車両10を直進走行させる。そして、オペレータは、任意の位置(例えば圃場Fの外周端部)においてB点登録ボタンKb(
図5D参照)を押下する。オペレータがB点登録ボタンKbを押下すると、設定処理部713は作業車両10の現在位置を第2基準点(B点)として登録する。
【0056】
設定処理部713は、A点及びB点の位置情報を取得すると、A点及びB点を通る直線を基準線L1として設定する(
図6A参照)。なお、設定処理部713は、作成した基準線L1の方位を調整可能であってもよい。例えば、設定処理部713は、作成した基準線L1を作業画面D1に表示させて、オペレータから登録操作を受け付けた場合に基準線L1を設定(登録)する。一方、設定処理部713は、オペレータから基準線L1の方位を変更する操作(例えば、画面のタッチ操作など)を受け付けると、操作に応じて基準線L1の方位を調整する。設定処理部713は、B点を登録する操作を受け付けた場合に、基準線L1を登録するか又は調整するかの選択画面を表示させてもよい。生成処理部714は、基準線L1と、基準線L1に平行な複数の直線とを含む走行経路(目標経路R)を生成する。例えば、生成処理部714は、予め設定される作業幅(作業機14の横幅)及びラップ幅(隣接する作業済領域と重なる幅)に基づいて複数の平行な直線を、基準線L1を中心として左右に等間隔に生成する(
図6B参照)。生成処理部714は、生成した目標経路Rを記憶部72に登録するとともに、操作表示部73に表示させる。
【0057】
前記第1経路生成モードによれば、圃場Fの両端部の2点(A点及びB点)を通る基準線L1により目標経路Rを生成することができるため、作業車両10による作業精度を向上させることができる。なお、設定処理部713は、A点を登録してから作業車両10が所定距離(例えば5m)だけ走行した場合にB点を登録可能としてもよい。これにより、より精度の高い基準線L1を設定することができる。
【0058】
[第2経路生成モード]
設定画面P11(
図7参照)においてオペレータが「A点+車両方位角」(設定項目K14)を選択して決定ボタンK2を押下すると、受付処理部712がオペレータの選択操作を受け付け、設定処理部713は前記第2経路生成モードを特定する。設定処理部713が前記第2経路生成モードを特定すると、表示処理部711は、基準線L1を設定する設定操作をオペレータから受け付ける作業画面D1(
図5C参照)を操作表示部73に表示させる。オペレータは、圃場F内において作業車両10を任意の位置に移動させてA点登録ボタンKaを押下する(
図5C参照)。例えば、オペレータは、作業車両10を圃場Fの作業開始位置に移動させてA点登録ボタンKaを押下する。オペレータがA点登録ボタンKaを押下すると、設定処理部713は作業車両10の位置(現在位置)を基準点(A点)として登録する(
図8A参照)。設定処理部713は、A点を登録すると、A点を通り作業車両10の現在の方位(車両方位)の方向に延伸する直線を基準線L1として設定する(
図8A参照)。また、設定処理部713は、基準方位(例えば北)に対する角度である車両方位角(本発明の設定角度)を設定する。なお、設定処理部713は、作成した基準線L1の方位を調整可能であってもよい。例えば、設定処理部713は、作成した基準線L1を作業画面D1に表示させて、オペレータから登録操作を受け付けた場合に基準線L1を設定(登録)する。一方、設定処理部713は、オペレータから基準線L1の方位を変更する操作(例えば、画面のタッチ操作など)を受け付けると、操作に応じて基準線L1の方位を調整する。設定処理部713は、A点を登録する操作を受け付けた場合に、基準線L1を登録するか又は調整するかの選択画面を表示させてもよい。
【0059】
生成処理部714は、基準線L1と、基準線L1に平行な複数の直線とを含む走行経路(目標経路R)を生成する(
図8B参照)。生成処理部714は、生成した目標経路Rを記憶部72に登録するとともに、操作表示部73に表示させる。
【0060】
このように、前記第2経路生成モードでは、操作制御部71は、基準方位(北)に対する車両の方位である車両方位角を設定し、圃場F内の所定の位置に基準点(A点)を設定し、車両方位角と、A点を通る基準線L1とに基づいて、目標経路R(直進経路)を生成する。また、操作制御部71は、A点を通り前記基準方位に対して車両方位角で延伸する基準線L1を含む目標経路Rを生成する。前記第2経路生成モードによれば、オペレータはA点を登録することにより、作業車両10の方位に応じた目標経路Rを生成することができるため、経路生成作業の作業性を向上させることができる。
【0061】
[第3経路生成モード]
設定画面P11(
