(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150606
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】携帯デバイス
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20231005BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231005BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231005BHJP
【FI】
H02J7/04 H
H02J7/00 301D
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059805
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 修一
(72)【発明者】
【氏名】木野井 慶介
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】所定の機能を発揮する動作をする携帯デバイスにおいて、効率のよい充電を可能にし、使用中のバッテリ切れを発生しにくくする。
【解決手段】携帯デバイス10は、バッテリ1と、バッテリの電力を使って所定の機能を発揮する動作を実行する動作部4と、バッテリ1に充電する電力を外部から受電する受電部2と、動作部4の所定の機能を発揮する動作の開始を契機として、受電部2が受電した電力のバッテリ1への充電を開始する充電制御部3と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの入力に応じて所定の機能を発揮する携帯デバイスであって、
バッテリと、
前記バッテリの電力を使って前記所定の機能を発揮する動作を実行する動作部と、
前記バッテリに充電する電力を外部から受電する受電部と、
前記動作部の前記所定の機能を発揮する動作の開始を契機として、前記受電部が受電した電力の前記バッテリへの充電を開始する充電制御部と、を備えた携帯デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯デバイスであって、
前記充電制御部は、前記動作部の前記所定の機能を発揮する動作の終了を契機として、前記受電部が受電した電力の前記バッテリへの充電を終了する、携帯デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の携帯デバイスであって、
前記受電部は、前記電力をワイヤレスで受電するワイヤレス受電回路を有する、携帯デバイス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の携帯デバイスであって、
前記ユーザの操作を検出するセンサをさらに備え、
前記動作部は、前記センサで検出される前記ユーザの操作に基づいて前記所定の機能を発揮する動作を実行し、
前記充電制御部は、前記センサで検出される前記ユーザの操作に基づいて、前記動作部による前記所定の機能を発揮する動作の開始を判断する、携帯デバイス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の携帯デバイスであって、
前記動作部は、制御デバイスから提供される制御情報に基づいて前記所定の機能を発揮する動作を実行し、
前記充電制御部は、前記制御デバイスから提供される前記制御情報に基づいて、前記動作部による前記所定の機能を発揮する動作の開始を判断する、携帯デバイス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の携帯デバイスであって、
前記充電制御部は、前記動作部の動作に使われる電圧又は電流に基づいて、前記所定の機能を実行する動作の開始を判断する、携帯デバイス。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の携帯デバイスであって、
前記動作部は、触覚データに基づいて触覚を出力する触覚デバイスを含み、
