IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両用シート 図1
  • 特開-車両用シート 図2
  • 特開-車両用シート 図3
  • 特開-車両用シート 図4A
  • 特開-車両用シート 図4B
  • 特開-車両用シート 図5
  • 特開-車両用シート 図6
  • 特開-車両用シート 図7A
  • 特開-車両用シート 図7B
  • 特開-車両用シート 図7C
  • 特開-車両用シート 図8
  • 特開-車両用シート 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150578
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20231005BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20231005BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
A47C7/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059753
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】芳田 元
(72)【発明者】
【氏名】播田實 真也
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JA03
3B084JA06
3B084JC01
3B084JD05
3B087DE08
(57)【要約】
【課題】着座者の体格、又は走行中の路面の状況に応じて、シート本体に内蔵された振動体による報知を効果的に行うことができる車両用シートを提供する。
【解決手段】車両用シートは、シート本体に内蔵されて、互いに離隔して配置された複数の振動体と、振動体を制御する制御装置と、を備えている。制御装置は、車両に配設された外界センサが出力する外界信号と、着座者の体格を検知する体格検知センサが出力する体格信号と、を取得し、外界信号に基づいて接近物の有無及び接近方向を判定し、体格信号に基づいて、振動体の振動強度及び振動間隔の少なくとも一方に関する振動パラメータを決定し、接近物の有無及び接近方向の判定結果と、決定された振動パラメータと、に基づいて、振動体が振動するように制御する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置されたシート本体と、該シート本体に内蔵されて、互いに離隔して配置された複数の振動体と、前記振動体を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記車両に配設された外界検知装置が出力する外界信号と、着座者の体格を検知する体格検知装置が出力する体格信号と、を取得し、
前記外界信号に基づいて接近物の有無及び接近方向を判定し、
前記体格信号に基づいて、前記振動体の振動強度及び振動間隔の少なくとも一方に関する振動パラメータを決定し、
前記接近物の有無及び前記接近方向の判定結果と、前記決定された振動パラメータと、に基づいて、前記振動体が振動するように制御することを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記体格検知装置は、前記シート本体のシートクッションに内蔵された重量センサであって、前記体格信号は、着座者による荷重であることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記体格検知装置は、前記シート本体に着座する着座者を撮像する着座者撮像装置であって、前記体格信号は、撮像された着座者の映像であることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記シート本体は、前記車両内における前後方向の位置を変更可能に前記車両に設置され、
前記体格検知装置は、前記シート本体の前後方向の位置を検知する位置センサであって、前記体格信号は、前記シート本体の位置情報であることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記体格検知装置は、前記シート本体に内蔵されて、互いに所定の間隔を隔てて配置された複数の静電容量センサであって、前記体格信号は、前記複数の静電容量センサが出力する検知信号であることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記制御装置は、前記体格信号に基づいて着座者の着座状態を判定し、
着座者が着座していないと判定した際に前記振動体を振動させる制御を行わないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両用シート。
【請求項7】
前記制御装置は、走行中の路面の状況を検知する路面状況検知装置が出力する路面信号を取得し、
前記体格信号と、前記路面信号に基づいて前記振動パラメータを決定することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用シート。
【請求項8】
前記制御装置は、前記車両の走行速度に関する走行速度信号を取得し、
