(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150448
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】浄化装置
(51)【国際特許分類】
B01D 47/06 20060101AFI20231005BHJP
B01D 45/08 20060101ALI20231005BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20231005BHJP
B01D 53/38 20060101ALI20231005BHJP
B01D 53/44 20060101ALI20231005BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B01D47/06 A
B01D45/08
B01D53/18 150
B01D53/38
B01D53/44 120
B01D53/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059556
(22)【出願日】2022-03-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 納品日:令和3年5月5日,販売した場所:株式会社 小倉製菓(京都府亀岡市大井町並河3-28-6 亀岡並河工場) 納品日:令和3年6月10日,販売した場所:大同特殊鋼株式会社(名古屋市南区大同町二丁目30 星崎工場) 納品日:令和3年6月12日,販売した場所:株式会社 小倉製菓(京都府亀岡市大井町並河3-28-6 亀岡並河工場)
(71)【出願人】
【識別番号】591095708
【氏名又は名称】株式会社新井機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100109807
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】新井 進二
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
4D031
4D032
【Fターム(参考)】
4D002AA40
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA16
4D002CA01
4D002DA35
4D002DA70
4D002EA02
4D002EA05
4D002FA01
4D020AA08
4D020BA15
4D020BA23
4D020CB27
4D020CC02
4D020CC05
4D020CC13
4D020CD01
4D031AB02
4D031AB23
4D031BA04
4D031DA04
4D031EA01
4D032AC01
4D032AC08
4D032BB01
4D032BB05
4D032DA02
(57)【要約】
【課題】浄化装置を提供する。
【解決手段】中間部300に溜められた処理液をノズルへ送り、ノズルから出た処理液を中間部300に集めて、処理液を循環させて使用する、浄化装置であって、第一処理部は軸が横に延びた断面角形の横ダクト部とこの横ダクト部の内側に設けた第一ノズルと第一ノズルよりも下流側で横ダクト部の内側に設けた第一多孔通気部60とを備え、第二処理部は軸が上下に延びていて上端の開口を第一処理部に接続した円筒状の筒本体部を備え、中間部は上に矩形型の口を開けて口の長辺縁の寸法よりも高さが小さく設定された直方体型の容器状に形成された流路形成部311と流路形成部の底の一部が底の他の部分よりも下方へ窪んで深い部分として構成されていて流路形成部よりも容積が小さい小容器状に形成され処理液を入れる深部312′と流路形成部の内側に設けられ上流部で処理した処理空気を通す中間残量低減部340とを備えている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空に構成され一端が流入口を成し他端が流出口を成す排気流路と、上記空気を上記流入口から上記流出口へ送る送風装置と、を備え、
上記排気流路は、上記流入口を有し上記流入口よりも低い位置へ空気を案内する上流部と、上記上流部の横で立ち上がっていて高い部分に上記流出口を設けた下流部と、上記上流部及び上記下流部の下に設けられて排気流路の最も低い部分を構成して上記上流部の下端から上記下流部の下端へ上記空気を案内する共に内側の一部を利用して処理液を溜める中間部と、を備え、
上記上流部は、少なくとも一つの第一ノズルを有する第一処理部と、少なくとも一つの第二ノズルを有しており上記第一処理部よりも下流に設けられる第二処理部と、を備え、
上記中間部に溜められた上記処理液を上記第一ノズル及び上記第二ノズルへ送り、上記第一ノズル及び上記第二ノズルから出た上記処理液を上記中間部に集めて、少なくとも一部の上記処理液を循環させて使用する、浄化装置であって、
上記第一処理部は、軸が横に延びた断面角形の横ダクト部と、この横ダクト部の内側に設けた上記第一ノズルと、上記第一ノズルよりも下流側で上記横ダクト部の内側に設けた少なくとも一つの第一多孔通気部と、を備え、
上記第二処理部は軸が上下の方向に延びていて上端を上記第一処理部に接続した円筒状の筒本体部を備え、
上記第一多孔通気部は、通気枠部と、この通気枠部の内側に設けられ上流側から下流側へ上記空気を通す複数の第一網状部と、を備え、
複数の上記第一網状部は、重ねて設けられ或いは離れて上流側から下流側へ並んで設けられていることを特徴とする、浄化装置。
【請求項2】
上記第一処理部は、上流側の開口が横に開いた上記流入口を構成し下流側の開口(以下、下流開口と呼ぶ。)が下方を臨んで設けられたダクト本体部と、上記下流開口の一部を塞ぐフランジ部と、上記ダクト本体部の内側に設けられる二つの仕切プレート部と、を備え、
上記ダクト本体部は、上記横ダクト部と、上記横ダクト部よりも下流に設けられていて流入した空気の向きを下方へ変える方向変更部と、を備え、
上記ダクト本体部の上記下流開口が矩形の開口縁で構成されていて、
上記フランジ部は、八角形の穴を有するフランジ本体部と、上記フランジ本体部に一部を重ねて設けられていて上記フランジ本体部よりも外側に張り出す四つの被覆プレート部と、を備え、
上記フランジ本体部では、上記穴が上記開口縁に沿って設けられる第一縁と、上記開口縁よりも内側に設けられる第二縁とを交互に連ねた内周縁で形成されており、さらに外周縁が上記開口縁よりも外側に張り出す部分を構成する第三縁と、上記開口縁よりも内側に配置される部分を構成する第四縁と、を交互に連ねて形成されており、
上記フランジ本体部の上記第四縁よりも外側で上記フランジ本体部では塞がれない上記下流開口の四つの角領域がそれぞれ上記被覆プレート部で塞がれており、
さらに上記仕切プレート部が上記方向変更部の曲面部の下端近くに設けられる二つの上記第二縁に下端をそれぞれ寄せて立ち上がっていて、上記ダクト本体部の内側が上記曲面部の下端近くの上記被覆プレート部の上方の非送風空間と送風空間とに仕切られていることを特徴とする、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項3】
上記第一処理部は、上流側の開口が横に開いた上記流入口を構成し下流側の開口が下方を臨んで設けられたダクト本体部と、照明装置と、を備え、
上記ダクト本体部は、上記横ダクト部と、上記横ダクト部よりも下流に設けられていて流入した空気の向きを下方へ変える方向変更部と、を備え、
上記照明装置は、上記ダクト本体部の外側に配置される光源部と、上記方向変更部の曲面部を貫通する上記光ガイド部と、を備え、
上記光ガイド部は、筒状の貫通部と、上記貫通部の内側に設けられて気体や液体を不通にする透光部材と、を設けており、
上記第二処理部の上記筒本体部は、内側を目視するための窓部を設けていることを特徴とする、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項4】
上記横ダクト部は上流側から下流側へ下る斜面を成す底面部を備え、
上記斜面の少なくとも一部又は上記斜面の下端から延びていて上記斜面と異なる傾き或いは曲面に形成された底延長部の少なくとも一部が、上記第二処理部の上記筒本体部の上端よりも内側へ軒状に突き出ていることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れかに記載の浄化装置。
【請求項5】
上記中間部は、上に矩形型の口を開けて上記口の長辺縁の寸法よりも高さが小さく設定された直方体型の容器状に形成された流路形成部と、上記流路形成部の底の一部が上記底の他の部分よりも下方へ窪んで深い部分として構成されていて上記流路形成部よりも容積が小さい小容器状に形成され上記処理液を入れる深部と、上記上流部で処理した処理空気に残る異物の量を低減する中間残量低減部と、を備え、
上記中間残量低減部は、上記口の短辺縁と平行に設けられる少なくとも一つの通気支持部と、上記通気支持部に掛かり上記通気支持部の長手方向に並ぶ複数の第二多孔通気部と、を備え、
上記流路形成部は開閉自在の点検口を上記口の上記長辺縁を形成する第一側面部又は第二側面部に備え、
複数の上記第二多孔通気部は、通気本体部と、この通気本体部の端から突き出ていて上記通気支持部に掛かる屈曲部と、を備えて、上記点検口から出し入れすることができる大きさに構成されていると共に少なくとも上記通気本体部が上流側から下流側へ上記処理空気を通す複数の第二網状部を重ねて構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項4の何れかに記載の浄化装置。
【請求項6】
上記中間部は、上記流路形成部と、上記深部と、上記中間残量低減部と、上記流路形成部の上記口の周りに設けられる枠状補強部と、上記枠状補強部の内側で上記口の短辺縁と平行に設けられて上記枠状補強部の内側を上記上流部の下方に配置される上流口と上記下流部の下方に配置される下流口とに分ける内側補強部と、を備え、
上記流路形成部は、平行に設けられる上記第一側面部及び上記第二側面部と、平行に設けられて口の上記短辺縁を形成する第三側面部及び第四側面部と、を備えると共に上記底の他の部分が上記下流口の下方で上記深部へ向けて下る浅底部を有し、上記第三側面部が上流側に設けられ、上記第四側面部が下流側に設けられており、
上記通気支持部として、上記下流口で或いは上記下流口の下方で上記内側補強部に寄せて上記口の短辺縁と平行に設けられる第一通気支持部と、上記下流口の下方であり且つ上記第一通気支持部よりも低い位置であると共に上記第一通気支持部よりも上記第四側面部がある下流側へ位置をずらして上記第一通気支持部と平行に設けられる第二通気支持部と、を備え、
上記第二多孔通気部として、上記第一通気支持部に掛かり一部を重ねて上記第一通気支持部の長手方向に並ぶ複数の第一多孔部と、上記第二通気支持部に掛かり一部を重ねて上記第二通気支持部の長手方向に並ぶ複数の第二多孔部と、を備え、
上記第二多孔部は下端を上記浅底部に載せ、上記第一多孔部は下端を上記第二通気支持部に掛けた上記第二多孔部に載せて、上記第一多孔部と上記第二多孔部とはぞれぞれ下端が上端よりも上記第四側面部がある下流側へ位置をずらして傾いており、
上記第一側面部又は上記第二側面部は、上記点検口を上記浅底部の縁から立ち上がる部分で上記第一通気支持部の端及び上記第二通気支持部の端よりも上記第四側面部がある下流側へ位置をずらして設けていることを特徴とする、請求項5に記載の浄化装置。
【請求項7】
上記第二多孔通気部の上記屈曲部は上記通気本体部と共に複数の上記第二網状部が重なって構成されていることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を浄化する装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
