(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150469
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】導光板、導光部材、表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 13/18 20060101AFI20231005BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231005BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20231005BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231005BHJP
【FI】
G09F13/18 N
F21S2/00 435
F21S2/00 438
F21S2/00 670
F21V19/00 510
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059590
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】森 正徳
(72)【発明者】
【氏名】藤田 純也
(72)【発明者】
【氏名】神田 稜大
【テーマコード(参考)】
3K013
3K244
5C096
【Fターム(参考)】
3K013AA03
3K013BA01
3K244AA09
3K244BA09
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA12
3K244ED03
3K244ED05
3K244ED06
3K244ED13
3K244ED24
3K244JA03
5C096AA11
5C096BA02
5C096CA06
5C096CA15
5C096CA22
5C096CB02
5C096CC06
5C096CD02
5C096DC04
5C096FA05
(57)【要約】
【課題】導光板を用いたよりインパクトのある表示が可能な導光部材等を提供する。
【解決手段】表示装置(1)は、導光部材(2)を備える。導光部材(2)は、光入射面(10a)、光出射機能部および光出射面(10b)を有し、光入射面(10a)から入射した入射光を光出射機能部にて光出射面(10b)から出射させる導光板(10)と、導光板(10)の光出射面(10b)あるいは光出射面(10b)とは反対側の反対面(10c)に形成され、導光板(10)の外部の光にて視認可能な第1図柄である固定パターン(11)と、光出射機能部にて形成された第2図柄である隠れパターン(12)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射面、光出射機能部および光出射面を有し、前記光入射面から入射した入射光を前記光出射機能部にて前記光出射面から出射させる導光板と、
前記導光板の前記光出射面あるいは前記光出射面とは反対側の反対面に形成され、前記導光板の外部の光にて視認可能な第1図柄と、
前記光出射機能部にて形成された第2図柄と、を備える導光部材。
【請求項2】
前記光出射機能部は、前記反対面に形成されると共に前記入射光を反射する反射面を有する複数のプリズムを備え、
前記反射面は、前記入射光に対して正対するように向けられている請求項1に記載の導光部材。
【請求項3】
前記第1図柄は、前記反対面に形成され、
前記光出射機能部は、前記第1図柄と前記第2図柄とが接する部分において前記第1図柄の領域に及んで形成されている請求項2に記載の導光部材。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の導光部材と、
前記導光部材が備える前記導光板の前記光入射面に対向して配置される光源部と、
前記導光部材の端部を保持して前記導光部材を立位させるホルダと、備える表示装置。
【請求項5】
前記導光部材は前記ホルダに対して脱着可能である請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
光入射面、光出射機能部および光出射面を有し、前記光入射面から入射した入射光を前記光出射機能部にて前記光出射面から出射させる導光板であって、
前記導光板の外部の光にて視認可能な第1図柄が配置される配置領域と、
前記光出射機能部にて形成された第2図柄と、を備え、
前記第2図柄は、前記第1図柄の輪郭に沿って形成された部分を有し、
