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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150524
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】車両の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B60T17/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059672
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽根 法亮
(72)【発明者】
【氏名】江田 英之
(72)【発明者】
【氏名】津川 浩哉
【テーマコード(参考)】
3D049
【Fターム(参考)】
3D049BB33
3D049CC02
3D049HH41
3D049HH43
3D049HH53
3D049KK01
3D049LL01
3D049MM01
(57)【要約】
【課題】ブレーキ配管の組み付け作業を容易化し得る技術を提供する。
【解決手段】 車両の製造方法は、車両の車体にブレーキ液圧を調整する圧力機器を取り付ける第1の工程と、クランプによって一体に保持された複数のブレーキ配管を圧力機器に接続する第2の工程と、車体に取り付けられた圧力機器に対して、複数のブレーキ配管に設けられたクランプを固定する第3の工程とを備える。圧力機器には、第1サブブラケットが予め設けられており、クランプには、第2サブブラケットが予め設けられている。第3の工程では、圧力機器に設けられた第1サブブラケットに、クランプに設けられた第2サブブラケットを締結する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の製造方法であって、
前記車両の車体に、ブレーキ液圧を調整する圧力機器を取り付ける第1の工程と、
クランプによって一体に保持された複数のブレーキ配管を、前記圧力機器に接続する第2の工程と、
前記車体に取り付けられた前記圧力機器に対して、前記複数のブレーキ配管に設けられた前記クランプを固定する第3の工程と、
を備え
前記圧力機器には、第1サブブラケットが予め設けられており、
前記クランプには、第2サブブラケットが予め設けられており、
前記第3の工程では、前記圧力機器に設けられた前記第1サブブラケットに、前記クランプに設けられた前記第2サブブラケットを締結する、
製造方法。
【請求項2】
前記圧力機器は、ユーザの操作に応じて前記ブレーキ液圧を調整するブレーキマスタシリンダ、又は、前記ブレーキ液圧を調整する電動アクチュエータを有するブレーキアクチュエータである、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、車両の製造方法に関し、特に、複数のブレーキ配管を車体に組み付ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、複数のブレーキ配管を有する車両が記載されている。複数のブレーキ配管は、いくつかのクランプによって、一体に保持されている。各ブレーキ配管の端部は、ブレーキマスタシリンダといった圧力機器に接続されており、クランプは、ブラケットを介して車体(又は圧力機器)に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-47232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレーキ配管の端部近傍にクランプが設けられた構成では、ブレーキ配管を車体へ組み付ける際に、ブレーキ配管を大きく変形させることが必要となる場合がある。ブレーキ配管を大きく変形させることは、組み付け作業の作業性を低下させる要因になるとともに、ブレーキ配管に意図しないダメージを与えるおそれもある。
【0005】
上記を鑑み、本明細書は、車両におけるブレーキ配管の組み付け作業を容易化し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する技術は、車両の製造方法に具現化される。この製造方法は、前記車両の車体に、ブレーキ液圧を調整する圧力機器を取り付ける第1の工程と、クランプによって一体に保持された複数のブレーキ配管を、前記圧力機器に接続する第2の工程と、前記車体に取り付けられた前記圧力機器に対して、前記複数のブレーキ配管に設けられた前記クランプを固定する第3の工程と、を備える。前記圧力機器には、第1サブブラケットが予め設けられており、前記クランプには、第2サブブラケットが予め設けられている。そして、前記第3の工程では、前記圧力機器に設けられた前記第1サブブラケットに、前記クランプに設けられた前記第2サブブラケットを締結する。
【0007】
上記の製造方法では、クランプを圧力機器に固定するためのブラケットが、第1サブブラケットと第2サブブラケットとに分割されており、それぞれが圧力機器又はクランプに予め設けられている。このような構成によると、複数のブレーキ配管を圧力機器に接続した後は、クランプに設けられた第1サブブラケットを、圧力機器に設けられた第2サブブラケットに締結するだけでよい。二つのサブブラケットは、その形状を自由に設計することができ、二つのサブブラケットが互いに締結される位置を、作業性に優れたスペースに設定することができる。