前記体格信号と、前記路面信号と、前記走行速度信号と、に基づいて前記振動パラメータを決定することを特徴とする請求項7に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに係り、特に、振動体を備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の周辺に障害物又は他の車両が接近した際に、これを着座者に報知する障害物接近報知システムの開発が行われてきた。例えば、車両の前後左右に配設された外界センサによって車両の外界周辺における接近物の存在を監視し、接近物が検出されると、音声又は光からなる報知信号を出力することが行われてきた。このように、障害物等の接近を着座者に報知する形で警告を与え、危険を回避させることによって、着座者の安全性の向上が図られていた。
【0003】
また、特許文献1には、車両用シートに内蔵された振動体を報知手段として利用した車両用シート装置が開示されている。特許文献1に記載の技術のように、報知手段として振動体を採用することによって、運転者が視覚的、又は聴覚的に認識が困難な状況、例えば視線を報知手段に向けることが困難な状況においても、運転者に対して接近物の存在を警告することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-225877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術によれば、着座者の視覚、又は聴覚に依存することなく危険の接近を知らせるための報知手段として、振動体の有効性を認めることができる。しかしながら、着座者に対する報知手段として、さらなる改善が望まれていた。より具体的には、着座者の体格、又は走行中の路面の状況に応じて、より効果的に報知することが望まれていた。例えば小柄な体格を有する着座者に対して報知を行う場合、振動体の振動が、着座者に対して不快感を覚えさせてしまう虞があった。一方、大きな体格を有する着座者に対して報知を行う場合、振動の強度が不十分であることにより、振動体の振動を十分に着座者に認識させることができない虞があった。また、他の例として、砂利道など、走行中に路面から伝わる振動が大きい状況においては、通常の振動強度による振動では着座者に十分に認識させることができない虞があった。このように、着座者の体格、又は走行中の路面の状況に応じて、効果的に報知を行うことが求められていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、着座者の体格、又は走行中の路面の状況に応じて、シート本体に内蔵された振動体による報知を効果的に行うことができる車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の車両用シートによれば、車両に設置されたシート本体と、該シート本体に内蔵されて、互いに離隔して配置された複数の振動体と、前記振動体を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記車両に配設された外界検知装置が出力する外界信号と、着座者の体格を検知する体格検知装置が出力する体格信号と、を取得し、前記外界信号に基づいて接近物の有無及び接近方向を判定し、前記体格信号に基づいて、前記振動体の振動強度及び振動間隔の少なくとも一方に関する振動パラメータを決定し、前記接近物有無及び接近方向の判定結果と、前記決定された振動パラメータと、に基づいて、前記振動体が振動するように制御することにより解決される。
【0008】
上記構成によれば、制御装置は、接近物の有無及び接近方向を判定し、接近物が有ると判定されると、着座者の体格に基づいて振動パラメータを決定する。そして制御装置は、決定された振動パラメータで振動体が振動するように制御する。これにより、着座者の体格に応じて決定された振動パラメータで振動体が振動するため、振動体による報知を効果的に行うことが可能となる。
【0009】
また、前記体格検知装置は、前記シート本体のシートクッションに内蔵された重量センサであって、前記体格信号は、着座者による荷重であると好適である。
上記構成によれば、制御装置は、重量センサによって取得された着座者の荷重に基づいて振動パラメータを決定する。シートクッション内に内蔵された振動体は、重量センサと近接した位置に配設されており、シート本体に対する着座者の荷重に応じて効果的に振動体による報知を行うことが可能となる。
【0010】
また、前記体格検知装置は、前記シート本体に着座する着座者を撮像する着座者撮像装置であって、前記体格信号は、撮像された着座者の映像であると好適である。
上記構成によれば、着座者撮像装置によって着座者の映像を取得するため、着座者の体格とともに、着座者の性別や年齢等の属性情報を取得することが可能となる。そのため、着座者の体格及び属性に応じて効果的に振動体による報知を行うことが可能となる。
【0011】
また、前記シート本体は、前記車両内における前後方向の位置を変更可能に前記車両に設置され、前記体格検知装置は、前記シート本体の前後方向の位置を検知する位置センサであって、前記体格信号は、前記シート本体の位置情報であると好適である。
上記構成によれば、制御装置は、車両内のシート本体の位置を検知する位置センサによって取得された位置情報に基づいて、着座者の体格を推定する。そのため、コスト増加を抑制しつつ、着座者の体格に応じて効果的に振動体による報知を行うことが可能となる。
【0012】
また、前記体格検知装置は、前記シート本体に内蔵されて、互いに所定の間隔を隔てて配置された複数の静電容量センサであって、前記体格信号は、前記複数の静電容量センサが出力する検知信号であると好適である。
上記構成によれば、シート本体内に配置された複数の静電容量の検知信号を取得することで、シート本体のうち、着座者と接触している部分を適切に判定することが可能となる。そのため、着座者とシート本体とが接触している位置に配置された振動体によって効果的に報知を行うことが可能となる。
【0013】
