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特開2023-150425コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルト及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150425
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルト及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 9/13 20060101AFI20231005BHJP
   A23C 9/123 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A23C9/13
A23C9/123
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059529
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】扇元 修志
(72)【発明者】
【氏名】福田 大
【テーマコード(参考)】
4B001
【Fターム(参考)】
4B001AC03
4B001AC31
4B001AC40
4B001AC99
4B001BC03
4B001BC06
4B001BC07
4B001BC13
4B001BC14
4B001EC01
4B001EC05
4B001EC99
(57)【要約】
【課題】コエンザイムQ10を多く含んでも喉越しが良好で、風味は落ちることなく発酵乳由来の風味が十分感じられ、且つコエンザイムQ10の均一分散性にも優れたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルト及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ドリンクヨーグルト全体中、コエンザイムQ10を0.02~0.3重量%含有し、増粘剤の含量が0.4重量%以下であり、且つ水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物が、発酵乳に混合されてから均質化されたドリンクヨーグルトであって、前記コエンザイムQ10の含量が前記水中油型乳化物全体中0.045~2.1重量%の水中油型乳化物をドリンクヨーグルト全体中14~46重量%含有し、前記発酵乳の原料ミックス全体中の乳蛋白質の含量が2.4~6.4重量%の前記発酵乳由来の乳蛋白質をドリンクヨーグルト全体中2~3.5重量%含有し、ドリンクヨーグルト中の前記乳蛋白質/前記コエンザイムQ10(重量比)が8~40であり、前記発酵乳は、pH4~5まで乳酸発酵された発酵乳であり、前記水中油型乳化物中のコエンザイムQ10はメジアン径が0.2~4.5μmの油滴である、コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルト。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリンクヨーグルト全体中、コエンザイムQ10を0.02~0.3重量%含有し、増粘剤の含量が0.4重量%以下であり、
且つ水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物が、発酵乳に混合されてから均質化されたドリンクヨーグルトであって、
前記コエンザイムQ10の含量が前記水中油型乳化物全体中0.045~2.1重量%の水中油型乳化物をドリンクヨーグルト全体中14~46重量%含有し、
前記発酵乳の原料ミックス全体中の乳蛋白質の含量が2.4~6.4重量%の前記発酵乳由来の乳蛋白質をドリンクヨーグルト全体中2~3.5重量%含有し、
ドリンクヨーグルト中の前記乳蛋白質/前記コエンザイムQ10(重量比)が8~40であり、
前記発酵乳は、pH4~5まで乳酸発酵された発酵乳であり、
前記水中油型乳化物中のコエンザイムQ10はメジアン径が0.2~4.5μmの油滴である、コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルト。
【請求項2】
前記コエンザイムQ10がユビキノールである、請求項1に記載のコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルト。
【請求項3】
HLBが5~15であって、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリドに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を、ドリンクヨーグルト全体中0.01~0.3重量%含有する、請求項1又は2に記載のコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルト。
【請求項4】
前記増粘剤としてHMペクチンをドリンクヨーグルト全体中0.05~0.3重量%含有する、請求項1~3の何れかに記載のコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルト。
【請求項5】
乳蛋白質の含量が発酵乳の原料ミックス全体中2.4~6.4重量%になるように水と乳原料を混合してから殺菌した後、40~46℃に温調し、乳酸菌を添加してpHが4~5になるまで発酵させ、0~10℃になるまで冷却した後、高圧ホモジナイザーにて5~35MPaの圧力で均質化して発酵乳を得、
コエンザイムQ10の含量が、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物全体中0.045~2.1重量%になるように、コエンザイムQ10を水に添加し、前記水中油型乳化物中のコエンザイムQ10のメジアン径が0.2~4.5μmの油滴になるように50~80℃で均質化した後、殺菌し、5~40℃まで冷却して水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物を得、
前記発酵乳を攪拌している所に、前記水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物を、発酵乳/水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物(重量比)が1.2~6となるように添加して混合した後、高圧ホモジナイザーにて4~35MPaの圧力で均質化してから、0~10℃に温度調整することを特徴とする、コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの製造方法。
【請求項6】
前記水中油型乳化物を得る工程において、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物全体中、HLBが5~15であり、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリドに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を0.024~2.1重量%、及び/又は、HMペクチンを0.12~2.1重量%含有するように、乳化剤及び/又はHMペクチンを水に添加することを特徴とする、請求項5に記載のコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コエンザイムQ10を含有するドリンクヨーグルト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は健康への意識の高まりもあって、様々な健康機能を目的としたドリンクヨーグルトが上市されている。コエンザイムQ10は、各種疾病に対して優れた薬理及び生理効果を示す機能性材料であり、コエンザイムQ10を含む様々な食品が開発されている。しかしながら、コエンザイムQ10は脂溶性物質で水に難溶であることに加え、ドリンクヨーグルトは液状の食品であることもあって、コエンザイムQ10の沈殿、凝集、油浮き等が起こり易く、ドリンクヨーグルト中に均一に分散させることが難しい。過去には、コエンザイムQ10を含有する発酵乳として、例えばカゴメ社製「ヨーグルケア コエンザイムQ10」が販売されていたが、その含有量は10mgと少なかった。コエンザイムQ10の含有量を高めるためには、水溶化したコエンザイムQ10を添加する方法もあるが、水溶化には多量の乳化剤や分散剤、賦形剤を必要とし、それらに由来する異味等のために発酵乳由来の風味が損なわれる。また、増粘剤によって粘度を高めて均一分散性を良くすることで、コエンザイムQ10の含有量を高められるが、そのためには比較的多くの量を添加する必要があり、ザラツキが感じられたり、粘度が高くなり過ぎて後口のスッキリさ感が損なわれ、喉越しが悪くなる。