前記入射光による前記第2図柄の領域の輝度は、前記入射光による前記配置領域の輝度よりも大きい導光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、および導光板を用いた導光部材、並びに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクリルスタンドやアクリルキーホルダに光を供給して発光させることが行われている。アクリルスタンドは、アクリル樹脂製の透明板にキャラクター等の表示図柄が印刷されたプレート状をなす。アクリルキーホルダは、アクリル樹脂製の透明板にキャラクター等の表示図柄が印刷されたキーホルダである。
【0003】
アクリルスタンド等を保持するホルダは、アクリルスタンド等の下端部が差し込まれる溝を有しており、アクリルスタンド等は、下端部が溝に差し込まれることで立位する。溝の底面には、LED等からなる光源が配置されており、立位したアクリルスタンド等が光源からの光を受けて発光する。
【0004】
また、導光板を用いた表示装置の従来技術として、例えば、特許文献1に開示された技術が知られている。これにおいて、表示装置としての広告板は、表示内容が異なる複数の広告シートと、広告シートの背面に配置される導光板と、を備える。複数の広告シートおよび導光板には、発光ダイオードから光が供給される。広告シートは、発光ダイオードからの光で発光して広告内容である表示図柄を表示し、導光板は、発光ダイオードからの光を拡散させて、広告シートに光を伝送して表示図柄の画質を鮮明にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、導光板を用いた表示の分野においては、よりインパクトのある表示を行うことが求められている。
【0007】
本発明の一態様は、導光板を用いたよりインパクトのある表示が可能な導光部材等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0009】
本開示の一例では、導光部材は、光入射面、光出射機能部および光出射面を有し、前記光入射面から入射した入射光を前記光出射機能部にて前記光出射面から出射させる導光板と、前記導光板の前記光出射面あるいは前記光出射面とは反対側の反対面に形成され、前記導光板の外部の光にて視認可能な第1図柄と、前記光出射機能部にて形成された第2図柄と、を備える。
【0010】
上記構成によれば、導光部材の導光板の内部に光を入射させることで、第1図柄と第2図柄とで構成される組み合わせ図柄を表示することができる。第1図柄に対し、光出射機能部で形成され、導光板の内部に光を入射させることで表示される第2図柄は異質なものであるため、両方を組み合わせることで、インパクトのある表示が可能となる。
【0011】
本開示の一例では、導光部材は、前記光出射機能部は、前記反対面に形成されると共に前記入射光を反射する反射面を有する複数のプリズムを備え、前記反射面は、前記入射光に対して正対しするように向けられていてもよい。
【0012】
このような構成によれば、第2図柄は、導光板の内部に光が入射させるまでは観察者からは視認し難く、導光板の内部に光を入射させることで視認可能になる。これにより、よりインパクトのある表示が可能となり、表示を見る観察者を魅了することができる。
【0013】
本開示の一例では、導光部材は、前記第1図柄は、前記反対面に形成され、前記光出射機能部は、前記第1図柄と前記第2図柄とが接する部分において前記第1図柄の領域に及んで形成されていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、導光板に対する第1図柄の配置位置がずれたとしても目立たなくなる。これにより、第1図柄と第2図柄とで構成される組み合わせ図柄の意匠性の低下を抑制して、意匠性を保つことができる。
【0015】
本開示の一例では、表示装置は、前記導光部材と、前記導光部材が備える前記導光板の前記光入射面に対向して配置される光源部と、前記導光部材の端部を保持して前記導光部材を立位させるホルダと、備える。
【0016】
上記構成によれば、上述した導光部材を用いた表示を好適に行うことができる。
【0017】
本開示の一例では、表示装置は、前記導光部材は前記ホルダに対して脱着可能であってもよい。
【0018】
上記構成によれば、導光部材を差し替えることができるため、導光部材を差し替えることによって、導光部材が表示する図柄を変更することができる。
【0019】