前記充電制御部は、前記触覚デバイスによる触覚の出力の開始を契機として、前記バッテリの充電を開始する、携帯デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを有する携帯デバイスの充電制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリの電力で動作する携帯デバイスでは、バッテリの軽量化及び小型化が求められることが多い。そのため、携帯デバイスの消費電力を低減する対策が提案されている。例えば、特開2017-174381号公報(特許文献1)には、ユーザに対し、力、振動又は運動等のハプティック効果を与えるハプティクスデバイスにおける電力消費を低減するシステムが開示されている。このシステムでは、デバイスがハプティック効果を生じないゼロ-フォース区間の期間が判定され、当該期間が所定の閾値を超える場合、システムは、エネルギーセーブモードに入る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の課題は、所定の機能を発揮する動作をする携帯デバイスにおいて、効率のよい充電を可能にし、使用中のバッテリ切れを発生しにくくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態における携帯デバイスは、
ユーザからの入力に応じて所定の機能を発揮する携帯デバイスであって、
バッテリと、
前記バッテリの電力を使って前記所定の機能を発揮する動作を実行する動作部と、
前記バッテリに充電する電力を外部から受電する受電部と、
前記動作部の前記所定の機能を発揮する動作の開始を契機として、前記受電部が受電した電力の前記バッテリへの充電を開始する充電制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態における携帯デバイスを含むシステム全体の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す触覚デバイスの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す触覚デバイスの他の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す携帯デバイスの動作例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図4に示す処理において、触覚デバイスの電流値の信号と、充電制御信号の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、触覚デバイスの電流値の信号と、充電制御信号の他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、携帯デバイス10の他の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図8に示す処理において、触覚デバイスの電流値の信号と、充電制御信号の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<実施形態の概要>
発明者らは、種々の携帯デバイスの電力消費及び充電制御について検討した。検討の結果、所定の機能を発揮する動作をする携帯デバイスにおいて、充電の仕方を工夫することにより、バッテリ切れを発生しにくくできることを見出した。具体的には、下記実施形態に想到した。
【0008】
本発明の実施形態における携帯デバイスは、ユーザからの入力に応じて所定の機能を発揮する携帯デバイスである。前記携帯デバイスは、バッテリと、前記バッテリの電力を使って前記所定の機能を発揮する動作を実行する動作部と、前記バッテリに充電する電力を外部から受電する受電部と、前記動作部の前記所定の機能を発揮する動作の開始を契機として、前記受電部が受電した電力の前記バッテリへの充電を開始する充電制御部と、を備える。
【0009】
上記構成において、充電制御部は、携帯デバイスが所定の機能を発揮する動作を開始することを契機として、外部から供給される電力をバッテリに充電する。これにより、携帯デバイスで電力を消費するタイミングで、充電を開始することができる。すなわち、携帯デバイスにおいて、必要な電力を適切なタイミングでバッテリに充電することができる。その結果、効率のよい充電が可能になり、バッテリを小型化できる。また、使用中のバッテリ切れを発生しにくくすることができる。
【0010】
充電制御部が、動作部の所定の機能を発揮する動作の開始を契機として、バッテリへの充電を開始する形態には、所定の機能を発揮する動作の開始と同時に充電を開始する場合の他、前記動作の開始の後に、動作の開始時に基づくタイミングで充電を開始する場合も含む。充電制御部は、動作部の所定の機能を発揮する動作の開始を条件として、バッテリへの充電を開始することができる。なお、充電制御部による充電の開始の条件は、所定の機能を発揮する動作の開始に限られない。これ以外の条件、充電が開始されてもよい。
