(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150546
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、および方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059701
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】513026399
【氏名又は名称】三菱ケミカルインフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和哉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】受水槽の管理を支援する。
【解決手段】本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、センサによる受水槽に関する測定結果であるセンシング情報を取得する手段、センシング情報に基づいて、受水槽の不具合の予兆の程度を評価する手段、受水槽の不具合の予兆の程度に基づいて、受水槽に関する予知保全のためのカスタマーサービスを提案する手段、として機能させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
センサによる受水槽に関する測定結果であるセンシング情報を取得する手段、
前記センシング情報に基づいて、前記受水槽の不具合の予兆の程度を評価する手段、
前記受水槽の不具合の予兆の程度に基づいて、前記受水槽に関する予知保全のためのカスタマーサービスを提案する手段、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記提案する手段は、前記受水槽の不具合の予兆の程度に基づいて、前記カスタマーサービスの実施を推奨する時期を決定し、当該時期の情報を前記受水槽の所有者、使用者、運用管理者、またはメンテナンス業者の少なくとも1つに提示する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記センシング情報は、前記受水槽の内側を撮影した画像情報、または前記受水槽の外側を撮影した画像情報の少なくとも1つを含み、
前記評価する手段は、前記受水槽の内側を撮影した画像情報、または前記受水槽の外側を撮影した画像情報の少なくとも1つに基づいて、前記受水槽の汚れの程度を評価する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記受水槽は、ヒーターを備え、
前記センシング情報は、前記受水槽の水温情報を含み、
前記評価する手段は、前記受水槽の水温情報に基づいて前記ヒーターの劣化の程度を評価する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記提案する手段は、前記受水槽の不具合の予兆の程度に基づいて、前記カスタマーサービスの実施を先送りした場合に見込まれる当該受水槽の修復時間の期待値の経時変化を予測し、予測結果が閾値を超えないように前記カスタマーサービスの実施を推奨する時期を決定する、
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のプログラム。
【請求項6】
前記センシング情報は、前記受水槽の内側を撮影した画像情報、前記受水槽の外側を撮影した画像情報、前記受水槽の水位情報、または前記受水槽の水温情報、の少なくとも1つを含む、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、前記受水槽の個別特徴情報を取得する手段としてさらに機能させ、
前記提案する手段は、前記個別特徴情報にさらに基づいて、前記受水槽に関するカスタマーサービスを提案し、
前記受水槽の個別特徴情報は、前記受水槽の納入、使用、運用管理、もしくはメンテナンスの履歴に関する情報、前記受水槽の所有者、使用者、運用管理者、もしくはメンテナンス業者の属性に関する情報、または前記受水槽の用途、設置環境、もしくはスペックに関する情報の少なくとも1つを含む、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のプログラム。
【請求項8】
前記カスタマーサービスは、前記受水槽、または前記受水槽の部品の点検、清掃、修理、交換、または買い替えを含む、
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のプログラム。
【請求項9】
前記センシング情報は、前記受水槽の水位情報を含み、
前記コンピュータを、前記受水槽に対するカスタマーサービスの提供中に、前記水位情報を当該カスタマーサービスの作業遂行者に提示する手段としてさらに機能させる、
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを、前記受水槽に不具合が生じる前に前記提案する手段によって提案されたカスタマーサービスを実施した場合の費用と、前記受水槽に不具合が生じた後に事後保全のためのカスタマーサービスを実施した場合の費用との差額を特定可能な情報を提示する手段、としてさらに機能させる、
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のプログラム。
【請求項11】
前記コンピュータを、前記提案する手段によって提案されたカスタマーサービスを実施することなく前記受水槽に不具合が生じ、事後保全のためのカスタマーサービスを実施した場合に見込まれる修復時間の情報を提示する手段、としてさらに機能させる、
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のプログラム。
【請求項12】
センサによる受水槽に関する測定結果であるセンシング情報を取得する手段と、
前記センシング情報に基づいて、前記受水槽の不具合の予兆の程度を評価する手段と、
前記受水槽の不具合の予兆の程度に基づいて、前記受水槽に関する予知保全のためのカスタマーサービスを提案する手段と
を具備する、情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータが、
センサによる受水槽に関する測定結果であるセンシング情報を取得するステップと、
前記センシング情報に基づいて、前記受水槽の不具合の予兆の程度を評価するステップと、
