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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150440
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20231005BHJP
   G03B 17/08 20210101ALI20231005BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20231005BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G02B7/02 D
G03B17/08
G03B30/00
G02B7/02 A
G02B7/02 Z
H04N5/225 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059548
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】蔡 思祺
【テーマコード(参考)】
2H044
2H101
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AA19
2H044AC01
2H044AD02
2H044AJ04
2H101CC54
5C122EA02
5C122FB08
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】レンズ間の調芯が可能であり、防水性に優れ、かつ簡易な構成を有するレンズ鏡筒を実現する。
【解決手段】バヨネット構造を介して固定鏡筒部(140)に調芯枠(150)を係合させ、凹部に外方から接着剤を注入、硬化させて固定する。前玉レンズ周囲からレンズ光学系内に通じる隙間、および、外枠筒に開口してバヨネット構造に通じる開口部、をそれぞれOリング(160、170)で水密に塞ぐ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準レンズを保持する固定鏡筒部と、
前記基準レンズの光軸上に配置されるべき調芯対象レンズを保持するとともにバヨネット構造を介して前記固定鏡筒部に係合する調芯枠と、
前記固定鏡筒部および前記調芯枠の一方に、その他方に面して形成され、前記調芯枠が係合した前記固定鏡筒部の外側から注入される接着剤を収容可能な凹部と、
前記基準レンズまたは前記調芯対象レンズに含まれる前玉レンズの周縁部と前記前玉レンズを保持する前記固定鏡筒部または前記調芯枠との間を水密に塞ぐ第一シール部材と、
前記固定鏡筒部に形成される、前記バヨネット構造に通じる開口部を水密に塞ぐ第二シール部材と、
を有するレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記固定鏡筒部に係合している前記調芯枠を、前記光軸に沿って前記固定鏡筒部に押し当てる方向に付勢する付勢部材と、
前記バヨネット構造における前記固定鏡筒部と前記調芯枠との、前記光軸に沿う方向における間に配置されるスペーサをさらに有する、請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記基準レンズが前記前玉レンズを含む、請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記調芯対象レンズが前記前玉レンズを含む、請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記固定鏡筒部がレンズ鏡筒の外枠部の内側に固定される、請求項1~4のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記固定鏡筒部がレンズ鏡筒の外枠部と一体である、請求項1~4のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記第二シール部材は、前記外枠部と前記前玉レンズとの間から前記バヨネット構造に通じる隙間で、前記光軸に沿う方向において前記外枠部と前記調芯枠または前記固定鏡筒部とに密着するOリングである、請求項5または6に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
前記固定鏡筒部は、前記外枠部の外周面において周方向に延在する凹条を有し、
前記凹部は、前記凹条の内部に開口しており、
前記第二シール部材は、前記凹条の開口を前記外枠部の周方向に沿って覆って塞ぐ部材である、
請求項6に記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
二以上の前記調芯枠を有し、前記調芯枠のそれぞれが前記固定鏡筒部に独立して係合する、請求項1~8のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒と撮像素子とを有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
監視系および医療などの分野で、高解像度に対応したレンズの需要が増加している。レンズの性能向上と良品率向上のためには、鏡筒内のレンズ群同士の光軸調整が必要となるケースが多い。光軸調整の方法には、バネなどの付勢部材を使用してレンズ群間の光軸ズレを補正する調芯方法が知られている。このような従来技術には、レンズ枠の調芯と防塵対策とを含む技術(例えば特許文献1参照)、バヨネットに類似した形状を用いてレンズ枠の光軸方向を調整する技術(例えば特許文献2参照)、バネによる付勢を用いてレンズ枠を調芯する機構(例えば特許文献3参照)、および、バネによる付勢とバヨネットに類似した形状とを用いてレンズ枠の位置を調整する機構(例えば特許文献4参照)などが知られている。なお、特許文献1には、調芯のために生じる隙間をシール部材で塞ぐ技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-61513号公報
【特許文献2】特開2008-145631号公報
【特許文献3】特開2008-111932号公報
【特許文献4】特開2019-28416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズ鏡筒の小型化と高解像度化が進んでいる中、小スペース条件での調芯機構が望まれている。また、調芯機構を導入すると、自然とレンズ鏡筒に隙間が生じるため、防水などの対策のための密封構造が望まれている。
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術は、調芯を可能とする構造と、そのために形成される隙間を塞ぐ密封構造との両立の観点から検討の余地が残されている。たとえば、特許文献1には、レンズ枠の調芯においてZ軸方向に調整する構成が示されず、また防塵程度の密封構造は開示されているが、防水の観点では十分とは言い難い。また、特許文献2には、X-Y平面方向の調芯および防水に対応可能な密封構造が示されておらず、特許文献3には、Z軸方向の調芯を可能にする構成および防水に対応可能な密封構造が示されていない。特許文献4には、レンズとセンサ基板間の調整による調芯構造は示されているが、レンズ間の調芯を可能にする構成は示されず、また防水に対応可能な密封構造も示されていない。
【0006】
