(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150482
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】車両の運転支援装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/34 20060101AFI20231005BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B60Q1/34 Z
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059610
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 英紀
(72)【発明者】
【氏名】古谷 剛洋
(72)【発明者】
【氏名】叶 安分
(72)【発明者】
【氏名】山口 和樹
(72)【発明者】
【氏名】松舘 航
(72)【発明者】
【氏名】堀 隼人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敬之
【テーマコード(参考)】
3K339
5H181
【Fターム(参考)】
3K339AA22
3K339AA25
3K339AA43
3K339BA02
3K339BA03
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3K339HA01
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3K339MA02
3K339MA04
3K339MA05
3K339MA07
3K339MB04
3K339MB05
3K339MC01
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3K339MC03
3K339MC17
3K339MC21
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3K339MC77
3K339MC85
3K339MC92
5H181AA01
5H181CC01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF05
5H181FF22
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】自車両が店舗等に設けた駐車場に進入するに際し、対向車や周辺の移動物標に対して、自車両の進路を明確に報知できるようにする。
【解決手段】運転支援装置1は、DMS22、左右プロジェクタユニット23l.23r、運転支援制御部11を備え、運転支援制御部11は、運転者がウインカスイッチ28を操作して、自車両Mを右折或いは左折させようとした際に、DMS22で運転者の顔の向き又は視線から何処で曲がろうとしているかを推定し、交差点以外の店舗等の駐車場に進入しようとしている場合は、曲がろうとしている側のプロジェクタユニットにて進路画像を路面に投映して、対向車や周囲の移動物標OB等に進路を報知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺の走行環境情報を取得する走行環境情報取得部と、
運転者の顔の向き又は視線を検出する向き検出部と、
前記自車両の前方路面に前記自車両の曲折方向を示す進路画像を投映する投映部と、
前記投映部で投映する前記進路画像を設定すると共に該投映部の駆動を制御する制御部と
を備える車両の運転支援装置において、
前記制御部は、
運転者のウインカ操作を検出するウインカ操作検出部と、
前記ウインカ操作検出部で前記ウインカ操作を検出した場合、前記向き検出部で検出した前記運転者の顔の向き又は視線の方向から前記自車両の曲折位置を推定する曲折位置推定部と、
前記走行環境情報取得部で取得した前記走行環境情報に基づいて交差点を判定する交差点判定部と、
前記交差点判定部で、前記曲折位置推定部で推定した曲折位置が交差点ではないと判定された場合、前記走行環境情報取得部で取得した前記走行環境情報に基づいて前記自車両から前記曲折位置までの距離を算出し、算出した該距離に基づいて前記自車両が曲折する位置を示す前記進路画像を設定する進路画像設定部と
を備えることを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項2】
前記曲折位置推定部で推定した曲折位置で前記運転者が前記自車両を曲折させるか否かを確認する意思確認部を更に有し、
前記進路画像設定部は、前記意思確認部で前記運転者が前記曲折位置推定部で推定した曲折位置で曲折すると判定した場合にのみ前記進路画像を設定する
ことを特徴とする請求項1記載の車両の運転支援装置。
【請求項3】
前記進路画像設定部は、前記ウインカ操作検出部が対向車線を横断する方向への前記ウインカ操作を検出し、且つ前記交差点判定部で前記曲折位置よりも先に交差点が検出された場合、該交差点に非曲折画像を設定する
ことを特徴とする請求項1或いは2記載の車両の運転支援装置。
【請求項4】
前記進路画像設定部は、前記走行環境情報取得部で取得した前記走行環境情報に基づいて前記対向車線に対向車を検出した場合にのみ前記非曲折画像を表示させる
