IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フジモリ産業株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社エステックの特許一覧

特開2023-150565歯ブラシ及びその本体、並びに製造方法
<>
  • 特開-歯ブラシ及びその本体、並びに製造方法 図1
  • 特開-歯ブラシ及びその本体、並びに製造方法 図2
  • 特開-歯ブラシ及びその本体、並びに製造方法 図3
  • 特開-歯ブラシ及びその本体、並びに製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150565
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】歯ブラシ及びその本体、並びに製造方法
(51)【国際特許分類】
   A46D 3/00 20060101AFI20231005BHJP
   A46B 5/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A46D3/00
A46B5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059734
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521219316
【氏名又は名称】株式会社エステック
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 衛
(72)【発明者】
【氏名】坂本 学
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB19
3B202CA05
3B202DB01
3B202HA01
(57)【要約】
【課題】一般的なプラスチック製歯ブラシと略同様の使い勝手で、廃プラスチックの削減に寄与できる歯ブラシを提供する。
【解決手段】歯ブラシ1の歯ブラシ本体10を複数枚の細長紙シート31,32,33によって構成する。これら細長紙シート31,32,33を互いに接着層34を介して積層する。裏側細長紙シート33を除く細長紙シート31,32における頭部分37には、複数の植毛孔38を形成する。植毛孔38の孔底を裏側細長紙シート33における頭部分37によって塞ぐ。植毛孔38には、刷毛束20の根元部22を埋め込む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄部と、該柄部の先端に連なる頭部とを含む歯ブラシ本体と、前記頭部に植毛された刷毛束とを備えた歯ブラシであって、
前記歯ブラシ本体が、柄部分及び頭部分をそれぞれ有して、互いに積層された複数枚の細長紙シートと、隣接する細長紙シートどうし間に設けられた接着層と、を備え、
前記積層された細長紙シートのうち裏側細長紙シートを除く細長紙シートにおける頭部分には、前記刷毛束の根元部がそれぞれ埋め込まれる複数の植毛孔が互いに間隔を置いて形成され、
前記植毛孔の孔底が、前記裏側細長紙シートにおける頭部分によって塞がれていることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
柄部と、該柄部の先端に連なり、刷毛束が植毛される頭部とを含む歯ブラシ本体であって、
柄部分及び頭部分をそれぞれ有して、互いに積層された複数枚の細長紙シートと、
隣接する細長紙シートどうし間に設けられた接着層と、を備え、
前記積層された細長紙シートのうち裏側細長紙シートを除く細長紙シートにおける頭部分には、前記刷毛束の根元部がそれぞれ埋め込まれる複数の植毛孔が互いに間隔を置いて形成され、
前記植毛孔の孔底が、前記裏側細長紙シートにおける頭部分によって塞がれていることを特徴とする歯ブラシ本体。
【請求項3】
柄部と、該柄部の先端に連なり、刷毛束が植毛される頭部とを含む歯ブラシ本体の製造方法であって、
紙材を打ち抜くことによって、柄部分及び頭部分をそれぞれ有する複数枚の細長紙シートを形成するシート形成工程と、
これら細長紙シートを積層して、隣接する細長紙シートどうしを接着層にて貼り合わせる貼合工程と、を備え、
前記積層される細長紙シートのうち裏側細長紙シートを除く細長紙シートにおける頭部分には、前記刷毛束の根元部がそれぞれ埋め込まれる複数の植毛孔を互いに間隔を置いて形成し、
前記貼合工程において、前記植毛孔の孔底を、前記裏側細長紙シートにおける頭部分によって塞ぐことを特徴とする歯ブラシ本体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシ及びその刷毛を除く歯ブラシ本体、並びに歯ブラシ本体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境対策として廃プラスチックの削減が求められている。一方、歯ブラシは通常、プラスチック製であるところ、特に、使用回数1回で廃棄する使い捨て仕様のプラスチック製ブラシの場合、廃プラスチックの削減要求に逆行しているとも言える。
【0003】
