(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150505
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20231005BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20231005BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
G02B5/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059644
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】原 広紀
(72)【発明者】
【氏名】杉山 圭司
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA13
2H199DA23
2H199DA25
2H199DA26
2H199DA28
2H199DA43
2H249CA01
2H249CA06
2H249CA08
2H249CA09
2H249CA22
3D344AA19
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】表示媒体に表示される画像の品質の低下を抑制することができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、画像を示す光(画像光)を生成する画像生成装置20と、画像を示す光を出射する第1出射ホログラム素子43Aを有する第1導光体30Aと、画像を示す光を出射する第2出射ホログラム素子43Bを有する第2導光体30Bと、を備える。また、第1導光体30A及び第2導光体30Bは、湾曲形状である。また、画像生成装置20が出射した画像を示す光は、第1導光体30Aに入射する。また、第1導光体30Aに入射した画像を示す光の一部は、第2導光体30Bに入射する。そして、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像を示す光の光量分布は、第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像を示す光の光量分布と異なる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を示す光を生成する画像生成装置と、
前記画像を示す光を出射する第1出射ホログラム素子を有する第1導光体と、
前記画像を示す光を出射する第2出射ホログラム素子を有する第2導光体と、を備え、
前記第1導光体及び前記第2導光体は、湾曲形状であり、
前記画像生成装置が出射した前記画像を示す光は、前記第1導光体に入射し、
前記第1導光体に入射した前記画像を示す光の一部は、前記第2導光体に入射し、
前記第1出射ホログラム素子が出射する前記画像を示す光の光量分布は、前記第2出射ホログラム素子が出射する前記画像を示す光の光量分布と異なる
表示装置。
【請求項2】
前記第1導光体は、水平方向に対して反り上がるように湾曲しており、
前記第1出射ホログラム素子が出射する前記画像を示す光の前記光量分布は、前記第1出射ホログラム素子の水平方向に沿う位置によって異なる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1導光体の表面に対する前記第1導光体から出射される前記画像を示す光の角度は、前記第1導光体の表面における前記画像を示す光の出射位置によって異なる
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1出射ホログラム素子が出射する前記画像を示す光の前記光量分布は、前記第1導光体から出射される前記画像を示す光の前記角度が小さいほど大きい
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1出射ホログラム素子は、第1領域と、前記第1領域とは異なる領域である第2領域と、を有し、
前記第1導光体における前記第1領域に対応する領域から出射する前記画像を示す光の前記角度の平均値は、前記第1導光体における前記第2領域に対応する領域から出射する前記画像を示す光の前記角度の平均値よりも大きく、
前記第1出射ホログラム素子の前記第1領域における前記光量分布は、前記第2領域における前記光量分布よりも小さい
請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
湾曲形状であり、第3出射ホログラム素子を有する第3導光体をさらに備え、
前記第1導光体に入射した光の一部は、前記第2導光体に入射し、
前記第2導光体に入射した光の一部は、前記第3導光体に入射し、
前記第2出射ホログラム素子が出射する前記画像を示す光の前記光量分布は、前記第2出射ホログラム素子の水平方向に沿う位置によって異なる
請求項1~5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2導光体の表面に対する前記第2導光体から出射される前記画像を示す光の角度は、前記第2導光体の表面における前記画像を示す光の出射位置によって異なり、
前記第2出射ホログラム素子が出射する前記画像を示す光の前記光量分布は、前記第2導光体から出射される前記画像を示す光の角度が小さいほど大きく、
前記第2出射ホログラム素子の所定位置における前記光量分布は、前記所定位置に対応する前記第1出射ホログラム素子の位置における前記光量分布よりも小さい
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1出射ホログラム素子は、第1領域と、前記第1領域とは異なる領域である第2領域と、を有し、
前記第2導光体から出射される前記画像を示す光の角度は、前記第2導光体の表面における前記画像を示す光の出射位置によって異なり、
前記第1領域に対応する前記第2導光体の領域から出射する前記画像を示す光の角度の平均値は、前記第2領域に対応する前記第2導光体の領域から出射する前記画像を示す光の角度の平均値よりも大きく、
前記第1領域に対応する前記第2出射ホログラム素子の領域における前記光量分布は、前記第2領域に対応する前記第2出射ホログラム素子の領域における前記光量分布よりも小さく、
前記第2出射ホログラム素子の所定領域における前記光量分布は、前記所定領域に対応する前記第1出射ホログラム素子の領域における前記光量分布よりも小さい
請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1導光体は、前記第1導光体の外部から入射した前記画像を示す光を回折によって偏向して前記第1導光体の内部で伝播させる第1入射ホログラム素子と、前記第1入射ホログラム素子が回折した前記画像を示す光をさらに回折によって偏向して前記第1導光体の内部で伝播させる第1折返ホログラム素子と、をさらに有し、
前記第2導光体は、前記第2導光体の外部から入射した前記画像を示す光を回折によって偏向して前記第2導光体の内部で伝播させる第2入射ホログラム素子と、前記第2入射ホログラム素子が回折した前記画像を示す光をさらに回折によって偏向して前記第2導光体の内部で伝播させる第2折返ホログラム素子と、をさらに有し、
前記第3導光体は、前記第3導光体の外部から入射した前記画像を示す光を回折によって偏向して前記第3導光体の内部で伝播させる第3入射ホログラム素子と、前記第3入射ホログラム素子が回折した前記画像を示す光をさらに回折によって偏向して前記第3導光体の内部で伝播させる第3折返ホログラム素子と、をさらに有し、
前記第1出射ホログラム素子は、前記第1折返ホログラム素子が回折によって偏向した前記画像を示す光をさらに回折によって偏向して前記第1導光体の外部へ出射させ、
前記第2出射ホログラム素子は、前記第2折返ホログラム素子が回折によって偏向した前記画像を示す光をさらに回折によって偏向して前記第2導光体の外部へ出射させ、
前記第3出射ホログラム素子は、前記第3折返ホログラム素子が回折によって偏向した前記画像を示す光をさらに回折によって偏向して前記第3導光体の外部へ出射させる
請求項6~8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1入射ホログラム素子は、前記第1入射ホログラム素子に入射する前記画像を示す光に含まれる第1波長成分の光を回折によって偏向して前記第1導光体の内部で伝播させ、
前記第2入射ホログラム素子は、前記第2入射ホログラム素子に入射する前記画像を示す光に含まれる第2波長成分の光を回折によって偏向して前記第2導光体の内部で伝播させ、
前記第3入射ホログラム素子は、前記第3入射ホログラム素子に入射する前記画像を示す光に含まれる第3波長成分の光を回折によって偏向して前記第3導光体の内部で伝播させる
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1波長成分は、青色に相当する波長成分であり、
前記第2波長成分は、緑色に相当する波長成分であり、