本開示の一例では、導光板は、光入射面、光出射機能部および光出射面を有し、前記光入射面から入射した入射光を前記光出射機能部にて前記光出射面から出射させる導光板であって、前記導光板の外部の光にて視認可能な第1図柄が配置される配置領域と、前記光出射機能部にて形成された第2図柄と、を備え、前記第2図柄は、前記第1図柄の輪郭に沿って形成された部分を有し、前記入射光による前記第2図柄の領域の輝度は、前記入射光による前記配置領域の輝度よりも大きい。
【0020】
上記構成によれば、上記導光部材、又上記表示装置を構成に適した導光板を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、導光板を用いたよりインパクトのある表示が可能な導光部材等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態1および実施形態2に係る表示装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施形態1および実施形態2に係る表示装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係る表示装置の導光部材が備える、固定パターンを形成する前の導光板を示す図である。
【
図4】導光板に設けられた複数のプリズムを示す導光板の要部断面図である。
【
図5】光源部からの入射光でパターンの全面が光るように設計されたプリズムの配置を示す図である。
【
図6】光入射面に、第1光源部および第2光源部を間隔を開けて配置し、第1隠れパターンおよび第2隠れパターンを表示する場合のプリズムの配置を示す図である。
【
図7】
図6における第1隠れパターンおよび第2隠れパターンを形成する、複数の第1プリズムおよび複数の第2プリズムの配置を拡大して示す図である。
【
図8】実施形態2に係る表示装置の導光部材が備える、固定パターンを形成する前の導光板を示す図である。
【
図9】実施形態1に係る表示装置の導光部材で生じ得る固定パターンの位置ずれを示す図である。
【
図10】実施形態1に係る表示装置の導光部材で生じ得る固定パターンの位置ずれを示す別の図であり、導光部材の要部断面図である。
【
図11】実施形態2に係る表示装置の導光部材で生じ得る固定パターンの位置ずれを示す別の図であり、導光部材の要部断面図である。
【
図12】実施形態3に係る表示装置の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0024】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0025】
§1 適用例
図1に示すように、本実施形態に係る表示装置1は、導光部材2を備える。導光部材2は、導光板10を備え、固定パターン11にて表示される固定図柄と、導光板10に形成された光出射機能部にて形成される隠れパターン12とを表示する。表示装置1は、導光部材2を立位で保持するホルダ4を備え、ホルダ4に、導光板10の光入射面10aから導光板10の内部に光を供給する光源部3が備えられている。
【0026】
印刷等で形成された固定パターン11に対し、光出射機能部で形成されて発光表示される隠れパターン12による図柄は異質なものであるため、両方を組み合わせることで、インパクトのある表示が可能となる。
【0027】
§2 構成例
(1.表示装置1の概略)
図1は、実施形態1および実施形態2に係る表示装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、実施形態1および実施形態2に係る表示装置1の構成例を示すブロック図である。
【0028】
図1、
図2に示すように、表示装置1は、導光部材2、光源部3、ホルダ4、および制御部5を備える。導光部材2は、導光板10を備え、固定図柄(第1図柄)および隠れ図柄(第2図柄)を表示する。光源部3は、導光部材2が備える導光板10の光入射面に対向して配置され、導光板10の内部に入射する光を供給する。
【0029】
ホルダ4は、導光部材2の端部を保持して導光部材2を立位させる。導光部材2は、ホルダ4に対して脱着可能に設けられており、導光部材2を差し替えることによって、導光部材2が表示する図柄を変更することができる。制御部5は、光源部3の駆動を制御する。光源部3および制御部5は、例えばホルダ4に設けられている。
【0030】
<導光部材>
導光部材2が備える導光板10は、光源部3から発する可視光に対して透明な板状に形成された部材である。導光板10は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーといった、可視光に対して透明な樹脂を成型することで形成される。