特許文献1には、紙製の使い捨て歯ブラシが提案されている。当該歯ブラシは、四つ折り可能な1枚の紙シートによって構成されている。未使用時の紙シートは平面状に展開されている。該紙シートを3つの縦線に沿ってW字状に折り畳むことによって、歯ブラシとして使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7-55164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前掲特許文献1の歯ブラシは、使用時に紙シートを折り畳む作業が必要で煩雑である。
本発明は、かかる事情に鑑み、一般的なプラスチック製歯ブラシと略同様の使い勝手で、廃プラスチックの削減に寄与できる歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る歯ブラシは、
柄部と、該柄部の先端に連なる頭部とを含む歯ブラシ本体と、前記頭部に植毛された刷毛束とを備えた歯ブラシであって、
前記歯ブラシ本体が、柄部分及び頭部分をそれぞれ有して、互いに積層された複数枚の細長紙シートと、隣接する細長紙シートどうし間に設けられた接着層と、を備え、
前記積層された細長紙シートのうち裏側細長紙シートを除く細長紙シートにおける頭部分には、前記刷毛束の根元部がそれぞれ埋め込まれる複数の植毛孔が互いに間隔を置いて形成され、
前記植毛孔の孔底が、前記裏側細長紙シートにおける頭部分によって塞がれていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る歯ブラシ本体は、
柄部と、該柄部の先端に連なり、刷毛束が植毛される頭部とを含む歯ブラシ本体であって、
柄部分及び頭部分をそれぞれ有して、互いに積層された複数枚の細長紙シートと、
隣接する細長紙シートどうし間に設けられた接着層と、を備え、
前記積層された細長紙シートのうち裏側細長紙シートを除く細長紙シートにおける頭部分には、前記刷毛束の根元部がそれぞれ埋め込まれる複数の植毛孔が互いに間隔を置いて形成され、
前記植毛孔の孔底が、前記裏側細長紙シートにおける頭部分によって塞がれていることを特徴とする。
【0008】
本発明方法は、柄部と、該柄部の先端に連なり、刷毛束が植毛される頭部とを含む歯ブラシ本体の製造方法であって、
紙材を打ち抜くことによって、柄部分及び頭部分をそれぞれ有する複数枚の細長紙シートを形成するシート形成工程と、
これら細長紙シートを積層して、隣接する細長紙シートどうしを接着層にて貼り合わせる貼合工程と、を備え、
前記積層される細長紙シートのうち裏側細長紙シートを除く細長紙シートにおける頭部分には、前記刷毛束の根元部がそれぞれ埋め込まれる複数の植毛孔を互いに間隔を置いて形成し、
前記貼合工程において、前記植毛孔の孔底を、前記裏側細長紙シートにおける頭部分によって塞ぐことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一般的なプラスチック製歯ブラシと略同様の使い勝手で、廃プラスチックの削減に寄与できる歯ブラシを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る歯ブラシの側面断面図である。
図2】前記歯ブラシの歯ブラシ本体の平面図である。
図3】前記歯ブラシ本体の複数の細長紙シートの分解斜視図である。
図4図1の円部IVの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、歯ブラシ1は、歯ブラシ本体10と、刷毛束20とを備えている。図2に示すように、歯ブラシ本体10は、柄部11と、頸部12と、頭部13を含み、細長い板状に形成されている。柄部11の先端に頸部12を介して頭部13が連なっている。図1に示すように、頭部13に刷毛束20が植毛されている。
【0012】
図1に示すように、歯ブラシ本体10は、3枚(複数枚)の細長紙シート31,32,33と、接着層34を含む。細長紙シート31,32,33の材質は、紙であり、好ましくは耐水性の高密度厚紙が用いられている。各細長紙シート31,32,33の厚みは、例えば0.8mm~3mm程度であり、好ましくは1mm~2mm程度であり、より好ましくは1.3mm程度である。
図1において、各細長紙シート31,32,33の厚み(図1において上下左右方向の寸法)は、長さ(図1において左右方向の寸法)に対して誇張されている。
【0013】
図3に示すように、細長紙シート31,32,33は、柄部11となる柄部分35と、頸部12となる頸部分36と、頭部13となる頭部分37をそれぞれ有している。これら細長紙シート31,32,33は、互いに同じ輪郭形状に形成されている。図1に示すように、3つ(複数)の細長紙シート31,32,33が、互いに厚み方向に積層されている。隣接する細長紙シート31,32どうし及び32,33どうし間に接着層34が設けられている。接着層34を介して、接する細長紙シート31,32どうし及び32,33どうしが接合されている。接着層34としては、紙用接着剤が用いられている。接着層34の厚みはミクロンオーダーであり、各細長紙シート31,32,33の厚みと比べると十分に小さい。
図1及び図4において、接着層34の厚みは、各細長紙シート31,32,33の厚みに対して誇張されている。
【0014】