【0003】
特許文献1には、増粘剤を添加して粘度を調整することで、乳化剤を配合することなくコエンザイムQ10の分散性を向上させ、均一に分散した状態を保持することができるコエンザイムQ10含有飲料が開示されている。しかしながら、増粘剤が必須であるため、できた飲料の粘度は高く、喉越しが良くない。また、当該特許文献には、乳蛋白質を含有することの記載や示唆はなく、乳蛋白質を添加することで更に粘度が高くなって喉越しが悪くなったり、コエンザイムQ10の分散性が逆に低下する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-254871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コエンザイムQ10を多く含んでも喉越しが良好で、風味は落ちることなく発酵乳由来の風味が十分感じられ、且つコエンザイムQ10の均一分散性にも優れたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルト及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、増粘剤の含量が特定量以下であり、コエンザイムQ10を含む水中油型乳化物、特定のpHまで乳酸発酵された発酵乳由来の乳蛋白質、及び特定のメジアン径であるコエンザイムQ10の油滴をそれぞれ特定量含有し、且つ、ドリンクヨーグルト中の前記乳蛋白質/前記コエンザイムQ10(重量比)が特定の範囲内にあるコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトは、コエンザイムQ10を多く含んでも喉越しが良好で、風味は落ちることなく発酵乳由来の風味が十分感じられ、且つコエンザイムQ10の均一分散性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の第一は、ドリンクヨーグルト全体中、コエンザイムQ10を0.02~0.3重量%含有し、増粘剤の含量が0.4重量%以下であり、且つ水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物が、発酵乳に混合されてから均質化されたドリンクヨーグルトであって、前記コエンザイムQ10の含量が前記水中油型乳化物全体中0.045~2.1重量%の水中油型乳化物をドリンクヨーグルト全体中14~46重量%含有し、前記発酵乳の原料ミックス全体中の乳蛋白質の含量が2.4~6.4重量%の前記発酵乳由来の乳蛋白質をドリンクヨーグルト全体中2~3.5重量%含有し、ドリンクヨーグルト中の前記乳蛋白質/前記コエンザイムQ10(重量比)が8~40であり、前記発酵乳は、pH4~5まで乳酸発酵された発酵乳であり、前記水中油型乳化物中のコエンザイムQ10はメジアン径が0.2~4.5μmの油滴である、コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトに関する。好ましい実施態様は、前記コエンザイムQ10がユビキノールである、前記コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトに関する。より好ましくは、HLBが5~15であって、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリドに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を、ドリンクヨーグルト全体中0.01~0.3重量%含有する、前記コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルト、更に好ましくは、前記増粘剤としてHMペクチンをドリンクヨーグルト全体中0.05~0.3重量%含有する、前記コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトに関する。本発明の第二は、乳蛋白質の含量が発酵乳の原料ミックス全体中2.4~6.4重量%になるように水と乳原料を混合してから殺菌した後、40~46℃に温調し、乳酸菌を添加してpHが4~5になるまで発酵させ、0~10℃になるまで冷却した後、高圧ホモジナイザーにて5~35MPaの圧力で均質化して発酵乳を得、コエンザイムQ10の含量が、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物全体中0.045~2.1重量%になるように、コエンザイムQ10を水に添加し、前記水中油型乳化物中のコエンザイムQ10のメジアン径が0.2~4.5μmの油滴になるように50~80℃で均質化した後、殺菌し、5~40℃まで冷却して水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物を得、前記発酵乳を攪拌している所に、前記水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物を、発酵乳/水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物(重量比)が1.2~6となるように添加して混合した後、高圧ホモジナイザーにて4~35MPaの圧力で均質化してから、0~10℃に温度調整することを特徴とする、コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの製造方法に関する。好ましい実施態様は、前記水中油型乳化物を得る工程において、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物全体中、HLBが5~15であり、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリドに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を0.024~2.1重量%、及び/又は、HMペクチンを0.12~2.1重量%含有するように、乳化剤及び/又はHMペクチンを水に添加することを特徴とする、前記コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従えば、コエンザイムQ10を多く含んでも喉越しが良好で、風味は落ちることなく発酵乳由来の風味が十分感じられ、且つコエンザイムQ10の均一分散性にも優れたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルト及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明につき、更に詳細に説明する。本発明のコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトは、増粘剤の含量が特定量以下であり、コエンザイムQ10を含む水中油型乳化物、特定のpHまで乳酸発酵された発酵乳由来の乳蛋白質、及び特定のメジアン径であるコエンザイムQ10の油滴をそれぞれ特定量含有し、且つ、ドリンクヨーグルト中の前記乳蛋白質/前記コエンザイムQ10(重量比)が特定の範囲内にあることを特徴とする、ドリンクタイプのヨーグルトである。
【0010】
ここで、ドリンクヨーグルト、即ちドリンクタイプのヨーグルトは、発酵乳を含有する飲料をいい、乳等省令における発酵乳、乳製品乳酸菌飲料、及び、乳酸菌飲料を含む。コエンザイムQ10の均一分散性や喉越しの観点からは、無脂乳固形分が多い発酵乳が好ましい。
【0011】
本発明のドリンクヨーグルトは、喉越しの観点から、10℃における粘度は3~100mPa・sが好ましく、5~70mPa・sがより好ましく、10~50mPa・sが更に好ましい。粘度が上記範囲を外れると、ドリンクヨーグルトの喉越しが劣る場合がある。前記10℃における粘度は、B型粘度計により、No.1又は2のローターを用いて、回転速度60rpm、30秒間で測定することができる。なお、ローターの選択は、粘度が100mPa・s以下の場合はNo.1のローターを、100mPa・sを超える場合はNo.2とする。
【0012】
前記コエンザイムQ10は、ヒトに多く含まれ、2,3-ジメトキシ-5-メチル-6-ポリプレニル-1,4-ベンゾキノンの内、側鎖のイソプレン単位の数が10のものをいう。また、前記コエンザイムQ10には、酸化型と還元型が知られており、酸化型は「ユビキノン」、還元型は「ユビキノール」と命名されている。本発明においては、コエンザイムQ10として、ユビキノン、ユビキノールの何れを使用してもよく、また、両者を併用してもよいが、経口吸収性及びバイオアベイラビリティの観点からは、ユビキノールを使用することが好ましい。