工場内から屋外へ空気を排気する際に空気の浄化を行う処理装置として、処理液を空気にかけて空気に含まれる異物を取り除くことが従来より知られている。
【0003】
図18は従来の処理装置900を示す概略図である。処理装置900は、処理液910を収容する直方体型に構成された液溜槽920と、液溜槽920の天板921の上に設けた処理筒930及び排出筒940と、液溜槽920から処理筒930の内側に設けたノズル951へ処理液910を送るポンプ950と、を備えている。処理装置900は、空気を処理筒930の上端から液溜槽920の中へ、さらに液溜槽920の中で処理液910の上の空間を通って排出筒940へ送り、排出筒940の上端から外部へ排出し、空気が処理筒930を通る過程で異物の除去を行っている。
【0004】
処理液910は、処理筒930の中に設けたノズル951から下方へポンプ950によって、例えば毎分80リットル以上送られて、高圧で噴出される。処理液910が高圧に噴出することで空気の流れがつくられる。また処理液910は、液溜槽920内で所定のレベルに形成された排出部から余剰分を浮いた異物と共に排出し、また補給部970によって毎分数リットルを補給している。このような処理装置900が特許文献1に開示されている。
【0005】
ポンプの高圧噴出による空気の送風に代えて、送風装置を用いた処理装置が特許文献2に開示されている。
【0006】
また、油を含んだ空気を浄化する処理装置が特許文献3に開示されている。特許文献3の処理装置は、空気が流れるダクト内に網状部材を設けて、ノズルを網状部材よりも上流側に配置して、処理液を網状部材にかけて、空気に含まれる油の除去を図っている。特許文献4にも、処理液をかけて油を除くための網状部材をダクト内に配置した処理装置が開示されている。
【0007】
処理液として水或いは水溶液に代えて、油を用いて油煙を処理する装置が特許文献5に開示されている。特許文献5の処理装置のように処理液として油を用いると、油を含む空気の浄化に使用する液量を低減し、補給などの回数も低減することが期待できる。
【0008】
液溜槽920に対応する構成に関して、特許文献5の処理装置を特許文献1や特許文献2の処理装置と比べると、特許文献1や特許文献2では液溜槽920と同様に直方体型であるのに対して、特許文献3では液溜槽920に対応する構成が直方体の一部を取り除いた非直方体型である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭48―52669号公報
【特許文献2】特許第4173169号公報
【特許文献3】特開2014-14758号公報
【特許文献4】特開2005-30718号公報
【特許文献5】実開昭56―8834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の処理装置900は処理筒930の中で主に空気の浄化を行うものであり、処理筒930の上流側に設けられ軸を横に延ばした他のダクトの中で処理液を噴出して第一段の浄化処理を施し、さらに下流側の処理筒の中で処理液を噴出して第二の浄化処理を行うようには構成されていない。
【0011】
そこで、本発明は、浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の浄化装置は、中空に構成され一端が流入口を成し他端が流出口を成す排気流路と、上記空気を上記流入口から上記流出口へ送る送風装置と、を備え、上記排気流路は、上記流入口を有し上記流入口よりも低い位置へ空気を案内する上流部と、上記上流部の横で立ち上がっていて高い部分に上記流出口を設けた下流部と、上記上流部及び上記下流部の下に設けられて排気流路の最も低い部分を構成して上記上流部の下端から上記下流部の下端へ上記空気を案内する共に内側の一部を利用して処理液を溜める中間部と、を備え、上記上流部は、少なくとも一つの第一ノズルを有する第一処理部と、少なくとも一つの第二ノズルを有しており上記第一処理部よりも下流に設けられる第二処理部と、を備え、上記中間部に溜められた上記処理液を上記第一ノズル及び上記第二ノズルへ送り、上記第一ノズル及び上記第二ノズルから出た上記処理液を上記中間部に集めて、少なくとも一部の上記処理液を循環させて使用する。上記第一処理部は、軸が横に延びた断面角形の横ダクト部と、この横ダクト部の内側に設けた上記第一ノズルと、上記第一ノズルよりも下流側で上記横ダクト部の内側に設けた少なくとも一つの第一多孔通気部と、を備え、上記第二処理部は軸が上下の方向に延びていて上端を上記第一処理部に接続した円筒状の筒本体部を備えている。上記第一多孔通気部は、通気枠部と、この通気枠部の内側に設けられ上流側から下流側へ上記空気を通す複数の第一網状部と、を備え、複数の上記第一網状部は、重ねて設けられ或いは離れて上流側から下流側へ並んで設けられている。
【0013】
本発明の浄化装置は、好ましくは、上記第一処理部は、上流側の開口が横に開いた上記流入口を構成し下流側の開口(以下、下流開口と呼ぶ。)が下方を臨んで設けられたダクト本体部と、上記下流開口の一部を塞ぐフランジ部と、上記ダクト本体部の内側に設けられる二つの仕切プレート部と、を備えている。上記ダクト本体部は、上記横ダクト部と、上記横ダクト部の下流側に設けられていて流入した空気の向きを下方へ変える方向変更部と、を備えている。上記ダクト本体部の上記下流開口が矩形の開口縁で構成されている。上記フランジ部は、八角形の穴を有するフランジ本体部と、上記フランジ本体部に一部を重ねて設けられていて上記フランジ本体部よりも外側に張り出す四つの被覆プレート部と、を備えている。上記フランジ本体部では、上記穴が上記開口縁に沿って設けられる第一縁と、上記開口縁よりも内側に設けられる第二縁とを交互に連ねた内周縁で形成されており、さらに外周縁が上記開口縁よりも外側に張り出す部分を構成する第三縁と、上記開口縁よりも内側に配置される部分を構成する第四縁と、を交互に連ねて形成されており、上記フランジ本体部の上記第四縁よりも外側で上記フランジ本体部では塞がれない上記下流開口の四つの角領域がそれぞれ上記被覆プレート部で塞がれており、さらに上記仕切プレート部が上記方向変更部の曲面部の下端近くに設けられる二つの上記第二縁に下端をそれぞれ寄せて立ち上がっていて、上記ダクト本体部の内側が上記曲面部の下端近くの上記被覆プレート部の上方の非送風空間と送風空間とに仕切られている。
【0014】
本発明の浄化装置は、好ましくは、上記第一処理部は、上流側の開口が横に開いた上記流入口を構成し下流側の開口端が下方を臨んで設けられたダクト本体部と、照明装置と、を備えている。上記ダクト本体部は、上記横ダクト部と、上記横ダクト部の下流側に設けられていて流入した空気の向きを下方へ変える方向変更部と、を備え、上記照明装置は、上記ダクト本体部の外側に配置される光源部と、上記方向変更部の曲面部を貫通する上記光ガイド部と、を備え、上記光ガイド部は、筒状の貫通部と、上記貫通部の内側に設けられて気体や液体を不通にする透光部材とを設けており、上記第二処理部の上記筒本体部は、内側を目視するための窓部を設けている。
【0015】
本発明の浄化装置は、好ましくは、上記横ダクト部は上流側から下流側へ下る斜面を成す底面部を備え、上記斜面の少なくとも一部又は上記斜面の下端から延びていて上記斜面と異なる傾き或いは曲面に形成された底延長部の少なくとも一部が、上記第二処理部の上記筒本体部の上端よりも内側へ軒状に突き出ている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば空気に含まれる異物を一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る浄化装置を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る浄化装置を示す背面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る浄化装置を示す左側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る浄化装置を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る浄化装置の排気流路の分解斜視図である。
【
図6】(a)は本発明の実施形態に係る浄化装置の第一処理部の正面図であり、(b)は(a)の第一処理部の左側面図であり、(c)は(a)の第一処理部の平面図であり、(d)は(a)のS1-S1線に沿った第一処理部の断面図であり、(e)は(a)のS3-S3線に沿った第一処理部の端面図である。
【
図7】(a)は
図6(a)の第一処理部の分解後方斜視図であり、(b)は
図6(a)の第一処理部のフランジ部周辺の構成を説明するための図であり、(c)は
図6(a)の第一処理部の後方斜視図である。
【
図8】(a)は
図6(a)の第一処理部の第一多孔通気部を示す正面図であり、(b)は(a)の第一多孔通気部の左側面図であり、(c)は(a)の第一多孔通気部の平面図であり、(d)は(a)のS2-S2線に沿った第一多孔通気部の端面図であり、(e)は(a)の第一多孔通気部の通気孔の拡大図であり、(f)は(a)の第一多孔通気部の一部を拡大した概略斜視図である。
【
図9】(a)は
図1のS4-S4線に沿った浄化装置の部分断面図であり、(b)は
図3のS5-S5線に沿った浄化装置の部分断面図であり、(c)は(b)で二点鎖線の円内を拡大した図である。
【
図10】(a)は本発明の実施形態に係る浄化装置の第一軒状部を示す概略端面図であり、(b)は本発明の実施形態に係る浄化装置の第二軒状部を示す概略端面図である。
【
図11】(a)は本発明の実施形態に係る浄化装置の中間部の分解斜視図であり、(b)は本発明の実施形態に係る浄化装置の中間部の器状部及び補強部を示す斜視図であり、(c)は本発明の実施形態に係る浄化装置の補強構成部材の正面図であり、(d)は(c)のS6-S6線に沿った補強構成部材の拡大断面図である。
【
図12】(a)は本発明の実施形態に係る浄化装置の中間部の内部構造を示す概略斜視図であり、(b)は第一多孔部の正面図であり、(c)は(b)の第一多孔部の左側面図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る浄化装置の送油用の概略配管図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る浄化装置の使用状態を示す斜視図である。
【
図15】(a)から(c)は本発明の実施形態に係る浄化装置の変形例を説明するための図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る浄化装置の中間残量低減部の変形例を説明するための図である。
【
図17】(a)から(d)は本発明の実施形態に係る浄化装置の中間残量低減部の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(浄化装置1)
図1は本発明の実施形態に係る浄化装置1を示す正面図であり、
図2は浄化装置1を示す背面図であり、
図3は浄化装置1を示す左面図であり、
図4は浄化装置1を示す平面図である。浄化装置1は、他の製造装置で生じ屋外へ排出する空気が流れる排気部10と、作業フロアG(設置面)に着地し排気部10を支える支持部50と、を備えていて、空気が排気部10を流れる過程で空気に含まれる異物を低減する浄化処理を行う。
【0019】
排気部10は、内部が中空に構成され一端が流入口を成し他端が流出口を成す排気流路10Aと、排気流路10Aの流出口に設けられていて空気を流入口から流出口へ送る送風装置10Bと、を備えている。
【0020】