前記受水槽の不具合の予兆の程度に基づいて、前記受水槽に関する予知保全のためのカスタマーサービスを提案するステップと
を実行する方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
給水方式の1つとして、受水槽方式が知られている。受水槽方式では、水道水が受水槽に一時的に貯留される。受水槽に接続された給水装置は、当該受水槽に貯留された水を必要に応じて給水対象へ供給する。
【0003】
特許文献1には、給水装置が外部端末へ運転関連情報を送信し、外部端末が特定情報および運転関連情報を管理装置へ送信すること、ならびに管理装置が記憶したデータに基づいて給水装置のメンテナンス情報を作成すること、が開示されている。また、特許文献1には、メンテナンス情報として、給水装置の異常部位または交換部品を特定してもよいことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の特定情報は、給水装置の異常または警報等に気付いたユーザからの問い合わせに対して割り振られる。つまり、特許文献1の技術では、給水装置の異常または警報が生じたことにユーザが気付き、問い合わせを行った後に、ようやく管理装置が運転関連情報を取得し、メンテナンス情報を作成することになる。つまり、この技術では、給水装置に現に異常等が発生するまで、メンテナンス情報が作成されないため、復旧に長時間を要したり、高額な費用を請求されたりして、ユーザが不満を感じさせるおそれがある。
【0006】
本開示の目的は、受水槽の管理を支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、センサによる受水槽に関する測定結果であるセンシング情報を取得する手段、センシング情報に基づいて、受水槽の不具合の予兆の程度を評価する手段、受水槽の不具合の予兆の程度に基づいて、受水槽に関する予知保全のためのカスタマーサービスを提案する手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の受水槽システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態の予知保全提案処理のフローチャートである。
【
図7】本実施形態の予知保全提案処理において表示される画面例を示す図である。
【
図8】変形例1の予知保全提案処理において表示される画面例を示す図である。
【
図9】変形例2の予知保全提案処理において表示される画面例を示す図である。
【
図10】変形例3の予知保全提案処理において表示される画面例を示す図である。
【
図11】変形例4において作業遂行者の端末のディスプレイに表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(1)受水槽システムの構成
受水槽システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の受水槽システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、受水槽システム1は、受水槽10と、センサ20と、情報処理装置30とを備える。
センサ20及び情報処理装置30は、無線もしくは有線チャネル、またはネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)の少なくとも1つを介して接続される。
【0012】
受水槽10は、流入側から供給される水道水を一時的に貯留する。受水槽10に貯留された水は、必要に応じて図示しない給水装置へと排出される。
【0013】
センサ20は、受水槽10の内部に設置される。センサ20は、受水槽に関する指標(物理量、または化学量)を測定可能に構成されている。センサ20は、測定結果を情報処理装置30へ送信する。
【0014】
具体的には、センサ20は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・光学センサ(例えば、可視光カメラ)
・温度センサ
・水位センサ
・水質に関するセンサ(例えば、残留塩素濃度を測定するセンサ)
・照度センサ
【0015】
また、センサ20は、1個のセンサデバイスであってもよいし、複数のセンサデバイスであってもよい。また、センサ20は、同種の複数のセンサデバイス(一例として、複数の光学センサ)を含むこともできる。
【0016】
情報処理装置30は、センサ20から測定結果であるセンシング情報を取得し、当該センシング情報に基づく情報処理を行う。情報処理装置30は、受水槽の制御盤、または給水装置の制御盤であってもよいし、これらとは別体のコンピュータ(例えば、サーバ)であってもよい。
【0017】
(1-1)受水槽およびセンサの構成
受水槽およびセンサの構成について説明する。
図2は、本実施形態の受水槽の外観を示す図である。
図3は、本実施形態の受水槽の内部を示す図である。
【0018】
図2に示すように、受水槽10は、側板11、天井13、図示しない底板、梯子15、および蓋16を有しており、架台17の上に載置されている。
【0019】
側板11は、矩形の平面形状を有している。側板11の縁は、接合縁12となっている。受水槽10の側部は、隣り合う側板11の接合縁12同士を、防水用のパッキンを介して接合縁においてボルトおよびナットで締結することにより構成されている。天井13および図示しない底板も同様に、接合縁での接合によって構成されている。側板11は、一例としてガラス繊維強化プラスチック(GFRP)製パネルであるが、これに限られない。天井13および図示しない底板も、GFRP製パネルの接合により構成することができるが、これに限られない。
【0020】
受水槽10は、側板11同士の接合部分を補強する補強材を鉛直方向または水平方向に備えていてもよい。このような補強材および架台17は、十分に高い剛性を有していればよく、GFRP製、コンクリート製あるいは金属製の部材であってもよい。当該金属の例には、鋳鉄、鋳鋼、銅、銅合金、真鍮、ステンレス、アルミニウムおよびチタンが含まれる。
【0021】
梯子15は、受水槽10の側面に掛けられており、作業者が例えば受水槽10のメンテナンスのために天井13に登るのを助ける。
【0022】
蓋16は、受水槽10の天井13(つまり、受水槽10の上面)に設けられた開口部に対して着脱可能に構成される。開口部は、蓋16によって閉塞可能に構成される。つまり、蓋16により、開口部を塞ぐことができる。
