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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150492
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】バンドソー
(51)【国際特許分類】
   B23D 55/08 20060101AFI20231005BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALI20231005BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B23D55/08 L
B23Q17/09 F
B23Q17/22 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059620
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】509328928
【氏名又は名称】株式会社日立プラントコンストラクション
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】藤原 遼児
(72)【発明者】
【氏名】峯岸 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】古川 梯
(72)【発明者】
【氏名】川又 久仁夫
(72)【発明者】
【氏名】鑛納 涼二
(72)【発明者】
【氏名】森口 亮
(72)【発明者】
【氏名】浜川 哲也
【テーマコード(参考)】
3C029
3C040
【Fターム(参考)】
3C029AA21
3C029DD06
3C029DD14
3C040AA16
3C040EE02
3C040EE09
3C040EE10
3C040FF01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】経験豊富な技術がなくても運転速度を効率良く自動調整できるバンドソーを提供する。
【解決手段】バンドソー10は、無端状の鋸刃24と、鋸刃を掛け回す一対のホイール26と、一方の前記ホイールに接続して回転駆動させる回転用モータ28を有する切断手段20と、切断手段を切断方向に移動させる送り用モータ32を有する送り手段30を備えたバンドソーにおいて、切断時に発生する振動を検出する振動計測センサー40と、鋸刃の高さ位置を検出する鋸刃鉛直位置計測センサー50と、鋸刃の水平位置を検出する鋸刃水平位置計測センサー51と、振動計測センサーの測定値と振動設定値、鋸刃鉛直位置計測センサーの計測値と鋸刃高さ変化設定値、及び前記鋸刃水平位置計測センサーの計測値と鋸刃位置設定値を比較する判定部60と、判定部の判定に基づいて回転用モータの回転速度と送り用モータの回転速度の少なくとも一方を制御する制御部70を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の鋸刃と、前記鋸刃を掛け回す一対のホイールと、一方の前記ホイールに接続して回転駆動させる回転用モータを有する切断手段と、前記切断手段を切断方向に移動させる送り用モータを有する送り手段を備えたバンドソーにおいて、
切断時に発生する振動を検出する振動計測センサーと、
前記鋸刃の高さ位置を検出する鋸刃鉛直位置計測センサーと、
前記鋸刃の水平位置を検出する鋸刃水平位置計測センサーと、
前記振動計測センサーの測定値と振動設定値、前記鋸刃鉛直位置計測センサーの計測値と鋸刃高さ変化設定値、及び前記鋸刃水平位置計測センサーの計測値と鋸刃位置設定値を比較する判定部と、
前記判定部の判定に基づいて、前記回転用モータの回転速度と、前記送り用モータの回転速度の少なくとも一方を制御する制御部を備えたことを特徴とするバンドソー。
【請求項2】
請求項1に記載されたバンドソーであって、
前記鋸刃鉛直位置計測センサーは、前記切断手段の昇降フレームに取り付けて前記鋸刃の高さ位置を検出するレーザセンサーであることを特徴とするバンドソー。
【請求項3】
請求項1に記載されたバンドソーであって、
前記鋸刃水平位置計測センサーは、前記切断手段の昇降フレームに取り付けて前記鋸刃の水平位置を検出するレーザセンサーであることを特徴とするバンドソー。