また、前記制御装置は、前記体格信号に基づいて着座者の着座状態を判定し、着座者が着座していないと判定した際に前記振動体を振動させる制御を行わないと好適である。
上記構成によれば、着座者が着座していない時に、意味なく振動体が振動することを抑制することが可能となる。
【0014】
また、前記制御装置は、走行中の路面の状況を検知する路面状況検知装置が出力する路面信号を取得し、前記体格信号と、前記路面信号に基づいて前記振動パラメータを決定すると好適である。
上記構成によれば、制御装置は、走行中の路面の状況を検知し、着座者の体格及び路面の状況に基づいて振動パラメータを決定する。そのため、振動体による報知を効果的に行うことが可能となる。具体的には、凹凸の大きな路面(砂利道など)を走行している場合に、振動体の振動強度を大きくすることによって、路面から伝わる振動と誤認されることなく報知信号を着座者に認識させることが可能となる。
【0015】
また、前記制御装置は、前記車両の走行速度に関する走行速度信号を取得し、前記体格信号と、前記路面信号と、前記走行速度信号と、に基づいて前記振動パラメータを決定すると好適である。
上記構成によれば、制御装置は、車両の走行速度信号に基づいて振動パラメータを決定する。そのため、振動体による報知を効果的に行うことが可能となる。具体的には、凹凸の大きな路面を高速で走行している場合に、振動体の振動強度を大きくすることによって、路面からの振動と誤認されることなく報知信号を着座者に認識させることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、着座者の体格、又は走行中の路面の状況に応じて、シート本体に内蔵された振動体による報知を効果的に行うことができる車両用シートを提供することにある。
また、シート本体に対する着座者の荷重のかかり具合に応じて効果的に振動体による報知を行うことが可能となる。
また、着座者の体格及び属性に応じて効果的に振動体による報知を行うことが可能となる。
また、コスト増加を抑制しつつ、着座者の体格に応じて効果的に振動体による報知を行うことが可能となる。
また、着座者とシート本体とが接触している位置に配置された振動体によって効果的に報知を行うことが可能となる。
また、着座者が着座していないときに、意味なく振動体が振動することを抑制することが可能となる。
また、路面からの振動によって誤認されることなく報知信号の存在を認識させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの基本構成の説明図である。
図2】車両用シートの機能構成を示す図である。
図3】外界センサの配置を示す図である。
図4A】車両の右側から接近物が接近した際の振動体の振動状態を示す図である。
図4B】車両の左側から接近物が接近した際の振動体の振動状態を示す図である。
図5】制御装置によって実行される振動制御処理の流れを示す図である。
図6】振動パラメータ選択処理の流れを示す図である。
図7A】振動パラメータテーブルの一例を示す図である。
図7B】車両の右側から接近物が接近した際に参照される振動パターンテーブルの一例を示す図である。
図7C】車両の左側から接近物が接近した際に参照される振動パターンテーブルの一例を示す図である。
図8】第二実施形態に係る振動パラメータ選択処理の流れを示す図である。
図9】第二実施形態に係る振動パターンテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1乃至図7Cを参照しながら、本発明の実施形態(以下、本実施形態)に係る車両用シートについて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0019】
以下の説明中、「前後方向」とは、車両Vの前後方向のことであり、車両の走行方向と一致する。「シート前後方向」とは、車両用シートの着座者から見たときの前後方向を意味する。「左右方向」とは、車両Vの左右方向のことである。「シート幅方向」とは、車両用シートの横幅方向を意味し、車両用シートの着座者から見たときの左右方向と一致する。また、以下において「左」とは車両Vの進行方向に対する左を指し、「シート左」とは着座者から見たときの左を指す。同様に「右」とは車両Vの進行方向に対する右を指し、「シート右」とは着座者から見たときの右を指す。また、「高さ方向」とは、車両用シートの高さ方向を意味し、車両用シートを正面から見たときの上下方向と一致する。
【0020】
<車両用シートSの主要構成>
図1は、車両用シートSの基本構成を示す斜視図である。図1に示すように、車両用シートSは、シート本体を構成するシートクッション1と、シートバック2と、ヘッドレスト3と、を有している。シートクッション1、シートバック2、及びヘッドレスト3は、シート本体に相当する。
【0021】
シートクッション1は、着座者を下方から支持する着座部である。シートクッション1は、該シートクッション1の骨格を構成するシートクッションフレーム(不図示)と、該シートクッションフレームを被覆するクッション材1a及び表皮材1bによって主に構成されている。クッション材1aは、発泡ウレタン等からなるパッド部材である。
【0022】
シートクッション1は、複数の振動体10を内蔵している。振動体10は、シート前後方向及びシート幅方向に互いに離隔して配置されている。詳細には、シートクッション1は、シート右前方に配置された右前方振動体11RFと、シート右後方に配置された右後方振動体11RRと、シート左前方に配置された左前方振動体11LFと、シート左後方に配置された左後方振動体11LRと、を含むシートクッション振動体11を内蔵している。シートクッション振動体11は、クッション材1aに形成された凹部内に収容されている。