本発明の一態様は、レンズ間の調芯が可能であり、防水性に優れ、かつ簡易な構成を有するレンズ鏡筒を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るレンズ鏡筒は、基準レンズを保持する固定鏡筒部と、前記基準レンズの光軸上に配置されるべき調芯対象レンズを保持するとともにバヨネット構造を介して前記固定鏡筒部に係合する調芯枠と、前記固定鏡筒部および前記調芯枠の一方に、その他方に面して形成され、前記調芯枠が係合した前記固定鏡筒部の外側から注入される接着剤を収容可能な凹部と、前記基準レンズまたは前記調芯対象レンズに含まれる前玉レンズの周縁部と前記前玉レンズを保持する前記固定鏡筒部または前記調芯枠との間を水密に塞ぐ第一シール部材と、前記固定鏡筒部に形成される、前記バヨネット構造に通じる開口部を水密に塞ぐ第二シール部材と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、レンズ間の調芯が可能であり、防水性に優れ、かつ簡易な構成を有するレンズ鏡筒を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る撮像装置を模式的に示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係る撮像装置の分解斜視図である。
図3図1の撮像装置をA-A線で切断した断面を模式的に示す縦断面図である。
図4】本発明の実施形態1における像面側から見た固定鏡筒部を模式的に示す図である。
図5】本発明の実施形態1における像面側から見た調芯枠を模式的に示す図である。
図6】本発明の実施形態1における固定鏡筒部への調芯枠の係合を説明するための図である。
図7】本発明の実施形態2に係る撮像装置の分解斜視図である。
図8】本発明の実施形態2に係る撮像装置の縦断面図である。
図9】本発明の実施形態2における像面側から見た固定鏡筒部を模式的に示す図である。
図10】本発明の実施形態2における像面側から見た第一調芯枠を模式的に示す図である。
図11】本発明の実施形態2における像面側から見た第二調芯枠を模式的に示す図である。
図12】本発明の実施形態2における固定鏡筒部への第一調芯枠および第二調芯枠の係合を説明するための図である。
図13】本発明の実施形態3に係る撮像装置の分解斜視図である。
図14】本発明の実施形態3に係る撮像装置の縦断面図である。
図15】本発明の実施形態3における固定鏡筒部と調芯枠との係合部分を拡大して示す断面図である。
図16】本発明の実施形態3におけるチルト調整を説明するための図である。
図17】本発明の実施形態4に係る撮像装置の分解斜視図である。
図18】本発明の実施形態4に係る撮像装置の縦断面図である。
図19】本発明の実施形態4における像面側から見た調芯枠を模式的に示す図である。
図20】本発明の実施形態4における像面側から見た固定鏡筒部を模式的に示す図である。
図21】本発明の実施形態4における固定鏡筒部への調芯枠の係合を説明するための図である。
図22】本発明の実施形態5に係る撮像装置の分解斜視図である。
図23】本発明の実施形態5に係る撮像装置の縦断面図である。
図24】本発明の実施形態5における像面側から見た固定鏡筒部を模式的に示す図である。
図25】本発明の実施形態5における固定鏡筒部と調芯枠との係合部分およびシール部分を拡大して示す断面図である。
図26】本発明の実施形態6に係る撮像装置の分解斜視図である。
図27】本発明の実施形態6に係る撮像装置の縦断面図である。
図28】本発明の実施形態6における像面側から見た固定鏡筒部を模式的に示す図である。
図29】本発明の実施形態6における固定鏡筒部と調芯枠との係合部分を拡大して示す断面図である。
図30】本発明の実施形態6における固定鏡筒部のシール部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0011】
[構成]
図1は、本実施形態に係る撮像装置を模式的に示す図である。図2は、本実施形態に係る撮像装置の分解斜視図である。図3は、図1の撮像装置をA-A線で切断した断面を模式的に示す縦断面図である。図1に示されるように、撮像装置10は、箱型の本体11と筒型のレンズ鏡筒12とから構成されている。本体11は、筐体部111と、基板部112と、撮像素子13とによって構成されている。撮像素子13は、CCD(Charge Coupled Device)センサおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子である。このように撮像装置10は、レンズ鏡筒12と撮像素子13とを有する。
【0012】
筐体部111および基板部112は、例えばアルミニウムなどの金属または樹脂で構成されている。筐体部111は箱型の形状を有する外枠部であり、基板部112は箱型形状の一側面の形状を有する外枠部である。基板部112の内側面の中心部に撮像素子13が配置されている。基板部112は、筐体部111の開口縁に隙間なく接着されている。
【0013】
レンズ鏡筒12は、筐体部111の他側面に立設されている筒状の外枠筒120を含む。外枠筒120は、筐体部111と一体成型されている。外枠筒120の内周面における先端部には第一ねじ部130が周設されている。外枠筒120の内部には、固定鏡筒部140、調芯枠150、およびOリング160、170が収容される。
【0014】
図4は、本実施形態における像面側から見た固定鏡筒部を模式的に示す図である。
【0015】
固定鏡筒部140は、略筒状の部材であり、筒部141とフランジ部142とによって構成されている。固定鏡筒部140は、例えば樹脂製の一体成形物である。筒部141は、その内部に第一レンズ143および第二レンズ144の二枚のレンズを同一光軸上に保持している。このように、固定鏡筒部140は、二枚のレンズを保持している。固定鏡筒部140が保持するレンズを「基準レンズ」とも称する。第一レンズ143は、レンズ鏡筒の光学系における前玉レンズに該当する。
【0016】
なお、第一レンズ143(前玉レンズ)は、レンズ鏡筒12における最も物体側に位置するレンズである。固定鏡筒部140が複数のレンズを有する(基準レンズが複数である)場合は、そのうちの最も物体側に位置するレンズが第一レンズ143となる。
【0017】
フランジ部142は、筒部141の一端側(物体側)から外側へ広がる部分である。フランジ部142には、平面視したときに三つの案内孔1421が周方向において等間隔で配置されている。案内孔1421は、略L字型の平面形状を有し、略L字型の短辺部はフランジ部142の径方向に延在し、略L字部の長辺部はフランジ部142の内周側に延在している。また、フランジ部142の外周縁には外周壁145が周設されている。
【0018】
外周壁145の外周面には、前述の外枠筒120の第一ねじ部130に螺合する第二ねじ部1451が形成されている。固定鏡筒部140は、第一ねじ部130と第二ねじ部1451との螺合によって外枠筒120に固定され、一体となっている。このようにして、固定鏡筒部140は、レンズ鏡筒12の外枠筒120の内側に固定される。
【0019】
フランジ部142における物体側の主面における案内孔1421の長辺部と外周壁145との間には、特定の厚みの段部1422が形成されている。また、外周壁145の内周面における、周方向において段部1422に重なる位置には、軸方向に延在する(周方向に並列する)凹凸で形成された凹凸部1452が形成されている。さらに、フランジ部142における当該主面の内周縁部には、内側からそれぞれ環状の第一嵌合溝146および第二嵌合溝147が形成されている。また、フランジ部142における像面側の主面において、周方向に隣り合う案内孔1421の間には、特定の厚みの段部1423が形成されている。
【0020】
