(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150422
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】排気システム、及び、第1並びに第2排気装置
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20231005BHJP
F01N 13/18 20100101ALI20231005BHJP
F01N 1/06 20060101ALI20231005BHJP
F01N 1/08 20060101ALI20231005BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F01N13/08 A
F01N13/18
F01N1/06 F
F01N1/08 F
F01N3/28 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059525
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 峰明
(72)【発明者】
【氏名】森井 英行
【テーマコード(参考)】
3G004
3G091
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004CA04
3G004CA12
3G004DA01
3G004DA14
3G004FA01
3G004GA01
3G091AA02
3G091BA39
3G091HA01
3G091HA44
3G091HB01
(57)【要約】
【課題】排気システムの製造コストを抑制する。
【解決手段】車両の排気システムは、第1及び第2排気装置を備える。第1排気装置は、第1外管部と、第1外管部の内側に位置する第1内管部とを備える。第2排気装置は、第1外管部に接合される第2外管部と、第2外管部の内側に位置する第2内管部と、保持部材とを備える。保持部材は、第2外管部と、第2内管部との間に設けられ、第2外管部の内周面又は前記第2内管部の外周面に対し摺動可能である。保持部材は、第1内管部の外周面に対し摺動可能に当接する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における排ガスの流路を形成するよう構成された第1及び第2排気装置を有する排気システムであって、
前記第1排気装置は、
前記第2排気装置の第2外管開口に接続されるよう構成された第1外管開口を有する第1外管部と、
前記第1外管部の内側に位置し、前記第1外管開口から外側に突出するように設けられ、第1内管開口を有する第1内管部と、を備え、
前記第2排気装置は、
前記第2外管開口を有し、前記第1外管部に接合されるよう構成された第2外管部と、
前記第2外管開口よりも内側に位置する第2内管開口を有し、前記第2外管部の内側に位置する第2内管部と、
前記第2外管部の内周面と、前記第2内管部の外周面における前記第2内管開口に隣接する部分との間に設けられた部位であって、前記第2外管部の内周面及び前記第2内管部の外周面のうちの一方に対し摺動可能な部位である保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記第1内管部の外周面に対し、摺動可能に当接するよう構成される
排気システム。
【請求項2】
請求項1に記載の排気システムであって、
前記第1内管部における前記第1内管開口の付近には、前記第1内管開口に向かうに従い細くなる縮小部が設けられている
排気システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気システムであって、
前記第1及び第2排気装置のうちの少なくとも一方は、前記内管部と前記外管部との間の空間に排ガスを流入させることで、消音が行われるよう構成されている
排気システム。
【請求項4】
請求項3に記載の排気システムであって、
前記第1及び前記第2排気装置のうち、排ガスの流れ方向の上流側に位置するものを、上流側排気装置とし、
前記上流側排気装置は、前記内管部と前記外管部との間の空間に排ガスを流入させることで、消音が行われるよう構成されており、
前記上流側排気装置は、排ガスを浄化するための浄化部材が配置される空間をさらに備え、
前記上流側排気装置の前記内管部は、前記浄化部材が配置される空間に対し、排ガスの流れ方向の下流側に位置する
排気システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の排気システムであって、
