(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150449
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】照射制御装置及び照射制御方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/082 20140101AFI20231005BHJP
B23K 26/36 20140101ALI20231005BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20231005BHJP
【FI】
B23K26/082
B23K26/36
B23K26/064 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059558
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390029089
【氏名又は名称】高周波熱錬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮介
(72)【発明者】
【氏名】須永 頼匡
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 将人
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD00
4E168CB03
4E168DA43
4E168EA17
4E168JA02
4E168JB04
4E168KB02
(57)【要約】
【課題】鋼材の凹部又は内周部にレーザ光を照射できるようにする。
【解決手段】レーザ光を出射する光源と、照射制御装置は、凹部又は内周部を有する鋼材における前記凹部又は前記内周部の表面に沿って、前記光源から出射されたレーザ光の照射位置を順次に切り替える光走査部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する光源と、
凹部又は内周部を有する鋼材における前記凹部又は前記内周部の表面に沿って、前記光源から出射されたレーザ光の照射位置を順次に切り替える光走査部と、を備える、照射制御装置。
【請求項2】
前記光走査部は、前記レーザ光の照射により、前記凹部又は前記内周部の表面を改質する、請求項1に記載の照射制御装置。
【請求項3】
前記光走査部は、回転軸周りに回転自在とされて前記レーザ光を反射させる反射部材を有し、
前記反射部材は、前記回転軸の回転に応じて前記レーザ光の伝搬方向を切り替える、
請求項1又は2に記載の照射制御装置。
【請求項4】
前記回転軸に沿って、前記光源及び前記光走査部を一体的に移動させる走査系移動支持部を備える、請求項3に記載の照射制御装置。
【請求項5】
少なくとも前記回転軸に沿った方向に前記鋼材を移動させる鋼材移動支持部を備える、請求項3に記載の照射制御装置。
【請求項6】
前記鋼材移動支持部は、前記回転軸に沿った方向を含む3軸方向に前記鋼材を移動させる、請求項5に記載の照射制御装置。
【請求項7】
前記光源及び前記光走査部の間隔を一定に保った状態で、前記光源及び前記光走査部が並ぶ方向に沿って前記光源及び前記光走査部を一体的に移動させる走査系移動支持部と、
前記光源及び前記光走査部が並ぶ方向の周りに前記鋼材を回転させる鋼材回転部と、を備える、請求項1又は2に記載の照射制御装置。
【請求項8】
前記光源からのレーザ光の伝搬方向を可変可能な光導波路を有する湾曲部と、
前記湾曲部の一端側に配置され、前記湾曲部の屈曲方向に応じた伝搬方向にレーザ光を前記凹部又は前記内周部に出射する出射部と、
前記湾曲部の他端側に配置され、前記湾曲部の屈曲方向を指示する操作部と、を備える、請求項1又は2に記載の照射制御装置。
【請求項9】
凹部又は内周部を有する鋼材における前記凹部又は前記内周部の表面に沿って、光源から出射されたレーザ光の照射位置を順次に切り替える、照射制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、照射制御装置及び照射制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
