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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150597
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】演算装置、演算方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20231005BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059783
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岡村 淳
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181MC04
5H181MC16
5H181MC24
5H181MC25
(57)【要約】
【課題】管理区間における路面状態を適切に算出する。
【解決手段】演算装置は、道路Rの管理区間SAの始点及び終点の位置情報を取得する管理区間取得部と、道路Rの検出区間SBを移動した車両の挙動を示す挙動情報と、検出区間SBの始点及び終点の位置情報とを取得する挙動情報取得部と、管理区間SAの始点及び終点の位置情報と検出区間SBの始点及び終点の位置情報とに基づき、管理区間SAと検出区間SBとの重複長さを算出する重複長さ算出部と、管理区間SAの長さと、重複長さと、検出区間SBでの挙動情報とに基づき、管理区間SAにおける路面状態を算出する路面状態算出部と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の管理区間の始点及び終点の位置情報を取得する管理区間取得部と、
前記道路の検出区間を移動した車両の挙動を示す挙動情報と、前記検出区間の始点及び終点の位置情報とを取得する挙動情報取得部と、
前記管理区間の始点及び終点の位置情報と前記検出区間の始点及び終点の位置情報とに基づき、前記管理区間と前記検出区間との重複長さを算出する重複長さ算出部と、
前記管理区間の長さと、前記重複長さと、前記検出区間での前記挙動情報とに基づき、前記管理区間における路面状態を算出する路面状態算出部と、
を含む、
演算装置。
【請求項2】
前記路面状態算出部は、前記管理区間の長さに対する前記重複長さの比率により、前記検出区間での前記挙動情報を補正することで、前記管理区間における路面状態を算出する、請求項1に記載の演算装置。
【請求項3】
前記路面状態算出部は、
挙動情報と路面状態との対応関係を機械学習した学習モデルに、前記検出区間での前記挙動情報を入力することで、前記検出区間での路面状態を算出し、
前記管理区間の長さに対する前記重複長さの比率により、前記検出区間での前記路面状態を補正することで、前記管理区間における路面状態を算出する、請求項2に記載の演算装置。
【請求項4】
前記重複長さ算出部は、前記管理区間の始点及び終点の両方が前記検出区間内にある場合には、前記管理区間の全長を前記重複長さとする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の演算装置。
【請求項5】
前記重複長さ算出部は、前記検出区間の始点及び終点の両方が前記管理区間内にある場合には、前記検出区間の全長を前記重複長さとする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の演算装置。
【請求項6】
前記重複長さ算出部は、前記検出区間の始点及び終点の一方が前記管理区間内にある場合には、前記検出区間と前記管理区間とが重複している区間の長さを、前記重複長さとする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の演算装置。
【請求項7】
道路の管理区間の始点及び終点の位置情報を取得するステップと、
前記道路の検出区間を移動した車両の挙動を示す挙動情報と、前記検出区間の始点及び終点の位置情報とを取得するステップと、
前記管理区間の始点及び終点の位置情報と前記検出区間の始点及び終点の位置情報とに基づき、前記管理区間と前記検出区間との重複長さを算出するステップと、
前記管理区間の長さと、前記重複長さと、前記検出区間での前記挙動情報とに基づき、前記管理区間における路面状態を算出するステップと、
を含む、
演算方法。
【請求項8】
道路の管理区間の始点及び終点の位置情報を取得するステップと、
前記道路の検出区間を移動した車両の挙動を示す挙動情報と、前記検出区間の始点及び終点の位置情報とを取得するステップと、
前記管理区間の始点及び終点の位置情報と前記検出区間の始点及び終点の位置情報とに基づき、前記管理区間と前記検出区間との重複長さを算出するステップと、
前記管理区間の長さと、前記重複長さと、前記検出区間での前記挙動情報とに基づき、前記管理区間における路面状態を算出するステップと、