【0013】
前記コエンザイムQ10の含量は、ドリンクヨーグルト全体中、0.02~0.3重量%であることが好ましく、0.03~0.3重量%がより好ましく、0.05~0.3重量%が更に好ましく、0.1~0.3重量%が特に好ましい。コエンザイムQ10の含量が0.02重量%より少ないと、ドリンクヨーグルトの摂食によるコエンザイムQ10の補給が効率的でない場合がある。一方、0.3重量%より多いと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が劣る場合がある。
【0014】
前記水中油型乳化物は、水とコエンザイムQ10からなり、油脂を含まない場合でも、連続相が水系であり、コエンザイムQ10は油滴同様に存在するので、本発明においては水中油型乳化物とする。該水中油型乳化物には、水とコエンザイムQ10以外に、油脂、親油性乳化剤等を油滴に、増粘剤、糖類、親水性乳化剤等を水相に含んでも良い。
【0015】
前記水中油型乳化物の含有量は、ドリンクヨーグルト全体中、14~46重量%であることが好ましく、17~46重量%がより好ましく、20~46重量%が更に好ましく、28~46重量%が特に好ましい。水中油型乳化物の含有量が14重量%より少ないと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が劣る場合がある。一方、46重量%より多いと、ドリンクヨーグルトの喉越しが悪くなる場合がある。
【0016】
前記コエンザイムQ10の含量は、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物全体中、0.045~2.1重量%が好ましく、0.06~2.1重量%がより好ましく、0.1~2.1重量%が更に好ましい。0.045重量%より少ないと、ドリンクヨーグルトの摂食によるコエンザイムQ10の補給が効率的でない場合がある。一方、2.1重量%より多いと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が劣る場合がある。
【0017】
前記コエンザイムQ10の含量は、例えば次のようにして測定することができる。まずドリンクヨーグルトが均一になるように、よく混合して均一になったドリンクヨーグルト4gをキャップ付き試験管に正確に量り取り、蒸留水10mLと飽和食塩水1mLを加え、約30秒間、超音波処理を行いヨーグルトの塊がなくなるまでよく懸濁させる。
【0018】
次いでエタノール20mLとn-ヘキサン20mLを加え、振とう器にて200rpmで5分間振とうさせる。振とうには、株式会社ヤヨイ製の振とう器「Model YS-8D」を使用し、弧を描くように振とうすることが好ましい。振とう後に2000rpmで2分間遠心分離を行い、上清を100mLのナスフラスコに入れてエバポレーターにて乾燥させた後、窒素シールする。ナスフラスコに入れる際には、パスツールピペットを用い、可能な限り上清を全て回収することが肝要である。また、エバポレーターで乾燥させる際には発泡や突沸がないように注意する。
【0019】
再度、試験管を約30秒間超音波処理により懸濁させた後、n-ヘキサン20mLを加え、振とう器にて200rpmで5分間振とうさせる。2000rpmで2分間遠心分離を行い、上清を前記100mLのナスフラスコに入れてエバポレーターにて乾燥させた後、窒素シールする。エタノール/n-ヘキサン混液(4:1)5mLでナスフラスコの内容物を溶解し、褐色メスフラスコに移液する。メスフラスコに移液する際にはパスツールピペットを使用し、全量を移液する。
【0020】
再度エタノール/n-ヘキサン混液(4:1)5mLでナスフラスコの内容物を溶解し、前記褐色メスフラスコに移液し、超音波処理を行う。エタノール/n-ヘキサン混液(4:1)を加えて正確に20mLとし、よく撹拌した後、その約1mLを0.45μmのフィルターでろ過しHPLC分析を行う。この時のHPLC条件は、カラム:SYMMETRY C18(Waters製)250mm(長さ)4.6mm(内径)、移動相:COH:CHOH=4:3(v:v)、検出波長:210nm、流速:1ml/min、還元型コエンザイムQ10の保持時間:9.1min、酸化型コエンザイムQ10の保持時間:13.3minとする。
【0021】
前記増粘剤は、食用であれば特に限定はないが、例えば、アラビアガム、カラギナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、ローメトキシルペクチン(LMペクチン)、ハイメトキシルペクチン(HMペクチン)、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、水溶性大豆多糖類、グルコマンナン、でん粉、化工でん粉、加工でん粉、デキストリン、ジェランガム、キサンタンガム、プルラン、カードラン、セルロース、カルボキシメチルセルロース塩、メチルセルロース、キチン、キトサン、ゼラチン、寒天等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0022】
前記増粘剤の含量は、ドリンクヨーグルトの喉越しの観点から、少なければ少ないほど良く、ドリンクヨーグルト全体中、0.4重量%以下が好ましく、0.3重量%以下がより好ましく、0.15重量%以下が更に好ましく、0.05重量%以下が特に好ましく、含有しないことが最も好ましい。
【0023】
また、前記増粘剤中でも特に、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性の観点からは、HMペクチンが好ましい。前記HMペクチンは、主にガラクチュロン酸とメチル化ガラクチュロン酸で構成される多糖類であり、全ガラクチュロン酸のうちメチル化ガラクチュロン酸が占める割合(エステル化度:DE)が50%以上のものをいう。
【0024】
前記HMペクチンの含有量は、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性と、ドリンクヨーグルトの喉越しとのバランスを考えてドリンクヨーグルト全体中、0.05~0.3重量%が好ましく、0.05~0.25重量%がより好ましく、0.07~0.22重量%が更に好ましく、0.1~0.2重量%が特に好ましい。含有量が0.05重量%より少ないと、コエンザイムQ10の均一分散性のより大きな向上効果が得られない場合がある。また、0.3重量%より多いと、喉越しが悪くなる場合がある。
【0025】
前記乳蛋白質は、乳原料が特定のpHまで乳酸発酵された発酵乳由来の蛋白質であり、カゼイン蛋白質、ホエイ蛋白質等が乳酸発酵で変性した蛋白質等が挙げられる。前記乳原料としては特に制限はなく、例えば、バターミルク、チーズ、クリームチーズ、濃縮ホエイ、ホエイ、生乳、牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、加工乳、乳飲料、濃縮乳、脱脂濃縮乳、全脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、及びそれらの粉体;ホエイ蛋白質濃縮物(WPC);並びにトータルミルクプロテイン等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用すればよい。中でも、風味の観点からは、生乳、牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳、脱脂粉乳が好ましい。また、健康志向の観点からは、乳脂肪の含有量が少ない、脱脂乳、脱脂粉乳が好ましい。
【0026】
前記発酵乳は、好適にはpH4~5まで乳酸発酵された発酵乳であり、乳酸発酵終了時のpHは4.2~5がより好ましく、4.2~4.8が更に好ましい。pHが4よりも低いとドリンクヨーグルトの酸味が強く感じられ過ぎる場合がある。また、pHが5よりも高いと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が悪くなったり、ドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味が落ちる場合がある。
【0027】
前記pH4~5まで乳酸発酵された発酵乳由来の乳蛋白質の含量は、ドリンクヨーグルト全体中、2~3.5重量%が好ましく、2.3~3.5重量%がより好ましく、2.5~3.2重量%が更に好ましい。2重量%より少ないとドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が悪くなったり、発酵乳由来の風味が落ちる場合がある。また、3.5重量%より多いと、ドリンクヨーグルトの喉越しが悪くなる場合がある。また、発酵乳由来の乳蛋白質以外の乳蛋白質の含量は、ドリンクヨーグルト全体中0.3重量%未満が好ましい。