【0011】
充電制御部は、例えば、動作部による所定の機能を発揮する動作の開始を判断し、この判断に基づいてバッテリの充電の開始を制御してもよい。動作部による所定の機能を発揮する動作の開始の判断は、例えば、動作部で処理されるデータ又は信号、若しくは、動作部の動作に使われる電圧又は電流等、動作部の動作に基づいてもよい。或いは、動作部の所定の機能を発揮する動作のトリガになる携帯デバイスの動作に基づいて、上記動作の開始の判断がなされてもよい。
【0012】
前記充電制御部は、前記動作部の前記所定の機能を発揮する動作の終了を契機として、前記受電部が受電した電力の前記バッテリへの充電を終了してもよい。これにより、携帯デバイスで電力を消費するタイミングで、消費する電力の量に応じた充電が可能になる。そのため、より効率よく充電をすることができる。
【0013】
充電制御部が、動作部の所定の機能を発揮する動作の終了を契機として、バッテリへの充電を開始する形態には、所定の機能を発揮する動作の終了と同時に充電を終了する場合の他、前記動作の終了の後に、動作の終了時に基づくタイミングで充電を終了する場合も含む。
【0014】
充電制御部は、例えば、動作部による所定の機能を発揮する動作の終了を判断し、この判断に基づいてバッテリの充電の終了を制御してもよい。動作部による所定の機能を発揮する動作の終了の判断は、開始の判断と同様に、動作部の動作に基づいてもよい。或いは、動作部の所定の機能を発揮する動作の終了のトリガとなる携帯デバイスの動作に基づいて、上記動作の終了の判断がなされてもよい。
【0015】
前記受電部は、前記電力をワイヤレスで受電するワイヤレス受電回路を有してもよい。この場合、充電制御部は、前記動作部の前記所定の機能を発揮する動作の開始を契機として、前記受電部がワイヤレスで受電した電力の前記バッテリへの充電を開始する。このように、ワイヤレスで受電した電力のバッテリへの充電の開始を制御することで、有線で電力線が接続されていない場合でも充電が可能になる。そのため、所定の機能を発揮する動作の合わせた適切なタイミングで充電がより実現しやすくなる。
【0016】
前記携帯デバイスは、前記ユーザの操作を検出するセンサをさらに備えてもよい。前記動作部は、前記センサで検出される前記ユーザの操作に基づいて前記所定の機能を発揮する動作を実行してもよい。前記充電制御部は、前記センサで検出される前記ユーザの操作に基づいて、前記動作部による前記所定の機能を発揮する動作の開始を判断してもよい。これにより、センサで検出されたユーザの操作に基づいて所定の機能を発揮する動作に合わせて、適切なタイミングで充電を開始することができる。
【0017】
前記動作部は、制御デバイスから提供される制御情報に基づいて前記所定の機能を発揮する動作を実行してもよい。前記充電制御部は、前記制御デバイスから提供される前記制御情報に基づいて、前記動作部による前記所定の機能を発揮する動作の開始を判断してもよい。これにより、動作部が、制御デバイスからの制御情報に基づいて、所定の機能を発揮する動作をする構成において、この動作に合わせた適切なタイミングで、充電を開始できる。
【0018】
前記充電制御部は、前記動作部の動作に使われる電圧又は電流に基づいて、前記所定の機能を実行する動作の開始を判断してもよい。これにより、動作部による所定の機能を発揮する動作で消費する電力に基づいて、適切に動作の開始を判断できる。
【0019】
前記動作部は、触覚信号に基づいて触覚を出力する触覚デバイスを含んでもよい。前記充電制御部は、前記触覚デバイスによる触覚の出力の開始を契機として、前記バッテリの充電を開始してもよい。動作部による所定の機能を発揮する動作を、触覚デバイスによる触覚の出力とすることで、より効率のよい充電が可能になる。触覚デバイスは、触覚を出力する期間に電力を消費し、他の期間での消費電力が少ない傾向になる。このように、消費電力が比較的多い、所定の機能を発揮する動作の開始を契機として、充電を開始することで、より効率のよい充電が可能になる。
【0020】
上記の携帯デバイスにおける充電制御方法、及び、上記の充電制御処理をプロセッサに実行させるプログラムも、本発明の実施形態に含まれる。
【0021】
<実施形態の詳細>
以下、添付の図面を参照しながら本実施形態を詳しく説明する。図中、同一又は相当部分には同一参照符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0022】
<第1実施形態>
(装置構成例)