図5は排気流路10Aの分解斜視図である。排気流路10Aは、空気の流入口を有し流入口よりも低い位置へ空気を案内する上流部100と、上流部100の横に設けられていて低い位置から高い位置へ空気を案内する下流部200と、上流部100と下流部200の下に設けられて排気流路10Aの最も低い部分を構成して上流部100の下端から下流部200の下端へ空気を案内する中間部300と、を備えている。
【0021】
(上流部100)
上流部100は、第一処理部110と第二処理部120とを備えている。
【0022】
(第一処理部110)
図6は第一処理部110を示しており、(a)が正面図であり、(b)が左側面図であり、(c)が平面図であり、(d)が(a)のS1-S1線に沿った第一処理部110の断面図である。また、
図7(a)は一部を分解した第一処理部110の後方からの斜視図である。
【0023】
第一処理部110は、上流側の開口が横に開いた流入口を構成し下流側の開口が下方を臨んで設けられたダクト本体部D1と、ダクト本体部D1の内側に設けられたノズル77A(第一ノズル)と、ダクト本体部D1の内側でノズル77Aよりも下流に設けられた第一多孔通気部60と、フランジ部114と、を備えている。
【0024】
(ダクト本体部)
ダクト本体部D1は、
図6の(b)及び(d)に示すように、軸C1が横(水平方向)に延びた断面角型の横ダクト部111と、横ダクト部111よりも下流に設けられていて流入した空気の向きを下方へ変える方向変更部112と、方向変更部112よりも下流に設けられていて軸C2が縦(上下の方向)に延びた断面角型の延長部113と、を備えている。
【0025】
横ダクト部111は、
図6(d)に示すように、底を形成する底面部111btが平たく且つ上流側から下流側へ低くなる斜面として形成されている。天面部111upも平たく形成されており、さらに第一多孔通気部60用に内側に通じる開口111hを有し、この開口111hは着脱自在の蓋部111cで塞がれている。また、横ダクト部111の一方の側面部111Lには点検部119が設けられている。点検部119は、横ダクト部111の側面部111Lを貫通して横ダクト部111の中に通じる点検口と、点検口を開閉自在に覆う扉部と、を備えている。点検部119は、扉部を開けると、横ダクト部111の外側が内側へ通じ、点検口は手や腕を横ダクト部111の中に入れることができる大きさに構成されている。
方向変更部112は、曲面部112Aと、二つの側面部112L,112Rと、で構成されていて、曲面部112Aは、横ダクト部111の天面部111upにつながる上端と、この上端と平行に設けられていて延長部とつながる下端と、を有し、上端と下端とが水平に延びるように設けられている。また、曲面部112Aは、上端及び下端と直交する仮想の鉛直面に沿った断面が、後述する照明装置116の貫通部116Bを除いて、弧状に形成されている。側面部112L,112Rは、曲面部112Aで弧状に形成された両端から下方へ延びている。
【0026】
横ダクト部111の上流側の開口が流入口を構成し、例えば500mm×600mm(開口面積S′11=0.3m2)の寸法で横長に開いている。また、横ダクト部111の下流側の開口は、例えば550mm×600mmの寸法(開口面積S′12=0.33m2)で横長に開いている。延長部113は、本実施形態では断面が正方形に形成されており、例えば600mm×600mm(開口面積S′13=0.36m2)の寸法に設定されていて、下端がダクト本体部D1の下流側の開口を構成する。
【0027】
第一処理部110は、ダクト本体部D1の延長部113の下端113Aに、外側へ張り出すフランジ部114を備えている。フランジ部114は、角型に流路断面を形成されたダクト本体部D1の下流側の下端113Aと、第二処理部120の後述の筒本体部121とを隙間無くつなぐものであり、
図7(a)に示すように、周縁が円形に形成されその内側で八角形の穴114Aの開いたフランジ本体部114Bと、三角形に輪郭が形成された四つの被覆プレート部114Cと、を備えている。
【0028】
図7(b)は延長部113の下端113Aとフランジ本体部114Bとを示す概略平面図であり、フランジ本体部114Bを延長部113の下端113Aに当てた状態を示している。なお、延長部113の下端113Aを二点鎖線で表しており、延長部113の下端113Aは四つの直線縁が連なった開口縁として設けられており、正方形の下流開口を構成している。フランジ本体部114Bの穴114Aを形成する縁は、延長部113の下端113Aに沿って設けられる第一縁e1と、延長部113の下端113Aよりも内側に設けられる第二縁e2とが、穴114Aの中心まわりで交互に八つ並んで形成されている。第一縁e1と第二縁e2とが連なって内周縁を構成する。第一縁e1はそれぞれ延長部113の下端113Aを構成する各直線縁よりも短く形成されている。フランジ本体部114Bの穴114Aは、延長部113の開口面積S′13の下端113Aよりも小さく構成されており、例えば開口面積S′14が0.3m
2に設定されている。
【0029】
また、フランジ本体部114Bでは、外周縁が延長部113の下端113Aよりも外側に張り出す部分を構成する第三縁e3と、延長部113の下端113Aよりも内側に配置される部分を構成する第四縁e4と、を交互に連ねて形成されている。
図7(b)に示すように、フランジ本体部114Bを延長部113の下端113Aに当てた状態で、フランジ本体部114Bでは周縁の四ケ所が外突出部P
OUTとして延長部113の下端113Aよりも張り出すように形成されている。延長部113の下端113Aで、直線縁がつながる角部分が四ケ所有り、延長部113の下流開口は、
図7(b)にクロスのハッチングを付すように、フランジ本体部114Bの第四縁e4よりも外側に、フランジ本体部114Bで塞がれない角領域113Bを有する。これらの角領域113Bが輪郭三角形の被覆プレート部114Cで塞がれている。
図7(c)は第一処理部110の後方斜視図であり、ダクト本体部D1を透視してその縁を二点鎖線で表し、特にダクト本体部D1の下流側の開口周辺を実線で表している。被覆プレート部114Cは、斜辺縁e5側をフランジ本体部114Bに重ねていて、フランジ本体部114Bより張り出す部分が角領域113Bを覆って、空気が角領域113Bを通って外に流れないように塞いでいる。なお、ダクト本体部D1を構成する各部材は溶接などで接合されている。
【0030】
(ノズル)
ノズル77Aがダクト本体部D1の横ダクト部111の内側に設けられている。第一処理部110では、流入口118から入った空気が流れる方向(下流側)へ向けて処理液としての油Lq1が噴出する。図示例ではノズル77Aを一つ設けているが、この数に限定されるものではない。
【0031】
(第一多孔通気部60)
図8は第一多孔通気部60を示しており、(a)が正面図であり、(b)が左側面図であり、(c)が平面図であり、(d)が(a)のS2-S2線に沿った第一多孔通気部60の端面図である。第一多孔通気部60は、輪郭が正方形の通気枠部61と、この通気枠部61の内側に張られた四枚の網状部620(第一網状部)を備えている。各網状部620は上流側から下流側へ空気を通す複数の通気孔621を有しており、この通気孔621は菱形に形成されている。
【0032】
図8(a)では網状部620の一部の通気孔621だけを表している。網状部620では、その全体に複数の通気孔621が通気孔621の菱形の対角線と同等のピッチで縦や横方向に密に並んでいる。
図8(e)は通気孔621の拡大図であり、通気孔621のサイズは、例えば長い対角線im1が12mm、短い対角線im2が7mmで網状部620は開口率73.8%に構成されているが、これに限定されるものではない。一枚の網状部620では、各通気孔621は対角線im1に沿った長手側の向きをそろえている。網状部620として、金網又はエキスパンドメタルなどを利用することができ、通気孔621の形は図示例に限らず六角形や矩形でもよい。
【0033】
図8(d)では四枚の網状部620を実線で概略的に表していて、各網状部620は離れて上流側から下流側へ並ぶように設けられる。図示例では各網状部620は所定の間隔で設けられている。間隔としては長い対角線im1の寸法よりも小さく例えば10mmであるが、これよりも間隔を空けてもよいし、逆に間隔を狭くし例えば1mmで互いに近接させ或いは重ねて密着させてもよい。第一多孔通気部60は、通気枠部61の内側に十字状に設けられた支持部63と、支持部63から突き出る複数のスペーサー64とを備えていて、各網状部620は内側の一部をスペーサー64に固定され、周縁を通気枠部61に固定されている。
【0034】
図8(f)は第一多孔通気部60を構成する四枚の網状部620を拡大した概略斜視図であり、各網状部620は対向する他の網状部620と比べて、通気孔621の長い対角線im1に沿った長手側の向きが異なるように通気枠部61に設けられる。第一多孔通気部60は、網状部620の数を変えたり、各網状部620の通気孔621の形,大きさや数を異なるものを用いたり、複数の網状部620で各通気孔621が対角線im1に沿った長手側の向きをそろえたり、各通気孔621が対角線im1に沿った長手側の向きを図示例とは異なる向きに設定されたりして、空気が流れる部分の構造を変えて、構成することもできる。
【0035】
ここで、通気枠部61は、
図8(a)に示すように、平行に設けられた一対の第一枠部611と、平行に設けられた一対の第二枠部612と、を備えて、第一枠部611と第二枠部612とが交互に連なって、内側が正面視で正方形の開口を構成する。通気枠部61は、例えば550mm×550mmの寸法で正面視正方形の外形を構成し、その内側が例えば516mm×516mmの寸法で開口面積S′60=0.26m
2で開いている。
【0036】
なお、
図8(a)と
図8(f)では、矢印A1が第一枠部611によって構成され
図8(a)の正面視で縦に延びる縁に沿った方向を示し、矢印A2が第二枠部612によって構成され
図8(a)の正面視で横に延びる縁に沿った方向を示しており、上から一枚目と三枚目の網状部620では通気孔621の長い対角線im1が長手方向A1に延びており、上から二枚目と四枚目の網状部620では通気孔621の長い対角線im1が長手方向A2に延びている。以下、図示するように、第一枠部611の一方を左に配置すると共に他方を右に配置し、第二枠部612の一方を下に配置すると共に他方を上に配置する場合を例に説明する。
【0037】
第一多孔通気部60はダクト本体部D1の横ダクト部111に収容される。
図6(e)は
図6(a)のS3-S3線に沿った横ダクト部111の部分端面図であり、対向する側面部111L,111Rの内側に通気枠部61を支える一対の受け部115L,115Rを設けている。受け部115L,115Rはそれぞれ平行に設けられる二つの枠支持部115A,115Bを有し、一方の側面部111Lに設けられる受け部115Lで枠支持部115A,115Bの間に一方の第一枠部611を入れ、他方の側面部111Rに設けられる受け部115Rが枠支持部115A,115Bの間に他方の第一枠部611を入れて、第一多孔通気部60を支える。
【0038】
第一多孔通気部60の縦や横の寸法550mm×550mmは、横ダクト部111の内側(開口断面積S′11やS′12)の縦や横の寸法よりも大きく形成されているため、一枚の網状部620を面と仮定すると、その面の法線が横ダクト部111の軸に対して非平行となるように、第一多孔通気部60は傾けて横ダクト部111の中に収容されている。第二枠部612の長手方向(矢印A2)は横ダクト部111の軸に対して90度異なって水平に延びている。このため、受け部115L,115Rも、
図6(d)に示すように、側面部111L,111Rに、鉛直に対して傾いた仮想線に沿って設けられている。
【0039】
