(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150680
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】開封検知シート、包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 75/54 20060101AFI20231005BHJP
A61J 1/03 20230101ALI20231005BHJP
G01R 31/50 20200101ALI20231005BHJP
A61J 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65D75/54
A61J1/03 370
G01R31/50
A61J7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059903
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(71)【出願人】
【識別番号】000231626
【氏名又は名称】株式会社UACJ製箔
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久弥
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小石川 敦史
(72)【発明者】
【氏名】前田 大洋
【テーマコード(参考)】
2G014
3E067
4C047
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AB59
2G014AC15
2G014AC19
3E067AA11
3E067AB82
3E067AC04
3E067AC12
3E067BA25A
3E067BB14A
3E067BC07A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA36
3E067EB19
3E067EB29
3E067FA01
3E067FB04
3E067FC01
3E067GD07
4C047AA25
4C047CC15
4C047CC16
4C047GG22
(57)【要約】
【課題】誤破断を抑制可能な開封検知シート、及びこれを備える包装材を実現する。
【解決手段】複数の収容部22を有する包装材20に貼り付けられる開封検知シート30は、基材層31と、基材層31上に設けられ、複数の配線経路32A-32Jを有する回路パターン32と、を備える。複数の配線経路32A-32Jは、収容部22毎に設けられ、各配線経路32A-32Jの一方の端部側には、外部機器と接続される第1端子部32Z1が設けられている。第1端子部32Z1は、異なる配線経路32A-32Jにおいて同じ位置に設けられている。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収容部を有する包装材に貼り付けられる開封検知シートであって、
基材層と、
前記基材層上に設けられ、複数の配線経路を有する回路パターンと、を備え、
前記複数の配線経路は、前記収容部毎に設けられ、
前記各配線経路の一方の端部側には、外部機器と接続される第1端子部が設けられ、
前記第1端子部は、異なる前記配線経路において同じ位置に設けられている開封検知シート。
【請求項2】
前記各配線経路は、前記第1端子部から所定の方向に沿って延在し、異なる前記配線経路で同一の経路である共通配線経路を含んでいる請求項1に記載の開封検知シート。
【請求項3】
前記第1端子部は、全ての前記配線経路について同じ位置に設けられており、
前記共通配線経路は、全ての前記配線経路で同一の経路である請求項2に記載の開封検知シート。
【請求項4】
前記各配線経路の他方の端部側には、外部機器と接続される第2端子部が設けられており、
前記第2端子部は、前記配線経路毎に設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の開封検知シート。
【請求項5】
前記第2端子部は、前記配線経路毎に異なる位置に設けられている請求項4に記載の開封検知シート。
【請求項6】
前記基材層は、平面視で矩形状をなしており、
前記第1端子部及び前記第2端子部は、前記矩形状を構成する一辺側に設けられている請求項4または請求項5に記載の開封検知シート。
【請求項7】
前記基材層は、細長の矩形状をなしており、
前記第1端子部及び前記第2端子部は、前記矩形状を構成する一短辺側に設けられている請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の開封検知シート。
【請求項8】
前記配線経路の長さは、前記一短辺からの距離が大きい前記収容部に設けられた前記配線経路ほど大きい請求項7に記載の開封検知シート。
【請求項9】
前記各配線経路は、第1端子部から前記第2端子部に至る略U字状をなしている請求項7または請求項8に記載の開封検知シート。
【請求項10】
前記収容部を密閉する蓋材と、
前記蓋材に貼り付けられる請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の開封検知シートと、を備え、
前記収容部内の被収容物は、前記蓋材及び前記開封検知シートが押し破られることによって取り出し可能とされる包装材。
【請求項11】
