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▶ 株式会社オメガの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150532
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】蒸気発生装置
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/16 20060101AFI20231005BHJP
   A61L 2/07 20060101ALI20231005BHJP
   C02F 1/04 20230101ALN20231005BHJP
   F22B 1/06 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
F22B1/16 Z
A61L2/07
C02F1/04 A
F22B1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059684
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4C058
4D034
【Fターム(参考)】
4C058AA02
4C058AA07
4C058BB05
4D034AA01
4D034AA11
4D034BA05
4D034BA08
(57)【要約】
【課題】軟水機が不要である蒸気発生装置を提供しようとするもの。
【解決手段】流動性液状加熱媒体に被処理水を注入し、前記流動性液状加熱媒体から蒸発する水蒸気と流動性液状加熱媒体側に残留する固体成分とを分離するようにした。被処理水中の水分が流動性液状加熱媒体から蒸発して離脱することとなる。また、固体成分(硬度成分等)が分離された水蒸気を得ることができる。発生した水蒸気を二次的に昇温してドライ蒸気を得るようにしてもよい。このようにすると、ドライ蒸気による金属類の洗浄などの際に対象物を錆びさせる事態を抑制することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性液状加熱媒体に被処理水を注入し、前記流動性液状加熱媒体から蒸発する水蒸気と流動性液状加熱媒体側に残留する固体成分とを分離するようにしたことを特徴とする蒸気発生装置。
【請求項2】
前記発生した水蒸気を二次的に昇温してドライ蒸気を得るようにした請求項1記載の蒸気発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軟水機が不要である蒸気発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラーに使用する水の硬度成分を除去するための軟水機があった(非特許文献1)。
ボイラーのように熱水や蒸気を利用する設備では、水の中に含まれる硬度成分(カルシウムやマグネシウム)が大きな問題となる。使用する水に硬度成分が含まれていると、沸騰させた水から硬度成分が析出し内表面にスケール(硬度成分の結晶)が付着する。スケールは熱の伝達効率を低下させるだけでなく、パイプやバルブ詰まらせる原因となる。
そのため、熱水や蒸気に使用する水には硬度成分が含まれていない水、軟水を使うのが一般的であり、硬度成分を除去することができるのが軟水機である。
これに対し、軟水機が不要である蒸気発生装置に対する要望があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社丸山製作所HP 「軟水機一覧」 軟水機 軟水機一覧 株式会社丸山製作所 (maruyama-mfg.co.jp)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、軟水機が不要である蒸気発生装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この蒸気発生装置は、流動性液状加熱媒体に被処理水を注入し、前記流動性液状加熱媒体から蒸発する水蒸気と流動性液状加熱媒体側に残留する固体成分とを分離するようにしたことを特徴とする。
この蒸気発生装置では、流動性液状加熱媒体に被処理水を注入するようにしたので、被処理水中の水分が流動性液状加熱媒体(100℃以上に昇温)から蒸発して離脱することとなる。
【0006】
また、流動性液状加熱媒体から蒸発する水蒸気(気体)と流動性液状加熱媒体側に残留する固体成分とを分離するようにしたので、固体成分(硬度成分等)が分離された水蒸気を得ることができる。
そして、流動性液状加熱媒体(液状金属は密度が高い)と固体成分(金属より密度が低い)の比重差により、流動性液状加熱媒体の表面に浮上した固体成分を回収することができる。
【0007】
ここで、前記被処理水として、海水(海水淡水化する)、食塩水(脱塩する)、水道水(Cl-や夾雑物を除く)、排水・廃液(無機分などを除く)などを例示できる。前記固体成分として、食塩、カルシウム、マグネシウム、芒硝、鉄などの電解質や、シリカ、アルミナなどを例示できる。
前記流動性液状加熱媒体(100℃以上に昇温)として、低融点合金・金属(液状金属)、溶融食塩(ソルトバス)、オイルバスなどを例示することが出来る。低融点金属として、錫(熱伝導率 64W/mK、融点232℃、沸点2,063℃、密度7.3g/cm3)、鉛(熱伝導率 31W/mK、融点327.5℃、沸点1,750℃、密度11g/cm3)、インジウム(熱伝導率 82W/mK、融点156℃、沸点2,072℃、密度22 g/cm3)、ガリウム(熱伝導率 88W/mK、融点29.78℃、沸点2,208℃、密度6g/cm3)などを例示することができる。
【0008】
この用途として、発生した水蒸気に水を混合して温水乃至熱水(お湯)生成装置にすることができ、この温水等を風呂、洗面所、炊事場(いずれも家庭用、業務用を問わない)などで湯沸し器として利用することができる。
また、発生した水蒸気を風呂、トイレその他の殺菌(レジオネラ菌その他)用として利用することができ、建物の暖房や冷房などの温調に利用することもできる。
【0009】
(2)前記発生した水蒸気を二次的に昇温してドライ蒸気を得るようにしてもよい。このように、発生した水蒸気(100℃)を二次的に昇温してドライ蒸気(例えば374℃以上)を得るようにすると、ドライ蒸気による金属類(キャタピラその他)の洗浄などの際に対象物を錆びさせる事態を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
固体成分(硬度成分等)が分離された水蒸気を得ることができるので、軟水機が不要である蒸気発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
この実施形態の蒸気発生装置は、流動性液状加熱媒体に被処理水を注入し、前記流動性液状加熱媒体から蒸発する水蒸気と流動性液状加熱媒体側に残留する固体成分とを分離するようにした。前記被処理水として食塩水を脱塩した。固体成分として食塩が含まれていた。
【0012】
前記流動性液状加熱媒体(250℃に昇温した)として、低融点金属(溶融後に液状の金属)を用いた。低融点金属として、錫(熱伝導率 64W/mK、融点232℃、沸点2,063℃、密度7.3g/cm3)を用いた。
【0013】
次に、この実施形態の蒸気発生装置の使用状態を説明する。
この蒸気発生装置では、流動性液状加熱媒体(低融点金属、錫)に被処理水を注入するようにしたので、被処理水中の水分が流動性液状加熱媒体(250℃に昇温)から蒸発して離脱することとなった。
また、流動性液状加熱媒体(錫)から蒸発する水蒸気(気体)と流動性液状加熱媒体側に残留する固体成分(食塩)とを分離するようにしたので、固体成分が分離された水蒸気を得ることができ、軟水機が不要であった。
【0014】
そして、流動性液状加熱媒体(錫、密度7.3g/cm3)と固体成分(食塩)の比重差により、流動性液状加熱媒体の表面に浮上した固体成分を回収することができた。
【実施例0015】
上記のようにして発生した水蒸気に水を混合して熱水にし、風呂、洗面所、炊事場の殺菌、洗浄に使用した。
【実施例0016】
上記のようにして発生した水蒸気を二次的に加熱・昇温してドライ蒸気を得るようにした。具体的には、発生した水蒸気(100℃)を二次的に昇温してドライ蒸気(450℃)を得て、金属(鉄板)を洗浄し、事後的に錆びさせる事態を抑制することができた。
【産業上の利用可能性】
【0017】
軟水機が不要であることによって、種々の蒸気発生装置の用途に適用することができる。