【請求項4】
請求項1に記載されたバンドソーであって、
前記振動計測センサーは、前記送り手段を取り付けたフレーム本体の柱と上部フレームの接続箇所に設けたことを特徴とするバンドソー。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1に記載されたバンドソーであって、
前記振動計測センサーの測定値と振動設定値から判定部により鋸刃破損の予兆を判定し、前記判定部の判定に基づいて、前記回転用モータの回転速度と、前記送り用モータの回転速度の少なくとも一方を制御部によって制御することで鋸刃破損を回避しながら送り速度を最大化することを特徴とするバンドソー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型構造物を無端状の鋸刃を用いて切断するバンドソーに関する。
【背景技術】
【0002】
大径の配管等の大型構造物の解体作業において、無端状の鋸刃を備えたバンドソーが利用されている。バンドソーは運転速度を誤ると鋸刃が欠けてしまうなどの不具合が生じるため、速度調整が難しく、経験豊富な熟練した運転員が行っている。こうした熟練者の高齢化及び減少や、最適な運転速度の技術の習得及び育成には時間がかかるため、従来、様々な運転速度を自動調整する技術がある。
【0003】
特許文献1に開示のバンドソーは、切断加工開始から終了に至るまでの連続的に変化する切込み深さにおけるバンドソーの荷重を検出し、あらかじめ設定された最適加工パターンに従った切断加工、すなわちワークに欠け等の損傷を生じさせない範囲内で最も大きい送り速度により切断加工を行っている。
【0004】
特許文献2に開示のウェハのバンドソーは、切断中の切断抵抗の増減を、鋸刃を周回転させている第1モータの電力量の増減から検出し、切断抵抗又は消費電力の増減に応じて、鋸刃を昇降する第2モータの切断速度を増減する制御を行っている。
しかしながら特許文献1の技術では、あらかじめ切断物の形状等がわかっている場合には、その最大送り速度の設定値を求めることはできるが、解体現場等で発生する様々な形状の切断物に対して前記設定値をあらかじめ取得することは困難である。
また特許文献2の技術では、大型構造物を解体する際に用いるモータ出力が負荷に対して過大な場合、微細な切断抵抗の変化を検出することは不可能であり、切断速度を制御することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2-214608号公報
【特許文献2】特開2005-28620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、経験豊富な技術がなくても運転速度を効率良く自動調整し、鋸刃の欠損や捩じれを回避しながら送り速度を自動で最大化するバンドソーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、無端状の鋸刃と、前記鋸刃を掛け回す一対のホイールと、一方の前記ホイールに接続して回転駆動させる回転用モータを有する切断手段と、前記切断手段を切断方向に移動させる送り用モータを有する送り手段を備えたバンドソーにおいて、
切断時に発生する振動を検出する振動計測センサーと、
前記鋸刃の高さ位置を検出する鋸刃鉛直位置計測センサーと、
前記鋸刃の水平位置を検出する鋸刃水平位置計測センサーと、
前記振動計測センサーの測定値と振動設定値、前記鋸刃鉛直位置計測センサーの計測値と鋸刃高さ変化設定値、及び前記鋸刃水平位置計測センサーの計測値と鋸刃位置設定値を比較する判定部と、
前記判定部の判定に基づいて、前記回転用モータの回転速度と、前記送り用モータの回転速度の少なくとも一方を制御する制御部を備えたことを特徴とするバンドソーを提供することにある。
上記第1の手段によれば、フレーム振動や鋸刃の位置ズレなど物理的な変化に基づいて周速度又は送り速度が最適となる制御を行うことができる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記鋸刃鉛直位置計測センサーは、前記切断手段の昇降フレームに取り付けて前記鋸刃の高さ位置を検出するレーザセンサーであることを特徴とするバンドソーを提供することにある。