図5は、本実施形態における像面側から見た調芯枠を模式的に示す図である。調芯枠150は、物体側の径に比べて像面側の径が小さい略筒状体である。調芯枠150は、例えば樹脂製の一体成形物である。調芯枠150は、その内部に第三レンズ151および第四レンズ152を同一光軸上に保持している。調芯枠150が保持するレンズを「調芯対象レンズ」とも称する。
【0021】
調芯枠150は、径大な物体側の端縁から軸方向に沿って物体側へさらに突出する三つの爪部153を有している。爪部153は、周方向において等間隔で配置されている。
【0022】
爪部153は、案内孔1421の短辺部に挿通される挿通軸部1531と、挿通軸部1531の先端から外方に広がる係合部1532とを有している。係合部1532における先端面(物体側の端面)には、周方向に延在し、径方向に並列する二本の溝1533が形成されている。最も外周側の溝1533は、外周側に開放された窪みとなっている。
【0023】
図6は、本実施形態における固定鏡筒部への調芯枠の係合を説明するための図である。固定鏡筒部140への調芯枠150の係合では、まず固定鏡筒部140の案内孔1421に爪部153を挿入する(図6の左図)。次いで、調芯枠150を固定鏡筒部140に対して案内孔1421の長辺部に沿って回転させることによって固定鏡筒部140に係合する(図6の右図)。固定鏡筒部140のフランジ部142、案内孔1421、および調芯枠150の爪部153は、調芯枠150を固定鏡筒部140に係合させるバヨネット構造を構成しており、調芯枠150は、バヨネット構造を介して固定鏡筒部140に係合している。
【0024】
係合部1532は、その基端面が段部1422上に乗り上げ、摺動する。係合部1532の外周側に向けて開放されている溝1533は、フランジ部142の凹凸部1452に対向する。調芯枠150を係合させた固定鏡筒部140には、最も外側の溝1533およびそれに対向する凹凸部1452を側壁とし、物体側に開口を有する凹部180が形成されている。このように、凹部180は、固定鏡筒部140の凹凸部1452に面する調芯枠150の溝1533で形成されている。
【0025】
さらに、調芯枠150の物体側端縁は、固定鏡筒部140の案内孔1421に爪部153を挿入し、調芯枠150を固定鏡筒部140に対して回転させたときに、フランジ部142における像面側の段部1423に当接する。
【0026】
調芯枠150の位置は、調芯枠150の第三レンズ151および第四レンズ152の光軸を固定鏡筒部140の第一レンズ143および第二レンズ144の光軸に一致させるように、固定鏡筒部140に対して調整される。この光軸の調整については後により詳しく説明する。
【0027】
Oリング160は、固定鏡筒部140の第一嵌合溝146に嵌められている。第一レンズ143は、物体側からOリング160に当接して固定鏡筒部140に保持されている。
【0028】
Oリング170は、固定鏡筒部140の第二嵌合溝147に嵌められている。Oリング170がない状態では、レンズ鏡筒における物体側の端部において、固定鏡筒部140と外枠筒120との間には隙間が形成される。当該隙間は、前玉レンズと外枠筒120との間に開口部190を有しており、バヨネット構造に通じ、固定鏡筒部内、調芯枠内または撮像素子に至る。Oリング170は、外枠筒120への螺合によって外枠筒120の端縁部に固定鏡筒部140が接近することで外枠筒120の内面に押し当てられ、外枠筒120の内面と第二嵌合溝147の底面との両方に密着している。Oリング170は、固定鏡筒部140に形成される、バヨネット構造に通じる開口部190を水密に塞いでいる。
【0029】
[組み立て]
まず、固定鏡筒部140の第一嵌合溝146にOリング160を嵌め、第一レンズ143および第二レンズ144を固定鏡筒部140に配置する。また、第二嵌合溝147にOリング170を嵌め込む。第一レンズ143および第二レンズ144は、固定鏡筒部140に保持されることで特定の同一光軸上に配置される。調芯枠150においても第三レンズ151および第四レンズ152を配置する。第三レンズ151および第四レンズ152も、調芯枠150に保持されることで特定の同一光軸上に配置される。
【0030】
次いで、調芯枠150の爪部153を固定鏡筒部140の案内孔1421に挿入し、固定鏡筒部140に対して調芯枠150を回転させる。これにより、固定鏡筒部140のフランジ部142における物体側では爪部153の係合部1532が段部1422に当接し、かつ係合部1532の外周側の溝1533とフランジ部142の外周壁145とによって凹部180が形成される。また、フランジ部142における像面側では、調芯枠150の物体側端縁が段部1423に当接する。調芯枠150を固定鏡筒部140に係合させたら、固定鏡筒部140に対する調芯枠150の位置を、固定鏡筒部140のレンズの光軸と、調芯枠150のレンズの光軸とが同一になる(例えば撮像素子の光軸OAに実質的に一致する)ように調整する。
【0031】
次いで、調芯枠150が係合、固定されている固定鏡筒部140を外枠筒120に挿入し、固定鏡筒部140の第二ねじ部1451を外枠筒120の第一ねじ部130に螺合させて固定鏡筒部140を外枠筒120の内部に固定する。
【0032】
次いで、基板部112における撮像素子13の光軸をレンズ鏡筒12のレンズの光軸に合わせるように、撮像素子13の位置を調整する。そして、本体11の開口端縁に接着剤を塗布し、基板部112を貼り付ける。こうして撮像装置10が得られる。
【0033】
ここで、撮像装置10の光軸OAに直交しかつ互いに直交する二軸をそれぞれX軸およびY軸とし、光軸OAをZ軸として、レンズの調芯について説明する。
【0034】
[X方向およびY方向の調整]
調芯枠150が係合している固定鏡筒部140を接着台に配置する。接着台は、ねじにより径方向に進出退行可能な三本以上の調芯ピンを有している。光軸の位置が径方向の中心となるように固定鏡筒部140を接着台で支持する。そして、調芯ピンの先端を調芯枠150まで進出させる。
【0035】
次いで、固定鏡筒部140のフランジ部142における物体側に、調芯枠150の係合部1532と固定鏡筒部140の凹凸部1452とによって囲まれて形成された凹部180に、UV(紫外線)硬化型の接着剤を注入する。凹部180は、調芯枠150が係合した固定鏡筒部140の物体側に開口することから、固定鏡筒部140の外側から接着剤を注入可能であり、かつ収容可能である。
【0036】
次いで、調芯ピンのそれぞれを適宜に進出、退行させて、調芯枠150における光軸のセンタリングを行う。調芯枠150の爪部153における径は、固定鏡筒部140の案内孔1421における径に対して若干の径差を有している。このため、調芯ピンの進出、退行により、調芯枠150の光軸のX-Y平面における位置が当該径差の範囲で調整される。このようにして調芯枠150のレンズの光軸を固定鏡筒部140のレンズの光軸に合わせるように、調芯枠150のX-Y平面における位置を調整する。
【0037】
次いで、固定鏡筒部140に対する最適な位置に調芯枠150を調芯ピンで支持している状態で、凹部180に注入され収容されている接着剤にUV照射機から紫外線を照射する。この紫外線の照射により、凹部180の接着剤が硬化し、調芯枠150が固定鏡筒部140に固定される。
【0038】
なお、固定鏡筒部140に対する調芯枠150のX-Y平面における位置を再度調整する場合には、凹部180で硬化している接着剤を剥がし、上記と同様の手順で調芯枠150の位置を調整する。
【0039】
[Z方向の調整]
