(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150641
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】配管カバー構造体
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
F16L57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059858
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】北村 知也
(72)【発明者】
【氏名】石木 達也
(72)【発明者】
【氏名】日下 淳
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【テーマコード(参考)】
3H024
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB07
3H024AC05
(57)【要約】
【課題】外部からは配管の存在に気づかれ難く、種々の異なる設置環境や配管形状にも対応可能で、美観性の高い配管カバー構造体を提供する。
【解決手段】筐体11から延設される配管10aを覆い、筐体11の外側で配管10aを外囲する側周面B1c、B2cを有する側周面部Bを備え、側周面部Bは、配管10aが筐体11の外周面である筐体面10bを貫通する方向である貫通方向に長さ調整自在に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体から延設される配管を覆う配管カバー構造体であって、
前記筐体の外側で前記配管を外囲する側周面を有する側周面部を備え、
前記側周面部は、前記配管が前記筐体の外周面である筐体面を貫通する方向である貫通方向に長さ調整自在に構成されている配管カバー構造体。
【請求項2】
前記側周面部は、前記側周面に沿う前記貫通方向で互いに摺動自在な板部材成型体を複数備えて構成されている請求項1に記載の配管カバー構造体。
【請求項3】
前記側周面部は、板状の板部材成型体を備えて構成され、
前記板部材成型体が、前記貫通方向に沿う折り曲げ溝を有すると共に、前記折り曲げ溝に沿って折り曲げる形態で前記側周面が形成されて前記配管を外囲する外囲形状と成る請求項1又は2に記載の配管カバー構造体。
【請求項4】
前記筐体の前記配管が貫通する貫通部位に対向する対向箇所に対して、前記側周面部を固定する固定状態とする固定部材を備え、
前記固定部材は、前記固定状態において、前記筐体と前記側周面部とを非接触とする非接触姿勢に維持する請求項1~3の何れか一項に記載の配管カバー構造体。
【請求項5】
前記側周面部は、前記筐体面に当接可能な当接面を有し、
前記当接面には、強磁性体である前記筐体の前記筐体面に対する接着力としての磁力を発揮する磁石が設けられている請求項1~3の何れか一項に記載の配管カバー構造体。
【請求項6】
前記側周面部は、前記筐体面に当接可能な当接面を有すると共に、当該当接面に前記配管を挿通可能な挿通孔を有する請求項1~3、5の何れか一項に記載の配管カバー構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体から延設される配管を覆う配管カバー構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のように、排気や冷媒等が通流する配管の周りを、配管形状に沿って筒状に覆う配管カバーが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の配管カバーでは、配管カバーが配管形状に沿って配設されているため、外部から物が配管カバーにぶつかった場合に、配管カバーと配管とが近接し、配管が損傷する虞があった。
更には、配管カバーが配管形状に沿って配設されているため、外観で配管が存在することが認識され、美観性の観点からも改善の余地があった。
また、屈曲部が多い配管に関しては、配管形状に沿った配管カバーでは対応し難いという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部からは配管の存在に気づかれ難く、種々の異なる設置環境や配管形状にも対応可能で、美観性の高い配管カバー構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための配管カバー構造体は、筐体から延設される配管を覆う配管カバー構造体であって、その特徴構成は、