前記第1及び第2排気装置のうちの少なくとも一方は、前記内管部と前記外管部との間の空間を用いて音波の干渉を利用した消音が行われるよう構成されている
排気システム。
【請求項6】
第2外管部と、前記第2外管部の内側に位置する第2内管部と、を備える第2排気装置と共に、車両における排ガスの流路を形成するよう構成された第1排気装置であって、
前記第2外管部の第2外管開口に接続されるよう構成された第1外管開口を有すると共に、前記第2外管部に接合されるよう構成される第1外管部と、
前記第1外管部の内側に位置し、前記第1外管開口から外側に突出するように設けられ、第1内管開口を有する第1内管部と、を備え、
前記第1内管部は、前記第1外管開口が前記第2外管開口に接続される際、当該第1内管部の外周面が、前記第2排気装置の前記第2外管部と前記第2内管部との間に設けられた保持部材に対し、摺動可能に当接するよう構成される
第1排気装置。
【請求項7】
第1外管部と、前記第1外管部の内側に位置する第1内管部と、を備える第1排気装置と共に、車両における排ガスの流路を形成するよう構成された第2排気装置であって、
前記第1外管部の第1外管開口に接続されるよう構成される第2外管開口を有すると共に、前記第1外管部に接合されるよう構成される第2外管部と、
前記第2外管開口よりも内側に位置する第2内管開口を有し、前記第2外管部の内側に位置する第2内管部と、
前記第2外管部の内周面と、前記第2内管部の外周面における前記第2内管開口に隣接する部分との間に設けられた部位であって、前記第2外管部の内周面及び前記第2内管部の外周面のうちの一方に対し摺動可能な部位である保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記第2外管開口が前記第1外管開口に接続される際、前記第1内管部の外周面に対し摺動可能に当接するよう構成される
第2排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
二重管構造を有する排気管において、内管と外管との間にワイヤメッシュを配置することで内管を保持する技術が知られている(例えば、特許文献1)。このような構成によれば、ワイヤメッシュにより、内管と外管との間の熱伸び差を吸収できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術のように、内管と外管との間の複数個所にワイヤメッシュを配置するとなると、部品点数が増加し、製造コストの増加が懸念される。
本開示の一態様では、排気システムの製造コストの抑制を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、車両における排ガスの流路を形成するよう構成された第1及び第2排気装置を有する排気システムであって、第1排気装置は、第1外管部と、第1内管部と、を備える。第1外管部は、第2排気装置の第2外管開口に接続されるよう構成された第1外管開口を有する。第1内管部は、第1外管部の内側に位置し、第1外管開口から外側に突出するように設けられ、第1内管開口を有する。第2排気装置は、第2外管部と、第2内管部と、保持部材と、を備える。第2外管部は、第2外管開口を有し、第1外管部に接合されるよう構成される。第2内管部は、第2外管開口よりも内側に位置する第2内管開口を有し、第2外管部の内側に位置する。保持部材は、第2外管部の内周面と、第2内管部の外周面における第2内管開口に隣接する部分との間に設けられた部位であって、第2外管部の内周面及び第2内管部の外周面のうちの一方に対し摺動可能な部位である。また、保持部材は、第1内管部の外周面に対し、摺動可能に当接するよう構成される。
【0006】
上記構成によれば、第2排気装置に設けられた保持部材にて、第2排気装置における第2外管部及び第2内管部の熱伸び差と、第1排気装置における第1外管部及び第1内管部の熱伸び差とを吸収できる。このため、排気システムにおける部品点数を減らすことができ、排気システムの製造コストを低減できる。
【0007】
本開示の一態様では、第1内管部における第1内管開口の付近には、第1内管開口に向かうに従い細くなる縮小部が設けられていても良い。
上記構成によれば、保持部材が第1内管部の外周面に摺動可能に当接するよう、第1内管部を配置し易くなる。このため、排気システムの製造が容易になる。
【0008】