図1は、第1実施形態における携帯デバイスを含むシステム全体の構成例を示す機能ブロック図である。
図1に示すシステムは、携帯デバイス10、制御デバイス20、送電部30、及び電源31を含む。携帯デバイス10は、ユーザからの入力に応じて所定の機能を発揮する端末である。制御デバイス20は、携帯デバイス10に制御情報を供給する。送電部30は、電源31の電力を、携帯デバイス10へ供給する。
図1では、携帯デバイス10は、一例として、タップユニットと言われる触覚提示装置である。制御デバイス20は、一例として、スマートフォン(スマホ)である。制御デバイス20は、バッテリ21、記憶部22、CPU23、入出力装置24及び通信部25を備える。
【0023】
携帯デバイス10は、バッテリ1、受電部2、充電制御部3、動作部4、及び通信部5を備える。受電部2は、外部の送電部30から受電する。充電制御部3は、受電部2が受電した電力のバッテリ1への充電を制御する。動作部4は、バッテリ1の電力を使って、所定の機能を発揮する動作を実行する。所定の機能は、携帯デバイス10の主な機能であり、予め決められた機能である。本実施形態において、所定の機能は、一例として、触覚提示機能であるが、所定の機能は、これに限定されない。また、所定の機能は複数の機能であってもよい。また、所定の機能を発揮する動作は、必ずしも携帯デバイス10の一部が物理的に動くことに限定されず、加熱や画面表示など、動きを伴わないものも含む。
【0024】
図1の例では、動作部4は、記憶部41、触覚制御部42、触覚デバイス43、及びセンサ44を有する。記憶部41には、触覚データが記憶される。センサ44は、ユーザの操作(例えば、ユーザの指の位置)を検出する。触覚制御部42は、センサ44で検出されたユーザの操作と、記憶部41から読み出した触覚データに基づいて、触覚デバイス43を制御する。これにより、触覚デバイス43は、触覚データが示す触覚をユーザに提示することができる。触覚データは、例えば、ユーザの操作に対応する触覚デバイス43の出力値を示すデータであってもよい。この場合、触覚制御部42は、触覚データが示すユーザの操作に対応する出力値に応じて、触覚デバイス43の出力を制御する。例えば、触覚制御部42は、バッテリ1から触覚デバイス43に供給する電力(例えば、電流又は電圧)を制御してもよい。
【0025】
充電制御部3は、動作部4の所定の機能を発揮する動作の開始を契機として、受電部2が受電した電力のバッテリ1への充電を開始する。すなわち、充電制御部3は、動作部4による所定の機能を発揮する動作に応じて、充電開始のタイミングを制御する。これにより、動作部4により、電力が消費されるタイミングで、充電が開始される。また、充電制御部3は、動作部4の所定の機能を発揮する動作の終了を契機として、バッテリ1への充電を終了してもよい。すなわち、充電制御部3は、動作部4による所定の機能を発揮する動作に応じて、充電終了のタイミングを制御してもよい。これにより、動作による電力消費量に応じた量の電力を充電することができる。すなわち、動作部4が電力を消費した時に、消費した量に応じた電力をバッテリ1に充電することができる。
【0026】
充電制御部3は、動作部4の動作を監視する。充電制御部3は、動作部4による所定の機能を発揮する動作の開始を判断する。当該動作の開始は、例えば、動作部4の動作に基づいて判断される。充電制御部3は、一例として、動作部4において、触覚制御部42により制御される、触覚デバイスの電流又は電圧を用いて、所定の機能(一例として触覚提示機能)を発揮する動作の開始を判断することができる。また、充電制御部3は、センサ44で検出されるユーザの操作に基づいて、上記動作の開始を判断してもよい。例えば、触覚提示開始の条件となるユーザの操作がセンサ44で検出された場合に、上記動作が開始されたと判断することができる。充電制御部3は、同様にして、動作部4による所定の機能を発揮する動作の終了を判断することができる。
【0027】
充電制御部3は、動作部4が所定の機能を発揮する動作を開始したと判断すると、すぐにバッテリ1の充電を開始することができる。又は、充電制御部3は、動作部4による所定の機能を発揮する動作の開始から所定時間その動作が継続した場合に、バッテリ1の充電を開始してもよい。この所定時間は、一定であってもよいし、ユーザの入力又は携帯デバイス10の状態(例えば、バッテリ1の残容量等)に応じて設定されてもよい。
【0028】