図9A参照)においてオペレータが「A点+設定方位角」(設定項目K15)を選択して決定ボタンK2を押下すると、受付処理部712がオペレータの選択操作を受け付け、設定処理部713は前記第3経路生成モードを特定する。また、表示処理部711は、設定画面P1(
図9B参照)において、設定項目K12(「設定方位角」)を選択可能に表示させる。なお、オペレータが「A点+B点」(設定項目K13)又は「A点+車両方位角」(設定項目K14)を選択した場合には、表示処理部711は、設定項目K12を選択不能に表示(例えばグレーアウト表示)させる又は非表示にしてもよい。設定画面P1(
図9B参照)においてオペレータが「設定方位角」(設定項目K12)を選択して決定ボタンK2を押下すると、受付処理部712がオペレータの選択操作を受け付け、表示処理部711は、設定画面P12(
図9C参照)を表示させる。
【0062】
設定処理部713は、基準方位(例えば北)に対する角度である設定方位角d1(本発明の設定角度)を設定する。例えば、表示処理部711は、設定画面P12に角度を入力する入力欄K16を表示させ、受付処理部712は、オペレータから角度の入力操作を受け付ける。オペレータは、例えば操作ボタンK1を操作して所望の角度を入力する。設定処理部713は、オペレータにより入力された角度を設定方位角d1に設定する。
【0063】
ここで、過去に設定された設定方位角d0(登録済設定方位角)(本発明の登録済設定角度の一例)が記憶部72に予め記憶されている場合には、設定処理部713は、設定方位角d0を設定方位角d1に設定してもよい。また、表示処理部711は、設定方位角d0を初期角度として入力欄K16に表示させ、受付処理部712は、オペレータから初期角度の変更操作を受け付けてもよい。受付処理部712が前記変更操作を受け付けた場合には、設定処理部713は、変更された角度を設定方位角d1に設定する。設定処理部713が設定方位角d1を設定すると、表示処理部711は、設定画面P1(
図9B参照)の設定項目K12の説明欄に設定方位角d1(ここでは「72.0093度」)を表示させる。設定方位角d0(登録済設定方位角)を初期角度として表示させる構成によれば、オペレータは設定方位角d1を設定する際の目安にすることができる。
【0064】
また、設定処理部713が設定方位角d1を設定すると、表示処理部711は、基準線L1を設定する設定操作をオペレータから受け付ける作業画面D1(
図5C参照)を操作表示部73に表示させる。オペレータは、圃場F内において作業車両10を任意の位置に移動させてA点登録ボタンKaを押下する。例えば、オペレータは、作業車両10を圃場Fの作業開始位置に移動させてA点登録ボタンKaを押下する(
図5C参照)。オペレータがA点登録ボタンKaを押下すると、設定処理部713は作業車両10の現在位置を基準点(A点)として登録する。設定処理部713は、A点を登録すると、A点を通り設定方位角d1の方向に延伸する直線を基準線L1として設定する(
図10A参照)。なお、設定処理部713は、作成した基準線L1の方位を調整可能であってもよい。例えば、設定処理部713は、作成した基準線L1を作業画面D1に表示させて、オペレータから登録操作を受け付けた場合に基準線L1を設定(登録)する。一方、設定処理部713は、オペレータから基準線L1の方位を変更する操作(例えば、画面のタッチ操作など)を受け付けると、操作に応じて基準線L1の方位を調整する。設定処理部713は、A点を登録する操作を受け付けた場合に、基準線L1を登録するか又は調整するかの選択画面を表示させてもよい。生成処理部714は、基準線L1と、基準線L1に平行な複数の直線とを含む走行経路(目標経路R)を生成する(
図10B参照)。生成処理部714は、生成した目標経路Rを記憶部72に登録するとともに、操作表示部73に表示させる。
【0065】
このように、前記第3経路生成モードでは、操作制御部71は、基準方位(北)に対する角度である設定方位角d1を設定し、圃場F内の所定の位置に基準点(A点)を設定し、設定方位角d1と、A点を通る基準線L1とに基づいて、目標経路R(直進経路)を生成する。また、操作制御部71は、A点を通り前記基準方位に対して設定方位角d1で延伸する基準線L1を含む目標経路Rを生成する。
【0066】
また、操作制御部71は、オペレータから前記基準方位に対する角度の入力操作を受け付ける設定画面P12(
図9C参照)を表示させ、オペレータにより入力された角度を設定方位角d1に設定する。また、操作制御部71は、オペレータからA点の設定操作を受け付ける作業画面D1(
図5C参照)を表示させ、作業画面D1においてオペレータからA点の設定操作を受け付けた場合に、目標経路R(
図10B参照)を生成するとともに、目標経路Rを作業画面D1に表示させる。
