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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150491
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/32 20180101AFI20231005BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20231005BHJP
   F24F 1/02 20190101ALI20231005BHJP
【FI】
F24F11/32
F24F7/007 B
F24F1/02 441A
F24F1/02 441B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059619
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】竹中 啓
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 英二
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BE04
3L260AB02
3L260AB15
3L260BA12
3L260BA52
3L260CA17
3L260CA35
3L260CB52
3L260CB53
3L260DA10
3L260FC02
3L260FC03
3L260GA17
3L260GA24
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】漏洩冷媒が室内に存在し続けることを抑制することが可能な空気調和装置を提供する。
【解決手段】室内熱交換器(11)と、室内熱交換器(11)に対して、室内熱交換器(11)の内部を流れる冷媒との間で熱交換を行う空気を供給する送風運転が可能な室内ファン(12)と、室内の空気を室外に排気するか、または、室外の空気を室内に給気する、少なくともいずれかの換気運転に用いられる換気ダクト(6)と、室内に漏洩した冷媒を検知する室内冷媒センサ(17)と、を備え、冷媒は燃焼性を有する冷媒であり、室内冷媒センサ(17)が冷媒の漏洩を検知した場合に、送風運転と換気運転を同時に行うことが可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内熱交換器(11)と、
前記室内熱交換器に対して、前記室内熱交換器の内部を流れる冷媒との間で熱交換を行う空気を供給する送風運転が可能な室内送風部(12)と、
室内の空気を室外に排気するか、または、前記室外の空気を前記室内に給気する、少なくともいずれかの換気運転に用いられる換気流路(6、45)と、
前記室内に漏洩した前記冷媒を検知する室内検知部(17)と、
を備え、
前記冷媒は、燃焼性を有する冷媒であり、
前記室内検知部が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記送風運転と前記換気運転を同時に行うことが可能である、
空気調和装置(1)。
【請求項2】
前記室外に漏洩した前記冷媒を検知する室外検知部(35)をさらに備えた、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記室内検知部が前記冷媒の漏洩を検知した場合と前記室外検知部が前記冷媒の漏洩を検知した場合とで、前記換気運転における前記換気流路の空気流れの方向が切り換わる、
請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記室外検知部が前記冷媒の漏洩を検知した場合は、前記換気運転において、前記換気流路を介して前記室内の空気を前記室外に排気する、
請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記室内検知部が前記冷媒の漏洩を検知していない状態において、前記送風運転または前記換気運転を停止させる停止操作を受け付けるコントローラ(61、7)をさらに備え、
前記コントローラは、前記冷媒の漏洩が検知されることにより前記送風運転と前記換気運転が行われている最中は、前記停止操作を受け付けない、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記室内検知部は、前記送風運転を行いながら前記冷媒の漏洩を検知する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記室内検知部が前記冷媒の漏洩を検知していない状態で、前記換気運転を行うことが可能である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記室内熱交換器と冷媒配管を介して接続された圧縮機(21)をさらに備え、
前記室内検知部が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記圧縮機の運転が停止する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記室内検知部が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記冷媒の漏洩を報知する報知部(61a)をさらに備えた、
請求項1から8のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項10】
前記燃焼性を有する冷媒には、R290、R600、および、R600aからなる群より選択される1種または2種以上が含まれる、
請求項1から9のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境への関心の高まりにより、オゾン層の破壊や地球の温暖化に大きな影響を与えない、地球温暖化係数(Global Warming Potential、以下GWPという。)の低い冷媒が注目されている。このような冷媒は、燃焼性を有する冷媒であるものがあり、着火しないように安全性を確保することが求められる。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2016-166680号公報)によれば、可燃性冷媒が用いられた室内機において、冷媒が漏洩した際に、室内ファンを駆動させて冷媒を攪拌させ、冷媒の濃度を低下させる制御を行うことが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室内機で冷媒が漏洩した場合には、室内ファンを駆動させたとしても、漏洩冷媒は室内に存在しつづけてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る空気調和装置は、室内熱交換器と、室内送風部と、換気流路と、室内検知部と、を備えている。室内送風部は、送風運転が可能である。室内送風部は、送風運転では、室内熱交換器に対して、室内熱交換器の内部を流れる冷媒との間で熱交換を行う空気を供給する。換気流路は、室内の空気を室外に排気するか、または、室外の空気を室内に給気する、少なくともいずれかの換気運転に用いられる。室内検知部は、室内に漏洩した冷媒を検知する。冷媒は、燃焼性を有する冷媒である。室内検知部が冷媒の漏洩を検知した場合に、送風運転と換気運転を同時に行うことが可能である。