前記第3波長成分は、赤色に相当する波長成分である
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
湾曲形状であり、第3出射ホログラム素子を有する第3導光体と、
前記第3導光体から出射した前記画像を示す光が入射し、入射した前記画像を示す光の偏光成分に位相差を与えて前記画像を示す光を出射する位相差素子とをさらに備える
請求項1~11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記画像生成装置は、前記第1導光体に対してP偏光を含む前記画像を示す光を出射し、
前記位相差素子は、前記位相差素子に入射する前記画像を示す光の偏光成分に位相差を与え、S偏光を含む前記画像を示す光を出射する
請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1出射ホログラム素子が出射する前記画像を示す光の前記光量分布は、前記第1出射ホログラム素子に入射した前記画像を示す光の強度に対して前記第1出射ホログラム素子が回折する前記画像を示す光の強度の割合を示す回折効率に依存し、
前記第2出射ホログラム素子が出射する前記画像を示す光の前記光量分布は、前記第2出射ホログラム素子に入射した前記画像を示す光の強度に対して前記第2出射ホログラム素子が回折する前記画像を示す光の強度の割合を示す回折効率に依存する
請求項1~13のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、平面的に形成され、光学フィルタを有する複数の部分光導波体を備えた光導光体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の光導光体では、複数の部分光導波体うちの下部に位置する部分光導波体から出射された光が、上部に配置されている部分光導波体を通過する際に発生するフレネル反射の比率が導光板の場所によって変動してしまう。この場合、下部に位置する部分光導波体が表示した画像にムラが生じてしまうという課題が発生する。
【0005】
そこで、本開示は、表示媒体に表示される画像の品質の低下を抑制することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示装置は、画像を示す光を生成する画像生成装置と、前記画像を示す光を出射する第1出射ホログラム素子を有する第1導光体と、前記画像を示す光を出射する第2出射ホログラム素子を有する第2導光体と、を備え、前記第1導光体及び前記第2導光体は、湾曲形状であり、前記画像生成装置が出射した前記画像を示す光は、前記第1導光体に入射し、前記第1導光体に入射した前記画像を示す光の一部は、前記第2導光体に入射し、前記第1出射ホログラム素子が出射する前記画像を示す光の光量分布は、前記第2出射ホログラム素子が出射する前記画像を示す光の光量分布と異なる。
【0007】
なお、これらのうちの一部の具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体を用いて実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせを用いて実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の表示装置によれば、表示媒体に表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、実施の形態に係る表示装置が設置される車両の一例を示す模式図である。
【
図1B】
図1Bは、実施の形態に係る表示装置及び車両を右方向に沿って見た場合を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る表示装置を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第1導光体、第2導光体及び第3導光体のそれぞれを伝搬する波長成分ごとの光と、光量分布とを示す図である。
【
図5】
図5は、虚像位置における透過率を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の変形例に係る表示装置を右方向に沿って見た場合を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0011】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0013】
また、以下の実施の形態において、略直交又は矩形状等の表現を用いている。例えば、略直交又は矩形状は、完全に直交又は矩形であることを意味するだけでなく、実質的に直交又は矩形である、すなわち数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略直交又は矩形状は、本開示による効果を奏し得る範囲において直交又は矩形という意味である。他の「略」、「状」を用いた表現についても同様である。
【0014】
(実施の形態)
<構成:表示装置1>
まず、表示装置1の構成について
図1A~
図3を用いて説明する。
【0015】
図1Aは、実施の形態に係る表示装置1が設置される車両2の一例を示す模式図である。
図1Bは、実施の形態に係る表示装置1及び車両2を右方向(X軸プラス方向)に沿って見た場合を示す模式図である。
図2は、実施の形態に係る表示装置1を示す斜視図である。
図3は、表示装置1を示す図である。
図3の(a)は表示装置1の正面図、
図3の(b)は表示装置1の側面図、
図3の(c)は表示装置1の前面図である。
【0016】
図2では、例えば第1入射ホログラム素子41Aに対する第1折返ホログラム素子42Aの並び方向をX軸プラス方向と規定し、第1出射ホログラム素子43Aに対する第1折返ホログラム素子42Aの並び方向をY軸プラス方向と規定し、画像生成装置20に対する第1入射ホログラム素子41Aの並び方向をZ軸プラス方向と規定する。また、
図4A以降においても適宜適用している場合がある。
【0017】
図1A及び
図1Bに示すように、表示装置1は、例えば、自動車等の車両2のダッシュボード(インストルメントパネルともいう)に配置されている。車両2のダッシュボードの上方には、フロントウインド3(フロントシールドともいう)が配置されている。表示装置1の第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cは、ダッシュボードとフロントウインド3との間に配置されている。第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cのそれぞれは、入射面31a及び出射面31bを有する導光板31に回折光学素子を内包した構成である。第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cの具体的な構成については後述する。
【0018】
表示装置1は、運転者又は同乗者等であるユーザに対して、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cから出射された画像を示す光である画像光をフロントウインド3に反射させることで、ユーザのアイボックスに画像光を入射させることができる。つまり、表示装置1は、画像生成装置20が出射する画像光に示される画像をフロントウインド3の前方に投影させることで、画像に対応する虚像をフロントウインド3に表示させることができる。画像光は、画像を示す光であり、フロントウインド3の前方に虚像を表示させる光である。画像は、静止画像又は動画像であり、数字、文字及び図形等の画像である。
【0019】
図1A及び
図2に示すように、表示装置1は、画像生成装置20と、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cとを備える。
【0020】
[画像生成装置20]
画像生成装置20は、外形が矩形状の画像を示す画像光を出射することで、所定の画像を、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cを介してフロントウインド3に投影させることができる。画像生成装置20は、矩形状の出射面から画像光を出射することができる。画像生成装置20から出射された画像光は、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cに入射して透過した後に、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cから出射されることで、フロントウインド3に照射される。これにより、画像光がフロントウインド3に反射されることで、画像がフロントウインド3に投影されてユーザに虚像が認識される。
【0021】
画像生成装置20は、複数のエミッタと、複数のダイクロイックミラーと、集光レンズと、ミラーと、出射面とを有する。
【0022】