【0067】
前記第3経路生成モードによれば、オペレータは設定方位角d1を設定してA点を登録することにより目標経路Rを生成することができるため、作業車両10による作業精度を維持しつつ経路生成作業の作業性を向上させることができる。
【0068】
前記第3経路生成モードにおいて、一旦生成された目標経路Rを変更(再生成)する場合には、オペレータは、設定方位角d1を再入力し、登録済のA点を削除してA点を再登録する。また、操作制御部71は、A点を削除する操作を省略してもよい。例えば、オペレータが設定方位角d1を変更してA点を登録する操作を行った場合に、操作制御部71は、登録済のA点を新たに登録されたA点に更新(上書き)してもよい。
【0069】
前記第3経路生成モードの他の実施形態として、操作制御部71は、基準点(A点)を設定(
図5C参照)した後に、オペレータから設定方位角d1の入力操作(
図9C参照)を受け付けてもよい。この場合、設定画面P12においてオペレータが角度(設定方位角d1)を入力して決定ボタンK2を押下した場合に、操作制御部71は、設定方位角d1を設定して、基準線L1及び目標経路R(
図10A及び
図10B参照)を生成及び表示する。
【0070】
また、前記第3経路生成モードの他の実施形態として、操作制御部71は、作業車両10の現在の方位を設定方位角d1に設定してもよい。また、操作制御部71は、作業車両10の現在の方位を初期角度として入力欄K16に表示させて、オペレータから角度の変更操作を受け付けてもよい。また、操作制御部71は、オペレータが設定方位角d1を設定する前に基準点(A点)を設定した場合に、作業車両10の現在の方位を設定方位角d1に設定する構成、又は、当該方位を入力欄K16に表示させる構成としてもよい。
【0071】
操作制御部71は、以上のようにして、複数の経路生成モード(第1経路生成モード、第2経路生成モード、及び第3経路生成モード)のうちオペレータにより選択された経路生成モードにより目標経路Rを生成する。なお、他の実施形態として、過去に設定された設定方位角d0が記憶部72に予め記憶されている場合に、設定処理部713は、オペレータの選択操作に依らず、複数の経路生成モードのうち第3経路生成モードを特定してもよい。すなわち、操作制御部71は、設定方位角d0が記憶部72に予め記憶されている場合には、前記第3経路生成モードにより目標経路Rを生成してもよい。
【0072】
目標経路Rが生成された後、オペレータは、圃場F内において作業車両10に自動走行を開始させる指示(走行開始指示)を行う。例えば作業車両10が自動走行開始条件を満たし自動走行可能な状態になった場合に、オペレータは走行開始指示を行うことが可能になる。車両制御装置11は、オペレータの走行開始指示を取得すると、設定された経路生成モードに応じた自動走行処理を実行する。
【0073】
図11Aには、作業車両10が自動走行開始条件を満たし自動走行可能な状態になったことを示す操作画面(作業画面)を示している。車両制御装置11は、作業車両10が自動走行開始条件を満たすと、
図11Aに示す操作画面を操作表示部73に表示させる。作業車両10が自動走行可能な状態になると、オペレータは、操作表示部73の自動走行ボタン(不図示)を押下して走行開始指示を行う。車両制御装置11は、走行開始指示を受け付けると、作業車両10を、設定された前記経路生成モードにより生成された目標経路Rに沿うように作業車両10の自動操舵を開始する。これにより、車両制御装置11は、作業車両10を直進経路に沿って自動操舵により自動走行させる。
【0074】
図11Bには、作業車両10が自動走行中の表示画面(作業画面)を示している。車両制御装置11は、作業車両10が自動走行を開始すると、
図11Bに示す作業画面を操作装置17に表示させる。例えば、操作装置17は、車両制御装置11から取得する情報(走行情報など)に基づいて、操作表示部73の作業画面に、作業車両10の位置、直進経路、作業済領域(作業状況)、案内情報(操作ガイダンス情報)などを表示させる。
【0075】
また、車両制御装置11は、直進経路の終端において自動操舵を終了させる。例えば前記第1経路生成モードでは、車両制御装置11は、作業車両10が自動操舵により直進走行して基準線L1のB点に対応する終端Pe(基準線L1に対するB点を通る垂線と直進経路(直線)との交点)(
図6C参照)に近づくとオペレータに案内情報(走行情報G4(
図12A参照))を報知し、オペレータの操作に応じて自動操舵を終了させる。また例えば前記第2経路生成モード及び前記第3経路生成モードでは、車両制御装置11は、オペレータの操作に応じて自動操舵を終了させる。
【0076】
なお、前記第1経路生成モードにおける自動走行中の作業画面D1(