上記第2の手段によれば、鋸刃の高さ位置の検出値から送りと逆方向への鋸刃の逃げ(以下、切り遅れ)が発生していることがわかる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1の手段において、前記鋸刃水平位置計測センサーは、前記切断手段の昇降フレームに取り付けて前記鋸刃の水平位置を検出するレーザセンサーであることを特徴とするバンドソー10を提供することにある。
上記第3の手段によれば、鋸刃の水平位置の検出値から鋸刃の捩じれ、切り曲りが発生していることがわかる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第1ないし第3のいずれか1の手段において、前記振動計測センサーは、前記送り手段を取り付けたフレーム本体の柱と上部フレームの接続箇所に設けたことを特徴とするバンドソーを提供することにある。
上記第4の手段によれば、鋸刃の振動が発生しているときにフレーム本体上で容易に検出することができる。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための第5の手段として、第1ないし第4のいずれか1の手段において、前記振動計測センサーの測定値と振動設定値から判定部により鋸刃破損の予兆を判定し、前記判定部の判定に基づいて、前記回転用モータの回転速度と、前記送り用モータの回転速度の少なくとも一方を制御部によって制御することで鋸刃破損を回避しながら送り速度を最大化することを特徴とするバンドソーを提供することにある。
上記第5の手段によれば、フレーム振動や鋸刃の位置ズレなど物理的な変化に基づいて鋸刃破損の予兆を判定して周速度又は送り速度を最大化する制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フレーム振動や鋸刃の位置ズレなど物理的な変化に基づいて周速度又は送り速度が最適となる制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のバンドソーの構成概略図である。
図2】高さ位置を検出する鋸刃鉛直位置計測センサーの説明図である。
図3】水平位置を検出する鋸刃水平位置計測センサーの説明図である。
図4】本発明のバンドソーを用いた処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のバンドソーの実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0015】
[バンドソー10]
図1は、本発明のバンドソーの構成概略図である。
本発明のバンドソー10は、フレーム本体12と、無端状の鋸刃24と、鋸刃24を掛け回す一対のホイール26と、一方のホイール26に接続して回転駆動させる回転用モータ28を有する切断手段20と、切断手段20を切断方向に移動させる送り用モータ32を有する送り手段30と、切断時に鋸刃24に掛かる振動を検出する振動計測センサー40と、鋸刃24の高さ位置を検出する鋸刃鉛直位置計測センサー50と、鋸刃24の水平位置を検出する鋸刃水平位置計測センサー51と、振動計測センサー40の測定値と振動設定値、鋸刃鉛直位置センサー50の計測値と鋸刃高さ変化設定値、及び鋸刃水平位置計測センサー51の計測値と鋸刃位置設定値を比較する判定部60と、判定部60の判定に基づいて、回転用モータ28の回転速度と、送り用モータ32の回転速度の少なくとも一方を制御する制御部70を備えている。
【0016】
フレーム本体12は、平面視矩形の上部及び下部フレーム13,14と、上部及び下部フレーム13,14の間で四隅側に位置する4本の柱15を有し全体形状を直方体状に形成している。このようなフレーム本体12には、切断手段20と、送り手段30等を配置している。
【0017】
切断手段20は、鋸刃24と、一対のホイール26と、回転用モータ28と、これらを配置する昇降フレーム29を有している。昇降フレーム29はフレーム本体12の柱15に沿って昇降するフレームであり、鋸刃24を下降させて切断物を切断できる。昇降フレーム29は、フレーム本体12の長手方向の両端側に一対設けている。一対の昇降フレーム29は柱15に配置したガイドレールに係合するスライダを取り付けている。