【0023】
シートバック2は、着座者の背中を後方から支持する背もたれ部である。シートバック2は、該シートバック2の骨格を構成するシートバックフレーム(不図示)と、該シートバックフレームを被覆するクッション材2a及び表皮材2bによって主に構成されている。
【0024】
シートバック2は、上下方向及びシート幅方向に互いに離隔して配置された複数の振動体10を内蔵している。詳細には、シートバック2は、シート右上方に配置された右上方振動体12RUと、シート右下方に配置された右下方振動体12RDと、シート左上方に配置された左上方振動体12LUと、シート左下方に配置された左下方振動体12LDと、を含むシートバック振動体12を内蔵している。シートバック振動体12は、シートバック2のクッション材2aに形成された凹部内に収容されている。
【0025】
ヘッドレスト3は、乗員の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となるピラー3cと、該ピラー3cを被覆するにクッション材3a及び表皮材3bによって主に構成されている。
【0026】
車両用シートSには、振動体10の駆動を制御する制御装置20が内蔵されている。制御装置20は、図1に示すように、外界センサ30及び体格検知センサ40と通信回線を介して接続されている。制御装置20は、外界センサ30の出力信号に基づいて車両Vに接近する接近物の存在及び接近方向を判定する。また制御装置20は、体格検知センサ40が出力する体格信号に基づいて振動体10の振動パラメータを決定し、決定された振動パラメータで接近方向に配置された振動体10が振動するように制御する。これにより、制御装置20は、接近物の接近を着座者に報知して注意喚起を促す。
【0027】
ここで「接近物」とは、車両Vに対して接近してくる物体、換言すると、車両Vとの相対距離が小さくなる物体である。具体的には、車両Vの周辺を走行する他の車両、自動二輪車、自転車、歩行者、建物の壁や電信柱等の設置物は、接近物に該当し得る。
【0028】
<車両用シートSの機能構成について>
次に、車両用シートSの機能構成について説明する。
図2は、車両用シートSと、車両用シートSの制御装置20に接続された外界センサ30と、体格検知センサ40と、路面撮像装置45と、走行速度センサ46の機能構成を示している。図2に示すように、制御装置20は、外界センサ30と、体格検知センサ40と、路面撮像装置45と、走行速度センサ46と、シートクッション振動体11と、シートバック振動体12と接続されて、車両用シートS全体の制御を司る。
【0029】
外界センサ30は、車両Vの周辺情報である外界の状況を検出するセンサである。詳細には、外界センサ30は、車両Vの全方位の照射光に対する散乱光を測定して車両Vから周辺の障害物の距離を測定するライダによって構成することができる。また外界センサ30は、電磁波を照射し反射波を検出することで車両Vの周辺の他車両や障害物等を検出するレーダによって構成することができる。外界センサ30はさらに、車両Vの周辺の映像を撮像する光学式センサによって構成することができる。外界センサ30は、外界検知装置に相当する。
【0030】
図3は、車両Vに対する外界センサ30の取付位置を模式的に示している。図2及び図3に示すように、外界センサ30は、右前方センサ30RFと、右後方センサ30RRと、左前方センサ30LFと、左後方センサ30LRと、を有している。ただし、センサの数及び配置は、図3に示す数及び配置に限定されない。例えば、図3中、白丸印で表記された箇所や、バツ印にて表記された箇所に更にセンサが追加して配置されてもよい。
【0031】
右前方センサ30RFは、車両Vの右前方に配置されて、車両の前方向及び右方向の状況を検出する。
右後方センサ30RRは、車両Vの右後方に配置されて、車両Vの後ろ方向及び右方向の状況を検出する。
左前方センサ30LFは、車両Vの左前方に配置されて、車両Vの前方向及び左方向の状況を検出する。
左後方センサ30LRは、車両Vの左後方に配置されて、車両Vの後ろ方向及び左方向の状況を検出する。
【0032】
体格検知センサ40は、着座者の体格を検知し、体格信号を出力する。体格検知センサ40は、体格検知装置に相当する。詳細には、体格検知センサ40は、車両用シートSのシートクッション1に内蔵された重量センサによって構成することができる。体格検知センサ40として重量センサを採用することにより、制御装置20は、シートクッション1に対する着座者の荷重信号を取得することが可能となる。重量センサは、シートクッション1に内蔵された振動体10の近傍に配設されると好適である。これにより、重量センサが検知した荷重信号に基づいて、その近傍に配設された振動体10の振動パラメータを適切に設定することができるため、振動体10による報知を効果的に行うことが可能となる。
【0033】
また、体格検知センサ40は、車両用シートSに着座する着座者を撮像する撮像装置によって構成されてもよい。体格検知センサ40として着座者撮像装置を採用することにより、制御装置20は、着座者の映像を取得することが可能となる。制御装置20は、着座者の映像に対して所定の画像解析処理を施すことにより、着座者の体格に加えて、着座者の性別、年齢等の属性情報を取得することが可能となる。制御装置20は、着座者の体格及び属性に基づいて振動体10の振動パラメータを決定することで、振動体10による報知を効果的に行うことが可能となる。
【0034】