複数のエミッタのそれぞれは、互いに異なり、所定の波長帯域の光である光線を出射する。複数のダイクロイックミラーのそれぞれは、エミッタが出射する光線上に配置され、所定の波長帯域の光線を反射させ、他の波長帯域の光線を透過させることができる。集光レンズは、ダイクロイックミラーを介して出射された光線を複数のミラーに対して集光するレンズである。出射面は、マイクロレンズアレイ等のスクリーン、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等の液晶表示素子であり、ミラー側から複数の波長帯域の光線が照射されることで、透過した光を画像光として出射することができる。
【0023】
[第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30C]
図2及び
図3に示すように、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cのそれぞれは、画像光が示す画像をユーザに表示するホログラム導光体である。第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cのそれぞれは、画像生成装置20が出射した画像光に示される画像をX軸方向及びY軸方向に引き延ばして出射することができる。
【0024】
第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cのそれぞれは、湾曲形状をなしている。具体的には、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cのそれぞれは、Z軸方向に沿って見た場合に略矩形状をなし、Y軸方向に対してY軸マイナス方向側で反り上がった湾曲板状をなしている。Y軸方向に対してY軸マイナス方向側で反り上がったとは、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30CのそれぞれがZ軸マイナス方向側に突出するように湾曲していることを意味する。
【0025】
第1導光体30Aは、入射面31aが画像生成装置20と対向するように配置されている。第2導光体30Bは、第1導光体30Aと所定間隔を開けて第1導光体30Aと対向し、第1導光体30AのZ軸プラス方向側に配置されている。第3導光体30Cは、第2導光体30Bと所定間隔を開けて第2導光体30Bと対向し、第2導光体30BのZ軸プラス方向側に配置されている。つまり、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cは、この並び順で、Z軸プラス方向に沿って重なるように所定間隔を開けて配置されることで、第1導光体30Aと第2導光体30Bとの間、第2導光体30Bと第3導光体30Cとの間には空気層を形成している。
【0026】
第1導光体30Aは、導光板31と、第1入射ホログラム素子41Aと、第1折返ホログラム素子42Aと、第1出射ホログラム素子43Aとを有する。
【0027】
導光板31は、透光性を有し、Y軸方向に対してY軸マイナス方向側で反り上がった矩形状の湾曲板状である。
【0028】
導光板31は、入射面31aと、出射面31bとを有する。
【0029】
入射面31aは、画像生成装置20の出射面から出射された画像光が入射する。入射面31aは、画像生成装置20の出射面と対向している。入射面31aは、矩形状をなした導光板31の裏面の一部であり、裏面における4つの角部のうちの1つの角部に位置している。裏面は、導光板31の出射面31bと反対側の面である。
【0030】
出射面31bは、入射面31aから入射した画像光であり、導光板31の内部を伝播した画像光をフロントウインド3に向けて出射する。出射面31bは、フロントウインド3と対向し、フロントウインド3と所定距離離れている。出射面31bは、導光板31の表面の一部である。
【0031】
第1入射ホログラム素子41Aは、導光板31に内包された光透過型の入射回折光学素子である。第1入射ホログラム素子41Aは、矩形板状をなし、導光板31に沿って湾曲していてもよい。
【0032】
第1入射ホログラム素子41A及び第1折返ホログラム素子42Aは、X軸方向に沿って並んで配置されている。第1折返ホログラム素子42A及び第1出射ホログラム素子43Aは、Y軸方向に沿って並んで配置されている。また、第1入射ホログラム素子41Aは、Z軸方向に沿って見た場合に導光板31の入射面31aと重なり、かつ、第1導光体30AのZ軸マイナス方向側に配置された画像生成装置20の出射面と対向するように配置されている。
【0033】
第1入射ホログラム素子41Aは、画像生成装置20の出射面から出射されたZ軸プラス方向に沿って進む画像光の一部である第1波長成分の光を第1折返ホログラム素子42Aに入射させ、残りの画像光である第1波長成分以外の光を透過させることで第2導光体30Bに入射させる。例えば、第1入射ホログラム素子41Aは、波長選択式のダイクロイックミラーである。本実施の形態において、第1波長成分は、青色に相当する波長成分である。
【0034】
第1入射ホログラム素子41Aは、画像生成装置20の画像光であって、入射面31aから入射した画像光に含まれる第1波長成分の光を選択的に偏向させた第1偏向光を出射することができる。具体的には、第1入射ホログラム素子41Aは、第1導光体30Aの外部から入射した画像光が第1導光体30A内を伝播する際に、自身の回折効率に応じて画像光に含まれる第1波長成分の光を回折によって偏向することで、X軸プラス方向に沿って伝播する第1波長成分の第1偏向光(画像光)として出射する。第1入射ホログラム素子41Aで回折によって偏向された第1波長成分の第1偏向光は、第1折返ホログラム素子42Aに入射する。
【0035】
第1折返ホログラム素子42Aは、導光板31に内包され、光透過型の出射回折光学素子である。第1折返ホログラム素子42Aは、X軸方向に沿って長尺な矩形板状をなしている。第1折返ホログラム素子42Aは、導光板31に沿って湾曲していてもよい。
【0036】
第1折返ホログラム素子42Aは、第1入射ホログラム素子41AのX軸プラス方向側であり、第1入射ホログラム素子41Aの光出射側に配置され、かつ、第1出射ホログラム素子43AのY軸プラス方向側であり、第1出射ホログラム素子43Aの光入射側に沿って配置されている。
【0037】
第1折返ホログラム素子42Aには、入射面31aに入射した第1波長成分の画像光であって、第1入射ホログラム素子41Aで回折によって偏向された第1波長成分の第1偏向光が入射する。第1折返ホログラム素子42Aは、第1入射ホログラムが回折によって偏向した画像光をさらに回折によって偏向することで第1導光体30Aの内部で伝播させる。つまり、第1折返ホログラム素子42Aは、第1入射ホログラム素子41Aを透過した第1波長成分の第1偏向光が入射(透過)するたびに、入射した第1波長成分の第1偏向光をさらに回折によって偏向させた第1波長成分の第2偏向光(画像光)を第1出射ホログラム素子43Aに向けて出射する。具体的には、第1折返ホログラム素子42Aは、第1波長成分の第1偏向光がX軸プラス方向に沿って第1導光体30A内を伝播する際に、自身の回折効率に応じて画像光に含まれる第1波長成分の第1偏向光を回折によって偏向することでY軸マイナス方向に沿って伝播する第1波長成分の第2偏向光(画像光)として出射する。このとき、第1折返ホログラム素子42Aは、画像光の画像をX軸方向に引き延ばす役割を果たす。第1折返ホログラム素子42Aは、Y軸マイナス方向に出射する。第1波長成分の第2偏向光は、第1出射ホログラム素子43Aに入射する。
【0038】
第1出射ホログラム素子43Aは、導光板31に内包された光透過型の出射回折光学素子である。第1出射ホログラム素子43Aは、Z軸方向に沿って見た場合に矩形状であり、Y軸方向に対してY軸マイナス方向側で反り上がった湾曲板状をなしている。
【0039】
第1出射ホログラム素子43Aは、第1折返ホログラム素子42Aよりも、Y軸マイナス方向側であり、第1折返ホログラム素子42Aの光入射側と対向するように配置されている。また、第1出射ホログラム素子43Aは、第1導光体30Aの出射面31bと重なりかつ対向するように配置されている。
【0040】
第1出射ホログラム素子43Aには、第1折返ホログラム素子42Aから出射された第1波長成分の第2偏向光が入射する。第1出射ホログラム素子43Aは、第1折返ホログラムが回折によって偏向した画像光をさらに回折によって偏向して第1導光体30Aの外部へ出射させる。つまり、第1出射ホログラム素子43Aは、第1折返ホログラム素子42Aを透過した第1波長成分の第2偏向光が入射(透過)するたびに、入射した第1波長成分の第2偏向光をさらに回折によって偏向させた第1波長成分の第3偏向光(画像光)を所定の出射角をもって出射する。具体的には、第1出射ホログラム素子43Aは、第1折返ホログラム素子42Aが回折によって偏向した第1波長成分の第2偏向光がY軸マイナス方向に沿って第1導光体30A内を伝播する際に、自身の回折効率に応じて画像光に含まれる第1波長成分の第2偏向光を回折によって偏向し、Z軸プラス方向側に伝播する第1波長成分の第3偏向光として出射する。このとき、第1出射ホログラム素子43Aは、X軸方向に沿って引き延ばされた第1波長成分の第2偏向光の画像をさらにY軸方向に引き延ばす役割を果たす。つまり、第1出射ホログラム素子43Aは、画像生成装置20が出射した画像光が示す画像をさらにY軸方向に引き延ばすことで、X軸方向及びY軸方向に拡大した画像の画像光を出射することができる。また、第1出射ホログラム素子43Aは、第1波長成分の第3偏向光をZ軸プラス方向に出射する。第1波長成分の第3偏向光は、出射面31bから出射される。これにより、出射面31bから出射された第1波長成分の第3偏向光(画像光)は、第2導光体30Bに入射する。