充電制御部3は、動作部4が所定の機能を発揮する動作を終了したと判断すると、すぐにバッテリ1の充電を終了することができる。又は、充電制御部3は、動作部による所定の動作を発揮する動作の終了から所定時間経過した場合に、バッテリ1の充電を終了してもよい。この所定時間は、一定であってもよいし、ユーザの入力又は携帯デバイス10の状態(例えば、バッテリ1の残容量等)に応じて設定されてもよい。
【0029】
図1の例では、携帯デバイス10は、外部機器との通信をする通信部5を有する。通信部5は、例えば、外部機器と無線通信を行う無線通信モジュールであってもよい。本例では、携帯デバイス10は、通信部5を介して、制御デバイス20と通信する。例えば、制御デバイス20と通信部25と、携帯デバイス10の通信部5との間で、無線通信が行われる。携帯デバイス10は、通信部5を介して、制御デバイス20から動作部4を制御するための制御情報を受信する。制御情報には、例えば、所定の機能を発揮する動作の開始指示(例えば、触覚提示指示)、及び、所定の機能を発揮する動作に用いられるデータ(例えば、触覚データ)の少なくとも1つが含まれてもよい。この場合、充電制御部3は、制御デバイス20から通信部5を介して受信した制御情報に基づいて、所定の機能を発揮する動作の開始を判断してもよい。
【0030】
このように、所定の機能を発揮する動作が、制御デバイス20によって制御される構成においては、充電制御部3が、制御情報を基に充電制御することで、簡単な処理で、且つ精度よく所定の機能を発揮する動作の開始及び終了を判断できる。また、制御デバイス20は、制御情報により、動作部4の動作に加えて、携帯デバイス10の充電についても、制御することができる。
【0031】
制御デバイス20において、記憶部22には、例えば、触覚データ、及び、プログラムが記憶される。プログラムは、例えば、携帯デバイス10を制御する処理をCPU23に実行させるプログラムであってもよい。例えば、制御デバイス20は、入出力装置24を介してユーザからの入力を受け付け、ユーザ入力に基づいて触覚データを記憶部22から読み出して、携帯デバイス10へ送信し、触覚データに基づく触覚提示をするよう指示をすることができる。
【0032】
図1の例では、受電部2は、電力を送電部30からワイヤレスすなわち非接触で受電するワイヤレス受電回路(非接触受電回路)を有する。受電部2のワイヤレス電力伝送の方式は、特に限定されないが、例えば、磁界結合式の電磁誘導型又は磁界共振型とすることができる。これらの場合、受電部2のワイヤレス受電回路は、受電コイルを有する。磁界共振型の場合は、ワイヤレス受電回路は、受電コイルとコンデンサを含む共振回路を有してもよい。この場合、送電部30も、送電コイルとコンデンサを含む共振回路を有する構成とすることができる。送電コイルに電流が流れることで発生する磁場の振動が、同じ周波数で共振する受電回路に伝わる。これにより、受電コイルの磁場が振動して、ワイヤレス受電回路に電流が流れ、バッテリ1を充電することが可能になる。
【0033】
受電部2のワイヤレス電力伝送の方式は、磁界結合式に限られない。例えば、受電部2のワイヤレス電力伝送の方式は、電界結合式その他の非放射型であってもよいし、或いは、マイクロ波を用いた電波式、又はレーザ式等の放射型であってもよい。
【0034】
受電部2は、ワイヤレス受電回路に電流を流し、バッテリ1を充電する給電状態と、ワイヤレス受電回路の電流を遮断し、バッテリ1に充電しない非給電状態とを切り替え可能に構成される。充電制御部3は、給電状態と非給電状態との切り替えることで、受電部2で受電した電力のバッテリ1への充電を制御する。
【0035】
受電部2が、ワイヤレス受電回路を有することで、携帯デバイス10は、外部からの電力をワイヤレスで受電できる。これにより、携帯デバイス10が所定の機能を発揮しながら受電が可能になる場面が多くなることが想定される。このような状況では、充電制御部3により、所定の機能を発揮する動作のタイミングに応じてバッテリ1の充電を制御することで、より効率のよい充電が可能になる。
【0036】
携帯デバイス10において、充電制御部3、触覚制御部42、及び通信部5の少なくとも一部は、例えば、1つ以上のプロセッサ又は、回路で形成されてもよい。プロセッサは、汎用プロセッサ、又は、特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)であってもよい。記憶部41は、メモリ等の記憶装置で構成される。充電制御部3、触覚制御部42、及び通信部5の少なくとも一部の機能は、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することで、実現されてもよい。
【0037】
図2は、触覚デバイス43の構成例を示す図である。
