(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150615
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/133 20060101AFI20231005BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G02F1/133 550
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059821
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 大樹郎
【テーマコード(参考)】
2H192
2H193
【Fターム(参考)】
2H192AA24
2H192BC31
2H192GB04
2H192GB07
2H192GB15
2H192GB23
2H192GB25
2H192GB42
2H192GB43
2H192GD61
2H193ZA04
2H193ZB07
2H193ZB18
2H193ZD32
2H193ZH04
2H193ZH09
2H193ZH13
2H193ZH45
2H193ZH49
2H193ZH53
2H193ZJ04
2H193ZJ20
(57)【要約】
【課題】 フリッカを抑制することが可能な表示装置を提供すること。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、表示パネルと、表示パネル上に実装された処理部と、を備える。表示パネルは、第1基板と、第1基板に対向する第2基板と、第1基板と第2基板の間に位置する液晶層と、を有する。第1基板は、複数の画素電極と、複数の画素電極のそれぞれに対応して設けられる複数のスイッチング素子と、複数の画素電極に対向する共通電極と、液晶層側から入射する光量に応じた検出信号を出力する光学センサと、を含む。処理部は、表示パネルが正極状態の時に光学センサより出力された第1検出信号と、表示パネルが負極状態の時に光学センサより出力された第2検出信号とに基づいて、共通電極に供給する共通電圧を調整する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板の間に位置する液晶層と、を備える表示パネルと、
前記表示パネル上に実装された処理部と、を具備し、
前記第1基板は、
複数の画素電極と、
前記複数の画素電極のそれぞれに対応して設けられる複数のスイッチング素子と、
前記複数の画素電極に対向する共通電極と、
前記液晶層側から入射する光量に応じた検出信号を出力する光学センサと、を備え、
前記処理部は、
前記表示パネルが正極状態の時に前記光学センサより出力された第1検出信号と、前記表示パネルが負極状態の時に前記光学センサより出力された第2検出信号とに基づいて、前記共通電極に供給する共通電圧を調整する、
表示装置。
【請求項2】
前記処理部は、
正極性の画素信号に基づく第1パターンを前記表示パネルに表示し、
前記第1パターンが表示されている時に入射した光量に応じて前記光学センサより出力された前記第1検出信号の入力を受け付け、
前記第1パターンが表示されたタイミングとは異なるタイミングに、負極性の画素信号に基づく第2パターンを前記表示パネルに表示し、
前記第2パターンが表示されている時に入射した光量に応じて前記光学センサより出力された前記第2検出信号の入力を受け付ける、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1検出信号は、前記表示パネルが正極状態の時に前記光学センサに入射した光量に応じて発生する電圧降下の影響を受けた電圧信号であり、
前記第2検出信号は、前記表示パネルが負極状態の時に前記光学センサに入射した光量に応じて発生する電圧降下の影響を受けた電圧信号である、
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記処理部は、
レジスタに格納されたレジスタ値に基づいて前記共通電圧を生成する共通電圧生成部と、
前記第1検出信号が入力される第1端子と、前記第2検出信号が入力される第2端子とを有するコンパレータと、
前記コンパレータから出力される前記第1検出信号と前記第2検出信号との差分に基づいて、前記レジスタ値を補正するための補正値を演算し、前記補正値に基づいて前記レジスタ値を補正するプロセッサと、を備え、
前記共通電圧生成部は、前記レジスタに格納された補正後のレジスタ値に基づいて前記共通電圧を生成し、これを前記共通電極に供給する、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記処理部に接続されたコントローラをさらに具備し、
前記処理部は、
レジスタに格納されたレジスタ値に基づいて前記共通電圧を生成する共通電圧生成部と、
基準電圧を生成する基準電圧生成部と、
前記第1検出信号および前記第2検出信号が互いに異なるタイミングで入力される第1端子と、前記基準電圧が入力される第2端子とを有するコンパレータと、
前記コンパレータから出力される前記第1検出信号と前記基準電圧との差分を示す第1差分データと、前記コンパレータから出力される前記第2検出信号と前記基準電圧との差分を示す第2差分データとを生成し、前記コントローラに送信するプロセッサと、を備え、
前記コントローラは、
前記プロセッサから送信された前記第1差分データおよび前記第2差分データを受信すると、前記第1差分データと前記第2差分データとに基づいて、前記レジスタ値を補正するための補正値を演算し、前記補正値を示す補正データを前記プロセッサに送信する、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記コントローラから送信された前記補正データを受信すると、前記補正データにより示される前記補正値に基づいて前記レジスタ値を補正し、
前記共通電圧生成部は、前記レジスタに格納された補正後のレジスタ値に基づいて前記共通電圧を生成し、これを前記共通電極に供給する、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記光学センサは、前記複数の画素電極のうちの1つと前記共通電極と平面視において重なっている、
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の画素電極および前記共通電極は、透明導電材料で形成される、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記光学センサは、
光電変換素子と、
前記光電変換素子の下に配置され、金属材料で形成される第1電極と、
前記光電変換素子の上に配置され、透明導電材料で形成される第2電極と、を備える、
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画素毎にスイッチング素子を配置したアクティブマトリクス方式の表示装置は、所望の画素にのみ必要な電圧を印加することができるため、単純マトリクス方式の表示装置に比べて、クロストークを大幅に低減することができる。しかしながら、アクティブマトリクス方式の表示装置には、スイッチング素子のオン・オフに起因したフリッカが発生してしまうといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-086147号公報