【0028】
本発明のpH4~5まで乳酸発酵された発酵乳の原料ミックス全体中における乳蛋白質の含量は、2.4~6.4重量%が好ましく、2.4~5.8重量%がより好ましく、2.9~5.8重量%が更に好ましい。2.4重量%より少ないと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が悪くなったり、発酵乳由来の風味が落ちる場合がある。また、6.4重量%より多いと、ドリンクヨーグルトの喉越しが悪くなる場合がある。なお、発酵乳の原料ミックスとは、水に前記乳原料とその他材料を混合して得られる、乳酸菌を添加する前の発酵乳原料の混合物をいう。
【0029】
ドリンクヨーグルト中の前記乳蛋白質/前記コエンザイムQ10(重量比)は、8~40が好ましく、10~30がより好ましく、15~25が更に好ましい。重量比が8より小さいと、コエンザイムQ10の均一分散性が悪くなる場合がある。また、40より大きいと喉越しが悪くなる場合がある。
【0030】
本発明のドリンクヨーグルトには、コエンザイムQ10の均一分散性の観点からは、HLBが5~15であって、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリドに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を含有することが好ましい。前記有機酸としては、酢酸、クエン酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸、乳酸等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸デカグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。前記乳化剤のHLBは、8~15がより好ましく、10~15が更に好ましい。HLBが上記範囲を外れると、コエンザイムQ10の均一分散性をより向上させる効果が得られない場合がある。
【0031】
前記乳化剤の含有量は、ドリンクヨーグルト全体中、0.01~0.3重量%が好ましく、0.03~0.2重量%がより好ましく、0.05~0.15重量%が更に好ましく、0.07~0.12重量%が特に好ましい。0.01重量%より少ないと、コエンザイムQ10の均一分散性をより向上させる効果が得られない場合がある。また、0.3重量%より多いと、異味が感じられる場合がある。
【0032】
本発明のドリンクヨーグルトは、コエンザイムQ10の均一分散性及び発酵乳由来の風味の観点から、pH4~5が好ましく、4~4.8がより好ましく、4~4.6が更に好ましく、4~4.5が特に好ましい。pHが4より低いと、ドリンクヨーグルトの酸味が強く感じられ過ぎる場合がある。またpHが5より高いと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が低下したり、発酵乳由来の風味が落ちる場合がある。
【0033】
本発明のドリンクヨーグルトは、発明の効果を損なわない限り、前記コエンザイムQ10、及び前記乳蛋白質に加えて、前記増粘剤、前記乳化剤、及び他の成分(任意成分)を含有してもよい。前記他の成分としては、例えば、油脂、糖類、着香料、着色料、風味材、酸化防止剤等が挙げられる。
【0034】
前記油脂としては、食用であれば特に限定はないが、例えば、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム核油、乳脂、ラード、魚油等の各種の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0035】
前記糖類としては、特に限定されず、高甘味度甘味料、上白糖、グラニュー糖、粉糖をはじめ、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖、還元パラチノース、ソルビトール、乳糖、還元乳糖、L-アラビノース、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖等の糖類や糖アルコール、蜂蜜やカエデ糖等の天然の甘味料等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0036】
高甘味度甘味料としては、特に限定はないが、例えば、スクラロース、アスパルテーム、アリテーム、モナチン、カンゾウ抽出物、甘茶抽出物、ラカンカ抽出物、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ソーマチン、ラカンカ抽出物等が挙げられる。
【0037】
前記着香料は、特に限定はないが、天然香料又は合成香料であって、例えば、ヨーグルトフレーバー、フルーツフレーバー、植物フレーバー、又はこれらの混合物が挙げられる。前記フルーツフレーバーとしては、例えば、レモン、オレンジ、蜜柑、グレープフルーツ、シークヮーサー、柚及びライム等の柑橘類、苺、桃、葡萄、林檎、パイナップル、マンゴー、メロン、及びバナナ等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。また、前記植物フレーバーとしては、例えば、ココア、チョコレート、バニラ、コーヒー、コーラ、ティー、シナモン、クローブ等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0038】
前記着色料としては、食用であれば特に限定はないが、例えば、ベニコウジ色素、クチナシ、ラック、コチニール、カロテン等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0039】
前記風味材としては、食用であれば特に限定はないが、桃;マンゴー;パパイヤ;スイカ;メロン;リンゴ;柿;梨(洋なしも含まれる);バナナ;ビワ;ザクロ;レイシ;プラム;杏;パイナップル;ぶどう;キーウイ;すもも;うめ;さくらんぼ;パッションフルーツ;イチゴ、ブラックカラント、レッドカラント、クランベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、及びラズベリー等のベリー類;オレンジやグレープフルーツ等の柑橘類;並びに;アロエ類等をそのまま又は加工したものが挙げられる。具体的には、これらの果肉・葉肉・種子・果皮をカットしたり、ピューレ状、又はすりおろし状としたもの;並びに、これらに代えて、これらを模した、ゼリー、寒天ゲル、ナタデココ、及び杏仁豆腐等のカット品等が挙げられる。前記風味材としては、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0040】
前記酸化防止剤としては、食用であれば特に限定はないが、ビタミンA、カロテノイド、ビタミンC、ビタミンE、セレン、フラボノイド、ポリフェノール、リコペン、ルテイン、リグナン等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0041】
本発明のドリンクヨーグルトは、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物が、発酵乳に混合されてから均質化されたドリンクヨーグルトであるところ、例えば、発酵乳を得る工程、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物を得る工程、前記発酵乳及び前記水中油型乳化物を混合及び均質化する工程を有する製造方法により製造することができる。
【0042】
(発酵乳を得る工程)
発酵乳の原料ミックスとして、水と乳原料を混合して調製してから殺菌した後、温調し、乳酸菌を添加して発酵させ、冷却した後、高圧ホモジナイザーで均質化して発酵乳を得る。
【0043】
水と乳原料を混合する際は、発酵乳の原料ミックス全体中、乳蛋白質の含量が2.4~6.4重量%になるように調整することが好ましく、2.4~5.8重量%がより好ましく、2.9~5.8重量%が更に好ましい。2.4重量%より少ないと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が悪くなったり、発酵乳由来の風味が落ちる場合がある。また、6.4重量%より多いと、ドリンクヨーグルトの喉越しが悪くなる場合がある。
【0044】