なお、第一処理部110の横ダクト部111では、第一多孔通気部60は、天面部111up側に配置される一方の第二枠部612を、底面部111bt側に配置される他方の第二枠部612よりも上流側にずらして、傾いて配置されている。このように、第一多孔通気部60が横ダクト部111の底面部111btと同じ方向に傾いて配置されているので、横ダクト部111の中で網状部620が大きく広がるように配置することができる。
【0040】
受け部115L,115Rは、それぞれ断面コ字型の一つの部材で構成されたり、それぞれ二つのアングル状の部材を用いて構成されてもよい。本実施形態では、二つの第一多孔通気部60を上流側と下流側とに離して横ダクト部111に収容するように二組の受け部115L,115Rが設けられているが、第一処理部110に設ける第一多孔通気部60の数は限定されるものではない。横ダクト部111に収容した第一多孔通気部60を出し入れできるように、天面部111upに開口111hが設けられている。図示することを省略するが、天面部111up側と底面部111bt側に受け部をそれぞれ配置して、第二枠部612を受け部に入れて第一多孔通気部60を支えるように構成し、第一多孔通気部60を出し入れするための開口を側面部111L,111Rに設けてもよい。また、網状部620が横ダクト部111の軸と直交するように、つまり図示例と異なり第一多孔通気部60を傾けずに横ダクト部111に収容してもよい。
【0041】
また、第一処理部110は、ダクト本体部D1の方向変更部112に照明装置116を設けている。照明装置116は、
図6(d)に示すように、ダクト本体部D1の外側に配置され発光素子などを設けた光源部116Aと、方向変更部112の曲面部112Aを貫通する筒状の貫通部116Bと貫通部116Bの内側に設けられて気体や液体を不通にする透明ガラスなどの透光部材116Cとを設けた光ガイド部116Dと、光源部116Aを光ガイド部116Dの上方に離して保持するブラケットなどの照明支持部116Eと、を備えている。貫通部116Bは、上端側が曲面部112Aの外側の面から上に突き出ていて突き出た内部に透光部材116Cを設けており、また下端側が曲面部112Aの内側の面から下方へ送風空間に突き出ている。光源部116A、光ガイド部116Dやフランジ部114の穴114Aの中心は、後述の第二処理部120の筒本体部121の軸の延長上に設けられている。なお、照明装置116は、照明支持部116Eを省いて、光源部116Aを貫通部116Bの上に固定して構成されてもよい。
【0042】
また、第一処理部110は、
図7(c)に示すように、ダクト本体部D1の方向変更部112や延長部113の中で、曲面部112Aの下端近くに設けられる二つの被覆プレート部114C周辺は、曲面部112Aと側面部112Lと一方の被覆プレート部114Cとで隅部Z1を構成し、また曲面部112Aと側面部112Rと他方の被覆プレート部114Cとで隅部Z2を構成していて、隅部Z1,Z2では空気が滞留するため、ダクト本体部D1の内側を空気の送風に活用しない非送風空間と空気が流れる送風空間とに仕切る二つの仕切プレート部117を設けている。一方の仕切プレート部117が曲面部112Aの下端近くに設けられるフランジ本体部114Bの一方の第二縁e2に下端を寄せており、他方の仕切プレート部117が曲面部112Aの下端近くに設けられるフランジ本体部114Bの他方の第二縁e2に下端を寄せて設けられている。仕切プレート部117はフランジ本体部114Bの上面或いは第二縁e2から立ち上がっている。
【0043】
第一処理部110は、流入口118のまわりにフランジ部118Aを設けていて、工場などの接地場所に設けられる他のダクトとそのフランジ部との間にパッキンを入れ、ボルトやナットなどの固定具によって接続する。工場に設けられる他のダクトと第一処理部110との間には、
図3の左側面図や
図4の平面図に二点鎖線で示すように、他の機能を有するダクト部材、例えば断面角型のダクト部分の内側に所定の温度で排気の流路を塞ぐダンパを備えた防火用の継手部400、内側の開口断面が上流側から下流側へ徐々に小さくなるように下流側へ先細に形成された継手部500などを設けてもよい。
【0044】
(第二処理部120)
図9(a)は
図1のS4-S4線に沿った浄化装置1の部分断面図であり、(b)は
図3のS5-S5線に沿った浄化装置1の部分断面図である。第二処理部120は、
図5や
図9に示すように、円筒状に形成されていて軸C2が上下の方向に延びた筒本体部121と、筒本体部121の上下の開口端で外側へ張り出すフランジ部122,123と、筒本体部121の外周面に設けられた内側を目視するための窓部124と、さらに筒本体部121の外周面に設けられた点検部125と、ノズル77B,77C,77D(第二ノズル)と、を備えている。
【0045】
ノズル77B,77C,77Dは上下に離れて設けられている。三つのノズル77B,77C,77Dはいずれも下方へ吹き出し方向を向けている。
図9の(a)と(b)とに破線で表すように各ノズル77B,77C,77Dから広角に油Lq1が噴出する。その噴出角度は筒本体部121の内側で高い位置に設けられる二つのノズル77B,77Cが大きく設定され、それらよりも最下のノズル77Dは小さく設定されているが、噴出の角度は限定されるものではない。
【0046】
窓部124は、筒本体部121を貫通して筒本体部121の中に通じる穴を塞いでいて、ガラスなどの透明部材124Aとそれを支える枠部124Bとを備えている。点検部125は、筒本体部121の側面部を貫通して筒本体部121の中に通じる点検口と、点検口を開閉自在に覆う扉部と、を備えている。点検部125は、扉部を開けると、筒本体部121の外側が内側へ通じ、点検口は手や腕を筒本体部121の中に入れることができる大きさに構成されている。
【0047】
第一処理部110と第二処理部120とは、第一処理部110のフランジ部114の穴114Aの中心が下流側の第二処理部120の中心軸に合わせ、パッキンを間に入れて第二処理部120の上端側のフランジ部123を第一処理部110のフランジ本体部114Bに当てて、それらに設けられたボルト穴に通すボルトとナットなどの固定具(図示省略)を用いて、接続されている。
【0048】
第二処理部120では、筒本体部121の内径がφ650mmであり、筒本体部121の上流側の開口が第一処理部110のフランジ部114の穴114Aよりも大きく形成されている。筒本体部121の上流側の開口(φ650mmの円)と、第一処理部110のフランジ部114の八角形の穴114Aとを中心を合わせて平面視して重ねた場合を想定すると、八角形の穴114Aの縁が上流側の円形の開口(φ650mmの円)の縁の内側に配置される。底面部111btの斜面が最も低くなる下縁近くに配置されるフランジ部114の穴114Aを形成する第一縁e1と第二縁e2の周辺は、筒本体部121の上端121Aよりも内側に張り出している。
ここで、
図10(a)は
図6(d)の二点鎖線の円の部分の拡大図であり、穴114Aを形成する第一縁e1での断面形状であって、第一軒状部P1が内側に張り出す形態を表している。第一軒状部P1は、横ダクト部111の底面部111btと、底面部111btの斜面の低い側の端(下端)から下方へ延びる延長部113の一側面部113Cと、一側面部113Cの下端から延長部113の外側へ張り出す外突出部P
OUTとで、構成されている。延長部113と筒本体部121とを通る軸C2に対して、横ダクト部111の底面部111btの斜面の下端から下方へ延びた延長部113やフランジ部114の穴114Aを形成する第一縁e1は、筒本体部121よりも、軸C2に近づけて配置されていて、それらのギャップΔは断面箇所で例えば15mmほどである。
また、
図10(b)は
図7(c)の※印を付した第二縁e2での断面形状であって、第二軒状部P2が内側に張り出す形態を表している。第一軒状部P1を構成する第一縁e1の横に設けられる第二縁e2側では、被覆プレート部114Cやその下に配置されるフランジ本体部141Bの部分とで、筒本体部121の上端よりも内側に張り出す第二軒状部P2を構成している。
【0049】
(中間部300)
図11(a)は排気流路10Aの中間部300の分解斜視図である。中間部300は、内側を空気が流れると共に処理液が溜まる器状部310と、器状部310の外側と内側に設けた補強部320と、器状部310の一部を覆うプレート部330と、を備えている。
【0050】
器状部310は、上に矩形型の口311Aを開けて口311Aの長辺縁e11の寸法L1よりも高さH1が小さく設定された直方体型の容器状に形成された流路形成部311と、流路形成部311の底の一部が底の他の部分よりも下方へ窪んで深い部分として構成されていて流路形成部311よりも容積が小さい小容器状に形成された深部312′と、を備えている。
【0051】
流路形成部311の底は、平面視で口311Aと同じ輪郭を構成するよう大きさや形が設定されている。また、流路形成部311の底は、深部312′に比べて浅い位置に設けられ、さらに底は、口311Aの短辺縁e12と平行に延びる境界を境に、一方が底穴部311hとして開いており、他方が上方を臨む浅底部311btとして設けられている。底穴部311hは、上流部100の下方に設けられ、筒本体部121の下端の開口よりも大きく開いている。
【0052】
流路形成部311の側面は、底穴部311hと浅底部311btとが並んで構成される底の周縁から立ち上がる側面部で構成されている。具体的には、流路形成部311の側面部は、平行に設けられて口311Aの長辺縁e11を形成する第一側面部311Fと第二側面部311Bと、平行に設けられて口311Aの短辺縁e12を形成する第三側面部311Lと第四側面部311Rと、を備えている。第三側面部311Lが上流側に設けられ、第四側面部311Rが下流側に設けられる。浅底部311btは、第一側面部311Fと第二側面部311B及び第四側面部311Rの下端につながっている。浅底部311btの横に設けられる底穴部311hが小容器状の深部312′の口を構成し、上方に設けられる上流部100を臨んで開いている。なお、
図7(a)では、流路形成部311と深部312′との境界BLを二点鎖線で表しており、また境界BLの一部が底穴部311hと浅底部311btとの境界を構成している。流路形成部311では、第一側面部311Fと第二側面部311Bと第三側面部311Lと第四側面部311Rと浅底部311btと底穴部311hとで囲われた内側が、主に空気を流す送風空間として構成されている。
【0053】
深部312′は、
図9(a)及び(b)に示すように、深底部312bt′と、その周縁から立ち上がる深側面部と、を備えている。深底部312bt′は、平面視、輪郭が底穴部311hと同形状の矩形に形成されていて、深側面部は深底部312bt′の周縁を成す各辺縁から立ち上がる、第一側面部312F′、第二側面部312B′、第三側面部312L′及び第四側面部312R′を備えている。深部312′は、器状部310で流路形成部311(第一側面部311Fと第二側面部311Bと第三側面部311Lと第四側面部311Rと浅底部311bt及び底穴部311h)の下に設けられて、器状部310の内部の深い部分を構成している。
【0054】
以下、深部312′を液溜部として利用し、
図9(b)に示すように、油Lq1と、この油Lq1よりも量が少ない水Lq2とを、深部312′に入れる場合を例に説明を進める。油Lq1の種類は限定されるものではないが、例えば再生した工業油を利用する。
【0055】
(補強部320)