【特許文献2】特開2009-042702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、フリッカを抑制することが可能な表示装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る表示装置は、表示パネルと、前記表示パネル上に実装された処理部と、を具備する。前記表示パネルは、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板の間に位置する液晶層と、を備える。前記第1基板は、複数の画素電極と、前記複数の画素電極のそれぞれに対応して設けられる複数のスイッチング素子と、前記複数の画素電極に対向する共通電極と、前記液晶層側から入射する光量に応じた検出信号を出力する光学センサと、を備える。前記処理部は、前記表示パネルが正極状態の時に前記光学センサより出力された第1検出信号と、前記表示パネルが負極状態の時に前記光学センサより出力された第2検出信号とに基づいて、前記共通電極に供給する共通電圧を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、走査信号の電位と、画素信号の電位と、画素電極の電位と、共通電極の電位との時間変化を示すタイムチャートである。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る表示装置を概略的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るセンサとセンサ回路とを示す等価回路図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係るセンサとセンサ回路との動作例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る第1基板の概略構成例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る第1基板の一部の要素を概略的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係るAFE-ICの動作概要を説明するための図である。
【
図9】
図9は、同実施形態に係るAFE-ICの一構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係る共通電圧調整処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、同実施形態に係るAFE-ICの一構成例を示す図である。
【
図12】
図12は、同実施形態に係る共通電圧調整処理の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実施の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0008】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、および、Z軸を記載する。X軸に沿った方向をX方向または第1方向と称し、Y軸に沿った方向をY方向または第2方向と称し、Z軸に沿った方向をZ方向または第3方向と称する。X軸およびY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X軸およびZ軸によって規定される面をX-Z平面と称する。X-Y平面を見ることを平面視という。
【0009】
まず、
図1を参照して、画素毎にスイッチング素子を配置したアクティブマトリクス方式の液晶表示パネルにおいて生じるフリッカ(画面のちらつき)について説明する。
図1は、走査信号の電位Vgateと、画素信号(映像信号)の電位Vsigと、画素電極の電位Vpixと、共通電極の電位Vcomとの時間変化を示すタイムチャートである。
図1の一点鎖線が走査信号の電位Vgateに相当し、
図1の二点鎖線が画素信号の電位Vsigに相当し、
図1の破線が画素電極の電位Vpixに相当し、
図1の実線が共通電極の電位Vcomに相当する。なお、
図1では、液晶表示パネルの駆動方式として、1フレーム毎に、全画素に書き込む画素信号を一度に同じ極性で反転させるフレーム反転方式が採用されている場合を想定する。また、
図1では、共通電極の電位Vcomが一定である場合(つまり、コモンDC方式である場合)を想定する。さらに、
図1では、白色を表示するための画素信号(つまり、画素値255の画素信号)が画素に書き込まれる場合を想定し、当該画素信号の電位をV255と表記している。
【0010】
図1では、第1フレーム期間FT1において正極性の画素信号が画素に供給され、第1フレーム期間FT1に続く第2フレーム期間FT2において負極性の画素信号が画素に供給された例を例示している。このため、画素電極の電位Vpixは、共通電極の電位Vcomに対して、第1フレーム期間FT1では正極性電位となり、第2フレーム期間FT2では負極性電位となっている。
【0011】
図1に示すように、時刻t1において第1フレーム期間FT1が開始され、スイッチング素子のゲート電極に走査信号が供給され、当該スイッチング素子がオン状態になると、画素電極に正極性の画素信号が供給される。これによれば、画素電極の電位Vpixは、共通電極の電位Vcomに対して正極性電位となり、Vcom+V255となる。時刻t2においてスイッチング素子のゲート電極への走査信号の供給が終了し、当該スイッチング素子がオフ状態になると、画素電極の電位Vpixは、寄生容量に起因した突き抜け電圧(フィードスルー電圧)ΔVgsだけ低下し、Vcom+V255-ΔVgsとなる。液晶層には、画素電極の電位Vpixと共通電極の電位Vcomの電位差に相当する電圧Vlc_posiが印加され、その値はV255-ΔVgsとなる。なお、画素信号の電位Vsigは、信号線を通じて供給される画素信号の電位に固定されているため、電位の低下が発生せず一定である。
【0012】
図1に示すように、時刻t3において第2フレーム期間FT2が開始されると、スイッチング素子のゲート電極に走査信号が供給され、当該スイッチング素子がオン状態になり、画素電極に負極性の画素信号が供給される。これによれば、画素電極の電位Vpixは、共通電極の電位Vcomに対して負極性電位となり、Vcom-V255となる。時刻t4においてスイッチング素子のゲート電極への走査信号の供給が終了し、当該スイッチング素子がオフ状態になると、画素電極の電位Vpixは、寄生容量に起因した突き抜け電圧ΔVgsだけ低下し、Vcom-V255-ΔVgsとなる。第1フレーム期間FT1と同様に、第2フレーム期間FT2においても、液晶層には、画素電極の電位Vpixと共通電極の電位Vcomの電位差に相当する電圧Vlc_negaが印加され、その値はV255+ΔVgsとなる。なお、この場合も、画素信号の電位Vsigは、信号線を通じて供給される画素信号の電位に固定されているため、電位の低下が発生せず一定である。
【0013】
以上のように、第1フレーム期間FT1と第2フレーム期間FT2とでは、画素電極の電位Vpixが共通電極の電位Vcomに対して正極性である場合と負極性である場合とで非対称となり、フリッカと呼ばれるちらつきが発生してしまう。
【0014】
このため、一般的には、液晶表示パネルの組み立て時に、フリッカメータなどを用いて、フリッカ成分を測定し、当該フリッカ成分が最小になるように共通電圧Vcomを調整している。しかしながら、このような調整は、フリッカ成分が最小になるまでパラメータを変化させて共通電極に印加する共通電圧Vcomを調整する必要があり、作業費用やタクトロスが発生している。また、フリッカは、経時変化や使用温度に起因してスイッチング素子の特性が変化することでも発生するため、液晶表示パネルの組み立て時に共通電圧Vcomを調整したとしても、事後的に発生するフリッカを抑制することはできない。
【0015】
本明細書においては、上記したような作業費用やタクトロスを発生させずに、共通電極に印加する共通電圧Vcomを最適化することが可能であり、かつ、事後的に発生するフリッカにも対応することが可能な表示装置について説明する。
【0016】
図2は、本実施形態に係る表示装置DSPを概略的に示す断面図である。表示装置DSPは、表示パネルPNLと、カバー部材CMと、第1偏光板PLZ1と、第2偏光板PLZ2と、照明装置ILと、を備えている。