図2の例では、触覚デバイス43は、磁気粘性流体(Magneto-rheological fluid)を用いたMRFデバイスである。触覚デバイス43は、触覚デバイス43の本体である支持部434と、支持部434に対して可動に支持される可動部432と、支持部434と可動部432の間に封入される磁気粘性流体433と、磁気粘性流体433に可変な磁場を発生させるコイル431とを有する。支持部437は、可動部432、及びコイル431を支持する。可動部432が、ユーザの一部(例えば指等)に接触した状態で動くことで、ユーザに触覚が提示される。磁気粘性流体433は、コイル431を流れる電流により発生する磁場に応じて粘性が変化する。磁気粘性流体433の粘性が変化することで、可動部432の支持部434に対する動きの抵抗が変化する。これにより、ユーザの可動部432に対する触覚が変化する。すなわち、コイル431の電流を制御することで、ユーザに提示する触覚が制御される。
図2に示す触覚デバイス43は、これに限られないが、例えば、特開2020-17159号公報に記載の触覚提示装置のように構成されてもよい。
【0038】
触覚制御部42は、バッテリ1からコイル431へ供給される電力を制御することで、コイル431の電流を制御し、もって磁気粘性流体433の粘性を制御し、ユーザに触覚を提示する。触覚デバイス43が、触覚提示機能を発揮する動作をしている時には、バッテリ1の電力によりコイル431に電流が流れる。すなわち、動作部4で電力が消費される。触覚デバイス43が、触覚提示機能を発揮する動作をしていないときには、コイル431にほとんど電流は流れない。すなわち、動作部4で電力はほとんど消費されない。このような、電力の消費と機能の発揮との相関が高い触覚デバイス43を含む携帯デバイス10では、充電制御部3の上記充電制御による充電効率の向上の効果が顕著になる。
【0039】
図2の例では、センサ44によって、ユーザの操作が検出される。センサ44は、ユーザの操作として、例えば、ユーザの指の動きを検出するよう構成される。具体例として、センサ44は、ユーザの指の動きに応じて変化する可動部432の支持部434に対する回転の角度を検出するよう構成されてもよい。センサ44で検出される角度により、ユーザの指の位置が検出される。触覚制御部42は、センサ44で検出されるユーザの指の位置に対応する指令値を、触覚データを参照して決定する。触覚制御部42は、指令値に応じた電流をコイル431に流す。この場合、触覚データは、指の位置と指令値との対応関係を示すデータである。
【0040】
このように、センサ44で検出されるユーザの操作に応じて、動作部4が制御される構成では、充電制御部3は、センサ44の検出結果を基に、充電を制御してもよい。例えば、センサ44で検出されるユーザ操作が、触覚デバイス43に触覚提示をさせる条件を満たす場合に、充電制御部3は、バッテリ1への充電を開始してもよい。これにより、簡単な処理で、且つ精度よく触覚提示機能を発揮する動作の開始を判断できる。なお、動作部4において、センサ44が省略されてもよい。
【0041】
図3は、触覚デバイス43の他の構成例を示す図である。
図3の例では、触覚デバイス43は、触覚デバイス43の本体である支持部437と、支持部437に可動に支持された可動部436と、可動部436を動かすアクチュエータ435とを備える。支持部437は、可動部及びアクチュエータ435を支持する。可動部436がユーザの一部(例えば指等)に接触した状態で動くことで、ユーザに触覚が提示される。可動部436の動きをアクチュエータにより制御することで、ユーザの触覚が制御される。この構成においても、電力の消費と所定の機能(触覚提示機能)の発揮との相関が高くなる。そのため、このような構成の触覚デバイス43を含む携帯デバイス10では、充電制御部3の上記充電制御による充電効率の向上の効果が顕著になる。
【0042】
アクチュエータ435は、可動部432を振動、変形又は移動させる力を発生する。アクチュエータ435は、例えば、偏心回転質量(ERM、eccentric rotating mass)、リニア・レゾナンス・アクチュエータ(LRA:Linear Resonant Actuator)、圧電素子用いたピエゾアクチュエータ、ソレノイドアクチュエータ、又は、その他の振動を発生させるアクチュエータであってもよい。
【0043】
なお、触覚デバイス43の構成は、
図2及び