本開示の一態様では、第1及び第2排気装置のうちの少なくとも一方は、内管部と外管部との間の空間に排ガスを流入させることで、消音が行われるよう構成されていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、空間に排ガスを流入させることで消音を行う排気装置を含む排気システムの製造コストを低減できる。
本開示の一態様では、第1及び第2排気装置のうち、排ガスの流れ方向の上流側に位置するものを、上流側排気装置とし、上流側排気装置は、内管部と外管部との間の空間に排ガスを流入させることで、消音が行われるよう構成されていても良い。上流側排気装置は、排ガスを浄化するための浄化部材が配置される空間をさらに備えても良い。上流側排気装置の内管部は、浄化部材が配置される空間に対し、排ガスの流れ方向の下流側に位置しても良い。
【0010】
上記構成によれば、浄化部材の下流側の空間を消音空間として利用できる。このため、排ガスの浄化や消音に用いる部材の配置スペースや部品点数を抑制できる。
本開示の一態様では、第1及び第2排気装置のうちの少なくとも一方は、内管部と外管部との間の空間を用いて音波の干渉を利用した消音が行われるよう構成されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、音波の干渉を利用した消音を行う排気装置を含む排気システムの製造コストを低減できる。
また、本開示の一態様は、上記排気システムにおける第1又は第2排気装置である。これらの排気装置によれば、排気システムにおける部品点数を減らすことができ、排気システムの製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の排気システムの断面図である。
【
図2】第2実施形態の排気システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0014】
[第1実施形態]
[1.概要]
第1実施形態の排気システム1は、車両に搭載され、メインマフラ(図示なし)と、第1及び第2サブマフラ2、5とを備え、車両のエンジンからの排ガスの流路を形成する(
図1参照)。なお、排気システム1は、メインマフラを備えていなくても良い。具体的には、第1サブマフラ2における排ガスの流れ方向の下流側の開口は、第2サブマフラ5における排ガスの流れ方向の上流側の開口に接続されている。また、第1サブマフラ2における下流側の開口を含む部分と、第2サブマフラ5における上流側の開口を含む部分とは、それぞれ、2重管構造を有している。
【0015】
[2.第1サブマフラ]
第1サブマフラ2は、消音器としての機能と、排ガスの浄化装置としての機能とを備え、一例として、軸線10に沿って延びる管状の部材として構成される(
図1参照)。なお、軸線10は、直線であっても良いし、屈曲又は湾曲した形状であっても良い。無論、これに限らず、第1サブマフラ2は、例えば、屈曲又は湾曲した形状であっても良い。第1サブマフラ2は、第1外管部3と、第1内管部4と、浄化部材21とを備える。
【0016】
[(1)第1外管部]
第1外管部3は、一例として円筒状の部位であり、軸線10に直交する断面(以後、単に断面と記載)が円形となっている(
図1参照)。また、第1外管部3は、図示しない入口部及び拡管部と、本体部30と、縮管部31と、出口部32とを備える。
【0017】
入口部は、第1外管部3(換言すれば、第1サブマフラ2)への排ガスの入口を形成する円筒状の部位であり、第1サブマフラ2の上流側に隣接する排気管に接続される。
拡管部は、入口部の下流側に隣接する部位であり、下流側に向かうに従い断面の径が拡大する形状となっている。
【0018】
本体部30は、拡管部の下流側に隣接しており、内部に排ガスを浄化する浄化部材21が配置される円筒状の部位である。なお、浄化部材21とは、例えば、排ガスとの接触により排ガス中の汚染物質を改質又は捕集する触媒として構成されていても良い。
【0019】
縮管部31は、本体部30の下流側に隣接しており、下流側に向かうに従い断面の径が縮小する形状となっている。
出口部32は、縮管部31の下流側に隣接する円筒状の部位であり、出口部32の下流側の開口は、第1外管部3(換言すれば、第1サブマフラ2)を通過した排ガスの出口である第1外管開口33を形成する。なお、一例として、出口部32は、スピニング加工により形成されても良い。
【0020】
[(2)第1内管部]
第1内管部4は、第1外管部3の本体部30における下流側の端部を含む部位と、縮管部31と、出口部32との内側に配置される(
図1参照)。第1内管部4は、壁部40と、ストレート部42とを備える。なお、壁部40及びストレート部42は、一体又は別体の部材として構成され得る。