【0031】
導光板10は、光入射面10a、光出射機能部および光出射面10bを有する。導光板10は、光入射面10aから入射した入射光を光出射機能部にて光出射面10bから出射させる。光出射機能部は、光入射面10aから導光板10の内部に入射した入射光を光出射面10bから出射させる機能を有している。導光板10には、固定図柄を表示する固定パターン11と、隠れ図柄を表示する隠れパターン12とが形成されている。隠れパターン12は、光出射機能部にて形成されている。
【0032】
固定パターン11は、導光板10の外部の光で視認可能である。固定パターン11は、可視光で視認可能なインク等を用いて導光板10に形成されている。固定パターン11は、導光板10の外部に光がある状態で常に視認可能である。固定パターン11は、導光板10における光出射面10bおよび光出射面10bとは反対側の反対面10cの何れの面に設けてもよい。
【0033】
導光板10に対する固定パターン11は、導光板10に直接印刷にて形成してもよいし、固定パターン11が印刷されたシートを糊などの接着剤(粘着剤)を用いて導光板10に貼着してもよい。導光板10は、固定パターン11を配置する配置領域R(
図3参照)を有しており、該配置領域Rに固定パターン11が配置される。
【0034】
光出射機能部にて形成されている隠れパターン12は、導光板10の外部にある光での視認は困難で、光源部3から導光板10の内部に入射した光にて視認可能となる。
【0035】
このような固定パターン11で表示される固定図柄と隠れパターン12で表示される隠れ図柄とは、所定の位置関係を有しており、固定図柄と隠れ図柄とで、所定のデザイン(意匠)を形成する。所定のデザインは、表示装置1を正面より視認することで正確に視認できる。
図1の例では、人型の固定図柄(固定パターン11)の周囲に、後光を表す隠れ図柄(隠れパターン12)が設けられている。隠れパターン12は、複数のパターン12aを含んでおり、各パターン12aがそれぞれ、光出射機能部にて形成されている。
<光源部>
光源部3は、例えばフルカラーのLEDから構成される。光源部3は複数備えられていてもよい。
【0036】
<ホルダ>
図1に示す例では、ホルダ4は、導光部材2の下端部を保持する溝4aを有している。導光部材2は、溝4aに下端部が差し込まれることでホルダ4にて保持されて立位をとる。なお、導光部材2を立位させるための保持は、下端部に限るものではなく、側方の端部や上端部等であってもよい。
図1に示す例では、溝4aの底面に光源部3が配置されている。光源部3は溝4aの底面に埋め込まれるように配置されている。
【0037】
<制御部>
制御部5は、予め設定されている駆動パターンに応じて光源部3を駆動する。例えば、所定のパターンで発光色を変化させ、所定のパターンで発光タイミングを変化させる。
【0038】
(2.導光板)
図3は、固定パターン11を形成する前の導光板10を示す図である。
図3に示すように、導光板10には、後工程で固定パターン11が印刷等の手法で配置される配置領域Rを有している。隠れパターン12の各パターン12aは、配置領域Rに対して所定の位置関係で形成されている。
【0039】
図3の例において、隠れパターン12は、人型の固定パターン11の周囲から出る後光を表す図柄である。そのため、各パターン12aは、配置領域Rに接するように設けられている。このような導光板10に対し、後工程で配置領域Rに固定パターン11が印刷等の手法で設けられ、導光部材2が得られる。
【0040】
固定パターン11を形成する前の導光板10は、固定パターン11が配置される配置領域Rと、光出射機能部にて形成された隠れパターン12と、を備えている。隠れパターン12は、固定図柄(固定パターン11)の輪郭に沿って形成された部分を有している。光入射面10aより入射した入射光による隠れパターン12の領域の輝度は、入射光による配置領域Rの輝度よりも大きい。
【0041】
(3.光出射機能部)
前述したように、光出射機能部は、光入射面10aから導光板10の内部に入射した入射光を光出射面10bから出射させる機能を有する。光出射機能部は、入射光を光出射面10bに向かわせるものであればよく、例えば、光出射面10b、あるいは反対面10c、あるいはその両方に形成された光を反射・拡散させる凹凸であってもよい。但し、隠れ図柄としては、導光板10の内部に光が供給されない状態では観察者から視認され難いことが好ましい。
【0042】
そこで、本実施形態では、