を、コンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算装置、演算方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示すように、道路を走行している車両の加速度を検出し、その加速度データを学習モデルに入力することで、路面の状態を推定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-86960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、道路を走行した車両による検出結果から路面状態を推定する場合には、所定の区間毎の路面状態を算出する。一方、地方自治体などの道路を管理する管理団体においても、独自の基準で区間を設定して、設定した管理区間毎に道路を管理している。そのため、路面状態を算出する際に用いる区間が、管理区間と一致せず、管理区間における路面状態を適切に算出できなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、管理区間における路面状態を適切に算出可能な演算装置、演算方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る演算装置は、道路の管理区間の始点及び終点の位置情報を取得する管理区間取得部と、前記道路の検出区間を移動した車両の挙動を示す挙動情報と、前記検出区間の始点及び終点の位置情報とを取得する挙動情報取得部と、前記管理区間の始点及び終点の位置情報と前記検出区間の始点及び終点の位置情報とに基づき、前記管理区間と前記検出区間との重複長さを算出する重複長さ算出部と前記管理区間の長さと、前記重複長さと、前記検出区間での前記挙動情報とに基づき、前記管理区間における路面状態を算出する路面状態算出部と、を含む。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る演算方法は、道路の管理区間の始点及び終点の位置情報を取得するステップと、前記道路の検出区間を移動した車両の挙動を示す挙動情報と、前記検出区間の始点及び終点の位置情報とを取得するステップと、前記管理区間の始点及び終点の位置情報と前記検出区間の始点及び終点の位置情報とに基づき、前記管理区間と前記検出区間との重複長さを算出するステップと、前記管理区間の長さと、前記重複長さと、前記検出区間での前記挙動情報とに基づき、前記管理区間における路面状態を算出するステップと、を含む。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、道路の管理区間の始点及び終点の位置情報を取得するステップと、前記道路の検出区間を移動した車両の挙動を示す挙動情報と、前記検出区間の始点及び終点の位置情報とを取得するステップと、前記管理区間の始点及び終点の位置情報と前記検出区間の始点及び終点の位置情報とに基づき、前記管理区間と前記検出区間との重複長さを算出するステップと、前記管理区間の長さと、前記重複長さと、前記検出区間での前記挙動情報とに基づき、前記管理区間における路面状態を算出するステップと、を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、管理区間における路面状態を適切に算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る検出システムの模式的なブロック図である。
図2図2は、車両の模式図である。
図3図3は、演算装置の模式的なブロック図である。
図4図4は、管理区間と検出区間を説明する模式図である。
図5図5は、重複長さの算出を説明するための模式図である。
図6図6は、重複長さの算出を説明するための模式図である。
図7図7は、管理区間の路面状態の算出フローを説明するフローチャートである。
図8図8は、管理区間の路面状態の算出フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(検出システム)
図1は、本実施形態に係る検出システムの模式的なブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る検出システム1は、車両10と、測定データ取得装置12と、演算装置14とを含む。検出システム1は、演算装置14によって、挙動情報に基づいて道路の路面状態を算出する。路面状態は、本実施形態では路面の凹凸度合いを示す指標である。より詳しくは、本実施形態においては、路面状態とは、IRI(International Roughness Index;国際ラフネス指数)である。ただし、路面状態は、IRIに限られず、路面の状態を示す任意の指標であってよい。例えば、路面状態は、IRI、路面の平たん性、ひび割れ、わだち掘れ、及びMCI(Meintenance Control Index)の少なくとも1つであってもよい。
【0013】