【0023】
側板11は、受水槽10に適したさらなる構成を伴ってもよい。側板11は、たとえば保温材を受水槽10の内側の表面上に有していてもよいし、加飾フィルムを外表面上に有していてもよい。
【0024】
図3に示すように、受水槽10は、側板11、天井13、および図示しない底板によって包囲される内部空間に、水W10を貯留する。さらに、受水槽10の内部には、電極式水位センサ20-1と、光学センサ20-2と、温度センサ20-3とが備え付けられている。
【0025】
電極式水位センサ20-1は、検出電極棒20-1a,20-1b,20-1c,20-1dと、アース電極棒20-1eとを備える。電極式水位センサ20-1によれば、検出電極棒20-1a,20-1b,20-1c,20-1dの各々と、アース電極棒20-1eと間の通電状態に応じて、受水槽10の水位を大まかに測定することができる。すなわち、受水槽10の水位が、La以上であるか、La~Lbの範囲内であるか、Lb~Lcの範囲内であるか、Lc~Ldの範囲内であるか、Ld未満であるか、を測定することができる。図示しない制御盤、または情報処理装置30は、電極式水位センサ20-1による測定結果を取得し、異常な水位状態(渇水状態、または満水状態)の警報の出力、電磁弁の開閉制御、または給水装置のポンプの起動/停止制御を実行する。ここで、電磁弁は、受水槽10への水(水道水)の流入の実施/停止を制御信号に応じて切り替える。ただし、電磁弁の代わりに、ボールタップにより、受水槽10への水の流入の実施/停止を電極式水位センサ20-1の測定結果によらずに制御することも可能である。なお、電磁弁の開閉制御に用いる電極式水位センサ20-1は、ポンプの起動/停止制御に用いる電極式水位センサ20-1と別体であってよい。
【0026】
光学センサ20-2は、受水槽10の内面に取り付けられている。光学センサ20-2は、受水槽10の内側を撮影することで、画像情報(「センシング情報」の一例)を生成する。蓋16が正しく取り付けられている場合に、受水槽10の内部は暗い状態にあるので、光学センサ20-2は、フラッシュ撮影可能に構成されてよい。
【0027】
また、光学センサ20-2は、受水槽10に貯留されている水W10に濡れることによる故障を防ぐために、防水性能を備えるように構成され、または防水対策を施され得る。或いは、光学センサ20-2は、受水槽10の内面における側面(つまり、側板11の裏側)のうち所定の水位に対応する高さよりも高い領域、または受水槽10の内面における上(つまり、天井13の裏側)に取り付けられてよい。これにより、光学センサ20-2への浸水を防ぐことができる。
【0028】
一例として、水位Laが受水槽10の満水状態を判定する基準となる水位に対応する場合に、光学センサ20-2を当該水位Laに対応する高さよりも高い位置に取り付けてもよい。情報処理装置30、または他の装置(例えば図示しない制御盤)は、電極式水位センサ20-1による測定結果に基づいて受水槽10の水位が水位Laを上回っていることを検出すると、満水警報を出力し、受水槽10への水の流入を停止する。故に、光学センサ20-2を水位Laよりも高い位置に取り付けることで、受水槽10の水位が正常に制御されている限り、水は当該光学センサ20-2に接触しない。
【0029】
温度センサ20-3は、受水槽10の内面における側面(つまり、側板11の裏側)のうち所定の水位に対応する高さよりも低い領域、または受水槽10の内面における底面(つまり、図示しない底板の裏側)に取り付けられている。
【0030】
第1例として、水位Lcが受水槽10への水の流入を開始する基準となる水位に対応する場合に、温度センサ20-3を当該水位Lcに対応する高さよりも低い位置に取り付けられてもよい。情報処理装置30、または他の装置(例えば図示しない制御盤)は、電極式水位センサ20-1による測定結果に基づいて受水槽10の水位が水位Lcを下回っていることを検出すると、電磁弁を開き、受水槽10への水の流入を開始する。故に、温度センサ20-3を水位Lcよりも低い位置に取り付けることで、受水槽10が正常に運用されている状態にある限り、温度センサ20-3は当該受水槽10の水位に関わらず水W10の温度(つまり、水温)を測定することができる。
【0031】
第2例として、水位Lcが給水装置のポンプの停止要否を判定する基準となる水位に対応する場合に、温度センサ20-3を当該水位Lcに対応する高さよりも低い位置に取り付けられてもよい。情報処理装置30、または他の装置(例えば図示しない制御盤)は、電極式水位センサ20-1による測定結果に基づいて受水槽10の水位が水位Lcを下回っていることを検出すると、給水装置のポンプを停止する。故に、温度センサ20-3を水位Lcよりも低い位置に取り付けることで、受水槽10が正常に運用されている状態にある限り、水W10の温度を測定することができる。
【0032】
第3例として、水位Ldが受水槽10の渇水状態を判定する基準となる水位に対応する場合に、温度センサ20-3は当該水位Ldに対応する高さよりも低い位置に取り付けられてもよい。情報処理装置30、または他の装置(例えば図示しない制御盤)は、電極式水位センサ20-1による測定結果に基づいて受水槽10の水位が水位Ldを下回っていることを検出すると、渇水警報を出力する。故に、温度センサ20-3を水位Ldよりも低い位置に取り付けることで、より確実に、水W10の温度を測定することができる。
【0033】
さらに、受水槽10は、図示しないヒーターを備え得る。ヒーターの設定情報(例えば、温度設定の情報)は、センシング情報と同様に情報処理装置30によって取得される。
【0034】
(1-2)情報処理装置の構成
情報処理装置の構成について説明する。
図4は、本実施形態の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【0035】
図4に示すように、情報処理装置30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。情報処理装置30は、ディスプレイ41に接続される。
【0036】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0037】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0038】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0039】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、情報処理装置30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0040】