【0006】
この空気調和装置は、冷媒漏洩時に、送風運転と換気運転を同時に行うことで、局所的に冷媒濃度が高まることを抑制させつつ、室内に漏洩冷媒が残存し続けることを抑制することができる。
【0007】
第2観点に係る空気調和装置は、第1観点の空気調和装置であって、室外検知部をさらに備えている。室外検知部は、室外に漏洩した冷媒を検知する。
【0008】
この空気調和装置は、室外で冷媒漏洩が生じたことを把握することができる。
【0009】
第3観点に係る空気調和装置は、第2観点の空気調和装置であって、室内検知部が冷媒の漏洩を検知した場合と室外検知部が冷媒の漏洩を検知した場合とで、換気運転における換気流路の空気流れの方向が切り換わる。
【0010】
この空気調和装置は、冷媒漏洩が生じた箇所に応じて室外から室内への給気と、室内から室外への排気とを切り換えることができる。
【0011】
第4観点に係る空気調和装置は、第3観点の空気調和装置であって、室外検知部が冷媒の漏洩を検知した場合は、換気運転において、換気流路を介して室内の空気を室外に排気する。
【0012】
この空気調和装置は、室外で冷媒漏洩が生じた場合に、換気流路を介して室外の漏洩冷媒が室内に送り込まれることを避けることができる。
【0013】
第5観点に係る空気調和装置は、第1観点から第4観点のいずれかの空気調和装置であって、コントローラをさらに備える。コントローラは、室内検知部が冷媒の漏洩を検知していない状態において、送風運転または換気運転を停止させる停止操作を受け付ける。コントローラは、冷媒の漏洩が検知されることにより送風運転と換気運転が行われている最中は、停止操作を受け付けない。
【0014】
この空気調和装置は、冷媒漏洩時に送風運転と換気運転を強制的に継続させることができる。
【0015】
第6観点に係る空気調和装置は、第1観点から第5観点のいずれかの空気調和装置であって、室内検知部は、送風運転を行いながら冷媒の漏洩を検知する。
【0016】
この空気調和装置は、室内検知部から離れた箇所で冷媒漏洩が生じた場合であっても、室内検知部の周囲に空気流れが形成されることで、室内検知部における冷媒漏洩の検知精度を高めることができる。
【0017】
第7観点に係る空気調和装置は、第1観点から第6観点のいずれかの空気調和装置であって、室内検知部が冷媒の漏洩を検知していない状態で、換気運転を行うことが可能である。
【0018】
この空気調和装置は、冷媒が漏洩していない状況における室内の換気のために用意されている換気流路を、漏洩時の換気運転のために流用することができる。
【0019】
第8観点に係る空気調和装置は、第1観点から第7観点のいずれかの空気調和装置であって、圧縮機をさらに備える。圧縮機は、冷媒配管を介して室内熱交換器と接続されている。室内検知部が冷媒の漏洩を検知した場合に、圧縮機の運転が停止する。
【0020】
この空気調和装置は、冷媒漏洩時に冷媒回路における冷媒流れを停止させることで、漏洩の程度を小さく抑えることができる。
【0021】
第9観点に係る空気調和装置は、第1観点から第8観点のいずれかの空気調和装置であって、報知部をさらに備える。報知部は、室内検知部が冷媒の漏洩を検知した場合に、冷媒の漏洩を報知する。
【0022】
この空気調和装置は、冷媒漏洩が生じたことをユーザに把握させることができる。
【0023】
第10観点に係る空気調和装置は、第1観点から第9観点のいずれかの空気調和装置であって、燃焼性を有する冷媒には、R290、R600、および、R600aからなる群より選択される1種または2種以上が含まれる。
【0024】
この空気調和装置は、燃焼しやすい冷媒を用いた場合であっても、着火のリスクを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態に係る空気調和装置の外観図である。
図2】冷媒回路の系統図に空気の流れの概略を付加した図である。
図3】空気調和装置の機能ブロック構成図である。
図4】冷媒漏洩時の制御フローチャートである。
図5】他の実施形態Aに係る冷媒漏洩時の制御フローチャートである。
図6】他の実施形態Bに係る冷媒漏洩時の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(1)全体構成
本開示の一実施形態の空気調和装置1について、図1に概略外観図を、図2に概略構成図を示す。
【0027】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことで対象空間の空気を調和させるとともに、対象空間の換気を行う。
【0028】
空気調和装置1は、主として、室外ユニット3と、室内ユニット2と、室外ユニット3と室内ユニット2を接続するガス側冷媒連絡配管4、液側冷媒連絡配管5、ドレンホース8および換気ダクト6と、入力装置および出力装置としてのリモコン61と、空気調和装置1の動作を制御するコントローラ7と、を有している。
【0029】
室内ユニット2は、室内に配置される。室外ユニット3は、室外に配置される。室外ユニット3は、室外空調ユニット3aと換気ユニット3bとを有している。ガス側冷媒連絡配管4および液側冷媒連絡配管5は、室内ユニット2と、室外ユニット3のうちの室外空調ユニット3aとを接続する。
【0030】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路10を有している。冷媒回路10は、室内ユニット2と室外ユニット3とがガス側冷媒連絡配管4および液側冷媒連絡配管5を介して接続されることによって構成されている。この冷媒回路10には、燃焼性を有する冷媒が充填されている。当該冷媒としては、ASHRAE Safety Groupにおける、クラスA3、B3の強燃性冷媒、クラスA2、B2の可燃性冷媒、クラスA2L、B2Lの微燃性冷媒等が挙げられる。より具体的には、冷媒は、R290、R600、および、R600aからなる群より選択される1種または2種以上であってよい。なお、本実施形態では、冷媒回路10には、空気よりも比重の大きな冷媒が充填されている。