検出システム1においては、車両10が、道路を走行しながら挙動情報及び位置情報を検出しつつ、検出した挙動情報及び位置情報を測定データ取得装置12に送信する。挙動情報及び位置情報については後述する。測定データ取得装置12は、例えば道路を管理する主体に管理される装置(コンピュータ)である。測定データ取得装置12は、車両10から送信された挙動情報及び位置情報を、演算装置14に送信する。このように、演算装置14は、測定データ取得装置12を介して挙動情報及び位置情報を取得するが、それに限られない。例えば、検出システム1は、測定データ取得装置12が設けられておらず、演算装置14が、車両10から挙動情報及び位置情報を取得してもよい。
【0014】
(車両)
図2は、車両の模式図である。図2に示すように、車両10は、位置センサ10Aと、挙動センサ10Bと、測定装置10Cとを備える。位置センサ10Aは、車両10の位置情報を取得するセンサである。車両10の位置情報とは、車両10の地球座標を示す情報である。位置センサ10Aは、本実施形態ではGNSS(Global Navivation Satelite System)用のモジュールである。なお、図2におけるZ方向は、鉛直方向の上方を指し、図2は鉛直方向上方から車両10を見た場合の模式図といえる。
【0015】
挙動センサ10Bは、車両10の挙動を示す挙動情報を検出するセンサである。挙動情報は、道路を走行中の車両10の挙動を示す情報であれば任意の情報であってよい。本実施形態では、挙動センサ10Bは、車両10の加速度を挙動情報として検出することが好ましい。この場合、挙動センサ10Bは、加速度を検出する加速度センサであり、より好ましくは3軸での加速度を検出する加速度センサである。また、挙動センサ10Bが検出する挙動情報は、加速度であることに限られず、例えば、加速度、車両10の周囲を撮像した画像データ、車両10の速度、車両10の角速度、車両10のステアリング角度、車両10のブレーキ量、車両10のワイパの動作、及び車両10のサスペンションの作動量の少なくとも1つであってよい。なお、車両10の周囲の画像データは、車両10の動きによって変化するため、車両10の挙動を示す情報であるといえる。車両10の周囲の撮像画像を検出する挙動センサ10Bは例えばカメラであり、車両10の速度を検出する挙動センサ10Bは例えば速度センサであり、車両10の速度を検出する挙動センサ10Bは例えば3軸ジャイロセンサであり、車両10のステアリング角度を検出する挙動センサ10Bは例えばステアリングセンサであり、車両10のブレーキ量を検出する挙動センサ10Bは例えばブレーキセンサであり、車両10のワイパの動作を検出する挙動センサ10Bは例えばワイパセンサが挙げられ、車両10のサスペンションの作動量を検出する挙動センサ10Bは例えばサスペンションセンサが挙げられる。
【0016】
本実施形態では、車両10には、複数の挙動センサ10Bが搭載されている。それぞれの挙動センサ10Bは、車両10において、互いに異なる位置に搭載されている。図2の例では、挙動センサ10Bとして、左側の前輪である車輪TR1のZ方向側(鉛直方向上方向側)に設けられる挙動センサ10B1と、右側の前輪である車輪TR2のZ方向側に設けられる挙動センサ10B2と、左側の後輪である車輪TR3のZ方向側に設けられる挙動センサ10B3と、右側の後輪である車輪TR4のZ方向側に設けられる挙動センサ10B4とを含む。ただし、挙動センサ10Bの設けられる位置は任意である。また、挙動センサ10Bの数も、4つであることに限られず任意であり、任意の数であってよい。また、図2の例では車輪TRの数は4つであるが、その数は任意であり、例えば、2つ以上の任意の数であってよい。また、図2の例では、挙動センサ10B1~10B4は、同じ種類の挙動情報(ここでは加速度)を検出するものであるが、それぞれの挙動センサ10Bは、異なる種類の挙動情報を検出するものであってよい。例えば、同じ種類の挙動情報を検出する複数の挙動センサ10B(例えば複数の加速度センサ)と、それとは異なる挙動情報を検出する挙動センサ10B(例えば速度センサ)とを設けてもよい。
【0017】
測定装置10Cは、位置センサ10A及び挙動センサ10Bを制御して車両10の位置情報と挙動情報を検出させて、検出させた位置情報と挙動情報とを記録する装置である。すなわち、測定装置10Cは、位置情報と挙動情報とを記録するデータロガーとして機能する。測定装置10Cは、コンピュータであるとも言え、制御部10C1と、記憶部10C2と、通信部10C3とを含む。制御部10C1は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。記憶部10C2は、制御部10C1の演算内容やプログラム、車両10の位置情報及び挙動情報などの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶装置のうち、少なくとも1つ含む。なお、記憶部10C2が保存する制御部10C1用のプログラムは、測定装置10Cが読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。通信部10C3は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。
【0018】