【0041】
第2導光体30Bの構成は、第1導光体30Aの構成と同様であるため、具体的な説明を適宜省略する。第2導光体30Bは、導光板31と、第2入射ホログラム素子41Bと、第2折返ホログラム素子42Bと、第2出射ホログラム素子43Bとを有する。
【0042】
第2導光体30Bには、第1導光体30Aの第1入射ホログラム素子41Aから出射された画像光である第1波長成分以外の光が入射する。
【0043】
第2入射ホログラム素子41Bは、第1導光体30Aの第1入射ホログラム素子41Aから出射された残りの画像光(第1波長成分以外の光)に含まれる第2波長成分の光を第2折返ホログラム素子42Bに入射させ、さらに残りの画像光である第2波長成分以外の光を透過させることで第3導光体30Cに入射させる。例えば、第2入射ホログラム素子41Bは、波長選択式のダイクロイックミラーである。第2波長成分は、第1波長成分と波長が異なる。本実施の形態において、第2波長成分は、第1波長成分よりも短い波長成分であり、緑色に相当する波長成分である。
【0044】
第2入射ホログラム素子41Bは、第1入射ホログラム素子41Aを透過した画像光であり、この画像光に含まれる第2波長成分の光を選択的に偏向させた第2偏向光を出射することができる。具体的には、第2入射ホログラム素子41Bは、第2導光体30Bの外部から入射した画像光が第2導光体30B内を伝播する際に、自身の回折効率に応じて画像光に含まれる第2波長成分の光を回折によって偏向することで、X軸プラス方向に沿って伝播する第2波長成分の第2偏向光(画像光)として出射する。第2入射ホログラム素子41Bで回折によって偏向された第2波長成分の第2偏向光は、第2折返ホログラム素子42Bに入射する。
【0045】
第2折返ホログラム素子42Bは、第2入射ホログラムが回折によって偏向した画像光をさらに回折によって偏向することで第2導光体30Bの内部で伝播させる。つまり、第2折返ホログラム素子42Bは、第2入射ホログラム素子41Bを透過した第2波長成分の第2偏向光が入射(透過)するたびに、入射した第2波長成分の第2偏向光をさらに回折によって偏向させた第2波長成分の第2偏向光(画像光)を第2出射ホログラム素子43Bに向けて出射する。具体的には、第2折返ホログラム素子42Bは、第2波長成分の第1偏向光がX軸プラス方向に沿って第2導光体30B内を伝播する際に、自身の回折効率に応じて画像光に含まれる第2波長成分の第1偏向光を回折によって偏向することでY軸マイナス方向に沿って伝播する第2波長成分の第2偏向光(画像光)として出射する。
【0046】
第2出射ホログラム素子43Bは、第2折返ホログラムが回折によって偏向した画像光をさらに回折によって偏向して第2導光体30Bの外部へ出射させる。つまり、第2出射ホログラム素子43Bは、第2折返ホログラム素子42Bを透過した第2波長成分の第2偏向光が入射(透過)するたびに、入射した第2波長成分の第2偏向光をさらに回折によって偏向させた第2波長成分の第3偏向光(画像光)を所定の出射角をもって出射する。具体的には、第2出射ホログラム素子43Bは、第2折返ホログラム素子42Bが回折によって偏向した第2波長成分の第2偏向光がY軸マイナス方向に沿って第2導光体30B内を伝播する際に、自身の回折効率に応じて画像光に含まれる第2波長成分の第2偏向光を回折によって偏向し、Z軸プラス方向側に伝播する第2波長成分の第3偏向光として出射する。
【0047】
また、第2導光体30Bでは、第1導光体30Aの第1出射ホログラム素子43Aから出射された画像光である第1波長成分の第3偏向光が入射して透過する。つまり、第2導光体30Bは、第2波長成分の第3偏向光を透過させて第3導光体30Cに入射させる。
【0048】
第3導光体30Cの構成は、第1導光体30A、第2導光体30Bの構成と同様であるため、具体的な説明を適宜省略する。第3導光体30Cは、導光板31と、第3入射ホログラム素子41Cと、第3折返ホログラム素子42Cと、第3出射ホログラム素子43Cとを有する。
【0049】
第3導光体30Cには、第2導光体30Bの第2入射ホログラム素子41Bから出射された画像光である第1波長成分及び第2波長成分以外の光が入射する。
【0050】
第3入射ホログラム素子41Cは、第2導光体30Bの第2入射ホログラム素子41Bから出射された残りの画像光(第1波長成分及び第2波長成分以外の光)に含まれる第3波長成分の光を第3折返ホログラム素子42Cに入射させる。例えば、第3入射ホログラム素子41Cは、波長選択式のダイクロイックミラーである。第3波長成分は、第1波長成分及び第2波長成分と波長が異なる。本実施の形態において、第3波長成分は、第2波長成分よりも短い波長成分であり、赤色に相当する波長成分である。
【0051】
第3入射ホログラム素子41Cは、第2入射ホログラム素子41Bを透過した画像光であり、この画像光に含まれる第3波長成分の光を選択的に偏向させた第3偏向光を出射することができる。具体的には、第3入射ホログラム素子41Cは、第3導光体30Cの外部から入射した画像光が第3導光体30C内を伝播する際に、自身の回折効率に応じて画像光に含まれる第3波長成分の光を回折によって偏向することで、X軸プラス方向に沿って伝播する第3波長成分の第3偏向光(画像光)として出射する。第3入射ホログラム素子41Cで回折によって偏向された第3波長成分の第3偏向光は、第3折返ホログラム素子42Cに入射する。
【0052】
第3折返ホログラム素子42Cは、第3入射ホログラムが回折によって偏向した画像を示す光をさらに回折によって偏向することで第3導光体30Cの内部で伝播させる。つまり、第3折返ホログラム素子42Cは、第3入射ホログラム素子41Cを透過した第3波長成分の第2偏向光が入射(透過)するたびに、入射した第3波長成分の第2偏向光をさらに回折によって偏向させた第3波長成分の第2偏向光(画像光)を第3出射ホログラム素子43Cに向けて出射する。具体的には、第3折返ホログラム素子42Cは、第3波長成分の第1偏向光がX軸プラス方向に沿って第3導光体30C内を伝播する際に、自身の回折効率に応じて画像光に含まれる第3波長成分の第1偏向光を回折によって偏向することでY軸マイナス方向に沿って伝播する第3波長成分の第2偏向光(画像光)として出射する。
【0053】
第3出射ホログラム素子43Cは、第3折返ホログラムが回折によって偏向した画像光をさらに回折によって偏向して第3導光体30Cの外部へ出射させる。つまり、第3出射ホログラム素子43Cは、第3折返ホログラム素子42Cを透過した第3波長成分の第2偏向光が入射(透過)するたびに、入射した第3波長成分の第2偏向光をさらに回折によって偏向させた第3波長成分の第3偏向光(画像光)を所定の出射角をもって出射する。具体的には、第3出射ホログラム素子43Cは、第3折返ホログラム素子42Cが回折によって偏向した第3波長成分の第2偏向光がY軸マイナス方向に沿って第3導光体30C内を伝播する際に、自身の回折効率に応じて画像光に含まれる第3波長成分の第2偏向光を回折によって偏向し、Z軸プラス方向側に伝播する第3波長成分の第3偏向光として出射する。
【0054】
また、第3導光体30Cでは、第1導光体30Aの第1出射ホログラム素子43Aから出射された画像光である第1波長成分の第3偏向光が入射して透過し、かつ、第2導光体30Bの第2出射ホログラム素子43Bから出射された画像光である第2波長成分の第3偏向光が入射して透過する。つまり、第3導光体30Cは、第1波長成分の第3偏向光及び第2波長成分の第3偏向光を透過させて、第3波長成分の第3偏向光とともに外部へ出射させる。
【0055】
第1入射ホログラム素子41A、第2入射ホログラム素子41B及び第3入射ホログラム素子41Cは、選択する波長成分が異なるものの、それぞれが同様の構成であり、第1~3波長成分の第1偏向光の出射に寄与する。
【0056】
第1折返ホログラム素子42A、第2折返ホログラム素子42B及び第3折返ホログラム素子42Cは、選択する波長成分が異なるものの、それぞれが同様の構成であり、第1~3波長成分の第2偏向光の出射に寄与する。
【0057】
第1出射ホログラム素子43A、第2出射ホログラム素子43B及び第3出射ホログラム素子43Cは、選択する波長成分が異なるものの、それぞれが同様の構成であり、第1~3波長成分の第3偏向光の出射に寄与する。
【0058】
第1出射ホログラム素子43A、第2出射ホログラム素子43B及び第3出射ホログラム素子43Cの出射面から出射される第1~3波長成分の第3偏向光の出射角は、第1出射ホログラム素子43Aの表面の法線に対して出射する光の角度である。
