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特開2023-150541水素生成システムおよび水素生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150541
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】水素生成システムおよび水素生成方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/14 20060101AFI20231005BHJP
   C25B 1/042 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 9/015 20210101ALI20231005BHJP
   C25B 13/07 20210101ALI20231005BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20231005BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20231005BHJP
   C01B 3/02 20060101ALN20231005BHJP
   C09K 5/06 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
C01B3/14
C25B1/042
C25B9/00 A
C25B9/015
C25B13/07
F02C6/00 E
F02C6/18 Z
C01B3/02 H
C09K5/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059695
(22)【出願日】2022-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松田 直彦
(72)【発明者】
【氏名】森 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩井 康
(72)【発明者】
【氏名】四方 健太郎
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC07
4K021DB40
4K021DC03
(57)【要約】
【課題】水素を生成する際に停止することのあるガスタービンで発生した熱を有効に利用して水素を生成する。
【解決手段】圧縮機11により圧縮された空気と燃料ガスとを燃焼器12で燃焼させて燃焼ガスを生成するとともに燃焼ガスによりタービン13およびタービンに連結された圧縮機を駆動するガスタービン10と、タービンを駆動した燃焼ガスにより加熱される蓄熱構造体30と、蓄熱構造体30に蓄熱された熱により水蒸気を生成するボイラ40と、水素極51と、酸素極52と、水素極と酸素極との間に配置される電解質層53と、を有し、ボイラ40により生成された水蒸気を水素極51に供給して水蒸気電解により水素を生成する固体酸化物形電解セル50と、を備える発電システム100を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機により圧縮された空気と燃料ガスとを燃焼器で燃焼させて燃焼ガスを生成するとともに前記燃焼ガスによりタービンおよび前記タービンに連結された圧縮機を駆動するガスタービンと、
前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより加熱される蓄熱構造体と、
前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成する水蒸気生成部と、
水素極と、酸素極と、前記水素極と前記酸素極との間に配置される電解質層と、を有し、前記水蒸気生成部により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成する電解セルと、を備える水素生成システム。
【請求項2】
前記ガスタービンから排出される前記燃焼ガスを第1方向に沿って前記蓄熱構造体に流入させる第1配管と、
前記第1方向と対向する第2方向に沿って前記水蒸気を加熱するための熱媒体を前記蓄熱構造体に流入させる第2配管と、を備える請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項3】
前記蓄熱構造体は、セラミック材料により形成されている請求項1または請求項2に記載の水素生成システム。
【請求項4】
前記蓄熱構造体は、カプセルに封止されるとともに前記燃焼ガスにより加熱されて溶融して溶融塩または溶融金属となる蓄熱材を有する請求項1または請求項2に記載の水素生成システム。
【請求項5】
前記電解セルにより生成された水素を貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部に貯蔵された水素を前記燃焼器へ供給する供給配管と、を備える請求項1または請求項2に記載の水素生成システム。
【請求項6】
前記タービンに連結されるとともに前記タービンの回転に応じて発電する発電機を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水素生成システム。
【請求項7】
水素生成システムにより水素を生成する水素生成方法であって、
前記水素生成システムは、
圧縮機により圧縮された空気と燃料ガスとを燃焼器で燃焼させて燃焼ガスを生成するとともに前記燃焼ガスによりタービンおよび前記タービンに連結された圧縮機を駆動するガスタービンと、
水素極と、酸素極と、前記水素極と前記酸素極との間に配置される電解質層と、を有する電解セルと、を備え、
前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより蓄熱構造体を加熱する加熱工程と、