図2及び図3に示すように、歯ブラシ本体10の3枚の細長紙シート31,32,33のうち、裏側細長紙シート33を除く、表側と中間の細長紙シート31,32における頭部分37には、複数の植毛孔38が互いに間隔を置いて形成されている。各植毛孔38は、細長紙シート31,32を貫通している。図4に示すように、各植毛孔38の孔径φ38は、好ましくはφ38=1mm~2.5mm程度、より好ましくはφ38=1.6mm程度である。隣接する植毛孔38の中心間距離P38は、好ましくはP38=1mm~3mm程度、より好ましくはP38=2.8mm程度である。
【0015】
図1及び図4に示すように、歯ブラシ本体10においては、表側細長紙シート31と中間細長紙シート31,32との対応する植毛孔38,38どうしが厚み方向に重なり合って連通している。植毛孔38の孔底は、裏側細長紙シート33における頭部分37によって塞がれている。
【0016】
図4に示すように、連通する植毛孔38,38に複数本の刷毛21からなる刷毛束20の根元部22が埋め込まれている。根元部22の基端(図1において下端)が、裏側細長紙シート33の頭部分37又は該頭部分37に被膜された接着層34に突き当てられている。
【0017】
歯ブラシ1は、次のようにして製造される。
<シート形成工程>
紙用打抜機を用いて、紙材を打ち抜くことによって細長紙シート31,32,33を形成する。前記紙材の厚みは、各細長紙シート31,32,33の厚みと等しい。歯ブラシ本体10全体の厚みは、通常の紙用打抜機によっては打ち抜き困難な厚みであっても、3枚(複数枚)の細長紙シート31,32,33に分割して、細長紙シート31,32,33ごとに打ち抜き成形することによって、通常の紙用打抜機によって十分に対応することができる。したがって、製造コストが高くなることがない。
当該シート形成工程の際、表側細長紙シート31及び中間細長紙シート32の頭部分37には、複数の植毛孔38を互いに間隔を置いて形成する。紙材の厚みなどに応じて、紙用打抜機における植毛孔形成用の穿孔ピンの高さ及び間隔を調整することによって、植毛孔38を精度良く形成することができる。
裏側細長紙シート33には植毛孔38を形成しない。
【0018】
<貼合工程>
次に、これら細長紙シート31,32,33を積層し、隣接する細長紙シート31,32どうし及び32,33どうしを接着層34にて貼り合わせる。
これによって、細長紙シート31,32の植毛孔38の孔底が裏側細長紙シート33における頭部分37によって塞がれる。
このようにして、紙材の打ち抜き(プレス)加工と貼合加工によって、歯ブラシ本体10を安価に作製できる。
【0019】
<植毛工程>
作製された歯ブラシ本体10を、歯ブラシ植毛機に導入して、植毛孔38に刷毛束20の根元部22を埋め込む。歯ブラシ植毛機としては、一般的なプラスチック製歯ブラシと同じ歯ブラシ植毛機を用いることができる。したがって、製造コストを抑えることができる。
これによって、歯ブラシ1が出来上がる。
【0020】
歯ブラシ1は、一般的なプラスチック製歯ブラシと略同等の形状で略同様の使い勝手になる。
各細長紙シート31,32,33は薄くて強度が足らなくても、3枚(複数枚)の細長紙シート31,32,33の積層構造とすることによって、紙製の歯ブラシ本体10の厚みおよび所要強度を確保できる。
歯ブラシ1は、使い捨て(ワンウェイ)歯ブラシとして好適である。歯ブラシ1の主材は紙材であるから、使い捨て歯ブラシであっても、廃プラスチックの削減に十分に寄与することができる。
【0021】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、細長紙シートは、3枚に限らず、2枚でもよく、4枚以上でもよい。
裏側細長紙シート33を除く、植毛孔38を有する細長紙シート31,32は、2枚に限らず、1枚でもよく、3枚以上でもよい。
植毛孔38を有さない裏側細長紙シート33は、1枚に限らず、複数枚(2枚以上)であってもよい。
接着層34は、接着剤に限らず、両面粘着テープであってもよい。
植毛孔38は、穿孔ピンによる打ち抜きに代えて、切削ドリルによる切削によって形成してもよい。前記切削のタイミングは、紙材から細長紙シート31,32を打ち抜くのと同時でもよく、打ち抜きの後でもよく、打ち抜きの前でもよく、好ましくは貼合工程の前であればよい。
歯ブラシ1の形状は、図示したものに限らず、例えば柄部11の形状を適宜変更してもよい。柄部11の表面に滑り止め加工を施してもよい。紙プレス加工機によって柄部11に湾曲加工を施してもよい。柄部11に社名ロゴなどを打刻することも可能である。
本発明に係る歯ブラシは、必ずしも使い捨て仕様である必要はなく、数回以上の使用が想定されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、歯ブラシに適用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 歯ブラシ
10 歯ブラシ本体
11 柄部
12 頸部
13 頭部
20 刷毛束
21 刷毛
22 根元部
31 表側細長紙シート
32 中間細長紙シート
33 裏側細長紙シート
34 接着層
35 柄部分
36 頸部分
37 頭部分
38 植毛孔
図1
図2
図3
図4