【0059】
また、第1出射ホログラム素子43A、第2出射ホログラム素子43B及び第3出射ホログラム素子43Cは、第1~3波長成分のそれぞれの第3偏向光の出射角が異なるように、出射する画像光を発散させてもよい。第1出射ホログラム素子43A、第2出射ホログラム素子43B及び第3出射ホログラム素子43Cは、入射する画像光を回折よって偏向させる際に、第1出射ホログラム素子43A、第2出射ホログラム素子43B及び第3出射ホログラム素子43C上の位置(部分)によって出射角を異ならせてもよい。これにより、第1出射ホログラム素子43A、第2出射ホログラム素子43B及び第3出射ホログラム素子43Cは、第1出射ホログラム素子43A、第2出射ホログラム素子43B及び第3出射ホログラム素子43Cが回折よって偏向した画像光のうちの一部の画像光の出射角をそれぞれ異ならせることができる。
【0060】
[光量分布]
次に、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cにおける光量分布について
図4及び
図5を用いて説明する。
【0061】
図4は、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cのそれぞれを伝搬する波長成分ごとの光と、光量分布とを示す図である。
図5は、虚像位置における透過率を示す図である。
【0062】
図4及び
図5に示すように、第1出射ホログラム素子43Aの光量分布は、第2出射ホログラム素子43Bの光量分布、及び、第3出射ホログラム素子43Cの光量分布と異なっている。また、第2出射ホログラム素子43Bの光量分布は、第3出射ホログラム素子43Cの光量分布と異なっている。本実施の形態では、第1出射ホログラム素子43A、第2出射ホログラム素子43B及び第3出射ホログラム素子43Cのこの順番でZ軸プラス方向に沿って配置されているため、この順番に従って出射する画像光の光量分布が低下している。
【0063】
具体的には、本実施の形態では、第1導光体30Aと第2導光体30Bとの間に空気層が形成されているため、第1導光体30Aから出射された画像光の一部が第2導光体30Bと空気層との界面である第2導光体30Bの裏面で反射されてしまう。また、第2導光体30Bと第3導光体30Cとの間に空気層が形成されているため、第1導光体30Aから出射された画像光であって第2導光体30Bを透過した画像光の一部が第3導光体30Cと空気層との界面である第3導光体30Cの裏面で反射されてしまう。また、第2導光体30Bから出射された画像光の一部が第3導光体30Cと空気層との界面である第3導光体30Cの裏面で反射されてしまう。
【0064】
このことから、好ましくは、フロントウインド3に輝度ムラが抑制された光を照射するためには、最下層に位置する第1導光体30Aから出射する画像光の光量分布を、第2導光体30B及び第3導光体30Cのそれぞれの光量分布よりも多くし、最下層から2層目に位置する第2導光体30Bから出射する画像光の光量分布を、第3導光体30Cの光量分布よりも多くすることが求められる。少なくとも、第2出射ホログラム素子43Bの所定領域における光量分布は、当該所定領域に対応する第1出射ホログラム素子43Aの領域における光量分布よりも小さい。また、少なくとも、第3出射ホログラム素子43Cの所定領域における光量分布は、当該所定領域に対応する第2出射ホログラム素子43Bの領域における光量分布よりも小さい。言い換えれば、第2出射ホログラム素子43Bの所定位置における光量分布は、所定位置に対応する第1出射ホログラム素子43Aの位置における光量分布よりも小さいとも言える。
【0065】
このため、本実施の形態の表示装置1では、最下層の第1導光体30Aからは第1波長成分の光を出射でき、中層の第2導光体30Bからは第2波長成分の光を出射でき、最上層の第3導光体30Cからは第3波長成分の光を出射することができる。
【0066】
本実施の形態では、最下層の第1導光体30Aから最上層の第3導光体30Cまで、次第に出力を低下させているが、これは、画像生成装置20に搭載される複数のエミッタの出力に依存している。具体的には、画像生成装置20に搭載される複数のエミッタのうちの第1エミッタは波長成分が青色の光線を出射し、別の第2エミッタは波長成分が緑色の光線を出射し、さらに別の第3エミッタは波長成分が赤色の光線を出射することができる。波長成分が赤色の光線は、第3エミッタの出力が他のエミッタに比べて小さいため、高出力を出し難い傾向にある。波長成分が緑色の光線は、第2エミッタの出力が第1エミッタに比べて小さい傾向にある。波長成分が青色の光線は、第3エミッタの出力が最も大きい。このため、本実施の形態では、赤色の光線である第3波長成分の光をフロントウインド3に最も近い最上層の第3導光体30Cから出射させ、緑色の光線である第2波長成分の光を中層の第2導光体30Bから出射させ、青色の光線である第1波長成分の光を最下層の第2導光体30Bから出射させるようにしている。
【0067】
また、第1入射ホログラム素子41A、第2入射ホログラム素子41B及び第3入射ホログラム素子41Cのそれぞれに入射する光量を調節することで、最下層に位置する第1導光体30Aから出射する画像光の光量分布を、第2導光体30B及び第3導光体30Cのそれぞれの光量分布よりも少なくすることができてもよい。また、最下層から2層目に位置する第2導光体30Bから出射する画像光の光量分布を、第3導光体30Cの光量分布よりも少なくすることができてもよい。
【0068】
第1導光体30Aに入射した画像光において、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像を示す光の光量分布(第1出射ホログラム素子43Aの光量分布ということがある)は、第1出射ホログラム素子43Aの位置によって異なっている。具体的には、第1出射ホログラム素子43Aの光量分布は、第1出射ホログラム素子43Aの水平方向に沿う位置によって異なっている。
【0069】
より具体的には、第1出射ホログラム素子43Aは、第1領域と、第1領域とは異なる領域である第2領域と、を有している。第1領域は、第1出射ホログラム素子43Aにおいて、第1折返ホログラム素子42A側、つまりY軸プラス方向側の領域である。第2領域は、第1出射ホログラム素子43Aにおいて、第1折返ホログラム素子42A側とは反対側、つまりY軸マイナス方向側の領域である。
【0070】
第1出射ホログラム素子43Aの第1領域における光量分布は、第2領域における光量分布よりも小さい。つまり、第1出射ホログラム素子43A上におけるY軸マイナス方向に沿って第1折返ホログラム素子42Aから遠ざかれば、光量分布が増加する。第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像を示す光の光量分布は、第1出射ホログラム素子43Aに入射した画像を示す光の強度に対して第1出射ホログラム素子43Aが回折する画像を示す光の強度の割合を示す回折効率に依存する。なお、本実施の形態では第1出射ホログラム素子43Aを2つの領域に分けて説明したが、3つ以上の領域に分けてもよく、この場合もY軸マイナス方向に沿って第1折返ホログラム素子42Aから遠ざかるほど光量分布が増加してもよい。
【0071】
第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像を示す光の光量分布(第2出射ホログラム素子43Bの光量分布ということがある)は、第2出射ホログラム素子43Bの位置によって異なっている。具体的には、第2出射ホログラム素子43Bの光量分布は、第2出射ホログラム素子43Bの水平方向に沿う位置によって異なっている。より具体的には、第2出射ホログラム素子43Bは、第1領域と、第1領域とは異なる領域である第2領域と、を有している。第1領域は、第2出射ホログラム素子43Bにおいて、第2折返ホログラム素子42B側、つまりY軸プラス方向側の領域である。第2領域は、第2出射ホログラム素子43Bにおいて、第2折返ホログラム素子42B側とは反対側、つまりY軸マイナス方向側の領域である。第2出射ホログラム素子43Bの第1領域における光量分布は、第2領域における光量分布よりも小さい。言い換えれば、第1導光体30Aの第1領域に対応する第2出射ホログラム素子43Bの第1領域(第1出射ホログラム素子43Aの領域の一例)における光量分布は、第1導光体30Aの第2領域に対応する第2出射ホログラム素子43Bの第2領域(第2出射ホログラム素子43Bの領域の一例)における光量分布よりも小さい。つまり、第2出射ホログラム素子43B上におけるY軸マイナス方向に沿って第2折返ホログラム素子42Bから遠ざかれば、光量分布が増加する。第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像を示す光の光量分布は、第2出射ホログラム素子43Bに入射した画像を示す光の強度に対して第2出射ホログラム素子43Bが回折する画像を示す光の強度の割合を示す回折効率に依存する。なお、本実施の形態では第2出射ホログラム素子43Bを2つの領域に分けて説明したが、3つ以上の領域に分けてもよく、この場合もY軸マイナス方向に沿って第2折返ホログラム素子42Bから遠ざかるほど光量分布が増加してもよい。