制御部10C1は、記憶部10C2に記憶されたプログラムを読み出して、位置センサ10A及び挙動センサ10Bの制御を実行する。制御部10C1は、車両10が道路を走行中に、所定時間ごとに位置センサ10Aに車両10の位置情報を検出させて、所定時間毎に挙動センサ10Bに挙動情報を検出させて、検出させた位置情報及び挙動情報を取得する。すなわち、制御部10C1は、車両10が所定時間走行するたびに、位置センサ10A及び挙動センサ10Bに検出を実行させる。ここでの所定時間とは、例えば1秒以上1分以下の範囲(例えば3秒)の、一定の時間であることが好ましいが、所定時間は一定の時間であることに限られず、任意の長さであってよい。すなわち、所定時間は都度変化してもよい。
【0019】
制御部10C1は、取得した挙動情報と位置情報とを関連付けて、記憶部10C2に記憶させる。すなわち、同じタイミングで検出された挙動情報と位置情報とが関連付けられる。記憶部10C2には、関連付けられたこれらの情報が、検出されたタイミング毎に記憶される。なお、関連付けられたこれらの情報は、同じタイミングで検出されたものであるが、厳密に同じタイミングであることに限られず、異なるタイミングで検出されたものであってよい。この場合、例えば、検出タイミングの差が所定値以下となる挙動情報と位置情報とが、同じタイミングで検出されたものとして扱われて、対応付けられる。なお、上記では全てのセンサのサンプリング周期が同じ前提で説明したが、各センサのサンプリング周期が異なる場合には適宜調整を行う。
【0020】
制御部10C1は、関連付けられた挙動情報と位置情報とを、通信部10C3を介して、測定データ取得装置12に送信する。測定データ取得装置12は、車両10から受信した挙動情報と位置情報とを、演算装置14に送信する。なお、測定データ取得装置12を設けない場合は、制御部10C1は、挙動情報と位置情報とを、演算装置14に直接送信してもよい。
【0021】
(演算装置)
図3は、演算装置の模式的なブロック図である。図3に示すように、演算装置14は、例えばコンピュータであり、通信部20と、記憶部22と、制御部24とを含む。通信部20は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。記憶部22は、制御部24の演算内容やプログラムを記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、フラッシュメモリやHDDなどの不揮発性の記憶装置のうち、少なくとも1つを含む。なお、記憶部22が保存する制御部24用のプログラムは、演算装置14が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0022】
制御部24は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部24は、管理区間取得部30と、挙動情報取得部32と、重複長さ算出部34と、路面状態算出部36とを含む。制御部24は、記憶部22からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、管理区間取得部30と挙動情報取得部32と重複長さ算出部34と路面状態算出部36とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部24は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、管理区間取得部30と挙動情報取得部32と重複長さ算出部34と路面状態算出部36との少なくとも一部を、ハードウェアで実現してもよい。
【0023】
(管理区間と検出区間)
図4は、管理区間と検出区間を説明する模式図である。ここで、地方自治体などの道路を管理する管理団体においては、独自の基準で道路に区間を設定して、設定した区間毎に道路を管理している。以下、図4に示すように、管理団体などにより予め設定された区間を、管理区間SAと記載する。管理区間SAの長さは任意であってよいが、例えば、10mから数百mの範囲内であってよく、より詳しくは100m程度の長さであってよい。なお、管理区間SAは、管理団体に設定された区間であることに限られず、任意の主体により設定された区間であってよいし、管理区間SAの設定方法も任意であってよい。
【0024】
一方、演算装置14は、挙動情報に基づき、道路の路面状態を算出する。この場合、挙動情報は所定時間毎に連続的に検出されているため、所定の単位時間において検出された挙動情報に基づき、その単位時間で車両10が移動した区間における路面状態を算出する。単位時間は、任意に設定されてよく、例えば、挙動情報や位置情報のサンプリングレートである所定時間より長く設定されてよく、例えば所定時間の10倍(サンプリング10回分の時間)などであってよい。以下、図4に示すように、単位時間で車両10が移動した区間を、検出区間SBと記載する。
【0025】