【0017】
表示パネルPNLは、液晶表示パネルであり、第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向する第2基板SUB2と、シール材SEと、液晶層LCと、を備えている。液晶層LCは、シール材SEにより第1基板SUB1と第2基板SUB2の間に封入されている。本実施形態の表示パネルPNLは、第1基板SUB1の背面側からの光を第2基板SUB2の上面側に選択的に透過させることで画像を表示する透過型の表示パネルである。
【0018】
第1基板SUB1は、センサSSとコリメート層CL1とを備えている。センサSSは、第1基板SUB1の主面のうち第2偏光板PLZ2と対向する主面と、コリメート層CL1との間に位置している。コリメート層CL1は、センサSSと重なる開口OPを有している。コリメート層CL1は、例えば金属材料で形成され、遮光性を有している。このようなコリメート層は、第1基板SUB1だけでなく、第2基板SUB2にさらに配置されてもよい。
【0019】
シール材SEは、第1基板SUB1と第2基板SUB2を接着している。第1基板SUB1と第2基板SUB2の間には、図示しないスペーサによって所定のセルギャップが形成される。液晶層LCは、このセルギャップ内に充填されている。
【0020】
カバー部材CMは、表示パネルPNLの上に設けられている。例えば、カバー部材CMとしてはガラス基板や樹脂基板を用いることができる。カバー部材CMは、センサSSによる検出の対象物が接触する上面USFを有している。なお、本実施形態においては、カバー部材CMの上面USFが、センサSSの上面と平行である場合を想定する。
図2の例においては、対象物の一例である指Fgが上面USFに接触している。第1偏光板PLZ1は、表示パネルPNLとカバー部材CMの間に設けられている。
【0021】
照明装置ILは、表示パネルPNLの下に設けられ、第1基板SUB1に光Lを照射する。照明装置ILは、例えばサイドエッジ型のバックライトであり、プレート状の導光体と、この導光体の側面に光を放つ複数の光源とを備えている。第2偏光板PLZ2は、表示パネルPNLと照明装置ILの間に設けられている。
【0022】
光Lのうち指Fgで反射された反射光は、コリメート層CL1に形成された開口OPを通ってセンサSSに入射する。すなわち、指Fgで反射された反射光は、センサSSに入射するまでに、カバー部材CM、第1偏光板PLZ1、第2基板SUB2、液晶層LC、さらには第1基板SUB1のうちセンサSSより上層に位置する部分を透過する。
【0023】
センサSSは、入射した光に応じた検出信号を出力する。このため、センサSSは光学センサと称される場合がある。後述するように、表示パネルPNLは複数のセンサSSを備えており、これらセンサSSが出力する検出信号に基づけば、指Fgの凹凸、つまり指紋を検出することができる。
【0024】
センサSSは、より正確な検出信号を得るために、上面USFの法線方向と平行な入射光を検知することが望ましい。コリメート層CL1は、センサSSに入射する光を平行化するコリメータとして機能する。つまり、コリメート層CL1によって上面USFの法線方向に対して傾斜した光(換言すると、センサSSの上面の法線方向に対して傾斜した光)が遮断される。
【0025】
以上のように、表示装置DSPにセンサSSを搭載することで、表示装置DSPに指紋センサとしての機能を付加することができる。また、センサSSは、指紋の検出に加えて、あるいは指紋の検出に代えて、指Fgの内部で反射された光に基づき生体に関する情報を検出する用途で用いることもできる。生体に関する情報は、例えば、静脈等の血管像や脈拍、脈波等である。
【0026】
さらに、詳細については後述するが、表示装置DSPは、センサSSから出力される検出信号に基づき、フリッカ成分が最小になるように共通電圧Vcomを調整することができる。
【0027】
図3は、本実施形態に係る表示装置DSPを概略的に示す平面図である。表示装置DSPは、上記した表示パネルPNLと、表示パネルPNL上に実装されたAFE-IC1と、表示パネルPNL外に設けられたMCU2とを備えている。表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAを囲む周辺領域PAとを有している。
【0028】
第1基板SUB1は、第2基板SUB2と重ならない実装領域MAを有している。シール材SEは、周辺領域PAに位置している。
図3においては、シール材SEが配置された領域が斜線で示されている。表示領域DAは、シール材SEの内側に位置している。表示パネルPNLは、表示領域DAにおいて第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配置された複数の画素Pixを備えている。
【0029】
画素Pixは、赤色(R)の光を放つ副画素SP1と、緑色(G)の光を放つ副画素SP2と、青色(B)の光を放つ副画素SP3とを含む。なお、画素Pixは、赤色、緑色および青色以外の光を放つ副画素を含んでもよい。
【0030】
図3の例においては、各画素Pixに対して1つずつセンサSSが配置されている。より詳しくは、各画素Pixに含まれる青色の光を放つ副画素SP3に対して1つずつセンサSSが配置されている。表示領域DA全体では、複数のセンサSSは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に並んでいる。
【0031】
なお、センサSSの配置形態は
図3の例に限定されず、例えばセンサSSが指紋センサとしては利用されずに、共通電圧Vcomを最適化するためだけに用いられるのであれば、センサSSは任意の位置に少なくとも1つ配置されていればよい。
【0032】
AFE-IC1は、センサSSから出力される検出信号に基づき、フリッカ成分が最小になるように共通電圧Vcomを調整する機能を有している。なお、AFE-IC1の詳細な構成・機能については後述するため、ここではその詳しい説明を省略する。MCU2は、AFE-IC1が共通電圧Vcomを調整するのに必要な信号を生成する。なお、MCU2の詳細な機能についても後述するため、ここではその詳しい説明を省略する。なお、AFE-IC1は処理部と称される場合がある。また、MCU2はコントローラと称される場合がある。
【0033】
図4は、センサSSと、センサSSに接続されるセンサ回路SSCとを示す等価回路図である。
図4に示すように、センサ回路SSCには、第1センサ用走査線SGL1と、第2センサ用走査線SGL2と、第1センサ用給電線SPL1と、第2センサ用給電線SPL2と、第3センサ用給電線SPL3と、センサ用信号線SSLと、スイッチング素子SW2Aと、スイッチング素子SW2Bと、スイッチング素子SW2Cと、キャパシタC1と、キャパシタC2と、が設けられる。
【0034】
なお、以下では、第1センサ用走査線SGL1を第1走査線SGL1と称し、第2センサ用走査線SGL2を第2走査線SGL2と称し、第1センサ用給電線SPL1を第1給電線SPL1と称し、第2センサ用給電線SPL2を第2給電線SPL2と称し、第3センサ用給電線SPL3を第3給電線SPL3と称して説明する。
【0035】
また、
図4では、スイッチング素子SW2A,SW2B,SW2Cがそれぞれ、n型TFT(Thin Film Transistor)で構成された場合を示しているが、スイッチング素子SW2A,SW2B,SW2Cは、p型TFTで構成されてもよい。
【0036】