【0018】
送り手段30は、ボールネジ33と、昇降スライダと、送り用モータ32を有し、昇降フレーム29を柱15に沿って昇降移動させている。ボールネジ33はフレーム本体12の柱15よりも外側で柱15に沿って立設している。昇降フレーム29に配置した昇降スライダはボールネジ33に係合してボールネジ33の回転に合わせてボールネジ33の長手方向に沿って上下方向に移動する。送り用モータ32はボールネジ33を回転する駆動源である。このような送り手段30は、一対の昇降フレーム29の各フレームに配置して、送り用モータ32を同期制御して、昇降フレーム29の鋸刃24を水平面で回転した状態で昇降させることができる。
【0019】
振動計測センサー40は、フレーム本体12に配置して切断時に発生する振動を検出する加速度センサーである。より詳細な振動計測センサー40の取り付け位置は、フレーム本体12の柱15上端と上部フレーム13の交点、すなわち接続箇所に取り付けている。振動計測センサー40の計測方向は、フレーム本体12の長手方向に配置している。
このような振動計測センサー40は、切断中に発生する振動をフレーム本体の上部で感度良く検出することができる。
【0020】
鋸刃鉛直位置計測センサー50は鋸刃24の高さ位置を、鋸刃水平位置計測センサー51は鋸刃24の水平位置を検出するレーザセンサーであり、両者は昇降フレーム29に取り付けた固定具52に配置している。固定具52は昇降フレーム29と共に昇降移動する。
【0021】
図2は高さ位置を検出する鋸刃鉛直位置計測センサーの説明図である。同図中の鋸刃24は紙面と直交する方向に周回転している。鋸刃24の高さ位置を検出するセンサーは、鋸刃24の上端を間に挟むように一対のレーザセンサーを配置して、帯状のレーザ照射によって鋸刃24の上端が上方に移動するとレーザ照射が遮蔽されて照射量が変化することによって鋸刃24の高さ位置を検出することができる。これにより鋸刃24の切り遅れが確認できる。
【0022】
図3は水平位置を検出する鋸刃水平位置計測センサーの説明図である。同図中の鋸刃24は紙面と直交する方向に周回転している。鋸刃24の水平位置を検出するセンサーは、鋸刃24の側面にレーザ照射できるように対向する位置にレーザ変位センサーを配置して、レーザ照射によって鋸刃24の側面とセンサー間の距離を検出する。この検出距離が鋸刃位置設定値を超える時、鋸刃24の垂直位置から負荷が掛かり、鋸刃24が捩れる水平位置ズレが生じたとして切り曲りを検出することができる。
【0023】
判定部60は、振動計測センサー40の測定値と振動設定値、鋸刃鉛直位置計測センサー50の計測値と鋸刃高さ変化設定値、及び鋸刃水平位置計測センサー51の計測値と鋸刃位置設定値を比較する。
振動設定値は、鋸刃24の安定状態での振動値の数倍、又は鋸刃24の破損前に発生値を設定している。
鋸刃の鋸刃高さ変化設定値は、所定時間の計測値から算出した鋸刃高さ平均値における最新と前回との差分である。この差分は送り速度変更時に急激に変化し、時間経過により緩やかに0に近づく。鋸刃高さ変化の設定値は、送りの自動加速量の半分以下とした。例えば、送りの自動加速量が0.25mm/minのとき、平均変化量閾値は0.125mmに設定している。また鋸刃位置設定値は試験で確認した正常切断時の水平位置変動範囲(±0.5mm)を超える設定にしている。
【0024】
制御部70は、判定部60の判定に基づいて、回転用モータ28の回転速度と、送り用モータ32の回転速度の少なくとも一方を制御する。具体的に制御部70は、回転用モータ28のインバータに、送り用モータ32のサーボアンプにそれぞれ制御信号を送り、各速度を制御している。
【0025】
[判定フロー]
上記構成による本発明のバンドソーを用いた判定フローについて、以下説明する。図4は本発明のバンドソーを用いた処理フロー図である。
(ステップ1)
本発明のバンドソー10の運転中は、所定時間、本実施形態では1秒、鋸刃水平位置計測センサー51により鋸刃位置を収集する。
(ステップ2)
鋸刃水平位置計測センサー51の測定値が鋸刃位置設定値を超えたか否か判定する。
【0026】
(ステップ3)