【0031】
換気ダクト6は、室内ユニット2と、室外ユニット3のうちの換気ユニット3bとを接続する。換気ユニット3bは、室外空気を室内へ供給する給気運転と、室内空気を室外へ排出する排気運転と、を含む換気運転を行う。
【0032】
コントローラ7は、空気調和装置1の構成機器を制御する。
【0033】
(2)室内ユニット
本実施形態の室内ユニット2は、例えば、壁掛け型である。
【0034】
室内ユニット2は、室内熱交換器11と、室内ファン12と、室内ケーシング20と、ドレンホース8と、室内制御部13と、を含む。
【0035】
室内熱交換器11は、長さ方向両端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管が挿通される複数のフィンとを含み、接触する空気との間で熱交換を行う。
【0036】
室内ファン12は、例えば、クロスフローファンである。室内ファン12は、円筒形状に構成され、周面には多数の羽根が設けられており、回転軸と交わる方向に空気流を生成する。この室内ファン12は、ファンモータ12aを有している。ファンモータ12aが駆動すると、室内ファン12は、室内空気を室内ユニット2内に吸い込ませ、室内熱交換器11との間で熱交換を行った後の空気を室内に吹き出させる、空気流れを生じさせる。
【0037】
ドレンホース8は、室内ユニット2内において室内熱交換器11から滴下した結露水を、屋外に排出させるための流路を構成している。具体的には、ドレンホース8は、室内ケーシング20の下面から延び出しており、屋外の排水箇所まで延びている。
【0038】
室内ケーシング20は、室内熱交換器11と室内ファン12と室内制御部13を内部に収容しており、吸込口18と吹出口19と連絡開口14が形成されている。吸込口18は、排気運転時に、室内空気を吸い込む。また、吸込口18は、空調運転時に、室内空気を吸い込む。吹出口19は、室内空気および室外空気を、室内に吹き出す。
【0039】
吸込口18は、室内熱交換器11の上流に設けられている。排気運転中に吸込口18から導入される室内空気の一部は、室内熱交換器11を通らずに、連絡開口14から換気ダクト6を介して室外に排出される。排気運転中に吸込口18から導入される室内空気の残部は、室内熱交換器11を通る際に、室内熱交換器11と熱交換を行って、冷房、除湿または暖房された後に、吹出口19から室内に供給される。
【0040】
また、給気運転中に吸込口18から導入される室内空気は、室内熱交換器11を通って、冷房、除湿または暖房された後に、吹出口19から室内に供給される。
【0041】
連絡開口14は、給気運転の際に室外空気が導入される給気口であるとともに、排気運転の際に室内空気が排出される排気口である。給気運転では、連絡開口14を介して室外空気が室内に供給され、排気運転では、連絡開口14を介して室内空気が室外へ排出される。連絡開口14は、給気運転の際に室外空気が通る流路であり、排気運転の際に室内空気が通る流路である。
【0042】
室内ケーシング20は、連絡開口14が、図示しない室内の壁部に形成された開口と対向するように、壁に設置される。連絡開口14と室内の壁部に形成された開口とは給排気口部材によって連結されている。
【0043】
連絡開口14は、室内ファン12が形成する空気流れ方向において、室内熱交換器11の上流に設けられている。給気運転中に連絡開口14から導入される室外空気は、室内熱交換器11を通る。このため、冷房運転または除湿運転中に、室外空気は、室内熱交換器11で冷房または除湿された後に、吹出口19から室内に供給される。また、暖房運転中に給気運転を行う場合の加湿されていない室外空気、暖房運転中に加湿運転を行う場合の加湿された室外空気は、室内熱交換器11で暖房された後に、吹出口19から室内に供給される。
【0044】
室内ユニット2には、各種センサが配置されている。ここでは、室内ユニット2には、室内温度センサ15、室内湿度センサ16、および、室内冷媒センサ17が配置されている。
【0045】
室内温度センサ15は、室内の温度を検出する。室内湿度センサ16は、室内の湿度を検出する。室内温度センサ15および室内湿度センサ16は、室内の温度および室内の湿度を検出する室内温湿度センサであってもよい。
【0046】
室内冷媒センサ17は、冷媒回路10から漏洩した冷媒を検知する。具体的には、室内冷媒センサ17は、漏洩した冷媒の濃度が所定値以上となった場合に冷媒を検出することが可能なセンサである。本実施形態では、空気よりも比重の大きな冷媒が冷媒回路10に充填されて用いられているため、室内冷媒センサ17は、例えば、室内熱交換器11の下方または室内熱交換器11の風下側に配置されることが好ましく、室内熱交換器11の下方に配置される図示しないドレンパン上に配置されていてもよい。
【0047】
なお、室内温度センサ15、室内湿度センサ16および室内冷媒センサ17は、室内ユニット2ではなく、室内のどこかに配置されていてもよい。
【0048】
室内制御部13は、室内ユニット2を構成する各部の動作を制御する。室内制御部13は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサや、ROM、RAM等のメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。室内制御部13は、室外制御部31と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。室内制御部13は、室内温度センサ15、室内湿度センサ16および室内冷媒センサ17と電気的に接続されており、各センサからの検出情報を受け付ける。
【0049】
(3)室外ユニット
室外ユニット3は、室外空調ユニット3aと換気ユニット3bと室外制御部31とを有している。
【0050】
換気ユニット3bは、室外空調ユニット3aの上方に積層されるように設けられている。
【0051】
室外制御部31は、室外ユニット3を構成する各部の動作を制御する。室外制御部31は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサや、ROM、RAM等のメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。室外制御部31は、室内制御部13と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。室外制御部31は、後述する室外温度センサ33および室外湿度センサ34と電気的に接続されており、各センサからの検出情報を受け付ける。