図4に示すように、光出射機能部は、導光板10の反対面10cに形成されると共に入射光L1を反射する反射面151を有する複数のプリズム15を備える(複数のプリズム15からなる)構成としている。
【0043】
図4は、導光板10に設けられた複数のプリズム15を示す導光板10の要部断面図である。
図4に示すように、反射面151は、入射光L1に対して正対するように向けられている。また、反射面151は、入射光L1を垂直方向、かつ、光出射面10bに正対する方向に反射するように向けられている。
【0044】
上記構成によれば、各プリズム15は、導光板10の入射光L1のうち、光源部3から供給された光に由来する入射光に対して略垂直となるように反射させることができる(出射光:矢印L2)。光源部3が供給する光に由来する入射光とは異なる方向から入射した入射光(例えば、迷光)は、プリズム15で反射されても、プリズム15の出射面に対して比較的大きな角度をなして導光板10の光出射面10bから出射される。そのため、光出射面10bに正対する位置の観察者からは観察され難い。そのため、光源部3が光を供給している間に限り、導光板10(導光部材2)は、複数のプリズム15が配置された隠れパターン12に応じた隠れ図柄を観察者に見せることができる。
【0045】
図5は、光源部3からの入射光で、パターン12aの全面が光るように設計されたプリズム15の配置を示す図である。
図5に示すように、プリズム15は、放射状に広がる入射光L1の進行方向に対応して配置される。
図5の例では、プリズム15は、入射光L1の3方向の進行方向に対応して、反射面151が3方向の進行方向する入射光L1に対して正対するように配置されている。
【0046】
図6は、光入射面10aに、第1光源部3Aおよび第2光源部3Bを間隔を開けて配置し、第1隠れパターン12Aおよび第2隠れパターン12Bを表示する場合のプリズム15の配置を示す図である。
【0047】
図7は、
図6における第1隠れパターン12Aおよび第2隠れパターン12Bを形成する、複数の第1プリズム15Aおよび複数の第2プリズム15Bの配置を拡大して示す図である。
図7の符号701に示す図は、複数の第1プリズム15Aの配置を示す。符号702に示す図は、複数の第2プリズム15Bの配置を示す。符号703に示す図は、第1隠れパターン12Aと第2隠れパターン12Bとが重畳する、複数の第1プリズム15Aと複数の第2プリズム15Bとが混在する配置を示す。
【0048】
図6に示されるように、導光板10の側壁の一面に、第1光源部3Aおよび第2光源部3Bと対向する光入射面10aが形成される。
【0049】
第1光源部3Aからの光は光入射面10aから導光板10の内部に入射する。導光板10の内部を伝搬した光は、導光板10内の内側に位置する反対面(拡散面)10cに形成された複数の第1プリズム15Aにて全反射される。その後、反射された入射光は導光板10の当該反対面10cと対向する光出射面10bから出射される。複数の第1プリズム15Aは、第1隠れパターン12Aを形成するように、第1隠れパターン12Aに沿って配列される。したがって、観察者は、第1光源部3Aが点灯している間、導光板10の表面において発光して見える第1隠れパターン12Aを観察できる。なお、
図6において、図の見易さの向上のために、第1プリズム15A及び第2プリズム15Bのサイズは誇張されている。
【0050】
同様に、第2光源部3Bからの光は光入射面10aから導光板10の内部に入射する。導光板10の内部を伝搬した光は、反対面(拡散面)10cに形成された複数の第2プリズム15Bにて全反射された後、光出射面10bから出射する。複数の第2プリズム15Bは、第2隠れパターン12Bを形成するように第2隠れパターン12Bに沿って配列される。したがって、観察者は、第2光源部3Bが点灯している間、導光板10の表面において発光して見える第2隠れパターン12Bを観察できる。
【0051】
複数の第1プリズム15Aのそれぞれは、例えば、反対面10cにおいて所定の長さを持つ略三角形状の溝として形成される。そして複数の第1プリズム15Aのそれぞれは、反対面10cに対して所定の角度をなす反射面151Aを有する。同様に、複数の第2プリズム15Bのそれぞれは、例えば、反対面10cにおいて所定の長さを持つ略三角形状の溝として形成される。そして複数の第2プリズム15Bのそれぞれは、反対面10cに対して所定の角度をなす反射面151Bを有する。なお、所定の角度は、導光板10へ入射した第1光源部3Aまたは第2光源部3Bからの光を全反射させて、光出射面10bへ向ける角度、例えば、反対面10cに対して40°~50°をなすように設定される。また所定の長さは、第1隠れパターン12A及び第2隠れパターン12B内に複数のプリズムが配置できる程度の長さ、例えば、100μm~数mm程度に設定される。