前記筐体の外側で前記配管を外囲する側周面を有する側周面部を備え、
前記側周面部は、前記配管が前記筐体の外周面である筐体面を貫通する方向である貫通方向に長さ調整自在に構成されている点にある。
【0007】
上記特徴構成を有する配管カバー構造体によれば、側周面部は、筐体の外側で配管を外囲する形態で側周面を形成するから、必ずしも配管形状に沿った形状とする必要がなく、配管と側周面部との間に空間を持たせることができ、例えば、外部から物が側周面部にぶつかった場合にも、配管が損傷する虞を低減できる。また、屈曲部が多い配管についても、その全体を一括して覆うことができ、美観性の向上を図り得る。
更に、側周面部は、配管が筐体の筐体面を貫通する方向である貫通方向で長さ調整自在に構成されているから、筐体と壁面との間の室内等に露出する配管長が異なる場合でも当該配管を良好に外囲でき、設置環境に応じて柔軟に対応可能で美観性の優れた配管カバー構造体を実現できる。
【0008】
配管カバー構造体の更なる特徴構成は、
前記側周面部は、前記側周面に沿う前記貫通方向で互いに摺動自在な板部材成型体を複数備えて構成されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、側周面に沿う板部材成型体の複数を現場に応じた形状に成型しつつ互いに摺動させることで、屈曲した配管や複数本の配管の全体を良好に外囲でき、設置環境への対応の柔軟性が高く且つ美観性の高い配管カバー構造体を実現できる。
【0010】
配管カバー構造体の更なる特徴構成は、
前記側周面部は、板状の板部材成型体を備えて構成され、
前記板部材成型体が、前記貫通方向に沿う折り曲げ溝を有すると共に、前記折り曲げ溝に沿って折り曲げる形態で前記側周面が形成されて前記配管を外囲する外囲形状と成る点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、板部材成型体は、貫通方向に沿う折り曲げ溝を有すると共に、折り曲げ溝に沿って折り曲げる形態で側周面が形成されて配管を外囲する外囲形状をとるので、設置環境に折り曲げ溝に沿う曲げ角度を自在に調整することができるから、外囲の自由度を高く、外囲する対象が屈曲配管や多数の配管となった場合でも、それらを良好に内包する形状をとることができ、より一層の美観性の向上を図り得る。
【0012】
配管カバー構造体の更なる特徴構成は、
前記側周面部が、前記筐体の前記配管が貫通する貫通部位に対向する対向箇所に対し、前記板部材成型体を固定する固定部材を備え、
前記固定部材は、前記固定部材による前記板部材成型体を前記対向箇所へ固定する固定状態において、前記筐体と前記板部材成型体とを非接触とする非接触姿勢に維持する点にある。
【0013】
配管が接続される筐体が、例えば、衣類乾燥機の筐体である場合、当該衣類乾燥機の運転中には筐体が振動するため、設置状態によっては、側周面部と筐体との間で干渉音が生じることがある。
上記特徴構成によれば、板部材成型体は、筐体ではなく、筐体の配管が貫通する貫通部位に対向する対向箇所に対して固定部材により固定され、当該固定部材が、筐体と板部材成型体とを非接触とする非接触姿勢を維持するから、筐体が振動する場合であっても、板部材成型体と筐体とが干渉することを防止して、干渉音の発生を良好に防止できる。
【0014】
配管カバー構造体の更なる特徴構成は、
前記側周面部は、前記筐体面に当接可能な当接面を有し、
前記当接面には、強磁性体である前記筐体の前記筐体面に対する接着力としての磁力を発揮する磁石が設けられている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、側周面部は、筐体の外周面である筐体面に当接可能な当接面を有し、当接面には、強磁性体である筐体の筐体面に対する接着力としての磁力を発揮する磁石が設けられているから、例えば、当該磁石の磁力を、側周面部が筐体へ密着するために十分な力を発揮するものとすることで、当接面を筐体へ適切に密着させて、両者の間で干渉音が生じることを良好に防止できる。
【0016】
配管カバー構造体の更なる特徴構成は、
前記側周面部は、前記筐体の外周面である筐体面に当接可能な当接面を有すると共に、当該当接面に前記配管を挿通可能な挿通孔を有する点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、側周面部が、筐体の外周面である筐体面に当接可能な当接面を有すると共に、当該当接面に配管を挿通可能な挿通孔を有するから、当該挿通孔に配管を通した状態で、側周面部を設置することで、筐体の振動により側周面部が位置ズレや落下することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る配管カバー構造体の概略構成図である。