【0052】
(3-1)室外空調ユニット
室外空調ユニット3aは、圧縮機21と、四路切換弁22と、アキュムレータ23と、室外熱交換器24と、膨張弁25と、フィルタ26と、液閉鎖弁27と、ガス閉鎖弁28と、室外ファン29と、を含む。
【0053】
圧縮機21は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機構である。四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側に接続される。アキュムレータ23は、圧縮機21の吸入側に接続される。室外熱交換器24は、四路切換弁22に接続される。膨張弁25は、室外熱交換器24に接続される。膨張弁25は、フィルタ26および液閉鎖弁27を介して液側冷媒連絡配管5に接続されている。四路切換弁22は、ガス閉鎖弁28を介してガス側冷媒連絡配管4に接続されている。これらのガス側冷媒連絡配管4と液側冷媒連絡配管5は、換気ダクト6およびドレンホース8とともにまとまった配管群である集合連絡管9を形成する。
【0054】
室外ファン29は、室外熱交換器24での熱交換後の室外空気を外部に排出する。室外ファン29は、例えばプロペラファンである。室外ファン29は、ファンモータ29aが駆動することにより、室外熱交換器24を通過させる空気流れを生じさせる。
【0055】
室外ユニット3には、室外温度センサ33、室外湿度センサ34、および、室外冷媒センサ35等の各種センサが配置されている。室外温度センサ33は、室外の温度を検出する。室外湿度センサ34は、室外の湿度を検出する。室外冷媒センサ35は、冷媒回路10から漏洩した冷媒を検知する。具体的には、室外冷媒センサ35は、漏洩した冷媒の濃度が所定値以上となった場合に冷媒を検出することが可能なセンサである。本実施形態では、空気よりも比重の大きな冷媒が冷媒回路10に充填されて用いられているため、室外冷媒センサ35は、例えば、室外熱交換器24の下方に配置されることが好ましい。
【0056】
(3-2)換気ユニット
換気ユニット3bは、室内ユニット2から延び出した換気ダクト6と接続されており、室外空調ユニット3aの上に積層されることで、室外空調ユニット3aと一体化されている。
【0057】
換気ユニット3bは、室外空気を室内へ供給する給気運転と、室内空気を室外へ排出する排気運転と、加湿した空気を室内へ供給する加湿運転と、を行う。給気運転および加湿運転は、室外空気を室内に供給する点で同じであるが、給気運転は、室外空気の加湿を行わずに室内へと供給する点において、室外空気の加湿を行う加湿運転と異なる。
【0058】
換気ユニット3bは、換気ケーシング40と、吸加湿ロータ41と、ヒータ42と、吸加湿ダクト45と、吸着側ダクト47と、ラジアルファン組立体43と、吸着用ファン46と、を有している。
【0059】
換気ケーシング40は、換気ユニット3bの前方、後方、両側方および天面を覆っている。換気ケーシング40には、吸着用空気吸込口40bと、吸着用空気吹出口40aと、給排気口40c、が設けられている。吸着用空気吸込口40bは、吸加湿ロータ41に水分を吸着させるために室外から取り込まれる空気が通る開口である。吸着用空気吹出口40aは、吸加湿ロータ41を通過した後の空気が外部へ排出されるための開口である。給排気口40cは、室内ユニット2へと送られるために取り込まれる空気が通る、または、室内ユニット2から取り込まれて室外へと排気される空気が通る開口である。この換気ケーシング40内には、吸加湿ロータ41、ヒータ42、ラジアルファン組立体43、吸着用ファン46などが配置されている。
【0060】
吸加湿ロータ41は、平面視において円板形状を有するハニカム構造のセラミックロータであり、空気が容易に通過できる構造となっている。吸加湿ロータ41は、水平面で切った断面がハニカム状である。これらの断面が多角形である吸加湿ロータ41の多数の筒部分は、上下方向に延びており、空気が通過する。吸加湿ロータ41の主たる部分は、ゼオライト、シリカゲル、またはアルミナといった吸着剤から焼成されている。この吸着剤は、接触する空気中の水分を吸着し、加熱されることによって水分を離脱させる性質を有している。この吸加湿ロータ41は、換気ケーシング40内において上下方向に延びた回転軸41aによって回動可能に支持される。なお、吸加湿ロータ41は、図示しない回転駆動の動力部を有しており、当該動力部がコントローラ7により制御されることで、回転軸41aを中心として回動する。
【0061】
ヒータ42は、室外から取り込まれて吸加湿ロータ41へ送られる空気を加熱する。ヒータ42は、吸加湿ロータ41の上方に取り付けられており、平面視において吸加湿ロータ41の一部を上から覆っている。
【0062】
吸加湿ダクト45は、給排気口40c介して換気ユニット3b内部に取り込まれた空気を、ヒータ42と吸加湿ロータ41を介してラジアルファン組立体43に送るか、または、換気ダクト6を介してラジアルファン組立体43まで送られてきた空気を、吸加湿ロータ41とヒータ42を通過させた後、給排気口40c介して換気ユニット3bの外部に排出させるための流路を構成している。
【0063】
吸着側ダクト47は、吸着用空気吸込口40bから換気ユニット3b内に取り込まれる室外空気を、吸加湿ロータ41のうちヒータ42が位置しない部分を通過させた後、吸着用ファン46を通過させ、吸着用空気吹出口40aから換気ユニット3b外に空気を排出させる流路を構成している。吸着側ダクト47内での当該空気流れは、吸着用ファン46のファンモータ46aが駆動することで形成される。これにより、室外空気に含まれる水分を吸加湿ロータ41に吸着させることができる。そして、吸加湿ロータ41によって水分が吸着された後の乾燥空気を、換気ユニット3bの外部に排出することができる。
【0064】
ラジアルファン組立体43は、吸排気ファン43aと、流路切換ダンパ44を有している。吸排気ファン43aは、ファンモータ43bが駆動することにより、吸加湿ダクト45と換気ダクト6を通過する空気流れを形成させる。ここで、吸加湿ダクト45と換気ダクト6を通過する空気流れの方向は、流路切換ダンパ44の流路切換により切り換えられる。
【0065】