本実施形態では、固定鏡筒部140のフランジ部142における物体側では、調芯枠150の係合部1532が段部1422に当接し得る。また、固定鏡筒部140のフランジ部142における像面側では、調芯枠150の物体側端縁が段部1423に当接し得る。よって、固定鏡筒部140の成形における段部1422、1423の寸法の精度に応じて、調芯枠150のレンズと固定鏡筒部140のレンズとのZ軸における距離(スラスト間隔)が所望(設計値)の距離に調整される。
【0040】
[シール構造]
基板部112は、本体11の開口端縁に接着剤で接着される。よって、撮像装置10は、本体11と基板部112との接合において、十分な防水性を発現し得る。
【0041】
また、本体11の筐体部111とレンズ鏡筒12の外枠筒120とは一体成型されている。よって、本体11とレンズ鏡筒との間においても十分な防水性が発現される。
【0042】
固定鏡筒部140と前玉レンズ(第一レンズ143)との間には、第一嵌合溝146に嵌めこまれているOリング160が介在する。Oリング160は、固定鏡筒部140の物体側端縁と前玉レンズの周縁部とによって挟持され、固定鏡筒部140および前玉レンズの両方に、全周で密着している。このように、Oリング160は、前玉レンズの周縁部と前玉レンズを保持する固定鏡筒部140との間を水密に塞いでいる。よって、撮像装置10は、固定鏡筒部140の内側に対する十分な防水性を有する。
【0043】
固定鏡筒部140と外枠筒120の開口端部との間には、第二嵌合溝147に嵌めこまれているOリング170が介在する。Oリング170は、外枠筒120の内面と固定鏡筒部140とによって挟持され、外枠筒120と固定鏡筒部140との間からバヨネット構造に至る隙間における外枠筒120の開口端部近傍で、外枠筒120および固定鏡筒部140の両方に、全周で密着している。このように、Oリング170は、固定鏡筒部140に形成される、バヨネット構造に通じる開口部190を水密に塞いでいる。よって、撮像装置10は、固定鏡筒部140の外側かつ外枠筒120の内側に対する十分な防水性を有する。
【0044】
[実施形態1のまとめ]
以上の説明から明らかなように、撮像装置(10)は、レンズ鏡筒(12)と撮像素子(13)とを有する。そして、レンズ鏡筒は、基準レンズ(第一レンズ143および第二レンズ144)を保持する固定鏡筒部(14)と、基準レンズの光軸上に配置されるべき調芯対象レンズ(第三レンズ151および第四レンズ152)を保持するとともにバヨネット構造を介して固定鏡筒部に係合する調芯枠(150)と、固定鏡筒部に面して調芯枠に形成され、調芯枠が係合した固定鏡筒部の外側から注入される接着剤を収容可能な凹部(180)と、基準レンズに含まれる前玉レンズの周縁部と前玉レンズを保持する固定鏡筒部との間を水密に塞ぐ第一シール部材(Oリング160)と、固定鏡筒部に形成される、バヨネット構造に通じる開口部(190)を水密に塞ぐ第二シール部材(Oリング170)と、を有する。
【0045】
このように、本実施形態における撮像装置およびレンズ鏡筒は、少ない部品数で簡素に構成されている。そして、レンズを保持する固定鏡筒部に対して、レンズを保持する調芯枠をXY方向の任意の位置で固定することが可能である。さらに、調芯枠側のバヨネット構造における突起部の物体側が当たり面となり、固定鏡筒部のレンズと調芯枠のレンズとのスラスト間隔が決定される。また、調芯枠が係合した固定鏡筒部をレンズ鏡筒に導入したときに水の侵入経路となり得る隙間が二つのOリングで塞がれる。よって本実施形態の撮像装置は、十分に高い防水性を発現し得る。
【0046】
レンズ鏡筒において、基準レンズが前玉レンズを含んでいる。すなわち、固定鏡筒部が前玉レンズを有し、固定鏡筒部が外枠筒に固定されることから、Oリングを外枠筒に密着させたときに調芯枠に力がかかることがない。このため、この構成は、防水性と調芯効果との両立の観点からより一層効果的である。
【0047】
また、レンズ鏡筒において、固定鏡筒部がレンズ鏡筒の外枠筒の内側に固定される。この構成は、固定鏡筒部をレンズ鏡筒の外枠筒へ固定するときに固定鏡筒部に対する調芯枠の位置のずれを抑制する観点からより一層効果的である。
【0048】
さらに、レンズ鏡筒において、第二シール部材は、外枠筒と前玉レンズとの間からバヨネット構造に通じる隙間で、光軸に沿う方向において外枠部と固定鏡筒部とに密着するOリングである。この構成は、簡易な構成で防水性を高める観点からより一層効果的である。
【0049】
同様に、レンズ鏡筒において、第一シール部材がOリングであることは、簡易な構成で防水性を高める観点からより一層効果的である。
【0050】
また、レンズ鏡筒において、接着剤が外部から注入可能な凹部は、その外周側の壁面に凹凸部(1452)を有する。このため、接着剤の接着面積がより大きくなる。よって、この構成は、固定鏡筒部に対する調芯枠の接着力を高める観点からより一層効果的である。
【0051】
さらに、撮像装置において、本体とレンズ鏡筒とが一体成型で構成されており、これらの間には継ぎ目がない。この構成は、撮像装置の防水性を高める観点からより一層効果的である。
【0052】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0053】
本実施形態の撮像装置は、レンズ鏡筒において、二つの調芯枠を有し、固定鏡筒部が各調芯枠と独立してバヨネット構造を介して係合するように構成されている。それ以外は、本実施形態の撮像装置は、実質的には前述の実施形態1と同様に構成されている。
【0054】
[構成]
図7は、本実施形態に係る撮像装置の分解斜視図である。図8は、本実施形態に係る撮像装置の縦断面図である。図7に示されるように、撮像装置20は、筐体部111、基板部112、撮像素子13、外枠筒120およびレンズ鏡筒を有し、当該レンズ鏡筒は、固定鏡筒部240、第一調芯枠250、第二調芯枠260およびOリング160、170を有する。
【0055】
固定鏡筒部240は、基準レンズとして第一レンズ143および第二レンズ144を保持している。固定鏡筒部240は、第一調芯枠250および第二調芯枠260のそれぞれを、バヨネット構造を介して独立して係合可能に構成されている。図9は、本実施形態における像面側から見た固定鏡筒部を模式的に示す図である。固定鏡筒部240は、筒部141、フランジ部242、外周壁145および内周壁244を有する。内周壁244は、フランジ部242における物体側の主面から起立する凸条である。
【0056】
フランジ部242は、三つの案内孔1421に加えてさらに三つの案内孔2421を有している。三つの案内孔2421は、フランジ部242の周方向において等間隔に配置されている。かつ案内孔1421および案内孔2421は、フランジ部242における周方向においてそれぞれ交互に配置されている。案内孔2421は、略L字型の平面形状を有している。略L字部の長辺部はフランジ部242の外周壁145に沿って延在している。略L字型の短辺部はフランジ部242の径方向に延在している。
【0057】
また、フランジ部242は、段部1422、1423および凹凸部1452を三つずつ有するのに加えて、段部2422、2423および凹凸部2452をさらに三セット有する。すなわち、フランジ部142における物体側の主面における案内孔2421の長辺部と内周壁244との間には、特定の厚みの段部2422が形成されている。また、内周壁244の外周面における、周方向において段部2422に重なる位置には、軸方向に延在する(周方向に並列する)凹凸で形成された凹凸部2452が形成されている。さらに、フランジ部242における像面側の主面において、周方向に隣り合う案内孔2421の間には、特定の厚みの段部2423が形成されている。
【0058】
図10は、本実施形態における像面側から見た第一調芯枠を模式的に示す図である。図11は、本実施形態における像面側から見た第二調芯枠を模式的に示す図である。