また、体格検知センサ40は、車室内における前後方向の位置を変更可能な車両用シートSの位置を検知する位置センサによって構成されてもよい。位置センサは、例えば車両用シートSの下方に設置されて、車両用シートSを前後にスライド可能に支持するスライド機構(不図示)に取り付けることができる。体格検知センサ40として位置センサを採用することにより、制御装置20は、車両用シートSの位置情報を取得することが可能となる。制御装置20は、車両用シートSの位置情報に基づいて着座者の体格を推定する。そのため、コスト増加を抑制しつつ、振動体10による報知を効果的に行うことが可能となる。
【0035】
また、体格検知センサ40は、車両用シートSに内蔵されて、互いに所定の間隔を隔てて配置された複数の静電容量センサによって構成されてもよい。体格検知センサ40として静電容量センサを採用することにより、制御装置20は、静電容量センサの検知信号を取得することが可能となる。制御装置20は、静電容量センサの検知信号に基づいて、着座者と車両用シートSが接触している箇所を判定し、着座者と車両用シートSが接触していると判定された位置の近傍に配置された振動体10による報知を効果的に行うことが可能となる。
【0036】
路面撮像装置45は、車両Vの車体に取り付けられて、車両Vが走行する路面の映像を出力する。制御装置20は、路面の映像(路面信号に相当する。)に対して所定の画像解析処理を施すことにより、路面状況の判定を行う。路面状況とは、例えば路面に存在する凹凸の有無や、路面の舗装状態に関する情報を含んでいる。後述するように、制御装置20は、路面状況を判定し、路面状況が粗悪な場合には、振動体10の振動強度が大きくなるように制御する。これにより、路面からの振動と誤認されることなく報知信号を着座者に認識させることが可能となる。路面撮像装置45は、路面状況検知装置に相当する。
【0037】
走行速度センサ46は、車両Vの走行速度信号を出力する。制御装置20は、後述するように、制御装置20は、走行速度信号を取得し、路面状況が粗悪な場合であって、かつ走行速度が大きい場合に、振動体10の振動強度を大きくするように制御する。これにより、路面からの振動と誤認されることなく報知信号を着座者に認識させることが可能となる。
【0038】
振動体10は、シートクッション1に内蔵されたシートクッション振動体11と、シートバック2に内蔵されたシートバック振動体12と、を有している。振動体10は、モータと、モータの回転軸に固定された偏心錘からなる偏心モータ、又はリニアバイブレータであるが、これに限定されない。振動体10は、振動によって着座者に刺激を与え、報知手段としての機能を果たすことができればよい。
【0039】
本実施形態において、振動体10は、シートクッション1に内蔵された4つのシートクッション振動体11と、シートバック振動体12に内蔵された4つのシートバック振動体12と、から構成されているが、これに限定されない。より多数のシートクッション振動体11及びシートバック振動体12が内蔵されていてもよい。
【0040】
制御装置20は、車両用シートS内に搭載されたECU(Electronic Control Unit)である。制御装置20は、プログラムを実行するプロセッサと、不揮発性記憶媒体と、揮発性記憶媒体と、から構成されている。そしてプロセッサが、不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより、取得部21、接近物判定部22、着座状態判定部23、振動パラメータ決定部24、及び振動制御部25として機能する。
【0041】
取得部21は、通信ケーブル又は無線通信による通信が可能な通信インターフェイスを有し、外界センサ30が出力する外界信号と、体格検知センサ40が出力する体格信号と、を取得する。
【0042】
接近物判定部22は、は、外界センサ30が出力する外界信号に基づいて車両Vの周囲の物体を検出する。そして接近物判定部22は、検出した物体の特徴からその物体の種類(例えば、歩行者や他車両)を判別する。続いて接近物判定部22は、検出した物体と車両Vとの衝突確率を算出する。衝突確率の算出は、物体の車両Vへの接近速度を考慮して行う。接近物判定部22は、車両Vと物体との衝突形態(前面衝突、後面衝突、側面衝突)を判定して、特定の衝突(例えば側面衝突)の場合の衝突確率を算出してもよい。
【0043】
接近物判定部22は、算出された衝突確率を予め定められた所定の閾値と比較することによって接近物の有無を判定し、判定結果及び接近物の接近方向を、振動制御部25に出力する。
【0044】
着座状態判定部23は、体格検知センサ40が出力する体格信号に基づいて着座者の着座状態を判定する。着座状態判定部23は、体格検知センサ40によって着座者を検知することができなかった場合に、着座者が車両用シートSに着座していないと判定する。
【0045】
振動パラメータ決定部24は、振動体10を振動させる際に用いられる振動パラメータを決定する。振動パラメータは、振動強度、及び振動間隔の少なくとも一方を含んでいる。振動パラメータは、振動周波数を含んでいてもよい。
振動パラメータ決定部24は、着座者の体格と、路面状況と、車両Vの走行速度と、に基づいて振動パラメータを決定する。具体的には、振動パラメータ決定部24は、着座者が大柄な体格の場合には、振動強度が大きくなるように振動パラメータを決定する。一方、振動パラメータ決定部24は、着座者が小柄な体格の場合には、振動強度が小さくなるように振動パラメータを決定する。これにより、大柄な体格を有する着座者について、報知信号の認識漏れを防止するとともに、小柄な体格を有する着座者について、振動が強すぎることによって不快感を覚えさせることを抑制することが可能となる。
【0046】