前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成する水蒸気生成工程と、
前記水蒸気生成工程により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成するように前記電解セルを運転する運転工程と、を備える水素生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素生成システムおよび水素生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電設備で生じた余剰電力等を利用して水素を製造する装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1は、固体酸化物形電解セル(SOEC:Solid Oxide Electrolysis Cell)を備えた装置に関するものであり、SOECで生成した水素を用いて発電する燃料電池の反応熱を蓄熱装置に回収し、SOECへ供給される水蒸気を加熱することが開示されている。また、特許文献2には、ガスタービンシステムの排気出力から回収した熱により発生した蒸気を電解ユニットに供給し、蒸気から水素ガスを発生させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-173082号公報
【特許文献2】特開2014-141965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、SOECが動作する際に同時に動作する燃料電池の反応熱を利用している。そのため、SOECが動作する際には停止することのある他の装置で発生した熱を有効に利用することができない。
【0005】
また、特許文献2では、ガスタービンシステムの排気出力から回収した熱を利用して水素ガスを発生させ、発生した水素ガスをガスタービンシステムの燃料として利用している。そのため、ガスタービンシステムが動作する際には停止することのある他の装置で発生した熱を有効に利用することができない。
【0006】
以上のように、特許文献1および特許文献2のいずれも、水素を生成する際に停止することのある他の装置で発生した熱を有効に利用することができない。例えば、再生可能エネルギー発電設備から供給される余剰電力を利用して水素を生成する場合、再生可能エネルギー発電設備から供給される電力量が減少する時間帯(太陽光発電であれば夜間)にのみ動作する他の発電装置で発生する熱を有効に利用することができない。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、水素を生成する際に停止することのガスタービンで発生した熱を有効に利用して水素を生成することが可能な水素生成システムおよび水素生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
本開示に係る水素生成システムは、圧縮機により圧縮された空気と燃料ガスとを燃焼器で燃焼させて燃焼ガスを生成するとともに前記燃焼ガスによりタービンおよび前記タービンに連結された圧縮機を駆動するガスタービンと、前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより加熱される蓄熱構造体と、前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成する水蒸気生成部と、水素極と、酸素極と、前記水素極と前記酸素極との間に配置される電解質層と、を有し、前記水蒸気生成部により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成する電解セルと、を備える。
【0009】
本開示に係る水素生成方法は、水素生成システムにより水素を生成する水素生成方法であって、前記水素生成システムは、圧縮機により圧縮された空気と燃料ガスとを燃焼器で燃焼させて燃焼ガスを生成するとともに前記燃焼ガスによりタービンおよび前記タービンに連結された圧縮機を駆動するガスタービンと、水素極と、酸素極と、前記水素極と前記酸素極との間に配置される電解質層と、を有する電解セルと、を備え、前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより蓄熱構造体を加熱する加熱工程と、前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成する水蒸気生成工程と、前記水蒸気生成工程により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成するように前記電解セルを運転する運転工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、水素を生成する際に停止することのあるガスタービンで発生した熱を有効に利用して水素を生成することが可能な水素生成システムおよび水素生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態に係る発電システムの概略構成を示す図である。
図2】蓄熱構造体の第1面から第1方向の距離と温度との関係を示すグラフである。
図3】発電システムが実行する動作を示すフローチャートである。
図4】所定時刻からの経過時間と供給電力量および需要電力量との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1実施形態〕
以下に、本開示の一実施形態に係る発電システム(水素生成システム)100について、図1を参照して説明する。本実施形態の発電システム100は、ガスタービン10と、発電機20と、蓄熱構造体30と、ボイラ(水蒸気生成部)40と、固体酸化物形電解セル50と、水素分離設備60と、水素貯蔵設備(貯蔵部)70と、制御装置(制御部)80と、を備える。