室内ユニット2から換気ダクト6を経由した空気を、吸加湿ダクト45を通過させることで吸加湿ロータ41を介して給排気口40cから室外ユニット3外に排出する排気運転を行う際には、換気ダクト6を通過した空気が流れる流路と吸排気ファン43aの吸い込み側とが接続され、吸排気ファン43aの吹き出し側が吸加湿ダクト45と接続されるように、流路切換ダンパ44の状態が切り換えられる。この状態では、吸排気ファン43aの吸い込み側は吸加湿ダクト45とは連通せず、吸排気ファン43aの吹き出し側は換気ダクト6とは連通しないように、流路切換ダンパ44が流路を塞ぐ。
【0066】
給排気口40cから換気ユニット3b内に取り込まれ、吸加湿ロータ41を通過した空気を換気ダクト6を介して室内ユニット2に供給する給気運転を行う際には、吸加湿ダクト45と吸排気ファン43aの吸い込み側とが接続され、吸排気ファン43aの吹き出し側が換気ダクト6と接続されるように、流路切換ダンパ44の状態が切り換えられる。この状態では、吸排気ファン43aの吸い込み側は換気ダクト6とは連通せず、吸排気ファン43aの吹き出し側は吸加湿ダクト45とは連通しないように、流路切換ダンパ44が流路を塞ぐ。
【0067】
(4)リモコン
リモコン61は、室内に設けられている。リモコン61は、コントローラ7と、伝送線、通信線等を介して有線接続されていてもよく、無線接続されていてもよい。
【0068】
リモコン61は、空調運転としての暖房運転、冷房運転および除湿運転、換気運転としての給気運転、排気運転および加湿運転、空調運転の設定などを選択するボタンを有しており、空調運転および換気運転の各種運転の指示をユーザから受け付ける。また、リモコン61は、選択されている運転、設定した温度、湿度、メッセージなどが表示される液晶ディスプレイ等の表示部61aを有している。
【0069】
(5)コントローラ
コントローラ7は、室内制御部13と室外制御部31とこれらを接続する有線または無線を含んで構成されており、コンピュータを含んで構成されている。コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサや、ROM、RAM等のメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。コントローラ7のプロセッサは、メモリに格納されているプログラムを読み出して実行することで、所定の運転制御等の処理を行う。
【0070】
冷媒漏洩が検出された後に、送風運転と換気運転が行われている状態では、コントローラ7は、リモコン61から送風運転の停止や換気運転の停止や空気調和装置1の運転停止の指示を受け付けたとしても、冷媒漏洩中であるため送風運転と換気運転は停止できない旨の情報をリモコン61の表示部61aに表示出力させる。
【0071】
(6)運転動作
次に、空気調和装置1の運転動作について説明する。本実施形態の空気調和装置1は、空調運転として、暖房運転、冷房運転、および除湿運転を行うとともに、換気運転として、給気運転、排気運転および加湿運転を行う。各種運転は、リモコン61を介してユーザからの指令を受け付けたコントローラ7が各構成機器を制御することによって行われる。
【0072】
(6-1)冷房運転
冷房運転を行うときには、コントローラ7は、室外熱交換器24が冷媒の放熱器として機能し、かつ、室内熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する状態に、四路切換弁22を切り換える。
【0073】
このような状態の冷媒回路において、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁22を通じて、室外熱交換器24に送られる。室外熱交換器24に送られた高圧の冷媒は、室外熱交換器24において、室外ファン29によって供給される室外空気と熱交換を行って放熱する。室外熱交換器24において放熱した高圧の冷媒は、膨張弁25に送られて、冷凍サイクルにおける低圧まで減圧される。膨張弁25において減圧された低圧の冷媒は、フィルタ26、液閉鎖弁27および液側冷媒連絡配管5を通じて、室内熱交換器11に送られる。室内熱交換器11に送られた低圧の冷媒は、室内熱交換器11において、室内ファン12によって供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却されて室内に吹き出される。室内熱交換器11において蒸発した低圧の冷媒は、ガス側冷媒連絡配管4、ガス閉鎖弁28、四路切換弁22およびアキュムレータ23を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
【0074】
このように、冷房運転においては、コントローラ7によって、冷媒回路10に封入された冷媒が、圧縮機21、室外熱交換器24、膨張弁25、室内熱交換器11の順に循環する動作がなされる。
【0075】
(6-2)除湿運転
除湿運転を行うときには、コントローラ7は、冷房運転と同様に、室外熱交換器24が冷媒の放熱器として機能し、かつ、室内熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能する状態になるように、四路切換弁22を切り換える。そして、除湿運転では、冷房運転と同様に、コントローラ7によって、冷媒回路10に封入された冷媒が、圧縮機21、室外熱交換器24、膨張弁25、室内熱交換器11の順に循環する動作がなされる。
【0076】
(6-3)暖房運転
暖房運転を行うときには、コントローラ7は、室外熱交換器24が冷媒の蒸発器として機能し、かつ、室内熱交換器11が冷媒の放熱器として機能する状態に、四路切換弁22を切り換える。
【0077】
このような状態の冷媒回路10において、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁22、ガス閉鎖弁28およびガス側冷媒連絡配管4を通じて、室内熱交換器11に送られる。室内熱交換器11に送られた高圧の冷媒は、室内熱交換器11において、室内ファン12によって供給される室内空気と熱交換を行って放熱する。これにより、室内空気は加熱されて室内に吹き出される。室内熱交換器11において放熱した高圧の冷媒は、液側冷媒連絡配管5、液閉鎖弁27およびフィルタ26を通じて、膨張弁25に送られて、冷凍サイクルにおける低圧まで減圧される。膨張弁25において減圧された低圧の冷媒は、室外熱交換器24に送られる。室外熱交換器24に送られた低圧の冷媒は、室外熱交換器24において、室外ファン29によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器24において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁22およびアキュムレータ23を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