また、振動パラメータ決定部24は、車両Vが、粗悪な路面(凹凸が大きい路面)を高速で走行する場合には、振動強度が大きくなるように振動パラメータを決定する。一方、良好な路面(舗装済みの路面)を低速で走行する場合には、振動強度が小さくなるように振動パラメータを決定する。これにより、粗悪な路面を高速で走行する際に、路面から伝達される振動と誤認されることなく報知信号を認識させることができるとともに、良好な路面で低速で走行する際に、振動が強すぎることによって着座者に不快感を覚えさせることを抑制することが可能となる。
【0047】
振動制御部25は、接近物判定部22の判定結果と、振動パラメータ決定部24によって決定された振動パラメータに基づいて、接近物の接近方向に配置された振動体10が振動するように制御する。
図4Aは、接近物が右側から接近している場合に、車両用シートSの右側に配置された右前方振動体11RF、右後方振動体11RR、右上方振動体12RU、及び右下方振動体12RDが振動する状況を示している。図4Aに示すように、接近方向に配置された振動体10が振動するように制御することによって、接近物の存在と接近方向を着座者に対して認識させることができる。ここで、右前方振動体11RF、右後方振動体11RR、右上方振動体12RU、及び右下方振動体12RDは、着座者の体格と、路面状況と、車両Vの走行速度に応じて決定された振動パラメータで振動する。
【0048】
図4Bは、接近物が左側から接近している場合に、車両用シートSの左側に配置された左前方振動体11LF、左後方振動体11LR、左上方振動体12LU、及び左下方振動体12LDが振動する状況を示している。ここで、左前方振動体11LF、左後方振動体11LR、左上方振動体12LU、及び左下方振動体12LDは、着座者の体格と、路面状況と、車両Vの走行速度に応じて決定された振動パラメータで振動する。
【0049】
<振動制御処理の流れについて>
次に、制御装置20によって実行される振動制御処理の流れについて説明する。
図5は、制御装置20によって実行される振動制御処理の流れを示している。図5に示すように、最初に、制御装置20は、着座者の着座状態を判定する(ステップS10)。着座者が着座していないと判定された場合(ステップS10:NO)、制御装置20は、着座者が着座するまで待機する。換言すると、制御装置20は、着座者が着座していないと判定した場合には、振動体10を振動させる制御を行わない。
【0050】
一方、着座者が着座していると判定した場合(ステップS10:YES)、制御装置20は、外界センサ30が出力する外界信号を取得し(ステップS11)、車両Vの周辺における接近物の存在を判定する(ステップS12)。上述したように制御装置20は、車両Vの周囲の物体を検出し、検出された物体と車両Vとの衝突確率が所定の閾値より大きい場合に接近物が存在すると判定する。接近物が存在すると判定されなかった場合(ステップS12:NO)、制御装置20は、ステップS11に戻り、外界センサ30の出力を監視する。
【0051】
一方、接近物が存在すると判定された場合(ステップS12:YES)、制御装置20は、振動パラメータ選択処理を実行する(ステップS13)。
図6は、制御装置20によって実行される振動パラメータ選択処理の流れを示している。図6に示すように、最初に、制御装置20は、体格検知センサ40が出力する体格信号を取得する(ステップS20)。
【0052】
次に制御装置20は、着座者の体格が大柄か否かを判定する(ステップS21)。より詳細には、制御装置20は、体格信号を予め設定された所定の閾値と比較することにより、着座者の体格が大柄か否かを判定する。なお、制御装置20は、体格検知センサ40が着座者を撮像する着座者撮像装置である場合には、着座者の映像信号に対して所定の画像処理を適用することによって着座者の体格が大柄か否かを判定する。
【0053】
着座者の体格が大柄と判定された場合(ステップS21:YES)、制御装置20は、振動パラメータを選択することによって振動体10の振動パラメータを決定する(ステップS22)。より詳細には、制御装置20は、振動パラメータテーブル26を参照することによって振動パラメータを選択する。
【0054】
図7Aは、振動パラメータテーブル26を示している。図7Aに示すように、振動パラメータテーブル26は、振動パラメータと、選択可能な振動パラメータの値が格納されている。振動パラメータには、振動強度と、振動間隔と、振動周波数と、が含まれる。
【0055】
振動強度は、振動体10の振動の振幅の大きさを示すパラメータである。振動強度として、予め設定された「弱」、「中」、「強」のいずれかの値を設定することができる。
振動間隔は、振動体10が、振動期間及び停止期間を1つの振動周期として繰り返し振動する際の振動周期の長さを示すパラメータである。振動周期として、予め設定された「短」、「中」、「長」のいずれかの値を選択することができる。
振動周波数は、振動体10の振動周波数を示すパラメータである。振動周波数として、予め設定された「低」、「中」、「高」のいずれかの値を設定することができる。
【0056】
制御装置20の振動パラメータ決定部24は、着座者の体格に基づいて振動パラメータを選択する。具体的には、着座者の体格が大柄な場合には、振動強度を「強」に決定し、振動間隔を「短」に決定し、振動周波数を「高」に決定する。そして、着座者の体格が大柄でも小柄でもなく、標準的な体格の場合には、振動強度を「中」に決定し、「振動間隔」を「中」に決定し、振動周波数を「中」に決定する。また、着座者の体格が小柄な場合には、振動強度を「弱」に決定し、振動間隔を「長」に決定し、振動周波数を「低」に決定する。
【0057】
図6に戻って、制御装置20は、着座者の体格が大柄と判定されなかった場合(ステップS21:NO)、制御装置20は、着座者の体格が小柄か否かを判定する(ステップS23)。