ことを特徴とする請求項3記載の車両の運転支援装置。
【請求項5】
前記自車両に追従する後続車を検出する後続車検出部と、
前記自車両の後部側に設けた後部投映部と
を更に有し、
前記進路画像設定部は、前記後続車検出部で前記後続車を検出した場合、前記後部投映部で投映する、前記曲折位置を示す後続車用進路画像を設定する
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の車両の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者が店舗等の駐車場に自車両を進入させようとするに際し、周辺の移動物標に対して自車両の進路を明確に報知するようにした車両の運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路法規によれば、運転者は自車両を曲折(右折又は左折)させようとするに際しては、曲がろうとする交差点から予め設定されている手前の距離(例えば30[m])に達したときからウインカを点滅させなければならないとされている。ウインカを点滅させることで、後続車、対向車、歩行者等に自車両の進む方向を認識させる。
【0003】
これは、自動運転による車線変更の際にも同様で、例えば、特許文献1(特開2020-166393号公報)には、自車両が車線変更するに際し、事前に車線変更側のウインカランプを点滅させて、車線変更する旨を後続車や周辺の車両に伝える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自車両が車線変更する際にウインカランプの点滅を開始させるタイミング、及び交差点を右折又は左折しようとする際にウインカランプの点滅を開始させるタイミングは、何れも法律で定められている。従って、自車両を曲折(右折或いは左折)させようとする際には、法律の規定に従い、右折又は左折しようとする交差点手前の予め規定されている距離(例えば、30[m])に到達しときからウインカランプの点滅を開始させる必要がある。
【0006】
しかし、運転者が、例えば交差点手前にある店舗等の駐車場に進入しようとウインカを点滅させた場合、対向車、後続車、及び店舗前の歩道を通行する移動物標(歩行者や自転車等)は、当該車両(自車両)は店舗の駐車場に進入しようとしているのか、その先の交差点を曲がろうとしているのかを判別することが困難となる。
【0007】
特に、左側通行規制の道路を自車両が通行している状態で、対向車線側の店舗等に設けた駐車場に進入しようとして右折する場合、対向車の運転者は相手車両(自車両)が、相手車両から見て店舗先の交差点を右折すると勘違し易い。その結果、対向車の運転者は減速することなく店舗前を通過しようとするため、相手車両(自車両)と接触する可能性が高くなる。
【0008】
本発明は、自車両が店舗等に設けた駐車場に進入するに際し、対向車や周辺の移動物標に対して、自車両の進行方向を明確に報知することのできる車両の運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自車両の周辺の走行環境情報を取得する走行環境情報取得部と、運転者の顔の向き又は視線を検出する向き検出部と、前記自車両の前方路面に前記自車両の曲折方向を示す進路画像を投映する投映部と、前記投映部で投映する前記進路画像を設定すると共に該投映部の駆動を制御する制御部とを備える車両の運転支援装置において、前記制御部は、運転者のウインカ操作を検出するウインカ操作検出部と、前記ウインカ操作検出部で前記ウインカ操作を検出した場合、前記向き検出部で検出した前記運転者の顔の向き又は視線の方向から前記自車両の曲折位置を推定する曲折位置推定部と、前記走行環境情報取得部で取得した前記走行環境情報に基づいて交差点を判定する交差点判定部と、前記交差点判定部で、前記曲折位置推定部で推定した曲折位置が交差点ではないと判定された場合、前記走行環境情報取得部で取得した前記走行環境情報に基づいて前記自車両から前記曲折位置までの距離を算出し、算出した該距離に基づいて前記自車両が曲折する位置を示す前記進路画像を設定する進路画像設定部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、運転者がウインカ操作を行った場合、運転者の顔の向き又は視線から、運転者が車両を曲折しようとする位置を推定し、この推定した位置が交差点ではないと判定された場合に、自車両が曲折する位置を示す進路画像を設定し、投映部から前方の路面に投映するようにしたので、店舗等に設けた駐車場に進入するに際し、対向車や周辺の移動物標に対して、自車両の進路を明確に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5A】リヤウインドウガラスに投射する右折情報を示す説明図
【
図5B】リヤウインドウガラスに投射する左折情報を示す説明図
【
図7】右左折時表示制御ルーチンを示すフローチャート
【
図8A】右折報知制御サブルーチンを示すフローチャート(その1)
【
図8B】右折報知制御サブルーチンを示すフローチャート(その2)
【
図9A】左折報知制御サブルーチンを示すフローチャート(その1)
【