【0013】
発電システム100は、発電機20が生成する電力を電力系統PSに供給するとともに、電力系統PSから供給される電力により固体酸化物形電解セル50を動作させる。電力系統PSには、太陽光発電設備等の再生可能エネルギー発電設備200から出力変換器210および変圧器220を介して電力が供給される。
【0014】
電力系統PSに出力された電力は負荷設備300に供給される。また、電力系統PSに供給される電力は、変圧器120および出力変換器110を介して発電システム100の固体酸化物形電解セル50に供給される。電力系統PSは、例えば、負荷設備300で要求される電力よりも再生可能エネルギー発電設備200から供給される電力が大きく、余剰電力が発生する場合に、余剰電力を発電システム100の固体酸化物形電解セル50に供給する。
【0015】
ガスタービン10は、圧縮機11と、燃焼器12と、タービン13と、回転軸14と、を有する。圧縮機11は、空気を取り込んで圧縮し、燃焼器12へ燃焼用空気として供給する。燃焼器12は、圧縮機11から供給される空気と燃料ガスG1を混合して燃焼させて燃焼ガスG2を生成し、燃焼ガスG2をタービン13に供給する。タービン13は、燃焼ガスG2により回転し、回転軸14を介して連結された圧縮機11および発電機20を駆動する。
【0016】
制御装置80が制御弁12aを開状態に制御した場合、燃焼器12には、燃料ガスG1が供給される。また、制御装置80が制御弁12bを開状態に制御した場合、燃焼器12には、水素貯蔵設備70から水素が供給される。燃料ガスG1は、例えば、液化天然ガス(LNG)を気化させたガスあるいは天然ガス、都市ガス、水素(H)及び一酸化炭素(CO)、メタン(CH)等の炭化水素ガス、及び炭素質原料(石油や石炭等)のガス化設備により製造されたガス等である。
【0017】
発電機20は、回転軸14を介してタービン13に連結されるとともにタービン13の回転に応じて発電する装置である。発電機20が生成した電力は、電力系統PSに供給される。発電機20が生成した電力は、電力系統PSとはことなる他の電力系統や他の負荷設備に供給されてもよい。
【0018】
蓄熱構造体30は、タービン13を駆動した燃焼ガスG2により加熱される構造体である。蓄熱構造体30は、例えば、レンガ等のセラミック材料により形成されており、燃焼ガスG2を通気可能な流路が内部に設けられている。蓄熱構造体30は、カプセルに封止されるとともに燃焼ガスG2により加熱されて溶融して溶融塩または溶融金属となる蓄熱材を有するものとしてもよい。図1に示すように、蓄熱構造体30は、燃焼ガスG2の流通方向である第1方向Dr1に沿ってL1の長さを有する。
【0019】
蓄熱材として、例えば、硝酸ナトリウム(NaNO)と硝酸カリウム(KNO)とを混合した溶融塩を用いることができる。また、蓄熱材として、例えば、アルミニウム合金を含む溶融金属と用いることができる。
【0020】
本実施形態の発電システム100は、蓄熱構造体30に燃焼ガスG2を流入させる燃焼ガス流入配管(第1配管)31を備える。燃焼ガス流入配管31は、ガスタービン10から排出される燃焼ガスG2を、第1方向Dr1に沿って第1面30aから蓄熱構造体30に流入させる。第1面30aから蓄熱構造体30に流入した燃焼ガスG2は、第1方向Dr1に沿って蓄熱構造体30の各部を加熱し、第2面30bから外部へ排出される。
【0021】
本実施形態の発電システム100は、蓄熱構造体30に空気(熱媒体)A1を流入させる空気流入配管(第2配管)32を備える。空気流入配管32は、空気A1を、第1方向Dr1と対向する(逆向きの)第2方向Dr2に沿って第2面30bから蓄熱構造体30に流入させる。第2面30bから蓄熱構造体30に流入した空気A1は、第2方向Dr2に沿って蓄熱構造体30の各部から加熱され、第1面30aから空気供給配管33へ排出される。空気供給配管33へ排出された空気A1は、ボイラ40へ導かれる。
【0022】
ボイラ40へ供給する空気A1を第2方向Dr2に沿って蓄熱構造体30に流入させているのは、最も蓄熱されやすい第1方向Dr1の上流側(第2方向Dr2の下流側)から空気A1を流出させ、空気A1の温度を安定して高い温度に維持するためである。図2は、蓄熱構造体の第1面から第1方向の距離と温度との関係を示すグラフである。図2において、Ta,Tb,Tc,Td,Teは、蓄熱構造体30に燃焼ガスG2を通気させる経過時間を示し、Ta<Tb<Tc<Td<Teの関係を有する。
【0023】
図2において、温度TEmaxは、燃焼ガス流入配管31から蓄熱構造体30に流入する燃焼ガスG2の温度であり、例えば、500℃以上かつ750℃以下の温度である。温度TEminは、蓄熱構造体30に燃焼ガスG2が流入する前の環境温度であり、例えば、10℃以上かつ30℃以下の温度である。
【0024】
図2に示すように、時刻Taにおいて、蓄熱構造体30の第1面30aからの第1方向Dr1の距離が0(すなわち、第1面30aそのもの)の部分の温度はTEmaxである。そして、第1面30aからの第1方向Dr1の距離が長くなるにしたがって温度が低下する。時刻Tbにおいて、蓄熱構造体30の第1面30aからの第1方向Dr1の距離が0からLbまでの領域の温度はTEmaxとなり、時刻Taよりも温度がTEmaxとなる領域が増加する。
【0025】
そして、時刻Ta、時刻Tb、時刻Tc、時刻Td、時刻Teと蓄熱構造体30に燃焼ガスG2を通気させる経過時間が長くなるにしたがって、蓄熱構造体30の温度TEmaxとなる領域が漸次増加する。このように、蓄熱構造体30は、第1面30aからの第1方向Dr1の距離が短いほど熱が蓄熱されやすい。
【0026】