【0021】
壁部40は、軸線10が中心に位置する円形の板状の部位であり、外周をなす縁部には、フランジ状の接続部41が設けられる。接続部41は、本体部30の内周面に接合されている。また、壁部40の中央には、壁部40を貫通する円形の穴が設けられている。また、壁部40は、軸線10に直交するように設けられており、本体部30の内部空間を上流側と下流側とに仕切る。そして、壁部40の上流側の空間には、排ガスの浄化部材21が配置され、下流側は、マフラの騒音を抑制するための消音空間20が形成される。なお、消音空間20には、グラスウール等の吸音材が配置されていてもよい。
【0022】
また、壁部40の形状は、適宜定めることができ、例えば、軸線10と直交せず、中心に向かうに従い下流側に突出する略円錐台形状であっても良い。壁部40がこのような形状を有する場合、浄化部材21を通過した排ガスが下流側に流れやすくなる。
【0023】
ストレート部42は、壁部40における中央の穴を囲む縁部から、軸線10に沿って真っすぐに下流側に突出する円筒状の部位である。ストレート部42は、第1外管部3、より詳しくは、本体部30、縮管部31、及び出口部32と共に二重管を形成している。第1外管部3とストレート部42とは、断面が軸線10を中心とした同心円を形成するように配置され、ストレート部42と、本体部30、縮管部31、及び出口部32との間には、ストレート部42を周回するように上述した消音空間20が形成される。
【0024】
また、ストレート部42の下流側の端部に位置する第1内管開口43の付近には、下流側に向かうに従いストレート部42の断面の径が縮小する(換言すれば、細くなる)縮小部44が形成されている。一例として、縮小部44は、軸線10に対して傾斜するテーパ形状(換言すれば、吸込み形状)を有しており、第1内管開口43に隣接する。
【0025】
しかし、この他にも、例えば、縮小部44は、第1内管開口43から若干の間隔を空けた位置に設けられ、縮小部44と第1内管開口43との間に、真っすぐに延びる部分が設けられていても良い。つまり、ストレート部42の下流側の端部は、下流側に向かうに従い段階的に細くなっても良い。この場合、縮小部44は、軸線10に対し直交するように設けられていてもよい。また、本実施形態では、縮小部44は、軸線10に平行な断面において直線状に延びるが、例えば、縮小部44は、該断面において、湾曲した形状を有していても良い。
【0026】
なお、ストレート部42は、縮小部44を有さず、下流側の端部まで真っすぐに延びていても良い。そして、ストレート部42における縮小部44を含む下流側の端部は、第1外管部3の第1外管開口33から外側に突出する。換言すれば、ストレート部42の下流側の開口である第1内管開口43及び縮小部44は、第1外管開口33の外側に位置する。
【0027】
また、ストレート部42の外周面には、少なくとも1つの穴部45が設けられている。穴部45は、ストレート部42を貫通しており、消音空間20と、ストレート部42の内部空間とを連通する。
【0028】
このため、本体部30に収容された浄化部材21を通過し、浄化された排ガスは、壁部40の中央の穴を通過してストレート部42に流入する。そして、ストレート部42に流入した排ガスが、ストレート部42の穴部45を通過して消音空間20に流入して膨張することで、騒音の消音が行われる。また、仮に消音空間20に吸音材が配置されている場合には、吸音材によりさらに消音が行われる。
【0029】
[3.第2サブマフラ]
第2サブマフラ5は、音波の干渉を利用した消音を行う消音器としての機能を備える(
図1参照)。具体的には、第2サブマフラ5は、例えば、ヘルムホルツ共鳴を利用した消音が行われてもよいし、サイドブランチを利用した消音が行われてもよい。第2サブマフラ5は、二重管を形成するように配置された第2外管部6及び第2内管部7と、保持部材51とを備える。第2サブマフラ5は、例えば、軸線10に沿って延びていてもよいし、屈曲又は湾曲した形状であっても良い。
【0030】
[(1)第2外管部及び第2内管部]
第2外管部6及び第2内管部7は、それぞれ、上流側に位置する開口である第2外管開口60及び第2内管開口70を有する(
図1参照)。第2内管部7は、第2外管部6の内側に位置し、第2外管部6と第2内管部7とは、断面が軸線10を中心とした同心円を形成するように配置される。そして、第2外管部6と第2内管部7との間には、第2内管部7を周回するように消音空間50が形成される。
【0031】