図9B】左折報知制御サブルーチンを示すフローチャート(その2)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。尚、本実施形態では、便宜的に左側通行が規定されている道路を用いて説明する。従って、右側通行に規定されている道路では、左右を逆に読み替えて、本実施形態を適用する。
【0013】
図1~
図4に示すように、自車両M前部の左前後に左ウインカランプLlが設けられ、右前後に右ウインカランプLrが設けられている。又、自車両Mの車室内前部であって車幅方向中央の上部にカメラユニット21が配設されている。更に、運転席側の前方(例えば、インストルメントパネル)にドライバモニタリングシステム(DMS)22が配設されている。このカメラユニット21、及びDMS22の構成については後述する。尚、カメラユニット21、後述する後方検出部26が、本発明の走行環境情報取得部に対応している。又、DMS22が、本発明の向き検出部に対応している。
【0014】
更に、自車両M前部の車幅方向両側(図においては、ヘッドライトの車幅方向内側)に左右一対のプロジェクタユニット23l,23rが配設されている。尚、このプロジェクタユニット23l,23rが、本発明の投映部に対応している。
【0015】
又、自車両Mの室内後部であってリヤウインド側の車幅方向中央上部に、後部投映部としてのリヤプロジェクタユニット24が配設されている。
【0016】
左右のプロジェクタユニット23l,23r、及びリヤプロジェクタユニット24は、光源、液晶パネル、投射レンズ等の光学系を備えており、光源、液晶パネルが後述する、左右のプロジェクタ駆動部32l,32r、及びリヤプロジェクタ駆動部33からの駆動信号によって、それぞれ駆動される。
【0017】
左右のプロジェクタユニット23r,23lは、自車両Mの運転者が、自車両Mを曲折(右折又は左折)させようとしてウインカスイッチ28(
図6参照)を操作した際に、自車両M前方の路面に、曲折方向を示す進路画像を投映するものである。
図2A、
図3に右プロジェクタユニット23rの表示例を示す。又、
図2Bに左プロジェクタユニット23lの表示例を示す。
【0018】
運転者が自車両Mを右折させて、対向車線及び歩道を横断して、店舗等の駐車場(以下、便宜的に「店舗駐車場」と称する)に進入するに際し、ウインカスイッチ28をONすると、右プロジェクタユニット23rが起動する。すると、
図2A、
図3に示すように、周辺の状況に応じて自車両Mの右表示領域Arに近方右折進路画像Pr1と、非曲折画像としての遠方非右折進路画像Pr2とを表示させる。尚、右プロジェクタユニット23rによる詳細な表示内容については後述する。
【0019】
一方、運転者がウインカスイッチ28をONして、自車両Mを左折させ、歩道を横断して店舗駐車場に進入しようとする場合は、左プロジェクタユニット23lが起動し、
図2Bに示すように、自車両M前方の左表示領域Alに近方右折進路画像Pr1を表示させる。尚、左プロジェクタユニット23lによる詳細な表示内容については後述する。
【0020】
又、運転者がウインカスイッチ28をONして、自車両Mを店舗駐車場に進入させようとするに際し、後続車S(
図10、
図11参照)が検出されている場合は、リヤプロジェクタユニット24が起動し、自車両Mのリヤウインドウガラスに設定したリヤ表示領域Ad(
図4参照)に、右折矢印、或いは左折矢印、及び曲折する地点までの距離を示す進路画像を投映する(
図5A、
図5B参照)。尚、リヤプロジェクタユニット24による詳細な表示内容については後述する。
【0021】
又、
図6に示すように、自車両Mには運転支援装置1が搭載されている。更に、この運転支援装置1に、上述した左右のプロジェクタユニット23l,23r、及びリヤプロジェクタユニット24の動作を制御する運転支援制御部11が備えられている。この運転支援制御部11は、CPU、RAM、ROM、書き換え可能な不揮発性メモリ(フラッシュメモリ又はEEPROM)、及び周辺機器を備えるマイクロコントローラで構成されている。ROMにはCPUにおいて各処理を実行させるために必要なプログラムや固定データ等が記憶されている。又、RAMはCPUのワークエリアとして提供され、CPUでの各種データが一時記憶される。尚、CPUはMPU(Microprocessor)、プロセッサとも呼ばれている。又、CPUに代えてGPU(Graphics Processing Unit)やGSP(Graph Streaming Processor)を用いても良い。或いはCPUとGPUとGSPとを選択的に組み合わせて用いても良い。
【0022】
この運転支援制御部11の入力側には、左右のプロジェクタユニット23l,23r、及びリヤプロジェクタユニット24の動作を制御する際に必要とするパラメータを取得するセンサ・スイッチ類が接続されている。このセンサ・スイッチ類としては、カメラユニット21、ドライバモニタリングシステム(DMS)22以外に、ナビゲーションシステム25、後方検知ユニット26、外光量を検出する照度センサ27、及び自車両Mを曲折する際に運転者が操作するウインカスイッチ28がある。
【0023】
ここで、カメラユニット21は、CCDやCMOS等を撮像素子とするメインカメラ21a及びサブカメラ21bからなるステレオカメラと、画像処理ユニット(IPU)21cとを有している。カメラユニット21は、両カメラ21a,22bで撮像した自車両M前方の走行環境情報をIPU21cにて所定に画像処理して、運転支援制御部11へ送信する。