前記各配線経路は、前記複数の収容部の何れか一つの中心と平面に視て重なっている請求項10に記載の包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、開封検知シート、及び包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤等を収容する収容部を備える包装材(例えばプレススルーパッケージ(PTP))において、収容部の開封を検知する技術が知られており、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の包装材は、複数の収容部と、回路パターンが形成された開封検知シートとを備える。被収容物が収容部から取り出されると、開封検知シートの回路パターンが破断され、この破断を外部の開封検知器によって検知することで、収容部の開封が検知される仕組みとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開封検知シートの回路パターンは、収容部毎の開封検知が可能となるように、収容部毎に異なる配線経路となるように形成されている。従って、収容部の数が増えるほど、回路パターンの配線経路数は増大することとなる。例えば錠剤用のPTPは一般に、10個以上の収容部を有するため、回路パターンの配線経路も10個以上が必要となる。しかしながら、配線経路数を増やすと、収容部を開封する際に、当該収容部の開封検知用ではない別の配線経路が誤って破断されやすくなってしまう。一方、誤破断を抑制するために配線経路の間隔を大きくすると、開封検知シートの平面サイズを大きくせざるを得ないのが実情である。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、誤破断を抑制可能な開封検知シート、及びこれを備える包装材を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
【0007】
<1>複数の収容部を有する包装材に貼り付けられる開封検知シートであって、基材層と、前記基材層上に設けられ、複数の配線経路を有する回路パターンと、を備え、前記複数の配線経路は、前記収容部毎に設けられ、前記各配線経路の一方の端部側には、外部機器と接続される第1端子部が設けられ、前記第1端子部は、異なる前記配線経路において同じ位置に設けられている開封検知シート。
【0008】
<2>前記各配線経路は、前記第1端子部から所定の方向に沿って延在し、異なる前記配線経路で同一の経路である共通配線経路を含んでいる上記<1>に記載の開封検知シート
。
【0009】
<3>前記第1端子部は、全ての前記配線経路について同じ位置に設けられており、前記共通配線経路は、全ての前記配線経路で同一の経路である上記<2>に記載の開封検知シート。
【0010】
<4>前記各配線経路の他方の端部側には、外部機器と接続される第2端子部が設けられており、前記第2端子部は、前記配線経路毎に設けられている上記<1>から<3>のいずれか1つに記載の開封検知シート。
【0011】
<5>前記第2端子部は、前記配線経路毎に異なる位置に設けられている上記<4>に記載の開封検知シート。
【0012】
<6>前記基材層は、平面視で矩形状をなしており、前記第1端子部及び前記第2端子部は、前記矩形状を構成する一辺側に設けられている上記<4>または<5>に記載の開封検知シート。
【0013】
<7>前記基材層は、前記基材層は、細長の矩形状をなしており、前記第1端子部及び前記第2端子部は、前記矩形状を構成する一短辺側に設けられている上記<4>から<6>のいずれか1つに記載の開封検知シート。
【0014】
<8>前記配線経路の長さは、前記一短辺からの距離が大きい前記収容部に設けられた前記配線経路ほど上記<7>に記載の開封検知シート。
【0015】
<9>前記各配線経路は、第1端子部から前記第2端子部に至る略U字状をなしている上記<7>または<8>に記載の開封検知シート。
【0016】
<10>前記収容部を密閉する蓋材と、前記蓋材に貼り付けられる上記<1>から<9>のいずれか1つに記載の開封検知シートと、を備え、前記収容部内の被収容物は、前記蓋材及び前記開封検知シートが押し破られることによって取り出し可能とされる包装材。
【0017】
<11>前記各配線経路は、前記複数の収容部の何れか一つの中心と平面に視て重なっている上記<10>に記載の包装材。
【発明の効果】
【0018】
本技術によれば、誤破断を抑制可能な開封検知シート、及びこれを備える包装材を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図5】第2筐体が上方に変位した開封検知器の斜視図
【
図11】第2筐体が上方に変位した開封検知器の斜視図
【
図12】
図11の第1突出部及び第2突出部付近を拡大した斜視図
【
図14】包装材の本体部の断面図(
図13のIII-III線断面図)
【
図23A】開封管理システムの処理を示すフローチャート
【
図23B】開封管理システムの処理を示すフローチャート
【
図24A】開封管理システムの処理を示すフローチャート
【
図24B】開封管理システムの処理を示すフローチャート
【
図25】実施形態2に係る開封管理システムの概略図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
実施形態1に係る開封管理システム10を
図1から
図24Bを参照して説明する。一部の図には、X軸、Y軸、及びZ軸を示しており、各軸方向が各図で共通した方向となるように描かれている。また、X軸、Y軸、及びZ軸に沿う方向をそれぞれ左右方向、前後方向、及び上下方向とする。ただし上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0021】