【
図3】別実施形態に係る配管カバー構造体の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る配管カバー構造体は、外部からは配管の存在に気づかれ難く、種々の異なる設置環境や配管形状にも対応可能で、美観性の高いものに関する。
以下、
図1~4に基づいて、実施形態に係る配管カバー構造体100を説明する。
【0020】
図1、2に示すように、機器10に連通接続される配管10aを覆う配管カバー構造体100に関するものであり、機器10としては、例えば、都市ガス13Aを燃料として衣類を乾燥する衣類乾燥機等、種々の機器が挙げられる。
ここで、機器10が衣類乾燥機である場合、燃料を供給する燃料供給配管や、燃焼排ガスを通流する排ガス通流配管等が機器10に連通接続されることになり、以下の説明及び図面では、これらの配管をまとめて、配管10aとして示している。
尚、当該実施形態では、機器10は、当該機器10の上方(
図1で矢印Zの先端側)の天井Cの近傍に設置されていると共に、その背面(
図1で矢印Xの基端側)を内壁(図示せず)に近接した状態で設置されている。
【0021】
配管カバー構造体100は、機器10の筐体11の外側で配管10aを外囲する側周面B1c、B2cを有する側周面部Bを備え、当該側周面部Bは、配管10aが筐体11の外周面である筐体面10bを貫通する方向である貫通方向(
図1で矢印Zに沿う方向)で長さ調整自在に構成されている。
当該側周面部Bは、上述の貫通方向で互いに摺動自在な板部材成型体として、例えば、鋏等の切断治具(図示せず)により容易に切断加工ができる樹脂等の材料から構成することができ、当該実施形態では、
図2に示すように、第1板部材成型体B1と第2板部材成型体B2の2つを備えて構成されている。
【0022】
説明を追加すると、第1板部材成型体B1は、
図1又は
図2に示すように、貫通方向に沿う第1折り曲げ溝B1dを有すると共に、第1折り曲げ溝B1dに沿って折り曲げる形態で側周面B1cが形成されて配管10aを外囲する外囲形状(
図1に示す形状)と成る。
詳細には、第1板部材成型体B1は、上記貫通方向に沿う4本の第1折り曲げ溝B1dを有する。
図2に示す状態において、両端の2本の第1折り曲げ溝B1dを山折りにすると共に内側の2本の第1折り曲げ溝B1dを谷折りにすることで、貫通方向に直交する方向で、両端に内壁(図示せず)に当接する背面当接部B1bを形成すると共に、背面当接部B1bの内側の3面にて側周面B1cを形成する。
更に、第1板部材成型体B1は、上記貫通方向に直交する方向で第2折り曲げ溝B1eを備え、
図2に示す状態において、第2折り曲げ溝B1eを山折り又は谷折りにすることで、天井Cに当接する天面当接部B1aを形成する。
尚、当該実施形態において折り曲げ溝による折り曲げ角度は90°としているが、当該折り曲げ角度は、折り曲げ溝の数により適宜調整可能である。
【0023】
上述した第1板部材成型体B1は、第1折り曲げ溝B1d及び第2折り曲げ溝B1eを上述した通り谷折り又は山折りにすることで、
図1に示す形状に成型され、背面当接部B1bがボルトBtにより機器10の背面側に位置する内壁(図示せず)に固定されると共に、天面当接部B1aがボルトBtにより天井C(筐体面10bの貫通部位に対向する対向箇所の一例)に固定され、固定状態となる。当該ボルトBtが固定部材として機能する。
【0024】
第2板部材成型体B2は、
図1又は
図2に示すように、貫通方向に沿う第3折り曲げ溝B2dを有すると共に、第3折り曲げ溝B2dに沿って折り曲げる形態で側周面B2cを形成して配管10aを外囲する外囲形状(
図1に示す形状)と成る。
詳細には、当該実施形態に係る第2板部材成型体B2は、上記貫通方向に沿う2本の第3折り曲げ溝B2dを有する。
図2に示すように、貫通方向に直交する方向において、第2板部材成型体B2の側周面B2cを第1板部材成型体B1の側周面B1cに位置合わせした状態において、第2板部材成型体B2の第3折り曲げ溝B2dは、貫通方向に直交する方向において、第1板部材成型体B1の内側2本の第1折り曲げ溝B1dと同一位置に形成される。
第2板部材成型体B2は、
図2に示す状態において、2本の第3折り曲げ溝B2dを谷折りにすることで、3面を有する側周面B2cを形成する。
【0025】
さて、
図1又は