図12A参照)には、作業車両10の位置、目標経路R、B点、作業済領域を含む走行情報G0、目標経路Rに対する作業車両10の位置偏差を表す走行情報G1、作業車両10の走行状況を表す走行情報G2及びG3、作業車両10が終了点に近づいていることを表す走行情報G4などが表示される。
【0077】
また、前記第2経路生成モード及び前記第3経路生成モードにおける自動走行中の作業画面D1(
図12B参照)には、作業車両10の位置、目標経路R、作業済領域を含む走行情報G0、目標経路Rに対する作業車両10の位置偏差を表す走行情報G1、作業車両10の走行状況を表す走行情報G2などが表示される。
【0078】
ここで、走行情報G2、G3の表示内容は、オペレータが設定することが可能である。オペレータが、設定画面P1(
図5A参照)において操作ボタンK1を押下してページをスクロールさせると、表示処理部711は、
図13Aに示す設定画面P2を表示させる。設定画面P2には、作業画面D1に走行情報G2を表示させるか否か及び表示対象を選択する設定項目K21(「情報表示1」)、走行情報G3を表示させるか否か及び表示対象を選択する設定項目K22(「情報表示2」)などが含まれる。オペレータが設定項目K21(「情報表示1」)を選択した後、設定画面P21(
図13B参照)において走行情報G2に表示させる表示対象を選択する。同様に、オペレータが設定項目K22(「情報表示2」)を選択した後、設定画面P21において走行情報G3に表示させる表示対象を選択する。
【0079】
図13Bには、前記第3経路生成モードにおいて、「経路方位角」が選択された状態を示している。オペレータが「経路方位角」を選択して決定ボタンK2を押下すると、表示処理部711は、作業画面D1の走行情報G1に「経路方位角」を表示させる(
図12B参照)。なお、オペレータが設定方位角を設定した場合(
図9C参照)には、表示処理部711は、当該設定方位角を前記経路方位角として走行情報G2に表示させる。
【0080】
[経路生成処理]
以下、
図14を参照しつつ、操作装置17の操作制御部71によって実行される前記経路生成処理の一例について説明する。なお、本発明は、操作装置17が前記経路生成処理の一部又は全部を実行する経路生成方法の発明、又は、当該経路生成方法の一部又は全部を操作装置17に実行させるための経路生成プログラムの発明として捉えてもよい。また、一又は複数のプロセッサーが前記経路生成処理を実行してもよい。
【0081】
ステップS1において、操作制御部71は、オペレータから目標経路Rの生成処理の開始指示を受け付けたか否かを判定する。例えば、オペレータは、目標経路Rを生成する作業(経路生成作業)を開始する場合にメニュー画面の作業設定(不図示)を選択する。操作制御部71は、前記作業設定の選択操作(経路生成開始指示)をオペレータから受け付けると(S1:Yes)、処理をステップS2に移行させる。操作制御部71は、オペレータから前記経路生成開始指示を受け付けるまで待機する(S1:No)。
【0082】
ステップS2において、操作制御部71は、経路生成モードを選択する設定画面P11(経路生成モード選択画面)を表示させる。例えば、操作制御部71は、オペレータが前記メニュー画面の作業設定を選択すると、
図5Aに示す設定画面P1を操作表示部73に表示させる。また、操作制御部71は、オペレータが設定画面P1において「基準線作成」の設定項目K11を選択すると、設定画面P11(
図5B参照)を表示させる。操作制御部71は、設定画面P11において、前記第1経路生成モードに対応する「A点+B点」(設定項目K13)、前記第2経路生成モードに対応する「A点+車両方位角」(設定項目K14)、前記第3経路生成モードに対応する「A点+設定方位角」(設定項目K15)を選択可能に表示させる。
【0083】
ステップS3において、操作制御部71は、経路生成モードの選択操作を受け付けたか否かを判定する。オペレータは、設定画面P11(
図5B参照)において設定項目K13、K14、K15のいずれかを選択する。操作制御部71は、経路生成モードの選択操作をオペレータから受け付けると(S3:Yes)、経路生成モードを特定し、処理をステップS4に移行させる。操作制御部71は、オペレータから経路生成モードの選択操作を受け付けるまで待機する(S3:No)。
【0084】
ステップS4において、操作制御部71は、作業車両10を自動走行させる目標経路Rを生成する処理(経路生成処理)を実行する。例えばオペレータが設定項目K13(「A点+B点」)を選択した場合(
図5B参照)、操作制御部71は、前記第1経路生成モードを特定して前記第1経路生成モードにより目標経路Rを生成する(
図6参照)。また例えばオペレータが設定項目K14(「A点+車両方位角」)を選択した場合(