前記殺菌は、常法に従えばよく、バッチ殺菌の場合は、60~95℃で1~60分間が好ましく、75~95℃で1~15分間がより好ましく、85~95℃で1~10分間が更に好ましい。殺菌温度が60℃より低かったり、保持時間が1分間より短いと、殺菌処理の効果を得ることが難しい場合がある。また、殺菌温度が95℃より高かったり、保持時間が60分間より長いと、乳蛋白質が熱変性してドリンクヨーグルトの喉越しが低下する場合がある。
【0045】
また、プレート殺菌の場合は、90~140℃で2~600秒間が好ましく、110~140℃で2~5秒間がより好ましく、120~140℃で2~3秒間が更に好ましい。殺菌温度が90℃より低かったり、保持時間が2秒間より短いと、殺菌処理の効果を得ることが難しい場合がある。また、殺菌温度が140℃より高かったり、保持時間が600秒間より長いと、乳蛋白質が熱変性してドリンクヨーグルトの喉越しが低下する場合がある。
【0046】
本発明のドリンクヨーグルトの製造方法においては、喉越しの観点から、加熱履歴が短く乳蛋白質の熱変性が小さいプレート殺菌が好ましい。
【0047】
前記温調は、40~46℃で行うことが好ましく、41~45℃がより好ましく、42~44℃が更に好ましい。前記温調の温度が40~46℃の範囲を外れると、乳酸発酵時における乳酸菌の活性が低下して、発酵に時間がかかったり、ドリンクヨーグルトの風味が低下する場合がある。
【0048】
前記乳酸菌は、乳酸菌スターターを用いればよい。該乳酸菌スターターとしては、特に限定されず、通常ヨーグルトに使用されるものを用いることができる。例えば、ラクトコッカス(Lactococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ペディオコッカス(Pediococcus)、ロイコノストック(Leuconostoc)に属する乳酸球菌、ラクトバチルス(Lactobacillus)に属する乳酸桿菌、ビフィズス菌(Bifidobacterium)等が挙げられる。具体例としては、Streptococcus thermophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium lactis等が挙げられる。
【0049】
前記乳酸菌の添加量としては特に限定されないが、ヨーグルトの作製に通常使用される量であればよく、例えば、発酵乳100重量部に対して、0.00001~5重量部になるように添加すればよく、凍結乾燥タイプでは0.00001~0.05重量部、発酵液タイプでは0.01~5重量部を目安とすればよい。
【0050】
前記発酵は、pHが4~5になるまで発酵させることが好ましく、発酵終了時のpHは4.2~5がより好ましく、4.2~4.8が更に好ましい。発酵終了時のpHが4より低いとドリンクヨーグルトの酸味が強く感じられ過ぎる場合がある。また、発酵終了時のpHが5よりも高いとドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味が不足したり、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が劣る場合がある。なお、pHの測定は、常法に従えばよく、例えばpHメーター(株式会社堀場製作所製「F-52」)を用いて測定することができる。
【0051】
前記冷却の温度は、0~10℃が好ましく、1~10℃がより好ましく、1~8℃が更に好ましく、3~7℃が特に好ましい。冷却温度が0℃よりも低いと、発酵乳が凍結する場合がある。また、10℃よりも高いとドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味が低下したり、衛生が劣る場合がある。
【0052】
前記高圧ホモジナイザーによる均質化時の圧力は、5~35MPaが好ましく、5~30MPaがより好ましく、10~25MPaが更に好ましい。圧力が5MPaより低いと、発酵乳の粘度が高くなって、発酵乳の生産性が低下したり、ドリンクヨーグルトの喉越しが悪くなる場合がある。また、35MPaより高いと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が低下する場合がある。
【0053】
なお、前記発酵乳は、乳酸発酵終了後に殺菌しても構わないが、喉越しと生菌タイプのドリンクヨーグルト作製の観点からは、殺菌しないことが望ましい。
【0054】
(水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物を得る工程)
前記コエンザイムQ10と、必要に応じて、前記乳化剤、及び/又は、前記HMペクチンや、前記他の成分(任意成分)を水に添加し、均質化した後、殺菌し、冷却して、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物を得る。前記他の成分は、発酵乳の一原料として添加しても構わないが、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性や喉越しの観点から、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物の原料として添加することが好ましい。
【0055】
前記コエンザイムQ10の含量は、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物全体中、0.045~2.1重量%となるようにコエンザイムQ10を水に添加することが好ましく、0.06~2.1重量%がより好ましく、0.1~2.1重量%が更に好ましい。0.045重量%より少ないと、ドリンクヨーグルトの摂食によるコエンザイムQ10の補給が効率的でない場合がある。一方、2.1重量%より多いと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が劣る場合がある。
【0056】
前記均質化は、水中油型乳化物中のコエンザイムQ10のメジアン径が0.2~4.5μmの油滴になるように、公知の均質化装置を用いて実施することができ、温調や時間をコントロールして処理することが好ましく、0.2~4μmがより好ましく、0.3~3μmが更に好ましい。メジアン径が0.2μmより小さいと、ドリンクヨーグルトが増粘して喉越しが悪くなったり、ドリンクヨーグルトを製造できない場合がある。また、4.5μmよりも大きいと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が悪くなったり、ドリンクヨーグルトの喉越しが低下する場合がある。該均質化処理に用いる装置としては、特に限定されないが、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、コロイドミル等が挙げられる。なお、前記メジアン径は、最終製品のドリンクヨーグルトにおいても、大きく変化することはないと考えられる。
【0057】
前記均質化時の温度は、50~80℃が好ましく、60~75℃がより好ましく、65~75℃が更に好ましい。該温度が50℃より低いと、コエンザイムQ10の溶解が不十分で、ドリンクヨーグルト中での均一分散性が悪くなる場合がある。また、80℃より高いと設備が過剰になったり、ユティリティ費が嵩んで製造コストが高くなる場合がある。
【0058】
前記均質化した後の殺菌は、バッチ殺菌の場合、60~95℃で1~30分間が好ましく、75~95℃で1~15分間がより好ましく、85~95℃で1~10分間が更に好ましい。殺菌温度が60℃より低かったり、保持時間が1分間より短いと、殺菌処理の効果を得ることが難しい場合がある。また、殺菌温度が95℃より高かったり、保持時間が30分間より長いと、コエンザイムQ10の油滴が合一して、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が低下する場合がある。
【0059】
また、プレート殺菌の場合は、90~140℃で2~60秒間が好ましく、100~140℃で2~5秒間がより好ましく、110~140℃で2~3秒間が更に好ましい。殺菌温度が90℃より低かったり、保持時間が2秒間より短いと、殺菌処理の効果を得ることが難しい場合がある。また、殺菌温度が140℃より高かったり、保持時間が60秒間より長いと、コエンザイムQ10の油滴が合一して、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が低下する場合がある。本発明のドリンクヨーグルトにおいては、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性の観点から、プレート殺菌が好ましい。
【0060】
前記冷却の温度は、5~40℃まで冷却することが好ましく、10~40℃がより好ましく、15~35℃が更に好ましい。冷却の温度が上記範囲を外れると、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が低下する場合がある。