入出力インタフェース33は、情報処理装置30に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、情報処理装置30に接続される出力デバイスに情報(例えば、画像)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ41、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0041】
通信インタフェース34は、情報処理装置30と外部装置(例えばセンサ20)との間の通信を制御するように構成される。
【0042】
ディスプレイ41は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ41は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0043】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。
図5は、本実施形態の一態様の説明図である。
【0044】
図5に示すように、センサ20(例えば、電極式水位センサ20-1、光学センサ20-2、および温度センサ20-3)は、受水槽10に関する測定(センシング)を行う。情報処理装置30は、センサ20による測定結果(センシング情報)を取得する。情報処理装置30は、取得した測定結果に基づいて、受水槽10の不具合の予兆(例えば、受水槽10の汚れ、または受水槽10の備えるヒーターの劣化)の程度を評価する。
【0045】
情報処理装置30は、評価結果に基づく情報処理を行ってもよい。一例として、情報処理装置30は、評価結果に基づいて、受水槽10に関する予知保全のためのカスタマーサービスを提案する。情報処理装置30は、提案内容を伝える情報を受水槽10の関係者70に提示する。関係者70は、受水槽10の運用管理者に限らず、当該受水槽10の所有者であってもよいし、当該受水槽10の使用者であってもよいし、当該受水槽10の保守管理を行うメンテナンス事業者であってもよい。判定結果に基づく情報は、関係者端末80を介して関係者70に提示され得る。関係者端末80は、例えば、スマートフォン、タブレット、PC(Personal Computer)、などである。関係者端末80は、情報処理装置30と同様のハードウェアを備え得る。関係者端末80上では、受水槽10の管理を行うためのアプリケーションを実行したり、受水槽10の管理を行うためのSaaS(Software as a Service)を提供するWebサイトのブラウジングを行ったりすることができる。
【0046】
このように、情報処理装置30は、受水槽10の予知保全のためのカスタマーサービスを提案することで、関係者70は受水槽10の状態が悪化(一例として、故障、または深刻なもしくは不可逆的な異常が発生)する前に、当該受水槽10に対してメンテナンスを行うよう促される。故に、受水槽10のメンテナンスに要する費用を抑制しながら受水槽10の稼働率を高めることが可能となる。
【0047】
(3)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
図6は、本実施形態の予知保全提案処理のフローチャートである。
図7は、本実施形態の予知保全提案処理において表示される画面例を示す図である。
【0048】
図6の予知保全提案処理は、情報処理装置30によって定期的に実施され得る。
予知保全提案処理の開始後に、情報処理装置30は、センシング情報の取得(S130)を実行する。
具体的には、情報処理装置30は、センサ20(例えば、電極式水位センサ20-1、光学センサ20-2、および温度センサ20-3)によるセンシング情報(例えば、水位情報、画像情報、および水温情報)を直接、または間接的に(つまり、1以上の中間装置(例えば、制御盤)を介して)取得する。情報処理装置30は、センシング情報をログとして記憶装置31に保存してもよい。
【0049】
ステップS130の後に、情報処理装置30は、不具合の予兆の程度の評価(S131)を実行する。
具体的には、情報処理装置30は、ステップS130において取得したセンシング情報に基づいて、受水槽10の不具合の予兆の程度を評価する。
【0050】
不具合の予兆の程度の評価(S131)の第1例として、情報処理装置30は、光学センサ20-2によって生成された画像情報(つまり、受水槽10の内側を撮影した画像情報)に基づいて、受水槽10の内側の汚れの程度を評価する。受水槽10の内側の汚れは、当該受水槽10の内側の本格的(例えば不可逆的)な汚れという不具合の予兆に相当する。一例として、情報処理装置30は、以下の少なくとも1つを評価する。
・汚れている領域の大きさ(面積)
・汚れている領域の数
・汚れている領域の位置
・汚れの外観的特徴(例えば、色、模様、または形状)
・汚れの種類
【0051】
不具合の予兆の程度の評価(S131)の第2例として、情報処理装置30は、温度センサ20-3によって生成された水温情報に基づいて、受水槽10の備えるヒーターの劣化の程度を評価する。ヒーターの劣化は、当該ヒーターの故障という不具合の予兆に相当する。一例として、情報処理装置30は、以下の少なくとも1つを評価する。
・水温のばらつき(分散)
・水温とヒーターの設定温度との間の差
・ヒーターによる加熱動作時の水温の上昇速度
【0052】
ステップS131の後に、情報処理装置30は、カスタマーサービスの提案(S132)を実行する。
具体的には、情報処理装置30は、ステップS131における受水槽10の不具合の予兆の程度の評価結果(以下、「評価結果」という)に基づいて、当該受水槽10に関する予知保全のためのカスタマーサービスを提案する。予知保全のためのカスタマーサービスは、典型的には、受水槽10から現時点で観察可能な不具合の予兆を除去、または軽減することで、当該受水槽10の不具合の発生を回避、または先延ばし(つまり、稼働率の向上)することを可能にするカスタマーサービスを意味する。
【0053】