図7参照)、操作制御部71は、前記第2経路生成モードを特定して前記第2経路生成モードにより目標経路Rを生成する(
図8参照)。また例えばオペレータが設定項目K15(「A点+設定方位角」)を選択した場合(
図9参照)、操作制御部71は、前記第3経路生成モードを特定して前記第3経路生成モードにより目標経路Rを生成する(
図10参照)。
【0085】
ステップS5において、操作制御部71は、生成した目標経路Rを記憶部72に登録する。具体的には、操作制御部71は、生成した目標経路Rを操作表示部73に表示させてオペレータから登録操作を受け付けると目標経路Rを記憶部72に登録する。また、操作制御部71は、目標経路Rを作業車両10の記憶部12に記憶する。
【0086】
[第3経路生成モードの経路生成処理]
ここで、ステップS4における経路生成処理のうち前記第3経路生成モードに対応する経路生成処理の一例について、
図15を参照しつつ説明する。オペレータは、設定項目K15(「A点+設定方位角」)を選択し(
図9A参照)、さらに設定画面P1(
図9B参照)の設定項目K12(「設定方位角」)を選択する(
図9B参照)。
【0087】
ステップS41において、操作制御部71は、過去に設定された設定方位角d0(登録済設定方位角)が記憶部72に記憶されているか否かを判定する。操作制御部71は、設定方位角d0が記憶部72に記憶されている場合に(S41:Yes)、処理をステップS42に移行させる。一方、操作制御部71は、設定方位角d0が記憶部72に記憶されていない場合に(S41:No)、処理をステップS411に移行させる。
【0088】
ステップS42において、操作制御部71は、設定画面P12(
図9C参照)の入力欄K16に、設定方位角d0を初期角度として表示させる。
【0089】
ステップS43において、操作制御部71は、オペレータから前記初期角度の変更操作を受け付けたか否かを判定する。オペレータは、登録済の設定方位角d0を変更したい場合に、設定画面P12(
図9C参照)の操作ボタンK1を操作して所望の角度に変更する。操作制御部71は、前記変更操作を受け付けると(S43:Yes)、処理をステップS44に移行させる。一方、操作制御部71は、前記変更操作を受け付けない場合(S43:No)、処理をステップS45に移行させる。
【0090】
ステップS44において、操作制御部71は、設定画面P12に表示された設定方位角d0(初期角度)を、オペレータの変更操作に応じて変更する。
【0091】
ステップS45において、操作制御部71は、設定方位角d1の決定操作を受け付けたか否かを判定する。オペレータは、設定画面P12(
図9C参照)の入力欄K16に表示された角度を決定させる場合に決定ボタンK2を押下する。オペレータが決定ボタンK2を押下すると、操作制御部71は前記決定操作を受け付ける。操作制御部71は、前記設定操作を受け付けると(S45:Yes)、処理をステップS46に移行させる。一方、操作制御部71は、前記設定操作を受け付けない場合(S45:No)、処理をステップS43に移行させる。
【0092】
これに対して、ステップS41において設定方位角d0が記憶部72に記憶されていないと判定された場合(S41:No)、ステップS411において、操作制御部71は、設定画面P12(
図9C参照)の入力欄K16を表示させる。操作制御部71は、オペレータから角度の入力操作を受け付ける。
【0093】
ステップS412において、操作制御部71は、オペレータから前記入力操作を受け付けたか否かを判定する。操作制御部71は、前記入力操作を受け付けると(S412:Yes)、処理をステップS413に移行させる。操作制御部71は、前記入力操作を受け付けるまで待機する(S412:No)。
【0094】
ステップS413において、操作制御部71は、設定方位角d1の決定操作を受け付けたか否かを判定する。オペレータは、設定画面P12(
図9C参照)の入力欄K16に表示された角度を決定させる場合に決定ボタンK2を押下する。オペレータが決定ボタンK2を押下すると、操作制御部71は前記決定操作を受け付ける。操作制御部71は、前記設定操作を受け付けると(S413:Yes)、処理をステップS46に移行させる。一方、操作制御部71は、前記設定操作を受け付けない場合(S413:No)、処理をステップS412に移行させる。操作制御部71は、前記決定操作を受け付けるまでオペレータから角度の変更操作を受け付け可能である。
【0095】
ステップS46において、操作制御部71は、オペレータから基準点(A点)の設定操作を受け付ける作業画面D1(
図5C参照)を表示させる。
【0096】