【0072】
第3出射ホログラム素子43Cは、第1領域と、第1領域とは異なる領域である第2領域と、を有している。第1領域は、第3出射ホログラム素子43Cにおいて、第3折返ホログラム素子42C側、つまりY軸プラス方向側の領域である。第2領域は、第3出射ホログラム素子43Cにおいて、第3折返ホログラム素子42C側とは反対側、つまりY軸マイナス方向側の領域である。第3出射ホログラム素子43Cの第1領域は、第3出射ホログラム素子43Cの第2領域と光量分布が略同一である。
【0073】
具体例を挙げて説明すると、例えば、第3導光体30CのY軸プラス方向側地点、中央地点及びY軸マイナス方向側地点から出射した第3波長成分の光の虚像位置における透過率は、いずれも100%とする。また、第2導光体30BのY軸プラス方向側地点から出射した第2波長成分の光の虚像位置における透過率を87%とし、中央地点から出射した第2波長成分の光の虚像位置における透過率を85%とし、Y軸マイナス方向側地点から出射した第2波長成分の光の虚像位置における透過率を77%とする。また、第1導光体30AのY軸プラス方向側地点から出射した第1波長成分の光の虚像位置における透過率を75%とし、中央地点から出射した第1波長成分の光の虚像位置における透過率を73%とし、Y軸マイナス方向側地点から出射した第1波長成分の光の虚像位置における透過率を60%とする。
【0074】
フロントウインド3の入射面に照射された画像光(第1波長成分の光、第2波長成分の光、及び、第3波長成分の光)に画像のムラが生じないようにするためには、第1波長成分の光、第2波長成分の光、及び、第3波長成分の光のそれぞれの光量分布が100%(輝度が略均一)となるようにしてもよい。好ましくは、フロントウインド3の入射面に入射して反射された画像光に含まれる第1波長成分の光、第2波長成分の光、及び、第3波長成分の光のそれぞれの光量分布が100%(輝度が略均一)となるように、表示装置1が第1波長成分の光、第2波長成分の光、及び、第3波長成分の光を出射してもよい。この場合、フロントウインド3の反射率分布に応じて、表示装置1が第1波長成分の光、第2波長成分の光、及び、第3波長成分の光を出射するため、表示装置1が直接的に出射した第1波長成分の光、第2波長成分の光、及び、第3波長成分の光のそれぞれの光量分布は不均一となってもよい。
【0075】
例えば、第3導光体30Cの第3出射ホログラム素子43CにおけるY軸プラス方向側地点、中央地点及びY軸マイナス方向側地点のそれぞれの光量分布は100%としてもよい。つまり、第3出射ホログラム素子43Cの回折効率は、第3出射ホログラム素子43Cの全体にわたり略一様であってもよい。この場合、第3導光体30Cから出射された第3波長成分の光は、フロントウインド3の入射面で約100%の光量分布となる。
【0076】
また、第2導光体30Bの第2出射ホログラム素子43BにおけるY軸プラス方向側地点、中央地点及びY軸マイナス方向側地点のそれぞれの光量分布は、115%、118%、129%とする。一例を説明すると、第2導光体30BのY軸プラス方向側地点から出射した第2波長成分の光の虚像位置における透過率87%に、第2出射ホログラム素子43BにおけるY軸プラス方向側地点の光量分布115%を乗算することで、フロントウインド3の入射面で約100%の光量分布となる。
【0077】
また、第1導光体30Aの第1出射ホログラム素子43AにおけるY軸プラス方向側地点、中央地点及びY軸マイナス方向側地点のそれぞれの光量分布は、133%、137%、166%とする。一例を説明すると、第1導光体30AのY軸プラス方向側地点から出射した第1波長成分の光の虚像位置における透過率75%に、第1出射ホログラム素子43AにおけるY軸プラス方向側地点の光量分布133%を乗算することで、フロントウインド3の入射面で約100%の光量分布となる。
【0078】
このように、階層ごとの出射ホログラムがそれぞれ異なる光量分布を備え、さらに、出射ホログラムの位置においても異なる光量分布を備えることで、フロントウインド3の入射面における輝度ムラ、つまり画像のムラが生じないように、これらの出射ホログラムで輝度ムラを補正することができる。ここでいう出射ホログラムは、第1出射ホログラム素子43A、第2出射ホログラム素子43B及び第3出射ホログラム素子43Cの総称である。
【0079】
なお、画像生成装置20が画像光を生成する際に、画像光における諧調値を調節してもよい。例えば、画像生成装置20は、波長成分ごとに画像光が示す画像の諧調値を調節してもよい。また、工場出荷時に画像光における諧調値を調節してもよい。さらに、上述したように、それぞれの出射ホログラムの光量分布を調節するとともに、画像生成装置20が生成する画像光における諧調値を調節してもよい。さらに、車両に搭載されているセンサが運転者をモニタリングしている場合、運転者のアイボックスの位置に応じて画像生成装置20が生成する画像光における諧調値を調節してもよい。
【0080】
[光の角度]
次に、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cから出射される光の角度について説明する。なお、ここでいう光の角度とは、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cのそれぞれの表面の接線に対する光の進行方向の角度である。
【0081】
第1導光体30Aの表面である出射面31bに対する第1導光体30Aから出射される画像光の角度は、第1導光体30Aの出射面31bにおける画像光の出射位置によって異なっている。具体的には、第1導光体30Aの第1領域に対応する第2導光体30Bの第1領域(第2導光体30Bの領域の一例)から出射する画像光の角度の平均値は、第1導光体30Aの第2領域に対応する第2導光体30Bの第2領域(第2導光体30Bの領域の一例)から出射する画像光の角度の平均値よりも大きい。つまり、第1導光体30Aは、Y軸マイナス方向に近づくほどZ軸プラス方向側に反っているため、第1導光体30Aの出射面31bから出射される画像光の角度は、Y軸マイナス方向側ほど小さくなる。第1出射ホログラム素子43Aの光量分布は、Y軸マイナス方向に向かうほど増加するため、第1導光体30Aから出射される画像光の角度が小さいほど大きくなると言える。
【0082】
第2導光体30Bの表面である出射面31bに対する第2導光体30Bから出射される画像光の角度は、第2導光体30Bの出射面31bにおける画像光の出射位置によって異なっている。具体的には、第1導光体30Aの第1領域に対応する第2導光体30Bの第1領域から出射する画像光の角度の平均値は、第1導光体30Aの第2領域に対応する第2導光体30Bの第2領域から出射する画像光の角度の平均値よりも大きい。つまり、第2導光体30Bは、Y軸マイナス方向に近づくほどZ軸プラス方向側に反っているため、第2導光体30Bの出射面31bから出射される画像光の角度は、Y軸マイナス方向側ほど小さくなる。このため、第2出射ホログラム素子43Bの光量分布は、Y軸マイナス方向に向かうほど増加するため、第2導光体30Bから出射される画像光の角度が小さいほど大きくなると言える。
【0083】
<作用効果>
次に、本実施の形態における表示装置1の作用効果について説明する。
【0084】
上述したように、本実施の形態に係る表示装置1は、画像を示す光(画像光)を生成する画像生成装置20と、画像を示す光を出射する第1出射ホログラム素子43Aを有する第1導光体30Aと、画像を示す光を出射する第2出射ホログラム素子43Bを有する第2導光体30Bと、を備える。また、第1導光体30A及び第2導光体30Bは、湾曲形状である。また、画像生成装置20が出射した画像を示す光は、第1導光体30Aに入射する。また、第1導光体30Aに入射した画像を示す光の一部は、第2導光体30Bに入射する。そして、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像を示す光の光量分布は、第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像を示す光の光量分布と異なる。
【0085】
これによれば、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像光の光量分布と、第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像光の光量分布とを調節すれば、第1導光体30A及び第2導光体30Bが湾曲形状であっても、フロントウインド3等の表示媒体に表示した画像に生じるムラを抑制することができる。
【0086】
したがって、この表示装置1では、表示媒体に表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1導光体30Aは、水平方向に対して反り上がるように湾曲している。そして、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像を示す光の光量分布は、第1出射ホログラム素子43Aの水平方向に沿う位置によって異なる。