着座者の体格が小柄と判定された場合(ステップS23:YES)、制御装置20は、振動パラメータを選択することによって振動体10の振動パラメータを決定する(ステップS24)。図7Aを参照して説明したように、制御装置20は、振動パラメータテーブル26を参照することによって振動パラメータを選択して、振動パラメータ選択処理を終了する。
【0058】
一方、制御装置20は、着座者の体格が小柄と判定されなかった場合(ステップS23:NO)、制御装置20は、着座者は標準的な体格であると判定し、振動パラメータテーブル26を参照して振動パラメータを決定する(ステップSS25)。そして制御装置20は、振動パラメータ選択処理を終了する。
【0059】
図5に戻って、制御装置20は、接近物判定部22の判定結果を取得し、接近物が車両Vの右側から接近しているか否かを判定する(ステップS14)。接近物が車両Vの右側から接近していると判定された場合(ステップS14:YES)、制御装置20は、振動パターンテーブル27Rを参照して接近物の接近方向(右側)に配置された振動体10が振動するように制御する(ステップS15)。振動パターンテーブル27Rは、車両Vの右側に接近物が存在すると判定された際に参照される振動パターンテーブル27であって、複数の振動体10を振動させる順番が格納されている。
【0060】
図7Bは、振動パターンテーブル27Rの一例を示している。振動パターンテーブル27Rには、「パターンA」、「パターンB」、「パターンC」の3つの振動パターンが格納されている。
パターンAは、シートバック2に内蔵された右上方振動体12RU、右下方振動体12RD、シートクッション1に内蔵された右後方振動体11RR、右前方振動体11RFが、この順番に振動する振動パターンである。パターンAは、右後方から接近物が接近する際に参照される振動パターンである。
【0061】
パターンBは、パターンAの逆順で振動体10が振動する。詳細には、右前方振動体11RF、右後方振動体11RR、シートバック2に内蔵された右下方振動体12RD、右上方振動体12RUが、この順番に振動する振動パターンである。パターンBは、右前方から接近物が接近する際に参照される振動パターンである。
パターンCは、右上方振動体12RU、右下方振動体12RD、右後方振動体11RR、及び右前方振動体11RFが同時に振動する振動パターンである。パターンCは、右正面方向から接近物が接近する際に参照される振動パターンである。
【0062】
制御装置20は、接近物の接近方向に基づいて、振動パターンを「パターンA」、「パターンB」、「パターンC」のいずれかに決定する。具体的には、接近物の接近方向が右側前方である場合、制御装置20は、右前方振動体11RFが最初に振動する振動パターンであるパターンBに決定する。一方、接近物の接近方向が右側後方である場合、制御装置20は、右上方振動体12RUが最初に振動する振動パターンであるパターンAに決定する。そして、接近物の接近方向が右側正面である場合、制御装置20は、右前方振動体11RFと、右後方振動体11RRと、右上方振動体12RUと、右下方振動体12RDと、が同時に振動する振動パターンであるパターンCに決定する。
【0063】
図5に戻って、制御装置20は、振動体10を、ステップS13で決定された振動パラメータで振動するように制御する。
【0064】
一方、接近物が車両Vの右側から接近していると判定されなかった場合(ステップS14:NO)、制御装置20は、接近物が車両Vの左側から接近しているか否かを判定する(ステップS16)。接近物が車両Vの左側から接近していると判定された場合(ステップS16:YES)、制御装置20は、振動パターンテーブル27Lを参照して接近物の接近方向(左側)に配置された振動体10が振動するように制御する(ステップS17)。振動パターンテーブル27Lは、車両Vの左側に接近物が存在すると判定された際に参照される振動パターンテーブル27であって、複数の振動体10を振動させる順番が格納されている。
【0065】
図7Cは、振動パターンテーブル27Lの一例を示している。図7Cに示すように、振動パターンテーブル27Lは、上述した振動パターンテーブル27Rと同等の構造を有しているため、詳細な説明を省略する。
制御装置20は、接近物の接近方向側に配置された振動体10を、ステップS13で決定された振動パラメータで振動するように制御する。
【0066】
一方、接近物が車両Vの左側から接近していると判定されなかった場合(ステップS16:NO)、制御装置20は、接近物の接近方向側に配置された振動体10が振動するように制御する(ステップS18)。具体的には、接近物が前方から接近している場合、制御装置20は、シートクッション1に内蔵されたシートクッション振動体11が振動するように制御する。また、接近物が後方から接近している場合、制御装置20は、シートバック2に内蔵されたシートバック振動体12が振動するように制御する。
【0067】
そして制御装置20は、シートクッション振動体11又はシートバック振動体12を、ステップS13で決定された振動パラメータで振動するように制御する。
【0068】
以上のように、制御装置20は、体格検知センサ40が出力する体格信号に基づいて振動体10の振動パラメータを決定するため、着座者の体格に応じて振動体10による報知を効果的に行うことが可能となる。
【0069】
<第二実施形態>