【0059】
第一調芯枠250は、略筒状の部材であり、その像面側の端部に第三レンズ151を保持している。第一調芯枠250は、外周縁部に、周方向において等間隔に配置されている三つの切り欠き部254をさらに有する以外は、前述の実施形態1における調芯枠150と実質的には同じ構造を有している。切り欠き部254は、爪部153に対して等間隔に配置されており、後述する第二調芯枠260の爪部263の係合部2632が軸方向に沿って通過可能な形状に形成されている。
【0060】
第二調芯枠260は、略筒状の部材であり、その像面側の端部に第四レンズ152を保持している。第二調芯枠260は、固定鏡筒部240に係合したときに、同じく固定鏡筒部240に係合している第一調芯枠250を内包するように構成されている。
【0061】
第二調芯枠260は、固定鏡筒部240がさらに三セット有する案内孔2421、段部2422、2423および凹凸部2452に対応する三つの爪部263を有する。爪部263は、第二調芯枠260の物体側端縁から軸方向に沿って突出しており、爪部153と同様の構成を有している。
【0062】
すなわち、爪部263は、案内孔2421の長辺部に挿通可能な挿通軸部2631と、案内孔2421の短辺部に挿通可能な係合部2632を有している。係合部2632は、挿通軸部2631の先端から中心側に延出する。係合部2632は、その先端面に、周方向に延在し、径方向に並列する二本の溝2633を有している。中心側の溝は、中心側に向けて開口しており、内周側に開放された窪みとなっている。
【0063】
[組み立て]
本実施形態におけるレンズ鏡筒および撮像装置20は、固定鏡筒部240へ第二調芯枠260をさらに係合させる以外は、前述の撮像装置10と同様に組み立てられる。図12は、本実施形態における固定鏡筒部への第一調芯枠および第二調芯枠の係合を説明するための図である。
【0064】
固定鏡筒部240への第一調芯枠250の係合では、まず固定鏡筒部240の案内孔1421に爪部153を挿入する(図12の左図参照)。次いで、第一調芯枠250を固定鏡筒部240に対して案内孔1421の長辺部に沿って回転させることによって固定鏡筒部240に係合する(図12の右図参照)。固定鏡筒部240のフランジ部242、案内孔1421、および第一調芯枠250の爪部153は、第一調芯枠250を固定鏡筒部240に係合させるバヨネット構造を構成している。第一調芯枠250を係合させた固定鏡筒部240には、最も外側の溝1533およびそれに対向する凹凸部1452を側壁とし、物体側に開口を有する凹部180が形成される。
【0065】
固定鏡筒部240への第二調芯枠260の係合では、まず、第二調芯枠260の爪部253を、固定鏡筒部240に係合している第一調芯枠250の切り欠き部254に通過させ、固定鏡筒部240の案内孔2421に挿入する(図12の左図参照)。次いで、第二調芯枠260を固定鏡筒部240に対して案内孔2421の長辺部に沿って回転させることによって固定鏡筒部240に係合する(図12の右図参照)。固定鏡筒部240のフランジ部242、案内孔2421、および第二調芯枠260の爪部253は、第二調芯枠260を固定鏡筒部240に係合させるバヨネット構造を構成している。第二調芯枠260を係合させた固定鏡筒部240には、最も内側の溝2633およびそれに対向する凹凸部2452を側壁とし、物体側に開口を有する凹部280が形成される。
【0066】
[X方向およびY方向の調整]
本実施形態のレンズ鏡筒におけるレンズの調芯は、実施形態1と同様に実施される。すなわち、第一調芯枠250および第二調芯枠260が係合している固定鏡筒部240を接着台に配置する。この接着台は、ねじにより径方向に進出退行可能な三本の調芯ピンのセットを二セット有している。光軸の位置が径方向の中心となるように固定鏡筒部240を接着台で支持し、各セットの調芯ピンの先端を第一調芯枠250および第二調芯枠260のそれぞれまで進出させる。
【0067】
次いで、固定鏡筒部240のフランジ部242における物体側に開口している凹部180および凹部280のそれぞれに、UV硬化型の接着剤を注入する。凹部180、280は、いずれも、第一調芯枠250および第二調芯枠260が係合した固定鏡筒部240の物体側に開口することから、固定鏡筒部240の外側から接着剤を注入可能であり、かつ収容可能である。
【0068】
次いで、各セットの調芯ピンのそれぞれを適宜に進出、退行させて、第一調芯枠250および第二調芯枠260における光軸のセンタリングを行う。第一調芯枠250の爪部153における径は、固定鏡筒部240の案内孔1421における径に対して若干の径差を有しており、第二調芯枠260の爪部253における径は、固定鏡筒部240の案内孔2421における径に対して若干の径差を有している。このため、調芯ピンの進出、退行により、第一調芯枠250および第二調芯枠260における光軸のX-Y平面における位置が、それぞれ、当該径差の範囲で調整される。
【0069】
次いで、凹部180、280に注入され収容されている接着剤にUV照射機から紫外線を照射する。この紫外線の照射により、凹部180、280の接着剤が硬化し、第一調芯枠250および第二調芯枠260がそれぞれ固定鏡筒部240に固定される。
【0070】
[Z方向の調整]
本実施形態のレンズ鏡筒におけるレンズのスラスト間隔は、実施形態1と同様である。すなわち、固定鏡筒部240のフランジ部242における物体側では、第一調芯枠250の係合部1532が段部1422に当接し、第二調芯枠260の係合部2532が段部2422に当接し得る。また、固定鏡筒部240のフランジ部242における像面側では、第一調芯枠250の物体側端縁が段部1423に当接し、第二調芯枠260の物体側端縁が段部2423に当接し得る。よって、固定鏡筒部240の成形における段部1422、1423および段部2422、2423の寸法の精度に応じて、第一調芯枠250のレンズと固定鏡筒部240のレンズとのスラスト間隔、および、第二調芯枠260のレンズと固定鏡筒部240のレンズとのスラスト間隔、が所望(設計値)の距離に調整される。
【0071】
[シール構造]
本実施形態における撮像装置およびレンズ鏡筒のシール構造は、前述した実施形態1と実質的に同じである。よって、本実施形態では、前述した実施形態1と同様の防水性が発現される。
【0072】
[実施形態2のまとめ]
本実施形態におけるレンズ鏡筒(22)は、第一調芯枠(250)および第二調芯枠(260)の二つの調芯枠を有し、これらの調芯枠のそれぞれが固定鏡筒部(240)に独立して係合する。よって、本実施形態では、前述した実施形態1における効果に加えて、複数の調芯枠のそれぞれにおけるレンズの調芯を固定鏡筒部に対して高い精度で実施することが可能である。
【0073】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0074】
本実施形態の撮像装置は、レンズ鏡筒において、調芯枠が保持している調芯対象レンズの光軸の傾きの調整(チルト調整)が可能に構成されている。それ以外は、本実施形態の撮像装置は、実質的には前述の実施形態1と同様に構成されている。
【0075】
[構成]
図13は、本実施形態に係る撮像装置の分解斜視図である。図14は、本実施形態に係る撮像装置の縦断面図である。図13に示されるように、撮像装置30は、バネ310およびワッシャ320をさらに有し、固定鏡筒部140に代えて固定鏡筒部340を有する以外は、実施形態1における撮像装置10と実質的に同じ構成を有している。
【0076】