【0024】
DMS22は、運転席の前方(例えば、インストルメントパネル)に設けた運転者認識カメラ22a(
図1参照)と、この運転者認識カメラ22aで撮像した画像を画像処理するIPU22bを備えている。運転支援制御部11はIPU22bで処理した運転者の顔画像に基づき、運転者がウインカスイッチ28をONした際の、運転者の顔の向き(或いは視線)を調べる。
【0025】
又、ナビゲーションシステム25は、測位電波受信部を有しており、この測位電波受信部で受信したGNSS(Global Navigation Satellite System )等の測位衛星からの位置信号に基づいて、位置情報(緯度、経度等の座標)を取得する。そして、ナビゲーションシステム25は、運転者が設定した目的地までの走行ルートを道路地図データベース25aに格納されている道路地図情報上にマッチングさせる。更に、ナビゲーションシステム25は、道路地図情報における自車両の現在位置を示す座標上に自車両Mの現在位置をマッチングさせる。
【0026】
後方検知ユニット26は、後方検知センサ26aと後続車検出部26bとを備えている。後方検知センサ26aは、後方の所定センシング領域をセンシングして、自車両M後方の走行環境情報を取得する。この後方検知センサ26aは、動画カメラ、超音波センサ、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ、ライダー(Light Detection And Ranging)等のうち少なくとも一つで構成されている。尚、動画カメラは、ステレオカメラに限らず、単眼カメラであってもよい。又、後続車検出部26bは、後方検知センサ26aで取得した後方環境情報から、自車両Mに追従する後続車Sの有無、及び自車両Mと後続車Sとの車間距離、相対速度等の後続車情報を検出する。
【0027】
一方、運転支援制御部11の出力側に、ウインカ駆動部31、左プロジェクタ駆動部32l、右プロジェクタ駆動部32r、及びリヤプロジェクタ駆動部33が接続されている。ウインカ駆動部31は左前後ウインカランプLlと右前後ウインカランプLrとの一方を、運転者が操作するウインカスイッチ28の動作に応じて点滅させる。
【0028】
又、左プロジェクタ駆動部32lと右プロジェクタ駆動部32rとは、左プロジェクタユニット23lと右プロジェクタユニット23rとに設けられている光源や液晶パネルを、運転支援制御部11からの信号に基づいて駆動させる。尚、光源の光量は、照度センサ27で検出した外光量に応じ、晴天の日中であっても路面に投映した画像が視認できるように自動調整される。
【0029】
この左右プロジェクタ駆動部32l,32rが各プロジェクタユニット23l,23rを駆動させることで、液晶パネルに表示されている進路画像を路面に投映する。この進路画像として、本実施形態では、
図2Aや
図2Bに示すような右折矢印画像や左折矢印画像を投映している。
【0030】
又、リヤプロジェクタ駆動部33は、車体後部の中央に配設されているリヤプロジェクタユニット24(
図3参照)に設けられている光源や液晶パネルを、運転支援制御部11からの信号に基づいて駆動させる。このリヤプロジェクタ駆動部33がリヤプロジェクタユニット24を駆動させることで、リヤウインドウガラスに設定された表示領域(
図4参照)に、
図5Aや
図5Bに示すような曲折(右折又は左折)方向を示す矢印、及び曲折する位置までの距離示す進路画像が投映される。
【0031】
上述した運転支援制御部11は、運転者が交差点手前でウインカスイッチ28を操作し、自車両Mを前方の所定位置で曲折させようとする際の顔の向き(或いは視線)を、DMS22で検出する。そして、運転支援制御部11は、カメラユニット21で検出した自車両M前方の走行環境情報(前方走行環境情報)に運転者の顔の向いている方向を照合する。或いは、ナビゲーションシステム25にて検出した現在の自車両Mの位置(自車位置)を基準として、運転者の顔の向いている方向(或いは、視線の方向)から、運転者が自車両Mを進入させようとする道路地図上の場所を特定する。
【0032】
そして、運転者が自車両Mを曲折させようとする位置が交差点手前の、道路脇の歩道を横切って駐車場に進入させようとしていると推定した場合、歩道を通行する歩行者や自転車等の移動物標OB、対向車線側を自車両Mが横切ろうとしている場合は対向車F、後続車Sが検出されている場合は、後続車Sに自車両Mが、何処で曲がろうとしているかの情報を、路面に投映した画像(
図10、
図11参照)、及びリヤウインドウガラスに投映した画像(
図5A、
図5B参照)によって報知する。
【0033】
運転支援制御部11において、歩道を通行する移動物標OB、後続車Sや対向車Fに対し、何れの位置で曲折するかの報知は、具体的には、
図7に示す右左折表示制御ルーチンを実行する過程で行われる。
【0034】
このルーチンでは、先ず、ステップS1で、運転者がウインカスイッチ28をONするまで待機し、ウインカスイッチ28のONが検出された場合、ステップS2へ進む。ステップS2では、右ウインカスイッチがONされたか否かを調べる。そして、右ウインカスイッチがONの場合は、ステップS3へ進み、右折報知制御を実行して、ステップS5へ進む。又、左ウインカスイッチがONの場合は、ステップS4へ分岐し、左折報知制御を実行して、ステップS5へ進む。尚、ステップS1,S2での処理が、本発明の運転者のウインカ操作を検出するウインカ操作検出部に対応している。