ここで、路面状態は、管理区間SAを基準として算出されることが望まれる場合がある。しかし例えば、検出区間SBは、単位時間で車両10が移動した区間であるため、車速などに応じて長さが異なるが、管理区間SAは、長さや位置が予め設定(固定)されているため、検出区間SBと管理区間SAとが一致しない場合がある。路面状態は検出期間SBを基準として算出されるため、検出区間SBと管理区間SAとが一致しないと、管理区間SAにおける路面状態を適切に算出できなくなるおそれがある。それに対し、本実施形態に係る演算装置14は、管理区間SAの位置情報と検出区間SBの位置情報を用いて、検出区間SBにおける路面状態から、管理区間SAにおける路面状態を算出するため、管理区間SAにおける路面状態を適切に算出することが可能となる。以下、演算装置14の処理について具体的に説明する。
【0026】
(管理区間取得部)
管理区間取得部30は、道路Rの管理区間SAの位置情報を取得する。道路Rは、本実施形態では、路面状態が未知であり、これから路面状態を算出する対象となる道路を指す。管理区間SAの位置情報とは、道路Rのうちで、管理区間SAに設定された区間の位置情報(地球座標)を指し、管理区間SAの始点及び終点の位置情報を指す。ただし、管理区間SAの位置情報は、管理区間SAの始点及び終点の位置情報に加えて、管理区間SAの始点と終点との間の任意の位置の位置情報を含んでもよい。本実施形態では、管理区間取得部30は、管理区間SAの位置情報として、管理区間の一方の端部である始点Aaの位置情報と、管理区間の他方の端部である終点Abの位置情報とを取得する。ただし、管理区間取得部30は、始点Aaと終点Abとの間の各位置の位置情報も取得してよい。管理区間取得部30は、任意の方法で管理区間の位置情報を取得してよく、例えば他の装置から、予め設定されていた管理区間の位置情報を取得してもよいし、ユーザによって演算装置14に入力された管理区間の位置情報を、取得してもよい。
【0027】
(挙動情報取得部)
道路Rの路面状態を算出する際には、車両10に、道路Rを走行させつつ挙動情報と位置情報とを検出させる。演算装置14の挙動情報取得部32は、道路Rを走行中に挙動センサ10Bが検出した挙動情報を取得する。また、挙動情報取得部32は、道路Rを走行中に位置センサ10Aが検出した車両10の位置情報を取得する。すなわち、挙動情報取得部32は、道路Rを走行中に検出された、関連付けられた挙動情報及び位置情報を取得する。
【0028】
挙動情報取得部32は、検出区間SBにおける挙動情報と、検出区間SBの位置情報とを取得するといえる。検出区間SBにおける挙動情報とは、車両10が検出区間SBを移動中に検出された挙動情報であり、検出区間SBの位置情報とは、道路Rのうちの、検出区間SBの位置情報(地球座標)を指し、検出区間SBの始点及び終点の位置情報を指す。ただし、検出区間SBの位置情報は、検出区間SBの始点及び終点の位置情報に加えて、検出区間SBの始点と終点との間の任意の位置の位置情報を含んでもよい。本実施形態では、挙動情報取得部32は、検出区間SBの位置情報として、検出区間SBの一方の端部である始点Baの位置情報と、検出区間SBの他方の端部である終点Bbの位置情報とを取得する。例えば、サンプリング10回分の時間で車両10が移動した区間を検出区間とする場合には、1回目のサンプリング時での車両10の位置が始点Baであり、10回目のサンプリング時での車両10の位置が終点Bbといえる。なお、挙動情報取得部32は、始点Baと終点Bbとの間の各位置の位置情報も取得してよい。
【0029】
本実施形態では、演算装置14は、検出区間SB毎に、路面状態を算出する。そのため、挙動情報取得部32は、それぞれの検出区間SBについての、挙動情報と位置情報とを取得する。
【0030】
(重複長さ算出部)
重複長さ算出部34は、管理区間SAの位置情報と検出区間SBの位置情報とに基づき、管理区間SAと検出区間SBとの重複長さを算出する。重複長さとは、管理区間SAと検出区間SBとの重なっている区間の長さを示す指標値である。重複長さ算出部34は、検出区間SB毎に、重複長さを算出する。以下、重複長さの算出方法について説明する。
【0031】
(管理区間の全てが検出区間に含まれている場合の重複長さ)
図5は、重複長さの算出を説明するための模式図である。図5の例に示すように、管理区間SAの全て(全区間)が、1つの検出区間SBに含まれている場合には、重複長さ算出部34は、管理区間SAの全長を、重複長さとする。管理区間SAの全長とは、管理区間SAの始点Aaから終点Abまでの距離を指す。管理区間SAの全てが1つの検出区間SBに含まれているとは、管理区間SAの始点Aa及び終点Abの両方が、検出区間SB内に位置していることを指し、言い換えれば、検出区間SBの始点Baと終点Bbとの間に、管理区間SAの始点Aa及び終点Abの両方が位置していることを指す。
【0032】
(検出区間の全てが管理区間に含まれている場合の重複長さ)
図6は、重複長さの算出を説明するための模式図である。検出区間SBの全て(全区間)が、1つの管理区間SAに含まれている場合には、重複長さ算出部34は、検出区間SBの全長を、重複長さとする。検出区間SBの全長とは、検出区間SBの始点Baから終点Bbまでの距離を指す。図6においては、検出区間SB2の全てが管理区間SAに含まれている例を示している。図6に示すように、検出区間SB2の全てが1つの管理区間SAに含まれているとは、検出区間SB2の始点Ba2及び終点Bb2の両方が、管理区間SA内に位置していることを指し、言い換えれば、管理区間SAの始点Aaと終点Abとの間に、検出区間SB2の始点Ba2及び終点Bb2の両方が位置していることを指す。
