(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150666
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 67/00 20060101AFI20231005BHJP
A01D 41/127 20060101ALI20231005BHJP
A01F 12/46 20060101ALI20231005BHJP
G01S 19/14 20100101ALI20231005BHJP
【FI】
A01D67/00 A
A01D67/00 G
A01D41/127
A01F12/46
G01S19/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059886
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田中 智徳
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】奥平 淳人
【テーマコード(参考)】
2B074
2B076
2B396
5J062
【Fターム(参考)】
2B074AA01
2B074BA04
2B074CH01
2B074GJ07
2B076AA03
2B076BA08
2B076BB01
2B076CD01
2B076CF02
2B396JA04
2B396JC07
2B396LE07
2B396LE20
2B396LG07
2B396LG16
5J062AA04
5J062BB01
5J062CC07
(57)【要約】
【課題】収穫作業時における測位精度の確保と、保管時の省スペース化と、を両立するコンバインを提供すること。
【解決手段】脱穀装置6と、穀粒タンク8と、穀粒タンク8に貯留された穀粒を縦搬送する縦搬送部9Aからの穀粒を横送りして排出口9Cから排出する横搬送部9Bを有する搬送装置9と、測位ユニット20と、が備えられている。測位ユニット20は、衛星からの信号を受信する受信装置21と、受信装置を支持するフレーム部材22と、を有する。測位ユニット20は、測位ユニット20の全体が収納状態の横搬送部9Bの上端部よりも低い位置に位置する第一状態と、測位ユニット20のうち少なくとも受信装置21が第一状態よりも高い位置に位置する第二状態と、に状態変更可能なように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫した作物を脱穀処理する脱穀装置と、
脱穀処理された穀粒を貯留する穀粒タンクと、
前記穀粒タンクの後下部に接続され、前記穀粒タンクに貯留された穀粒を縦搬送する縦搬送部と、前記縦搬送部の上端部に接続されるとともに排出口を有し、前記縦搬送部からの穀粒を横送りして前記排出口から排出する横搬送部と、を有する搬送装置と、
衛星からの信号を受信する受信装置と、前記受信装置を支持するフレーム部材と、を有する測位ユニットと、が備えられ、
前記横搬送部は、上下昇降可能かつ左右旋回可能に構成されるとともに、平面視で機体中央部分に跨るホーム位置に収納された収納状態から機体外側に張り出して穀粒排出することが可能であり、
前記測位ユニットは、前記測位ユニットの全体が前記収納状態の前記横搬送部の上端部よりも低い位置に位置する第一状態と、前記測位ユニットのうち少なくとも前記受信装置が前記第一状態よりも高い位置に位置する第二状態と、に状態変更可能なように構成されているコンバイン。
【請求項2】
前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記測位ユニットのうち少なくとも前記受信装置は、前記収納状態の前記横搬送部の上端部よりも高い位置に位置している請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
運転部が備えられ、
前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記受信装置は、前記運転部よりも前側に位置する請求項1または2に記載のコンバイン。
【請求項4】
機体の前部に、圃場の作物を刈り取る刈取部が備えられ、
前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記受信装置は、前記刈取部と平面視において重複する状態で、前記刈取部の左右幅中心位置に位置する請求項1から3の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記フレーム部材に、機体前後方向に並んで立設する複数の縦フレーム部、及び、前記複数の縦フレーム部の夫々の上端部に繋がるとともに機体前後方向に沿って延びる前後フレーム部を有する門型部材が備えられている請求項1から4の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項6】
機体中央に対して左右一方側に偏倚する状態で運転部が備えられ、
前記門型部材は、前記運転部における左右他方側端部に支持されている請求項5に記載のコンバイン。
【請求項7】
機体中央に対して左右一方側に偏倚する状態で運転部が備えられ、
前記門型部材は、前記運転部に対して左右他方側に隣接して設けられている請求項5に記載のコンバイン。
【請求項8】
運転部が備えられ、
前記フレーム部材に、前記門型部材と機体左右方向における前記運転部の端部とに連結され、機体左右方向に沿って延びる横フレーム部が備えられている請求項5から7の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項9】
前記運転部に、運転者が着座するシートと、前記シートの前方に位置して運転操作のための操作具を有するフロントパネルと、が備えられ、
前記横フレーム部は、前記門型部材の下部と、前記フロントパネルの機体横外側端部と、の夫々に連結され、
前記横フレーム部は、前記操作具よりも前側に位置する請求項8に記載のコンバイン。
【請求項10】
前記横フレーム部は、前記操作具の上端部よりも下側に位置する請求項9に記載のコンバイン。
【請求項11】
前記フレーム部材に、前記門型部材に支持されるとともに前記受信装置を連結支持するステー部が備えられ、
前記横搬送部は、前記収納状態のとき、前後に延びるとともに前記測位ユニットよりも機体前側に延出し、
前記ステー部は、機体左右方向に沿う左右軸芯まわりに揺動可能に構成されている請求項5から10の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項12】
前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記ステー部は、前記前後フレーム部よりも上方に立ち上がり、
前記測位ユニットは、前記ステー部が前倒れ方向に揺動することによって、前記第二状態から前記第一状態に状態変更可能なように構成されている請求項11に記載のコンバイン。
【請求項13】
前記門型部材に、前記複数の縦フレーム部のうち最前の前記縦フレーム部と前記前後フレーム部とを連結する連結部が備えられ、
前記連結部に、前記最前の縦フレーム部に連結される第一支持部、及び、前記第一支持部よりも後上方に位置するとともに前記前後フレーム部に連結される第二支持部が備えられ、
前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記第一支持部は、前記ステー部と当接して前記ステー部の後方への揺動を規制し、
前記測位ユニットが前記第一状態のとき、前記第二支持部は、前記ステー部と当接して前記ステー部の前記前倒れ方向への揺動を規制する請求項12に記載のコンバイン。
【請求項14】
前記前後フレーム部は、機体側面視において、前記収納状態の前記横搬送部と重複する請求項11から13の何れか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されたコンバインに、フレーム部材(文献では「門型部材」及び「控え部材」)に支持されるとともに人工衛星からの信号を受信する受信装置(文献では「GPSアンテナユニット」)が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、受信装置が人工衛星からの信号を受信する際には、測位精度を高めるために受信装置を出来るだけ高い位置に配置する構成が望ましい。一方、コンバインは、収穫時期以外の時期においては納屋等の保管庫に保管されている。保管庫の天井は低い場合もあり、当該天井と受信装置とが干渉する虞が考えられる。このため、農業事業者(農家等)が、測位ユニットを備えた新たなコンバインを導入した際に、その新たなコンバインを、受信装置を備えない従来のコンバイン(以下、単に「従来のコンバイン」と称する)を保管していた保管庫と同じ保管庫に保管できない場合がある。この不都合を回避するため、受信装置の高さ位置を従来のコンバインの全高程度に抑えることが考えられる。しかし、受信装置の高さ位置が低くなると、受信装置は、例えばマルチパスの影響を受け易くなる等の、収穫作業時における測位精度に問題を生じ易くなる。
【0005】
本発明は、収穫作業時における測位精度の確保と、保管時の省スペース化と、を両立するコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンバインは、収穫した作物を脱穀処理する脱穀装置と、脱穀処理された穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記穀粒タンクの後下部に接続され、前記穀粒タンクに貯留された穀粒を縦搬送する縦搬送部と、前記縦搬送部の上端部に接続されるとともに排出口を有し、前記縦搬送部からの穀粒を横送りして前記排出口から排出する横搬送部と、を有する搬送装置と、人工衛星からの信号を受信する受信装置と、前記受信装置を支持するフレーム部材と、を有する測位ユニットと、が備えられ、前記横搬送部は、上下昇降可能かつ左右旋回可能に構成されるとともに、平面視で機体中央部分に跨るホーム位置に収納された収納状態から機体外側に張り出して穀粒排出することが可能であり、前記測位ユニットは、前記測位ユニットの全体が前記収納状態の前記横搬送部の上端部よりも低い位置に位置する第一状態と、前記測位ユニットのうち少なくとも前記受信装置が前記第一状態よりも高い位置に位置する第二状態と、に状態変更可能なように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、測位ユニットが第一状態と第二状態とに状態変更可能な構成となっており、測位ユニットが第一状態であるときに、測位ユニットの全体が横搬送部の上端部よりも低い位置に位置する。搬送装置の横搬送部は、コンバインの中でも比較的高い位置に位置するため、測位ユニットが第一状態であると、コンバインの全高を、従来のコンバインの全高と同程度に抑え易くなる。これにより、コンバインを保管する保管庫の天井が低い場合であっても、天井と測位ユニットとの干渉が回避され、本発明のコンバインを従来のコンバインと同一の保管庫に保管することが可能となる。また、測位ユニットが第二状態であると、受信装置が第一状態よりも高い位置に位置する。このため、測位ユニットが第一状態である場合と比較して、受信装置はマルチパス等の影響を受け難くなり、収穫作業時における受信装置の測位精度が良好になる。これにより、収穫作業時における測位精度の確保と、保管時の省スペース化と、を両立するコンバインが実現される。
【0008】