また、第2外管部6の上流側の端部は、第2内管部7の上流側の端部よりも上流側に位置する。つまり、第2内管開口70は、第2外管部6の内側に位置する。また、一例として、第2外管部6及び第2内管部7における上流側の端部を含む部分は、軸線10に沿って延びていている。一例として、該部分は、軸線10に沿って真っすぐに延びる。
【0032】
また、第2外管部6及び第2内管部7の下流側の端部には、図示しない接合部が設けられており、第2外管部6及び第2内管部7は、接合部にて互いに接合される。また、接合部には、消音空間50と、第2内管部7の内部空間とを連通する少なくとも1つの連通路が形成されている。また、消音空間50における上流側の端部は、後述する保持部材51により覆われている。
【0033】
このため、第2サブマフラ5に流入した排ガスは、主に、第2内管部7の第2内管開口70を通過し、第2内管部7の内側に位置する内部空間71を流下する。また、第2サブマフラ5では、第2内管部7の内部空間71を流下する排ガスにより生成された音波が、接合部の連通路を介して消音空間50に進入する。そして、第2内管部7の内部空間71と消音空間50とにおいて音波の干渉が生じ、消音が行われる。
【0034】
また、一例として、第2外管部6及び第2内管部7における接合部以外の部分は、断面の径が略一定となっており、消音空間50の厚さは、当該消音空間50の上流側の端部から下流側の端部にわたって略一定となっている。
【0035】
[(2)保持部材]
保持部材51は、一例としてワイヤメッシュとして構成されており、第2内管部7の外周面における第2内管開口70に隣接する部分と、第2外管部6の内周面との間に設けられている(
図1参照)。
【0036】
より詳しくは、保持部材51は、第2内管部7を周回するように配置される。また、保持部材51の一部である上流側部分52は、第2外管部6の内周面における第2内管開口70よりも上流側の部分に設けられており、上流側部分52もまた、第2内管開口70を周回するように設けられる。また、一例として、保持部材51は、第2外管部6の第2外管開口60から離間した位置に設けられる。無論、保持部材51は、第2外管開口60に隣接して設けられていても良いし、第2外管開口60からはみ出していても良い。また、保持部材51は、第2内管部7を周回することなく設けられていても良い。
【0037】
また、保持部材51は、第2内管部7の外周面に対し一例としてスポット溶接により接合されており、第2外管部6の内周面は、保持部材51に対し摺動可能に当接している。つまり、保持部材51により、第2外管部6及び第2内管部7の熱伸び差を吸収するためのスライド構造が提供される。
【0038】
なお、これとは反対に、保持部材51は、第2外管部6の内周面に対し接合されており、第2内管部7の外周面が、保持部材51に対し摺動可能に当接していても良い。この場合、第2内管部7の上流側の端部に、上流側に向かうに従い細くなる縮小部を形成するのが好適である。これにより、保持部材51の内側に第2内管部7の上流側の端部を挿入し易くなり、第2外管部6の内側に第2内管部7を組み付けるのが容易になる。
【0039】
[4.第1及び第2サブマフラの接合]
第1サブマフラ2の第1外管部3における第1外管開口33は、第2サブマフラ5の第2外管部6の第2外管開口60に接続される(
図1参照)。具体的には、第2外管部6における第2外管開口60を含む端部は、第1外管部3における第1外管開口33に挿入されている。そして、第1外管部3における第1外管開口33を囲む縁部は、第2外管部6に対し、一例として溶接により接合される。
【0040】
また、第1サブマフラ2の第1内管部4における第1内管開口43は、第2サブマフラ5の第2内管部7における第2内管開口70に対面する。そして、第1内管部4における第1内管開口43を含む端部は、第2サブマフラ5の保持部材51における上流側部分52に挿入される。換言すれば、第1内管部4における第1外管開口33から突出した部分が、上流側部分52に挿入される。上流側部分52は、第1内管部4の縮小部44と、縮小部44に隣接する部分とを周回した状態となる。
【0041】
なお、
図1に示すように、第1内管開口43と第2内管開口70との間に隙間が形成されていてもよい。また、例えば、第1内管開口43と第2内管開口70とが接していてもよいし、第1内管開口43が、第2内管部7の内側に位置していてもよい。
【0042】
保持部材51の上流側部分52は、第1内管部4の外周面と、第2サブマフラ5の第2外管部6の内周面との間に位置する。そして、第1内管部4は上流側部分52に対し接合されておらず、第1内管部4の外周面は、上流側部分52に対し摺動可能に当接する。このため、第2サブマフラ5の保持部材51により、第1サブマフラ2における第1外管部3及び第1内管部4の熱伸び差を吸収するためのスライド構造が提供される。