【0008】
上記した製造方法において、前記した圧力機器は、ユーザの操作に応じて前記ブレーキ液圧を調整するブレーキマスタシリンダ、又は、前記ブレーキ液圧を調整する電動アクチュエータを有するブレーキアクチュエータであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例の製造方法の流れを示すフローチャート。
図2】車体10に圧力機器20、30を取り付ける工程を示す。
図3】圧力機器20、30の一例として、ブレーキマスタシリンダ20とそのサブブラケット22とを示す。
図4】圧力機器20、30の他の一例として、ブレーキアクチュエータ30とそのサブブラケット32とを示す。
図5】複数のブレーキ配管41-46を、車体10に取り付けられた圧力機器20、30に接続する工程を示す。
図6】ブレーキマスタシリンダ20とそれに接続された複数のブレーキ配管41、42を示す。
図7】ブレーキアクチュエータ30とそれに接続された複数のブレーキ配管41-46を示す。
図8】ブレーキマスタシリンダ20のサブブラケット22に、第1クランプ52のサブブラケット53を締結する工程を示す。
図9】ブレーキアクチュエータ30のサブブラケット32に、第2クランプ54のサブブラケット55を締結する工程を示す。
図10】サブブラケット53、22の変形例であって、回転規制構造72、74の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、実施例である車両の製造方法について説明する。ここでいう車両とは、特に限定されないが、路面を走行する車両であって、例えば電気自動車(BEV: Battery Electric Vehicle)であってよい。但し、本実施例における車両は、電気自動車に限定されず、ハイブリッド車(HEV: Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV: Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、燃料電池車(FCEV: Fuel Cell Electric Vehicle)といった他の形式の電動車であってもよい。あるいは、車両は、エンジンのみを原動機とするエンジン車であってもよい。
【0011】
ここで、図面における方向FRは、車両の前後方向における前方を示し、方向RRは車両の前後方向における後方を示す。方向UPは車両の上下方向における上方を示し、方向DWは車両の上下方向における下方を示す。方向LHは車両の左右方向における左方を示し、方向RHは車両の左右方向における右方を示す。本明細書では、車両における前方FR、後方RR、上方UP、下方DWを、それぞれ単に前方、後方、左方、右方、上方、下方と称することがある。
【0012】
図1は、本実施例の製造方法の流れを示すフローチャートである。以下、図1に示すフローチャートに沿って、本実施例の製造方法について説明する。先ず、図1のステップS12において、図2に示すように、車両の車体10に、圧力機器20、30を取り付ける。ここでいう圧力機器20、30とは、車両のブレーキシステムにおいて、ブレーキ液圧を調整する機器である。一例ではあるが、本実施例の製造方法では、圧力機器20、30として、ブレーキマスタシリンダ20と、ブレーキアクチュエータ30とが取り付けられる。ブレーキマスタシリンダ20は、ユーザによるブレーキペダル(図示省略)の操作に応じて、ブレーキ液圧を調整する機器である。ブレーキアクチュエータ30は、電動モータや電磁バルブといった電動アクチュエータを内蔵しており、電気的な制御指令に応じてブレーキ液圧を調整する機器である。
【0013】
圧力機器20、30の取付位置についても、特に限定されない。一例ではあるが、本実施例の製造方法では、車体10のフロントコンパートメント12に、二つの圧力機器20、30が取り付けられる。詳しくは、ブレーキマスタシリンダ20は、車体10のダッシュパネル14に取り付けられ、ブレーキアクチュエータ30は、車体10のフロントサイドメンバ16に取り付けられる。
【0014】
ここで、図3に示すように、ブレーキマスタシリンダ20には、車体10へ取り付けられる前に、サブブラケット22が予め設けられている。また、図4に示すように、ブレーキアクチュエータ30にも、車体10へ取り付けられる前に、サブブラケット32が予め設けられている。サブブラケット22、32の具体的な構成については、特に限定されない。一例ではあるが、サブブラケット22、32は、金属製のプレートをプレス加工したものであってよい。
【0015】
次に、図1のステップS14では、図5に示すように、車体10に取り付けた圧力機器20、30に対して、複数のブレーキ配管41-46を仮組みする。これにより、図6図7に示すように、複数のブレーキ配管41-46の各端が、圧力機器20、30に仮接続(一定の遊びを与えた状態で接続)される。ここで、いくつかのブレーキ配管41-45には、複数のクランプ52、54、56が予め設けられており、それらのクランプ52、54、56によって、当該いくつかのブレーキ配管41-45は一体に保持されている。