【0052】
符号701の図に示すように、複数の第1プリズム15Aは、第1隠れパターン12A内において千鳥足状に配置されている。すなわち、複数の第1プリズム15Aは、第1隠れパターン12A内において、導光板10の光入射面10aと平行な方向(便宜上、X1方向と呼ぶ)に沿って等間隔で配置された、その光入射面10aと直交する方向(便宜上、Y1方向と呼ぶ)のライン上に所定のピッチで配置される。さらに隣接するライン間では、隣接する2つの第1プリズム15AのY1方向の位置が、ピッチの半分だけずれている。さらに、複数の第1プリズム15Aのそれぞれは、反対面10cと平行な面において、反射面151Aが第1光源部3Aと正対するように配置されている。すなわち、本例では、第1光源部3Aから所定の距離だけ離れた位置にある第1プリズム15Aの反射面151Aは、第1光源部3Aを中心とし、かつ、その所定の距離を半径とする円周と略平行となるように向けられる。
【0053】
このように複数の第1プリズム15Aのそれぞれが配置されることで、各第1プリズム15Aは、光入射面10aから入射した光のうち、第1光源部3Aからの光を光出射面10bに対して略垂直となるように反射させることができる。一方、光入射面10aから入射した光のうち、第1光源部3A以外からの光、例えば、第2光源部3Bからの光あるいは迷光は、仮に第1プリズム15Aで反射されたとしても、光出射面10bに対して比較的大きな角度をなして出射面から出射する。そのため、出射光は、導光板10の正面に位置する観察者からは観察され難い。そのため、第1光源部3Aが点灯している間に限り、表示装置1は、第1隠れパターン12Aを観察者に見せることができる。
【0054】
符号702図に示すように、第1プリズム15Aと同様に、複数の第2プリズム15Bは、第2隠れパターン12B内において千鳥足状に配置されている。さらに、複数の第2プリズム15Bのそれぞれは、反対面10cと平行な面において、反射面151Bが第2光源部3Bと正対するように配置されている。したがって、本例では、第2光源部3Bから所定の距離だけ離れた位置にある第2プリズム15Bの反射面151Bは、第2光源部3Bを中心とし、かつ、その所定の距離を半径とする円周と略平行となるように向けられる。そのため、第1隠れパターン12Aと同様に、第2光源部3Bが点灯している間に限り、表示装置1は、第2隠れパターン12Bを観察者に見せることができる。
【0055】
符号703の図に示すように、本例では、第1プリズム15Aと第2プリズム15Bとは、何れも千鳥足状に配置されている。そのため、第1隠れパターン12Aと第2隠れパターン12Bとが重なっている領域では、第1プリズム15Aと第2プリズム15Bとが交互に配置される。したがって、第1隠れパターン12Aと第2隠れパターン12Bとが重なっている領域でも、第1光源部3Aが点灯することで第1プリズム15Aが第1光源部3Aからの光を光出射面10b側へ導く。また、第2光源部3Bが点灯することで第2プリズム15Bが第2光源部3Bからの光を光出射面10b側へ導く。よって、点灯する光源に対応するパターンが表示される。また、上記のように第1プリズム15Aと第2プリズム15Bとが配列されることで、第1隠れパターン12A、第2隠れパターン12Bを任意の形状とすることが容易となる。さらに、上記のように第1プリズム15Aと第2プリズム15Bとが配列されることで、各パターンとその他の領域との境界が直線上に形成される場合に、その境界の見栄えをよくすることができる。
【0056】
なお、第1プリズム15A及び第2プリズム15Bは、それぞれ、格子状に配列されてもよい。また、第1隠れパターン12Aと第2隠れパターン12Bとが重なる領域では、第1プリズム15Aが配置されるY1方向のラインと第2プリズム15Bが配置されるY1方向のラインとが交互になるように各プリズムが配置されてもよい。
【0057】
以上に説明してきたように、表示装置1は、複数の光源部3が導光板10の一つの辺に対向するようにしか配置できない場合でも、点灯している光源部3に対応するパターンを形成するプリズムがその光源からの光を導光板から出射させる。そのため、点灯する光源を切り替えることで、表示するパターンの切り替えを行うことができる。
【0058】
(4.効果)