【0043】
[第2実施形態]
[5.概要]
第2実施形態の排気システム1は、第1実施形態と同様の第1及び第2サブマフラ2、5を備える(
図2参照)。しかし、第2実施形態は、スライド構造を提供するための保持部材22が第1サブマフラ2に設けられているという点で、第1実施形態と相違する。以下では、第2実施形態の排気システム1の構成について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0044】
[6.第1サブマフラ]
第2実施形態の第1サブマフラ2は、第1内管部4のストレート部42の構成と、保持部材22が設けられている点とにおいて、第1実施形態と相違する(
図2参照)。
【0045】
第2実施形態では、ストレート部42の下流側の端部には、縮小部が設けられていない。また、ストレート部42の第1内管開口43は、第1外管部3の第1外管開口33よりも内側に配置される。換言すれば、第1外管部3の出口部32の下流側の端部は、第1内管開口43よりも下流側に位置する。
【0046】
そして、保持部材22は、第1実施形態と同様、一例としてワイヤメッシュにより構成されており、ストレート部42の外周面における第1内管開口43に隣接する部分と、出口部32の内周面との間に設けられている。
【0047】
より詳しくは、保持部材22は、ストレート部42を周回するように配置される。また、保持部材22の一部である下流側部分23は、出口部32の内周面における第1内管開口43よりも下流側の部分に設けられており、下流側部分23もまた、第1内管開口43を周回するように設けられる。また、一例として、保持部材22は、出口部32における第1外管開口33から離間した位置に設けられる。無論、保持部材22は、第1外管開口33に隣接して設けられていても良いし、第1外管開口33からはみ出していても良い。また、保持部材22は、ストレート部42を周回することなく設けられていても良い。
【0048】
また、保持部材22は、ストレート部42の外周面に対し一例としてスポット溶接により接合されており、出口部32の内周面は、保持部材22に対し摺動可能に当接している。つまり、保持部材22により、第1外管部3及び第1内管部4の熱伸び差を吸収するためのスライド構造が提供される。なお、これとは反対に、保持部材22は、出口部32の内周面に対し接合されており、ストレート部42の外周面が、保持部材22に対し摺動可能に当接していても良い。
【0049】
[7.第2サブマフラ]
第2実施形態の第2サブマフラ5は、第2内管部7の構成と、保持部材が設けられていない点とにおいて第1実施形態と相違する(
図2参照)。
【0050】
第2内管部7の第2内管開口70の付近には、第1実施形態と同様にして、上流側に向かうに従い第2内管部7の断面の径が縮小する縮小部72が形成されている。一例として、縮小部72は、第1実施形態と同様、テーパ形状であり、第2内管開口70に隣接する。
【0051】
しかし、この他にも、第1実施形態で述べたように、縮小部72は、例えば、第2内管開口70から若干の間隔を空けた位置に設けられていても良いし、軸線10に対し直交するように設けられていてもよい。また、縮小部44は、軸線10に平行な断面において、湾曲した形状を有していても良い。
【0052】
なお、第2内管部7は、縮小部72を有さず、上流側の端部まで真っすぐに延びていても良い。そして、第2内管部7における縮小部72を含む上流側の端部は、第2外管部6の第2外管開口60から外側に突出する。換言すれば、第2内管開口70及び縮小部72は、第2外管開口60の外側に位置する。
【0053】
また、第2外管部6の内周面と第2内管部7の外周面との間には、第1実施形態と同様の隙間が形成されており、該隙間には、保持部材は配置されていない。
[7.第1及び第2サブマフラの接合]
第2実施形態においても、第1サブマフラ2の第1外管部3における第1外管開口33は、第2サブマフラ5の第2外管部6の第2外管開口60に接続される(
図2参照)。しかし、第2実施形態では、第1外管部3における第1外管開口33を含む端部は、第2外管部6における第2外管開口60に挿入されている。そして、第2外管部6における第2外管開口60を囲む縁部は、第1外管部3に対し、一例として溶接により接合される。
【0054】