センサSSについて、一方の電極は第2給電線SPL2に接続され、他方の電極はノードN1に接続される。ノードN1は、スイッチング素子SW2Aのドレイン電極およびスイッチング素子SW2Bのゲート電極に接続されている。センサSSの一方の電極には、第2給電線SPL2を通じて第2電位Vcom_FPSが供給される。第2電位Vcom_FPSは、センサ用基準電位と称されてもよい。センサSSに光が入射した場合、入射した光量に応じた信号(電荷)がセンサSSより出力され、キャパシタC1に蓄積される。なお、キャパシタC2に蓄積される容量は、キャパシタC1に蓄積される容量に負荷される寄生容量である。
【0037】
スイッチング素子SW2Aについて、ゲート電極は第1走査線SGL1に接続され、ソース電極は第1給電線SPL1に接続され、ドレイン電極はノードN1に接続されている。スイッチング素子SW2Aが第1走査線SGL1から供給される走査信号に応じてオンになると、ノードN1の電位は第1給電線SPL1を通じて供給される第1電位VPP1にリセットされる。第1電位VPP1はリセット電位と称されてもよい。第2電位Vcom_FPSは第1電位VPP1よりも低い値を示し、センサSSは逆バイアス駆動される。
【0038】
スイッチング素子SW2Bについて、ゲート電極はノードN1に接続され、ソース電極は第3電位VPP2の第3給電線SPL3に接続され、ドレイン電極はスイッチング素子SW2Cのソース電極に接続されている。スイッチング素子SW2Bのゲート電極には、センサSSから出力された信号が供給される。これによれば、スイッチング素子SW2Bは、センサSSから出力された信号に応じた電圧信号をスイッチング素子SW2Cに出力する。
【0039】
スイッチング素子SW2Cについて、ゲート電極は第2走査線SGL2に接続され、ソース電極はスイッチング素子SW2Bのドレイン電極に接続され、ドレイン電極はセンサ用信号線SSLに接続されている。スイッチング素子SW2Cが第2走査線SGL2から供給される走査信号に応じてオンになると、スイッチング素子SW2Bから出力される電圧信号が、検出信号Vdetとしてセンサ用信号線SSLに出力される。
【0040】
なお、
図4では、スイッチング素子SW2A,SW2Cがダブルゲート構造である場合を示したが、スイッチング素子SW2A,SW2Cはシングルゲート構造やマルチゲート構造であってもよい。
【0041】
図5は、本実施形態に係るセンサSSとセンサ回路SSCとの動作例を説明するための図である。センサSSは、
図5に示す指紋撮像期間T2において指紋の撮像(検出動作)を行う。
図5に示すように、指紋撮像期間T2は、主に3フレームで構成され、リセット期間T21と、露光期間T22と、リード期間T23とを含む。なお、ここでは図示を省略しているが、センサSSの一方の電極には、リセット期間T21、露光期間T22、リード期間T23に亘って、第2電位Vcom_FPSが供給される。
【0042】
リセット期間T21は、ノードN1の電位をリセットする期間である。時刻t11においてリセット期間T21が開始され、スイッチング素子SW2Aが第1走査線SGL1から供給される走査信号に応じてオンになると、ノードN1の電位は、第1給電線SPL1を通じて供給される第1電位VPP1にリセットされる。スイッチング素子SW2Cが第2走査線SGL2から供給される走査信号に応じてオンになると、検出信号Vdet1がセンサ用信号線SSLに出力される。リセット期間T21中に出力される検出信号Vdet1の電位は、VPP1-Vth-Vsw2cとなる。なお、Vthは、ソースフォロワとして機能するスイッチング素子SW2Bのしきい値電圧であり、Vsw2cは、スイッチング素子SW2Cのオン抵抗に起因して発生する電圧降下である。
【0043】
露光期間T22は、指で反射された光がセンサSSに入射する期間である。時刻t12においてリセット期間T21が終了し、露光期間T22が開始されると、スイッチング素子SW2AおよびSW2Cはオフになる。ここでは図示を省略しているが、ノードN1の電位は、センサSSに入射した光量(指で反射された光)に応じて低下し、VPP1-ΔVpcとなる。なお、ΔVpcは、センサSSに光が入射することで発生する電圧降下である。
【0044】
時刻t13において露光期間T22が終了し、リード期間T23が開始されると、スイッチング素子SW2Cが第2走査線SGL2から供給される走査信号に応じてオンになり、検出信号Vdet2がセンサ用信号線SSLに出力される。リード期間T23中に出力される検出信号Vdet2の電位は、VPP1-Vth-Vsw2c-ΔVpcとなる。つまり、リード期間T23中に出力される検出信号Vdet2の電位は、リセット期間T21中に出力された検出信号Vdet1の電位よりΔVpcだけ低下している。時刻t14においてリード期間T23は終了する。
【0045】
AFE-IC1は、リセット期間T21中に出力された検出信号Vdet1の電位と、リード期間T23中に出力された検出信号Vdet2の電位とを比較し、その差分(つまり、ΔVpc)に基づいて、センサSSに入射した光を検出することができる。なお、
図5では、1つのセンサSSとセンサ回路SSCとの動作例を示したが、全てのセンサSSとセンサ回路SSCとは同様に動作することが可能である。AFE-IC1は、全てのセンサSSから得られる上記した差分の面内分布を解析することで、指の凹凸(指紋)や血管像(静脈パターン)等を検出することができる。
【0046】
図6は、第1基板SUB1の概略構成例を示す断面図である。第1基板SUB1は、透明な第1基材10と、絶縁層11,12,13,14,15,16,17と、配向膜ALと、を備えている。
【0047】
第1基材10は、例えばガラス基板や樹脂基板である。絶縁層11,12,14,17は、無機材料で形成される。絶縁層13,15,16は、有機材料で形成される。絶縁層11,12,13,14,15,16,17と、配向膜ALとは、第1基材10の上方において、この順で第3方向Zに積層されている。
【0048】
第1基板SUB1は、画像表示に関わる要素として、信号線SLと、走査線GLと、スイッチング素子SW1と、画素電極PEと、共通電極CEと、中継電極R1,R2,R3,R4,R5と、給電線PLと、を備えている。画素電極PEおよびスイッチング素子SW1は、副画素SP1,SP2,SP3のそれぞれに対して設けられている。共通電極CEは、例えば副画素SP1,SP2,SP3に亘って設けられている。
【0049】
スイッチング素子SW1は、半導体層SC1を含む。半導体層SC1は、第1基材10と絶縁層11の間に配置されている。走査線GLは、絶縁層11,12の間に配置され、半導体層SC1と対向している。なお、走査線GLは絶縁層11,12の間ではなく、別の層に配置されてもよい。信号線SLは、絶縁層12,13の間に配置され、絶縁層11,12を貫通するコンタクトホールCH1を通じて半導体層SC1に接触している。
【0050】
中継電極R1は、絶縁層12,13の間、つまり、信号線SLと同層に配置され、絶縁層11,12を貫通するコンタクトホールCH2を通じて半導体層SC1と接触している。中継電極R2は、絶縁層13,14の間に配置され、絶縁層13を貫通するコンタクトホールCH3を通じて中継電極R1に接触している。中継電極R3は、絶縁層14,15の間に配置され、絶縁層14を貫通するコンタクトホールCH4を通じて中継電極R2に接触している。中継電極R4は、絶縁層15,16の間に配置され、絶縁層15を貫通するコンタクトホールCH5を通じて中継電極R3に接触している。中継電極R5は、絶縁層16,17の間に配置され、絶縁層16を貫通するコンタクトホールCH6を通じて中継電極R4に接触している。
【0051】
画素電極PEは、絶縁層17と配向膜ALの間に配置され、絶縁層17を貫通するコンタクトホールCH7を通じて中継電極R5に接触している。給電線PLは、絶縁層15,16の間、つまり、中継電極R4と同層に配置されている。共通電極CEは、絶縁層16,17の間、つまり、中継電極R5と同層に配置され、絶縁層16を貫通するコンタクトホールCH8を通じて給電線PLに接触している。
【0052】