空気A1は、空気流入配管32から蓄熱構造体30の第2面30bに流入するが、蓄熱構造体30から空気A1が流出する第2方向Dr2の下流側は第1方向Dr1の上流側となっている。蓄熱構造体30の第1面30aから第1方向Dr1の距離と温度との関係を示すグラフである図2において、Ta,Tb,Tc,Td,Teは、蓄熱構造体30に空気A1を通気させる経過時間を示し、Te<Td<Tc<Tb<Taの関係を有する。空気A1が最も加熱されやすい第1方向Dr1の上流側の第1面30aから空気供給配管33に流出するため、空気A1の温度を安定して高い温度に維持して流出させることができる。空気供給配管33に流出する空気A1の温度は、例えば、500℃以上かつ750℃以下である。
【0027】
ボイラ40は、蓄熱構造体30に蓄熱された熱により水蒸気を生成し、固体酸化物形電解セル50に供給する装置である。蓄熱構造体30に蓄熱された熱は、蓄熱構造体30により加熱された空気A1としてボイラ40に供給される。ボイラ40は、水供給配管41から供給される水を、空気供給配管33から供給される空気A1により加熱して水蒸気S1を生成する。水蒸気S1は、水蒸気供給管42により固体酸化物形電解セル50の水素極51に供給される。水素極51に供給される水蒸気S1の温度は、例えば、400℃以上である。
【0028】
固体酸化物形電解セル50は、ボイラ40により生成された水蒸気S1を水素極51に供給して水蒸気電解により水素および酸素を生成する装置である。固体酸化物形電解セル50は、水素極51と、酸素極52と、水素極51と酸素極52との間に配置される電解質層53と、を有する。
【0029】
水素極51は、Niとジルコニア系電解質材料との複合材の酸化物で構成され、例えば、Ni/YSZが用いられる。酸素極52は、例えば、LaSrMnO系酸化物、又はLaCoO系酸化物で構成される。電解質層53は、例えば、ガスを通しにくい気密性と、高温で高い酸素イオン導電性とを備えるYSZが主として用いられる。
【0030】
図1に示す固体酸化物形電解セル50は、水素極51と、酸素極52と、電解質層53との関係を模式的に示したものである。固体酸化物形電解セル50としては、例えば、円筒形状で多孔質材料からなる管体に水素極51を配置し、水素極51の上に電解質層53を配置し、電解質層53の上に酸素極52を配置した円筒形セルスタックを用いることができる。
【0031】
水素極51と酸素極52との間に電力系統PSから供給される電力を供給すると、水素極51に供給された高温の水蒸気S1の一部は電子を受けて水素と酸素イオンに分離され水素を生成する。分離された酸素イオンは電解質層53の内部を酸素極52へ移動し、電子を放出して酸素が生成される。
【0032】
水素分離設備60は、固体酸化物形電解セル50の水素極51で生成された水素と水蒸気との混合気から水蒸気を除去して水素を分離する設備である。水素分離設備60は、混合気から分離された水素を水素貯蔵設備へ供給する。
【0033】
水素貯蔵設備70は、水素分離設備60から供給される水素を貯蔵し、水素供給配管71を介して水素供給先へ水素を供給する設備である。また、水素貯蔵設備70は、水素供給配管72を介してガスタービン10の燃焼器12に水素を供給することができる。水素貯蔵設備70は、制御装置80が制御弁12bを開状態に制御した場合に、燃焼器12の燃料として水素を供給する。
【0034】
制御装置80は、発電システム100を制御する装置である。制御装置80は、制御プログラムを記憶する記憶部(図示略)とプログラムを実行する演算部(図示略)とを有し、記憶部から読み出したプログラムを演算部で実行することにより、発電システム100を制御する各種の動作を実行する。
【0035】
次に、本実施形態の発電システム100が実行する動作について図面を参照して説明する。図3は、本実施形態の発電システム100が実行する動作を示すフローチャートである。図4は、所定時刻からの経過時間と供給電力量および需要電力量との関係の一例を示すグラフである。
【0036】
図4において、所定時刻とは例えば午前3時であり、経過時間は所定時刻からの24時間を経過するまでの時間を示す。図4に示す実線は、負荷設備300の需要電力量の一例を示す。負荷設備300の需要電力量は、深夜から朝の時間帯TZmの一部と、夕方から深夜までの時間帯TZnの一部で特に多い。負荷設備300の需要電力量は、昼間の時間帯TZdではどの時刻であっても、時間帯TZmのピーク電力量Pmおよび時間帯TZnのピーク電力量Pnよりも少ない。
【0037】
図4に示す点線は、再生可能エネルギー発電設備200から供給される供給電力量を示す。再生可能エネルギー発電設備200の供給電力量は、時間帯TZdで多く、時間帯TZmおよび時間帯TZnでは少ないかゼロとなる。再生可能エネルギー発電設備200の供給電力量は、時間帯TZdにおいて、負荷設備300の需要電力量を上回る。図4に示す例では、時間帯TZdにおいて、再生可能エネルギー発電設備200の供給電力量から負荷設備300の需要電力量を減算した分の余剰電力量が生じる。
【0038】
図3のステップS101において、制御装置80は、現在の時間帯がTZdであるかどうかを判断し、YESであればステップS102に処理を進め、NOであればステップS105に処理を進める。
【0039】
ステップS102において、制御装置80は、時間帯がTZdでは再生可能エネルギー発電設備200の余剰電力が発生するため、ガスタービン10を停止させるよう制御する。
【0040】
ステップS103において、後述するステップS107で燃焼ガスG2により加熱された蓄熱構造体30に空気流入配管32から空気A1を供給し、加熱された空気A1をボイラ40へ供給する。ボイラ40は、水供給配管41から供給される水を空気A1により加熱して水蒸気S1を生成し、水素極51へ導く。
【0041】