本発明において、前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記測位ユニットのうち少なくとも前記受信装置は、前記収納状態の前記横搬送部の上端部よりも高い位置に位置していると好適である。
【0009】
本構成であれば、受信装置の受信状態への横搬送部による悪影響を抑制することができる。例えば、衛星からの信号が横搬送部によって反射されて受信装置へ到達する、いわゆるマルチパスの悪影響を抑制することができる。
【0010】
本発明において、運転部が備えられ、前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記受信装置は、前記運転部よりも前側に位置すると好適である。
【0011】
本構成であれば、受信装置の受信状態への運転部による悪影響を抑制することができる。例えば、衛星からの信号が運転部によって反射されて受信装置へ到達する、いわゆるマルチパスの悪影響を抑制することができる。
【0012】
本発明において、機体の前部に、圃場の作物を刈り取る刈取部が備えられ、前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記受信装置は、前記刈取部と平面視において重複する状態で、前記刈取部の左右幅中心位置に位置すると好適である。
【0013】
本構成であれば、受信装置が、刈取部の中心を基準にして精度よく測位を行える。また、受信された衛星からの信号に基づいてコンバインの位置を算出する場合に、その算出を精度良く行える。
【0014】
本発明において、前記フレーム部材に、機体前後方向に並んで立設する複数の縦フレーム部、及び、前記複数の縦フレーム部の夫々の上端部に繋がるとともに機体前後方向に沿って延びる前後フレーム部を有する門型部材が備えられていると好適である。
【0015】
本構成によると、フレーム部材に門型部材が備えられ、受信装置が門型部材によって支持される。門型部材は、複数の縦フレーム部と、複数の縦フレーム部の夫々の上端部に繋がる前後フレーム部と、を備えている。これにより、例えば受信装置が単一の縦フレーム部によって支持される構成と比較して、受信装置がしっかりと支持されて、振動等の影響を受け難くなる。
【0016】
本発明において、機体中央に対して左右一方側に偏倚する状態で運転部が備えられ、前記門型部材は、前記運転部における左右他方側端部に支持されていると好適である。または、本発明において、機体中央に対して左右一方側に偏倚する状態で運転部が備えられ、前記門型部材は、前記運転部に対して左右他方側に隣接して設けられていると好適である。
【0017】
これらの構成であれば、門型部材が機体の左右中央領域においてしっかりと支持されるので、門型部材が機体の左右一方側領域に位置する構成と比較して、門型部材の支持構造を簡素化し易い。
【0018】
本発明において、運転部が備えられ、前記フレーム部材に、前記門型部材と機体左右方向における前記運転部の端部とに連結され、機体左右方向に沿って延びる横フレーム部が備えられていると好適である。
【0019】
本構成であれば、横フレーム部が門型部材と運転部の端部とを連結する。この構成によって、門型部材が機体の左右方向に振動の力を受ける場合であっても、この左右方向の力が横フレーム部によって受け止められる。これにより、門型部材は、横フレーム部が備えられない構成と比較して、機体左右方向に振動し難くなる。
【0020】
本発明において、前記運転部に、運転者が着座するシートと、前記シートの前方に位置して運転操作のための操作具を有するフロントパネルと、が備えられ、前記横フレーム部は、前記門型部材の下部と、前記フロントパネルの機体横外側端部と、の夫々に連結され、前記横フレーム部は、前記操作具よりも前側に位置すると好適である。
【0021】
本構成であれば、門型部材の下部と連結されている横フレーム部は、運転部に対して比較的低い位置に位置することになる。これにより、シートに着座した運転者の視界が横フレーム部に遮られることが抑制され、運転者が容易に前方を確認できる。また、横フレーム部が、操作具よりも前側に位置する構成によって、横フレーム部が運転者の手摺りとしても機能し得る。
【0022】
本発明において、前記横フレーム部は、前記操作具の上端部よりも下側に位置すると好適である。
【0023】
本構成であれば、横フレーム部が操作具の上端部よりも下側に位置することによって、シートに着座した運転者は、前方の視界を横フレーム部に遮られることなく、良好に前方を確認できる。また、本構成であれば、運転者が操作具の上端部を握って操作具を操作する際に、運転者の手が横フレーム部に当たる虞が軽減され、運転者は横フレーム部に対して煩わしさを感じ難くなる。
【0024】
本発明において、前記フレーム部材に、前記門型部材に支持されるとともに前記受信装置を連結支持するステー部が備えられ、前記横搬送部は、前記収納状態のとき、前後に延びるとともに前記測位ユニットよりも機体前側に延出し、前記ステー部は、機体左右方向に沿う左右軸芯まわりに揺動可能に構成されていると好適である。
【0025】
左右旋回可能な横搬送部がホーム位置に収納された収納状態であるとき、横搬送部は前後方向に沿って延びる姿勢となる場合が多い。本構成であれば、ステー部は、左右軸芯まわりに、前後に揺動する。これにより、ステー部及び受信装置が、横搬送部と当接しにくくなる。従って、測位ユニットを第一状態と第二状態との間で状態変更する際に、測位ユニットと横搬送部との干渉が抑制される。
【0026】
本発明において、前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記ステー部は、前記前後フレーム部よりも上方に立ち上がり、前記測位ユニットは、前記ステー部が前倒れ方向に揺動することによって、前記第二状態から前記第一状態に状態変更可能なように構成されていると好適である。
【0027】
ステー部の後方にはコンバインの構成部品等が存在する場合が多いが、ステー部の前方は、ステー部の後方よりも空間が確保され易い。本構成であれば、測位ユニットは、コンバインの構成部品等と干渉せずに、第一状態と第二状態とに状態変更可能となる。
【0028】
本発明において、前記門型部材に、前記複数の縦フレーム部のうち最前の前記縦フレーム部と前記前後フレーム部とを連結する連結部が備えられ、前記連結部に、前記最前の縦フレーム部に連結される第一支持部、及び、前記第一支持部よりも後上方に位置するとともに前記前後フレーム部に連結される第二支持部が備えられ、前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記第一支持部は、前記ステー部と当接して前記ステー部の後方への揺動を規制し、前記測位ユニットが前記第一状態のとき、前記第二支持部は、前記ステー部と当接して前記ステー部の前記前倒れ方向への揺動を規制すると好適である。
【0029】
本構成によって、測位ユニットの第一状態及び第二状態が安定して維持される。
【0030】
本発明において、前記前後フレーム部は、機体側面視において、前記収納状態の前記横搬送部と重複すると好適である。
【0031】
本構成であれば、前後フレーム部が比較的高い位置に配置されるので、測位ユニットが第二状態のときに比較的高い位置に位置する受信装置を安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図3】運転部及び測位ユニットを示す機体右側面図である。
【
図4】運転部及び測位ユニットを示す機体正面図である。
【
図5】測位ユニットにおけるステー部の揺動基端部を示す機体左側面図である。
【
図6】測位ユニットにおけるステー部の揺動基端部を示す
図5のVI-VI線図である。
【
図7】測位ユニットにおけるステー部の揺動基端部を示す
図5のVII-VII線図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本実施形態のコンバインについて、自脱型コンバインを例に挙げて説明する。
【0034】
図1はコンバインの左側面図であり、
図2はコンバインの平面図である。ここで、理解を容易にするために、本実施形態では、特に断りがない限り、「前」(
図1に示す矢印「F」の方向)は機体前後方向(走行方向)における前方を意味し、「後」(
図1に示す矢印「B」の方向)は機体前後方向(走行方向)における後方を意味するものとする。また、「上」(
図1に示す矢印「U」の方向)及び「下」(
図1に示す矢印「D」の方向)は、鉛直方向(水平面に垂直な方向)での位置関係であり、地上高さにおける関係を示すものとする。更に、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)を意味する。即ち、「左」(
図2に示す矢印「L」の方向)及び「右」(
図2に示す矢印「R」の方向)は、夫々、機体の左方向及び右方向を意味するものとする。
図3以降の図面においても同様である。
【0035】
〔コンバインの全体について〕
図1に示すように、コンバインの走行機体1は機体フレーム2を備え、機体フレーム2は角パイプ材などの複数の鋼材の連結によって構成されている。機体フレーム2の下部に左右一対のクローラ式の走行装置3が装備されている。走行機体1の前部の右横側部分に、運転部5が備えられている。運転部5の下方にエンジンEが配置されている。エンジンEはエンジンボンネット10によって覆われている。運転部5はエンジンボンネット10の上方に位置する。運転部5はキャビンに覆われておらず、外部に開放される。
【0036】
走行機体1の前部に、刈取部4が昇降可能に設けられている。刈取部4は、走行機体1の前方において複数の植付条の稲や麦の植立穀稈(作物)を引き起こしながら刈り取るとともに、刈り取られた刈取穀稈を機体後方に向けて搬送する。機体フレーム2の後部に、脱穀装置6及び穀粒タンク8が横並び状態で支持されている。脱穀装置6は、刈取部4の後方に配置され、穀粒タンク8は、運転部5の後方に配置されている。脱穀装置6の左側部にフィードチェーン7が設けられ、フィードチェーン7は刈取部4によって刈り取られた刈取穀稈を後方へ挟持搬送する。脱穀装置6において、投入された刈取穀稈の脱穀処理が行われ、脱穀処理によって得られた穀粒と塵埃とを選別する選別処理が行われる。穀粒タンク8は、脱穀処理されて脱穀装置6から搬送された穀粒を貯留する。穀粒タンク8の後部に、穀粒タンク8から穀粒を取り出す穀粒排出装置9が接続されている。穀粒排出装置9は本発明の『搬送装置』に相当する。
【0037】
穀粒排出装置9に、縦搬送部9Aと横搬送部9Bとが備えられている。縦搬送部9Aは、穀粒タンク8の後下部に接続され、穀粒タンク8に貯留された穀粒を縦搬送する。横搬送部9Bは、縦搬送部9Aの上端部に接続され、縦搬送部9Aからの穀粒を横送りする。横搬送部9Bの搬送方向下手側端部に排出口9Cが備えられている。横搬送部9Bは、縦搬送部9Aからの穀粒を排出口9Cへ搬送し、排出口9Cから機外へ排出する。
【0038】
横搬送部9Bは、上下に昇降可能かつ左右に旋回可能に構成されている。
図1及び
図2に示すように、穀粒排出装置9が使用されないとき、横搬送部9Bは、脱穀装置6及び穀粒タンク8よりも上側に位置する状態、かつ、平面視で機体中央部分に跨る状態で、前後に延びる。このときの横搬送部9Bの状態を『収納状態』と称する。また、このときの横搬送部9Bの位置を『ホーム位置』と称する。
【0039】