まず、情報処理装置30は、予め定められた複数のカスタマーサービスから、関係者70に提案するカスタマーサービス(以下、「予知保全サービス」という)を評価結果に基づいて選択する。ここで、複数のカスタマーサービスは、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・受水槽10またはその部品の点検
・受水槽10またはその部品の清掃(簡易な清掃、または本格的な清掃、のように複数種類の清掃が段階的に定義され得る)
・受水槽10またはその部品の修理
・受水槽10またはその部品の交換
・受水槽10またはその部品の買い替え
【0054】
情報処理装置30は、評価結果に対して予め定められたルールを適用することで、予知保全サービスを選択してもよい。ルールは、評価結果についての条件(一例として数値範囲)と、当該条件が成立する場合に選択される予知保全サービスとの関連付けを定義する。複数のルールが定義され、当該ルールの各々に適用の優先順位が割り当てられてもよい。
【0055】
或いは、情報処理装置30は、評価結果に対して学習済モデルを適用することで、予知保全サービスを選択してもよい。この学習済みモデルは、評価結果に基づく入力パラメータに対して適切なカスタマーサービスを予測するための機械学習(教師あり学習)によって構築される。
【0056】
情報処理装置30は、予知保全サービスに関する情報を関係者70に提示する。情報の提示は、例えば、ディスプレイに表示される画面(アプリケーション、またはWebブラウザの画面)の変化、プッシュ通知、SNS(Social Networking Service)もしくはSMS(Short Message Service)でやりとりされるメッセージ、またはeメールにより実現されてもよい。一例として、情報処理装置30は、関係者端末80のディスプレイを介して
図7に示す画面を提示する。
【0057】
図7の画面は、表示オブジェクトA81と、操作オブジェクトB81とを含む。
表示オブジェクトA81は、予知保全サービスの実施を推奨することを伝える情報(テキストメッセージ)を表示する。
【0058】
操作オブジェクトB81は、予知保全サービスを遂行するメンテナンス業者を探すための関係者操作を受け付ける。操作オブジェクトB81の選択に応じて、情報処理装置30、または図示しないサーバが、以下の情報の少なくとも1つを関係者端末80に提供し得る。
・受水槽10に紐付けられているメンテナンス業者の情報(例えば、連絡先、予約可能枠)
・受水槽10の設置場所に紐付けられているメンテナンス業者の情報(例えば、連絡先、予約可能枠)
・直近の予約可能枠が空き状態のメンテナンス業者の情報(例えば、連絡先)
・受水槽10のメンテナンス費用の概算見積金額
・受水槽10のメンテナンスに要する時間の推定値
【0059】
ステップS132を以て、情報処理装置30は、
図6の予知保全提案処理を終了する。
【0060】
(4)小括
以上説明したように、情報処理装置30は、センサ20による受水槽10に関する測定結果であるセンシング情報に基づいて、当該受水槽10の不具合の予兆の程度を評価し、当該評価結果に基づいて当該受水槽10に関する予知保全のためのカスタマーサービスを提案する。これにより、関係者70は受水槽10の状態が悪化(一例として、故障、または深刻なもしくは不可逆的な異常が発生)する前に、当該受水槽10に対してメンテナンスを行うよう促される。故に、受水槽10のメンテナンスに要する費用を抑制しながら受水槽10の稼働率を高めることが可能となる。
【0061】
情報処理装置30は、光学センサ20-2によって生成された画像情報(つまり、受水槽10の内側を撮影した画像情報)に基づいて、受水槽10の汚れの程度を評価してもよい。これにより、受水槽10の外側の汚れが軽微なうち(換言すれば、本格的な清掃、交換、または買い替え、などが必要となる前に)に適切なカスタマーサービス(例えば、点検、または簡易な清掃)の実施を関係者70に促せるので、メンテナンスに要する費用を抑制しながら受水槽10の稼働率を高めることが可能となる。
【0062】
情報処理装置30は、温度センサ20-3によって生成された水温情報に基づいて、受水槽10の備えるヒーターの劣化の程度を評価してもよい。これにより、ヒーターの劣化が軽微なうち(換言すれば、交換、または買い替え、などが必要となる前に)に適切なカスタマーサービス(例えば、点検、または修理)の実施を関係者70に促せるので、メンテナンスに要する費用を抑制しながら受水槽10の稼働率を高めることが可能となる。
【0063】
センシング情報は、受水槽10の内側を撮影した画像情報、受水槽10の水位情報、または受水槽10の水温情報の少なくとも1つを用いてもよい。これにより、情報処理装置30は、受水槽10の不具合の予兆の程度を適切に評価することができる。
【0064】
カスタマーサービスは、受水槽10またはその部品の点検、清掃、修理、交換、または買い替えを含んでもよい。これにより、これにより、情報処理装置30は、適切なカスタマーサービスを提案することができる。
【0065】
(5)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0066】
(5-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1は、予知保全サービスの実施を推奨する時期を決定し、当該時期の情報を提示する例である。
図8は、変形例1の予知保全提案処理において表示される画面例を示す図である。
【0067】
変形例1の予知保全提案処理は、情報処理装置30によって定期的に実施され得る。
予知保全提案処理の開始後に、情報処理装置30は
図6と同様に、センシング情報の取得(S130)、および不具合の予兆の程度の評価(S131)を実行する。
【0068】
ステップS131の後に、情報処理装置30は
図6と同様に、カスタマーサービスの提案(S132)を実行する。
ただし、変形例1のカスタマーサービスの提案(S132)は、本実施形態のカスタマーサービスの提案(S132)とは一部相違する。具体的には、情報処理装置30は、本実施形態と同様に予知保全サービスを選択し、さらに予知保全サービスの実施を推奨する時期(以下、「推奨時期」という)を決定し、当該推奨時期の情報を提示する。
【0069】