【0033】
(検出区間の一部が管理区間に含まれている場合の重複長さ)
検出区間SBの一部(一部の区間)が、1つの管理区間SAに含まれている場合には、重複長さ算出部34は、検出区間SBと管理区間SAとが重複している区間の長さを、重複長さとする。検出区間SBの一部が1つの管理区間SAに含まれているとは、検出区間SBの始点Baと終点Bbとの一方のみが、管理区間SA内に位置していることを指す。言い換えれば、管理区間SAの始点Aaと終点Abとの間に、検出区間SBの始点Baと終点Bbとの一方のみが位置しており、検出区間SBの始点Baと終点Bbとの他方が、管理区間SAの始点Aaと終点Abとの間に位置していないことを指す。
【0034】
図6においては、検出区間SB1、SB2の一部が管理区間SAに含まれている例を示している。図6の例では、検出区間SB1の終点Bb1が、管理区間SAの始点Aaと終点Abとの間に位置しており、検出区間SB1の始点Ba1は、始点Aaと終点Abとの間に位置していない。この場合、重複長さ算出部34は、管理区間SAの始点Aaから検出区間SB1の終点Bb1までの距離を、重複長さとして算出する。また、図6の例では、検出区間SB3の始点Ba3が、管理区間SAの始点Aaと終点Abとの間に位置しており、検出区間SB3の終点Bb3は、始点Aaと終点Abとの間に位置していない。この場合、重複長さ算出部34は、検出区間SB3の始点Ba3から管理区間SAの終点Abまでの距離を、重複長さとして算出する。
【0035】
なお、検出区間SBの全てが管理区間SAに含まれない場合、すなわち検出区間SBと管理区間SAとが重複していない場合には、重複長さを算出しなくてよい。
【0036】
(路面状態算出部)
路面状態算出部36は、管理区間SAの長さと、重複長さと、検出区間SBでの挙動情報とに基づき、管理区間SAにおける路面状態を算出する。より詳しくは、路面状態算出部36は、管理区間SAの長さに対する重複長さの比率(重み比率)により、検出区間SBでの挙動情報を補正する(重み付けする)ことで、管理区間SAにおける路面状態を算出する。以下、より具体的に説明する。
【0037】
(検出区間での路面状態の算出)
路面状態算出部36は、検出区間SBでの挙動情報に基づき、検出区間SBでの路面状態を算出する。本実施形態では、路面状態算出部36は、挙動情報と路面状態との対応関係を機械学習済みの学習モデルにより、検出区間SBでの路面状態を算出する。ここでの学習モデルは、いわゆる教師ありモデルであり、挙動情報を入力値とし、その挙動情報が検出された位置における路面状態を出力値としたデータセットを教師データとして、機械学習されたものである。路面状態算出部36は、検出区間SBでの挙動情報を、学習済みの学習モデルに入力する。学習モデルにおいては、挙動情報が入力データとして入力されて、演算が実行される。その結果、学習モデルからは、検出区間SBにおける路面状態が、出力データとして出力される。演算部42は、出力データとして出力された路面状態を、検出区間SBの路面状態として算出するといえる。演算部42は、検出区間SB毎の挙動情報を学習モデルに入力して、検出区間SB毎の路面状態を算出する。
【0038】
このように、学習モデルは、挙動情報が入力されたら、その挙動情報が検出された位置における路面状態を算出可能なモデル(プログラム)である。学習モデルは、ディープラーニングによって学習された学習モデルであり、ディープラーニングによって学習された分類器を構成するニューラルネットワークを定義するモデル(ニューラルネットワークの構成情報)と、変数とで構成される。学習モデルは、入力されたデータに基づき、そのデータのラベルを判定できるものである。本実施形態の例では、学習モデルは、CNN(Conventional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)モデルであるが、CNNモデルに限られず、任意の方式の学習モデルであってもよい。
【0039】
ただし、路面状態算出部36は、学習モデルを用いて検出区間SBでの路面状態を算出することに限られず、検出区間SBでの挙動情報に基づいた任意の方法で検出区間SBでの路面状態を算出してよい。また、路面状態算出部36による、検出区間SBでの挙動情報に基づいて検出区間SBでの路面状態を算出する処理も、必須ではない。例えば、挙動センサ10Bが、挙動情報として、路面状態そのものを検出するものであってよい。この場合、路面状態算出部36は、挙動センサ10Bにより検出された検出区間SBの挙動情報を、検出区間SBの路面状態として扱ってよい。この場合には検出区間SBの路面状態の算出処理が不要となる。
【0040】
(管理区間での路面状態の算出)
路面状態算出部36は、検出区間SBでの路面状態と、管理区間SAの長さと、重複長さとに基づき、管理区間SAにおける路面状態を算出する。より詳しくは、路面状態算出部36は、管理区間SAの長さに対する重複長さの比率(重み比率)により、検出区間SBでの路面状態を補正することで、管理区間SAにおける路面状態を算出する。