【0078】
このように、暖房運転においては、コントローラ7によって、冷媒回路に封入された冷媒が圧縮機21、室内熱交換器11、膨張弁25、室外熱交換器24の順に循環する動作がなされる。
【0079】
(6-4)給気運転
給気運転を行うときには、コントローラ7は、吸加湿ダクト45と吸排気ファン43aの吸い込み側とが接続され、吸排気ファン43aの吹き出し側が換気ダクト6と接続されるように、流路切換ダンパ44の状態を切り換える。
【0080】
この状態で吸排気ファン43aが駆動することで空気流れが形成されると、給排気口40cから換気ケーシング40内に室外空気が取り込まれ、その室外空気が吸加湿ダクト45を流れる際に吸加湿ロータ41の右側の略半分の部分を通過し、ヒータ42内に導入される。そして、ヒータ42内に入った室外空気は、吸加湿ロータ41の右側の略半分の部分を通過し、ラジアルファン組立体43へと至る。ラジアルファン組立体43は、上記のように吸加湿ダクト45や吸加湿ロータ41を通り抜けてきた室外空気を、換気ダクト6を介して、連絡開口14から室内ユニット2へと送る。室内ユニット2に供給された室外空気は、室内熱交換器11を経て、吹出口19から室内に吹き出される。
【0081】
このように、室外から取り込まれた室外空気は、給排気口40c、吸加湿ロータ41、ヒータ42、ラジアルファン組立体43、換気ダクト6を繋ぐ流路によって室内へと導かれる。
【0082】
(6-5)排気運転
排気運転を行うときには、コントローラ7は、換気ダクト6を通過した空気が流れる流路と吸排気ファン43aの吸い込み側とが接続され、吸排気ファン43aの吹き出し側が吸加湿ダクト45と接続されるように、流路切換ダンパ44の状態を切り換える。
【0083】
この状態で吸排気ファン43aが駆動することで空気流れが形成されると、室内ユニット2の吸込口18からから取り込まれた室内空気が、連絡開口14から換気ダクト6を経て、ラジアルファン組立体43へと到る。
【0084】
ラジアルファン組立体43へと到った室内空気は、吸加湿ダクト45を流れる際に吸加湿ロータ41の右側の略半分の部分を通過し、ヒータ42内に導入される。そして、ヒータ42内に入った室内空気は、吸加湿ロータ41の右側の略半分の部分を通過し、給排気口40cから室外へと排出される。
【0085】
このように、室内ユニット2から取り込まれた室内空気は、給気運転時の流路とは逆向きに通過し、換気ユニット3bから室外へと排出される。
【0086】
(6-6)加湿運転
加湿運転は、給気運転時に室外空気が室内空気に供給される流路と基本的には同様であるが、室外空気を加湿する点において異なる。
【0087】
具体的には、換気ユニット3bは、吸着用ファン46を回転駆動することによって、室外からの空気を吸着用空気吸込口40bから換気ケーシング40内に取り入れる。換気ケーシング40内に入ってきた空気は、吸加湿ロータ41の左側の略半分の部分を通過し、更に吸着側ダクト47および吸着用ファン46を通過した後に、吸着用空気吹出口40aを介して換気ユニット3bの外部に排出される。換気ケーシング40内に室外から取り入れられた空気が吸加湿ロータ41の左側の略半分の部分を通過する際に、吸加湿ロータ41は、空気中に含まれている水分を吸着する。
【0088】
この吸着工程で水分を吸着した吸加湿ロータ41の左側の略半分の部分は、吸加湿ロータ41が回転することによって、吸加湿ロータ41の右側の略半分の部分となる。そして、吸加湿ロータ41の右側の略半分の部分に移動してきた水分は、ヒータ42からの熱により、吸排気ファン43aによって生成される空気流中に離脱する。これにより、室内ユニット2に向けて送られる空気は、加湿された空気となる。
【0089】
(6-7)冷房運転中または除湿運転中の給気運転
コントローラ7は、冷房運転または除湿運転を行うとともに、換気ユニット3bによって上記の給気運転を行うように制御する。
【0090】
具体的には、上記の給気運転にしたがって、換気ユニット3bは、室外空気を、換気ダクト6を介して室内ユニット2の連絡開口14に供給する。この室外空気は、室内熱交換器11を通って、冷房または除湿されて、室内に供給される。このため、給気による室外空気は、室外空調ユニット3aによって、冷房または除湿された室内空気と併せて、室内に供給される。
【0091】
(6-8)冷房運転中または除湿運転中の排気運転
コントローラ7は、冷房運転または除湿運転を行うとともに、換気ユニット3bによって上記の排気運転を行うように制御する。
【0092】
具体的には、上記の排気運転にしたがって、換気ユニット3bは、室内ユニット2の吸込口18からから取り込まれた室内空気を、室内ユニット2の連絡開口14から換気ダクト6を介して、換気ユニット3bに供給する。この換気ユニット3bに供給された空気は、換気ユニット3bから室外に排出される。このため、室内ユニット2の吸込口18からから取り込まれた室内空気の一部は、換気ユニット3bによって室外に排出されるとともに、室内ユニット2の吸込口18からから取り込まれた室内空気の他の一部は、室内熱交換器11を通って冷房または除湿されて、室内に供給される。
【0093】
(6-9)暖房運転中の給気運転または加湿運転
コントローラ7は、暖房運転を行うとともに、換気ユニット3bによって上記の給気運転または加湿運転を行うように制御する。
【0094】
具体的には、換気ユニット3bは、上記の給気運転にしたがって加湿されていない室外空気、または上記の加湿運転にしたがって加湿された室外空気を、換気ダクト6を介して室内ユニット2の連絡開口14に供給する。この室外空気は、室内熱交換器11を通って、暖房され、室内空間に供給される。このため、換気ユニット3bによって導入された室外空気は、暖房された室内空気と併せて、室内に供給される。
【0095】
(6-10)暖房運転中の排気運転
コントローラ7は、暖房運転を行うとともに、換気ユニット3bによって上記の排気運転を行うように制御する。
【0096】
具体的には、上記の排気運転にしたがって、換気ユニット3bは、室内空気を、室内ユニット2の連絡開口14から換気ダクト6を介して、換気ユニット3bに供給する。この室内空気は、換気ユニット3bから室外に排出される。このため、室内空気の一部は、換気ユニット3bによって室外に排出されるとともに、室内空気の他の一部は、室外空調ユニット3aによって室内熱交換器11を通って暖房されて、室内に供給される。