バネ310は、固定鏡筒部340のフランジ部142における像面側の主面に当接し、かつ調芯枠150の筒部の内壁面から中心に向けて広がる段部に当接している。バネ310は、固定鏡筒部340に対して調芯枠150を、軸方向に沿って広がる方向へ付勢している。
【0077】
固定鏡筒部340は、フランジ部342を有する。フランジ部342は、固定鏡筒部140フランジ部142と比べて、物体側の主面には段部1422に代えて凹部3422を有する。また、フランジ部342は、像面側の主面には段部1423を有さず、かつフランジ部342の内周縁部から像面側へ起立する内周壁344を有する。バネ310は、固定鏡筒部340において、その一端が内周壁344に外嵌している。
【0078】
図15は、本実施形態における固定鏡筒部と調芯枠との係合部分を拡大して示す断面図である。固定鏡筒部340は、段部1422の位置に凹部3422を有する。凹部3422は、ワッシャ320と略同じ平面形状を有し、ワッシャ320の厚み未満の深さを有する。
【0079】
ワッシャ320は、例えば金属製の薄片であり、特定の厚みを有している。ワッシャ320は、凹部3422に収容されている。したがって、ワッシャ320は、固定鏡筒部340のフランジ部342と調芯枠150の係合部1532との軸方向における間に介在している。
【0080】
バネ310による付勢によって、固定鏡筒部340に係合している調芯枠150の係合部1532は、固定鏡筒部340におけるワッシャ320に向けて付勢される。このように、バネ310は、固定鏡筒部340に係合している調芯枠150を、光軸OAに沿って固定鏡筒部340に押し当てる方向に付勢する付勢部材に該当している。
【0081】
そして、ワッシャ320は、凹部3422に収容されて、軸方向における固定鏡筒部340と調芯枠150との間に介在している。このように、ワッシャ320は、バヨネット構造における固定鏡筒部340と調芯枠150との、光軸OAに沿う方向における間に配置されるスペーサに該当している。
【0082】
[組み立て]
固定鏡筒部340の凹部3422に特定の厚みを有するワッシャ320を収容し、内周壁344にバネ310の一端を嵌めた状態で固定鏡筒部340と調芯枠150との間にバネ310を介在させて、固定鏡筒部340に調芯枠150を係合させる。固定鏡筒部340への調芯枠150の係合方法は、前述した実施形態1と同様に実施される。
【0083】
[X方向およびY方向の調整]
X方向およびY方向における調芯枠150の位置調整は、前述した実施形態1と同様に実施される。
【0084】
[Z方向の調整]
本実施形態では、固定鏡筒部340の三つの凹部3422に収容される三枚のワッシャ320の厚みによって、固定鏡筒部340のレンズと調芯枠150のレンズとのスラスト間隔が調整される。
【0085】
また、本実施形態では、三枚のワッシャ320の厚みの設定によって、調芯枠150のレンズの光軸の傾き(チルト)を調整することが可能である。
【0086】
図16は、本実施形態におけるチルト調整を説明するための図である。三枚のワッシャ320の厚みが同じである場合では、固定鏡筒部340のレンズと調芯枠150のレンズとのスラスト間隔のみがワッシャ320の厚みに応じて調整される。ここで、三枚のワッシャ320の厚みを、固定鏡筒部340の周方向における位置に応じて異なる厚みにする。バヨネット構造における調芯枠150の部分(係合部1532)が固定鏡筒部340へ、バネ310によって押し当てられていることから、ワッシャ320の位置および厚みに応じた調整角度θの範囲で、調芯枠150のレンズの光軸が傾く。このようにして、本実施形態では、調芯枠150のレンズの光軸のチルト調整が実現される。
【0087】
[シール構造]
本実施形態における撮像装置およびレンズ鏡筒のシール構造は、前述した実施形態1と実質的に同じである。よって、本実施形態では、前述した実施形態1と同様の防水性が発現される。
【0088】
[実施形態3のまとめ]
本実施形態では、固定鏡筒部に係合している調芯枠を、光軸に沿って固定鏡筒部に押し当てる方向に付勢するバネ(310)と、バヨネット構造における固定鏡筒部と調芯枠との、光軸に沿う方向における間に配置されるワッシャ(320)をさらに有する。よって、調芯枠のレンズのチルト調整をさらに実現することが可能である。
【0089】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0090】
本実施形態の撮像装置は、レンズ鏡筒において、調芯枠が前玉レンズを含む基準レンズを保持し、固定鏡筒部が調芯対象レンズを保持するように構成されている。それ以外は、本実施形態の撮像装置は、実質的には前述の実施形態3と同様に構成されている。
【0091】
[構成]
図17は、本実施形態に係る撮像装置の分解斜視図である。図18は、本実施形態に係る撮像装置の縦断面図である。図17に示されるように、撮像装置40のレンズ鏡筒は、固定鏡筒部440、バネ310、調芯枠450、ワッシャ320およびOリング160、170で構成されている。
【0092】
図19は、本実施形態における像面側から見た調芯枠を模式的に示す図である。調芯枠450は、物体側の径に比べて像面側の径が小さい略筒状体である。調芯枠450は、固定鏡筒部440の内径よりも小さい外径を有しており、固定鏡筒部440の物体側の開口から内部に収容可能である。調芯枠450は、その内部に調芯対象レンズとして第一レンズ143および第二レンズ144を同一光軸上に保持している。第一レンズ143が前玉レンズであり、よって本実施形態では、調芯対象レンズが前玉レンズを含んでいる。
【0093】
調芯枠450は、物体側端部に、その外周面から外方に突出する三つの爪部453を有している。爪部453は、調芯枠450の外周面から突出する、その平面形状が略矩形の板状の部分である。爪部453は、その物体側の主面に、凹部4532を有している。凹部4532は、ワッシャ320を収容可能であり、ワッシャ320と略同じ平面形状を有し、ワッシャ320の厚み未満の深さを有する。また、調芯枠450は、爪部453よりも内周側において、像面側に向けて起立する内周壁444を有している。内周壁444には、バネ310が外嵌している。
【0094】
図20は、本実施形態における像面側から見た固定鏡筒部を模式的に示す図である。固定鏡筒部440は、物体側の径に比べて像面側の径が小さい略筒状体である。固定鏡筒部440は、その内部に基準レンズとして第三レンズ151および第四レンズ152を同一光軸上に保持している。また、固定鏡筒部440は、物体側の外周面に第二ねじ部1451を有している。
【0095】
さらに、固定鏡筒部440は、物体側端面の内周側に三つの切り欠き部444と三つの凹部480とを有している。切り欠き部444および凹部480は、いずれも周方向において等間隔で配置されており、そして互いに交互に配置されている。切り欠き部444のそれぞれは、調芯枠450の爪部453が通過可能な形状に形成されている。凹部480のそれぞれは、固定鏡筒部440の物体側端面から突出する枠部によって、当該端面上に、物体側および内周側が開放された形状に形成されている。
【0096】
[組み立て]
図21は、本実施形態における固定鏡筒部への調芯枠の係合を説明するための図である。本実施形態では、固定鏡筒部440の径大側の開口部からバネ310を挿入する。また、調芯枠450の爪部453の凹部4532には、特定の厚みのワッシャ320を設置する。
【0097】