ステップS47において、操作制御部71は、オペレータからA点を登録する登録操作を受け付けたか否かを判定する。例えば、オペレータは、作業車両10を圃場Fの作業開始位置に移動させてA点登録ボタンKaを押下する(
図5C参照)。オペレータがA点登録ボタンKaを押下すると、操作制御部71は、前記登録操作を受け付ける。操作制御部71は、オペレータから前記登録操作を受け付けると(S47:Yes)、処理をステップS48に移行させる。操作制御部71は、オペレータから前記登録操作を受け付けるまで待機する(S47:No)。
【0097】
ステップS48において、操作制御部71は、目標経路Rを生成する。具体的には、操作制御部71は、作業車両10の現在位置をA点として登録すると、A点を通り設定方位角d1の方向に延伸する直線を基準線L1として設定する(
図10A参照)。操作制御部71は、基準線L1と、基準線L1に平行な複数の直線とを含む走行経路(目標経路R)を生成する(
図10B参照)。ステップS48の後、操作制御部71は、ステップS5(
図14参照)において、生成した目標経路Rを記憶部72に登録する。
【0098】
以上のようにして、操作制御部71は、前記経路生成処理を実行して目標経路Rを生成する。車両制御装置11は、操作制御部71により生成された目標経路Rに従って作業車両10を自動走行させる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る操作装置17は、圃場Fにおいて作業車両10を自動走行させる目標経路Rを生成する。また操作装置17は、圃場F内の所定の位置に設定される基準点(A点)に基づいて目標経路Rを生成する複数の経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを特定し、特定した前記経路生成モードにより目標経路Rを生成する。例えば、操作装置17は、複数の経路生成モードを選択可能に表示させ(
図5B参照)、オペレータにより選択された経路生成モードにより目標経路Rを生成する。
【0100】
また、操作装置17は、前記第3経路生成モードを特定(設定)した場合に、基準方位(例えば北)に対する設定方位角d1を設定し、圃場F内の所定の位置に基準点(A点)を設定し、設定方位角d1と、A点を通る基準線L1とに基づいて、目標経路Rを生成する。また、操作装置17は、前記第2経路生成モードを特定(設定)した場合に、基準方位(例えば北)に対する車両方位角を設定し、圃場F内の所定の位置に基準点(A点)を設定し、車両方位角と、A点を通る基準線L1とに基づいて、目標経路Rを生成する。設定方位角d1及び車両方位角のそれぞれは、本発明の設定角度の一例である。操作装置17は、設定方位角d1を、基準線L1を作成するための設定角度に設定してもよいし、車両方位角を、基準線L1を作成するための設定角度に設定してもよい。
【0101】
上記構成によれば、複数の経路生成モードのうちオペレータが所望の経路生成モードを選択することができる。例えばオペレータは、目標経路Rを生成するための経路生成作業の負担が軽い経路生成モード(例えば前記第2経路生成モード又は前記第3経路生成モード)を選択して目標経路Rを生成することができる。また、例えばオペレータが前記第3経路生成モードを選択した場合には、設定方位角d1を設定して1つの基準点(A点)のみを登録するだけで目標経路Rを生成することができる。また、例えばオペレータが前記第2経路生成モードを選択した場合には、車両の現在の方位(車両方位角)を設定して1つの基準点(A点)のみを登録するだけで目標経路Rを生成することができる。このため、2つの基準点(A点及びB点)を登録する前記第1経路生成モードと比較して、経路生成作業の作業性を向上させることができる。
【0102】
[他の実施形態]
本発明は上述の実施形態に限定されない。以下、本発明の他の実施形態について説明する。
【0103】
上述の実施形態では、表示処理部711は、
図9Cに示す設定画面P12において、基準方位(例えば北)に対する設定方位角d1と基準線L1とを表す画像を、入力欄K16に入力された角度とは関係なく固定の画像(説明用画像)として表示させている。他の実施形態として、表示処理部711は、
図16に示すように、前記画像における設定方位角及び基準線を、入力欄K16に入力された角度に応じて表示させてもよい。
図16に示すれでは、前記画像内の角度は「72.0093度」に相当する。これにより、オペレータは、設定方位角d1及び基準線L1を容易に把握することができる。
【0104】
さらに、例えばオペレータが初期角度(設定方位角d0、登録済設定方位角)に対して角度を変更する操作を行った場合に、表示処理部711は、