第1例として、情報処理装置30は、推奨時期を算出するための数式の入力パラメータとして、評価結果に対応する数値を代入することで、推奨時期を決定してもよい。第2例として、情報処理装置30は、評価結果に基づく入力パラメータに対して学習済モデルを適用することで、推奨時期を決定してもよい。この学習済みモデルは、入力パラメータに対して適切な推奨時期を予測するための機械学習(教師あり学習)によって構築される。第3例として、情報処理装置30は、評価結果に基づいて、予知保全サービスの実施を先送りした場合に見込まれる受水槽10の修復時間(すなわち、受水槽10を稼働させることのできない時間)の期待値(すなわち、不具合の発生確率と、当該不具合が発生した場合に見込まれる修復時間との積)の経時変化を予測し、予測結果が閾値を超えないように推奨時期を決定してもよい。閾値は、関係者70によって指定されてよい。第3例において、情報処理装置30は、修復時間の期待値の経時変化の予測のために、数式または学習済みモデルを利用してよい。
【0070】
情報処理装置30は、予知保全サービスおよび推奨時期に関する情報を関係者70に提示する。情報の提示は、例えば、ディスプレイに表示される画面(アプリケーション、またはWebブラウザの画面)の変化、プッシュ通知、SNSもしくはSMSでやりとりされるメッセージ、またはeメールにより実現されてもよい。一例として、情報処理装置30は、関係者端末80のディスプレイを介して
図8に示す画面を提示する。
【0071】
図8の画面は、表示オブジェクトA82と、操作オブジェクトB82とを含む。
表示オブジェクトA82は、予知保全サービスの実施を推奨することと、推奨時期がいつまでであるかを伝える情報(テキストメッセージ)を表示する。
操作オブジェクトB82は、
図7の操作オブジェクトB81と同様である。
【0072】
ステップS132を以て、情報処理装置30は、変形例1の予知保全提案処理を終了する。
【0073】
以上説明したように、変形例1の情報処理装置30は、受水槽10の不具合の予兆の程度に基づいて予知保全サービスの実施を推奨する時期を決定し、当該時期の情報を関係者70に提示する。これにより、関係者70に予知保全サービスの計画的な実施を促すことができる。
【0074】
また、情報処理装置30は、受水槽10の不具合の予兆の程度に基づいて、予知保全サービスの実施を先送りした場合に見込まれる受水槽10の修復時間の期待値の経時変化を予測し、予測結果が閾値を超えないように推奨時期を決定してもよい。これにより、推奨時期内、かつ予知保全サービスを実施する前に受水槽10に不具合が生じたとしても、当該不具合に対する事後保全のためのカスタマーサービスによる復旧時間を閾値以下に抑えられるとの期待が成り立つ。つまり、推奨時期内に予知保全サービスの実施を計画している限り、仮に実施前に受水槽10の不具合が生じたとしても、復旧時間が想定外に長くなる事態を避けることができる。
【0075】
(5-2)変形例2
変形例2について説明する。変形例2は、予知保全サービスの費用と、予知保全サービスを実施せずに受水槽10に不具合が生じた後に事後保全のためのカスタマーサービスを実施した場合の費用との差に関する情報を提示する例である。
図9は、変形例2の予知保全提案処理において表示される画面例を示す図である。
【0076】
変形例2の予知保全提案処理は、情報処理装置30によって定期的に実施され得る。
予知保全提案処理の開始後に、情報処理装置30は
図6と同様に、センシング情報の取得(S130)、および不具合の予兆の程度の評価(S131)を実行する。
【0077】
ステップS131の後に、情報処理装置30は
図6と同様に、カスタマーサービスの提案(S132)を実行する。
ただし、変形例2のカスタマーサービスの提案(S132)は、本実施形態のカスタマーサービスの提案(S132)とは一部相違する。具体的には、情報処理装置30は、受水槽10に不具合が生じる前に予知保全サービスを実施した場合の費用(以下、「予知保全費用」という)と、受水槽10に不具合が生じた後に事後保全のためのカスタマーサービスを実施した場合の費用(以下、「事後保全費用」という)とを特定し、両費用の差額を特定可能な情報を提示する。差額を特定可能な情報は、差額を直接的に示す情報であってもよいし、予知保全費用および事後保全費用を示す情報(つまり、差額を間接的に示す情報)であってもよいし、これら全てであってもよい。
【0078】
例えば、情報処理装置30は、図示しないデータベースを参照し、予知保全サービスを実施した場合の標準的な費用または標準的な費用の範囲を取得することで、予知保全費用を特定する。
【0079】
また、情報処理装置30は、予め定められた複数のカスタマーサービスから、受水槽10の事後保全のために将来的に必要となる可能性があるカスタマーサービス(以下、「事後保全サービス」という)を評価結果に基づいて選択する。一例として、情報処理装置30は、予知保全サービスの選択に用いたルールまたは学習済モデルと類似のルールまたは学習済モデルを用いることができる。そして、情報処理装置30は、例えば前述のデータベースを参照し、事後保全サービスを実施した場合の標準的な費用または標準的な費用の範囲を取得することで、事後保全費用を特定する。
【0080】
情報処理装置30は、予知保全サービスおよび差額を特定可能な情報を関係者70に提示する。情報の提示は、例えば、ディスプレイに表示される画面(アプリケーション、またはWebブラウザの画面)の変化、プッシュ通知、SNSもしくはSMSでやりとりされるメッセージ、またはeメールにより実現されてもよい。一例として、情報処理装置30は、関係者端末80のディスプレイを介して
図9に示す画面を提示する。
【0081】
図9の画面は、表示オブジェクトA83と、操作オブジェクトB83とを含む。
表示オブジェクトA83は、予知保全サービスの実施を推奨することと、推奨時期がいつまでであるかと、予知保全費用と、事後保全費用と、差額とを伝える情報(テキストメッセージ)を表示する。
操作オブジェクトB83は、
図7の操作オブジェクトB81と同様である。
【0082】
ステップS132を以て、情報処理装置30は、変形例2の予知保全提案処理を終了する。
【0083】
以上説明したように、変形例2の情報処理装置30は、受水槽10の不具合の予兆の程度に基づいて予知保全費用および事後保全費用を特定し、両費用の差額に関する情報を関係者70に提示する。これにより、関係者70に予知保全サービスの実施を怠り受水槽10に不具合が生じた場合の金銭的インパクトを認識させ、予知保全サービスの計画的な実施を促すことができる。
【0084】
(5-3)変形例3
変形例3について説明する。変形例3は、予知保全サービスを実施することなく受水槽10に不具合が生じた場合に見込まれる修復時間の情報を提示する例である。