穀粒排出装置9が使用されるとき、横搬送部9Bは、ホーム位置に収納された収納状態から機体外側に張り出して穀粒排出することが可能である。ここで、機体外側とは、脱穀装置6の左側部よりも左側(機体横外側)、穀粒タンク8の右側部よりも右側(機体横外側)、及び、脱穀装置6及び穀粒タンク8の夫々の後端部よりも後ろ側を意味する。つまり、穀粒排出装置9が使用されるとき、横搬送部9Bは、走行機体1から左右側方または後方へ離れる側へ延びて穀粒タンク8に貯留された穀粒を排出する。
【0040】
本実施形態のコンバインに測位ユニット20が備えられている。測位ユニット20は受信装置21を有する。受信装置21は、人工衛星(不図示)からのGNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム、例えばGPS、GLONASS、Galileo、QZSS、及び、BeiDou等)の信号を受信して、自車位置を取得する。なお、測位ユニット20による衛星航法を補完するために、ジャイロ加速度センサや磁気方位センサを組み込んだ慣性航法ユニット19が備えられている。なお、後述するが、慣性航法ユニット19は、コンバインにおいて測位ユニット20と別の箇所に配置されている。
【0041】
〔運転部〕
運転部5は機体中央に対して機体右側に偏倚する状態で備えられている。
図1~
図4に示すように、運転部5に、シート11と、シート11の前方に位置するフロントパネル12と、シート11の左方に位置するサイドパネル13と、が備えられている。運転部5の中央領域にシート11が設けられ、シート11はエンジンボンネット10の上面部に載置支持されている。シート11に運転者が着座する。前後方向におけるフロントパネル12とシート11との間に、床部15が設けられている。シート11及び床部15の右方に乗降ステップ14が設けられている。サイドパネル13は、運転部5のうち乗降ステップ14の位置する側と反対側に設けられている。
【0042】
フロントパネル12に操向操作レバー16とメータパネル17とが備えられている。操向操作レバー16は、運転操作のための操作具であって、フロントパネル12の右端部に設けられ、シート11の前方に位置している。メータパネル17はフロントパネル12の左右中央部に設けられている。運転部5に搭乗する搭乗者は、操向操作レバー16を操作することによって走行装置3を操向操作できる。メータパネル17に、例えば、走行速度やエンジン回転数、燃料残量等が表示される。また、運転部5に搭乗する搭乗者は、必要に応じてメータパネル17を操作可能であり、搭乗者の操作に応じてメータパネル17の表示項目が変更される。操向操作レバー16は本発明の『操作具』に相当する。
【0043】
また、フロントパネル12の右端部に、サイドミラー31と方向指示器32とアームレスト33とが支持されている。アームレスト33は、操向操作レバー16よりもシート11の位置する側に延出されている。
【0044】
サイドパネル13に、主変速操作レバー18等が備えられている。主変速操作レバー18は、サイドパネル13の前部に配置されている。主変速操作レバー18は、前後方向に揺動操作可能なレバーによって構成されている。運転部5に搭乗する搭乗者は、主変速操作レバー18を操作することによって、主変速装置(不図示)を変速操作できる。
【0045】
また、サイドパネル13の内部において、主変速操作レバー18の揺動支軸の後下方の箇所に慣性航法ユニット19が備えられている。慣性航法ユニット19は、コンバインにおいて測位ユニット20よりも低い箇所に配置されている。このため、慣性航法ユニット19が測位ユニット20と同じ高さに配置される構成と比較して、慣性航法ユニット19はコンバインの振動の影響を受け難い。また、
図2に示すように、慣性航法ユニット19は、機体左右方向において中央領域に位置する。測位ユニット20と慣性航法ユニット19とが前後方向に沿って並んでいる。
【0046】
シート11の後方に箱状の上突出部40が備えられている。上突出部40はエンジンボンネット10の上面部よりも上側に突出する。上突出部40の上面部は、シート11の背もたれ部分の上部に対応する高さに位置する。詳述はしないが、上突出部40の内部に、エンジンEに対する吸気用のエアクリーナや電子制御ユニット(いわゆるECU)等が収容されている。
【0047】
〔測位ユニットについて〕
本実施形態の測位ユニット20に、受信装置21と、門型部材22と、横フレーム部材23と、ステー部材24と、が備えられている。
【0048】
図2に示すように、門型部材22は機体の平面視において前後方向に延びている。横フレーム部材23は門型部材22の前下部と連結され、機体の平面視において横方向に沿って延びている。つまり、測位ユニット20は、門型部材22と、横フレーム部材23と、によって、平面視においてL字状に形成されている。
【0049】
図3に示すように、門型部材22の前上部に連結部材25が備えられている。ステー部材24が連結部材25に揺動可能に支持されている。ステー部材24の遊端部に受信装置21が取り付けられている。つまり、ステー部材24は、連結部材25を介して門型部材22に支持されるとともに受信装置21を連結支持する。
【0050】
門型部材22及び横フレーム部材23は、本発明の『フレーム部材』に相当し、受信装置21を支持する。横フレーム部材23は本発明の『横フレーム部』に相当する。ステー部材24は本発明の『ステー部』に相当する。連結部材25は本発明の『連結部』に相当する。
【0051】
ステー部材24が上向きに揺動した状態が
図1において実線で示され、このとき、測位ユニット20の状態は第二状態である。また、ステー部材24が下向きに揺動した状態が
図1において破線で示され、このとき、測位ユニット20の状態は第一状態である。測位ユニット20が第一状態のときのステー部材24の角度と、測位ユニット20が第二状態のときのステー部材24の角度と、の角度差は90度または略90度(例えば89~91度)である。
【0052】
図1に示すように、測位ユニット20が第一状態のとき、測位ユニット20の全体が、収納状態における穀粒排出装置9の上端部よりも低い位置に位置する。また、
図1に示すように、測位ユニット20が第二状態のとき、受信装置21が収納状態の横搬送部9Bの上端部よりも高い位置に位置する。ステー部材24は、測位ユニット20が第一状態のときよりも上向きに揺動することによって、測位ユニット20の第二状態を現出する。つまり、測位ユニット20は、測位ユニット20の全体が収納状態の横搬送部9Bの上端部よりも低い位置に位置する第一状態と、測位ユニット20のうち少なくとも受信装置21が第一状態のときよりも高い位置に位置する第二状態と、に状態変更可能なように構成されている。
【0053】
測位ユニット20が第二状態であるとき、測位ユニット20が第一状態である場合における受信装置21の高さと比較して、受信装置21はマルチパス等の影響を受け難くなり、収穫作業時における受信装置21の測位精度が良好になる。また、測位ユニット20が第一状態であると、コンバインを保管する保管庫の天井が低い場合であっても、天井と測位ユニット20との干渉が回避される。
【0054】
測位ユニット20が第二状態のとき、受信装置21は、運転部5よりも前側に位置する。また、測位ユニット20が第二状態のとき、受信装置21は、刈取部4と平面視において重複する状態で、刈取部4の左右幅中心位置に位置する。
【0055】
門型部材22は、機体側面視において門型形状に形成されている。門型部材22は運転部5の左側部に配置されている。門型部材22は、前後フレーム部22aと、前縦フレーム部22bと、後縦フレーム部22cと、連結部材25と、を有する。詳細に関しては後述するが、前後フレーム部22aの前部と前縦フレーム部22bの上端部とは連結部材25を介して連結されている。前後フレーム部22aは、機体側面視において、収納状態における横搬送部9Bと重複する(
図1参照)。
【0056】
前縦フレーム部22bと後縦フレーム部22cとの夫々は、機体前後方向に並んで立設する。前後フレーム部22aは、前縦フレーム部22bの上端部と後縦フレーム部22cの上端部とに亘って設けられている。つまり、前後フレーム部22aは、前縦フレーム部22bと後縦フレーム部22cとの夫々の上端部に繋がるとともに機体前後方向に沿って延びる。前縦フレーム部22b及び後縦フレーム部22cは、本発明の『縦フレーム部』に相当する。前縦フレーム部22bは、本発明の『最前の縦フレーム部』に相当する。
【0057】
前縦フレーム部22bは、上側ほど機体前側に位置するように傾斜する姿勢(前傾姿勢)で立設されている。前縦フレーム部22bの下端部は、サイドパネル13の前部における左側部にボルト連結されている。換言すると、前縦フレーム部22bは、サイドパネル13の前部における左側部に支持されている。
【0058】
前後フレーム部22aと後縦フレーム部22cとは一体的な部材で構成されており、前後フレーム部22aと後縦フレーム部22cとの境界部分が曲げ形成されている。後縦フレーム部22cは、運転部5の後部における左側部に前傾姿勢で立設されている。後縦フレーム部22cの下端部は、機体の左右方向に沿うように曲げ形成されている。この後縦フレーム部22cの下端部が上突出部40の上面部にボルト連結されている。換言すると、後縦フレーム部22cは上突出部40の上面部に支持されている。このように、門型部材22は、運転部5の左側部に支持されている。換言すると、運転部5は機体中央に対して機体右側に偏倚する状態で備えられ、門型部材22は、運転部5の機体左右中央側端部に支持されている。
【0059】
横フレーム部材23に、水平フレーム部23aと、縦フレーム部23bと、が形成されている。横フレーム部材23は機体の正面視及び背面視においてL字状に形成されている。水平フレーム部23aと縦フレーム部23bとの境界部分が曲げ形成されている。水平フレーム部23aの左端部は、門型部材22における前縦フレーム部22bの下部にボルト連結されている。水平フレーム部23aはフロントパネル12の左右両端に亘って延びている。水平フレーム部23aの右端部から下方に縦フレーム部23bが延びており、縦フレーム部23bにおける上下二箇所がフロントパネル12の右側部にボルト連結されている。このように、横フレーム部材23は、門型部材22における前縦フレーム部22bの下部と、フロントパネル12の機体横外側端部と、の夫々に連結され、機体左右方向に沿って延びる。このように、門型部材22は横フレーム部材23によって強固に支持されている。
【0060】
横フレーム部材23は操向操作レバー16よりも前側に位置する。また、横フレーム部材23は操向操作レバー16の上端部よりも下側に位置する。このため、シート11に着座した運転者は、機体前方の圃場を監視する際に、横フレーム部材23を気にすることなく圃場を確認し易くなる。
【0061】
また、
図2及び
図4に示すように、縦フレーム部23bは、サイドミラー31と方向指示器32とアームレスト33との夫々の支持基端部よりも機体横外側に位置する。特に、縦フレーム部23bは方向指示器32の右側部よりも機体右側に位置する。また、
図3に示すように、縦フレーム部23bは、サイドミラー31とアームレスト33との夫々の支持基端部よりも機体前側に位置する。このため、横フレーム部材23は、サイドミラー31と方向指示器32とアームレスト33との夫々を保護するための保護部材としても兼用される。加えて、横フレーム部材23は、例えば別体の操作装置や表示装置等(例えば自動操舵や自動走行に関する設定ボタン操作具や表示パネル等)を後付けするための部材としても兼用可能である。
【0062】
〔測位ユニットにおける受信装置の揺動支持構造について〕
図5~