また、第1サブマフラ2の第1内管部4における第1内管開口43は、第2サブマフラ5の第2内管部7における第2内管開口70に対面する。そして、第2内管部7における第2内管開口70を含む端部は、第1サブマフラ2の保持部材22における下流側部分23に挿入される。換言すれば、第2内管部7における第2外管開口60から突出した部分が、下流側部分23に挿入される。下流側部分23は、第2内管部7の縮小部72と、縮小部72に隣接する部分とを周回した状態となる。
【0055】
なお、
図2に示すように、第1内管開口43と第2内管開口70との間に隙間が形成されていてもよい。また、例えば、第1内管開口43と第2内管開口70とが接していてもよいし、第1内管開口43が、第2内管部7の内側に位置していてもよい。
【0056】
保持部材22の下流側部分23は、第2内管部7の外周面と、第1サブマフラ2の出口部32の内周面との間に位置する。そして、第2内管部7は下流側部分23に対し接合されておらず、第2内管部7の外周面は、下流側部分23に対し摺動可能に当接する。このため、第1サブマフラ2の下流側部分23により、第2サブマフラ5における第2外管部6及び第2内管部7の熱伸び差を吸収するためのスライド構造が提供される。
【0057】
[8.効果]
(1)上記実施形態によれば、第1又は第2サブマフラ2、5の一方に設けられた保持部材22、55により、第1及び第2サブマフラ2、5における二重管の熱伸び差を吸収できる。このため、排気システム1における部品点数を減らすことができ、排気システム1の製造コストを低減できる。
【0058】
(2)また、上記実施形態では、第1内管開口43と第2内管開口70との間に隙間が存在しており、これにより、第1及び第2内管部4、7の熱伸びを吸収できる。また、第1内管開口43と第2内管開口70と間の空間を囲むように保持部材22、55が設けられる。このため、第1又は第2サブマフラ2、5の接続部分からの熱の放射を抑制できる。
【0059】
(3)また、第1実施形態の第1サブマフラ2の第1内管部4には、縮小部44が設けられている。このため、第1及び第2サブマフラ2、5を接続する際、第1内管部4を、第2サブマフラ5の保持部材51に挿入し易くなる。また、第2実施形態においても、第2サブマフラ5の第2内管部7には、縮小部72が設けられている。このため、第1及び第2サブマフラ2、5を接続する際、第2内管部7を、第1サブマフラ2の保持部材22に挿入し易くなる。このため、排気システム1の製造が容易になる。
【0060】
(4)また、第1実施形態の第1サブマフラ2には、保持部材が設けられていないため、消音空間20を広くすることができる。このため、第1サブマフラ2による消音効果が向上する。
【0061】
(5)また、第1及び第2実施形態の第1サブマフラ2では、浄化部材21の下流側に第1内管部4が設けられている。そして、第1内管部4と第1外管部3との間に、消音空間20が設けられる。このため、排ガスの浄化や消音に用いる部材の配置スペースや部品点数を抑制できる。
【0062】
[9.他の実施形態]
(1)本開示は、サブマフラを有する排気システム1に限らず、二重管構造を有する部位により接続される様々な排気装置の組み合わせを有する排気システムに適用可能である。具体的には、上記実施形態の第1及び第2サブマフラ2、5は、それぞれ、同様の構成により接続される例えば、メインマフラ、排気熱回収装置、又は排ガスの浄化装置等の排気装置として構成されていても良い。
【0063】
(2)上記実施形態における排気システム1における第1又は第2サブマフラ2、5を、単独で市場に流通させてもよい。このような場合であっても、対応する構成を有する排気装置と組み合わせて使用することで、同様の効果が得られる。
【0064】
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0065】
[10.文言の対応関係]
第1実施形態の第1サブマフラ2、及び第2実施形態の第2サブマフラ5は、第1排気装置の一例に相当する。第1実施形態の第2サブマフラ5、及び第2実施形態の第1サブマフラ2は、第2排気装置の一例に相当する。第1及び第2実施形態の第1サブマフラ2は、上流側排気装置の一例に相当する。
【符号の説明】
【0066】
1…排気システム、2…第1サブマフラ、20…消音空間、22…保持部材、23…下流側部分、3…第1外管部、33…第1外管開口、4…第1内管部、42…ストレート部、43…第1内管開口、44…縮小部、5…第2サブマフラ、50…消音空間、51…保持部材、52…上流側部分、6…第2外管部、60…第2外管開口、7…第2内管部、70…第2内管開口、71…内部空間、72…縮小部。