【0097】
(6-11)送風運転
冷媒回路10から冷媒が漏洩した際には、コントローラ7は、圧縮機21を停止させつつ、室内ファン12の駆動を継続させる送風運転を行う。具体的には、コントローラ7は、室内冷媒センサ17または室外冷媒センサ35において冷媒の漏洩が検知された場合には、圧縮機21を停止させつつ、室内冷媒センサ17または室外冷媒センサ35において冷媒が検知されなくなるまで室内ファン12の駆動を継続させる。
【0098】
(7)漏洩時の制御
室内冷媒センサ17または室外冷媒センサ35において冷媒の漏洩が検知された場合には、コントローラ7は、図4のフローチャートに示すように、漏洩時の制御を行う。なお、ここでは、上記冷房運転、除湿運転、暖房運転等の空調運転と、給気運転、排気運転、加湿運転等の換気運転と、これらを組合せた運転と、を含む通常運転が行われている状態からの処理を例に挙げて説明する。
【0099】
ステップS11では、コントローラ7は、室内冷媒センサ17が漏洩冷媒を検知したか否かを判断する。ここでは、室内ファン12が駆動中であればそのまま駆動状態を維持しつつ、室内ファン12が駆動していない状態であれば所定の風量を生じさせるように室内ファン12を駆動させた状態にした後で、室内冷媒センサ17における検知を行う。これにより、室内冷媒センサ17の周囲以外で冷媒が漏洩していたとしても、空気流れが生じることにより室内冷媒センサ17が検知することが可能となる。なお、ここでの室内ファン12の風量は、所定の最大風量の半分以下であってよく、4分の1以下であってよい。室内冷媒センサ17において漏洩冷媒が検知された場合には、室内で冷媒が漏洩した場合の各処理を開始させるために、ステップS19に移行する。室内冷媒センサ17において漏洩冷媒が検知されない場合には、ステップS12に移行する。
【0100】
ステップS12では、コントローラ7は、室外冷媒センサ35が漏洩冷媒を検知したか否かを判断する。室外冷媒センサ35において漏洩冷媒が検知された場合には、室外で冷媒が漏洩した場合の各処理を開始させるために、ステップS13に移行する。室外冷媒センサ35において漏洩冷媒が検知されない場合には、ステップS11に戻る。
【0101】
ステップS13では、コントローラ7は、圧縮機21が駆動中であれば停止させ、圧縮機21が停止状態であれば停止状態を維持する。これにより、冷媒回路10における冷媒の循環が途絶えるため、漏洩箇所からの更なる冷媒漏洩を抑制させることができる。
【0102】
ステップS14では、コントローラ7は、室外で冷媒漏洩が生じたことを報知する。ここでは、コントローラ7は、リモコン61の表示部61aに室外で冷媒漏洩が生じたこと、および、そのために圧縮機21の駆動を停止させたことを表示出力する。なお、リモコン61がスピーカー等を備えて音声出力可能に構成されている場合には、さらに音声出力により報知を行ってもよい。
【0103】
ステップS15では、コントローラ7は、室外ファン29を駆動状態に維持する。具体的には、ここでは、コントローラ7は、室外ファン29の風量を所定の最大風量で維持されるように制御する。そして、コントローラ7は、ユーザがリモコンを操作することで室外ファン29の送風運転を停止させる指示を行ったとしても、当該指示を受け付けず、室外ファン29の送風運転の状態を維持させる。
【0104】
ステップS16では、コントローラ7は、流路切換ダンパ44の状態を排気運転の状態にして、吸排気ファン43aが所定の最大風量で維持されるように制御する。これにより、室内ユニット2から換気ダクト6とラジアルファン組立体43と吸加湿ダクト45を通過した空気が給排気口40cから室外ユニット3外に排出される排気運転が行われる。また、コントローラ7は、ユーザがリモコンを操作することで排気運転を停止させる指示を行ったとしても、当該指示を受け付けず、吸排気ファン43aによる排気運転の状態を維持させる。
【0105】
ステップS17では、コントローラ7は、ステップS12と同様に、室外冷媒センサ35において漏洩冷媒が検知されているか否かを判断する。室外冷媒センサ35において漏洩冷媒が検知されている場合には、ステップS15に戻って、ステップS15、S16の処理を続ける。室外冷媒センサ35において漏洩冷媒が検知されなくなっている場合には、ステップS18に移行する。
【0106】
ステップS18では、コントローラ7は、室外ファン29の送風運転を停止させ、吸排気ファン43aによる排気運転を停止させる。
【0107】
ステップS19では、コントローラ7は、圧縮機21が駆動中であれば停止させ、圧縮機21が停止状態であれば停止状態を維持する。これにより、冷媒回路10における冷媒の循環が途絶えるため、漏洩箇所からの更なる冷媒漏洩を抑制させることができる。
【0108】
ステップS20では、コントローラ7は、室内で冷媒漏洩が生じたことを報知する。ここでは、コントローラ7は、リモコン61の表示部61aに室内で冷媒漏洩が生じたこと、および、そのために圧縮機21の駆動を停止させたことを表示出力する。なお、リモコン61がスピーカー等を備えて音声出力可能に構成されている場合には、さらに音声出力により報知を行ってもよい。
【0109】
ステップS21では、コントローラ7は、室内ファン12を駆動状態に維持する。具体的には、ここでは、コントローラ7は、室内ファン12の風量を所定の最大風量で維持されるように制御する。そして、コントローラ7は、ユーザがリモコンを操作することで室内ファン12の送風運転を停止させる指示を行ったとしても、当該指示を受け付けず、室内ファン12の送風運転の状態を維持させる。
【0110】
ステップS22では、コントローラ7は、給気運転と排気運転とのいずれかの換気運転であって、上記ステップS11が行われる際に実行されていた換気運転、または、最後に行われていた換気運転を選択して実行させる。そして、コントローラ7は、吸排気ファン43aが所定の最大風量で維持されるように制御する。これにより、排気運転が行われる場合には、室内ユニット2から換気ダクト6とラジアルファン組立体43と吸加湿ダクト45を通過した空気が給排気口40cから室外ユニット3外に排出される。また、給気運転が行われる場合には、給排気口40cから室外ユニット3内に取り込まれた室外空気が吸加湿ダクト45とラジアルファン組立体43と換気ダクト6と連絡開口14を介して、室内ユニット2から室内に供給される。また、コントローラ7は、ユーザがリモコンを操作することで換気運転である給気運転または排気運転を停止させる指示を行ったとしても、当該指示を受け付けず、吸排気ファン43aによる換気運転の状態を維持させる。