図7に基づいて、受信装置21の揺動支持構造を説明する。上述したように、連結部材25は、前後フレーム部22aと前縦フレーム部22bとを連結するとともに、ステー部材24を揺動可能に支持する。
【0063】
連結部材25に、左右の平板部25aと、受け板部25b,25cと、補強板部25dと、が備えられている。左右の平板部25aの間に、受け板部25b,25cと補強板部25dとの夫々が存在する。なお、
図5の機体左側面図では、左の平板部25aが省略されている。
【0064】
受け板部25b,25cの夫々の短手方向(
図5における紙面手前方向及び紙面奥方向)の両側部が左右の平板部25aと溶接されている。補強板部25dは平板状に形成され、短手方向(
図5における紙面手前方向及び紙面奥方向)の両側部が左右の平板部25aと溶接されている。受け板部25bは本発明の『第一支持部』に相当し、受け板部25cは本発明の『第二支持部』に相当する。
【0065】
受け板部25bは、前縦フレーム部22bに連結される。受け板部25bは側面視においてL字状に形成されている。受け板部25bは、上下方向に沿う縦面部分と、当該縦面部分の上端部において前向きに延びる水平面部分と、を有する。前縦フレーム部22bの上端部が受け板部25bの水平面部分と当接し、前縦フレーム部22bの上部における後面部分が受け板部25bの当該縦面部分と当接する。この状態で、前縦フレーム部22bの上部は受け板部25bに溶接固定される。
【0066】
受け板部25cは、受け板部25bよりも後上方に位置するとともに前後フレーム部22aに連結される。受け板部25cは側面視においてL字状に形成されている。受け板部25cは、水平方向に沿う水平面部分と、当該水平面部分の前端部において上向きに延びる縦面部分と、を有する。
【0067】
受け板部25cの水平面部分に二つのボルト孔が形成され、水平面部分のうち二つのボルト孔の夫々に対応する箇所に溶接ナット25Nuが設けられている。また、前後フレーム部22aの前部に二つのボルト孔が形成されている。
【0068】
図5及び
図6に示すように、受け板部25cの水平面部分の上方に前後フレーム部22aの前部が配置され、受け板部25cの水平面部分と前後フレーム部22aの前部との間に受け板26が介在する。前後フレーム部22aの前部における上方と下方との夫々に受け板26が当接する。夫々の受け板26に二つのボルト孔が形成されている。
【0069】
受け板部25cと、前後フレーム部22aの前部と、二つの受け板26と、は夫々における二つのボルト孔が平面視において重複するように配置される。この状態で、二つのボルトが、受け板部25cと、前後フレーム部22aの前部と、二つの受け板26と、の夫々のボルト孔を貫通し、溶接ナット25Nuに締結される。これにより、前後フレーム部22aが連結部材25にボルト固定される。
【0070】
図3~
図5に示すように、ステー部材24は、パイプ部24aとチャンネル部24bと板部24cとハンドル部24dとを有する。パイプ部24aは、断面視において中空の円形状に形成されている(
図6参照)。パイプ部24aは、ステー部材24の揺動基端部と遊端部とに亘って延びている。パイプ部24aの揺動基端部にチャンネル部24bが溶接によって連結されている。チャンネル部24bは断面視においてチャンネル状、即ちU字状に形成されている(
図6参照)。また、パイプ部24aの揺動基端部にハンドル部24dが溶接によって連結されている。ハンドル部24dはチャンネル部24bよりも遊端側に位置する。パイプ部24aの遊端部に板部24cが溶接によって連結されている。板部24cに受信装置21がボルト固定されている。
【0071】
図4に示すように、板部24cはパイプ部24aに対して運転部5の位置する側に偏倚する。板部24c及び受信装置21は、
図4に示す正面視(機体前後方向視)において、サイドパネル13、すなわち運転部5の上方に位置する。板部24c及び受信装置21は、機体左右方向において中央領域に位置する(
図2参照)。
【0072】
チャンネル部24bにおける断面視U字状の両側面部に、揺動支持ピン27を貫通するための孔部が形成されている。また、左右の平板部25aの夫々に、揺動支持ピン27を貫通するための孔部が形成されている。
図5~
図7に示すように、揺動支持ピン27は、左右の平板部25aの夫々に形成された孔部と、チャンネル部24bにおける断面視U字状の両側面部に形成された孔部と、を貫通する。揺動支持ピン27の一端部に頭部が形成され、揺動支持ピン27の一端部が左右の平板部25aの一方に係止する。また、揺動支持ピン27の他端部は、スナップピン27aによって左右の平板部25aの他方に係止する。これにより、ステー部材24は、左右の平板部25aとチャンネル部24bとの夫々の孔部を貫通する揺動支持ピン27を軸芯として、揺動可能である。すなわち、ステー部材24は、機体左右方向に沿って延びる揺動支持ピン27まわり(左右軸芯まわり)に揺動可能に構成されている。
【0073】
図1及び
図2に示すように、横搬送部9Bの前端部(遊端部)は、ホーム位置に位置する収納状態のとき、測位ユニット20よりも前側に位置する。換言すると、横搬送部9Bは、収納状態のとき、前後に延びるとともに測位ユニット20よりも機体前側に延出している。本実施形態における測位ユニット20は、ステー部材24が前倒れ方向に揺動することによって、第二状態から第一状態に状態変更可能なように構成されている。これにより、測位ユニット20は、第一状態と第二状態との何れのときにも、横搬送部9Bとの当接を回避できる。
【0074】
図6及び
図7に示すように、チャンネル部24bにおける断面視U字状の一方の側面部に、ノブボルト28を締結するための二つの孔部24iが穿孔され、チャンネル部24bのうち孔部24iの位置する箇所に溶接ナット24Nuが設けられている。また、
図5~
図7に示すように、左右の平板部25aの一方に、ノブボルト28を貫通させるための二つの孔部25iと二つの孔部25jとが形成されている。二つの孔部25iは上下方向に沿って並んでおり、二つの孔部25jは水平方向に沿って並んでいる。
【0075】
図5において破線で示すように、測位ユニット20が第一状態のとき、ステー部材24は前方に倒伏しており、この状態においてチャンネル部24bと受け板部25cとが当接する。即ち、測位ユニット20が第一状態のとき、受け板部25cは、ステー部材24と当接してステー部材24の前倒れ方向への揺動を規制する。この状態において、ノブボルト28が平板部25aの孔部25jを貫通し、溶接ナット24Nuに締結される。これにより、ステー部材24が倒伏した状態、即ち測位ユニット20の第一状態が保持される。
【0076】
図5において実線で示すように、測位ユニット20が第二状態のとき、ステー部材24は前後フレーム部22aよりも上側に立ち上がっており、この状態においてチャンネル部24bと受け板部25bとが当接する。即ち、測位ユニット20が第二状態のとき、受け板部25bは、ステー部材24と当接してステー部材24の後方への揺動を規制する。この状態において、ノブボルト28が平板部25aの孔部25iを貫通し、溶接ナット24Nuに締結される。これにより、ステー部材24が前後フレーム部22aよりも上側に立ち上がった状態、即ち測位ユニット20の第二状態が保持される。
【0077】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0078】
(1)上述の実施形態において、運転部5は機体右側に偏倚した状態で設けられ、門型部材22は、運転部5における左側端部に支持されている。この実施形態に限定されず、例えば、運転部5は機体左側に偏倚した状態で設けられ、門型部材22は、運転部5における右側端部に支持されても良い。つまり、運転部5は機体左右一方側に偏倚した状態で設けられ、門型部材22は、運転部5における左右他方側端部に支持されても良い。あるいは、門型部材22は、運転部5に支持されない構成であっても良い。この場合、運転部5は機体左右一方側に偏倚した状態で設けられ、門型部材22は、運転部5よりも機体左右中央寄りに位置する状態で運転部5に隣接して設けられる構成であっても良い。換言すると、機体中央に対して左右一方側に偏倚する状態で運転部5が備えられ、門型部材22は、運転部5に対して左右他方側に隣接して設けられている構成であっても良い。
【0079】
(2)横フレーム部材23は、運転部5の左右に亘って延びる構成でなくても良く、運転部5の左端部に連結される構成であっても良い。即ち、横フレーム部材23は、門型部材22と機体左右方向における運転部5の端部とに連結される構成であって良い。
【0080】
(3)本発明の『縦フレーム部』は、前縦フレーム部22b及び後縦フレーム部22cの他にも設けられる構成であっても良い。即ち、門型部材22は、機体前後方向に並んで立設する複数の縦フレーム部を有する構成であって良い。
【0081】
(4)上述の実施形態において、横フレーム部材23は、操向操作レバー16の上端部よりも下側に位置する。この実施形態に限定されず、例えば、横フレーム部材23は、操向操作レバー16の上端部よりも上側に位置しても良い。例えば、横フレーム部材23の縦フレーム部23bが、前後フレーム部22aの高さ位置に相当する高さまで延び、かつ、横フレーム部材23の水平フレーム部23aが、前後フレーム部22aの高さ位置に相当する高さ位置において機体の横方向に沿って延びる構成であっても良い。
【0082】
(5)上述の実施形態における測位ユニット20は、ステー部材24が前倒れ方向に揺動することによって、第二状態から第一状態に状態変更可能なように構成されている。この実施形態に限定されず、例えば、測位ユニット20は、ステー部材24が後倒れ方向に揺動することによって、第二状態から第一状態に状態変更可能なように構成されても良い。また、測位ユニット20は、ステー部材24が左右方向において運転部5の位置する側へ揺動することによって、第二状態から第一状態に状態変更可能なように構成されても良い。加えて、横搬送部9Bや他の機器等と当接しない構成であれば、測位ユニット20は、ステー部材24が左右方向において運転部5の位置する側と反対側へ揺動することによって、第二状態から第一状態に状態変更可能なように構成されても良い。
【0083】
(6)上述の実施形態において、測位ユニット20が第二状態のとき、受信装置21は、刈取部4と平面視において重複する。この実施形態に限定されず、例えば、測位ユニット20が第二状態のとき、受信装置21は、平面視において運転部5(例えばフロントパネル12やサイドパネル13等)と重複する構成であっても良い。
【0084】
(7)
図1に基づいて上述した実施形態において、前後フレーム部22aは、機体側面視において、収納状態における横搬送部9Bと重複する。この実施形態に限定されず、例えば、前後フレーム部22aは、収納状態における横搬送部9Bよりも下側に位置しても良い。
【0085】
(8)上述の実施形態においては、測位ユニット20が第一状態のとき、測位ユニット20の全体が、収納状態における穀粒排出装置9の上端部よりも低い位置に位置する。測位ユニット20が第一状態のとき、測位ユニット20の略全体が収納状態における穀粒排出装置9の上端部よりも低い位置に位置するように、測位ユニット20が構成されてもよい。すなわち、コンバインの保管の妨げにならない程度に、測位ユニット20における上部が収納状態における穀粒排出装置9の上端部よりも高い位置に位置する形態も可能である。
【0086】
(9)上述の実施形態においては自脱型のコンバインを例示したが、全稈投入型のコンバイン(いわゆる普通型コンバイン)であっても良い。