給電線PLには、共通電圧Vcomが供給される。共通電圧Vcomは、共通電極CEに供給される。信号線SLには画素信号(映像信号)が供給され、走査線GLには走査信号が供給される。走査線GLに走査信号が供給されたときに、信号線SLの画素信号が半導体層SC1および中継電極R1,R2,R3,R4,R5を通じて画素電極PEに供給される。このとき、画素電極PEと共通電極CEの間には、画素電極PEの電位Vpixと、共通電極CEの電位Vcomとの電位差に起因した電界が発生し、この電界が液晶層LCに作用する。
【0053】
第1基板SUB1は、センサSSに関わる要素として、スイッチング素子SW2と、センサ用走査線SGLと、中継電極R6,R7,R8,R9と、第2給電線SPL2と、第3給電線SPL3とを備えている。また、センサSSは、第1電極E1(下部電極)と、第2電極E2(上部電極)と、光電変換素子PCとを備えている。
【0054】
なお、
図6では、説明の便宜上、センサSSに関わる複数のスイッチング素子SW2A,SW2B,SW2Cに関係する要素をスイッチング素子SW2と表している。また、
図6では、スイッチング素子SW2のゲート電極として機能する要素をセンサ走査線SGLと表している。
図6では、スイッチング素子SW2のソース電極として機能する要素を中継電極R7と表している。
図6では、スイッチング素子SW2のドレイン電極として機能する要素を中継電極R6と表している。また、
図6では、センサSSに関わる要素の全てではなく、その一部を図示している。
【0055】
光電変換素子PCは、第1基材10に対向する第1面F1と、液晶層LCに対向する第2面F2とを有している。光電変換素子PCの第2面F2がセンサSSの上面に相当する。光電変換素子PCは、絶縁層13,14の間に位置している。第1電極E1は、光電変換素子PCと絶縁層13の間に配置され、第1面F1に接触している。第1電極E1の外周部は、光電変換素子PCから突出しており、絶縁層14によって覆われている。第1電極E1は、光電変換素子PCの下方において絶縁層13を貫通するコンタクトホールCH9を通じて中継電極R6に接触している。第2電極E2は、光電変換素子PCと絶縁層14の間に配置され、第2面F2に接触している。第2電極E2は、光電変換素子PCの上方において絶縁層14を貫通するコンタクトホールCH10を通じて第2給電線SPL2に接触している。
【0056】
第2給電線SPL2は、絶縁層14,15の間に配置され、絶縁層14を貫通するコンタクトホールCH10を通じて第2電極E2に接触している。第2給電線SPL2には第2電位Vcom_FPSが供給され、第2電極E2には第2給電線SPL2を通じて第2電位Vcom_FPSが供給される。
【0057】
スイッチング素子SW2は、半導体層SC2を含む。半導体層SC2は、第1基材10と絶縁層11の間に配置されている。センサ走査線SGLは、絶縁層11,12の間に配置され、半導体層SC2と対向している。なお、センサ走査線SGLは絶縁層11,12の間ではなく、別の層に配置されてもよい。
【0058】
中継電極R6は、絶縁層12,13の間に配置され、絶縁層11,12を貫通するコンタクトホールCH11を通じて半導体層SC2と接触している。中継電極R7は、絶縁層12,13の間、つまり、中継電極R6と同層に配置され、絶縁層11,12を貫通するコンタクトホールCH12を通じて半導体層SC2と接触している。中継電極R8は、絶縁層13,14の間、つまり、第1電極E1と同層に配置され、絶縁層13を貫通するコンタクトホールCH13を通じて中継電極R7に接触している。中継電極R9は、絶縁層14,15の間、つまり、第2給電線SPL2と同層に配置され、絶縁層14を貫通するコンタクトホールCH14を通じて中継電極R8に接触している。
【0059】
第3給電線SPL3は、絶縁層15,16の間、つまり、給電線PLと同層に配置され、絶縁層15を貫通するコンタクトホールCH15を通じて中継電極R9に接触している。第3給電線SPL3には、第3電位VPP2が供給される。第3給電線SPL3は、第3電位VPP2を供給する他に、上記したコリメート層CL1としても機能する。つまり、第3給電線SPL3の一部が、上記したコリメート層CL1であり、第3給電線SPL3は、光電変換素子PCの第2面F2と重なる位置に開口OPを有している。
【0060】
信号線SL、中継電極R1,R6,R7は、同じ金属材料で形成されている。第1電極E1および中継電極R2,R8は、同じ金属材料で形成されている。第2給電線SPL2と、中継電極R3,R9とは、同じ金属材料で形成されている。給電線PLと、第3給電線SPL3と、中継電極R4とは、同じ金属材料で形成されている。第2電極E2と、画素電極PEと、共通電極CEと、中継電極R5とは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料で形成されている。
【0061】
金属材料で形成された第1電極E1は、遮光層としても機能し、下方からの光の光電変換素子PCへの入射を抑制している。光電変換素子PCは、例えばフォトダイオードであり、入射する光に応じた検出信号Vdetを出力する。光電変換素子PCとしては、PIN(Positive Intrinsic Negative)フォトダイオードを用いることができる。この種のフォトダイオードは、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層を有している。p型半導体層は第2電極E2側に位置し、n型半導体層は第1電極E1側に位置し、i型半導体層はp型半導体層とn型半導体層との間に位置している。
【0062】
p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層は、例えばアモルファスシリコン(a-Si)によって形成されている。なお、半導体層の材料はこれに限定されず、アモルファスシリコンが多結晶シリコンや微結晶シリコン等に置換されてもよいし、多結晶シリコンがアモルファスシリコンや微結晶シリコン等に置換されてもよい。
また、PINフォトダイオードに代えて、OPD(Organic Photo diode)が用いられてもよい。
【0063】
センサ用走査線SGLには、センサSSによる検出を実施すべきタイミングで走査信号が供給される。センサ用走査線SGLに走査信号が供給されたとき、光電変換素子PCにて生成される検出信号が、
図6においては図示が省略されたセンサ用信号線SSLに出力される。センサ用信号線SSLに出力された検出信号は、AFE-IC1に出力される。
【0064】
図7は、第1基板SUB1の一部の要素を概略的に示す平面図であって、センサSSと、画素電極PEと、共通電極CEとの位置関係を説明するための図である。
【0065】
副画素SP1,SP2,SP3の画素電極PEはいずれも同じ形状を有している。各画素電極PEは、第2方向Yに沿って並ぶ2つの走査線GLと、第1方向Xに沿って並ぶ2つの信号線SLとによって囲まれる領域にそれぞれ配置されている。各画素電極PEは、それぞれ対応して設けられるスイッチング素子SW1と電気的に接続されている。2つの走査線GLの間には、第1走査線SGL1と第2走査線SGL2とが第2方向Yに沿って並んでいる。
【0066】
図7の例において、画素電極PEは、第2方向Yに沿って延出し、第1方向Xに沿って並ぶ3つの線部LPを有している。副画素SP1,SP2,SP3の開口部は、それぞれ副画素SP1,SP2,SP3の線部LPと重なっている。各画素電極PEは、一点鎖線で囲まれた領域に配置される共通電極CEと平面視において重なっている。
図7では、説明の便宜上省略しているが、共通電極CEは、実際には、一点鎖線で囲まれた領域以外にも配置され、複数の画素に亘っている。
【0067】
図7に示すように、副画素SP3に配置されたセンサSSと平面視において重なる領域にも、画素電極PEおよび共通電極CEは配置されている。つまり、液晶層LCに含まれる液晶分子であって、センサSSの直上に位置する液晶分子には、センサSSと平面視において重なる領域に配置された画素電極PEと共通電極CEとの間で生じる電界が作用し、当該液晶分子は、他の液晶分子と同様に駆動される。