図10は、変形例3の予知保全提案処理において表示される画面例を示す図である。
【0085】
変形例3の予知保全提案処理は、情報処理装置30によって定期的に実施され得る。
予知保全提案処理の開始後に、情報処理装置30は
図6と同様に、センシング情報の取得(S130)、および不具合の予兆の程度の評価(S131)を実行する。
【0086】
ステップS131の後に、情報処理装置30は
図6と同様に、カスタマーサービスの提案(S132)を実行する。
ただし、変形例3のカスタマーサービスの提案(S132)は、本実施形態のカスタマーサービスの提案(S132)とは一部相違する。具体的には、情報処理装置30は、予知保全サービスを実施することなく受水槽10に不具合が生じ、事後保全サービスを実施した場合に見込まれる修復時間(以下、「事後保全所要時間」という)を特定し、当該修復時間の情報を提示する。
【0087】
例えば、情報処理装置30は、変形例2と同様に、予め定められた複数のカスタマーサービスから、事後保全サービスを評価結果に基づいて選択する。そして、情報処理装置30は、例えば図示しないデータベースを参照し、事後保全サービスを実施した場合の標準的な復旧時間または標準的な復旧時間の範囲を取得することで、事後保全所要時間を特定する。
【0088】
情報処理装置30は、予知保全サービスおよび事後保全所要時間の情報を関係者70に提示する。情報の提示は、例えば、ディスプレイに表示される画面(アプリケーション、またはWebブラウザの画面)の変化、プッシュ通知、SNSもしくはSMSでやりとりされるメッセージ、またはeメールにより実現されてもよい。一例として、情報処理装置30は、関係者端末80のディスプレイを介して
図10に示す画面を提示する。
【0089】
図10の画面は、表示オブジェクトA84と、操作オブジェクトB84とを含む。
表示オブジェクトA84は、予知保全サービスの実施を推奨することと、推奨時期がいつまでであるかと、事後保全所要時間とを伝える情報(テキストメッセージ)を表示する。
操作オブジェクトB84は、
図7の操作オブジェクトB81と同様である。
【0090】
ステップS132を以て、情報処理装置30は、変形例3の予知保全提案処理を終了する。
【0091】
以上説明したように、変形例3の情報処理装置30は、事後保全所要時間を特定し、当該時間に関する情報を関係者70に提示する。これにより、関係者70に予知保全を怠り受水槽10に不具合が生じた場合に受水槽10が使用不能となる時間的インパクトを認識させ、予知保全サービスの計画的な実施を促すことができる。
【0092】
(5-4)変形例4
変形例4は、カスタマーサービスの提供中に、当該カスタマーサービスの作業遂行者にセンシング情報を提示する例である。
図11は、変形例4において作業遂行者の端末のディスプレイに表示される画面例を示す図である。
【0093】
情報処理装置30は、受水槽10に対するカスタマーサービス(予知保全サービスに限らず、その他のカスタマーサービスであってもよい)の提供中に、当該受水槽10のセンシング情報を当該カスタマーサービスの作業遂行者(以下、「作業者」という)に提示する。作業者は、例えば、関係者70によって指定されたメンテナンス業者である。情報の提示は、例えば、作業者端末のディスプレイに表示される画面(アプリケーション、またはWebブラウザの画面)の変化、プッシュ通知、SNSもしくはSMSでやりとりされるメッセージ、またはeメールにより実現されてもよい。作業者端末は、関係者端末80と同様のハードウェアを備え得る。一例として、情報処理装置30は、作業者端末のディスプレイを介して
図11に示す画面を提示する。
【0094】
図11の画面は、表示オブジェクトA85a~A85cと、操作オブジェクトB85a~B85bとを含む。
操作オブジェクトB85aは、カスタマーサービスが提供されている受水槽10の指定を受け付ける。
操作オブジェクトB85bは、表示対象となるセンシング情報の種類の指定を受け付ける。
【0095】
表示オブジェクトA85aは、操作オブジェクト85aおよび操作オブジェクト85bによってそれぞれ指定されている受水槽10のセンシング情報(以下、「対象センシング情報」という)を表示する。
図11の例では、表示オブジェクトA85aは、受水槽10(「MMマンション#1」)の水位情報を表示している。表示オブジェクトA85aでは、2槽式の受水槽10を構成する第1槽および第2槽の水位がテキストおよび画像の形式で表現されている。また、表示オブジェクトA85aでは、第2槽が排水中であることを示す画像も表示される。
【0096】
表示オブジェクトA85bは、対象センシング情報に関する注意事項を表示する。
図11の例では、表示オブジェクトA85bは、どの槽が排水中であるかと、排水の所要時間とを伝える情報(テキストメッセージ)を表示している。
【0097】
表示オブジェクトA85cは、操作オブジェクト85aにおいて指定されている受水槽10に対するカスタマーサービスを遂行するための手順に関する情報を表示する。
【0098】
以上説明したように、変形例4の情報処理装置30は、受水槽10に対するカスタマーサービスの提供中に、当該受水槽10のセンシング情報(例えば、排水中のリアルタイムの水位情報)を当該カスタマーサービスの作業者に提示する。これにより、作業者は作業の段取りを計画しやすくなるので、カスタマーサービスの提供を効率化し、修復時間を短縮化に貢献することができる。
【0099】
なお、情報処理装置30は、最新(つまりリアルタイム)のセンシング情報に加えて、または最新のセンシング情報の代わりに、過去のセンシング情報を提示してもよい。一例として、情報処理装置30は、同種のセンシング情報を時系列に配置した情報を提示してもよい。
【0100】
(6)その他の変形例
記憶装置31は、ネットワークNWを介して、情報処理装置30と接続されてもよい。
【0101】
上記説明では、センサ20が、測定結果を情報処理装置30へ送信する例を示した。しかしながら、センサ20は、測定結果を中間装置(例えば制御盤)へ送信し、当該中間装置が測定結果を情報処理装置30へ送信してもよい。或いは、センサ20は測定結果を当該センサ20の備える表示部に表示し、中間装置が表示部の表示内容を例えばカメラなどの光学センサにより読み取ることでセンサ20の測定結果を取得し、当該測定結果を情報処理装置30へ直接的または間接的に送信してもよい。
【0102】