[右折報知制御]
ステップS3の右折報知制御は、
図8A~
図8Bに示す右折報知制御サブルーチンに従って実行される。このサブルーチンでは、先ず、ステップS11で、DMS22で検出した運転者の情報(DMS情報)を読込む。そして、ステップS12で、DMS情報から運転者の顔の指向方向を認識する。次いで、ステップS13へ進み、カメラユニット21で検出した前方走行環境情報を読み込む。
【0035】
次いで、ステップS14へ進み、前方走行環境情報に運転者の顔の向き(或いは視線)の方向を照合し、運転者が右折して進入しようとしている場所(進入場所)を特定する。或いは、ナビゲーションシステム25にて検出した現在の自車位置を基準とした道路地図情報に、運転者の顔の向いている方向(或いは視線の方向)を照合して、進入場所を特定する。そして、この特定した進入場所に面している走行車線の位置を右折位置として推定する(
図10参照)。尚、このステップS14、及び後述するステップS34での処理が、本発明の曲折位置推定部に対応している。
【0036】
この場合、運転者の顔の向き(或いは視線)が、右折しようとする方向と異なる方向を指向していた場合、運転支援制御部11は、運転者が右折しようとしている進入場所を特定することができない。そのため、運転支援制御部11はシステムエラーとなり、右左折時表示制御のプログラムは終了する。
【0037】
次いで、ステップS15へ進み、運転者が右折しようとしている位置が交差点か交差点以外かを、前方走行環境情報、或いは道路地図情報の右折位置から判定する。ここで、交差点とは、丁字路、十字路等、自車両Mの走行車線に他の車道が接続している場所をいう。又、交差点以外とは、車道に店舗等の駐車場に進入する入口が面している場所であり、多くの場合、車道と店舗入口との間に歩道が設けられている(
図10、
図11参照)。尚、このステップS15、後述するステップS17、及びステップS35、ステップS37での処理が、本発明の交差点判定部に対応している。
【0038】
そして、交差点であると判定した場合は、そのままルーチンを抜ける。又、交差点以外であると判定した場合はステップS16へ進む。交差点ではない位置で右折するとは、例えば、
図10に示すような、店舗等に設けられた駐車場(店舗駐車場)の入口(店舗入口)に歩道を横断して進入する場合が考えられる。
【0039】
ステップS16へ進むと、現在の自車両Mの位置から、ステップS14で設定した右折位置までの距離Lpを算出する。次いで、ステップS17へ進み、右折位置よりも先であって比較的近い位置(例えば10[m]以内)の対向車線側に交差点があるか否かを調べる。交差点があるか否かは、カメラユニット21で取得した前方走行環境情報、或いはナビゲーションシステム25にて取得した道路地図情報に基づいて調べる。
【0040】
そして、交差点が検出されている場合、ステップS18へ進む。又、交差点が検出されていない場合、自車両Mは交差点以外で右折すると判定し、ステップS22へジャンプする。
【0041】
ステップS18へ進むと、右折する位置が交差点ではなく、その先に交差点が存在しているため、運転者にナビゲーションシステム25のスピーカを利用して、この右折位置で右折するか否かの意思の確認を行う。そして、この右折位置で右折すると判定した場合は、ステップS19へ進む。又、この右折位置の先の交差点で右折すると判定した場合は、そのままルーチンを抜ける。尚、このステップS18、及び後述するステップS38での処理が、本発明の意思確認部に対応している。
【0042】
このステップS18での運転者の意思の確認については、例えば、DMS22で認識した運転者の顔の動きに基づいて顔が縦に振られている場合はYES、横に振られている場合はNOと判定する。或いは運転者の音声をスピーカで集音し、音認識でYESかNOかを判定する。或いはナビゲーションシステム25のモニタに右折位置を表示すると共に、YESとNOのタッチスイッチを表示して何れかをタッチさせる。路面に進路画像を表示するに際し、運転者の意思を確認しているので、間違って表示してしまうことを確実に防止することができる。
【0043】
次いで、ステップS19へ進むと、カメラユニット21で取得した前方走行環境情報に基づき、対向車線を走行する対向車Fが、交差点前方の所定距離以内で認識されているか否かを調べる。そして、対向車Fが認識されている場合はステップS20へ進む。又、対向車Fが認識されていない場合は、ステップS22へジャンプする。
【0044】
ステップS20では、自車位置から交差点位置までの距離Lkを、カメラユニット21で取得した前方走行環境情報、或いはナビゲーションシステム25にて取得した道路地図情報に基づいて算出する。
【0045】
次いで、ステップS21へ進み、運転支援制御部11は、自車位置から交差点までの距離Lkに基づいて、右プロジェクタユニット23rから路面に投射する遠方非右折進路画像Pr2を設定し、ステップS22へ進む。この遠方非右折進路画像Pr2は、自車両Mは当該交差点を右折せず、その手前で右折する旨を対向車Fに報知するものである。