ステップS104において、制御装置80は、再生可能エネルギー発電設備200から電力系統PSに出力される余剰電力を固体酸化物形電解セル50に供給し、固体酸化物形電解セル50を運転状態とする。固体酸化物形電解セル50は、水素を生成して水素貯蔵設備70へ貯蔵する。
【0042】
ステップS104で固体酸化物形電解セル50が運転する際に、水素極51に供給される水蒸気S1の熱源として、ガスタービン10から供給される燃焼ガスG2により加熱された蓄熱構造体30の熱が用いられる。固体酸化物形電解セル50が運転する際には、ガスタービン10が停止しているが、蓄熱構造体30に蓄熱された熱を水蒸気S1を生成する熱源として利用することができる。
【0043】
ステップS105において、制御装置80は、時間帯がTZmまたはTZnであり、再生可能エネルギー発電設備200の余剰電力が生じないため、固体酸化物形電解セル50を停止させる。
【0044】
ステップS106において、制御装置80は、時間帯がTZmまたはTZnであり、再生可能エネルギー発電設備200の供給電力量よりも負荷設備300の需要電力量が多いことから、需要電力量を満たすために、ガスタービン10を運転するよう制御する。ガスタービン10が運転することにより、発電機20が駆動されて電力が生成され、電力系統PSを介して負荷設備300に供給される。
【0045】
ステップS107において、制御装置80は、水素貯蔵設備70から水素供給配管72を介して燃焼器12へ水素を供給することが可能かどうかを判断し、YESであればステップS108に処理を進め、NOであればステップS109に処理を進める。制御装置80は、例えば、水素貯蔵設備70に所定の閾値よりも多い水素が貯蔵されている場合に、燃焼器12へ水素を供給することが可能と判断する。
【0046】
ステップS108において、制御装置80は、制御弁12bを開状態とし、水素貯蔵設備70から水素供給配管72を介して燃焼器12へ水素を供給する。燃焼器12は、水素貯蔵設備70から供給される水素と圧縮機11から供給される空気とを混合して燃焼させる。
【0047】
ステップS109において、制御装置80は、制御弁12aを開状態とし、燃焼器12へ燃料ガスを供給する。燃焼器12は、水素貯蔵設備70から供給される水素と圧縮機11から供給される空気とを混合して燃焼させる。
【0048】
ステップS110において、運転中のガスタービン10で生成される燃焼ガスG2を蓄熱構造体30へ供給し、蓄熱構造体30を加熱する。蓄熱構造体30は、ガスタービン10から供給される燃焼ガスG2の熱量および供給時間に応じて加熱され、燃焼ガスG2の熱を蓄熱する。
【0049】
ステップS108およびステップS109において燃焼器12で生成される燃焼ガスG2は、ステップS110において蓄熱構造体30に供給されて蓄熱される。ガスタービン10の運転中には固体酸化物形電解セル50が停止しているため、固体酸化物形電解セル50の運転時に用いる水蒸気S1の熱源として、燃焼ガスG2を直接的には用いることができない。そこで、ステップS110において、燃焼ガスG2の熱を蓄熱構造体30に蓄熱することで、固体酸化物形電解セル50の運転時に用いる水蒸気S1の熱源として燃焼ガスG2を間接的に用いることができる。
【0050】
ステップS111で、制御装置80は、発電システム100を停止させる停止条件を満たしているかどうかを判断し、YESであれば発電システム100を停止させて本フローチャートの処理を終了させる。制御装置80は、ステップS111の判断がNOであれば、ステップS101からの処理を繰り返し実行する。
【0051】
以上で説明した本実施形態の発電システム100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の発電システム100によれば、ガスタービン10で燃料ガスG1を燃焼させて生成された燃焼ガスG2により蓄熱構造体30が加熱されて燃焼ガスG2の熱が保持される。ボイラ40は、蓄熱構造体30に蓄熱された熱により水蒸気S1を生成し、固体酸化物形電解セル50の水素極51に供給する。固体酸化物形電解セル50は、水素極51に供給された水蒸気S1を水蒸気電解することにより水素を生成する。
【0052】
固体酸化物形電解セル50が水蒸気電解を行う際に必要な電力として、例えば、再生可能エネルギー発電設備200から供給される余剰電力が利用される。余剰電力が利用できる時間帯TZdに固体酸化物形電解セル50を動作させる場合に、ガスタービン10は停止しているが、ガスタービン10の動作中に発生した燃焼ガスG2の熱は蓄熱構造体30に蓄熱されている。そのため、ボイラ40は、蓄熱構造体30に蓄熱された熱により水蒸気S1を生成し、固体酸化物形電解セル50に供給することができる。このように、本実施形態の発電システム100によれば、水素を生成する際に停止することのある他の装置であるガスタービン10で発生した燃焼ガスG2の熱を有効に利用することができる。
【0053】
また、本実施形態の発電システム100によれば、ガスタービン10から排出される燃焼ガスG2が第1方向Dr1に沿って蓄熱構造体30に流入するため、第1方向Dr1の上流側が最も蓄熱されやすく上流側から下流側に向けて燃焼ガスG2の熱が伝播する。一方、空気A1が第1方向Dr1と対向する第2方向Dr2に沿って蓄熱構造体30に流入するため、蓄熱構造体30から空気A1が流出する第2方向Dr2の下流側は第1方向Dr1の上流側となっている。空気A1が最も蓄熱されやすい第1方向Dr1の上流側から流出するため、空気A1の温度を安定して高い温度に維持して流出させることができる。
【0054】
また、本実施形態の発電システム100によれば、蓄熱構造体30が比較的安価なレンガ等のセラミック材料により形成されているため、蓄熱構造体30の製造コストを低減することができる。
【0055】