【0087】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、コンバインに適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
4 :刈取部
5 :運転部
6 :脱穀装置
8 :穀粒タンク
9 :穀粒排出装置(搬送装置)
9A :縦搬送部
9B :横搬送部
9C :排出口
11 :シート
12 :フロントパネル
16 :操向操作レバー(操作具)
20 :測位ユニット
21 :受信装置
22 :門型部材(フレーム部材)
22a :前後フレーム部
22b :前縦フレーム部(縦フレーム部)
22c :後縦フレーム部(縦フレーム部)
23 :横フレーム部材(フレーム部材、横フレーム部)
24 :ステー部材(ステー部)
25 :連結部材(連結部)
25b :受け板部(第一支持部)
25c :受け板部(第二支持部)
【手続補正書】
【提出日】2022-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫した作物を脱穀処理する脱穀装置と、
脱穀処理された穀粒を貯留する穀粒タンクと、
前記穀粒タンクの後下部に接続され、前記穀粒タンクに貯留された穀粒を縦搬送する縦搬送部と、前記縦搬送部の上端部に接続されるとともに排出口を有し、前記縦搬送部からの穀粒を横送りして前記排出口から排出する横搬送部と、を有する搬送装置と、
衛星からの信号を受信する受信装置と、前記受信装置を支持するフレーム部材と、を有する測位ユニットと、が備えられ、
前記横搬送部は、上下昇降可能かつ左右旋回可能に構成されるとともに、平面視で機体中央部分に跨るホーム位置に収納された収納状態から機体外側に張り出して穀粒排出することが可能であり、
前記測位ユニットは、前記測位ユニットの全体が前記収納状態の前記横搬送部の上端部と同じ位置または前記収納状態の前記横搬送部の上端部よりも低い位置に位置する第一状態と、前記測位ユニットのうち少なくとも前記受信装置が前記第一状態よりも高い位置に位置する第二状態と、に状態変更可能なように構成されているコンバイン。
【請求項2】
前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記測位ユニットのうち少なくとも前記受信装置は、前記収納状態の前記横搬送部の上端部よりも高い位置に位置している請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
運転部が備えられ、
前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記受信装置は、前記運転部よりも前側に位置する請求項1または2に記載のコンバイン。
【請求項4】
機体の前部に、圃場の作物を刈り取る刈取部が備えられ、
前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記受信装置は、前記刈取部と平面視において重複する請求項1から3の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
機体の前部に、圃場の作物を刈り取る刈取部が備えられ、
前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記受信装置は、前記刈取部の左右幅中心位置に位置する請求項1から4の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記フレーム部材に、立設する第一フレーム部、及び、前記第一フレーム部に繋がるとともに機体前後方向または機体左右方向に沿って延びる第二フレーム部が備えられている請求項1から5の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項7】
機体中央に対して左右一方側に偏倚する状態で運転部が備えられ、
前記フレーム部材は、前記運転部における左右他方側端部に支持されている請求項1から6の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項8】
機体中央に対して左右一方側に偏倚する状態で運転部が備えられ、
前記フレーム部材は、前記運転部に対して左右他方側に隣接して設けられている請求項1から6の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項9】
運転部が備えられ、
前記第二フレーム部は、前記第一フレーム部と機体左右方向における前記運転部の端部とに連結されるとともに機体左右方向に沿って延びる請求項6に記載のコンバイン。
【請求項10】
前記運転部に、運転者が着座するシートと、前記シートの前方に位置して運転操作のための操作具を有するフロントパネルと、が備えられ、
前記第二フレーム部は、前記第一フレーム部の下部と、前記フロントパネルの機体横外側端部と、の夫々に連結され、
前記第二フレーム部は、前記操作具よりも前側に位置する請求項9に記載のコンバイン。
【請求項11】
前記第二フレーム部は、前記操作具の上端部よりも下側に位置する請求項10に記載のコンバイン。
【請求項12】
前記フレーム部材に、前記受信装置を連結支持するステー部が備えられ、
前記横搬送部は、前記収納状態のとき、前後に延びるとともに前記測位ユニットよりも機体前側に延出し、
前記ステー部は、機体左右方向に沿う左右軸芯まわりに揺動可能に構成されている請求項6に記載のコンバイン。
【請求項13】
前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記ステー部は、前記第二フレーム部よりも上方に立ち上がり、
前記測位ユニットは、前記ステー部が前倒れ方向に揺動することによって、前記第二状態から前記第一状態に状態変更可能なように構成されている請求項12に記載のコンバイン。
【請求項14】
前記フレーム部材に、前記第一フレーム部と前記第二フレーム部とを連結する連結部が備えられ、
前記連結部に、前記第一フレーム部に連結される第一支持部、及び、前記第一支持部よりも後上方に位置するとともに前記第二フレーム部に連結される第二支持部が備えられ、
前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記第一支持部は、前記ステー部と当接して前記ステー部の後方への揺動を規制し、
前記測位ユニットが前記第一状態のとき、前記第二支持部は、前記ステー部と当接して前記ステー部の前記前倒れ方向への揺動を規制する請求項13に記載のコンバイン。
【請求項15】
前記第二フレーム部は、機体側面視において、前記収納状態の前記横搬送部と重複する請求項12から14の何れか一項に記載のコンバイン。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されたコンバインに、フレーム部材(文献では「門型部材」及び「控え部材」)に支持されるとともに人工衛星からの信号を受信する受信装置(文献では「GPSアンテナユニット」)が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、受信装置が人工衛星からの信号を受信する際には、測位精度を高めるために受信装置を出来るだけ高い位置に配置する構成が望ましい。一方、コンバインは、収穫時期以外の時期においては納屋等の保管庫に保管されている。保管庫の天井は低い場合もあり、当該天井と受信装置とが干渉する虞が考えられる。このため、農業事業者(農家等)が、測位ユニットを備えた新たなコンバインを導入した際に、その新たなコンバインを、受信装置を備えない従来のコンバイン(以下、単に「従来のコンバイン」と称する)を保管していた保管庫と同じ保管庫に保管できない場合がある。この不都合を回避するため、受信装置の高さ位置を従来のコンバインの全高程度に抑えることが考えられる。しかし、受信装置の高さ位置が低くなると、受信装置は、例えばマルチパスの影響を受け易くなる等の、収穫作業時における測位精度に問題を生じ易くなる。
【0005】
本発明は、収穫作業時における測位精度の確保と、保管時の省スペース化と、を両立するコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンバインは、収穫した作物を脱穀処理する脱穀装置と、脱穀処理された穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記穀粒タンクの後下部に接続され、前記穀粒タンクに貯留された穀粒を縦搬送する縦搬送部と、前記縦搬送部の上端部に接続されるとともに排出口を有し、前記縦搬送部からの穀粒を横送りして前記排出口から排出する横搬送部と、を有する搬送装置と、衛星からの信号を受信する受信装置と、前記受信装置を支持するフレーム部材と、を有する測位ユニットと、が備えられ、前記横搬送部は、上下昇降可能かつ左右旋回可能に構成されるとともに、平面視で機体中央部分に跨るホーム位置に収納された収納状態から機体外側に張り出して穀粒排出することが可能であり、前記測位ユニットは、前記測位ユニットの全体が前記収納状態の前記横搬送部の上端部と同じ位置または前記収納状態の前記横搬送部の上端部よりも低い位置に位置する第一状態と、前記測位ユニットのうち少なくとも前記受信装置が前記第一状態よりも高い位置に位置する第二状態と、に状態変更可能なように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、測位ユニットが第一状態と第二状態とに状態変更可能な構成となっており、測位ユニットが第一状態であるときに、測位ユニットの全体が横搬送部の上端部よりも低い位置に位置する。搬送装置の横搬送部は、コンバインの中でも比較的高い位置に位置するため、測位ユニットが第一状態であると、コンバインの全高を、従来のコンバインの全高と同程度に抑え易くなる。これにより、コンバインを保管する保管庫の天井が低い場合であっても、天井と測位ユニットとの干渉が回避され、本発明のコンバインを従来のコンバインと同一の保管庫に保管することが可能となる。また、測位ユニットが第二状態であると、受信装置が第一状態よりも高い位置に位置する。このため、測位ユニットが第一状態である場合と比較して、受信装置はマルチパス等の影響を受け難くなり、収穫作業時における受信装置の測位精度が良好になる。これにより、収穫作業時における測位精度の確保と、保管時の省スペース化と、を両立するコンバインが実現される。
【0008】
本発明において、前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記測位ユニットのうち少なくとも前記受信装置は、前記収納状態の前記横搬送部の上端部よりも高い位置に位置していると好適である。
【0009】
本構成であれば、受信装置の受信状態への横搬送部による悪影響を抑制することができる。例えば、衛星からの信号が横搬送部によって反射されて受信装置へ到達する、いわゆるマルチパスの悪影響を抑制することができる。
【0010】
本発明において、運転部が備えられ、前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記受信装置は、前記運転部よりも前側に位置すると好適である。
【0011】
本構成であれば、受信装置の受信状態への運転部による悪影響を抑制することができる。例えば、衛星からの信号が運転部によって反射されて受信装置へ到達する、いわゆるマルチパスの悪影響を抑制することができる。
【0012】