図11(b)は中間部300の器状部310と補強部320とを示す斜視図であり、器状部310を透視して縁だけを破線で表している。中間部300は、補強部320を器状部310で上流部100からの空気を下流部200へ案内する部分、つまり流路形成部311に設けている。補強部320は、流路形成部311の低い部分を囲う枠状の第一補強部321と、流路形成部311のまわりに設けられていて第一補強部321から立ち上がる複数の第二補強部322と、流路形成部311の高い部分を囲う枠状の第三補強部323と、を備えている。第一補強部321は、第一側面部311Fと第二側面部311Bと第三側面部311Lと第四側面部311Rの外側に設けられていて、例えば取付位置は、浅底部311btとしての斜面の最上端よりも高い位置に設定されている。枠状補強部としての第三補強部323は、第一側面部311F、第二側面部311B、第三側面部311Lと第四側面部311Rの外側に設けられていて、例えば口311Aを構成する第一側面部311F、第二側面部311B、第三側面部311Lと第四側面部311Rの各上端に寄せて設けられている。
【0056】
第一補強部321、第二補強部322及び第三補強部323は、一つ或いは複数の補強構成部材で構成されている。
図11(c)は補強構成部材40の正面図であり、
図11(d)は
図11(c)のS6-S6線に沿った補強構成部材40の拡大断面図である。補強構成部材40は、器状部310を臨む面を備えて矩形の板状に形成された基部41と、基部41よりも小さくて基部41の一方の縁と他方の縁からそれぞれ基部41に対して垂直に張り出す矩形で板状の突出部42と、を備えて、断面がコ字型に形成されており、突出部42の間隔Wが基部41で突出部42を設けていない両端間(一端から他端まで)の寸法L2に比べて小さく設定されて細長く形成されている。なお、以下の説明では、補強構成部材40として、一端から他端までの長手方向が水平に延びるように取り付けるものを横材40Aと呼び、一端から他端までの長手方向が上下に延びるように取り付けるものを縦材40Bと呼ぶ。
【0057】
第一補強部321や第三補強部323は、長さの異なる横材40Aとして、第一側面部311Fと第二側面部311Bとに取り付ける長いものと、第三側面部311Lと第四側面部311Rとに取り付ける短いものとを連ねて枠状に配置する。二本の長い横材40Aは平行に設けられ、またこれらは口311Aの長辺縁e11とも平行に設けられている。二本の短い横材40Aは平行に設けられ、またこれらは口311Aの短辺縁e12と平行に設けられている。
【0058】
第二補強部322は、同じ長さの縦材40Bを、第一側面部311Fと第三側面部311Lとがつながる角部分、第一側面部311Fと第四側面部311Rとがつながる角部分、第二側面部311Bと第三側面部311Lとがつながる角部分、第二側面部311Bと第四側面部311Rとがつながる角部分に沿ってそれぞれ設け、さらに角部分から離れたところにも設けられている。
【0059】
器状部310の外側に設けられる第一補強部321と第二補強部322及び第三補強部323では、各補強構成部材40(40A,40B)が、基部41で突出部42が張り出さない面411を器状部310に当てて器状部310に固定されている。固定方法として、溶接、各補強構成部材40(第一補強部321と第二補強部322及び第三補強部323)と器状部310とに設けられたボルト穴に通すボルトとナット、或いはブラケットなどを介して器状部310の面に近接させて、各補強構成部材40(第一補強部321と第二補強部322及び第三補強部323)を器状部310に取り付ける。
【0060】
第一補強部321を構成する横材40Aは、それぞれ二つの突出部42が上下に並ぶように配置されており、低い側に設けられる各突出部42が同じ高さに、敷衍して言えばそれぞれの突出部42(下側)が仮想の第一水平面上に配置されており、この第一水平面上に下方を臨む第一取付面が突出部42(下側)に設けられている。後述するように、第一側面部311Fと第二側面部311Bに取り付ける長い横材40Aの第一取付面321Aを支持部50に載せて、中間部300が支持部50に支えられている。
【0061】
第三補強部323を構成する複数の横材40Aでも、二つの突出部42が上下に並ぶように配置されている。第三補強部323では、高い側に設けられる突出部42を利用して、後述するように上流部100や下流部200を取り付ける。第三補強部323を構成する横材40Aそれぞれの突出部42(上側)が仮想の第二水平面上に配置されている。なお、第三補強部323では、隣接する横材40Aの端も溶接されて、接続箇所の隙間などが溶接部によって塞がれて液や空気を不通に構成されている。
【0062】
さらに、
図11(b)に示すように、補強部320は、枠状の第三補強部323の内側に第四補強部324を備えている。内側補強部としての第四補強部324は二本の横材40Aを設けている。第四補強部324の二本の横材40Aは基部41で突出部42を設けていない面411を合わせて溶接などで固定されていて、第四補強部324の各横材40Aは一端を第一側面部311Fの外側に設けられる横材40Aに溶接などで固定され他端を第二側面部311Bの外側に設けられる横材40Aに溶接などで固定されて、第四補強部324は口311Aの短辺縁e12と平行に設けられている。器状部310の第一側面部311F及び第二側面部311Bは、それぞれの上端の一部が第四補強部324を通すための切欠状の補強通過部311Tとして形成されている。第四補強部324の一方の横材40Aが面412を第三側面部311Lに向けていていると共に他方の横材40Aが面412を第四側面部311Rに向けていて、各横材40Aでは二つの突出部42が上下に並ぶように配置されていて、高い側に設けられる突出部42は、器状部310の外側に設けられる第三補強部323を構成する横材40Aで高い側に設けられる突出部42と同じ高さに、敷衍して言えば第三補強部323と第四補強部324のそれぞれの突出部42が仮想の第二水平面上に配置されている。なお、第四補強部324を構成する横材40Aとして断面コ字型のものに代えてL字型のアングルなどを利用してもよいし、また第四補強部324は一つの横材40Aで構成されてもよい。
【0063】
第三補強部323と第四補強部324では、枠状に配置された二つの取付面(第二取付面、第三取付面)が、第二水平面上で上方を臨むように設けられている。また、第四補強部324が、第三補強部323の内側を上流部100の下方に配置される上流口OP1と下流部200の下方に配置される下流口OP2とに分けていて、
図11(b)では、上流口OP1や第二取付面を構成する横材40Aと、下流口OP2や第三取付面を構成する横材40Aとを区別するように、符号M1~M6を用いている。第二取付面は、第三補強部323で口311Aの一方の短辺縁e12に沿って設けられた横材40A(M1)と、これと平行に設けられた一方の第四補強部324(M2)と、これらの端をつなぐように長辺縁e11に沿って設けられた第三補強部323の横材40Aの一部(M31,M41)とが枠状に配置されて、これらの突出部42(上側)で上方を臨む面によって構成されている。上流口OP1は横材40A(M1)と第四補強部324(M2)と横材40Aの一部(M31,M41)とで構成されている。第三取付面は、第三補強部323で口311Aの他方の短辺縁e12に沿って設けられた横材40A(M5)と、これと平行に設けられた他方の第四補強部324(M6)と、これらの端をつなぐように長辺縁e11に沿って設けられた第三補強部323の横材40Aの他部(M32,M42)とが枠状に配置されて、これらの突出部42(上側)で上方を臨む面によって構成されている。下流口OP2は横材40A(M5)と第四補強部324(M6)と横材40Aの他部(M32,M42)とで構成されている。
【0064】
図9(c)は
図9(b)において二点鎖線の円で囲われた部分の拡大図であり、第三補強部323はその一部が器状部310の口よりも上に張り出すように設けられている。器状部310の口311Aを構成する側面部の上端が、第三補強部323及び第四補強部324の上側の突出部42よりも低い位置に配置されて、面411に溶接で固定されている。第四補強部324の一部も器状部310の口よりも上に張り出している。第三補強部323と、器状部310の側面部(第一側面部311Fと第二側面部311Bと第三側面部311L及び第四側面部311R)との間が隙間を形成しないよう溶接部313で埋められている。第三補強部323と器状部310の口311Aを構成する側面部の上端との位置関係は図示例に限らず、補強通過部311Tを除いて高い部分が揃うように配置してもよい。
【0065】
器状部310に設けた補強部320が上流部100を支える部分として機能する。分割構成された排気流路10Aでは、上流部100は、第三補強部323と第四補強部324で構成される第二取付面に載せたプレート部330に取り付けられて、立ち上がっている。なお、プレート部330の穴331は第二処理部120の内周面と同等に形成されていて、第二処理部120の中心軸がプレート部330の穴の中心に合わせて第二処理部120がプレート部330に載っている。プレート部330は溶接で第三補強部323及び第四補強部324の突出部42との間に隙間を設けること無く固定されたり、
図9(c)に示すようにパッキン37をプレート部330と突出部42と間に入れてそれらを貫通する各ボルト穴に通すボルトとナットなどで固定されている。浄化装置1は、浄化処理として、後述するように、上流部100を流れる空気に対して油Lq1をかけて、空気に含まれる異物としての油(他の油)を低減する。
【0066】
中間部300は、上流部100で油低減の浄化処理を施された処理空気が下流部200へ向けて流れる過程で、処理空気に残る油を滴状に変えて油の残量を低減する中間残量低減部340を流路形成部311に設けている。
図12(a)は中間部300の内部構造を示す概略斜視図であり、中間残量低減部340は、下流部200側へ流れる空気を通す複数の第一多孔部341H及び複数の第二多孔部341Lと、器状部310の内側で第一側面部311Fから第二側面部311Bまで延びた第一通気支持部342H及び第二通気支持部342Lと、を備えている。
【0067】
図12(b)は第一多孔部341Hの正面図であり、
図12(c)は第一多孔部341Hの左側面図であり、各第一多孔部341Hは、上流側から下流側へ空気を通す複数の通気孔を設けた通気本体部341Aと、通気本体部341Aの端から異なる方向へ突き出て第一多孔部341Hに掛かる屈曲部341Bと、を備えている。第二多孔部341Lも、第一多孔部341Hと同様に、通気本体部341Aと屈曲部341Bとを備えている。
【0068】
第一通気支持部342H及び第二通気支持部342Lは、それぞれ棒状に形成されていて、一端を第一側面部311Fに固定し他端を第二側面部311Bに固定されて器状部310の口311Aの短辺縁と平行に設けられている。第一通気支持部342Hが高い位置に設けられ、第二通気支持部342Lが低い位置に設けられ、さらに上下に並ばないように、図示例では、低い位置に設けられる第二通気支持部342Lが高い位置に設けられる第一通気支持部342Hよりも第四側面部311Rがある下流側へずらした位置に設けられている。第一多孔部341H及び第二多孔部341Lが計六つ設けられており、第一多孔部341Hや第二多孔部341Lそれぞれは第二側面部311Bに設けた点検部350を利用して、出し入れすることができる大きさに構成されている。三つの第一多孔部341Hを高い位置に設けられる第一支持部342Hに屈曲部341Bを掛けて利用し、残りの三つの第二多孔部341Lを低い位置に設けられる第二通気支持部342Lに屈曲部341Bを掛けて利用する。
【0069】