【0061】
前記乳化剤の含有量は、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物全体中0.024~2.1重量%となるように乳化剤を水に添加することが好ましく、0.06~1.4重量%がより好ましく、0.1~1.1重量%が更に好ましく、0.15~0.85重量%が特に好ましい。0.024重量%より少ないと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性をより向上させる効果が得られない場合がある。また、2.1重量%より多いと、ドリンクヨーグルトの喉越しが悪くなる場合がある。
【0062】
前記水中油型乳化物に添加する乳化剤としては、HLBが5~15であり、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリドに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、ショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤が好ましい。
【0063】
増粘剤である前記HMペクチンの含有量は、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物全体中、0.12~2.1重量%となるようにHMペクチンを水に添加することが好ましく、0.12~1.8重量%がより好ましく、0.15~1.6重量%が更に好ましく、0.2~1.4重量%が特に好ましい。0.12重量%より少ないと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性のより大きな向上効果が得られない場合がある。また、2.1重量%より多いと、ドリンクヨーグルトの喉越しが悪くなる場合がある。
【0064】
(混合工程)
前記発酵乳を攪拌している所に、前記水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物を添加して混合した後、高圧ホモジナイザーにて均質化してから、温度調整することにより、ドリンクヨーグルトを得ることができる。
【0065】
前記混合における前記水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物に対する前記発酵乳の重量比は、1.2~6が好ましく、1.2~5がより好ましく、1.2~4が更に好ましく、1.2~2.5が特に好ましい。該重量比が1.2よりも小さいと、ドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味が落ちる場合がある。また、6よりも大きいと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が低下する場合がある。
【0066】
前記均質化の圧力は、4~35MPaが好ましく、5~30MPaがより好ましく、10~25MPaが更に好ましい。圧力が4Mpaより低いと、ドリンクヨーグルトの喉越しが悪くなったり、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が低下する場合がある。また、35MPaより高いと、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性が低下する場合がある。
【0067】
前記温度調整後の温度は、0~10℃が好ましく、1~10℃がより好ましく、1~8℃が更に好ましく、2~6℃が特に好ましい。調整後の温度が0℃よりも低いと、ドリンクヨーグルトが凍結する場合がある。また、10℃よりも高いとドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味が低下したり、衛生が劣る場合がある。なお、混合工程における水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物の品温が10℃以下の場合は、温度調整は不要である。
【0068】
以上説明したドリンクヨーグルトの製造方法によれば、コエンザイムQ10を多く含んでも喉越しが良好で、風味は落ちることなく発酵乳由来の風味が十分感じられ、且つコエンザイムQ10の均一分散性にも優れたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトを容易に製造することができる。
【実施例0069】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
【0070】
また、実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
1)(株)カネカ製「脱脂粉乳」(蛋白質含量:34重量%)
2)メルクジャパン(株)製「ホエイパウダー Fondolac SL」(蛋白質含量:26重量%)
3)(株)カネカ製「カネカQH」(還元型コエンザイムQ10:ユビキノール)
4)三栄源エフ・エフ・アイ(株)製「サンスイートSU-100」(スクラロース)
5)昭和産業(株)製「ニューフラクトR-0」(異性化液糖、固形分:75%)
6)太陽化学(株)製「サンソフトQ-18S」(モノステアリン酸デカグリセリン脂肪酸エステル、HLB:12)
7)三晶(株)製「YM-150-LJ」
【0071】
<ドリンクヨーグルトの成分組成>
(コエンザイムQ10の含量の測定)
ドリンクヨーグルト4gをキャップ付き試験管に正確に量り取り、蒸留水10mLと飽和食塩水1mLを加え、約30秒間超音波処理を行い懸濁させた。エタノール20mLとn-ヘキサン20mLを加え、振とう器にて200rpmで5分間振とうした。2000rpmで2分間遠心分離を行い、上清を100mLのナスフラスコに入れてエバポレーターにて乾燥させた後、窒素シールした。再度、試験管を約30秒間超音波処理により懸濁させた後、n-ヘキサン20mLを加え、振とう器にて200rpmで5分間振とうさせた。2000rpmで2分間遠心分離を行い、上清を前記100mLのナスフラスコに入れてエバポレーターにて乾燥させた後、窒素シールした。エタノール/n-ヘキサン混液(4:1)5mLでナスフラスコの内容物を溶解し、褐色メスフラスコに移液した。再度エタノール/n-ヘキサン混液(4:1)5mLでナスフラスコの内容物を溶解し、前記褐色メスフラスコに移液し、超音波処理を行った。エタノール/n-ヘキサン混液(4:1)を加えて正確に20mLとし、その約1mLを0.45μmのフィルターでろ過しHPLC分析を行った。
【0072】
(HPLC条件)
分析カラム:SYMMETRY C18(Waters製)250mm(長さ)4.6mm(内径)
移動相:COH:CHOH=4:3(v:v)
検出波長:210nm
流速:1ml/min
還元型コエンザイムQ10の保持時間:9.1min
酸化型コエンザイムQ10の保持時間:13.3min
【0073】
<コエンザイムQ10の油滴のメジアン径の測定>
コエンザイムQ10の油滴のメジアン径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-960V2」((株)堀場製作所製)を用いて測定した。即ち、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物を攪拌して均一にした後、約0.2gを採取し、水が約250ml入った測定容器に投入し、1.7s-1で撹拌し均一に分散してから測定した。
【0074】
<発酵乳及びドリンクヨーグルトの評価>
(発酵終了時の発酵乳、及び、ドリンクヨーグルトのpHの測定)
発酵終了時の発酵乳、及び、ドリンクヨーグルトのpHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製「F-52」)により測定した。
【0075】
(ドリンクヨーグルトの10℃における粘度の測定)
10℃における粘度は、B型粘度計により、No.1又は2のローターを用いて、回転速度60rpm、30秒間で測定した。なお、ローターの選択は、粘度が100mPa・s以下の場合はNo.1のローターを、100mPa・sを超える場合はNo.2とした。
【0076】
(ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性)
実施例及び比較例で得られた各ドリンクヨーグルト(各水準10個)を、10℃で2週間保存した後のコエンザイムQ10の油滴のダマ、及び、浮きの発生状況を目視で観察し、以下の基準で評価して、その平均点を評価点とした。なお、還元型コエンザイムQ10を使用したドリンクヨーグルトは、2000ルクスの光照射下において、10℃で2週間保存し、還元型コエンザイムQ10を酸化させて黄変することで均一分散性を評価した。