上述したように、導光部材2および表示装置1の構成によれば、固定パターン11の表示だけでなく、光源部3を点灯させることで、固定パターン11と隠れパターン12とで構成される組み合わせ図柄を表示することができる。印刷等で形成された固定パターン11に対し、光出射機能部で形成されて発光表示される隠れパターン12による図柄は異質なものである。そのため、両方を組み合わせることで、インパクトのある表示が可能となる。
【0059】
しかも、本実施形態では、光出射機能部を前述したように、複数のプリズム15を備える構成としている。したがって、隠れパターン12は、光源部3が点灯されるまでは観察者からは視認し難く、光源部3が点灯されることで視認可能になる。これにより、よりインパクトのある表示が可能となり、表示装置1による表示を見る観察者を魅了することができる。
【0060】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0061】
図1に示すように、本実施形態に係る表示装置1Aと実施形態1に係る表示装置1との違いは、導光部材2に代えて導光部材2Aを備えた点にあり、それ以外の構成は同じである。導光部材2と導光部材2Aとの違いは、導光板にあり、導光部材2Aは導光板10に代えて導光板10Aを備えている。導光板10と導光板10Aとは、隠れパターン12を形成する光出射機能部を設ける領域が異なる。
【0062】
図8は、固定パターン11を形成する前の導光板10Aを示す図である。
図8に示すように、導光板10Aでは、固定パターン11と隠れパターン12とが接する部分において、光出射機能部は、固定パターン11の領域に及んで形成されている。つまり、導光板10Aでは、固定パターン11と隠れパターン12とが接する部分において、隠れパターン12を形成する複数のプリズム15は、固定パターン11の領域(配置領域R)に及んで形成されている。
【0063】
このような構成とすることで、導光板10Aに対して固定パターン11を印刷等の手法で設ける際に、固定パターン11に位置ずれが生じたとしても、それによる意匠性の低下を抑制し、意匠性を良好に保つことができる。以下、この点について説明する。
【0064】
(1.固定図柄の位置ずれ)
図9は、実施形態1に係る表示装置1の導光部材2で生じ得る固定パターン11の位置ずれを示す図である。符号901に示す図は、固定パターン11の位置ずれがない状態を示し、符号902に示す図は、固定パターン11の位置ずれがある状態を示す。
【0065】
符号901の図に示すように、意図したデザインの図柄では、人型の固定パターン11の外縁(輪郭)から外側に向かって放射状に後光を表す複数のパターン12aが表示される。複数のパターン12aは、固定パターン11の周囲を囲むように、固定パターン11に接して、あるいは近接して配置されている。
【0066】
これに対し、符号902の図に示すように、固定パターン11が導光板10に対して左側に位置ずれると、人型の固定パターン11の右側に光を出射しない非発光領域が形成され、意匠性が損なわれている。
【0067】
図10は、実施形態1に係る表示装置1の導光部材2で生じ得る固定パターン11の位置ずれを示す別の図であり、導光部材2の要部断面図である。符号1001に示す図は、固定パターン11の位置ずれがない状態を示し、符号1002に示す図は、固定パターン11の位置ずれがある状態を示す。
【0068】
符号1001の図に示すように、位置すれがない状態では、固定パターン11の端は、固定パターン11と接する隠れパターン12を形成するプリズム15に近接している。これに対し、符号1002の図に示すように、固定パターン11が導光板10に対してずれると(下側に位置ずれ)、固定パターン11の端は、固定パターン11と接する隠れパターン12を形成するプリズム15から離れる。その結果、プリズム15と固定パターン11との間に、プリズム15が形成されていない領域ができ、この領域が非発光領域となる。
【0069】
(2.固定図柄の位置ずれ対策)
図8に示すように、導光板10Aには、固定パターン11と隠れパターン12とが接する部分において、配置領域Rの内側、つまり、固定パターン11の領域に及んで、隠れパターン12を形成する複数のプリズム15が形成されている。換言すると、固定パターン11と隠れパターン12とが接する部分において、固定パターン11の領域に及んで、隠れパターン12が形成されている。
【0070】
図11は、実施形態2に係る表示装置1Aの導光部材2Aで生じ得る固定パターン11の位置ずれを示す別の図であり、導光部材2Aの要部断面図である。符号1101に示す図は、固定パターン11の位置ずれがない状態を示し、符号1102に示す図は、固定パターン11の位置ずれがある状態を示す。