次いで、調芯枠450の爪部453を固定鏡筒部440の切り欠き部444の位置に合わせ、バネ310を内周壁444に嵌めつつ、調芯枠450を固定鏡筒部440の内部に向けて押し込む(図21の左図)。そして、その状態で調芯枠450を固定鏡筒部440に対して回転させて固定鏡筒部440に係合させる。調芯枠450の爪部453は、固定鏡筒部440の物体側端部に向けてバネ310によって付勢されるが、当該物体側端部に規制される。このように、調芯枠450の爪部453と固定鏡筒部の物体側端部は、バヨネット構造を構成している。固定鏡筒部440への調芯枠450の係合によって、凹部480は、その径方向において、調芯枠450の外周面に対向する。よって、凹部480は、前述の枠部と調芯枠450の外周面とによって物体側に開口する凹部になる。
【0098】
次いで、物体側に開口している凹部480に接着剤を注入する。そして、調芯枠450の位置調整とチルト調整を実施する。調芯枠450の位置調整とチルト調整は、前述の実施形態3と同様に実施される。その後、接着剤を硬化させ、調芯枠450を固定鏡筒部440に対して固定する。
【0099】
次いで、内部に調芯枠450が固定されている固定鏡筒部440の第二ねじ部1451を、外枠筒120の第一ねじ部130に螺合させて、固定鏡筒部440を外枠筒120内に固定する。
【0100】
[シール構造]
本実施形態における撮像装置およびレンズ鏡筒のシール構造は、前述した実施形態1と実質的に同じである。よって、本実施形態では、前述した実施形態1と同様の防水性が発現される。
【0101】
[実施形態4のまとめ]
本実施形態では、調芯枠450が前玉レンズを保持する。このように、本実施形態は、物体側に配置されるレンズの調芯および光軸のチルト調整を実現する観点から好適である。
【0102】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0103】
本実施形態の撮像装置は、固定鏡筒部が外枠筒と一体成型されており、外枠筒がその本体とマウントカバーとの二部材によって構成されている。それ以外は、本実施形態の撮像装置は、実質的には前述の実施形態3と同様に構成されている。
【0104】
[構成]
図22は、本実施形態に係る撮像装置の分解斜視図である。図23は、本実施形態に係る撮像装置の縦断面図である。図22に示されるように、撮像装置50の外枠筒は、固定鏡筒部540とマウントカバー550とによって構成されている。
【0105】
図24は、本実施形態における像面側から見た固定鏡筒部を模式的に示す図である。固定鏡筒部540は、実施形態1における第一ねじ部130よりも本体11側の外枠筒120の部分と一体成型されている。それ以外は、固定鏡筒部540は、前述した実施形態における固定鏡筒部340と実質的に同じ構成を有している。
【0106】
マウントカバー550は、実施形態1における外枠筒120の第一ねじ部130を含む先端部と実質的に同じ構成を有している。マウントカバー550は、第一ねじ部130と固定鏡筒部540の第二ねじ部1451との螺合によって、固定鏡筒部540と一体となっている。なお、マウントカバー550と固定鏡筒部540との間には、気密性を高めるためのガスケット560が介在している。
【0107】
[組み立て]
本実施形態では、基板部112で筐体部111を塞ぐ前に、調芯枠150の係合およびレンズ調芯を実施する。調芯枠150の係合およびレンズ調芯は、前述の実施形態3と同様に実施される。
【0108】
次いで、基板部112で筐体部111を塞ぎ、ガスケット560を介してマウントカバー550を固定鏡筒部540に固定する。固定鏡筒部540へのマウントカバー550の固定により、実施形態3と実質的に同じ構成が実現される。
【0109】
あるいは、固定鏡筒部540に調芯枠150を係合させ、次いで基板部112で筐体部111を塞いだ後、固定鏡筒部540に係合している調芯枠150の位置を物体側から調整してもよい。この場合では、撮像素子13をすでに装着した状態で、調芯枠150の調芯対象レンズの調芯を実施することが可能である。
【0110】
[シール構造]
図25は、本実施形態における固定鏡筒部と調芯枠との係合部分およびシール部分を拡大して示す断面図である。図25に示されるように、マウントカバー550は、ねじ部の螺合によって固定鏡筒部540に固定される。よって、撮像装置50は、マウントカバー550と固定鏡筒部540との結合部において、十分な防水性を有している。加えて、マウントカバー550は、ガスケット560を介して固定鏡筒部540に固定されている。よって、撮像装置50は、マウントカバー550と固定鏡筒部540との結合部において、十分な気密性を有している。
【0111】
[実施形態5のまとめ]
本実施形態では、固定鏡筒部(540)がレンズ鏡筒の外枠筒と一体である。よって、本実施形態では、撮像素子が装着されている状態でも調芯枠のレンズの調芯を実施することが可能である。また、本実施形態では、外枠筒に固定された状態でレンズの調芯が実施されるため、調芯後の固定鏡筒部の取り付けに伴うレンズの調芯のずれを防止する観点からより一層効果的である。
【0112】
〔実施形態6〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0113】
本実施形態の撮像装置は、固定鏡筒部が、マウントカバーを含む外枠筒と一体成型されており、Oリングの代わりにシート状のシール部材で固定鏡筒部が形成する隙間を水密に塞ぐように構成されている。それ以外は、本実施形態の撮像装置は、実質的には前述の実施形態5と同様に構成されている。
【0114】
[構成]
図26は、本実施形態に係る撮像装置の分解斜視図である。図27は、本実施形態に係る撮像装置の縦断面図である。図26に示されるように、撮像装置60は、固定鏡筒部640、調芯枠150、基板部112、Oリング160、バネ310、ワッシャ320およびシールテープ670を有する。
【0115】
図28は、本実施形態における像面側から見た固定鏡筒部を模式的に示す図である。固定鏡筒部640において、フランジ部342は外枠筒120に直接つながっている。そして、固定鏡筒部640は、フランジ部342と外枠筒120の先端との間に、外枠筒120の外周面において周方向に延在する凹条620を有している。すなわち、凹条620における像面側の壁面がフランジ部342である。凹条620の両開口縁には、周方向に沿って、外枠筒120の外周面から窪む段差が形成されており、この段差にシールテープ670が貼り付けられる。
【0116】
[組み立て]
図29は、本実施形態における固定鏡筒部と調芯枠との係合部分を拡大して示す断面図である。固定鏡筒部640への調芯枠150の係合は、前述した実施形態3と同様に実施される。本実施形態では、係合部1532の外側の溝1533は、外周方向に向けて開口している。よって、固定鏡筒部640への調芯枠150の係合によって、溝1533と凹条620の物体側壁面とによって、外周方向に向けて開口する凹部680が形成される。このように、本実施形態では、凹条620の内部に開口する凹部680が、固定鏡筒部640への調芯枠150の係合によって形成される。
【0117】
外枠筒120の外周方向から凹部680へ接着剤を注入し、調芯枠150の位置調整およびチルト調整後に接着剤を硬化させ、調芯枠150を固定鏡筒部640に固定する。本実施形態における調芯枠150の位置調整およびチルト調整は、前述の実施形態3と同様に実施される。
【0118】
次いで、凹条620の開口の段差にシールテープ670を全周に貼り付けて凹条620を塞ぐ。凹条620は、固定鏡筒部640によって形成される、バヨネット構造に至る空間となっており、凹条620の開口を外枠筒120の周方向に沿って覆って塞ぐシールテープ670は、本実施形態における第二シール部材に該当する。
【0119】
[シール構造]