図2A、
図10に、路面に投映する遠方非右折進路画像Pr2を示す。同図に示すように、この遠方非右折進路画像Pr2として、本実施形態では、右折方向の矢印とその先端に非右折を示す×印を表示した画像を投映し、前方の交差点では右折しない旨を表示している。
尚、このステップS21、及び後述するS22,S39,S43での処理が、本発明の進路画像設定部に対応している。
【0046】
その後、ステップS17,S18,S20の何れかから、ステップS22へ進むと、運転支援制御部11は、右プロジェクタユニット23rから路面に投映する近方右折進路画像Pr1を設定し、ステップS23へ進む。
図2A、
図10に、路面に投映する近方右折進路画像Pr1を示す。この右折進路画像は、右折方向を矢印で示しており、この矢印の方向に自車両Mが進入する旨を報知する。
【0047】
ところで、
図10に示すように、自車両Mが右折しようとするに際し、自車両Mから右折位置までの距離Lp、及び交差点位置までの距離Lkは、自車両Mが進行するに従い次第に短くなるが、近方右折進路画像Pr1の矢印位置、及び遠方非右折進路画像Pr2の矢印位置は、固定された状態で路面に投映される。
【0048】
従って、実際に短くなるのは近方右折進路画像Pr1の直線部分のみとなる。この近方右折進路画像Pr1を表示する右プロジェクタユニット23rの液晶パネルでは、自車両Mが右折位置に近接するに従い、遠方非右折進路画像Pr2と近方右折進路画像Pr1との矢印部分が次第に自車両M側に接近するように制御される。
【0049】
そして、ステップS23へ進むと、運転支援制御部11は、ステップS21で設定した遠方非右折進路画像Pr2、及びステップS22で設定した近方右折進路画像Pr1の画像信号を右プロジェクタ駆動部32rへ出力する。
【0050】
すると、右プロジェクタ駆動部32rは、
図2A、
図3、及び
図10に示すように、右プロジェクタユニット23rを駆動させて、自車両M前方の路面に遠方非右折進路画像Pr2と近方右折進路画像Pr1とを投映する。これにより、対向車Fを運転する運転者や歩道を通行する移動物票(歩行者、自転車等)OBに対して、自車両Mが交差点手前の店舗等の駐車場へ進入することを明確に報知することができる。その結果、対向車Fは相手車両(自車両M)が曲がろうとする位置を把握しているため、その手前で減速し、相手車両(自車両M)の挙動に注意を払うことができる。一方、移動物票OBも自車両Mが店舗等の入口に進入して来ることを予測することができるため、店舗入口に不用意に飛び出すことを防止することができる。
【0051】
尚、路面には右プロジェクタユニット23rからの画像が投映されるので、液晶パネルがカラーの場合は表示する画像の形状や配色は任意に設定することができる。そのため、例えば、遠方非右折進路画像Pr2を高い明度の無彩色とし、近方右折進路画像Pr1を高い明度の有彩色として、容易に識別できるようにしても良い。
【0052】
その後、ステップS24へ進み、後方検知ユニット26に設けられている後続車検出部26bで検出した後続車情報(後続車Sの有無、自車両Mと後続車Sとの車間距離、相対速度等)を読込み、ステップS25へ進む。
【0053】
ステップS25では、後続車情報から、自車両Mに追従する後続車Sが検出されているか否かを調べる。そして、後続車Sが検出されていない場合はルーチンを抜け、
図7のステップS5へ進む。一方、後続車Sが検出されている場合は、ステップS26へ進む。
【0054】
ステップS26へ進むと、運転支援制御部11は、後続車用進路画像としての後続車用右折進路画像Preを設定する。この後続車用右折進路画像Preはリヤプロジェクタユニット24からリヤウインドウガラスのリヤ表示領域Ad(
図4参照)に投映させるものである。
図5Aに、リヤ表示領域Adに投映する後続車用右折進路画像Preを例示する。同図に示す後続車用右折進路画像Preは、運転者が操作したウインカスイッチ28に連動して点滅する右折を示す矢印と、自車両Mから右折位置までの距離Lpとで構成されている。尚、この距離Lpの表示は、段階的な表示とし、例えば、30~10[m]までは5[m]間隔で表示し、10[m]からは1[m]間隔で表示させる。
【0055】
次いで、ステップS27へ進むと、運転支援制御部11は、ステップS26で設定した後続車用右折情報の画像信号をリヤプロジェクタ駆動部33へ出力して、ルーチンを抜け、
図7のステップS5へ進む。
【0056】
すると、リヤプロジェクタ駆動部33は、リヤプロジェクタユニット24を駆動させて、
図4に示すリヤウインドウガラスに設定されているリヤ表示領域Adに後続車用右折情報を投映する。後続車用右折情報は、
図5Aに例示する通りであり、既述したため、ここでの説明は省略する。
【0057】
右折する際に後続車Sが検出された場合、リヤウインドウガラスのリヤ表示領域Adに後続車用右折情報を投映することで、後続車Sの運転者に対し、先行車(自車両M)が右折するタイミングを視覚的に明確に報知することができる。これにより、後続車Sの運転者は、先行車(自車両M)が右折位置に近づくに従い、先行車(自車両M)に追従して減速し、或いは車線変更することで、追突を未然に防止することができる。尚、右表示領域Arには、リヤプロジェクタユニット24からの画像が投映されるので、液晶パネルがカラーの場合は表示する画像の形状や配色は任意に設定することができる。そのため、後続車用右折情報は、