図17に示すように、初期角度と、変更後の角度とを識別可能に表示させてもよい。これにより、オペレータは角度の変更前後の基準線L1を容易に把握することができる。また、
図18に示すように画像内においてオペレータが角度変更後の基準線をタッチした場合に、表示処理部711は、基準線の角度を初期角度に戻してもよい。
【0105】
また、表示処理部711は、
図19に示すように、作業車両10の画像を表示させてもよい。また、表示処理部711は、入力欄K16に入力される角度に応じて前記画像を回転させてもよい。
【0106】
本発明の他の実施形態として、記憶部72は、圃場、作業車両10、及び作業種別の少なくともいずれかの情報が対応付けられた一又は複数の設定方位角d0(登録済設定方位角)を記憶してもよい。この場合に、操作制御部71は、目標経路Rを生成する対象の前記情報が対応付けられた角度を設定方位角d0(初期角度)に設定してもよい。例えば、記憶部72に設定方位角情報DB(
図20参照)が記憶されてもよい。設定方位角情報DBには、「登録日」、「圃場」、「作業車両」、「作業種別」、「設定方位角」の情報が含まれる。
【0107】
例えば、目標経路Rを生成しようとしている対象の圃場が「圃場Fa」、作業車両が「作業車両A」、作業種別が「作業Wa」の場合に、操作制御部71は、これらの情報に対応付けられた「角度Da」を設定方位角d0(初期角度)に設定する。
【0108】
上記構成によれば、過去に登録された設定方位角のうち、条件に合致した適切な設定方位角を利用して目標経路Rを生成することが可能となる。よって、作業車両10による作業精度の向上及び経路生成作業の作業性の向上を図ることができる。
【0109】
本発明の他の実施形態として、設定処理部713は、作業車両10の作業モードを設定し、当該作業モードに基づいて、前記経路生成モードを特定(設定)してもよい。
【0110】
具体的には、設定処理部713は、作業車両10の作業モードを、測位制御部161における前記測位状態が所定状態から低下した場合に作業車両10の自動走行を停止させる作業精度優先(本発明の第1作業モードの一例)、及び、測位制御部161における測位状態が前記所定状態から低下した場合に作業車両10の自動走行を継続させる作業継続優先(本発明の第2作業モードの一例)のうちいずれかに設定する。前記所定状態は、例えばRTK測位可能な高精度状態をいう。
【0111】
例えば、設定処理部713は、オペレータによる前記作業精度優先及び前記作業継続優先のいずれかを選択する選択操作に基づいて前記作業モードを設定する。具体的には、オペレータは、
図21Aに示す設定画面P3において「作業精度」(設定項目K31)を選択し、設定画面P31(
図21B参照)において作業モードを選択する。設定画面P31には、「DGNSS」(設定項目K32)、「RTK作業精度優先」(設定項目K33)、「RTK作業継続優先」(設定項目K34)が含まれる。なお、DGNSSは、1台の受信機(測位用アンテナ164)が受信する測位情報(GNSS信号など)に基づいて作業車両10を測位する測位方式である。オペレータは、RTK方式を選択する場合に、「作業精度優先」又は「作業継続優先」を選択する。例えば、オペレータは、前記測位状態が低下した場合に自動走行を一時停止させて作業精度の低下を防ぎたい(作業精度を優先させたい)場合に「作業精度優先」を選択する。これに対して、例えば、オペレータは、前記測位状態が低下した場合に自動走行を継続させて作業効率の低下を防ぎたい(作業効率を優先させたい)場合に「作業継続優先」を選択する。
【0112】
前記作業モードが前記作業精度優先に設定されている場合には、車両制御装置11は、前記測位状態が高精度状態の場合にRTK方式による前記位置情報に基づいて作業車両10を自動走行させ、前記測位状態が高精度状態から低下した場合に作業車両10の自動走行を停止(一時停止)させる。例えば、作業車両10が自動走行中に障害物の影響により前記測位状態が低下すると測位精度が低下してしまうため、車両制御装置11は作業車両10を一時停止させる。作業車両10が一時停止した後、前記測位状態が回復して高精度状態(高精度測位完了)になると、車両制御装置11は、作業車両10の自動走行を再開させる。これにより、作業車両10の作業精度の低下を防ぐことができる。
【0113】
これに対して、前記作業モードが前記作業継続優先に設定されている場合には、車両制御装置11は、前記測位状態が高精度状態の場合にRTK方式による前記位置情報に基づいて作業車両10を自動走行させ、前記測位状態が高精度状態から低下した場合にDGNSS方式又はDGPS方式による前記位置情報に基づいて作業車両10を自動走行させる。例えば、作業車両10が自動走行中に障害物の影響により前記測位状態が低下すると、車両制御装置11は、前記測位方式をRTK方式からDGNSS方式に切り替える。このように、車両制御装置11は、前記測位状態が高精度状態の場合にRTK方式による測位により作業車両10を自動走行させ、前記測位状態が低下した場合にDGNSS方式による測位により作業車両10の自動走行を継続させる。これにより、作業車両10の作業効率の低下を防ぐことができる。