本発明において、機体の前部に、圃場の作物を刈り取る刈取部が備えられ、前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記受信装置は、前記刈取部と平面視において重複すると好適である。また、機体の前部に、圃場の作物を刈り取る刈取部が備えられ、前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記受信装置は、前記刈取部の左右幅中心位置に位置すると好適である。
【0013】
本構成であれば、受信装置が、刈取部の中心を基準にして精度よく測位を行える。また、受信された衛星からの信号に基づいてコンバインの位置を算出する場合に、その算出を精度良く行える。
【0014】
本発明において、前記フレーム部材に、立設する第一フレーム部、及び、前記第一フレーム部に繋がるとともに機体前後方向または機体左右方向に沿って延びる第二フレーム部が備えられていると好適である。
【0015】
本構成によると、受信装置がフレーム部材によって支持される。フレーム部材は、第一フレーム部と、第一フレーム部に繋がる第二フレーム部と、を備えている。これにより、受信装置がしっかりと支持されて、振動等の影響を受け難くなる。
【0016】
本発明において、機体中央に対して左右一方側に偏倚する状態で運転部が備えられ、前記フレーム部材は、前記運転部における左右他方側端部に支持されていると好適である。または、本発明において、機体中央に対して左右一方側に偏倚する状態で運転部が備えられ、前記フレーム部材は、前記運転部に対して左右他方側に隣接して設けられていると好適である。
【0017】
これらの構成であれば、門型部材が機体の左右中央領域においてしっかりと支持されるので、門型部材が機体の左右一方側領域に位置する構成と比較して、門型部材の支持構造を簡素化し易い。
【0018】
本発明において、運転部が備えられ、前記第二フレーム部は、前記第一フレーム部と機体左右方向における前記運転部の端部とに連結されるとともに機体左右方向に沿って延びると好適である。
【0019】
本構成であれば、第二フレーム部が門型部材と運転部の端部とを連結する。この構成によって、門型部材が機体の左右方向に振動の力を受ける場合であっても、この左右方向の力が第二フレーム部によって受け止められる。これにより、門型部材は、第二フレーム部が備えられない構成と比較して、機体左右方向に振動し難くなる。
【0020】
本発明において、前記運転部に、運転者が着座するシートと、前記シートの前方に位置して運転操作のための操作具を有するフロントパネルと、が備えられ、前記第二フレーム部は、前記第一フレーム部の下部と、前記フロントパネルの機体横外側端部と、の夫々に連結され、前記第二フレーム部は、前記操作具よりも前側に位置すると好適である。
【0021】
本構成であれば、第一フレーム部の下部と連結されている第二フレーム部は、運転部に対して比較的低い位置に位置することになる。これにより、シートに着座した運転者の視界が第二フレーム部に遮られることが抑制され、運転者が容易に前方を確認できる。また、第二フレーム部が、操作具よりも前側に位置する構成によって、第二フレーム部が運転者の手摺りとしても機能し得る。
【0022】
本発明において、前記第二フレーム部は、前記操作具の上端部よりも下側に位置すると好適である。
【0023】
本構成であれば、第二フレーム部が操作具の上端部よりも下側に位置することによって、シートに着座した運転者は、前方の視界を第二フレーム部に遮られることなく、良好に前方を確認できる。また、本構成であれば、運転者が操作具の上端部を握って操作具を操作する際に、運転者の手が第二フレーム部に当たる虞が軽減され、運転者は第二フレーム部に対して煩わしさを感じ難くなる。
【0024】
本発明において、前記フレーム部材に、前記受信装置を連結支持するステー部が備えられ、前記横搬送部は、前記収納状態のとき、前後に延びるとともに前記測位ユニットよりも機体前側に延出し、前記ステー部は、機体左右方向に沿う左右軸芯まわりに揺動可能に構成されていると好適である。
【0025】
左右旋回可能な横搬送部がホーム位置に収納された収納状態であるとき、横搬送部は前後方向に沿って延びる姿勢となる場合が多い。本構成であれば、ステー部は、左右軸芯まわりに、前後に揺動する。これにより、ステー部及び受信装置が、横搬送部と当接しにくくなる。従って、測位ユニットを第一状態と第二状態との間で状態変更する際に、測位ユニットと横搬送部との干渉が抑制される。
【0026】
本発明において、前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記ステー部は、前記第二フレーム部よりも上方に立ち上がり、前記測位ユニットは、前記ステー部が前倒れ方向に揺動することによって、前記第二状態から前記第一状態に状態変更可能なように構成されていると好適である。
【0027】
ステー部の後方にはコンバインの構成部品等が存在する場合が多いが、ステー部の前方は、ステー部の後方よりも空間が確保され易い。本構成であれば、測位ユニットは、コンバインの構成部品等と干渉せずに、第一状態と第二状態とに状態変更可能となる。
【0028】
本発明において、前記フレーム部材に、前記第一フレーム部と前記第二フレーム部とを連結する連結部が備えられ、前記連結部に、前記第一フレーム部に連結される第一支持部、及び、前記第一支持部よりも後上方に位置するとともに前記第二フレーム部に連結される第二支持部が備えられ、前記測位ユニットが前記第二状態のとき、前記第一支持部は、前記ステー部と当接して前記ステー部の後方への揺動を規制し、前記測位ユニットが前記第一状態のとき、前記第二支持部は、前記ステー部と当接して前記ステー部の前記前倒れ方向への揺動を規制すると好適である。
【0029】
本構成によって、測位ユニットの第一状態及び第二状態が安定して維持される。
【0030】
本発明において、前記第二フレーム部は、機体側面視において、前記収納状態の前記横搬送部と重複すると好適である。
【0031】
本構成であれば、第二フレーム部が比較的高い位置に配置されるので、測位ユニットが第二状態のときに比較的高い位置に位置する受信装置を安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図3】運転部及び測位ユニットを示す機体右側面図である。
【
図4】運転部及び測位ユニットを示す機体正面図である。
【
図5】測位ユニットにおけるステー部の揺動基端部を示す機体左側面図である。
【
図6】測位ユニットにおけるステー部の揺動基端部を示す
図5のVI-VI線図である。
【
図7】測位ユニットにおけるステー部の揺動基端部を示す
図5のVII-VII線図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本実施形態のコンバインについて、自脱型コンバインを例に挙げて説明する。
【0034】
図1はコンバインの左側面図であり、
図2はコンバインの平面図である。ここで、理解を容易にするために、本実施形態では、特に断りがない限り、「前」(
図1に示す矢印「F」の方向)は機体前後方向(走行方向)における前方を意味し、「後」(
図1に示す矢印「B」の方向)は機体前後方向(走行方向)における後方を意味するものとする。また、「上」(
図1に示す矢印「U」の方向)及び「下」(
図1に示す矢印「D」の方向)は、鉛直方向(水平面に垂直な方向)での位置関係であり、地上高さにおける関係を示すものとする。更に、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)を意味する。即ち、「左」(
図2に示す矢印「L」の方向)及び「右」(
図2に示す矢印「R」の方向)は、夫々、機体の左方向及び右方向を意味するものとする。
図3以降の図面においても同様である。
【0035】
〔コンバインの全体について〕
図1に示すように、コンバインの走行機体1は機体フレーム2を備え、機体フレーム2は角パイプ材などの複数の鋼材の連結によって構成されている。機体フレーム2の下部に左右一対のクローラ式の走行装置3が装備されている。走行機体1の前部の右横側部分に、運転部5が備えられている。運転部5の下方にエンジンEが配置されている。エンジンEはエンジンボンネット10によって覆われている。運転部5はエンジンボンネット10の上方に位置する。運転部5はキャビンに覆われておらず、外部に開放される。
【0036】
走行機体1の前部に、刈取部4が昇降可能に設けられている。刈取部4は、走行機体1の前方において複数の植付条の稲や麦の植立穀稈(作物)を引き起こしながら刈り取るとともに、刈り取られた刈取穀稈を機体後方に向けて搬送する。機体フレーム2の後部に、脱穀装置6及び穀粒タンク8が横並び状態で支持されている。脱穀装置6は、刈取部4の後方に配置され、穀粒タンク8は、運転部5の後方に配置されている。脱穀装置6の左側部にフィードチェーン7が設けられ、フィードチェーン7は刈取部4によって刈り取られた刈取穀稈を後方へ挟持搬送する。脱穀装置6において、投入された刈取穀稈の脱穀処理が行われ、脱穀処理によって得られた穀粒と塵埃とを選別する選別処理が行われる。穀粒タンク8は、脱穀処理されて脱穀装置6から搬送された穀粒を貯留する。穀粒タンク8の後部に、穀粒タンク8から穀粒を取り出す穀粒排出装置9が接続されている。穀粒排出装置9は本発明の『搬送装置』に相当する。
【0037】
穀粒排出装置9に、縦搬送部9Aと横搬送部9Bとが備えられている。縦搬送部9Aは、穀粒タンク8の後下部に接続され、穀粒タンク8に貯留された穀粒を縦搬送する。横搬送部9Bは、縦搬送部9Aの上端部に接続され、縦搬送部9Aからの穀粒を横送りする。横搬送部9Bの搬送方向下手側端部に排出口9Cが備えられている。横搬送部9Bは、縦搬送部9Aからの穀粒を排出口9Cへ搬送し、排出口9Cから機外へ排出する。
【0038】
横搬送部9Bは、上下に昇降可能かつ左右に旋回可能に構成されている。
図1及び
図2に示すように、穀粒排出装置9が使用されないとき、横搬送部9Bは、脱穀装置6及び穀粒タンク8よりも上側に位置する状態、かつ、平面視で機体中央部分に跨る状態で、前後に延びる。このときの横搬送部9Bの状態を『収納状態』と称する。また、このときの横搬送部9Bの位置を『ホーム位置』と称する。
【0039】
穀粒排出装置9が使用されるとき、横搬送部9Bは、ホーム位置に収納された収納状態から機体外側に張り出して穀粒排出することが可能である。ここで、機体外側とは、脱穀装置6の左側部よりも左側(機体横外側)、穀粒タンク8の右側部よりも右側(機体横外側)、及び、脱穀装置6及び穀粒タンク8の夫々の後端部よりも後ろ側を意味する。つまり、穀粒排出装置9が使用されるとき、横搬送部9Bは、走行機体1から左右側方または後方へ離れる側へ延びて穀粒タンク8に貯留された穀粒を排出する。
【0040】
本実施形態のコンバインに測位ユニット20が備えられている。測位ユニット20は受信装置21を有する。受信装置21は、人工衛星(不図示)からのGNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム、例えばGPS、GLONASS、Galileo、QZSS、及び、BeiDou等)の信号を受信して、自車位置を取得する。なお、測位ユニット20による衛星航法を補完するために、ジャイロ加速度センサや磁気方位センサを組み込んだ慣性航法ユニット19が備えられている。なお、後述するが、慣性航法ユニット19は、コンバインにおいて測位ユニット20と別の箇所に配置されている。