【0068】
以下では、
図2~
図7に示したセンサSSとセンサ回路SSCとを用いて、フリッカ成分が最小になるように共通電圧Vcomを調整する方法について説明する。
【0069】
図8は、本実施形態に係るAFE-IC1の動作概要を説明するための図である。
AFE-IC1は、1フレーム毎に入力される同期信号Vsyncにしたがって動作し、後述する各種制御を行う。
【0070】
画像を表示する表示期間T1においては、AFE-IC1は、Display(正)モードとDisplay(負)モードとをフレーム単位で交互に繰り返す通常表示制御を行う。
【0071】
AFE-IC1は、指紋撮像期間T2においては、指紋を撮像する(指の凹凸を検出する)ための制御を行う。指紋撮像期間T2は、リセット期間T21と、露光期間T22と、リード期間T23とを含んでいる。リセット期間T21においては、AFE-IC1は、FPSモードで動作し、
図4に示したセンサ回路SSCのノードN1の電位を第1電位VPP1にリセットして、検出信号Vdet1を出力するようにセンサ回路SSCを制御する。また、リード期間T23においても、AFE-IC1は、FPSモードで動作し、露光期間T22中にセンサSSに入射した光量(指で反射された光)に応じて発生する電圧降下の影響を受けた検出信号Vdet2を出力するようにセンサ回路SSCを制御する。上記したFPSモードは、指紋検出モードまたは単に検出モードと称されてもよい。
【0072】
なお、露光期間T22においては、AFE-IC1は、Display(正)モードまたはDisplay(負)モードのどちらかで動作し、どちらの動作モードで動作するかは1つ前の表示期間T1における動作モードによって決定される。例えば、1つ前の表示期間T1における動作モードがDisplay(正)モードであった場合、露光期間T22においては、AFE-IC1は、Display(負)モードで動作する。一方、1つ前の表示期間T1における動作モードがDisplay(負)モードであった場合、露光期間T22においては、AFE-IC1は、Display(正)モードで動作する。
【0073】
AFE-IC1は、フリッカ調整期間T3においては、フリッカ成分が最小になるように共通電圧Vcomを調整する。フリッカ調整期間T3は、第1フリッカパターン表示期間T31と、第1検出期間T32と、第2フリッカパターン表示期間T33と、第2検出期間T34と、共通電圧調整期間T35とを含んでいる。
【0074】
第1フリッカパターン表示期間T31においては、AFE-IC1は、Display(正)モードで動作し、正極性の画素信号に基づくフリッカパターンを表示する制御を行う。
【0075】
第1検出期間T32においては、AFE-IC1は、FPSモードで動作し、正極撮像を行うための制御を行う。より詳しくは、AFE-IC1は、第1フリッカパターン表示期間T31中にセンサSSに入射した光量(外光)に応じて発生する電圧降下の影響を受けた検出信号Vdet_posi(
図9参照)を出力するようにセンサ回路SSCを制御する。
【0076】
第2フリッカパターン表示期間T33においては、AFE-IC1は、Display(負)モードで動作し、負極性の画素信号に基づくフリッカパターンを表示する制御を行う。
【0077】
第2検出期間T34においては、AFE-IC1は、FPSモードで動作し、負極撮像を行うための制御を行う。より詳しくは、AFE-IC1は、第2フリッカパターン表示期間T33中にセンサSSに入射した光量(外光)に応じて発生する電圧降下の影響を受けた検出信号Vdet_nega(
図9参照)を出力するようにセンサ回路SSCを制御する。
【0078】
なお、第1フリッカパターン表示期間T31におけるAFE-IC1の動作モードは、上記した露光期間T22における動作モードと同様に、1つ前の表示期間T1における動作モードによって決定される。
図8では、1つ前の表示期間T1における動作モードがDisplay(負)モードである場合を想定しているため、第1フリッカパターン表示期間T31におけるAFE-IC1の動作モードはDisplay(正)モードとなったが、1つ前の表示期間T1における動作モードがDisplay(正)モードであった場合、第1フリッカパターン表示期間T31におけるAFE-IC1の動作モードはDisplay(負)モードとなる。この場合、第1フリッカパターン表示期間T31においては、AFE-IC1は、負極性の画素信号に基づくフリッカパターンを表示する制御を行い、第1検出期間T32においては、検出信号Vdet_negaを出力するようにセンサ回路SSCを制御する。さらに、この場合、第2フリッカパターン表示期間T33においては、AFE-IC1は、正極性の画素信号に基づくフリッカパターンを表示する制御を行い、第2検出期間T34においては、検出信号Vdet_posiを出力するようにセンサ回路SSCを制御する。
【0079】
共通電圧調整期間T35においては、AFE-IC1は、Display(正)モードまたはDisplay(負)モードのどちらかで動作で動作し、どちらの動作モードで動作するかは第2フリッカパターン表示期間T33における動作モードによって決定される。
図8では、第2フリッカパターン表示期間T33におけるAFE-IC1の動作モードがDisplay(負)モードである場合を想定しているため、共通電圧調整期間T35においては、AFE-IC1は、Display(正)モードで動作する。AFE-IC1は、検出信号Vdet_posiと、検出信号Vdet_negaとの差分を検出し、当該差分を共通電圧生成部にフィードバックして、共通電極CEに供給される共通電圧Vcomを調整する。
【0080】
図9は、本実施形態に係るAFE-IC1の一構成例を示す図である。
図9に示すように、AFE-IC1は、コンパレータ101と、キャパシタ102と、キャパシタ103と、基準電圧生成部104と、スイッチ105と、ADコンバータ106と、CPU(Central Processing Unit)107と、RAM(Random Access Memory)108と、共通電圧生成部109と、Vcomアンプ110と、を備えている。
【0081】
コンパレータ101の2つの入力端子のうちの一方は、キャパシタ102に接続されている。キャパシタ102は、センサSSと電気的に接続されたセンサ用信号線SSLに接続されており、当該キャパシタ102には、
図8に示した第1検出期間T32中に出力される検出信号Vdet_posiが蓄積(チャージ)される。つまり、キャパシタ102には、表示パネルPNLが正極性の状態の時にセンサSSから出力された検出信号Vdet_posiが蓄積される。コンパレータ101の一方の入力端子には、キャパシタ102に蓄積された検出信号Vdet_posiが入力される。
【0082】
コンパレータ101の2つの入力端子のうちの他方は、キャパシタ103に接続されている。キャパシタ103は、センサSSと電気的に接続されたセンサ用信号線SSLに接続されており、当該キャパシタ103には、
図8に示した第2検出期間T34中に出力される検出信号Vdet_negaが蓄積(チャージ)される。つまり、キャパシタ103には、表示パネルPNLが負極性の状態の時にセンサSSから出力された検出信号Vdet_negaが蓄積される。コンパレータ101の他方の入力端子には、キャパシタ103に蓄積された検出信号Vdet_negaが入力される。
【0083】
なお、コンパレータ101の他方の入力端子には、スイッチ105を介して基準電圧生成部104が接続されているが、本構成例においては、スイッチ105はオフになっており、基準電圧生成部104により生成される基準電圧Vrefはコンパレータ101の他方の入力端子には入力されない。