【0114】
上記構成では、設定処理部713は、前記作業モードに基づいて、複数の経路生成モードのうちいずれかの経路生成モードを特定してもよい。例えば、設定処理部713は、前記作業精度優先が選択された場合に(
図21C参照)、前記第1経路生成モードを特定する。また例えば、設定処理部713は、前記作業継続優先が選択された場合に(
図21D参照)、前記第2経路生成モード又は前記第3経路生成モードを特定する。また、設定処理部713は、前記作業継続優先が選択された場合であって、かつ過去に設定された設定方位角d0(登録済設定方位角)が記憶部72に予め記憶されている場合に、前記第3経路生成モードを特定してもよい。
【0115】
また、設定処理部713は、前記経路生成モードを特定すると、当該経路生成モードを推奨モードとしてオペレータに提示(提案)する。例えば、設定処理部713は、前記作業継続優先が選択された場合に、前記第3経路生成モードを推奨モードとしてオペレータに提示する。また、設定処理部713は、設定画面P11(
図5B参照)において、推奨モードを識別可能に表示させてもよい。このように、操作制御部71は、複数の経路生成モードのうち、設定された前記作業モードに応じた経路生成モードをオペレータに提示してもよい。
【0116】
本発明の他の実施形態として、設定処理部713は、複数の経路生成モードのうち、圃場、作業車両、及び作業種別の少なくともいずれかの情報に基づいて、経路生成モードを特定してもよい。例えば、設定処理部713は、圃場Fの広さが所定面積以上の場合に前記第3経路生成モードを特定し、圃場Fの広さが所定面積未満の場合に前記第1経路生成モード又は前記第2経路生成モードを特定する。また、例えば、設定処理部713は、設定方位角d1が登録された作業車両10の場合に前記第3経路生成モードを特定し、設定方位角d1が登録されていない作業車両10又は設定方位角d1の設定機能を備えていない作業車両10の場合に前記第1経路生成モード又は前記第2経路生成モードを特定する。また例えば、設定処理部713は、高い精度を要求される作業の場合に前記第1経路生成モードを特定し、高い精度を要求されない作業の場合に前記第2経路生成モード又は前記第3経路生成モードを特定する。
【0117】
本発明の他の実施形態として、前記第1経路生成モード、前記第2経路生成モード、及び前記第3経路生成モードのそれぞれにおいて、操作制御部71は、基準点(A点、B点)の登録処理を、オペレータによる操作装置17における入力操作のみにより実行してもよい。例えば、操作制御部71は、操作装置17に圃場Fの地図情報を表示させ、オペレータは、地図上の任意の位置を指定する。操作制御部71は、オペレータが指定した位置に基準点を設定する。この構成によれば、オペレータは作業車両10を運転操作することなく基準点を登録して目標経路Rを生成することができる。
【0118】
なお、本発明の作業車両10は、旋回時にも自動走行可能であってもよい。この場合、目標経路Rには、直進経路及び旋回経路が含まれる。また、作業車両10において、オペレータが旋回時の自動走行及び手動走行を切り替え可能であってもよい。また、作業車両10は、無人で目標経路Rを自動走行してもよい。この場合、オペレータは、操作端末を遠隔操作して走行開始指示などを行ってもよい。また、遠隔操作に利用される操作端末は、本実施形態に係る操作装置17であってもよいし、操作装置17の各処理部を備えてもよい。
【0119】
本発明の経路生成システムは、操作装置17単体で構成されてもよいし、操作装置17に含まれる各処理部を備えたサーバーで構成されてもよい。また、前記経路生成システムは、操作装置17を備える作業車両10で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 :自動走行システム
10 :作業車両
11 :車両制御装置
12 :記憶部
13 :走行装置
14 :作業機
15 :通信部
16 :測位装置
17 :操作装置
20 :衛星
71 :操作制御部
72 :記憶部
73 :操作表示部
711 :表示処理部
712 :受付処理部
713 :設定処理部
714 :生成処理部
B1 :自動走行ボタン
D1 :作業画面(第2画面)
P11 :設定画面(第1画面)
F :圃場
L1 :基準線
R :目標経路
d0 :設定方位角(登録済設定角度)
d1 :設定方位角(設定角度)