母材上の除去対象物をレーザ光の照射により除去するレーザクリーニング装置が知られている。レーザクリーニング装置は、除去対象物にレーザ光を照射して、レーザ光のエネルギを除去対象物に吸収させて蒸発させるとともに、レーザ光の照射時の衝撃波と熱膨張圧で除去対象物を母材から剥離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のレーザクリーニング装置は主に、露出面上の除去対象物の除去を目的としている。これに対して、中空の環状部材の内周部や、エンジンブロックの凹部などは、奥まった箇所にあるため、レーザ光を照射するのが容易ではない。よって、既存のレーザクリーニング装置は、鋼材の凹部や内周部に錆などの付着物を除去するために有効活用されていない。
そこで、本発明の一実施形態では、鋼材の凹部又は内周部にレーザ光を照射できるようにした照射制御装置及び照射制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、レーザ光を出射する光源と、凹部又は内周部を有する鋼材における前記凹部又は前記内周部の表面に沿って、前記光源から出射されたレーザ光の照射位置を順次に切り替える光走査部と、を備える、照射制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態による照射制御装置の概略構成を示すブロック図。
【
図2】第1の実施形態による照射制御装置の概略構成を示すブロック図。
【
図3】第2の実施形態による照射制御装置の概略構成を示すブロック図。
【
図4】第3の実施形態による照射制御装置の概略構成を示すブロック図。
【
図5】第4の実施形態による照射制御装置の模式的な外観図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、照射制御装置及び照射制御方法の実施形態について説明する。以下では、照射制御装置の主要な構成部分を中心に説明するが、照射制御装置には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1及び
図2は第1の実施形態による照射制御装置1の概略構成を示すブロック図である。
図1及び
図2の照射制御装置1は、レーザクリーナ2から出射されたレーザ光の照射位置を、鋼材4の凹部5又は内周部6の表面に沿って順次に切り替えることを特徴とする。
【0009】
レーザクリーナ2は、例えば近赤外線帯域の短パルスレーザ光を周期的に出射する光源である。レーザクリーナ2は、市販されている汎用製品を利用可能である。なお、レーザクリーナ2の代わりに、短パルスレーザ光を出射する光源を用いてもよい。
【0010】
レーザ光が照射される鋼材4は、凹部5又は内周部6を有する。
図1は鋼材4が凹部5を有する例を示す。凹部5のサイズ及び形状、数は任意である。例えば、
図1の鋼材4は、エンジンブロックのように、ピストン等が出し入れされる複数の凹部5を有していてもよい。
図2は鋼材4が内周部6を有する例を示す。
図2の鋼材4は、中空の環状部材である。
【0011】
このように、第1の実施形態による照射制御装置1は、露出された平坦面(以下、露出面と呼ぶ)にレーザ光を照射することを意図したものではなく、露出面から窪んだ凹部5、又は露出面の内側に配置される内周部6にレーザ光を照射して、凹部5又は内周部6の表面を改質することを意図している。なお、第1の実施形態による照射制御装置1は、露出面へのレーザ光の照射を排除するものではなく、凹部5又は内周部6へのレーザ光の照射に加えて、露出面へのレーザ光の照射を行ってもよい。
【0012】
ここで、凹部5又は内周部6の表面の改質とは、凹部5又は内周部6の組成又は構造を変化させるだけでなく、凹部5又は内周部6の表面に付着された錆等の付着物を除去することも含まれる。
【0013】
図1の照射制御装置1は、光走査部7と走査系移動支持部8を備えている。
図1の光走査部7は、レーザクリーナ2から出射されたレーザ光の照射位置を、鋼材4の凹部5又は内周部6の表面に沿って順次に切り替える。典型的には、光操作部は、鋼材4の凹部5又は内周部6の全域にレーザ光を照射する。鋼材4の凹部5又は内周部6の表面は、レーザ光の照射により改質される。
【0014】
図1の光走査部7は、反射部材9を有する。反射部材9は、レーザクリーナ2から出射されたレーザ光を反射させる。反射されたレーザ光は、鋼材4の凹部5又は内周部6に照射される。反射部材9の反射面の法線方向を、レーザクリーナ2から出射されたレーザ光の伝搬方向に対して、順次に切り替えることで、反射部材9で反射されたレーザ光の伝搬方向を順次に変更することができる。