【0041】
管理区間SAが1つの検出区間SBのみと重なる場合には、路面状態算出部36は、管理区間SAの長さに対する、その検出区間SBについて算出した重複長さの比率(重み比率)により、検出区間SBでの路面状態を補正することで、管理区間SAにおける路面状態を算出する。なお、ここでの「管理区間SAが検出区間SBと重なる」とは、管理区間SAの少なくとも一部の区間と検出区間SBの少なくとも一部の区間とが重なることを指す。この場合例えば、路面状態算出部36は、重み比率を、検出区間SBでの路面状態に乗じた値を、管理区間SAにおける路面状態とする。例えば図5では、管理区間SAが1つの検出区間SBのみと重なり、重複長さは、管理区間SAの長さとして設定されている。従って、図5の例では、重み比率は1となり、路面状態算出部36は、検出区間SBでの路面状態の値を、管理区間SAにおける路面状態として算出する。
【0042】
管理区間SAが複数の検出区間SBと重なる場合には、路面状態算出部36は、管理区間SAと重なるそれぞれの検出区間SBについて、重み比率により検出区間SBでの路面状態を補正して、補正したそれぞれの検出区間SBの路面状態に基づき、管理区間SAにおける路面状態を算出する。すなわち、管理区間SAが複数の検出区間SBと重なる場合には、それぞれの検出区間SBでの路面状態を、重み比率で重み付けすることで、管理区間SAにおける路面状態を算出する。例えば、路面状態算出部36は、重み比率を検出区間SBでの路面状態に乗じた値を、検出区間SBの路面状態の補正値として算出し、検出区間SBの路面状態の補正値の合計値を、管理区間SAにおける路面状態としてよい。
【0043】
例えば図6では、管理区間SAは、検出区間SB1、SB2、SB3に重なる。従って、図6の例では、路面状態算出部36は、検出区間SB1の路面状態に対して、検出区間SB1の重み比率(管理区間SAの長さに対する始点Aaから終点Bb1の長さの比率)を乗じた値を、検出区間SB1の路面状態の補正値として算出する。また、路面状態算出部36は、検出区間SB2の路面状態に対して、検出区間SB2の重み比率(管理区間SAの長さに対する検出区間SB2の長さの比率)を乗じた値を、検出区間SB2の路面状態の補正値として算出する。また、路面状態算出部36は、検出区間SB3の路面状態に対して、検出区間SB3の重み比率(管理区間SAの長さに対する始点Ba3から終点Abの長さの比率)を乗じた値を、検出区間SB3の路面状態の補正値として算出する。路面状態算出部36は、検出区間SB1の路面状態の補正値と、検出区間SB2の路面状態の補正値と、検出区間SB3の路面状態の補正値との合計値を、管理区間SAにおける路面状態とする。
【0044】
また、管理区間SAが複数の検出区間SBと重なる場合には、路面状態算出部36は、管理区間SAと重なるそれぞれの検出区間SBについて、任意の平均化処理を行うことで、管理区間SAにおける路面状態を算出してもよい。ここでの平均化処理としては、相乗平均、加重平均などが挙げられる。図6を例にすると、相乗平均においては、例えば、検出区間SB1、SB2、SB3の路面状態の積の3乗根が、管理区間SAにおける路面状態とされる。また、加重平均においては、検出区間SBの全体長さに対する管理区間SAと重なる長さの比率を重みとし、検出区間SBでの路面状態をデータとして扱い、データ重みを乗じた値を、それぞれの検出区間SBについて合計して、その合計値を、重みの合計値(それぞれの検出区間SBについての、重みの合計値)で除した値を、管理区間SAにおける路面状態とされる。例えば、検出区間SB1の全体長さを50m、検出区間SB1の管理区間SAと重なる長さを40m、検出区間SB1の全体長さに対する管理区間SAと重なる長さの比率を0.8、検出区間SB2の全体長さを20m、検出区間SB2の管理区間SAと重なる長さを20m、検出区間SB2の全体長さに対する管理区間SAと重なる長さの比率を1、検出区間SB3の全体長さを50m、検出区間SB3の管理区間SAと重なる長さを50m、検出区間SB3の全体長さに対する管理区間SAと重なる長さの比率を0.8とし、検出区間SB1、SB2、SB3の路面状態を、それぞれ10、8、6とする。この場合、データ(路面状態)に重み(検出区間SBの全体長さに対する管理区間SAと重なる長さの比率)を乗じた値の、それぞれの検出区間SBについての合計値は、0.8×10+1×8+0.8×6で、20.8となり、重みの合計値は、2.6となるため、管理区間SAにおける路面状態は、20.8/2.6で、8となる。
【0045】
(処理フロー)
次に、以上説明した管理区間の路面状態の算出フローを説明する。図7及び図8は、管理区間の路面状態の算出フローを説明するフローチャートである。
【0046】
図7に示すように、演算装置14は、管理区間取得部30及び挙動情報取得部32により、管理区間SAの位置情報、検出区間SBの位置情報、及び検出区間SBの挙動情報を取得する(ステップS10)。演算装置14は、重複長さ算出部34により、管理区間SAの位置情報と検出区間SBの位置情報に基づき、重複長さを算出し(ステップS12)、検出区間SBの挙動情報から、検出区間SBの路面状態を算出し(ステップS14)、管理区間SAの長さ、重複長さ、及び検出区間SBの路面状態から、管理区間SAの路面状態を算出する(ステップS16)。なお、管理区間SAが複数ある場合には、管理区間SA毎に、路面状態を算出してよい。