第一多孔部341Hや第二多孔部341Lを構成する第二網状部として、第一多孔通気部60に設けられる第一網状部(網状部620)の製造に用いたものと同じ材料、例えばエキスパンドメタルを複数重ねて周縁が矩形型の輪郭を成し、その一縁側を折り曲げて構成されたものを用いてもよい。例えば三枚の第二網状部で第一多孔部341H及び第二多孔部341Lをそれぞれ構成する場合、第一多孔通気部60に設ける複数の第一網状部(網状部620)と同様に、対向する第二網状部では、菱形の通気孔621の長い対角線im1の向きが異なるように配置されてもよい。本実施形態では、流路形成部311は、浅底部311btが成す斜面の下端の位置で、断面開口が例えば1280mm×700mm(開口面積S′3が0.9m2)の横長の矩形に形成されていて、その周辺に中間残量低減部340を設けている。
【0070】
図12(a)では、計六つの第一多孔部341H及び第二多孔部341Lの内、高い位置に設けられる一つの第一多孔部341Hと低い位置に設けられる一つの第二多孔部341Lとを実線で表し、その他のものを二点鎖線で表している。第一通気支持部342Hに掛ける第一多孔部341Hは、第一通気支持部342Hから第二通気支持部342Lに亘る大きさに通気本体部341Aが形成され、第二通気支持部342Lに掛ける第二多孔部341Lは、第二通気支持部342Lから浅底部311btに亘る大きさに通気本体部341Aが形成されている。第一通気支持部342H側と第二通気支持部342L側の何れでも、第一多孔部341Hや第二多孔部341Lは隣のものに一部を重ねて設けられている。そして、下の第二通気支持部342Lに支えられる第二多孔部341Lは下端を浅底部311btに載せており、上の第一通気支持部342Hに支えられる第一多孔部341Hは下端を下の第二通気支持部342Lに掛けた第二多孔部341Lに載せている。第一多孔部341Hや第二多孔部341Lの配置は、隣に設けるものと重ねずに接するように或いは隙間を設けて近づけてもよい。
【0071】
図9(b)に示すように、第一通気支持部342H及び第二通気支持部342Lは下流口OP2の下方に設けられ、さらに高い位置の第一通気支持部342Hは、第四補強部324に寄せて配置され、第四補強部324との間に隙間を設けている。なお、第一通気支持部342Hは端を第三補強部323の横材40Aに溶接などで固定して第四補強部324の横に並ぶように下流口OP2に配置してもよく、また第二通気支持部342Lの端を第二補強部322の縦材40Bに溶接などで固定してもよい。第一通気支持部342H及び第二通気支持部342Lは、断面が円形の棒状の部材に限らず、断面L型などその他の断面を有して棒状に延びた部材、線状の部材や線状の部材を束ねたものなど、屈曲部341Bを掛けることができるものを利用することができる。また、点検部350は、中間部300の第二側面部311Bを貫通して中間部300の中に通じる点検口351と、点検口351を開閉自在に覆う扉部と、を備えている。点検部350は、扉部を開けると、流路形成部311の外側が内側へ通じ、点検口351は手や腕を流路形成部311の中に入れることができる大きさに構成されている。点検部350は、
図2に示すように、器状部310の流路形成部311の側面で、補強部320(第一補強部321、第二補強部322、第三補強部323)で覆われずに、外側に現れる箇所に設けられている。また点検部350の点検口351は、
図12(a)に示すように、第二側面部311Bで浅底部311の縁から立ち上がる部分で、第一通気支持部342Hの端342P及び第二通気支持部342Lの端342Pよりも第四側面部311Rがある下流側へずらした位置に設けられている。点検口351は、第二側面部311Bに代えて、第一側面部311Fに設けてもよい。
【0072】
(下流部200)
排気流路10Aの下流部200は、
図5に示すように、空気を上方へ案内する上方案内部210と、上方案内部210の上に設けられていて空気を送り出す方向を横へ変える第一継手部220と、第一継手部220の下流側の端と送風装置10Bとの間に設けられる第二継手部230と、を備えている。
【0073】
上方案内部210は、
図9(b)に示すように、中心軸が上下に延びた角筒部211と、角筒部211の上に設けられて高い側が先細に形成された縮小部212と、角筒部211の内側に設けられて空気に残る油を滴状に変えて油の残量を低減することを促進する下流残量低減部213と、を備えている。下流残量低減部213は、金網などの網状部を設けている。
【0074】
上方案内部210は、中間部300との取付用のフランジ部214が角筒部211の下端で外側に張り出して設けられている。角筒部211の断面が正方形に形成されており、例えば1200mm×1200mm(開口面積S′21=1.44m2)の寸法に設定されている。縮小部212は、中心軸が角筒部211の中心軸の延長上に設けられて角筒部211の上端の開口端から上方へ延びていて、上流側から下流側へ徐々に内部が小さくなるように台形状の四つの側面部212Aで構成されている。なお、一つの側面部212Aには下流点検部が設けられている。下流点検部は、縮小部212の側面部212Aを貫通して縮小部212の中に通じる点検口と、点検口を開閉自在に覆う扉部と、を備えている。上方案内部210は、縮小部212の下流の開口端にプレート部215を設けており、またプレート部215には貫通する穴216が設けられている。
【0075】
第一継手部220は所謂エルボであり、上流側の開口端が上方案内部210のプレート部215に設けた穴216と同等に形成されていて、上流側の開口端で外側へ張り出したフランジ部221を上方案内部210のプレート部215との間にパッキンを入れて、それらを貫通する各ボルト穴に通したボルトとナットなどで固定されている。第一継手部220は断面が円形に形成されており、例えばφ550(開口面積S′22=0.23m2)の寸法に設定されている。
【0076】
第二継手部230は、第一継手部220や送風装置10Bと比べて、軟質の構成材を用いて送風装置10Bの振動が第一継手部220へ伝わることを低減するように構成されている。第二継手部230は、キャンバスなどの布材で樹脂コーティングしたものを基材として両端が開いていて空気を通す管本体部231と、管本体部231よりも硬質に例えばステンレスなどで構成されて管本体部231の両端に設けられたフランジ部232,233と、を備えている。上流側のフランジ部232が第一継手部220の下流側の開口端のフランジ部222に固定され、下流側のフランジ部233が排気流路10Aの流出口を構成し更に送風装置10Bの吸入口に接続されている。なお、排気流路10Aは、この第二継手部230の管本体部231を除いて、第一多孔通気部60と補強部320と中間残量低減部340と下流残量低減部213も含めてほぼ全体に亘ってステンレス製のプレートや筒状の部材などで構成されている。
【0077】
(下流部200の中間部300への取付)
器状部310に設けた補強部320が下流部200を支える部分として機能する。上方案内部210のフランジ部214が、第三補強部323と第四補強部324とで構成される第三取付面に載っていて、上方案内部210のフランジ部214は、第三補強部323と第四補強部324に、溶接で固定されたり、パッキンをフランジ部214と第三補強部323及び第四補強部324との間に入れてそれらを貫通する各ボルト穴に通すボルトとナットで固定して、下流部200が中間部300に接続されている。
【0078】
(送風装置10B)
送風装置10Bは、排気流路10Aに通じる吸入口を横に向け、空気の送出口を吸入口よりも高い位置に設けると共に上に向けて構成されている。送風装置10Bとして、シロッコファンを用いたり、送風機とこれを内部に収容したダクト部材とを備えた他の送風手段を用いることができる。以下、図示例のシロッコファンを用いて説明を進める。なお、図示例の排気部10は、好ましい使用形態として送風装置10Bを排気流路10Aの下流側に配置しているが、送風装置10Bを排気流路10Aよりも上流に配置してもよい。
【0079】
(支持部50)
支持部50は、排気流路10Aを支える流路支持部50Aと、送風装置10Bを支えるファン支持部50Bと、を備えている。流路支持部50Aは、
図1から
図3に示すように、排気流路10Aの中間部300の第一補強部321(横材40A)を載せる第一脚部51Fと第二脚部51Bと、を備えている。第一脚部51Fと第二脚部51Bとは離れて設けられていて、器状部310の一部が第一脚部51Fと第二脚部51Bとの間に入ることができる。第一脚部51Fは第一補強部321で器状部310の第一側面部311Fの外側に設けられる長い横材40Aを載せ、第二脚部51Bは第一補強部321で器状部310の第二側面部311Bの外側に設けられる長い横材40Aを載せる。
【0080】
(油Lq1の循環)
浄化装置1は、処理液としての油Lq1が循環する環状ルートを備えており、環状ルートが、上流部100及び中間部300の外側に設けられる処理液専用の管材と、上流部100及び中間部300の内側とで構成されており、深部312′に溜められた油Lq1が中間部300や上流部100の外側の管材を経由して上流部100に案内されてその内部(空気の流路)で噴出し、空気送風用の上流部100や中間部300の内部(空気の流路)を通って、深部312′に戻る。ここで、
図13は浄化装置1の処理液用の概略配管図であり、浄化装置1は、深部312′の第四側面部312R′に設けられた液送出口71と、液送出口71に接続した第一管72と、第一管72の下流の開口端に上流側の開口端を接続したストレーナ73と、ストレーナ73の下流側の開口端に接続した第二管74と、第二管74の下流の開口端に吸入口を接続したポンプ75と、ポンプ75の送出口から上流部100の貫通孔を経て上流部100の中まで配管された第三管76と、第三管76の端に設けられたノズル77A~77Dと、を備えており、油Lq1がポンプ75の駆動によって深部312′からノズル77A~77Dへ送られる。
【0081】
ストレーナ73は下流側が分かれて構成されていて、一方の枝部が下流への流路部分を構成し、他方の枝部が下方へ突出していて分岐箇所のフィルターで捕集した異物を中に納める収容部分を構成していて先端の異物排出口に着脱自在に栓が設けられており、この栓を外して異物を出すことができる。ストレーナ73は他の構造のものを用いることもできる。
【0082】
ポンプ75の駆動によって油Lq1がノズル77A~77Dから上流部100を流れる空気へ向けて噴出する。油Lq1は、上流部100の第一処理部110や第二処理部120の中で内面をたどって下がったり、直接深部312′へ向けて落下したりして、第二処理部120の下端を経て中間部300に入り、その中で深い部分を成す深部312′に収まる。浄化装置1では、ノズル77A~77Dから出た油Lq1が中間部300の深部312′に戻るため、環状ルートを循環させて油Lq1を使用することができる。
【0083】
また、浄化装置1は、油Lq1を加熱する加熱装置81と、深部312′の油Lq1の温度を計る計測装置82とを、深部312′に設けている。図示例では、深部312′の第二側面部312B′に設けて、加熱装置81の発熱部81Aと計測装置82の測定部82Aが深部312′の中に突き出ている。
【0084】
(液面用窓部)
さらに
図3に示すように、深部312′の第三側面部312L′には、深部312′の内側を目視するための液面用窓部を設けている。液面用窓部は、深部312′を貫通する穴を塞いでいて、ガラスなどの透明部材とそれを支える枠部とを備えている。図示例では、二つの液面用窓部83L,83Hを上下に離して設けて、油Lq1に加えて、水を深部312′に入れた場合に、低い側の液面用窓部83Lで水と油Lq1の境界面当たりを確認し、高い側の液面用窓部83Hで油Lq1の液面を確認する。なお、油Lq1の液送出口71、発熱部81A、測定部82Aは、水と油Lq1の境界面よりも高い位置に設けられる。照明装置116が中間部300の深部312′の中も照らすように構成されてもよい。
【0085】
(液排出部)
第三側面部311Lには、さらに液排出部が設けられている。