【0016】
複数のクランプ52、54、56には、ブレーキマスタシリンダ20に隣接する第1クランプ52が含まれる。第1クランプ52には、サブブラケット53が設けられている。サブブラケット53は、第1クランプ52と一体に形成されていてもよいし、第1クランプ52とは別の部材で構成されていてもよい。第1クランプ52のサブブラケット53は、ブレーキマスタシリンダ20のサブブラケット22と締結可能に構成されている。それら二つのサブブラケット53、22は、この段階では未だに互いに固定されない。但し、複数のブレーキ配管41、42をブレーキマスタシリンダ20へ接続する際に、その作業性を考慮して、二つのサブブラケット53、22が先に仮組み(即ち、緩く締結)されてもよい。
【0017】
加えて、複数のクランプ52、54、56には、ブレーキアクチュエータ30に隣接する第2クランプ54が含まれる。第2クランプ54にも、サブブラケット55が設けられている。サブブラケット55は、第2クランプ54と一体に形成されていてもよいし、第2クランプ54とは別の部材で構成されていてもよい。第2クランプ54のサブブラケット55は、ブレーキアクチュエータ30のサブブラケット32と締結可能に構成されている。それら二つのサブブラケット55、32は、この段階では未だに互いに固定されない。但し、複数のブレーキ配管41、42、44-46をブレーキアクチュエータ30へ接続する際に、その作業性を考慮して、二つのサブブラケット55、32が先に仮組み(即ち、緩く締結)されてもよい。
【0018】
次に、図1のステップS16では、サブブラケット22、53、32、55を連結する作業が行われる。図8に示すように、ブレーキマスタシリンダ20のサブブラケット22には、例えばボルトといった締結具62を用いて、第1クランプ52のサブブラケット53が締結される。これにより、ブレーキマスタシリンダ20の近傍において、複数のブレーキ配管41、42、44の位置が安定する。また、図9に示すように、ブレーキアクチュエータ30のサブブラケット32には、例えばボルトといった締結具64を用いて、第2クランプ54のサブブラケット55が締結される。これにより、ブレーキアクチュエータ30の近傍において、複数のブレーキ配管41、42、44-46の位置が安定する。
【0019】
最後に、図1のステップS18では、圧力機器20、30に対して、複数のブレーキ配管41-46を本組みする。即ち、複数のブレーキ配管41-46の各端を、圧力機器20、30に対してしっかりと固定する。これにより、圧力機器20、30及び複数のブレーキ配管41-46が、車体10に対して正しく組み付けられる。
【0020】
本実施例の製造方法では、クランプ52、54を圧力機器20、30に固定するためのブラケットが、二つのサブブラケット53、22、55、32に分割されており、それぞれが圧力機器20、30又はクランプ52、54に予め設けられている。このような構成によると、複数のブレーキ配管41-46を圧力機器20、30に接続した後は、クランプ52、54に設けられたサブブラケット53、55を、圧力機器20、30に設けられたサブブラケット22、32に締結するだけでよい。互いに締結される二つのサブブラケット53、22、55、32は、その形状を自由に設計することができ、二つのサブブラケット53、22、55、32が互いに締結される位置を、作業性に優れたスペースに設定することができる。また、ブレーキ配管41-46を車体10へ組み付ける際に、それらのブレーキ配管41-46を大きく変形させる必要も生じない。
【0021】
図10は、サブブラケット53、22の一変形例を示す。この変形例では、ブレーキマスタシリンダ20に設けられたサブブラケット22と、第1クランプ52に設けられたサブブラケット53とに対して、両者の相対回転を規制する回転規制構造72、74が付加されている。一例ではあるが、回転規制構造72、74は、一方のサブブラケット22に設けられた一対の爪72と、他方のサブブラケット53に設けられた一つの爪74とを有し、前者の一対の爪72の間隙に後者の一つの爪74が係合している。このような構成によると、二つのサブブラケット53、22を締結具62で仮組みしたときに、二つのサブブラケット53、22が自由に相対回転することを禁止することができる。このとき、回転規制構造72、74には、二つのサブブラケット53、22の相対回転が過度に禁止されないように、一定の遊びを設けてもよい。
【0022】
以上、本技術の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0023】
10:車体
20:圧力機器(ブレーキマスタシリンダ)
22:ブレーキマスタシリンダのサブブラケット
30:圧力機器(ブレーキアクチュエータ)
32:ブレーキアクチュエータのサブブラケット
41-46:ブレーキ配管
52、54、56:クランプ
53:第1クランプのサブブラケット
55:第2クランプのサブブラケット
62、64:締結具
72、74:回転規制構造(爪)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10