また、本実施形態の発電システム100によれば、蓄熱構造体30が燃焼ガスG2により加熱されて溶融して溶融塩または溶融金属となる蓄熱材を有するため、セラミック材料により蓄熱構造体30を形成する場合に比べ、蓄熱構造体30の設置面積を小さくすることができる。
【0056】
また、本実施形態の発電システム100によれば、固体酸化物形電解セル50により生成された水素を水素貯蔵設備70に貯蔵し、ガスタービン10を動作させるタイミングで水素供給配管72から燃焼器12へ水素を供給することができる。そのため、ガスタービン10で生成された燃焼ガスG2の熱を利用して生成された水素を、ガスタービン10の燃焼器12の燃料として活用し、発電システム100の燃料消費量を低減することができる。
【0057】
以上説明した各実施形態に記載の発電システムは例えば以下のように把握される。
本開示に係る水素生成システム(100)は、圧縮機(11)により圧縮された空気と燃料ガスとを燃焼器(12)で燃焼させて燃焼ガスを生成するとともに前記燃焼ガスによりタービン(13)および前記タービンに連結された圧縮機を駆動するガスタービン(10)と、前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより加熱される蓄熱構造体(30)と、前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成する水蒸気生成部(40)と、水素極(51)と、酸素極(52)と、前記水素極と前記酸素極との間に配置される電解質層(53)と、を有し、前記水蒸気生成部により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成する電解セル(50)と、を備える。
【0058】
本開示に係る水素生成システムによれば、ガスタービンで燃料ガスを燃焼させて生成された燃焼ガスにより蓄熱構造体が加熱されて燃焼ガスの熱が保持される。水蒸気生成部は、蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成し、電解セルの水素極に供給する。電解セルは、水素極に供給された水蒸気を水蒸気電解することにより水素を生成する。
【0059】
電解セルが水蒸気電解を行う際に必要な電力として、例えば、再生可能エネルギー発電設備等から供給される余剰電力が利用される。余剰電力が利用できる時間帯に電解セルを動作させる場合に、ガスタービンは停止している可能性があるが、ガスタービンの動作中に発生した燃焼ガスの熱は蓄熱構造体に蓄熱されている。そのため、水蒸気生成部は、蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成し、電解セルに供給することができる。このように、本開示に係る水素生成システムによれば、水素を生成する際に停止することのあるガスタービンで発生した燃焼ガスの熱を有効に利用して水素を生成することができる。
【0060】
本開示に係る水素生成システムにおいては、前記ガスタービンから排出される前記燃焼ガスを第1方向に沿って前記蓄熱構造体に流入させる第1配管(31)と、前記第1方向と対向する第2方向に沿って前記水蒸気を加熱するための熱媒体を前記蓄熱構造体に流入させる第2配管(32)と、を備える構成としてもよい。
【0061】
本構成に係る水素生成システムによれば、ガスタービンから排出される燃焼ガスが第1方向に沿って蓄熱構造体に流入するため、第1方向の上流側が最も蓄熱されやすく上流側から下流側に向けて燃焼ガスの熱が伝播する。一方、熱媒体(例えば、空気)が第1方向と対向する第2方向に沿って蓄熱構造体に流入するため、蓄熱構造体から熱媒体が流出する第2方向の下流側は第1方向の上流側となっている。熱媒体が最も蓄熱されやすい第1方向の上流側から流出するため、熱媒体の温度を安定して高い温度に維持して流出させることができる。
【0062】
上記構成に係る水素生成システムにおいては、前記蓄熱構造体は、セラミック材料により形成されている構成としてもよい。
本構成の水素生成システムによれば、蓄熱構造体が比較的安価なレンガ等のセラミック材料により形成されているため、蓄熱構造体の製造コストを低減することができる。
【0063】
本開示に係る水素生成システムにおいて、前記蓄熱構造体は、カプセルに封止されるとともに前記燃焼ガスにより加熱されて溶融して溶融塩または溶融金属となる蓄熱材を有する構成としてもよい。
本構成の水素生成システムによれば、蓄熱構造体が燃焼ガスにより加熱されて溶融して溶融塩または溶融金属となる蓄熱材を有するため、セラミック材料により蓄熱構造体を形成する場合に比べ、蓄熱構造体の設置面積を小さくすることができる。
【0064】
本開示に係る水素生成システムにおいては、前記電解セルにより生成された水素を貯蔵する貯蔵部(70)と、前記貯蔵部に貯蔵された水素を前記燃焼器へ供給する供給配管(72)と、を備える構成としてもよい。
本構成に係る水素生成システムによれば、電解セルにより生成された水素を貯蔵部に貯蔵し、ガスタービンを動作させるタイミングで供給配管から燃焼器へ水素を供給することができる。そのため、ガスタービンで生成された燃焼ガスの熱を利用して生成された水素を、ガスタービンの燃焼器の燃料として活用し、発電システムの燃料消費量を低減することができる。
【0065】
本開示に係る水素生成システムは、前記タービンに連結されるとともに前記タービンの回転に応じて発電する発電機を備える構成としてもよい。
本構成の水素生成システムによれば、タービンの回転に応じて発電する発電機により電力を生成することができる。
【0066】