図5Aの表示内容に限定されるものではない。
[左折報知制御]
一方、
図7のステップS4で実行される左折報知制御は、
図9A~
図9Bに示す左折報知制御サブルーチンに従って処理される。
【0058】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS31~ステップS33において、前述した
図8AのステップS11~S13と同じ処理を実行する。
【0059】
そして、ステップS34へ進み、前方走行環境情報に運転者の顔の向き(或いは視線)の方向を照合し、運転者が左折して進入しようとしている場所(進入場所)を特定する。或いは、ナビゲーションシステム25にて検出した現在の自車位置を基準とした道路地図情報に、運転者の顔の向いている方向(或いは視線の方向)を照合して進入場所を特定する。そして、この進入場所に面している走行車線の位置を左折位置として推定する(
図11参照)。尚、この場合、運転者の顔の向き(或いは視線)が、左折しようとする方向と異なる方向を指向していた場合、運転支援制御部11は、進入場所を特定することができない。そのため、運転支援制御部11はシステムエラーとなり、右左折時表示制御のプログラムは終了する。
【0060】
次いで、ステップS35へ進み、運転者が左折しようとしている位置が交差点か否かを、前方走行環境情報、或いは道路地図情報の左折位置から判定する。そして、交差点であると判定した場合は、そのままルーチンを抜ける。又、交差点ではないと判定した場合はステップS36へ進む。交差点ではない位置で左折するとは、例えば、
図11に示すような、店舗等に設けられた駐車場(店舗駐車場)の入口(店舗入口)に歩道を横断して進入する場合が考えられる。
【0061】
ステップS36へ進むと、現在の自車両Mの位置から、ステップS34で設定した左折位置までの距離Lpを算出し、ステップS37へ進む。ステップS37では、左折位置よりも先であって比較的近い位置(例えば10[m]以内)の左折側に交差点があるか否かを調べる。そして、交差点が検出されている場合、ステップS38へ進む。又、交差点が検出されていない場合ルーチンを抜け、
図7のステップS5へ進む。
【0062】
ステップS38へ進むと、左折する位置が交差点ではないため、運転者にナビゲーションシステム25のスピーカを利用して、この左折位置で左折するか否かの意思の確認を行う。そして、この左折位置で左折すると判定した場合は、ステップS39へ進む。又、この左折位置の先の交差点で左折すると判定した場合はそのままルーチンを抜ける。この場合の運転者の意思の確認については既述したため説明を省略する。路面に進路画像を表示するに際し、運転者の意思を確認しているので、間違って表示されることを確実に防止することができる。
【0063】
ステップS39へ進むと、運転支援制御部11は、左プロジェクタユニット34lから路面に投映する近方左折進路画像Plを設定し、ステップS40へ進む。
図2B、
図11に、路面に投映する近方左折進路画像Plを示す。同図においては、左折方向の進路を矢印で表示し、この矢印の方向
に自車両Mが進入する旨を報知する。
【0064】
ところで、
図11に示すように、自車両Mが左折しようとするに際し、自車両Mから左折位置までの距離Lpは、自車両Mが進行するに従い次第に短くなるが、左折進路画像の矢印の位置は固定された状態で路面に投映され、この近方左折進路画像Plの直線部分が次第に短くなる。従って、左プロジェクタユニット34lの液晶パネルでは、自車両Mが左折位置に近接するに従い、近方左折進路画像Plの矢印部分が次第に自車両M側に接近するように制御される。
【0065】
次いで、ステップS40へ進むと、運転支援制御部11は、ステップS39で設定した近方左折進路画像Plの画像信号を左プロジェクタ駆動部32lへ出力する。
【0066】
すると、左プロジェクタ駆動部32lは、
図2B、
図11に示すように、左プロジェクタユニット23lを駆動させて、自車両M前方の路面に近方左折進路画像Plを投映する。これにより、歩道を通行する移動物票(歩行者、自転車等)OBに対して、自車両Mが交差点手前の店舗等の駐車場へ進入することを明確に報知することができる。その結果、移動物票OBは自車両Mが店舗等の入口に進入して来ることを予測することができるため、店舗入口に不用意に飛び出すことを防止することができる。尚、左プロジェクタユニット23lに設けられている液晶パネルがカラーの場合、路面に表示する画像の形状や配色は任意に設定することができる。
【0067】
その後、ステップS41へ進み、後方検知ユニット26に設けられている後続車検出部26bで検出した後続車情報を読込み、ステップS42で、読込んだ後続車情報から、自車両Mに追従する後続車Sが検出されているか否かを調べる。
【0068】
そして、後続車Sが検出されていない場合はルーチンを抜け、
図7のステップS5へ進む。一方、後続車Sが検出されている場合は、ステップS43へ進む。尚、
図11に示すように、この後続車Sは自動車に限らず、自動二輪車等、走行車線を走行する車両が含まれる。
【0069】
ステップS43へ進むと、運転支援制御部11は、リヤプロジェクタユニット24を駆動させて、リヤウインドウガラスのリヤ表示領域Ad(