上述した実施形態において、制御装置20は、着座者の体格に応じて決定された振動パラメータで振動体10による報知を行うこととして説明した。これに対して、第二実施形態に係る制御装置20は、着座者の体格に加えて、走行中の路面の状況に応じて振動パラメータを決定し、決定された振動パラメータを用いて振動体10による報知を行う。これにより、例えば工事中の道や舗装されていない道を走行する場合のように、路面から振動を受ける状況においても振動体10による振動を着座者に認識させることが可能となり、効果的に報知を行うことが可能となる。
【0070】
図8は、第二実施形態における振動パラメータ選択処理の流れを示している。図8に示すように、最初に制御装置20は、路面撮像装置45が出力する路面情報(路面信号)を取得する(ステップS20A)。ここで路面情報とは、車両Vが走行している路面の映像である。
【0071】
次に制御装置20は、路面状況が粗悪か否かを判定する(ステップS21A)。より詳細に説明すると、制御装置20は、路面情報である路面の映像信号に対して所定の画像処理を施す。画像処理は、まず路面に存在する上下方向の変動(砂利等の存在による凹凸など)を認識し、これを定量化することによって上下方向の変動量を導出する。具体的には、制御装置20は、路面の上下方向における変動量の標準偏差を算出する。そして、得られた標準偏差を、予め設定された所定の閾値と比較することによって、路面が粗悪な状況(変動量が大きい場合)と、路面が良好な状況(変動量が小さい場合)と、路面が標準的な状況のいずれに該当するかを判定することができる。
なお、路面の上下方向の変動量の導出方法は、上述した標準偏差の算出に限定されない。例えば、路面の映像信号に対して周波数解析を行い、所定の周波数領域の信号成分を累積加算することによって路面の上下方向の変動量が導出されてもよい。
【0072】
路面状況が粗悪と判定された場合(ステップS21A:YES)、制御装置20は、振動強度を「強」に決定する(ステップS22)。制御装置20は、振動強度の決定に加えて、振動間隔を「短」に決定し、又は振動周波数を「高」に決定してもよい。
ここで制御装置20は、振動パラメータテーブル26Aを参照することによって振動パラメータを決定する。
【0073】
図9は、第二実施形態における振動パラメータテーブル26Aを示している。図9に示すように、振動パラメータテーブル26Aは、振動パラメータとして振動強度と、振動間隔と、振動周波数と、が格納されている。そして、制御装置20は、走行中の路面の状況に基づいて振動パラメータを選択する。具体的には、路面の状況が粗悪な場合には、振動強度を「強」に決定し、振動間隔を「短」に決定し、振動周波数を「高」に決定する。そして、路面の状況が粗悪でも良好でもなく、標準的な状況の場合には、振動強度を「中」に決定し、「振動間隔」を「中」に決定し、振動周波数を「中」に決定する。また、路面の状況が良好な場合には、振動強度を「弱」に決定し、振動間隔を「長」に決定し、振動周波数を「低」に決定する。
【0074】
図8に戻って、路面状況が粗悪と判定されなかった場合(ステップS21A:NO)、制御装置20は、路面状況が良好か否かを判定する(ステップS23A)。路面状況が良好であると判定された場合(ステップS23A:YES)、制御装置20は、振動強度を「弱」に決定する(ステップS24)。制御装置20は、振動強度の決定に加えて、振動間隔を「長」に決定し、振動周波数を「低」に決定してもよい。
【0075】
また、路面状況が良好と判定されなかった場合(ステップS23A:NO)、制御装置20は、路面が標準的な状況にあると判定し、振動強度を「中」に決定する(ステップS25)。制御装置20は、振動強度の決定に加えて、振動間隔を「中」に決定し、又は振動周波数を「中」に決定してもよい。
【0076】
以上のように振動パラメータを決定することによって、路面状況が粗悪な路面を走行中に、路面から受ける振動によって、着座者が、振動体10による報知を認識することができない事態が発生してしまうことを抑制することが可能となる。また、路面状況が良好な路面を走行中に、必要以上に強い報知を行うことによって着座者に不快感を覚えさせる事態が発生することを抑制することが可能となる。
【0077】
上述した第二実施形態において、着座者の体格に加えて、走行中の路面の状況に基づいて振動体10の振動パラメータを決定することとして説明したが、着座者の体格、走行中の路面の状況、及び車両Vの走行速度に基づいて振動パラメータが決定されてもよい。これにより、凹凸の大きな路面を高速で走行している場合に、振動体10の振動強度を大きくすることによって、路面からの振動によって誤認されることなく報知信号を着座者に認識させることが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1 シートクッション(シート本体)
1a クッション材
1b 表皮材
2 シートバック(シート本体)
2a クッション材
2b 表皮材
3 ヘッドレスト(シート本体)
3a クッション材
3b 表皮材
3c ピラー
10 振動体
11 シートクッション振動体
11RF 右前方振動体
11RR 右後方振動体
11LF 左前方振動体
11LR 左後方振動体
12 シートバック振動体
12RU 右上方振動体
12RD 右下方振動体
12LU 左上方振動体
12LD 左下方振動体
20 制御装置
21 取得部
22 接近物判定部
23 着座状態判定部
24 振動パラメータ決定部
25 振動制御部
26 振動パラメータテーブル
27、27R、27L 振動パターンテーブル
30 外界センサ(外界検知装置)
30RF 右前方センサ
30RR 右後方センサ
30LF 左前方センサ
30LR 左後方センサ
40 体格検知センサ(体格検知装置)
45 路面撮像装置
46 走行速度センサ
S 車両用シート
V 車両
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9