【0088】
これによれば、第1導光体30A及び第2導光体30Bが湾曲形状であっても、第1導光体30Aに入射した画像光の一部が第2導光体30Bに入射する際に発生するフレネル損失を補正するように、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像光に光量分布を形成することができる。その結果、表示媒体に表示される画像の品質の低下をより抑制することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1導光体30Aの表面に対する第1導光体30Aから出射される画像を示す光の角度は、第1導光体30Aの表面における画像を示す光の出射位置によって異なる。
【0090】
これによれば、第1導光体30A及び第2導光体30Bが湾曲形状であっても、表示媒体に画像を歪めないように大きく表示させることができる。
【0091】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像を示す光の光量分布は、第1導光体30Aから出射される画像を示す光の角度が小さいほど大きい。
【0092】
これによれば、第1導光体30Aに画像光が入射する領域から離れるほど、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像光の光量分布を大きくすることができるため、第1導光体30Aは、より画像のムラを抑制した画像光を出射することができる。
【0093】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1出射ホログラム素子43Aは、第1領域と、第1領域とは異なる領域である第2領域と、を有する。また、第1導光体30Aにおける第1領域に対応する領域から出射する画像を示す光の角度の平均値は、第1導光体30Aにおける第2領域に対応する領域から出射する画像を示す光の角度の平均値よりも大きい。そして、第1出射ホログラム素子43Aの第1領域における光量分布は、第2領域における光量分布よりも小さい。
【0094】
これによれば、第1導光体30Aに画像光が入射する領域側に位置する領域である第1領域よりも離れた第2領域の光量分布を、第1領域の光量分布よりも大きくすることができる。このため、第1導光体30Aは、より画像のムラを抑制した画像光を出射することができる。
【0095】
また、本実施の形態に係る表示装置1は、湾曲形状であり、第3出射ホログラム素子43Cを有する第3導光体30Cをさらに備える。また、第1導光体30Aに入射した光の一部は、第2導光体30Bに入射する。また、第2導光体30Bに入射した光の一部は、第3導光体30Cに入射する。そして、第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像を示す光の光量分布は、第2出射ホログラム素子43Bの水平方向に沿う位置によって異なる。
【0096】
これによれば、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cを湾曲形状にしても、第2導光体30Bに入射した画像光の一部が第3導光体30Cに入射する際に発生するフレネル損失を補正するように、第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像光に光量分布を形成することができる。また、第1導光体30Aに入射した画像光の一部が第2導光体30Bに入射する際に発生するフレネル損失を補正するように、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像光に光量分布を形成することもできる。その結果、表示媒体に表示される画像の品質の低下をより抑制することができる。
【0097】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第2導光体30Bの表面に対する第2導光体30Bから出射される画像を示す光の角度は、第2導光体30Bの表面における画像を示す光の出射位置によって異なる。また、第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像を示す光の光量分布は、第2導光体30Bから出射される画像を示す光の角度が小さいほど大きい。そして、第2出射ホログラム素子43Bの所定位置における光量分布は、所定位置に対応する第1出射ホログラム素子43Aの位置における光量分布よりも小さい。
【0098】
これによれば、第1導光体30Aと同様に、第2導光体30Bに画像光が入射する領域から離れるほど、第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像光の光量分布を大きくすることができるため、第2導光体30Bは、より画像のムラを抑制した画像光を出射することができる。
【0099】
また、第2出射ホログラム素子43Bよりも下層に位置する第1出射ホログラム素子43Aの光量分布を、上層に位置する第2出射ホログラム素子43Bの光量分布よりも大きくすることができる。このため、第1導光体30Aに入射した画像光の一部が第2導光体30Bに入射する際に発生するフレネル損失を補正するように、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像光に光量分布を形成することができる。
【0100】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1出射ホログラム素子43Aは、第1領域と、第1領域とは異なる領域である第2領域と、を有する。また、第2導光体30Bから出射される画像を示す光の角度は、第2導光体30Bの表面における画像を示す光の出射位置によって異なる。また、第1領域に対応する第2導光体30Bの領域から出射する画像を示す光の角度の平均値は、第2領域に対応する第2導光体30Bの領域から出射する画像を示す光の角度の平均値よりも大きい。また、第1領域に対応する第2出射ホログラム素子43Bの領域における光量分布は、第2領域に対応する第2出射ホログラム素子43Bの領域における光量分布よりも小さい。そして、第2出射ホログラム素子43Bの所定領域における光量分布は、所定領域に対応する第1出射ホログラム素子43Aの領域における光量分布よりも小さい。
【0101】
これによれば、第1導光体30Aと同様に、第2導光体30Bに画像光が入射する領域から離れるほど、第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像光の光量分布を大きくすることができるため、第2導光体30Bは、より画像のムラを抑制した画像光を出射することができる。
【0102】
また、第2出射ホログラム素子43Bよりも下層に位置する第1出射ホログラム素子43Aの光量分布を、上層に位置する第2出射ホログラム素子43Bの光量分布よりも大きくすることができる。このため、第1導光体30Aに入射した画像光の一部が第2導光体30Bに入射する際に発生するフレネル損失を補正するように、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像光に光量分布を形成することができる。
【0103】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1導光体30Aは、第1導光体30Aの外部から入射した画像を示す光を回折によって偏向して第1導光体30Aの内部で伝播させる第1入射ホログラム素子41Aと、第1入射ホログラム素子41Aが回折した画像を示す光をさらに回折によって偏向して第1導光体30Aの内部で伝播させる第1折返ホログラム素子42Aと、をさらに有する。また、第2導光体30Bは、第2導光体30Bの外部から入射した画像を示す光を回折によって偏向して第2導光体30Bの内部で伝播させる第2入射ホログラム素子41Bと、第2入射ホログラム素子41Bが回折した画像を示す光をさらに回折によって偏向して第2導光体30Bの内部で伝播させる第2折返ホログラム素子42Bと、をさらに有する。また、第3導光体30Cは、第3導光体30Cの外部から入射した画像を示す光を回折によって偏向して第3導光体30Cの内部で伝播させる第3入射ホログラム素子41Cと、第3入射ホログラム素子41Cが回折した画像を示す光をさらに回折によって偏向して第3導光体30Cの内部で伝播させる第3折返ホログラム素子42Cと、をさらに有する。また、第1出射ホログラム素子43Aは、第1折返ホログラム素子42Aが回折によって偏向した画像を示す光をさらに回折によって偏向して第1導光体30Aの外部へ出射させる。また、第2出射ホログラム素子43Bは、第2折返ホログラム素子42Bが回折によって偏向した画像を示す光をさらに回折によって偏向して第2導光体30Bの外部へ出射させる。そして、第3出射ホログラム素子43Cは、第3折返ホログラム素子42Cが回折によって偏向した画像を示す光をさらに回折によって偏向して第3導光体30Cの外部へ出射させる。