【0015】
反射部材9は、回転軸周りに回転自在とされている。回転軸は、例えば中空の環状部材である円筒部材10である。反射部材9は、例えば円筒部材10の一端部に取り付けられている。円筒部材10の中空部は、レーザクリーナ2から出射されたレーザ光を伝搬させる光導波路として機能する。
【0016】
円筒部材10の他端部は反射部材回転部11に接合されている。円筒部材10と反射部材回転部11は一体的に回転及び移動する。反射部材回転部11には、ベルト12が掛け渡されており、このベルト12は第1モータ13の回転軸13aにも掛け渡されている。第1モータ13の回転軸13aの回転に応じてベルト12が回転し、ベルト12の回転に応じて円筒部材10が回転し、円筒部材10の回転と一体に反射部材9が回転する。反射部材9には、円筒部材10の中空部を伝搬したレーザ光が照射される。円筒部材10が回転すると、円筒部材10の中空部を伝搬するレーザ光の伝搬方向に対する反射部材9の反射面の法線方向が変化するため、反射部材9に照射されたレーザ光の反射方向が変化する。これにより、円筒部材10が一回転する間に、反射部材9に照射されたレーザ光の反射方向は360度の角度で変化する。すなわち、反射部材9は、円筒部材10の中空部を伝搬したレーザ光を、円筒部材10の外周面の法線方向に反射させる。
【0017】
図1の走査系移動支持部8は、円筒部材10の長手方向に沿って、レーザクリーナ2及び光走査部7を一体的に移動させる。本明細書では、反射部材9の回転軸に沿った方向、すなわち円筒部材10の長手方向を第1方向Xと呼ぶ。
【0018】
走査系移動支持部8には、反射部材回転部11が回転自在に接合されるとともに、第1モータ13とレーザクリーナ2が接合されている。走査系移動支持部8は、不図示のボールねじにより、円筒部材10の長手方向(第1方向X)に延びるリードねじ部15の回転に伴って、リードねじ部15の長手方向に移動する。リードねじ部15の端部にはベルト16が掛け渡され、このベルト16は第2モータ17の回転軸17aにも掛け渡されている。第2モータ17の回転軸17aが回転すると、ベルト16を介してリードねじ部15が回転する。リードねじ部15が回転すると、走査系移動支持部8の内部のボールねじにより、走査系移動支持部8はリードねじ部15の長手方向(第1方向X)に移動する。これにより、走査系移動支持部8に回転自在に支持されている反射部材回転部11、円筒部材10及び反射部材9が第1方向Xに移動する。
【0019】
このように、反射部材9は、第1方向Xに移動しながら、第1方向Xの周りを回転する。これにより、反射部材9は、鋼材4の凹部5の全域にレーザ光を照射可能となる。
図2の照射制御装置1では、中空構造の鋼材4の内周部6よりも内側に反射部材9が配置されている。反射部材9を回転させる円筒部材10と反射部材回転部11を設けることと、反射部材9を第1方向Xに移動させる走査系移動支持部8を設けることにより、中空構造の鋼材4の内周部6の全域にレーザ光を照射可能となる。
【0020】
図1における鋼材4の凹部5、又は
図2における鋼材4の内周部6にレーザ光を照射することで、鋼材4の凹部5又は内周部6の表面を改質することができる。より具体的には、鋼材4の凹部5又は内周部6に付着された除去対象物にレーザ光のエネルギを吸収させて蒸発させるとともに、レーザ光の照射時の衝撃波と熱膨張圧で除去対象物を凹部5又は内周部6から剥離することができる。
【0021】
このように、第1の実施形態では、鋼材4の凹部5又は内周部6に反射部材9を配置し、第2モータ17を回転させて反射部材9をレーザ光の伝搬方向(第1方向X)に沿って移動させながら、第1モータ13を回転させて反射部材9をレーザ光の伝搬方向の周りに回転させることができる。これにより、鋼材4の凹部5又は内周部6の全域にレーザ光を照射でき、凹部5又は内周部6の表面を改質することができる。
【0022】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、光走査部7を移動させずに鋼材4を移動させるものである。
【0023】
図3は第2の実施形態による照射制御装置1の概略構成を示すブロック図である。
図3では、