【0041】
〔運転部〕
運転部5は機体中央に対して機体右側に偏倚する状態で備えられている。
図1~
図4に示すように、運転部5に、シート11と、シート11の前方に位置するフロントパネル12と、シート11の左方に位置するサイドパネル13と、が備えられている。運転部5の中央領域にシート11が設けられ、シート11はエンジンボンネット10の上面部に載置支持されている。シート11に運転者が着座する。前後方向におけるフロントパネル12とシート11との間に、床部15が設けられている。シート11及び床部15の右方に乗降ステップ14が設けられている。サイドパネル13は、運転部5のうち乗降ステップ14の位置する側と反対側に設けられている。
【0042】
フロントパネル12に操向操作レバー16とメータパネル17とが備えられている。操向操作レバー16は、運転操作のための操作具であって、フロントパネル12の右端部に設けられ、シート11の前方に位置している。メータパネル17はフロントパネル12の左右中央部に設けられている。運転部5に搭乗する搭乗者は、操向操作レバー16を操作することによって走行装置3を操向操作できる。メータパネル17に、例えば、走行速度やエンジン回転数、燃料残量等が表示される。また、運転部5に搭乗する搭乗者は、必要に応じてメータパネル17を操作可能であり、搭乗者の操作に応じてメータパネル17の表示項目が変更される。操向操作レバー16は本発明の『操作具』に相当する。
【0043】
また、フロントパネル12の右端部に、サイドミラー31と方向指示器32とアームレスト33とが支持されている。アームレスト33は、操向操作レバー16よりもシート11の位置する側に延出されている。
【0044】
サイドパネル13に、主変速操作レバー18等が備えられている。主変速操作レバー18は、サイドパネル13の前部に配置されている。主変速操作レバー18は、前後方向に揺動操作可能なレバーによって構成されている。運転部5に搭乗する搭乗者は、主変速操作レバー18を操作することによって、主変速装置(不図示)を変速操作できる。
【0045】
また、サイドパネル13の内部において、主変速操作レバー18の揺動支軸の後下方の箇所に慣性航法ユニット19が備えられている。慣性航法ユニット19は、コンバインにおいて測位ユニット20よりも低い箇所に配置されている。このため、慣性航法ユニット19が測位ユニット20と同じ高さに配置される構成と比較して、慣性航法ユニット19はコンバインの振動の影響を受け難い。また、
図2に示すように、慣性航法ユニット19は、機体左右方向において中央領域に位置する。測位ユニット20と慣性航法ユニット19とが前後方向に沿って並んでいる。
【0046】
シート11の後方に箱状の上突出部40が備えられている。上突出部40はエンジンボンネット10の上面部よりも上側に突出する。上突出部40の上面部は、シート11の背もたれ部分の上部に対応する高さに位置する。詳述はしないが、上突出部40の内部に、エンジンEに対する吸気用のエアクリーナや電子制御ユニット(いわゆるECU)等が収容されている。
【0047】
〔測位ユニットについて〕
本実施形態の測位ユニット20に、受信装置21と、門型部材22と、横フレーム部材23と、ステー部材24と、が備えられている。
【0048】
図2に示すように、門型部材22は機体の平面視において前後方向に延びている。横フレーム部材23は門型部材22の前下部と連結され、機体の平面視において横方向に沿って延びている。つまり、測位ユニット20は、門型部材22と、横フレーム部材23と、によって、平面視においてL字状に形成されている。
【0049】
図3に示すように、門型部材22の前上部に連結部材25が備えられている。ステー部材24が連結部材25に揺動可能に支持されている。ステー部材24の遊端部に受信装置21が取り付けられている。つまり、ステー部材24は、連結部材25を介して門型部材22に支持されるとともに受信装置21を連結支持する。
【0050】
門型部材22及び横フレーム部材23は、本発明の『フレーム部材』に相当し、受信装置21を支持する。横フレーム部材23は本発明の『第二フレーム部』に相当する。ステー部材24は本発明の『ステー部』に相当する。連結部材25は本発明の『連結部』に相当する。
【0051】
ステー部材24が上向きに揺動した状態が
図1において実線で示され、このとき、測位ユニット20の状態は第二状態である。また、ステー部材24が下向きに揺動した状態が
図1において破線で示され、このとき、測位ユニット20の状態は第一状態である。測位ユニット20が第一状態のときのステー部材24の角度と、測位ユニット20が第二状態のときのステー部材24の角度と、の角度差は90度または略90度(例えば89~91度)である。
【0052】
図1に示すように、測位ユニット20が第一状態のとき、測位ユニット20の全体が、収納状態における穀粒排出装置9の上端部よりも低い位置に位置する。また、
図1に示すように、測位ユニット20が第二状態のとき、受信装置21が収納状態の横搬送部9Bの上端部よりも高い位置に位置する。ステー部材24は、測位ユニット20が第一状態のときよりも上向きに揺動することによって、測位ユニット20の第二状態を現出する。つまり、測位ユニット20は、測位ユニット20の全体が収納状態の横搬送部9Bの上端部よりも低い位置に位置する第一状態と、測位ユニット20のうち少なくとも受信装置21が第一状態のときよりも高い位置に位置する第二状態と、に状態変更可能なように構成されている。
【0053】
測位ユニット20が第二状態であるとき、測位ユニット20が第一状態である場合における受信装置21の高さと比較して、受信装置21はマルチパス等の影響を受け難くなり、収穫作業時における受信装置21の測位精度が良好になる。また、測位ユニット20が第一状態であると、コンバインを保管する保管庫の天井が低い場合であっても、天井と測位ユニット20との干渉が回避される。
【0054】
測位ユニット20が第二状態のとき、受信装置21は、運転部5よりも前側に位置する。また、測位ユニット20が第二状態のとき、受信装置21は、刈取部4と平面視において重複する状態で、刈取部4の左右幅中心位置に位置する。
【0055】
門型部材22は、機体側面視において門型形状に形成されている。門型部材22は運転部5の左側部に配置されている。門型部材22は、前後フレーム部22a
(第二フレーム部)と、前縦フレーム部22bと、後縦フレーム部22cと、連結部材25と、を有する。詳細に関しては後述するが、前後フレーム部22aの前部と前縦フレーム部22bの上端部とは連結部材25を介して連結されている。前後フレーム部22aは、機体側面視において、収納状態における横搬送部9Bと重複する(
図1参照)。
【0056】
前縦フレーム部22bと後縦フレーム部22cとの夫々は、機体前後方向に並んで立設する。前後フレーム部22aは、前縦フレーム部22bの上端部と後縦フレーム部22cの上端部とに亘って設けられている。つまり、前後フレーム部22aは、前縦フレーム部22bと後縦フレーム部22cとの夫々の上端部に繋がるとともに機体前後方向に沿って延びる。前縦フレーム部22b及び後縦フレーム部22cは、本発明の『第一フレーム部』に相当する。前縦フレーム部22bは、本発明の『第一フレーム部』に相当する。
【0057】
前縦フレーム部22bは、上側ほど機体前側に位置するように傾斜する姿勢(前傾姿勢)で立設されている。前縦フレーム部22bの下端部は、サイドパネル13の前部における左側部にボルト連結されている。換言すると、前縦フレーム部22bは、サイドパネル13の前部における左側部に支持されている。
【0058】
前後フレーム部22aと後縦フレーム部22cとは一体的な部材で構成されており、前後フレーム部22aと後縦フレーム部22cとの境界部分が曲げ形成されている。後縦フレーム部22cは、運転部5の後部における左側部に前傾姿勢で立設されている。後縦フレーム部22cの下端部は、機体の左右方向に沿うように曲げ形成されている。この後縦フレーム部22cの下端部が上突出部40の上面部にボルト連結されている。換言すると、後縦フレーム部22cは上突出部40の上面部に支持されている。このように、門型部材22は、運転部5の左側部に支持されている。換言すると、運転部5は機体中央に対して機体右側に偏倚する状態で備えられ、門型部材22は、運転部5の機体左右中央側端部に支持されている。
【0059】
横フレーム部材23に、水平フレーム部23aと、縦フレーム部23bと、が形成されている。横フレーム部材23は機体の正面視及び背面視においてL字状に形成されている。水平フレーム部23aと縦フレーム部23bとの境界部分が曲げ形成されている。水平フレーム部23aの左端部は、門型部材22における前縦フレーム部22bの下部にボルト連結されている。水平フレーム部23aはフロントパネル12の左右両端に亘って延びている。水平フレーム部23aの右端部から下方に縦フレーム部23bが延びており、縦フレーム部23bにおける上下二箇所がフロントパネル12の右側部にボルト連結されている。このように、横フレーム部材23は、門型部材22における前縦フレーム部22bの下部と、フロントパネル12の機体横外側端部と、の夫々に連結され、機体左右方向に沿って延びる。このように、門型部材22は横フレーム部材23によって強固に支持されている。
【0060】
横フレーム部材23は操向操作レバー16よりも前側に位置する。また、横フレーム部材23は操向操作レバー16の上端部よりも下側に位置する。このため、シート11に着座した運転者は、機体前方の圃場を監視する際に、横フレーム部材23を気にすることなく圃場を確認し易くなる。
【0061】
また、
図2及び
図4に示すように、縦フレーム部23bは、サイドミラー31と方向指示器32とアームレスト33との夫々の支持基端部よりも機体横外側に位置する。特に、縦フレーム部23bは方向指示器32の右側部よりも機体右側に位置する。また、
図3に示すように、縦フレーム部23bは、サイドミラー31とアームレスト33との夫々の支持基端部よりも機体前側に位置する。このため、横フレーム部材23は、サイドミラー31と方向指示器32とアームレスト33との夫々を保護するための保護部材としても兼用される。加えて、横フレーム部材23は、例えば別体の操作装置や表示装置等(例えば自動操舵や自動走行に関する設定ボタン操作具や表示パネル等)を後付けするための部材としても兼用可能である。
【0062】
〔測位ユニットにおける受信装置の揺動支持構造について〕
図5~
図7に基づいて、受信装置21の揺動支持構造を説明する。上述したように、連結部材25は、前後フレーム部22aと前縦フレーム部22bとを連結するとともに、ステー部材24を揺動可能に支持する。
【0063】
連結部材25に、左右の平板部25aと、受け板部25b,25cと、補強板部25dと、が備えられている。左右の平板部25aの間に、受け板部25b,25cと補強板部25dとの夫々が存在する。なお、
図5の機体左側面図では、左の平板部25aが省略されている。
【0064】
受け板部25b,25cの夫々の短手方向(
図5における紙面手前方向及び紙面奥方向)の両側部が左右の平板部25aと溶接されている。補強板部25dは平板状に形成され、短手方向(
図5における紙面手前方向及び紙面奥方向)の両側部が左右の平板部25aと溶接されている。受け板部25bは本発明の『第一支持部』に相当し、受け板部25cは本発明の『第二支持部』に相当する。
【0065】