図3に示す例に限られない。例えば、触覚デバイス43は、静電摩擦、又は超音波表面摩擦等の摩擦を発生させる構成であってもよい。又は、触覚デバイス43は、音波発生源と、発生した音波を触覚に変換する変換器とを備える構成でもよい。或いは、触覚デバイス43は、ユーザに対して電気的な筋肉刺激を与えるデバイスであってもよい。このような触覚デバイス43を有する動作部4の動作に応じて充電制御をすることで、顕著な受電効率の向上効果を得ることができる。
【0044】
(動作例)
図4は、
図1に示す携帯デバイス10の動作例を示すフローチャートである。
図4の例では、携帯デバイス10は、待機状態(S1)において、制御デバイス20から通信部5を介して触覚データを受信すると(S2でYES)、触覚データを記憶部41に記憶する(S3)。記憶部41は、バッファメモリであってもよい。携帯デバイス10の動作部4は、制御デバイス20からの触覚データの受信を、触覚提示開始の指示として受けてもよいし、触覚データとは別に、触覚提示開始の指示を制御デバイス20から受信してもよい。
【0045】
触覚データは、例えば、ユーザの操作に対応する触覚デバイスへの指令値を含んでもよい。
図5は、触覚データの一例を示す図である。
図5の例では、触覚データは、ユーザの操作位置(角度)のそれぞれに対応付けられた指令値及び充電制御値を含む。指令値は、例えば、触覚デバイス43に供給する電流値であってもよい。充電制御値は、充電するか否かを示す値であってもよい。
図5の例では、指令値>0の場合に、充電制御値は、充電すること(Yes)を示す。
【0046】
動作部4の触覚制御部42は、センサ44からユーザの操作位置を取得する(S4)。ユーザの操作位置は、例えば、可動部432の支持部434に対する回転の角度で表される。触覚制御部42は、ユーザの操作位置に対応する指令値を、触覚データを参照して決定する(S5)。
【0047】
S5で決定された指令値が0でない場合(S6でNO)、すなわち、触覚デバイス43に供給すべき電流値が0でない場合、触覚制御部42は、指令値に応じた電流を触覚デバイス43に通電する(S7)。充電制御部3は、受電部2にバッテリ1への充電を指示する(S8)。例えば、充電制御部3は、充電制御信号を、充電ONを示すレベルにして、受電部2とバッテリ1を導通する。
【0048】
S5で決定された指令値が0である場合(S6でYES)、触覚制御部42は、触覚デバイス43への通電を停止する(S9)。充電制御部3は、受電部2からバッテリ1への充電を停止する(S10)。例えば、充電制御部3は、充電制御信号を、充電OFFを示すレベルにして、受電部2とバッテリ1を遮断する。
【0049】
S4~S10の処理は、制御デバイス20から、触覚提示終了(S11でYES)と判断されるまで、繰り返し実行される。動作部4は、例えば、制御デバイス20から触覚提示終了の指示を受信した場合に、触覚提示終了と判断してもよい。或いは、動作部4は、センサ44で検出されるユーザの操作が、終了条件を満たす場合に、触覚提示終了と判断してもよい。触覚提示終了と判断された場合、充電制御部3は、受電部2からバッテリ1への充電を停止する(S11)。携帯デバイス10は、待機状態(S1)に戻る。
【0050】
図6は、
図4に示す処理において、触覚デバイス43に供給される電流値の信号と、充電制御部3が出力する充電制御信号の一例を示す図である。この例では、触覚デバイス43の電流が0より大きい期間、すなわち、動作部4が、触覚提示機能を発揮する動作をしている期間に、バッテリ1が充電される。これにより、動作部4において、電力を消費するタイミングに、消費量に応じた電力が、バッテリ1に充電される。
【0051】
なお、携帯デバイス10の動作例は、
図4に示す例に限定されない。
図4の例では、指令値が0でない時、すなわち、触覚デバイス43に供給する電流が0でないときに、充電制御部3は、バッテリ1を充電する。この変形例として、充電制御部3は、触覚提示処理の開始時(例えば、S2の触覚データ受信時)に、充電を開始し、触覚提示処理の終了時(例えば、S11でYESと判断された時)に、充電を終了してもよい。この場合、触覚デバイスの電流及び充電制御信号の波形は、一例として、
図7に示すような波形となる。
【0052】
図8は、携帯デバイス10の他の動作例を示すフローチャートである。
図8は、携帯デバイス10が、スマートウォッチであり、動作部4が、触覚デバイス43として、振動素子を有する場合の例である。
図8の例では、携帯デバイス10は、アラーム設定入力を受け付ける(S1)。S1では、動作部4は、例えば、待機状態となる。
【0053】