測定値が鋸刃位置設定値以上のとき、鋸刃24が安定して切断できる状態(定常状態)ではなく鋸刃24の切り曲りが発生している。このとき送り速度及び回転速度を加速することは鋸刃24の不具合に大きく影響するため、送り用モータ32を停止して、回転用モータ28の運転を維持する。所定時間運転を継続する。
(ステップ4)
再度、鋸刃水平位置計測センサー51の測定値が鋸刃位置設定値を超えたか否か判定する。
【0027】
(ステップ5)
測定値が鋸刃位置設定値以上のとき、定常状態ではなく過度の切り曲りが発生しているため、このまま継続してもいずれ鋸刃損傷などの不具合が発生する可能性が高く、何らかの鋸刃24の点検メンテナンスが必要であり、運転を停止する。
(ステップ6)
測定値が鋸刃位置設定値に達していないとき、所定時間運転を継続したことにより、鋸刃24の切り曲りが減少する傾向にあるため、送り用モータ32を減速(例えば、0.25mm/minなど)設定する。
【0028】
(ステップ7)
鋸刃24の送りを再開して切断を行い、ステップ1以降を繰り返す。
(ステップ8)
測定値が鋸刃位置設定値に達してないとき、鋸刃24の切り曲りが発生していない。
また本発明のバンドソー10の運転中は、所定時間、本実施形態では30秒、振動計測センサー40により振動および鋸刃鉛直位置計測センサー50により鋸刃の高さを収集する。
【0029】
(ステップ9)
振動計測センサー40の測定値が振動設定値を超えたか否か判定する。振動計測センサー40の測定値と振動設定値から判定部60により鋸刃破損の予兆を判定する。
(ステップ10)
測定値が振動設定値に達していないとき、鋸刃24の高さ変化を確認する。
高さがあらかじめ定めた鋸刃高さ変化設定値を超えているときは定常状態ではなく鋸刃の切り遅れが発生し、鋸刃の送り速度を増加すると鋸刃に過剰な負荷が掛かるため、ステップ1以降を繰り返す。
【0030】
(ステップ11)
鋸刃24の高さ変化が鋸刃高さ変化設定値に達していないとき、定常状態で鋸刃24の送り速度を加速できる状態である。
鋸刃24の送り速度の上限値に達したか否か判定する。既に到達しているときには、ステップ1以降を繰り返す。
(ステップ12)
鋸刃24の送り速度の上限値に達していないとき、送り速度を加速(例えば、+0.25mm/minなど)して、ステップ1以降を繰り返す。
【0031】
(ステップ13)
測定値が振動設定値に達しているとき、振動設定値超過の頻度を確認する。頻度とは、振動設定値超過の回数が所定時間でどのくらい発生するかをカウントするものである。本実施形態では一例として、所定時間(例えば30秒)中の振動設定値超過が30回を振動超過設定値としている。
(ステップ14)
振動超過設定値を超えているとき、定常振動が発生している。このため送り速度を減速して、ステップ1以降を繰り返す。
【0032】
(ステップ15)
振動超過設定値に達していないとき、鋸刃欠損の予兆である鋸刃24の突発的な振動が発生しており、送り速度が過剰な状況である。一方、定常振動は発生しておらず、鋸刃24の回転速度の上限値で運転できる状態である。
鋸刃24の回転速度が上限値に達したか否かを判定する。
(ステップ16)
既に上限値に到達しているときには送り速度を減速して、ステップ1以降を繰り返す。
【0033】
(ステップ17)
回転速度の上限値に達していないとき、回転速度を加速して、ステップ1以降を繰り返す。
【0034】
このような本発明によれば、振動計測センサーの測定値と振動設定値から鋸刃破損の予兆を判定し、この判定に基づいて、回転用モータの回転速度と、送り用モータの回転速度の少なくとも一方を制御することで鋸刃破損を回避しながら送り速度を最大化することができる。またフレーム振動や鋸刃の位置ズレなど物理的な変化に基づいて周速度又は送り速度が最適となる制御を行うことができる。また、経験豊富な技術がなくても運転速度を効率良く自動調整できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 バンドソー
12 フレーム本体
13 上部フレーム
14 下部フレーム
15 柱
20 切断手段
24 鋸刃
26 ホイール
28 回転用モータ
29 昇降フレーム
30 送り手段
32 送り用モータ
33 ボールネジ
40 振動計測センサー
50 鋸刃鉛直位置計測センサー
51 鋸刃水平位置計測センサー
52 固定具
60 判定部
70 制御部
図1
図2
図3
図4