本開示に係る水素生成方法は、水素生成システムにより水素を生成する水素生成方法であって、前記水素生成システムは、圧縮機により圧縮された空気と燃料ガスとを燃焼器で燃焼させて燃焼ガスを生成するとともに前記燃焼ガスによりタービンおよび前記タービンに連結された圧縮機を駆動するガスタービンと、水素極と、酸素極と、前記水素極と前記酸素極との間に配置される電解質層と、を有する電解セルと、を備え、前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより蓄熱構造体を加熱する加熱工程と、前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成する水蒸気生成工程と、前記水蒸気生成工程により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成するように前記電解セルを運転する運転工程と、を備える。
【0067】
本開示に係る水素生成方法によれば、ガスタービンで燃料ガスを燃焼させて生成された燃焼ガスにより蓄熱構造体が加熱されて燃焼ガスの熱が保持される。水蒸気生成工程は、蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成し、電解セルの水素極に供給する。電解セルは、水素極に供給された水蒸気を水蒸気電解することにより水素を生成する。
【0068】
電解セルが水蒸気電解を行う際に必要な電力として、例えば、再生可能エネルギー発電設備等から供給される余剰電力が利用される。余剰電力が利用できる時間帯に電解セルを動作させる場合に、ガスタービンは停止している可能性があるが、ガスタービンの動作中に発生した燃焼ガスの熱は蓄熱構造体に蓄熱されている。そのため、水蒸気生成工程は、蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成し、電解セルに供給することができる。このように、本開示に係る水素生成方法によれば、水素を生成する際に停止することのあるガスタービンで発生した燃焼ガスの熱を有効に利用して水素を生成することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 ガスタービン
11 圧縮機
12 燃焼器
12a,12b 制御弁
13 タービン
14 回転軸
20 発電機
30 蓄熱構造体
30a 第1面
30b 第2面
31 燃焼ガス流入配管(第1配管)
32 空気流入配管(第2配管)
33 空気供給配管
40 ボイラ(水蒸気生成部)
41 水供給配管
42 水蒸気供給管
50 固体酸化物形電解セル
51 水素極
52 酸素極
53 電解質層
60 水素分離設備
70 水素貯蔵設備(貯蔵部)
71,72 水素供給配管
80 制御装置
100 発電システム(水素生成システム)
200 再生可能エネルギー発電設備
300 負荷設備
A1 空気
Dr1 第1方向
Dr2 第2方向
G1 燃料ガス
G2 燃焼ガス
PS 電力系統
Pm,Pn ピーク電力量
S1 水蒸気
TZd,TZm,TZn 時間帯
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機により圧縮された空気と燃料ガスとを燃焼器で燃焼させて燃焼ガスを生成するとともに前記燃焼ガスによりタービンおよび前記タービンに連結された圧縮機を駆動するガスタービンと、
前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより加熱される蓄熱構造体と、
前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成する水蒸気生成部と、
水素極と、酸素極と、前記水素極と前記酸素極との間に配置される電解質層と、を有し、前記水蒸気生成部により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成する電解セルと、
前記ガスタービンおよび前記電解セルの運転状態を制御する制御装置と、を備え
前記ガスタービンを停止させかつ前記電解セルを運転するよう前記制御装置が制御する状態で、前記燃焼ガスにより加熱された前記蓄熱構造体に熱媒体を流入させ、前記蓄熱構造体により加熱された前記熱媒体を前記水蒸気生成部に供給して前記水蒸気を生成し、前記水蒸気生成部で生成された前記水蒸気を前記水素極に供給する水素生成システム。
【請求項2】
負荷設備に電力を供給する電力系統から供給される電力を変換して前記電解セルに供給する出力変換器を備え、
前記制御装置は、現在の時間帯が第1時間帯である場合に前記ガスタービンを停止させるとともに前記水蒸気生成部で生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して前記電解セルを運転するよう制御し、現在の時間帯が前記第1時間帯よりも前記負荷設備の電力需要量が多い第2時間帯である場合に前記ガスタービンを運転して前記ガスタービンで生成される前記燃焼ガスにより前記蓄熱構造体を加熱するよう制御する請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項3】
前記ガスタービンから排出される前記燃焼ガスを第1方向に沿って前記蓄熱構造体に流入させる第1配管と、
前記第1方向と対向する第2方向に沿って前記水蒸気を加熱するための前記熱媒体を前記蓄熱構造体に流入させる第2配管と、を備える請求項1または請求項2に記載の水素生成システム。
【請求項4】
前記蓄熱構造体は、セラミック材料により形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水素生成システム。
【請求項5】
前記蓄熱構造体は、カプセルに封止されるとともに前記燃焼ガスにより加熱されて溶融して溶融塩または溶融金属となる蓄熱材を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水素生成システム。
【請求項6】
前記電解セルにより生成された水素を貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部に貯蔵された水素を前記燃焼器へ供給する供給配管と、を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水素生成システム。