【0084】
コンパレータ101の出力端子は、ADコンバータ106に接続される。ADコンバータ106は、CPU107の制御の下、コンパレータ101の出力端子から出力される検出信号Vdet_posiと検出信号Vdet_negaとの差分を示すアナログデータをデジタルデータに変換する。検出信号Vdet_posiと検出信号Vdet_negaとの差分を示す差分データは、CPU107によりRAM108に格納される。
【0085】
CPU107は、AFE-IC1に含まれる各部の動作を制御する。CPU107は、RAM108に格納された差分データに基づき、共通電圧Vcomの補正値Vadjを生成する。CPU107は、生成された補正値Vadjを用いて、共通電圧生成部109に含まれるVcomレジスタ(図示せず)に格納されたVcom値(レジスタ値)を補正する。
【0086】
共通電圧生成部109は、Vcomレジスタに格納されたVcom値に基づき共通電圧Vcomを生成する。共通電圧生成部109により生成された共通電圧Vcomは、Vcomアンプ110により増幅され、給電線PLを介して共通電極CEに供給される。
【0087】
図10は、
図9に示した構成により実現される共通電圧調整処理の手順例を示すフローチャートである。なお、ここでは、フリッカ調整期間T3の直前の表示期間T1におけるAFE-IC1の動作モードがDiplay(負)モードであった場合を想定する。
【0088】
フリッカ調整期間T3が開始されると、AFE-IC1は、正極性の画素信号に基づくフリッカパターンを表示パネルPNLに表示させる(ステップS1)。これにより、センサSSには、正極性の画素信号に基づくフリッカパターン表示時のパネル輝度に応じた光が入射される。センサ回路SSCは、センサSSに入射した光量(外光)に応じて発生する電圧降下の影響を受けた電圧信号(検出信号Vdet_posi)を出力する(ステップS2)。
AFE-IC1は、センサ回路SSCより出力される電圧信号(検出信号Vdet_posi)をキャパシタ102にチャージする(ステップS3)。
【0089】
続いて、AFE-IC1は、負極性の画素信号に基づくフリッカパターンを表示パネルPNLに表示させる(ステップS4)。これにより、センサSSには、負極性の画素信号に基づくフリッカパターン表示時のパネル輝度に応じた光が入射される。センサ回路SSCは、センサSSに入射した光量(外光)に応じて発生する電圧降下の影響を受けた電圧信号(検出信号Vdet_nega)を出力する(ステップS5)。
AFE-IC1は、センサ回路SSCより出力される電圧信号(検出信号Vdet_nega)をキャパシタ103にチャージする(ステップS6)。
【0090】
CPU107の制御の下、コンパレータ101の入力端子には、キャパシタ102にチャージされた電圧信号(検出信号Vdet_posi)と、キャパシタ103にチャージされた電圧信号(検出信号Vdet_nega)とが入力される。CPU107は、コンパレータ101を制御して、入力された検出信号Vdet_posiと検出信号Vdet_negaとの差分を演算する。CPU107は、ADコンバータ106を制御して、コンパレータ101の出力端子より出力された検出信号Vdet_posiと検出信号Vdet_negaとの差分を示すアナログデータをデジタルデータに変換し、変換後のデータをRAM108に格納する(ステップS7)。これによれば、RAM108には、検出信号Vdet_posiと検出信号Vdet_negaとの差分を示す差分データが格納される。
【0091】
CPU107は、RAM108に格納された差分データに基づき、フリッカ成分を最小にするための補正値Vadjを演算し、当該補正値Vadjに基づき、共通電圧生成部109に含まれるVcomレジスタに格納されたVcom値を補正する(ステップS8)。
【0092】
共通電圧生成部109は、ステップS8の処理の次のフレーム以降においては、Vcomレジスタに格納された補正後のVcom値に基づき共通電圧Vcomを生成する(ステップS9)。生成された共通電圧Vcomは、Vcomアンプ110により増幅され、給電線PLを介して共通電極CEに供給される(ステップS10)。これによれば、調整後の共通電圧Vcomで表示パネルPNLを駆動することが可能である。
【0093】
以上説明した一連の共通電圧調整処理によれば、センサSSとセンサ回路SSCとを用いて、フリッカ成分が最小になるように共通電圧Vcomを調整し、共通電圧Vcomを最適化することが可能である。指紋検出に用いられるセンサSSとセンサ回路SSCを用いて共通電圧Vcomの調整を行うため、表示装置の組み立て時にフリッカメータ等を用いて共通電圧Vcomを調整する必要がなく、作業費用やタクトロスの発生を抑制することができる。
【0094】
また、以上説明した一連の共通電圧調整処理は、AFE-IC1の内部で処理を完結させることができるため、専用のAFE-IC1を設けさえすれば、外部操作を要することなく、共通電圧Vcomを自動的に最適化することが可能である。さらに、以上説明した一連の共通電圧調整処理によれば、表示装置組み立て後の任意のタイミングで共通電圧Vcomを最適化することができるため、事後的に発生するフリッカにも対応することが可能である。
【0095】
図11は、本実施形態に係るAFE-IC1の一構成例を示す図であり、
図9に示した構成とは異なる構成を説明するための図である。
図11に示すように、AFE-IC1は、コンパレータ101と、キャパシタ102と、キャパシタ103と、基準電圧生成部104と、スイッチ105と、ADコンバータ106と、CPU107と、RAM108と、共通電圧生成部109と、Vcomアンプ110と、を備えており、AFE-IC1が備える要素は、
図9に示した構成と同様である。但し、
図11に示す構成は、コンパレータ101の一方の入力端子にのみセンサ用信号線SSLが接続され、コンパレータ101の他方の入力端子にはスイッチ105を介して基準電圧生成部104が接続されている点で、
図9に示した構成と相違している。また、
図11に示す構成は、AFE-IC1がMCU2により制御される点で、
図9に示した構成と相違している。以下では、主に、
図9に示した構成と相違する部分について説明し、
図9に示した構成と同様な部分についての説明は省略する。
【0096】
コンパレータ101の2つの入力端子のうちの一方は、キャパシタ102に接続されている。キャパシタ102は、センサSSと電気的に接続されたセンサ用信号線SSLに接続されており、当該キャパシタ102には、
図8に示した第1検出期間T32中に出力される検出信号Vdet_posiと、
図8に示した第2検出期間T34中に出力される検出信号Vdet_negaとが、互いに異なるタイミングで順に蓄積される。
【0097】
コンパレータ101の2つの入力端子のうちの他方は、スイッチ105を介して基準電圧生成部104に接続されている。
【0098】
ADコンバータ106は、CPU107の制御の下、コンパレータ101の出力端子から出力される検出信号Vdet_posiと基準電圧Vrefとの差分を示すアナログデータをデジタルデータに変換する。検出信号Vdet_posiと基準電圧Vrefとの差分を示す第1差分データは、CPU107によりRAM108に格納される。また、ADコンバータ106は、CPU107の制御の下、コンパレータ101の出力端子から出力される検出信号Vdet_negaと基準電圧Vrefとの差分を示すアナログデータをデジタルデータに変換する。検出信号Vdet_negaと基準電圧Vrefとの差分を示す第2差分データは、CPU107によりRAM108に格納される。
【0099】
CPU107は、RAM108に格納された第1差分データと第2差分データとを読み出し、これらデータをMCU2に送信する。CPU107は、MCU2から送信された補正値Vadjを示す補正データを受信すると、当該補正データにより示される補正値Vadjを用いて、共通電圧生成部109に含まれるVcomレジスタ(図示せず)に格納されたVcom値(レジスタ値)を補正する。