【0104】
これによれば、表示媒体に表示される画像の品質の低下をより抑制できる表示装置1を実現することができる。
【0105】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1入射ホログラム素子41Aは、第1入射ホログラム素子41Aに入射する画像を示す光に含まれる第1波長成分の光を回折によって偏向して第1導光体30Aの内部で伝播させる。また、第2入射ホログラム素子41Bは、第2入射ホログラム素子41Bに入射する画像を示す光に含まれる第2波長成分の光を回折によって偏向して第2導光体30Bの内部で伝播させる。そして、第3入射ホログラム素子41Cは、第3入射ホログラム素子41Cに入射する画像を示す光に含まれる第3波長成分の光を回折によって偏向して第3導光体30Cの内部で伝播させる。
【0106】
これによれば、画像光に含まれる3つの波長成分を、3つの第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cのそれぞれに一対一で入射させることができるようになるため、画像光の強度の低下を抑制することができる。その結果、表示媒体に表示される画像の品質の低下をより抑制することができる。
【0107】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1波長成分は、青色に相当する波長成分である。また、第2波長成分は、緑色に相当する波長成分である。また、第3波長成分は、赤色に相当する波長成分である。
【0108】
これによれば、画像を鮮明に表現できる3つの波長成分に画像光を分割し、3つの第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cに一対一で入射させることができるようになる。その結果、表示媒体に表示される画像の品質の低下をより抑制することができる。
【0109】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1出射ホログラム素子43Aが出射する画像を示す光の光量分布は、第1出射ホログラム素子43Aに入射した画像を示す光の強度に対して第1出射ホログラム素子43Aが回折する画像を示す光の強度の割合を示す回折効率に依存する。そして、第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像を示す光の光量分布は、第2出射ホログラム素子43Bに入射した画像を示す光の強度に対して第2出射ホログラム素子43Bが回折する画像を示す光の強度の割合を示す回折効率に依存する。
【0110】
これによれば、回折効率を調節することで、第1出射ホログラム素子43A及び第2出射ホログラム素子43Bが出射する画像光の光量分布を調節することができる。その結果、表示媒体に表示される画像の品質の低下をより抑制することができる。
【0111】
(実施の形態の変形例)
本変形例では、表示装置1aが位相差素子30Dをさらに備える点で実施の形態の表示装置と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態の表示装置と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0112】
表示装置1aの構成について
図6を用いて説明する。
図6は、実施の形態の変形例に係る表示装置1aを右方向に沿って見た場合を示す模式図である。
【0113】
本変形例では、表示装置1aは、画像生成装置20、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cの他に位相差素子30Dを有している。
【0114】
位相差素子30Dは、第3導光体30Cから所定距離離間した状態で、第3導光体30CよりもZ軸プラス方向側に配置されている。
【0115】
位相差素子30Dは、第1導光体30A、第2導光体30B及び第3導光体30Cと同様の湾曲形状である。具体的には、位相差素子30Dは、Z軸方向に沿って見た場合に略矩形状をなし、Y軸方向に対してY軸マイナス方向側で反り上がった湾曲板状をなしている。
【0116】
位相差素子30Dは、第3導光体30Cから出射した画像光が入射し、入射した画像を示す光の偏光成分に位相差を与えて画像光を出射する。つまり、位相差素子30Dは、第3導光体30Cから出射された、第3波長成分の光(画像光)であって第3偏向光、第3導光体30Cを透過して出射した第2波長成分の光(画像光)である第3偏向光、第3導光体30C及び第2導光体30Bを透過して出射した第1波長成分の光(画像光)である第3偏向光のそれぞれに位相差を与えて出射する。
【0117】
画像生成装置20が第1導光体30A等に対してP偏光を含む画像光を出射するため、第3導光体30Cを通過した画像光は、P偏光となる。位相差素子30Dは、このP偏光の画像光の偏光成分に位相差を与えることで、画像光にS偏光を含む画像光を出射する。つまり、位相差素子30Dは、P偏光の画像光の一部をS偏光画像光に変換することで、P偏光及びS偏光を含む画像光を出射することができる。本実施の形態の画像光では、S偏光より、P偏光の方が光量は多い。
【0118】
従来の技術であるヘッドアップディスプレイでは、フロントウインドで積極的に反射させるために、S偏光を用いることがある。しかしながら、本変形例における隣り合う2つの導光体間では空気層が形成されているため、画像光がそれぞれの導光体に入射する際に、これらの導光体の裏面で反射されてしまうことがある。そこで、導光体で反射されないように、P偏光を用いることが考えられる。
【0119】
そこで、P偏光のみを第1導光体から出射すれば、第2導光体及び第3導光体における画像光のフレネル反射の増加を抑制することができる。しかしながら、所定の入射角の範囲においてP偏光の透過率はS偏光の透過率よりも高くなる傾向にあるため、P偏光は、フロントウインドを透過し易く、フロントウインドの入射面で反射され難い。このため、ユーザは画像を認識し難くなり、フロントウインド3に表示される画像の品質が低下してしまう恐れがある。そこで、第2導光体及び第3導光体等の裏面における画像光の反射を抑制しつつ、フロントウインドでは画像光を反射させる必要がある。
【0120】
このような、本変形例に係る表示装置1aは、湾曲形状であり、第3出射ホログラム素子43Cを有する第3導光体30Cと、第3導光体30Cから出射した画像を示す光が入射し、入射した画像を示す光の偏光成分に位相差を与えて画像を示す光を出射する位相差素子30Dとをさらに備える。
【0121】
これによれば、第3導光体30Cから出射された画像光が位相差素子30Dに入射するため、位相差素子30Dに入射するまでをP偏光とし、位相差素子30Dが画像光を出射する際にP偏光及びS偏光を含む画像光を出射させることができる。このため、画像光における一部の光をフロントウインド3で反射させることができるため、ユーザは、確実に画像を認識することができる。
【0122】
また、本変形例に係る表示装置1aにおいて、画像生成装置20は、第1導光体30Aに対してP偏光を含む画像を示す光を出射する。そして、位相差素子30Dは、位相差素子30Dに入射する画像を示す光の偏光成分に位相差を与え、S偏光を含む画像を示す光を出射する。
【0123】
これによれば、位相差素子30Dに入射するまでの画像光をP偏光にすることができるため、第1導光体30A以外の他の導光体で反射する光量の発生を抑制することで、迷光の増加を抑制することができる。
【0124】
また、位相差素子30Dは画像光に位相差を与えることでS偏光を含む画像を示す光を出射するため、フロントウインド3で画像光を反射させることができる。このため、表示媒体に表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0125】
つまり、本実施の形態では、導光体における画像光の反射の抑制と、フロントウインド3での画像光の反射の抑制との両立を図ることができる。
【0126】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る表示装置について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0127】
なお、上記の実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本開示は、車両のヘッドアップディスプレイ装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0129】
1、1a 表示装置
20 画像生成装置
30A 第1導光体
30B 第2導光体
30C 第3導光体
30D 位相差素子
41A 第1入射ホログラム素子
41B 第2入射ホログラム素子
41C 第3入射ホログラム素子
42A 第1折返ホログラム素子
42B 第2折返ホログラム素子
42C 第3折返ホログラム素子
43A 第1出射ホログラム素子
43B 第2出射ホログラム素子
43C 第3出射ホログラム素子