図1及び
図2と共通する構成部分には同一符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0024】
図3の照射制御装置1は、
図1の走査系移動支持部8の代わりに固定支持部21を備えている。また、
図3の照射制御装置1は、鋼材移動支持部22を備えている。さらに、
図3の照射制御装置1は、
図1の第2モータ17、ベルト16、リードねじ部15、及びボールねじ部を備えていない。
【0025】
固定支持部21は、反射部材回転部11を回転自在に支持するとともに、第1モータ13とレーザクリーナ2を支持する。固定支持部21の位置は固定である。
【0026】
鋼材移動支持部22は、少なくとも円筒部材10の長手方向に沿った方向に鋼材4を移動させる。典型的には、鋼材移動支持部22は、鋼材4を3軸方向XYZに移動させる。3軸方向XYZとは、例えば互いに90度異なる方向である。鋼材移動支持部22は、反射部材回転部11の回転に同期させて、鋼材4を3軸方向XYZに移動させる。これにより、反射部材9で反射されたレーザ光が凹部5又は内周部6に照射されるまでの光路長を等しくすることができる。より具体的には、鋼材移動支持部22は、反射部材9で反射されたレーザ光が所定の方向に伝搬する場合と、所定の方向以外の方向に伝搬する場合とで、反射部材9のレーザ光の照射位置から、鋼材4の凹部5又は内周部6の照射位置までの光路長が等しくなるように、鋼材4を3軸方向XYZに移動させることができる。
【0027】
例えば、鋼材4の凹部5又は内周部6が
図3の上下方向よりも紙面の表裏方向に長い場合、
図1及び
図2の走査系移動支持部8では、鋼材4の凹部5又は内周部6に照射されるレーザ光の光路長を一定にできないが、
図3の照射制御装置1では、鋼材移動支持部22で鋼材4を3軸方向XYZに移動できるため、任意の形状の凹部5又は内周部6であっても、凹部5又は内周部6の全域に一定の光路長でレーザ光を照射できる。
【0028】
図3は、鋼材4の凹部5にレーザ光を照射する例を示しているが、第2の実施形態による照射制御装置1は、
図2と同様に、鋼材4の内周部6にレーザ光を照射することも可能である。
【0029】
このように、第2の実施形態による照射制御装置1では、
図1及び
図2の走査系移動支持部8の代わりに固定支持部21を設けるため、
図1の第2モータ17、ベルト16、リードねじ部15、及びボールねじ部を設ける必要がなくなり、構成を簡略化できる。また、鋼材4を3軸方向XYZに移動可能な鋼材移動支持部22を設けるため、任意の形状及びサイズの凹部5又は内周部6の全域に、一定の光路長でレーザ光を照射できる。
【0030】
鋼材移動支持部22は、必ずしも3軸方向XYZに鋼材4を移動させる必要はなく、最低でも円筒部材10の長手方向に鋼材4を移動させることができればよい。鋼材4の紙面奥行き方向の断面における凹部5又は内周部6の断面形状が小サイズの円形の場合には、鋼材移動支持部22は円筒部材10の長手方向のみに鋼材4を移動させることができれば、凹部5又は内周部6の全域にほぼ一定の光路長でレーザ光を照射できる。よって、鋼材移動支持部22は、必ずしも3軸方向XYZに鋼材4を移動させる必要はなく、少なくとも一軸方向に鋼材4を移動させることができればよい。
【0031】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、中空部を有する環状の鋼材4を回転させるようにしたものである。
【0032】
図4は第3の実施形態による照射制御装置1の概略構成を示すブロック図である。
図4では、
図1~
図3と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
図4の照射制御装置1は、第1及び第2の実施形態による照射制御装置1における反射部材回転部11の代わりに、反射部材固定部23を備えている。反射部材固定部23は、走査系移動支持部8に固定されている。走査系移動支持部8は、
図1と同様の構造であり、ボールねじ部を介して、リードねじ部15に沿って
図4の左右方向(第1方向X)に移動する。リードねじ部15は、第2モータ17の回転軸17aとベルト16によって掛け渡されており、第2モータ17が回転軸17aを回転させると、それに応じてリードねじ部15も回転する。
【0033】
また、