5点:実施例1よりも良く、コエンザイムQ10の油滴のダマ、及び、浮きの発生が全くなく、均一分散性が極めて良好である
4点:実施例1と同等で、コエンザイムQ10の油滴のダマ、及び、浮きの発生がなく、均一分散性が良好である
3点:実施例1よりも若干劣り、コエンザイムQ10の油滴のダマ、及び、浮きの発生が僅かにあるが、均一分散性は品質上、問題のないレベルである
2点:実施例1よりも悪く、コエンザイムQ10の油滴のダマ、及び/又は、浮きの発生があり、均一分散性が劣る
1点:実施例1よりも明らかに悪く、コエンザイムQ10の油滴のダマ、及び/又は、浮きの発生が酷く、均一分散性がない
【0077】
(ドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味)
熟練した10人のパネラーに、実施例及び比較例で得られた各ドリンクヨーグルトを10℃に温調したものを食してもらって、以下の基準で官能評価を行い、8名以上が○と評価した場合を最終評価○、3名以上が×と評価した場合を最終評価×とした。
○:異味や異臭が感じられず、発酵乳由来の風味が落ちていない
×:異味や異臭が感じられたり、風味が弱く感じられて、発酵乳由来の風味が落ちている
【0078】
(ドリンクヨーグルトの喉越し)
熟練した10人のパネラーに、実施例及び比較例で得られた各ドリンクヨーグルトを10℃に温調したものを食してもらって官能評価を行い、その評価点の平均値を官能評価とした。その際の評価基準は以下の通りであった。
5点:実施例1のドリンクヨーグルトよりも良く、喉越しが極めて良好である
4点:実施例1のドリンクヨーグルトと同等で、喉越しが良好である
3点:実施例1のドリンクヨーグルトよりも少し悪く、喉越しが若干劣るが、商品としては問題ないレベルである
2点:実施例1のドリンクヨーグルトよりも悪く、ザラつき、及び/又は、後残りが感じられて、喉越しが悪い
1点:実施例1のドリンクヨーグルトよりも非常に悪く、ザラつき、及び/又は、後残りが明らかに感じられて、喉越しが極めて悪い
【0079】
(総合評価)
コエンザイムQ10の均一分散性、発酵乳由来の風味、及び、喉越しの評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:発酵乳由来の風味が○で、コエンザイムQ10の均一分散性、及び、喉越しが4.0点以上5.0点以下を満たすもの
B:発酵乳由来の風味が○で、コエンザイムQ10の均一分散性、及び、喉越しが3.5点以上5.0点以下であって、且つ3.5点以上4.0点未満が少なくとも一つあるもの
C:発酵乳由来の風味が○で、コエンザイムQ10の均一分散性、及び、喉越しが3.0点以上5.0点以下であって、且つ3.0点以上3.5点未満が少なくとも一つあるもの
D:発酵乳由来の風味が○で、コエンザイムQ10の均一分散性、及び、喉越しが2.0点以上5.0点以下であって、且つ2.0点以上3.0点未満が少なくとも一つあるもの
E:発酵乳由来の風味が×、及び/又は、コエンザイムQ10の均一分散性、及び、喉越しの評価において、2.0点未満が少なくとも一つあるもの
【0080】
(実施例1) コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの作製
表1の配合に従い、45℃の温水:85.4重量部に、脱脂粉乳:14.6重量部を溶解し、発酵乳の原料ミックスを調製し、90℃で10分間バッチ殺菌後、品温が43℃になるまで冷却した後、乳酸菌スターター(Streptococcus thermophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricusの混合粉末品):0.00018重量部を添加し、pHが4.5になるまで発酵を行った。発酵終了後、攪拌しながら8℃まで冷却した後、高圧ホモジナイザーにて14MPaの圧力で均質化して、発酵乳を調製した。
【0081】
一方、65℃の温水:94.11重量部に、還元型コエンザイムQ10:0.35重量部を添加して溶解し、更に甘味料:0.14重量部とぶどう糖果糖液糖:5.4重量部を添加し溶解し、60℃に温調してから均質化し、120℃で2秒間プレート殺菌後、30℃まで冷却して、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物を調製した。
【0082】
10℃の発酵乳:60重量部を攪拌している所に、30℃の水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物:40重量部を添加して混合した後、高圧ホモジナイザーにて14MPaの圧力で均質化してから、6℃まで冷却して、コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトを作製した。得られたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの成分組成、pH、10℃の粘度と、コエンザイムQ10の均一分散性、発酵乳由来の風味、及び、喉越しの評価結果を表1に示した。
【0083】
【表1】
【0084】
(実施例2~3、比較例1~2) コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの作製
表1の配合に従って、実施例1の発酵乳における脱脂粉乳:14.6重量部を、10.0重量部(実施例2)、17.0重量部(実施例3)、5.0重量部(比較例1)、又は、20.0重量部(比較例2)に変更し、水で全体量を調整した以外は、実施例1と同様にしてコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトを作製した。得られたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの成分組成、pH、10℃の粘度と、コエンザイムQ10の均一分散性、発酵乳由来の風味、及び、喉越しの評価結果を表1に示した。
【0085】
(実施例4) コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの作製
表1の配合に従って、実施例1における発酵乳の脱脂粉乳:14.6重量部を13.9重量部に変更し、ホエイパウダー:1.0重量部を添加して、水で全体量を調整した以外は、実施例1と同様にしてコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトを作製した。得られたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの成分組成、pH、10℃の粘度と、コエンザイムQ10の均一分散性、発酵乳由来の風味、及び、喉越しの評価結果を表1に示した。
【0086】
表1から明らかなように、ドリンクヨーグルト全体中、発酵乳由来の乳蛋白質が2~3.5重量%の範囲で、乳蛋白質/コエンザイムQ10(重量比)が8~40の範囲にあるドリンクヨーグルト(実施例1~4)は、いずれもドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性、ドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味、及び、ドリンクヨーグルトの喉越しの評価が良好であった。
【0087】
一方、ドリンクヨーグルト全体中、発酵乳由来の乳蛋白質が1.0重量%と少なく、乳蛋白質/コエンザイムQ10(重量比)が7.3と小さいドリンクヨーグルト(比較例1)は、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性、及び、ドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味の評価が悪く、総合評価はEであった。また、ドリンクヨーグルト全体中、発酵乳由来の乳蛋白質が4.1重量%と多いドリンクヨーグルト(比較例2)は、ドリンクヨーグルトの喉越しの評価が悪く、総合評価はEであった。
【0088】
(実施例5~6、比較例3) コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの作製
表2の条件に従って、発酵乳の発酵終了時のpH4.5を、pH4.2(実施例5)、pH5.0(実施例6)、又は、pH5.5(比較例3)に変更した以外は、実施例1と同様にしてコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトを作製した。得られたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの成分組成、pH、10℃の粘度と、コエンザイムQ10の均一分散性、発酵乳由来の風味、及び、喉越しの評価結果を表2に示した。