図3に示すように、二つ設けており、一方の液排出部84Lを深底部312bt′に寄せて設け、他方の液排出部84Hを液排出部84Lよりも高い位置に設けていて、油Lq1に加えて、水を深部312′に入れた場合には、高い側の液排出部84Hが水との境界面よりも高い位置に配置していると油Lq1だけを排出することができる。なお、液排出部84L,84Hは、第三側面部312L′を貫通する貫通孔と、深部312′の外側に設けられていて貫通孔につながった液排出管と、を備えている。液排出管は、バルブを備えていたり、先端の開口端に着脱自在の栓を取り付けられていて、流出を止められている。
【0086】
(給油口など)
また、
図2に示すように、排気流路10Aの中間部300で、プレート部330には、貫通していて蓋やキャップなどの閉塞部材を着脱自在に設けた液供給口部86と、貫通した穴に取り付けられていて油Lq1が不足して低くなった液面を検出する検出装置87と、を備えている。
【0087】
(制御装置)
浄化装置1は、送風装置10Bの作動と停止、ポンプ75の作動と停止、加熱装置81の作動と停止、照明装置116の点灯と消灯など動作の状態を切り替えるための制御装置89を備えている。制御装置89は、ボタンやスイッチなどを設けていて作業者の操作に応じて送風装置10B,ポンプ75,加熱装置81や照明装置116の給電などを制御する操作部と、これを収容するケースとケースの開口を覆う扉とを設けたボックスと、を備えている。ケースは口を横に向けていて、広い背面側をファン支持部50Bに向けて、ファン支持部50Bにブラケットを介して或いは直接、ボルトやナットで固定されている。
【0088】
図14は浄化装置1の使用状態を示す排気システム90の斜視図である。排気システム90では、浄化装置1が煙発生源の他の装置2A,2Bと共に屋内に配置されていて、他の装置2A,2Bの上方に配置された入口から外壁や天井などに設けられた出口へ空気を送って屋外へ排気する排気系統の一部に、浄化装置1が組み込まれている。なお、
図14では、浄化装置1の排気部10の構成を主に表していて、油Lq1用の配管やファン支持部50Bなどは省略している。煙発生源の他の装置2A,2Bとしては、油や油脂を含む空気が生じるフライヤー、焼き入れで油が付着した鉄鋼製品を加熱して煤が生じる加熱装置などが該当する。以下、他の装置2A,2Bとしてフライヤーを例に説明する。
【0089】
排気系統では、他の装置2A,2B側に設けられた煙取込用の第一フード91と浄化装置1の第一処理部110とが上流ダクト92でつながっている。また、排気系統では、屋外側に設けられた煙排出用の第二フード93と浄化装置1の送風装置10Bとが下流ダクト94でつながっている。図示例では、煙発生源として他の装置2A,2Bを二つ設け、煙発生源それぞれに煙取込用の第一フード91を設け、各煙発生源からの空気は合流部92Aを経て浄化装置1へ送られる。また、浄化装置1より下流側では、空気が流れる内部の断面積を下流側が大きく上流側が小さい、つまり下流側が上流側よりも太く形成された継手材94Aを設けている。他の装置2A,2Bや合流部92Aの数は図示例に限るものでなく、上流ダクト92や下流ダクト94の配管構成も図示例に限るものではない。
【0090】
浄化装置1では、深部312′に、油Lq1が約460リットル、水Lq2が約240リットル収容されている。油Lq1と水Lq2とは温度が40℃~50℃に加熱装置81によって維持されていて、ポンプによる油Lq1の循環量は20リットル/minである。送風装置10Bによる風量が300m3/minであり、排気流路10Aの各部の風速は、上流部100の第一処理部110の流入口で風速が16.6m/s、第二処理部120の筒本体部121の中で15.1m/s、中間部300で4.8m/s、下流部200の角筒部211で3.5m/s、第一継手部220で21m/sである。
【0091】
送風装置10Bが駆動することで、油を含む空気が第一フード91の入口に取り込まれ、浄化装置1に送られる。浄化装置1の流入口118に入る空気の温度は50℃~60℃であり、浄化装置1で空気が上流部100、中間部300、下流部200さらに送風装置10Bを通り、上流部100にて油の量を減らす浄化処理が施される。浄化処理として、第一処理部110の内部に設けられたノズル77Aから第一多孔通気部60へ向けて油Lq1を噴出させる。空気に含まれる油が第一多孔通気部60に設けられる複数の細かな通気孔621を通る過程で、ノズル77Aからの油Lq1に合わさり、空気内に含まれる油の量が減る。空気が第二処理部120の内部に入ると、第二処理部120のノズル77B,77C,77Dからも油Lq1が噴出しているため、空気に含まれる油がノズル77B,77C,77Dからの油Lq1とも合体して、空気内に含まれる油の量がさらに減る。
【0092】
第一処理部110で横ダクト部111の底面部111btに落ちた油Lq1は、底面部111btが成す斜面を下って、フランジ部114の穴114Aから第二処理部120の中に移る。その際、ノズル77Aから噴出する油Lq1の量にもよるが、
図10(a)及び(b)に示すように、第一軒状部P1と第二軒状部P2とが第二処理部120の上端よりも内側に張り出しているため、油Lq1が第一処理部110の底面部111btを下った後、第一軒状部P1と第二軒状部P2からカーテン状に垂れたり、第一軒状部P1を成す底面部111btの延長方向へ流れたり、第二処理部120の中空の空間に落ちる。このように、第一処理部110で浄化処理に使用した油Lq1が、第二処理部120の中空の空間に落ちることでも、浄化処理に寄与する。
【0093】
さらに、筒本体部121の内周面に付着した油Lq1は、第二処理部120の下端やこれと合わさるプレート部330の穴331を経由して、中間部300の中に移り、プレート部330の穴331から深部312′(液溜部)に落ちる。上流部100の内部に噴出した油Lq1は、これに合体した油と共に、プレート部330の穴331の縁から下方の深部312′へ向けてカーテン状或いは筒状に垂れて、落ちる。このように浄化装置1では、上流部100の中に噴出した油Lq1はその自重によって上流部100の下方に設けた深部312′に戻る。そして、小容器状の深部312′に集められた油Lq1は、空気に含まれていた油と共に再び浄化処理に利用される。
【0094】
浄化処理を施した処理空気は、中間部300の流路形成部311と下流部200を流れる過程で、中間残量低減部340と下流残量低減部213とによって、処理空気に残る油の一部が取り除かれる。中間残量低減部340と下流残量低減部213では、空気に残る油が液滴化し、その滴が自重によって網状部341などから浅底部311btに落下すると、油Lq1は浅底部311btの斜面を下り、さらにその斜面の下縁から深部312′の中に移り、溜まっている油Lq1に合わさる。なお、空気に含まれる他の異物や上流部100の内周面から落下した付着物も深部312′の油Lq1の中に落ちるが、他の異物などが水よりも比重が重いと油Lq1側から水Lq2内に移り深底部312bt′に溜まり、また油Lq1内の他の異物などはストレーナ73で捕集される。
【0095】
残量の低減化を行った処理空気は、送風装置10Bによって、その送出口から下流ダクト94に入り、第二フード93へ向けて送られ、第二フード93の出口から屋外へ排気される。
【0096】
浄化装置1によれば、煙発生源の他の装置2A,2Bが作動している間、送風装置10Bによって他の装置2A,2Bから空気を取り込み続け、処理液として油Lq1を利用して、水では取り除くことができない微小な油を除去して、処理空気を屋外へ放出するので、工場周辺での環境への影響を一層低減することができる。
【0097】
従来の処理装置900では、処理筒930及び排出筒940の下方が大きな液溜槽920として構成されて、空気の流れをつくるためにポンプ950によって処理液を大量にノズル951へ送るので、電力費用が嵩む恐れがあり、処理液の量を低減する課題がある。これに対して、浄化装置1によれば、小容器状の深部312′にだけ入れた処理液としての油Lq1を用いて、つまり外部から油Lq1の補給を行わない非補給状態で油Lq1が環状ルートを循環する。また、特許文献3や特許文献4の処理装置では空気の浄化に利用した処理液を外部に排出するため、処理液を大量に使用する恐れがあり、処理液を一部或いは全てを循環させることが望ましい。浄化装置1は、浄化処理を行う過程では油Lq1が装置外へ流出するためのドレンなどの排出口を設けておらず、油Lq1が深部312′に戻るため、小容器状の深部312′に収容する少量の油Lq1で、長期に亘って油Lq1を補給することなく、浄化処理に利用することができる。
【0098】
浄化装置1では、煙発生源からの空気が装置に入る第一処理部110にノズル77Aと第一多孔通気部60とを設けて、空気に含まれる油の滴化を促進し、油を低減し、その下流側の第二処理部120の筒本体部121の中にノズル77B,77C,77Dを設けてさらに空気に含まれる油を処理空間に曝す。この筒本体部121の中を通過する過程でも、油を低減する。さらに、中間部300の中で、中間残量低減部340や下流残量低減部213を通過させることで、空気に残る油を一層低減することができる。
【0099】
浄化装置1では、加熱装置81によって油Lq1を所定の温度に保持することができる。これにより所望の粘度の油Lq1を浄化処理に利用することができると共に油Lq1の酸化も抑えることができる。また、水Lq2用の別の加熱装置81や計測装置82を深部312′に設けると、油Lq1と水Lq2との熱の交換を低減することができる。深部312′の外側に設けられた計測装置82の温度表示計によって、作業者は油Lq1や水Lq2の温度を確認することができる。
【0100】
深部312′は側面に液面用窓部83L,83Hを設けているので、深部312′内の油Lq1や水Lq2の量を確認することができる。また、上流部100の第二処理部120も窓部124を設けているので、ノズル77B等からの油Lq1の噴出する状態を確認することができる。上流部100の第一処理部110が照明装置116を設けているので、第二処理部120内が照らされて噴出する状態が見易くなる。
【0101】
上流部100に設けた点検部125を利用して、内部のノズル77B等の付着物を取り除くなどの清掃や交換などの作業を行える。また、中間部300に設けた点検部350を利用して、第一多孔部341Hや第二多孔部341Lを第一通気支持部342Hや第二通気支持部342Lから離してそれぞれ装置外部に取り出して付着物を取り除くなどの清掃や交換などの作業を行える。第二多孔通気部としての第一多孔部341Hや第二多孔部341Lは、中間残量低減部340が設けられる周辺の流路形成部311の開口面積(例えばS′3=0.9m2)と比べて小さく形成され、さらにそれぞれが第一多孔通気部60と比べると通気枠部61を設けずに軽量に構成されているので、清掃や交換などの作業を容易に行える。
【0102】
本発明は、上記の説明や図示例に限らず、数値、寸法の比率、構成を変えて、実施をすることができる。
【0103】
(ノズル)
図示例では四つのノズル77A~77Dが上流部100に設けられている。第一処理部110に一つ設けられていると共に、第二処理部120に三つのノズルを上下に離して設けている。ノズルの数は四つに限定されるものではなく、一つ或いはその他の数設けてもよく、例えば第一処理部110内に一つ配置すると共に第二処理部120内に一つ配置して浄化装置1を構成してもよい。また配置箇所も図示例に限定されず、位置を変えて設けてもよい。
【0104】
(排気流路の下流部など)
排気流路10Aを構成する下流部200は中間部300から立ち上がるものであれば、他のダクト部材を用いて構成されもよく、例えば下流部200の下流残量低減部213や中間部300の中間残量低減部340を省略することができる。
【0105】
(排気流路の第一処理部)