図2に示すように、第1板部材成型体B1にはスリット溝Sを形成し、第2板部材成型体B2には固定治具Bsを挿通する貫通孔Skを形成している。当該構成より、第1板部材成型体B1がボルトBtにより天井C又は内壁(図示せず)に固定され且つ第1板部材成型体B1の側周面B1cに対して第2板部材成型体B2の側周面B2cを貫通方向で摺動移動(
図1(a)から
図1(b)への移動)させた後に、所望の位置で固定治具Bsにより第1板部材成型体B1に対して第2板部材成型体B2を固定(
図1(b)の状態での固定)することで、配管10aを適切に目隠しつつも第2板部材成型体B2の機器10の筐体11への非接触姿勢が維持される。
これにより、機器10の運転による振動が発生した場合であっても、機器10の筐体11と第2板部材成型体B2との接触による干渉、及び当該干渉に伴う干渉音の発生を防止できる。
ちなみに、当該実施形態では、第1板部材成型体B1の内側に第2板部材成型体B2が位置する。
【0026】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、側周面部Bの板部材成型体として、第1板部材成型体B1と第2板部材成型体B2の2つを備える構成例を示したが、当該板部材成型体は3つ以上から構成しても構わない。
【0027】
(2)上記実施形態では、第1板部材成型体B1にスリット溝S、第2板部材成型体B2に固定治具Bsを挿通する貫通孔Skを形成する構成例を示したが、第2板部材成型体B2にスリット溝S、第1板部材成型体B1に固定治具Bsを挿通する貫通孔Skを形成する構成としても構わない。
また、第1板部材成型体B1及び第2板部材成型体B2は、貫通方向で両者の位置を調整して固定できる構成であれば、上述の構成に限らず種々の構成を採用可能である。
【0028】
(3)上記実施形態では、第1板部材成型体B1の側周面B1c及び第2板部材成型体B2の側周面B2cは、配管10aの周囲のうち、機器10の背面の除く部分を覆う構成例を示したが、配管10aの全周を覆う構成としても構わない。
【0029】
(4)上記実施形態では、第2板部材成型体B2は、機器10の筐体11に対し非接触姿勢をとる構成例を示したが、板部材成型体が、機器10の筐体11に対して接触する構成としても構わない。
例えば、
図3、4に示すように、側周面部Bとしての第3板部材成型体B3は、機器10の筐体11の外周面である筐体面10bに当接可能な第1外周面当接部B3a(当接面の一例)及び第2外周面当接部B3b(当接面の一例)を有する構成とすることができる。
【0030】
説明を追加すると、第3板部材成型体B3は、
図3又は
図4に示すように、貫通方向(矢印Zに沿う方向)に沿う第4折り曲げ溝B3dを有すると共に、
図4に示す状態で、第4折り曲げ溝B3dを谷折りにする形態で、側周面B3cを形成して配管10aを外囲する外囲形状(
図3に示す形状)と成る。
更に、第3板部材成型体B3は、上記貫通方向に直交する方向で第5折り曲げ溝B3eを備え、
図4に示す状態において、第5折り曲げ溝B3eを谷折りにすることで、機器10の筐体面10bに当接する第1外周面当接部B3a及び第2外周面当接部B3bを形成する。
ちなみに、第1外周面当接部B3aには、強磁性体である筐体11の筐体面10bに対する接着力としての磁力を発揮する複数の磁石Mが設けられる。一方、第2外周面当接部B3bには、配管10aを挿通可能な挿通孔B3bxが形成されており、
図3に示す設置状態において、当該挿通孔B3bxに配管10aが挿通される。これにより、機器10の振動により、側周面部Bが機器10の筐体面10bから脱落等することを防止している。
尚、第3板部材成型体B3は、貫通方向に直交する方向に沿う切断部Kに沿って、切断治具(図示せず)等により切断する形で長さ調整自在である。
尚、挿通孔B3bxに替えて紐等により配管10aと側周面部Bとを繋ぐ構成を採用しても構わない。
【0031】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の配管カバー構造体は、外部からは配管の存在に気づかれ難く、種々の異なる設置環境や配管形状にも対応可能で、美観性の高い配管カバー構造体として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
10 :機器
10a :配管
10b :筐体面
11 :筐体
100 :配管カバー構造体
B :側周面部
B1 :第1板部材成型体
B1a :天面当接部
B1c :側周面
B1d :第1折り曲げ溝
B1e :第2折り曲げ溝
B2 :第2板部材成型体
B2c :側周面
B2d :第3折り曲げ溝
B3 :第3板部材成型体
B3a :第1外周面当接部
B3b :第2外周面当接部
B3bx :挿通孔
B3c :側周面
C :天井
M :磁石