図4参照)に後続車用左折情報を投映するための画像を設定する。
図5Bに、リヤ表示領域Adに投映する後続車用進路画像としての後続車用左折進路画像Pleを例示する。同図においては、運転者が操作したウインカスイッチ28に連動して左折を示す矢印を点滅させると共に、自車両Mから左折位置までの距離Lpを、後続車用左折進路画像Pleとして投映される。尚、距離Lpの表示例は既述したので説明は省略する。
【0070】
次いで、ステップS44へ進むと、運転支援制御部11は、ステップS43で設定した後続車用左折情報の画像信号をリヤプロジェクタ駆動部33へ出力して、ルーチンを抜け、
図7のステップS5へ進む。
【0071】
すると、リヤプロジェクタ駆動部33は、リヤプロジェクタユニット24を駆動させて、
図4に示すリヤウインドウガラスに設定されているリヤ表示領域Adに後続車用左折情報を投映する。後続車用左折情報は、前述した
図5Bに例示する通りである。
【0072】
左折する際に後続車Sが検出された場合、リヤウインドウガラスのリヤ表示領域Adに後続車用左折情報を投映することで、後続車Sの運転者に対し、先行車(自車両M)が左折するタイミングを視覚的に明確に報知することができる。これにより、後続車Sの運転者は、先行車(自車両M)が左折位置に近づくに従い、先行車(自車両M)に追従して減速し、或いは車線変更することで、追突を未然に防止することができる。又、後続車Sが自動二輪車や自転車の場合は、自車両Mが左折する際の巻き込みを防止することができる。尚、右表示領域Arには、リヤプロジェクタユニット24からの画像が投映されるので、液晶パネルがカラーの場合は表示する画像の形状や配色は任意に設定することができる。従って、後続車用左折情報は、
図5Bの表示内容に限定されるものではない。
【0073】
そして、
図7のステップS3、或いはステップS4からステップS5へ進むと、運転支援制御部11は、自車両Mが曲折位置(右折位置、或いは左折位置)に到達したか否かを調べる。そして、未だ到達していない場合、そのままルーチンを抜ける。一方、自車両Mが曲折位置に到達した場合、ステップS6へ進む。尚、自車両Mが曲折位置に到達した蚊否かは、距離Lpに基づいて調べ、この距離Lpが0、或いは0に近い値(0.5~1[m]程度)を示したとき到達したと判定する。
【0074】
その後、ステップS6へ進むと、曲折表示制御を終了させてルーチンを抜ける。この曲折表示制御の終了は、右プロジェクタ駆動部32r、左プロジェクタ駆動部32l、リヤプロジェクタ駆動部33の中で、駆動している駆動部にOFF信号を出力することで行う。
【0075】
このように、本実施形態では、自車両Mが交差点手前の店舗駐車場等に曲折(右折又は左折)して進入するに際し、自車両Mの前方の路面に曲折する位置を示す進路画像を投映するようにしたので、右折する場合には対向車Fに右折位置を明確に報知することができる。又、曲折する際には、歩道を通行する移動物票OBに対しても、自車両Mが店舗駐車場等に進入する旨を報知することができるので、飛び出しを防止することができる。
【0076】
更に、自車両Mが交差点手前で曲折するに際し、後続車Sの有無を調べ、後続車Sが検出された場合には、リヤウインドウガラスに設定したリヤ表示領域Adに曲折する旨の情報を投映して、曲折のタイミングを後続車Sに報知するようにしたので追突を防止することができる。又、後続車Sが自動二輪車や自転車の場合、自車両Mが左折する際の巻き込みを防止することもできる。
【0077】
尚、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えば、自車両M前部の車幅方向中央に一つのプロジェクタユニットを設け、このプロジェクタユニットで、左右プロジェクタユニット23l,23rの動作を兼用させるようにしても良い。又、自車両Mの側面にもプロジェクタユニットを配設し、自車両Mが交差点手前の店舗駐車場等に進入しようとする、曲折側の歩道に、自車両Mが進入する旨を報知する画像を投映するようにしても良い。
【符号の説明】
【0078】
1…運転支援装置、
11…運転支援制御部、
21…カメラユニット、
21a…メインカメラ、
21b…サブカメラ、
21c,22b…画像処理ユニット、
22…ドライバモニタリングシステム、
22a…運転者認識カメラ、
23l…左プロジェクタユニット、
23r…右プロジェクタユニット、
24…リヤプロジェクタユニット、
25…ナビゲーションシステム、
25a…道路地図データベース、
26…後方検知ユニット、
26a…後方検知センサ、
26b…後続車検出部、
27…照度センサ、
28…ウインカスイッチ、
31…ウインカ駆動部、
32l…左プロジェクタ駆動部、
32r…右プロジェクタ駆動部、
33…リヤプロジェクタ駆動部、
34l…左プロジェクタユニット、
34r…右プロジェクタユニット、
Ad…リヤ表示領域、
Al…左表示領域、
Ar…右表示領域、
F…対向車、
Lk,Lp…距離、
Ll…左前後ウインカランプ、
Lr…右前後ウインカランプ、
M…自車両、
OB…移動物標、
Pl…近方左折進路画像、
Ple…後続車用左折進路画像、
Pr1…近方右折進路画像、
Pr2…遠方非右折進路画像、
Pre…後続車用右折進路画像、
S…後続車