図6ではダクト本体部D1を構成する横ダクト部111や方向変更部112や延長部113の境界を実線で表しているが、ダクト本体部D1は分離した横ダクト部111や方向変更部112や延長部113を溶接でつないで製造されたものに限らず、例えばダクト本体部D1の左側面を一枚のステンレス製のプレートを用いて溶接無しに横ダクト部の側面部111Lや方向変更部112の側面部111Lや延長部113の左側面部を一体に構成してもよく、この左側面と同様にダクト本体部D1の右側面や天面も筋状に延びる境界無しに一体に構成し、天面、左側面,右側面、底面を溶接して製造することもできる。
さらに、
図15(a)は本発明の変形例を説明するための図であり、平面視した延長部113の下端113Aとフランジ本体部114Bとを表していて、第一処理部110のフランジ本体部114Bは、穴114Aの形を下流側の開口を八角形の穴114Aに代えて、延長部113の開口縁で形成される矩形の開口と同様に、矩形にしてもよい。この場合、第一処理部が被覆プレート部114Cや仕切プレート部117を省いて構成されると共に、フランジ本体部114Bの穴114Aが四つの第一縁e1だけで構成されると、底面部111bt(斜面)の下端側が軒状に突き出る。穴114Aが四つの第一縁e1だけで構成される場合にはフランジ本体部114Bの外周縁は全体が延長部113の開口縁よりも外側に配置される。
また、
図15(b)は本発明の変形例を説明するための図であり、ダクト本体部D1と筒本体部121の一部の断面を表していて、上記説明では方向変更部112が曲面部112Aと二つの側面部112L,112Rとで構成されているが四つの部材で筒型に構成するなど、ダクト本体部D1が、横ダクト部111の底面部111btと延長部113との間に、底面部111btよりも大きく傾いた斜面或いは曲面に形成された底延長部112btを備えている場合には、底延長部112btが横ダクト部111の底面部111btから延びていて、少なくとも一部が第二処理部の筒本体部121の上端よりも軒状に突き出るように構成することができる。フランジ本体部114の穴114Aが八角形であれば第一軒状部P1と第二軒状部P2が設けられ、第一軒状部P1は、上記の実施形態と異なり、底面部111btから延びた底延長部112btと、底延長部112btの下端から下方へ延びる一側面部113Cと、一側面部113Cの下端から延長部113の外側へ張り出す外突出部P
OUTとで、構成され、底延長部の下端側の一部が軒状に突き出るように設けられる。また、フランジ本体部114の穴114Aが四角形であれば第一軒状部P1が設けられ、第一軒状部P1は、上記の実施形態と異なり、底面部111btから延びた底延長部112btと、底延長部112btの下端から下方へ延びる一側面部113Cと、一側面部113Cの下端から延長部113の外側へ張り出す外突出部P
OUTとで、構成され、底延長部112btの下端側が軒状に突き出るように設けられる。なお、
図15(c)に示すように延長部113を省いてダクト本体部D1を構成して、第一軒状部P1が底延長部112btと外突出部P
OUTとで構成されてもよい。
図示することを省略するが、ダクト本体部D1が、横ダクト部111と方向変更部112とで構成され更に方向変更部112が曲面部112Aと二つの側面部112L,112Rとで構成されて、底延長部112btや延長部113を設けていない場合には、ダクト本体部D1の下流側の開口を構成する開口縁は、横ダクト部111が成す斜面の下端(直線縁)と、方向変更部112の下端(三つの直線縁)とで、矩形型に構成される。フランジ本体部114の穴114Aが八角形であれば第一軒状部P1と第二軒状部P2が設けられ、第一軒状部P1は、上記の実施形態と異なり、横ダクト部111の底面部111btと、底面部111btの下端から外側へ張り出す外突出部P
OUTとで構成されて、底面部111bt(斜面)の下端側の一部が軒状に突き出るように設けられる。また、フランジ本体部114の穴114Aが四角形であれば第一軒状部P1が設けられ、第一軒状部P1は、上記の実施形態と異なり、横ダクト部111の底面部111btと、底面部111btの下端から外側へ張り出す外突出部P
OUTと、で構成されて、底面部111bt(斜面)の下端側が軒状に突き出るように設けられる。
【0106】
(排気流路の第二多孔通気部)
本発明は、第二多孔通気部を支える通気支持部の数は二つに限らず、通気支持部の数を変えて実施をすることができる。
図16は本発明の中間残量低減部の変形例を説明するための図である。中間残量低減部340は、第二通気支持部342Lとこれに掛かる複数の第二多孔部341Lとを省いて、第一通気支持部342Hとこれに掛かる複数の第一多孔部341Hとで構成されてもよい。
図17の(a)から(d)はそれぞれ本発明の中間残量低減部の他の変形例を説明するための図であり、
図3のS5-S5線に沿った浄化装置の一部の断面を表している。
図17(a)に示す中間残量低減部は、
図16の中間残量低減部340と同様に、第二通気支持部342Lとこれに掛かる複数の第二多孔部341Lとを省略していて、第一多孔部341Hの屈曲部341Bがフック状の複数の金具で構成され、各金具が離れて通気本体部341Aの端から突き出ている。第一多孔部341Hは、通気本体部341Aの下端を浅底部311btに載せて、通気本体部341Aは上端を下端よりも第四側面部311Rがある下流側に位置をずらして、傾いている。複数の第一多孔部341Hが、隣のものと一部が重なるように第一通気支持部342Hの長手方向に並んでいる。また、
図17(b)に示すように、第一多孔部341Hは、通気本体部341Aの下端と浅底部311btとの間に隙間を設けるように、第一通気支持部342Hに吊り下げてもよい。
図17の(c)と(d)に示す中間残量低減部は、
図12(a)に示す中間残量低減部340と異なり、第一通気支持部342Hと第二通気支持部342Lに加えて第三通気支持部342Mを備えている。
図17(c)に示す中間残量低減部では、第三通気支持部342Mは第一通気支持部342Hと第二通気支持部342Lと同様に、器状部310の口311Aの短辺縁と平行に設けられている。第三通気支持部342Mが、第一通気支持部342Hよりも低い位置に設けられ、さらに第一通気支持部342Hと上下に並ばないように、図示例では、低い位置に設けられる第三通気支持部342Mが高い位置に設けられる第一通気支持部342Hよりも第四側面部311Rがある下流側へずらした位置に設けられている。また、第三通気支持部342Mが、第二通気支持部342Lよりも高い位置に設けられ、さらに第二通気支持部342Lと上下に並ばないように、図示例では、低い位置に設けられる第二通気支持部342Lが高い位置に設けられる第三通気支持部342Mよりも第四側面部311Rがある下流側へずらした位置に設けられている。第三多孔部341Mが、第一多孔部341Hと同様に、通気本体部341Aと屈曲部341Bとから構成されていて、複数の第三多孔部341Mが隣のものと一部が重なるように第三通気支持部342Mの長手方向に並んでいる。第二通気支持部342Lに支えられる第二多孔部341Lは下端を浅底部311btに載せており、第三通気支持部342Mに支えられる第三多孔部341Mは下端を第二月支持部342Lに掛けた第二多孔部341Lの通気本体部341Aに載せており、第一通気支持部342Hに支えられる第一多孔部341Hは下端を第三通気支持部342Mに掛けた第三多孔部341Mの通気本体部341Aに載せている。複数の通気支持部を設ける場合、低い位置に設ける通気支持部が高い位置に設ける通気支持部よりも第四側面部311Rがある下流側へ位置をずらして配置する構成例に限らず、低い位置に設ける通気支持部を高い位置に設ける通気支持部よりも第三側面部311Lがある上流側へ位置をずらして配置したり、低い位置に設ける複数の通気支持部の内で一部を第三側面部311Lがある上流側へ位置をずらして配置してもよい。
図17(d)に示す中間残量低減部では第一通気支持部342Hと第二通気支持部342Lと第三通気支持部342Mとを備えていて、第二通気支持部342Lが第一通気支持部342Hや第三通気支持部342Mよりも上流側にずれて設けられている。
【0107】
(第一網状部と第二網状部)
実施形態では、第二多孔通気部として、中間残量低減部340の第一多孔部341Hや第二多孔部341Lが、第一多孔通気部60の網状部620で構成されることを例示したが、第一多孔通気部60の第一網状部と第二多孔通気部の第二網状部とは通気孔の形,大きさや数を異なるものを用いて構成されてもよい。
【0108】
(送風装置)
浄化装置1を組み込んだ排気系統では、浄化装置1の送風装置10Bに加えて、上流ダクト92や下流ダクト94に他の送風装置を設けてもよい。
送風装置10Bの設置として、設置場所の床などから立ち上がるファン支持部50Bに代えて、壁や天井などの構造物に固定してもよい。
【0109】
(処理液)
深部312′に入れる油Lq1の量は、深部312′の上端を上限にすることに限らず、浅底部311btの一部或いは全てが覆われるように油Lq1を多く入れて用いることもできる。また実施形態では二つの液面用窓部を設けたが、これらに代えて、深底部312bt′から浅底部311bt或いは浅底部311btよりも高い位置まで、液面のレベルを広範囲に確認できる液面用窓部を一つの設けても良い。
実施形態では中間部300の深部に、油と水とを入れているが、油だけを入れてもよい。また、油を含む空気や油煙に対して油を用いたが、この油に代えて水や水溶液などを用いてもよいし、処理対象の空気に含まれる異物油や油煙に限らず、VOCやその他の有害物質を対象として、対象空気に応じた処理液を利用してもよい。
【0110】
(中間部)
器状部310では、
図1を例に装置の前後左右を捉えると、空気送風側の流路形成部311の第一側面部311Fと液溜側の深部312′の第一側面部312F′とで装置の前方(第一方向)を臨む一つの平面が構成されており、反対側でも空気送風側の流路形成部311の第二側面部311Bと液溜側の深部312′の第二側面部312B′とで装置の後方(第二方向)を臨む一つの平面が構成され、左側でも空気送風側の流路形成部311の第三側面部311Lと液溜側の深部312′の第三側面部312L′とで装置の左方(第三方向)を臨む一つの平面が構成されている。このように、流路形成部311と深部312′の一側面が面一状に設けられる構成に代えて、流路形成部311と深部312′とが段差部介してつながって、一方の面がオフセットされてもよい。また、処理液を主に収容する深部は、平面状、斜面状或いは谷状に構成される深底部を備えた直方体型に代えて、ボール型のものを利用してもよく、上端の開口は段差部を介して流路形成部111とつながるように構成することもできる。
流路の最も低い部分を構成する中間部300は、非直方体型の器状部310に代えて、例えば従来の液溜槽920のように直方体型のものを用いて下流部200の下方にも処理液を溜めてもよい。
【0111】
(循環)
実施形態では中間部の深部312′に入れた処理液だけを循環する使用方法を挙げたが、一部を廃棄しつつ他の供給源から補給し、その他を循環させるような形態で利用することもでき、例えば液排出部84H,84Lを排水管などにつなげ、液供給口部86或いは他の供給口を設けて供給源に配管を介してつないで装置を構成する。
【0112】
(設置場所)
設置場所は工場にかぎらず、病院、複合施設などの商業的利用にも限定されるものではなく、また屋内に限らず屋外に設置してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 浄化装置
10 排気部
10A 排気流路
10B 送風装置
100 上流部
110 第一処理部
120 第二処理部
121 筒本体部
123 窓部
200 下流部
300 中間部
310 器状部
320 補強部
330 プレート部
50A 排気流路支持部
50B ファン支持部