受け板部25bは、前縦フレーム部22bに連結される。受け板部25bは側面視においてL字状に形成されている。受け板部25bは、上下方向に沿う縦面部分と、当該縦面部分の上端部において前向きに延びる水平面部分と、を有する。前縦フレーム部22bの上端部が受け板部25bの水平面部分と当接し、前縦フレーム部22bの上部における後面部分が受け板部25bの当該縦面部分と当接する。この状態で、前縦フレーム部22bの上部は受け板部25bに溶接固定される。
【0066】
受け板部25cは、受け板部25bよりも後上方に位置するとともに前後フレーム部22aに連結される。受け板部25cは側面視においてL字状に形成されている。受け板部25cは、水平方向に沿う水平面部分と、当該水平面部分の前端部において上向きに延びる縦面部分と、を有する。
【0067】
受け板部25cの水平面部分に二つのボルト孔が形成され、水平面部分のうち二つのボルト孔の夫々に対応する箇所に溶接ナット25Nuが設けられている。また、前後フレーム部22aの前部に二つのボルト孔が形成されている。
【0068】
図5及び
図6に示すように、受け板部25cの水平面部分の上方に前後フレーム部22aの前部が配置され、受け板部25cの水平面部分と前後フレーム部22aの前部との間に受け板26が介在する。前後フレーム部22aの前部における上方と下方との夫々に受け板26が当接する。夫々の受け板26に二つのボルト孔が形成されている。
【0069】
受け板部25cと、前後フレーム部22aの前部と、二つの受け板26と、は夫々における二つのボルト孔が平面視において重複するように配置される。この状態で、二つのボルトが、受け板部25cと、前後フレーム部22aの前部と、二つの受け板26と、の夫々のボルト孔を貫通し、溶接ナット25Nuに締結される。これにより、前後フレーム部22aが連結部材25にボルト固定される。
【0070】
図3~
図5に示すように、ステー部材24は、パイプ部24aとチャンネル部24bと板部24cとハンドル部24dとを有する。パイプ部24aは、断面視において中空の円形状に形成されている(
図6参照)。パイプ部24aは、ステー部材24の揺動基端部と遊端部とに亘って延びている。パイプ部24aの揺動基端部にチャンネル部24bが溶接によって連結されている。チャンネル部24bは断面視においてチャンネル状、即ちU字状に形成されている(
図6参照)。また、パイプ部24aの揺動基端部にハンドル部24dが溶接によって連結されている。ハンドル部24dはチャンネル部24bよりも遊端側に位置する。パイプ部24aの遊端部に板部24cが溶接によって連結されている。板部24cに受信装置21がボルト固定されている。
【0071】
図4に示すように、板部24cはパイプ部24aに対して運転部5の位置する側に偏倚する。板部24c及び受信装置21は、
図4に示す正面視(機体前後方向視)において、サイドパネル13、すなわち運転部5の上方に位置する。板部24c及び受信装置21は、機体左右方向において中央領域に位置する(
図2参照)。
【0072】
チャンネル部24bにおける断面視U字状の両側面部に、揺動支持ピン27を貫通するための孔部が形成されている。また、左右の平板部25aの夫々に、揺動支持ピン27を貫通するための孔部が形成されている。
図5~
図7に示すように、揺動支持ピン27は、左右の平板部25aの夫々に形成された孔部と、チャンネル部24bにおける断面視U字状の両側面部に形成された孔部と、を貫通する。揺動支持ピン27の一端部に頭部が形成され、揺動支持ピン27の一端部が左右の平板部25aの一方に係止する。また、揺動支持ピン27の他端部は、スナップピン27aによって左右の平板部25aの他方に係止する。これにより、ステー部材24は、左右の平板部25aとチャンネル部24bとの夫々の孔部を貫通する揺動支持ピン27を軸芯として、揺動可能である。すなわち、ステー部材24は、機体左右方向に沿って延びる揺動支持ピン27まわり(左右軸芯まわり)に揺動可能に構成されている。
【0073】
図1及び
図2に示すように、横搬送部9Bの前端部(遊端部)は、ホーム位置に位置する収納状態のとき、測位ユニット20よりも前側に位置する。換言すると、横搬送部9Bは、収納状態のとき、前後に延びるとともに測位ユニット20よりも機体前側に延出している。本実施形態における測位ユニット20は、ステー部材24が前倒れ方向に揺動することによって、第二状態から第一状態に状態変更可能なように構成されている。これにより、測位ユニット20は、第一状態と第二状態との何れのときにも、横搬送部9Bとの当接を回避できる。
【0074】
図6及び
図7に示すように、チャンネル部24bにおける断面視U字状の一方の側面部に、ノブボルト28を締結するための二つの孔部24iが穿孔され、チャンネル部24bのうち孔部24iの位置する箇所に溶接ナット24Nuが設けられている。また、
図5~
図7に示すように、左右の平板部25aの一方に、ノブボルト28を貫通させるための二つの孔部25iと二つの孔部25jとが形成されている。二つの孔部25iは上下方向に沿って並んでおり、二つの孔部25jは水平方向に沿って並んでいる。
【0075】
図5において破線で示すように、測位ユニット20が第一状態のとき、ステー部材24は前方に倒伏しており、この状態においてチャンネル部24bと受け板部25cとが当接する。即ち、測位ユニット20が第一状態のとき、受け板部25cは、ステー部材24と当接してステー部材24の前倒れ方向への揺動を規制する。この状態において、ノブボルト28が平板部25aの孔部25jを貫通し、溶接ナット24Nuに締結される。これにより、ステー部材24が倒伏した状態、即ち測位ユニット20の第一状態が保持される。
【0076】
図5において実線で示すように、測位ユニット20が第二状態のとき、ステー部材24は前後フレーム部22aよりも上側に立ち上がっており、この状態においてチャンネル部24bと受け板部25bとが当接する。即ち、測位ユニット20が第二状態のとき、受け板部25bは、ステー部材24と当接してステー部材24の後方への揺動を規制する。この状態において、ノブボルト28が平板部25aの孔部25iを貫通し、溶接ナット24Nuに締結される。これにより、ステー部材24が前後フレーム部22aよりも上側に立ち上がった状態、即ち測位ユニット20の第二状態が保持される。
【0077】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0078】
(1)上述の実施形態において、運転部5は機体右側に偏倚した状態で設けられ、門型部材22は、運転部5における左側端部に支持されている。この実施形態に限定されず、例えば、運転部5は機体左側に偏倚した状態で設けられ、門型部材22は、運転部5における右側端部に支持されても良い。つまり、運転部5は機体左右一方側に偏倚した状態で設けられ、門型部材22は、運転部5における左右他方側端部に支持されても良い。あるいは、門型部材22は、運転部5に支持されない構成であっても良い。この場合、運転部5は機体左右一方側に偏倚した状態で設けられ、門型部材22は、運転部5よりも機体左右中央寄りに位置する状態で運転部5に隣接して設けられる構成であっても良い。換言すると、機体中央に対して左右一方側に偏倚する状態で運転部5が備えられ、門型部材22は、運転部5に対して左右他方側に隣接して設けられている構成であっても良い。
【0079】
(2)横フレーム部材23は、運転部5の左右に亘って延びる構成でなくても良く、運転部5の左端部に連結される構成であっても良い。即ち、横フレーム部材23は、門型部材22と機体左右方向における運転部5の端部とに連結される構成であって良い。
【0080】
(3)本発明の『第一フレーム部』は、前縦フレーム部22b及び後縦フレーム部22cの他にも設けられる構成であっても良い。即ち、門型部材22は、機体前後方向に並んで立設する複数の縦フレーム部を有する構成であって良い。
【0081】
(4)上述の実施形態において、横フレーム部材23は、操向操作レバー16の上端部よりも下側に位置する。この実施形態に限定されず、例えば、横フレーム部材23は、操向操作レバー16の上端部よりも上側に位置しても良い。例えば、横フレーム部材23の縦フレーム部23bが、前後フレーム部22aの高さ位置に相当する高さまで延び、かつ、横フレーム部材23の水平フレーム部23aが、前後フレーム部22aの高さ位置に相当する高さ位置において機体の横方向に沿って延びる構成であっても良い。
【0082】
(5)上述の実施形態における測位ユニット20は、ステー部材24が前倒れ方向に揺動することによって、第二状態から第一状態に状態変更可能なように構成されている。この実施形態に限定されず、例えば、測位ユニット20は、ステー部材24が後倒れ方向に揺動することによって、第二状態から第一状態に状態変更可能なように構成されても良い。また、測位ユニット20は、ステー部材24が左右方向において運転部5の位置する側へ揺動することによって、第二状態から第一状態に状態変更可能なように構成されても良い。加えて、横搬送部9Bや他の機器等と当接しない構成であれば、測位ユニット20は、ステー部材24が左右方向において運転部5の位置する側と反対側へ揺動することによって、第二状態から第一状態に状態変更可能なように構成されても良い。
【0083】
(6)上述の実施形態において、測位ユニット20が第二状態のとき、受信装置21は、刈取部4と平面視において重複する。この実施形態に限定されず、例えば、測位ユニット20が第二状態のとき、受信装置21は、平面視において運転部5(例えばフロントパネル12やサイドパネル13等)と重複する構成であっても良い。
【0084】
(7)
図1に基づいて上述した実施形態において、前後フレーム部22aは、機体側面視において、収納状態における横搬送部9Bと重複する。この実施形態に限定されず、例えば、前後フレーム部22aは、収納状態における横搬送部9Bよりも下側に位置しても良い。
【0085】
(8)上述の実施形態においては、測位ユニット20が第一状態のとき、測位ユニット20の全体が、収納状態における穀粒排出装置9の上端部よりも低い位置に位置する。測位ユニット20が第一状態のとき、測位ユニット20の略全体が収納状態における穀粒排出装置9の上端部よりも低い位置に位置するように、測位ユニット20が構成されてもよい。すなわち、コンバインの保管の妨げにならない程度に、測位ユニット20における上部が収納状態における穀粒排出装置9の上端部よりも高い位置に位置する形態も可能である。
【0086】
(9)上述の実施形態においては自脱型のコンバインを例示したが、全稈投入型のコンバイン(いわゆる普通型コンバイン)であっても良い。
【0087】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、コンバインに適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
4 :刈取部
5 :運転部
6 :脱穀装置
8 :穀粒タンク
9 :穀粒排出装置(搬送装置)
9A :縦搬送部
9B :横搬送部
9C :排出口
11 :シート
12 :フロントパネル
16 :操向操作レバー(操作具)
20 :測位ユニット
21 :受信装置
22 :門型部材(フレーム部材)
22a :前後フレーム部(フレーム部材、第二フレーム部)
22b :前縦フレーム部(フレーム部材、第一フレーム部)
22c :後縦フレーム部(フレーム部材、第一フレーム部)
23 :横フレーム部材(フレーム部材、第二フレーム部)
24 :ステー部材(ステー部)
25 :連結部材(連結部)
25b :受け板部(第一支持部)
25c :受け板部(第二支持部)