【0071】
符号1101の図に示すように、位置すれがない状態では、固定パターン11の端は、固定パターン11と接する隠れパターン12を形成するプリズム15に近接している。この状態で、固定パターン11の領域に及んで形成されている位置ズレ対策の複数のプリズム15’には、固定パターン11を形成するインク、又は糊等の接着剤が埋まっている。そのため、位置ズレ対策の複数のプリズム15’に到達した入射光L1は、プリズム15’の反射面151’で拡散し、矢印L2のように観察者に向かうことはない。
【0072】
符号1002に示す図のように、固定パターン11が導光板10に対してずれると(下側に位置ずれ)、固定パターン11の端は、固定パターン11と接する隠れパターン12を形成するプリズム15から離れる。しかしながら、固定パターン11の領域に及んで位置ズレ対策の複数のプリズム15’が形成されているので、固定パターン11が位置ずれしても、入射光L1は、位置ズレ対策の複数のプリズム15’の反射面151’にて反射されて矢印L2のように観察者に向かう。そのため、プリズム15と固定パターン11との間には、プリズム15(プリズム15’)が形成されていない領域が存在せず、非発光領域が生じず、意匠性の低下を抑制することができる。
【0073】
隠れパターン12における、固定パターン11の左側に位置するパターン12aは、右端が固定パターン11の配置領域であるRの内側に入り込むように、プリズム15が余分に位置ズレ対策の複数のプリズム15’として形成される。隠れパターン12における、固定パターン11の右側に位置するパターン12aは、左端が固定パターン11の配置領域であるRの内側に入り込むように、プリズム15が余分に位置ズレ対策の複数のプリズム15’として形成される。
【0074】
隠れパターン12における、固定パターン11の上側に位置するパターン12aは、下端が固定パターン11の配置領域であるRの内側に入り込むように、プリズム15が余分に位置ズレ対策の複数のプリズム15’として形成される。隠れパターン12における、固定パターン11の下側に位置するパターン12aは、上端が固定パターン11の配置領域であるRの内側に入り込むように、プリズム15が余分に位置ズレ対策の複数のプリズム15’として形成される。
【0075】
図8に示す例では、固定パターン11の周囲全域に位置ズレ対策の複数のプリズム15’を形成したが、固定パターン11の位置ずれ方向が決まっている場合は、該当する方向にのみ位置ズレ対策の複数のプリズム15’を形成してもよい。位置ズレ対策の複数のプリズム15’を形成する領域は、固定パターン11の位置すれ量を考慮して設定すればよい。
【0076】
(3.効果)
上述したように、導光部材2Aおよび表示装置1Aの構成によれば、固定パターン11の配置に位置ずれが目立たなくなるので、固定パターン11と隠れパターン12とで構成される組み合わせ図柄の意匠性の低下を抑制して、意匠性を保つことができる。
【0077】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0078】
図12は、実施形態3に係る表示装置1Bの外観を示す斜視図である。実施形態1,2に係る表示装置1,1Aと実施形態3に係る表示装置1Bとの違いは、導光部材にある。実施形態1,2に係る表示装置1、1Aにおいて導光部材2,2Aは、プレート状であり、いわゆるアクリルスタンド仕様であったが、実施形態3に係る表示装置1Bにおいて導光部材2Bは、いわゆるアクリルキーホルダ仕様である。
【0079】
また、上記実施形態では、導光部材2~2Aを立位させるホルダ4を備える表示装置1~1Bを例示したが、本発明の一態様の表示装置においてホルダ4は必須の構成ではない。本発明の一態様の表示装置は、固定パターンと隠れパターンとを有する導光部材と、該導光部材が備える導光板に光を供給する光源部とを備える構成であってもよい。
【0080】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1、1A、1B、表示装置
2、2A、2B 導光部材
3 光源部
3A 第1光源部
3B 第2光源部
4 ホルダ
5 制御部
10、10A 導光板
10a 光入射面
10b 光出射面
10c 反対面
11 固定パターン
12、12A、12B 隠れパターン
12a パターン
15、15’、15A、15B プリズム
151、151’、151A、151B 反射面
L1 入射光
L2 矢印