【0100】
MCU2は、AFE-IC1のCPU107から送信された第1差分データおよび第2差分データを受信すると、第1差分データおよび第2差分データに基づいて、共通電圧Vcomの補正値Vadjを演算する。演算された補正値Vadjを示す補正データは、AFE-IC1のCPU107に送信される。
【0101】
図12は、
図11に示した構成により実現される共通電圧調整処理の手順例を示すフローチャートである。なお、ここでは、フリッカ調整期間T3の直前の表示期間T1におけるAFE-IC1の動作モードがDisplay(負)モードであった場合を想定する。
【0102】
フリッカ調整期間T3が開始されると、AFE-IC1は、正極性の画素信号に基づくフリッカパターンを表示パネルPNLに表示させる(ステップS11)。これにより、センサSSには、正極性の画素信号に基づくフリッカパターン表示時のパネル輝度に応じた光が入射される。センサ回路SSCは、センサSSに入射した光量(外光)に応じて発生する電圧降下の影響を受けた電圧信号(検出信号Vdet_posi)を出力する(ステップS12)。
AFE-IC1は、センサ回路SSCより出力される電圧信号(検出信号Vdet_posi)をキャパシタ102にチャージする(ステップS13)。
【0103】
CPU107の制御の下、コンパレータ101の入力端子には、キャパシタ102にチャージされた電圧信号(検出信号Vdet_posi)と、基準電圧生成部104により生成された基準電圧Vrefとが入力される。CPU107は、コンパレータ101を制御して、入力された検出信号Vdet_posiと基準電圧Vrefとの差分を演算する。CPU107は、ADコンバータ106を制御して、コンパレータ101の出力端子より出力された検出信号Vdet_posiと基準電圧Vrefとの差分を示すアナログデータをデジタルデータに変換し、変換後のデータをRAM108に格納する(ステップS14)。これによれば、RAM108には、検出信号Vdet_posiと基準電圧Vrefとの差分を示す第1差分データが格納される。
【0104】
続いて、AFE-IC1は、負極性の画素信号に基づくフリッカパターンを表示パネルPNLに表示させる(ステップS15)。これによれば、センサSSには、負極性の画素信号に基づくフリッカパターン表示時のパネル輝度に応じた光が入射される。センサ回路SSCは、センサSSに入射した光量(外光)に応じて発生する電圧降下の影響を受けた電圧信号(検出信号Vdet_nega)を出力する(ステップS16)。
AFE-IC1は、センサ回路SSCより出力される電圧信号(検出信号Vdet_nega)をキャパシタ102にチャージする(ステップS17)。
【0105】
CPU107の制御の下、コンパレータ101の入力端子には、キャパシタ102にチャージされた電圧信号(検出信号Vdet_nega)と、基準電圧生成部104により生成された基準電圧Vrefとが入力される。CPU107は、コンパレータ101を制御して、入力された検出信号Vdet_negaと基準電圧Vrefとの差分を演算する。CPU107は、ADコンバータ106を制御して、コンパレータ101の出力端子より出力された検出信号Vdet_negaと基準電圧Vrefとの差分を示すアナログデータをデジタルデータに変換し、変換後のデータをRAM108に格納する(ステップS18)。これによれば、RAM108には、検出信号Vdet_negaと基準電圧Vrefとの差分を示す第2差分データが格納される。
【0106】
CPU107は、RAM108に格納された第1差分データおよび第2差分データを読み出し、これらデータをMCU2に送信する。MCU2は、AFE-IC1のCPU107より送信された第1差分データおよび第2差分データを受信すると、第1差分データおよび第2差分データに基づき、フリッカ成分を最小にするための補正値Vadjを演算する(ステップS19)。演算された補正値Vadjを示す補正データは、MCU2からAFE-IC1に送信される。
【0107】
AFE-IC1のCPU107は、MCU2より送信された補正データを受信すると、当該補正データにより示される補正値Vadjに基づき、共通電圧生成部109に含まれるVcomレジスタに格納されたVcom値を補正する(ステップS20)。
【0108】
共通電圧生成部109は、ステップS20の処理の次のフレーム以降においては、Vcomレジスタに格納された補正後のVcom値に基づき共通電圧Vcomを生成する。生成された共通電圧Vcomは、Vcomアンプ110により増幅され、給電線PLを介して共通電極CEに供給される(ステップS21)。これによれば、調整後の共通電圧Vcomで表示パネルPNLを駆動することが可能である。
【0109】
以上説明した一連の共通電圧調整処理によれば、
図10に示した共通電圧調整処理と同様に、センサSSとセンサ回路SSCとを用いて、フリッカ成分が最小になるように共通電圧Vcomを調整し、共通電圧Vcomを最適化することが可能である。この場合においても、指紋検出に用いられるセンサSSとセンサ回路SSCを用いて共通電圧Vcomの調整を行うため、表示装置の組み立て時にフリッカメータ等を用いて共通電圧Vcomを調整する必要がなく、作業費用やタクトロスの発生を抑制することができる。
【0110】
また、以上説明した一連の共通電圧調整処理においては、MCU2が共通電圧Vcomの補正値Vadjを演算するため、汎用のAFE-IC1を用いて、共通電圧Vcomの最適化を実現することが可能である。さらに、以上説明した一連の共通電圧調整処理によれば、
図10に示した共通電圧調整処理と同様に、表示装置組み立て後の任意のタイミングで共通電圧Vcomを最適化することができるため、事後的に発生するフリッカにも対応することが可能である。
【0111】
なお、本実施形態では、表示パネルPNLがフレーム反転方式で駆動され、かつ、共通電極CEの電位Vcomが一定である場合(つまり、コモンDC方式の場合)を想定したが、本実施形態に係る共通電圧調整処理は、表示パネルPNLがフレーム反転方式で駆動され、かつ、共通電極CEの極性がフレーム毎に反転する場合(つまり、コモン反転方式の場合)にも適用することが可能である。
【0112】
また、本実施形態では、1つのセンサSSとセンサ回路SSCとを用いて共通電圧Vcomを調整する場合について説明したが、共通電圧Vcomは、複数のセンサSSとセンサ回路SSCとを用いて調整されてもよい。例えば、複数のセンサSS毎に上記した補正値Vadjが演算され、これら補正値Vadjの平均に基づいて、上記したVcom値が補正されてもよい。あるいは、1つのセンサSSから第1検出信号Vdet_posiおよび第2検出信号Vdet_negaを複数セット取得し、セット毎に上記した補正値Vadjが演算され、これら補正値Vadjの平均に基づいて、上記したVcom値が補正されてもよい。
【0113】
本実施形態では、表示装置DSPは照明装置ILを備えた液晶表示装置であるとしたが、これに限定されず、表示装置DSPは表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置であってもよい。
【0114】
以上説明した一実施形態によれば、フリッカを抑制することが可能な表示装置DSPを提供することが可能である。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
DSP…表示装置、PNL…表示パネル、SS…センサ、CE…共通電極、Vdet_posi,Vdet_nega…検出信号、1…AFE-IC、101…コンパレータ、102,103…キャパシタ、104…基準電圧生成部、105…スイッチ、106…ADコンバータ、107…CPU、108…RAM、109…共通電圧生成部、110…Vcomアンプ。