図30は、本実施形態における固定鏡筒部のシール部分を拡大して示す断面図である。前玉レンズから固定鏡筒部640内への隙間には、Oリング160によって塞がれている。よって、撮像装置60は、固定鏡筒部640の筒内側に対する十分な防水性を有する。
【0120】
また、凹条620は、バヨネット構造に面しており、バヨネット構造を介して撮像素子13に至る隙間の開口部となっている。凹条620は、シールテープ670によって全周にわたって塞がれており、シールテープ670は、段差をのりしろとして十分強固に接着し、凹条620を水密に塞いでいる。よって、撮像装置60は、撮像素子13に対する十分な防水性を有している。
【0121】
[実施形態6のまとめ]
本実施形態では、固定鏡筒部(640)は、外枠筒の外周面において周方向に延在する凹条(620)を有し、接着剤を収容するための凹部(680)は、当該凹条の内部に開口している。また、凹条の開口は、外枠筒の周方向に沿って覆う部材(シールテープ670)によって塞がれている。本実施形態では、前述の実施形態の中では、より少ない点数の部品で、レンズの調芯と防水性とを実現可能である。このように、本実施形態は、より簡素な構成でレンズの調芯と防水性とを実現する観点からより一層効果的である。
【0122】
〔変形例〕
実施形態2において、調芯枠は三つ以上あってもよい。このような構成は、より重いレンズを単独で調芯することで、このような重たいレンズを含むレンズの調芯の精度を高める観点から好適である。
【0123】
〔まとめ〕
前述の実施形態において、レンズ鏡筒は複数のレンズ群を有しており、そのうちの一つのレンズ群の調芯が光軸に対して垂直と平行の方向で実施される。調芯されるレンズ群は調芯枠によって保持される。
【0124】
また、調芯枠をバネなどの弾性部材によって、光軸と平行の方向で付勢することは、調芯されるレンズ群のチルト調整を実施するのに好適である。
【0125】
調芯枠は、径方向にそって延在する爪部を有し、固定鏡筒部は、当該爪部と係合するように構成される。そして、調芯枠および固定鏡筒部の両方の部分から形成される凹部に、外部から接着剤を注入する。これにより、位置調整後およびチルト調整後の調芯枠を固定鏡筒部に固定することが可能である。
【0126】
本実施形態では前玉レンズと固定鏡筒部または調芯枠との隙間がOリングで塞がれるため、防水性の観点から好適である。
【0127】
前述した本発明の実施形態では、バヨネット構造と付勢バネが使用され、少点数の部品で省スペース化と簡易化とが実現され、さらには、高防水性および/または高気密性を実現可能な調芯機構が実現される。
【0128】
以上の説明から明らかなように、本発明の実施形態におけるレンズ鏡筒(10)は、基準レンズを保持する固定鏡筒部(140)と、基準レンズの光軸上に配置されるべき調芯対象レンズを保持するとともにバヨネット構造を介して固定鏡筒部に係合する調芯枠(150)と、固定鏡筒部および調芯枠の一方に、その他方に面して形成され、調芯枠が係合した固定鏡筒部の外側から注入される接着剤を収容可能な凹部(180)と、基準レンズまたは調芯対象レンズに含まれる前玉レンズの周縁部と前玉レンズを保持する固定鏡筒部または調芯枠との間を水密に塞ぐ第一シール部材(Oリング160)と、固定鏡筒部に形成される、バヨネット構造に通じる開口部を水密に塞ぐ第二シール部材(Oリング170)と、を有する。この構成により、レンズ間の調芯が可能であり、防水性に優れ、かつ簡易な構成を有するレンズ鏡筒が実現される。
【0129】
本発明の実施形態において、レンズ鏡筒は、固定鏡筒部に係合している調芯枠を、光軸に沿って固定鏡筒部に押し当てる方向に付勢する付勢部材(バネ310)と、バヨネット構造における固定鏡筒部と調芯枠との、光軸に沿う方向における間に配置されるスペーサ(ワッシャ320)をさらに有していてもよい。この構成は、簡易な構成で調芯対象レンズの光軸のチルト調整をさらに実現する観点からより一層効果的である。
【0130】
本発明の実施形態において、基準レンズが前玉レンズを含んでもよい。この構成は、レンズ群を外枠筒に固定する際に調芯状態をより確実に保存する観点からより一層効果的である。
【0131】
本発明の実施形態において、調芯対象レンズが前玉レンズを含んでもよい。この構成は、物体側のレンズ群を調芯する観点からより一層効果的である。
【0132】
本発明の実施形態において、固定鏡筒部がレンズ鏡筒の外枠部の内側に固定されてもよい。この構成は、調芯済みのレンズ群を撮像装置に固定する際のレンズのずれを抑制する観点からより一層効果的である。
【0133】
本発明の実施形態において、固定鏡筒部がレンズ鏡筒の外枠部と一体であってもよい。この構成は、調芯済みのレンズ群を撮像装置に固定する際のレンズのずれを防止する観点からより一層効果的である。
【0134】
本発明の実施形態において、第二シール部材は、外枠部と前玉レンズとの間からバヨネット構造に通じる隙間で、光軸に沿う方向において外枠部と調芯枠または固定鏡筒部とに密着するOリングであってもよい。この構成は、簡素な構成で防水性を高める観点からより一層効果的である。
【0135】
本発明の実施形態において、固定鏡筒部は、前記外枠部の外周面において周方向に延在する凹条を有し、前記凹部は、前記凹条の内部に開口しており、前記第二シール部材は、前記凹条の開口を前記外枠部の周方向に沿って覆って塞ぐ部材であってもよい。この構成は、部品数を減らして構成を簡素化する観点からより一層効果的である。
【0136】
本発明の実施形態において、レンズ鏡筒は、二以上の調芯枠を有し、調芯枠のそれぞれが固定鏡筒部に独立して係合してもよい。この構成は、複数のレンズ群の調芯を独立して実現する観点からより一層効果的である。
【0137】
本発明の実施形態において、撮像装置は、上記のレンズ鏡筒と撮像素子とを有する。よって、本発明の実施形態によれば、高性能かつ防水性に優れる撮像装置を簡素な構成で実現することが可能である。
【0138】
このような構成によれば、撮像装置の高性能化、防水性向上およびさらなる小型化が実現される。これにより、撮像装置の利用が促進され、また生産部品の利用率向上による廃棄プラスチックの削減が実現される。よって、産業の基盤の整備および環境保全に関する持続可能な開発目標(SDGs)の達成への貢献が期待される。
【0139】
本発明は上述した各実施形態に限定されず、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0140】
10、20、30、40、50、60 撮像装置
11 本体
12 レンズ鏡筒
13 撮像素子
111 筐体部
112 基板部
120 外枠筒
140、240、340、440、540、640 固定鏡筒部
141 筒部
142、242、342 フランジ部
143 第一レンズ
144 第二レンズ
145 外周壁
146 第一嵌合溝
147 第二嵌合溝
150、450 調芯枠
151 第三レンズ
152 第四レンズ
153、253、263、453 爪部
160、170 Oリング
180、280、480、680、3422、4532 凹部
190 開口部
244、344、444 内周壁
260 第二調芯枠
310 バネ
320 ワッシャ
550 マウントカバー
560 ガスケット
670 シールテープ
620 凹条
1421、2421 案内孔
1422、1423、2422、2423 段部
1452、2452 凹凸部
1531、2631 挿通軸部
1532、2532、2632 係合部
OA 光軸
θ 調整角度

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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