【0111】
ステップS23では、コントローラ7は、ステップS11と同様に、室内冷媒センサ17が漏洩冷媒を検知したか否かを判断する。室内冷媒センサ17において漏洩冷媒が検知されている場合には、ステップS21に戻って、ステップS21、S22の処理を続ける。室内冷媒センサ17において漏洩冷媒が検知されなくなっている場合には、ステップS24に移行する。
【0112】
ステップS24では、コントローラ7は、室内ファン12の送風運転を停止させ、吸排気ファン43aによる換気運転を停止させる。
【0113】
(8)特徴
本実施形態の空気調和装置1では、室内冷媒センサ17において漏洩冷媒が検知された場合には、室内ファン12による送風運転が維持される。これにより、室内の漏洩箇所周辺において冷媒濃度が高まることを抑制させることができる。また、室内冷媒センサ17において漏洩冷媒が検知された場合には、室内ファン12による送風運転と同時に、吸排気ファン43aによる給気運転または排気運転である換気運転が行われる。これにより、換気運転としての給気運転が行われる場合には、漏洩が生じている室内に対して室外の空気を供給し続けることで、室内に冷媒が滞留し続けることを防いで、冷媒の濃度を低く維持することができる。また、換気運転としての排気運転が行われる場合には、漏洩が生じている室内の空気を室外に排出することで、室内に冷媒が滞留し続けることを防いで、冷媒の濃度を低く維持することができる。
【0114】
さらに、本実施形態の空気調和装置1は、室外冷媒センサ35を備えており、室外での冷媒漏洩を検知することができる。そして、室外で冷媒が漏洩した場合には、排気運転が行われる。これにより、室外で漏洩した冷媒が室内に導かれることが抑制される。
【0115】
また、上記冷媒漏洩時の換気運転においては、非漏洩時である通常運転時の換気運転で用いられる換気ダクト6等の換気用の流路を流用することができる。
【0116】
また、冷媒漏洩時には、室内ファン12、室外ファン29による送風運転と、吸排気ファン43aによる換気運転である給気運転または排気運転が維持される。具体的には、ユーザがリモコンを操作することで送風運転や換気運転を停止させる指示を行ったとしても、当該指示が受け付けられず、室内ファン12、室外ファン29による送風運転と、吸排気ファン43aによる換気運転である給気運転または排気運転が維持される。ユーザとしては、冷媒漏洩により圧縮機21の運転が停止したにも関わらず、室内ファン12、室外ファン29、吸排気ファン43aの駆動状態が続いていることから、これらを停止しようと試みるおそれがある。しかし、ユーザからの指示を受け付けず送風運転や換気運転が確実に継続されることで、冷媒濃度が高い箇所が生じることが確実に抑制される。
【0117】
(9)他の実施形態
(9-1)他の実施形態A
上記実施形態では、室内で冷媒漏洩が生じた場合において、ステップS22において直前に行われていた換気運転を継続させる場合を例に挙げて説明した。
【0118】
これに対して、例えば、図5のフローチャートに示すように、上記実施形態のステップS22の代わりに給気運転を行わせるステップS22aとし、上記実施形態のステップS24の代わりに給気運転を終了させるステップS24aとしてもよい。
【0119】
この場合には、室外冷媒センサ35において冷媒漏洩が検知された場合と、室内冷媒センサ17において冷媒漏洩が検知された場合とで、換気ダクト6を流れる換気用の空気の流れ方向が反転することになる。この場合においても、室外で漏洩した冷媒が室内に導かれることを抑制しつつ、室内で漏洩した冷媒が室内に滞留し続けることを防ぐことが可能になる。
【0120】
(9-2)他の実施形態B
上記実施形態では、室内で冷媒漏洩が生じた場合において、ステップS22において直前に行われていた換気運転を継続させ、室外で冷媒漏洩が生じた場合において、室外ファン29による送風運転と吸排気ファン43aによる排気運転を維持させる場合を例に挙げて説明した。
【0121】
これに対して、例えば、図6のフローチャートに示すように、上記実施形態のステップS22の代わりに排気運転を行わせるステップS22bとし、上記実施形態のステップS24の代わりに排気運転を終了させるステップS24bとしてもよい。
【0122】
さらに、室外冷媒センサ35において冷媒漏洩が検知された場合には、屋外では自然換気が行われることから、室外ファン29による送風運転を行わず、室内からの排気運転も行わないようにしてもよい。
【0123】
(9-3)他の実施形態C
上記実施形態では、室内と室外のいずれかで冷媒漏洩を検知した場合の処理を例に挙げて説明した。
【0124】
これに対して、室内冷媒センサ17と室外冷媒センサ35とで同時に冷媒漏洩が検知された場合には、室内ファン12による送風運転と、吸排気ファン43aによる排気運転と、が同時に行われるようにしてもよい。なお、この場合には、室外ファン29による送風運転は、行われてもよいし、行われなくてもよい。
【0125】
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0126】
1 空気調和装置
2 室内ユニット
3 室外ユニット
3a 室外空調ユニット
3b 換気ユニット
4 ガス側冷媒連絡配管
5 液側冷媒連絡配管
6 換気ダクト(換気流路)
7 コントローラ
8 ドレンホース
9 集合連絡管
10 冷媒回路
11 室内熱交換器
12 室内ファン(室内送風部)
13 室内制御部
14 連絡開口
15 室内温度センサ
16 室内湿度センサ
17 室内冷媒センサ(室内検知部)
18 吸込口
19 吹出口
20 室内ケーシング
21 圧縮機
22 四路切換弁
24 室外熱交換器
25 膨張弁
29 室外ファン
31 室外制御部
33 室外温度センサ
34 室外湿度センサ
35 室外冷媒センサ(室外検知部)
40 換気ケーシング
40a 吸着用空気吹出口
40b 吸着用空気吸込口
40c 給排気口
41 吸加湿ロータ
42 ヒータ
43 ラジアルファン組立体
43a 吸排気ファン
44 流路切換ダンパ
45 吸加湿ダクト(換気流路)
46 吸着用ファン
47 吸着側ダクト
61 リモコン(コントローラ)
61a 表示部(報知部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開2016-166680号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6