【0047】
ステップS12に示す重複長さの算出の処理フローの詳細を、図8に基づき説明する。図8に示すように、重複長さ算出部34は、管理区間SAの始点Aa及び終点Abの両方が検出区間SB内にあるかを判断し(ステップS20)、ある場合には(ステップS20;Yes)、管理区間SAの全長を重複長さとする(ステップS22)。重複長さ算出部34は、管理区間SAの始点Aa及び終点Abの両方が検出区間SB内にない場合には(ステップS20;No)、検出区間SBの始点Ba及び終点Bの両方が管理区間SA内にあるかを判断し(ステップS24)、ある場合には(ステップS24;Yes)、検出区間SBの全長を重複長さとする(ステップS26)。重複長さ算出部34は、検出区間SBの始点Ba及び終点Bの両方が管理区間SA内にない場合には(ステップS24;No)、検出区間SBの始点Ba及び終点Bのいずれか一方が管理区間SA内にあるかを判断し(ステップS28)、ある場合には(ステップS28;Yes)、検出区間SBと管理区間SAとが重なる区間を重複長さとする(ステップS30)。検出区間SBの始点Ba及び終点Bのいずれか一方が管理区間SA内に無い場合には(ステップS28;No)、すなわち検出区間SBと管理区間SAとが重ならない場合には、処理を行わない(ステップS32)。すなわち、ステップS32においては、重複長さを算出するなどの、その検出区間SBを用いた管理区間SAの路面状態を行う処理を実行しなくてもよいし、重複長さをゼロとして扱ってもよい。
【0048】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る演算装置14は、道路Rの管理区間SAの位置情報を取得する管理区間取得部30と、道路Rの検出区間SBを移動した車両10の挙動を示す挙動情報と、検出区間SBの位置情報とを取得する挙動情報取得部32と、管理区間SAの位置情報と検出区間SBの位置情報とに基づき、管理区間SAと検出区間SBとの重複長さを算出する重複長さ算出部34と、管理区間SAの長さと、重複長さと、検出区間SBでの挙動情報とに基づき、管理区間SAにおける路面状態を算出する路面状態算出部36と、を含む。
【0049】
本実施形態によると、管理区間SAと検出区間SBの位置から算出した重複長さと、管理区間SAの長さを用いて、検出区間SBでの挙動情報に基づいて管理区間SAにおける路面状態を算出する。そのため、検出区間SBにおける挙動情報を、管理区間SAにおける路面状態に適切に変換することが可能となり、管理区間における路面状態を適切に算出できる。
【0050】
路面状態算出部36は、管理区間SAの長さに対する重複長さの比率(重み比率)により、検出区間SBでの挙動情報を補正することで、管理区間SAにおける路面状態を算出する。本実施形態によると、重み比率を用いることで、検出区間SBにおける挙動情報を、管理区間SAにおける路面状態に適切に変換することが可能となり、管理区間における路面状態を適切に算出できる。
【0051】
路面状態算出部36は、挙動情報と路面状態との対応関係を機械学習した学習モデルに、検出区間SBでの挙動情報を入力することで、検出区間SBでの路面状態を算出する。路面状態算出部36は、管理区間SAの長さに対する重複長さの比率により、検出区間SBでの路面状態を補正することで、管理区間SAにおける路面状態を算出する。本実施形態によると、学習モデルから算出した検出区間SBでの路面状態を、重み比率を用いて補正することで、管理区間における路面状態を適切に算出できる。
【0052】
重複長さ算出部34は、管理区間SAの始点Aa及び終点Abの両方が検出区間SB内にある場合には、管理区間SAの全長を重複長さとする。これにより、重複度合いに応じて適切に重み付けして、管理区間における路面状態を適切に算出できる。
【0053】
重複長さ算出部34は、検出区間SBの始点Ba及び終点Bbの両方が管理区間SA内にある場合には、検出区間SBの全長を重複長さとする。これにより、重複度合いに応じて適切に重み付けして、管理区間における路面状態を適切に算出できる。
【0054】
重複長さ算出部34は、検出区間SBの始点Ba及び終点Bbの一方が管理区間SA内にある場合には、検出区間SBと管理区間SAとが重複している区間の長さを、重複長さとする。これにより、重複度合いに応じて適切に重み付けして、管理区間における路面状態を適切に算出できる。
【0055】
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
1 検出システム
10 車両
10A 位置センサ
10B 挙動センサ
14 演算装置
30 管理区間取得部
32 挙動情報取得部
34 重複長さ算出部
36 路面状態算出部
SA 管理区間
SB 検出区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8