上記説明では、関係者端末80が情報処理装置30と別体である例を示した。しかしながら、両者は同一の装置であってもよい。
【0103】
上記説明では、受水槽10の内部に、電極式水位センサ20-1、光学センサ20-2、および温度センサ20-3を設置する例を示した。しかしながら、センサ20の構成は、これに制限されない。つまり、センサ20は、電極式水位センサ20-1、光学センサ20-2、および温度センサ20-3以外のセンサデバイスを備えてもよいし、電極式水位センサ20-1、光学センサ20-2、および温度センサ20-3の一部を備えなくてもよい。一例として、受水槽10がヒーターを備えていない場合に、センサ20は温度センサ20-3を備えなくてもよい。別の例として、センサ20は、図示しない様々な種別のセンサデバイスを備え得る。具体的には、センサ20は、以下の少なくとも1つを含み得る。
・振動センサ
・加速度センサ
・周波数検知センサ
・ひずみセンサ
・照度センサ
【0104】
情報処理装置30は、センサ20の測定結果に基づいて不具合またはその予兆の少なくとも1つを検知する。情報処理装置30は、検知した不具合に対する予知保全もしくは事後保全のためのカスタマーサービスを関係者70に提案してもよい。第1例として、情報処理装置30は、振動センサ、加速度センサ、周波数検知センサ、またはひずみセンサの測定結果に基づいて、異常な振動(地震を含む)、またはそれによる不具合を検知してもよい。第2例として、情報処理装置30は、水位センサの測定結果に基づいて、水位の低下、またはそれによる不具合を検知してもよい。第3例として、情報処理装置30は、照度センサの測定結果に基づいて、受水槽10の開口部の閉塞状態の異常、またはそれによる不具合を検知してもよい。
【0105】
上記説明では、電極式水位センサ20-1により受水槽10の水位を測定する例を示した。しかしながら、圧力センサにより水圧を測定することで、受水槽10の水位を計算することも可能である。
【0106】
上記説明では、受水槽10の内側に光学センサ20-2(例えば可視光カメラ)を設置し、当該光学センサ20-2によって生成されたセンシング情報(画像情報)に基づいて、受水槽10の内側の汚れの程度を評価する例を示した。しかしながら、光学センサ20-2の代わりに、または光学センサ20-2に加えて、受水槽10の外側に光学センサが設けられてもよい。この光学センサは、受水槽10の外側を撮影し、センシング情報を生成する。そして、情報処理装置30は、不具合の予兆の程度の評価(S131)において、この光学センサによって生成された画像情報(つまり、受水槽10の外側を撮影した画像情報)に基づいて、受水槽10の内側の汚れの程度を評価してもよい。受水槽10の外側の汚れは、当該受水槽10の外側の本格的(例えば不可逆的)な汚れという不具合の予兆に相当する。これにより、受水槽10の外側の汚れが軽微なうち(換言すれば、本格的な清掃、交換、または買い替え、などが必要となる前に)に適切なカスタマーサービス(例えば、点検、または簡易な清掃)の実施を関係者70に促せるので、メンテナンスに要する費用を抑制しながら受水槽10の稼働率を高めることが可能となる。
【0107】
上記説明では、受水槽10の不具合の予兆の程度の評価結果に基づいてカスタマーサービスを提案する例を示した。しかしながら、情報処理装置30は、受水槽10の個別特徴情報を取得し、上記評価結果に加えて当該個別特徴情報に基づいて、カスタマーサービスを提案してもよい。受水槽10の個別特徴情報は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・受水槽10の納入、使用、運用管理、もしくはメンテナンスの履歴に関する情報
・受水槽10の所有者、使用者、運用管理者、もしくはメンテナンス業者の属性に関する情報
・受水槽10の用途、設置環境、もしくはスペックに関する情報
第1例として、情報処理装置30は、個別特徴情報を考慮して予知保全サービスを選択してもよい。一例として、受水槽10が汚れやすい環境に設置されている場合に、そうでない場合に比べて、情報処理装置30は予知保全サービスとして清掃を選択しやすくなるように構成され得る。
第2例として、情報処理装置30は、個別特徴情報を考慮して推奨時期を決定してもよい。一例として、受水槽10のメンテナンスの実施が遅れがちである場合に、そうでない場合に比べて、情報処理装置30は推奨時期を前倒しするように決定するように構成され得る。
このように、受水槽10の個別特徴情報を考慮してカスタマーサービスを提案することで、個々の受水槽10の事情や環境に合わせたより確度の高い情報(カスタマーサービスの実施のための判断材料)を関係者70に提供することができる。
【0108】
変形例2の説明では、情報処理装置30が、予知保全費用と事後保全費用との差額に関する情報を提示する例を示した。しかしながら、情報処理装置30は、差額に関する情報を提示することなく、予知保全費用または事後保全費用のいずれかに関する情報を提示してもよい。
【0109】
変形例3の説明では、情報処理装置30が、事後保全所要時間に関する情報を提示する例を示した。しかしながら、情報処理装置30は、事後保全所要時間の代わりに、または事後保全所要時間に加えて、予知保全サービスを実施した場合に見込まれる修復時間(以下、「予知保全所要時間」という)、または予知保全所要時間と事後保全所要時間との差の情報を提示してもよい。
【0110】
上記説明は、本実施形態または変形例を、受水槽10を含む受水槽システム1へ適用する例について述べた。しかしながら、受水槽10の代わりにまたは受水槽10に加えて、高置水槽、高架水槽、またはその他のタンクを備えるシステムに、本実施形態または変形例を適用することも可能である。この場合に、上記説明における「受水槽」の用語を、「高置水槽」、「高架水槽」、または単に「タンク」などの用語として適宜読み替え可能である。
【0111】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 :受水槽システム
10 :受水槽
11 :側板
12 :接合縁
13 :天井
15 :梯子
16 :蓋
17 :架台
20 :センサ
20-1 :電極式水位センサ
20-2 :光学センサ
20-3 :温度センサ
30 :情報処理装置
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
41 :ディスプレイ
70 :関係者
80 :関係者端末