【0089】
【表2】
【0090】
(実施例7、比較例4) コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの作製
表2の条件に従って、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物のコエンザイムQ10の油滴のメジアン径:1.0μmと、発酵乳及び水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物の混合物の均質化時の圧力:14MPaをそれぞれ、3.5μmと5MPa(実施例7)、又は、10.0μmと3MPa(比較例4)に変更した以外は、実施例1と同様にしてコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトを作製した。得られたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの成分組成、pH、10℃の粘度と、コエンザイムQ10の均一分散性、発酵乳由来の風味、及び、喉越しの評価結果を表2に示した。
【0091】
(実施例8) コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの作製
表2の条件に従って、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物のコエンザイムQ10:0.35重量部を0.70重量部に変更し、水で全体量を調整した以外は、実施例1と同様にしてコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトを作製した。得られたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの成分組成、pH、10℃の粘度と、コエンザイムQ10の均一分散性、発酵乳由来の風味、及び、喉越しの評価結果を表2に示した。
【0092】
表2から明らかなように、発酵終了時のpHが4~5の範囲にある発酵乳と、コエンザイムQ10の油滴のメジアン径が0.2~4.5μmの範囲にある水中油型乳化物を使用したドリンクヨーグルト(実施例1、5~8)は、いずれもドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性、ドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味、及び、ドリンクヨーグルトの喉越しの評価が良好であった。
【0093】
一方、pHが5.5と高い発酵乳を使用したドリンクヨーグルト(比較例3)は、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性、及び、ドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味の評価が悪く、総合評価はEであった。また、コエンザイムQ10の油滴のメジアン径が10.0μmと大きい水中油型乳化物を使用したドリンクヨーグルト(比較例4)は、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性、及び、ドリンクヨーグルトの喉越しの評価が悪く、総合評価はEであった。
【0094】
(実施例9~12) コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの作製
表3の配合に従って、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物に、HMペクチン:0.50重量部(実施例9)、HMペクチン:0.75重量部(実施例10)、乳化剤:0.25重量部(実施例11)、又は、乳化剤:0.25重量部とHMペクチン:0.50重量部(実施例12)を添加し、水で全体量を調整した以外は、実施例1と同様にしてコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトを作製した。得られたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの成分組成、pH、10℃の粘度と、コエンザイムQ10の均一分散性、発酵乳由来の風味、及び、喉越しの評価結果を表3に示した。
【0095】
【表3】
【0096】
表3から明らかなように、実施例1及び9~12のドリンクヨーグルトは、いずれもドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性、ドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味、及び、ドリンクヨーグルトの喉越しの評価が良好であった。特に、ドリンクヨーグルト全体中、HMペクチンの含量が0.05~0.3重量%の範囲であるドリンクヨーグルト(実施例9及び10)は、HMペクチンが無添加のドリンクヨーグルト(実施例1)に比べ、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性の評価が良好であった。また、ドリンクヨーグルト全体中、乳化剤であるHLB12のポリグリセリン脂肪酸エステルの含量が0.10重量%のドリンクヨーグルト(実施例11)は、乳化剤が無添加のドリンクヨーグルト(実施例1)に比べ、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性、及び、ドリンクヨーグルトの喉越しの評価が良好であった。更に、ドリンクヨーグルト全体中、HMペクチンの含量が0.05~0.3重量%の範囲で、乳化剤であるHLB12のポリグリセリン脂肪酸エステルの含量が0.10重量%のドリンクヨーグルト(実施例12)は、HMペクチン及び乳化剤が無添加のドリンクヨーグルト(実施例1)に比べ、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性の評価が良好であった。
【0097】
(実施例13) コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの作製
表4の条件に従って、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物の配合を変更し、発酵乳/水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物(重量比)を変えた以外は、実施例9と同様にしてコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトを作製した。得られたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの成分組成、pH、10℃の粘度と、コエンザイムQ10の均一分散性、発酵乳由来の風味、及び、喉越しの評価結果を表4に示した。
【0098】
【表4】
【0099】
(実施例14~15、比較例5) コエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの作製
表4の条件に従って、発酵乳、及び、水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物の配合をそれぞれ変更し、発酵乳/水とコエンザイムQ10からなる水中油型乳化物(重量比)を変えた以外は、実施例9と同様にしてコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトを作製した。得られたコエンザイムQ10入りドリンクヨーグルトの成分組成、pH、10℃の粘度と、コエンザイムQ10の均一分散性、発酵乳由来の風味、及び、喉越しの評価結果を表4に示した。
【0100】
表4から明らかなように、ドリンクヨーグルト全体中、発酵乳由来の乳蛋白質の含量が2~3.5重量%の範囲で、乳蛋白質/前記コエンザイムQ10(重量比)が8~40の範囲にあるドリンクヨーグルト(実施例9、13~15)は、いずれもドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性、発酵乳由来の風味、及び、ドリンクヨーグルトの喉越しの評価が良好であった。一方、ドリンクヨーグルト全体中、発酵乳由来の乳蛋白質の含量が1.0重量%と少なく、乳蛋白質/前記コエンザイムQ10(重量比)が7.3と小さいドリンクヨーグルト(比較例5)は、ドリンクヨーグルト中でのコエンザイムQ10の均一分散性、及び、ドリンクヨーグルトの発酵乳由来の風味の評価が悪く、総合評価はEであった。