携帯デバイス10は、アラーム設定入力として、例えば、アラーム時刻と、アラームのオン又はオフの指定を受け付けることができる。また、携帯デバイス10は、これらに加えて、アラームデータとして、アラームとしてユーザに提示する触覚を示す触覚データの指定を受け付けてもよい。S21で受け付けた、アラーム時刻、オン/オフ、及びアラームデータ(触覚データ)は、記憶部41に記憶される。触覚データは、例えば、触覚デバイス43に供給すべき電流の時系列波形を示すデータであってもよい。
【0054】
アラームON入力があった場合(S22でYES)、動作部4は、現在の時刻を監視する(S23)。現在の時刻が設定されたアラームに到達すると(S24でYES)、動作部4の触覚制御部42は、触覚デバイス43の振動素子へアラームデータに基づく電流を通電する(S25)。充電制御部3は、受電部2に、バッテリ1への充電を指示する(S26)。S25及びS26の処理は、アラーム終了と判断されるまで(S27でYES)、継続される。動作部4は、例えば、ユーザからアラーム終了の入力があるか、又は、アラームの開始から所定時間が経過した場合に、アラーム終了と判断することができる。
【0055】
アラーム終了(S27でYES)の場合、触覚制御部42は、振動素子への通電を停止する(S28)。充電制御部3は、受電部2に、バッテリ1への充電の停止を指示する(S29)。携帯デバイス10は、アラーム設定入力の受付(S21)の状態へ戻る。
【0056】
図9は、
図8に示す処理において、触覚デバイス43の振動素子に供給される電流値の信号と、充電制御部3が出力する充電制御信号の一例を示す図である。この例では、振動素子に通電する期間、すなわち、動作部4が、触覚提示機能を発揮する動作をしている期間に、バッテリ1が充電される。
【0057】
(携帯デバイスの変形例)
上記の実施形態では、携帯デバイス10が、タップユニット又はスマートウォッチである場合の例を説明した。携帯デバイス10は、これらの例に限られない。例えば、携帯デバイス10は、ハンディクリーナーであってもよい。この場合、動作部4の所定の機能は、例えば、掃除機能であり、モータを駆動する動作により発揮される。充電制御部3は、ユーザにより掃除スイッチがオンされ、モータの駆動が開始したことを契機として、受電部2が受電した電力のバッテリ1への充電を開始することができる。ユーザにより掃除スイッチがオフされ、モータが停止したことを契機として、充電制御部3が充電を終了することができる。
【0058】
携帯デバイス10は、電気シェーバであってもよい。この場合、動作部4の所定の機能は、例えば、髭剃り機能であり、モータを駆動する動作により発揮される。また、携帯デバイス10は、ワイヤレスイヤホン、ラジオ、又は、その他の携帯型音楽再生装置であってもよい。この場合、動作部4の所定の機能は、音声出力機能であり、音声信号の出力処理により発揮される。また、携帯デバイス10は、ゲーム機であってもよい。この場合、動作部4の所定の機能は、画面表示機能、又は、特定の動作モード(例えば、電力消費量が多い動作モード)としてもよい。これらの機能は、例えば、ディスプレイによる画像表示処理、又は特定の動作モードのプロセッサにより処理によって、発揮される。また、携帯デバイス10は、ゲーム機用コントローラであってもよい。ゲーム機用コントローラが触覚デバイスを含む場合、動作部4の所定の機能は、振動機能、又は、触覚提示機能であってもよい。
【0059】
(その他の変形例)
本発明は、上記の例に限られない。例えば、携帯デバイス10は、上記例の他の携帯型電子機器であってもよい。本発明の携帯デバイスは、例えば、スマートウォッチ、ヘッドマウントディスプレイ、スマートグラス、生体情報センサ等のウェアラブルデバイスに適用できる。また、制御デバイス20は、スマートフォンに限られず、例えば、PC、タブレット、ゲーム機、又は、その他のコンピュータ装置であってもよい。
【0060】
携帯デバイス10は、有線により外部から電力の供給を受ける構成であってもよい。この場合、受電部2は、例えば、電源供給線が接続される接続端子であってもよい。また、上記例では、携帯デバイス10の受電部2は、外部の電源31から送電部30を介して電力の供給を受ける構成であるが、受電部2は、制御デバイス20から電力の供給を受ける構成であってもよい。
【0061】
上記例では、動作部4の所定の機能が、触覚提示機能である。触覚提示機能に加えて、又は、代えて、調温機能が、所定の機能であってもよい。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1: バッテリ、2:受電部、3:充電制御部、4:動作部、5:通信部、10:携帯デバイス、20:制御デバイス