図4の照射制御装置1は、鋼材4を回転させる鋼材回転部24を備えている。鋼材回転部24は、円筒部材10の外周面に沿って鋼材4を回転させる。鋼材回転部24は、中空環状の鋼材4の外周面を把持するチャック25と、チャック25で把持された鋼材4を回転させる回転機構部26とを有する。回転機構部26は、チャック25で把持された鋼材4を、鋼材4の中心軸の周りに回転させる。
【0034】
図4の反射部材9は、
図4の左右方向(第1方向X)に移動可能とされているが、円筒部材10の長手方向の周囲を回転することはできない。その代わりに、鋼材4が円筒部材10の外周面に沿って回転する。これにより、第1の実施形態と同様に、反射部材9で反射されたレーザ光を鋼材4の内周部6の全域に照射させることができる。
【0035】
図4では、中空部を有する環状の鋼材4にレーザ光を照射する例を示したが、
図1及び
図3に示すように、凹部5を有する鋼材4に対してレーザ光を照射することも可能である。この場合、鋼材4の外周面をチャック25で把持した状態で、回転機構部26は、鋼材4の外周面に沿って、鋼材4を回転させる。
【0036】
このように、第3の実施形態では、凹部5又は内周部6を有する鋼材4を回転させることにより、反射部材9を回転させる場合と同様に、鋼材4の凹部5又は内周部6の全域にレーザ光を照射できる。
【0037】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、ファイバスコープを用いて、鋼材4の凹部5又は内周部6にレーザ光を照射するものである。鋼材4は、例えば中空部を有する環状の湾曲部材である。
【0038】
図5は第4の実施形態による照射制御装置1の模式的な外観図である。
図5の照射制御装置1は、鋼材4の凹部5又は内周部6に挿脱自在のファイバスコープ31を備えている。
【0039】
ファイバスコープ31は、挿入部32と操作部33を有する。挿入部32は、鋼材4の凹部5又は内周部6に挿入されて、操作部33の操作指示に応じてレーザ光の出射方向を切り替える。挿入部32は、操作部33に近い側から、軟性部34と、湾曲部35と、先端部36とを有する。軟性部34は、操作部33と湾曲部35の間に配置され、可撓性を有する。湾曲部35は、操作部33から延びるワイヤの牽引方向及び牽引力を調整することで、湾曲方向を任意に調整できる。湾曲部35は、光走査部7に対応する。先端部36は、湾曲部35の湾曲方向に沿った方向にレーザ光を出射する。
【0040】
操作部33は、湾曲部35の湾曲方向を指示する操作ノブ37を有する。この操作ノブ37を回転操作することで、湾曲部35を操作ノブ37の回転量に応じて任意の方向に湾曲させることができる。
【0041】
また、操作部33には、必要に応じて、モニタ装置38を接続することができる。モニタ装置38は、先端部36に取り付けられた不図示の撮像装置で撮像された鋼材4の凹部5又は内周部6の表面を表示する。操作者は、モニタ画面を見ながら、操作ノブ37を操作して、湾曲部35の湾曲方向を変更し、所望の方向にレーザ光を照射することができる。
【0042】
図5では、操作者が操作ノブ37を操作して湾曲部35の湾曲方向を切替制御する例を示したが、湾曲部35が360度方向に連続的に湾曲方向を自動で切り替える機能を設けてもよい。さらには、挿入部32の挿入位置を連続的に切り替えられる機能を設けてもよい。これら2つの機能を設けることで、中空環状の鋼材4の内周部6の全域にレーザ光を照射することができる。
【0043】
このように、第4の実施形態では、ファイバスコープ31を用いて鋼材4の凹部5又は内周部6にレーザ光を照射するため、第1~第3の実施形態よりも、照射制御装置1の構成を大幅に簡略化できる。
【0044】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 照射制御装置、2 レーザクリーナ、4 鋼材、5 凹部、6 内周部、7 光走査部、8 走査系移動支持部、9 反射部材、10 円筒部材、11 反射部材回転部、12 ベルト、13 第1モータ、13a 回転軸、15 リードねじ部、16 ベルト、17 第2モータ、17a 回転軸、21 固定支持部、22 鋼材移動支持部、23 反射部材固定部、24 鋼材回転部、25 チャック、26 回転機構部、31 ファイバスコープ、32 挿入部、33 操作部、34 軟性部、35 湾曲部、36 先端部、37 操作ノブ、38 モニタ装置