【請求項7】
前記タービンに連結されるとともに前記タービンの回転に応じて発電する発電機を備える請求項1から請求項のいずれか一項に記載の水素生成システム。
【請求項8】
水素生成システムにより水素を生成する水素生成方法であって、
前記水素生成システムは、
圧縮機により圧縮された空気と燃料ガスとを燃焼器で燃焼させて燃焼ガスを生成するとともに前記燃焼ガスによりタービンおよび前記タービンに連結された圧縮機を駆動するガスタービンと、
前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより加熱される蓄熱構造体と、
前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成する水蒸気生成部と、
水素極と、酸素極と、前記水素極と前記酸素極との間に配置される電解質層と、を有し、前記水蒸気生成部により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成する電解セルと、を備え、
前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより前記蓄熱構造体を加熱する加熱工程と、
前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により前記水蒸気を生成する水蒸気生成工程と、
前記水蒸気生成工程により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成するように前記電解セルを運転する運転工程と、を備え
前記ガスタービンを停止させかつ前記運転工程が前記電解セルを運転する状態で、前記水蒸気生成工程は、前記燃焼ガスにより加熱された前記蓄熱構造体に熱媒体を流入させ、前記蓄熱構造体により加熱された前記熱媒体を前記水蒸気生成部に供給して前記水蒸気を生成し、生成された前記水蒸気を前記水素極に供給する水素生成方法。
【請求項9】
前記水素生成システムは、負荷設備に電力を供給する電力系統から供給される電力を変換して前記電解セルに供給する出力変換器を備え、
前記運転工程は、現在の時間帯が第1時間帯である場合に前記ガスタービンを停止させるとともに前記水蒸気生成部で生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して前記電解セルを運転し、
前記加熱工程は、現在の時間帯が前記第1時間帯よりも前記負荷設備の電力需要量が多い第2時間帯である場合に前記ガスタービンを運転して前記ガスタービンで生成される前記燃焼ガスにより前記蓄熱構造体を加熱する請求項8に記載の水素生成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
本開示に係る水素生成システムは、圧縮機により圧縮された空気と燃料ガスとを燃焼器で燃焼させて燃焼ガスを生成するとともに前記燃焼ガスによりタービンおよび前記タービンに連結された圧縮機を駆動するガスタービンと、前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより加熱される蓄熱構造体と、前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成する水蒸気生成部と、水素極と、酸素極と、前記水素極と前記酸素極との間に配置される電解質層と、を有し、前記水蒸気生成部により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成する電解セルと、前記ガスタービンおよび前記電解セルの運転状態を制御する制御装置と、を備え、前記ガスタービンを停止させかつ前記電解セルを運転するよう前記制御装置が制御する状態で、前記燃焼ガスにより加熱された前記蓄熱構造体に熱媒体を流入させ、前記蓄熱構造体により加熱された前記熱媒体を前記水蒸気生成部に供給して前記水蒸気を生成し、前記水蒸気生成部で生成された前記水蒸気を前記水素極に供給する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本開示に係る水素生成方法は、水素生成システムにより水素を生成する水素生成方法であって、前記水素生成システムは、圧縮機により圧縮された空気と燃料ガスとを燃焼器で燃焼させて燃焼ガスを生成するとともに前記燃焼ガスによりタービンおよび前記タービンに連結された圧縮機を駆動するガスタービンと、前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより加熱される蓄熱構造体と、前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により水蒸気を生成する水蒸気生成部と、水素極と、酸素極と、前記水素極と前記酸素極との間に配置される電解質層と、を有し、前記水蒸気部により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成する電解セルと、を備え、前記タービンを駆動した前記燃焼ガスにより前記蓄熱構造体を加熱する加熱工程と、前記蓄熱構造体に蓄熱された熱により前記水蒸気を生成する水蒸気生成工程と、前記水蒸気生成工程により生成された前記水蒸気を前記水素極に供給して水蒸気電解により水素を生成するように前記電解セルを運転する運転工程と、を備え、前記ガスタービンを停止させかつ前記運転工程が前記電解セルを運転する状態で、前記水蒸気生成工程は、前記燃焼ガスにより加熱された前記蓄熱構造体に熱媒体を流入させ、前記蓄熱構造体により加熱された前記熱媒体を前記水蒸気生成部に供給して水蒸気を生成し、生成された前記水蒸気を前記水素極に供給する。