開封管理システム10は、錠剤の医薬品T(被収容物の一例)を収容する包装材20の開封状態に基づいて、医薬品Tの服薬を管理するためのシステムである。本実施形態では開封管理システム10として医薬品用の開封管理システムについて例示するが、被収容物は医薬品T以外であっても構わず、開封管理システム10は包装材の開封管理に広く適用可能である。開封管理システム10は、
図1に示すように、包装材20に取り付けられる開封検知器40と、管理サーバー(アプリケーションサーバー)60と、情報処理端末70とを備える。管理サーバー60及び情報処理端末70は、通信網80に接続されている。
【0022】
開封検知器40は、
図1に示すように、包装材20毎に1台ずつ取り付けられる。開封検知器40は、低消費電力広域無線通信(LPWA,Low Power Wide Area)を介して通信網80に接続される。LPWAは、消費電力を抑えて長距離伝送を実現する無線通信であり(例えば送信電力1W以下で伝送距離10km以上)、IoT(Internet of Things)の基盤技術としても知られている。LPWAの通信サービスは、複数の通信事業者から提供されており、例えばsigfox(登録商標)、LoRa(登録商標)、NB-IoTが挙げられる。開封検知器40は、LPWA用の基地局85と無線接続されており、基地局85はLPWA用の通信サーバー(LPWAクラウドサーバー)86と接続されている。また通信サーバー86は、通信網80に接続されている。従って開封検知器40は、通信サーバー86を介して、通信網80に接続される管理サーバー60と通信可能となっている。開封検知器40は固有のID情報を有しており、管理サーバー60は各開封検知器40と通信可能である。
【0023】
なお開封検知器40は、管理サーバー60、又は情報処理端末70の少なくとも一方と通信接続されていればよく、開封検知器40の通信手段としてLPWA以外の通信技術が採用されていても構わない。例えばBLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))等の低消費電力の無線通信技術が好ましいが、より一般的なWi-FiやLTE等であっても構わない。
【0024】
情報処理端末70は、
図1に示すように、スマートフォンやコンピュータ等の汎用の情報処理装置である。情報処理端末70は、患者の他、医薬品Tを処方した病院や薬局の医療従事者等が使用することを想定しているが、使用者は特に限定されない(以下、情報処理端末70の使用者を単にユーザーとする)。情報処理端末70は複数台設けられ、各台を異なるユーザーが用いても構わない。情報処理端末70は、ユーザーが医薬品Tの服薬時刻等の登録情報を入力したり、医薬品Tの開封状態を表示したりするためのプログラムを実行する。当該プログラムは、本実施形態ではアプリケーション・ソフトウエア(以下、アプリとする)として情報処理端末70にインストールされているものとするが、インストールされておらず、例えばブラウザソフトウェアを通じて実行されても構わない。情報処理端末70は、開封管理システム10における入力手段、及び表示手段を具現化しており、これにより開封検知器40にこれらの機能が必須とされない。これにより開封検知器40を小型化でき、開封検知器40の消費電力を抑制できる。
【0025】
管理サーバー60は、情報処理端末70、又は開封検知器40からの要求に対して情報や処理結果を提供する。管理サーバー60は、これらの機能を実現するプログラムを実行するサーバー機能の実現手段を指すものとする。本実施形態では、管理サーバー60は
図1に示すようなサーバー用コンピュータとして例示するが、分散コンピューティング等を用いてネットワーク空間上に仮想的に存在しているものであっても構わない。また管理サーバー60は、人工知能によって処理を行うものであっても構わない。
【0026】
管理サーバー60は、
図1に示すように、通信網80と接続するための交信部61と、情報生成部62とを少なくとも備える。管理サーバー60は、交信部61によって情報処理端末70と通信可能であると共に、通信サーバー86を介して開封検知器40と通信可能である。情報生成部62は、情報処理端末70からの登録情報に基づいて開封検知器40に開封検知に関する所定処理を行わせるための設定情報を生成する。管理サーバー60の処理については詳しく後述する。
【0027】
開封検知器40は、
図2から
図4に示すように、複数(本実施形態では12つ)の接続部41と、LPWA用の通信モジュール42と、LED45(報知部の一例)と、リセットボタン46(操作部の一例)と、充電池47(電源部の一例)と、基板49と、筐体50とを備える。基板49は、接続部41と、通信モジュール42と、LED45と、リセットボタン46と、充電池47に外部電源を接続するためのコネクタ挿入部37Aとを実装する。筐体50は、各部が実装された基板49、及び充電池47を収容すると共に、包装材20を着脱可能に挟んで保持する取付部を兼ねている。
【0028】
接続部41は、
図4に示すように、支持体41Aと、接触子41Bとを備える。支持体41Aは、基板49に設置されており、本実施形態では略円柱状をなしているが、その形状は限定されない。接触子41Bは、支持体41Aの上面(基板49と反対側の面)から上方に突出しており、少なくともその突出端が導電性を有する。開封検知器40に包装材20が取り付けられたとき(
図2)、接触子41Bは、包装材20の後述する回路パターン32と接触して導通する。
【0029】
通信モジュール42は、
図4に示すように、通信部43(具体的にはアンテナ)、制御部44(具体的にはマイクロコンピュータ)、及び記憶部48(具体的にはROM及びRAM)を含んでいる。通信部43は、基地局85と無線接続されており、通信サーバー86を介して管理サーバー60と通信可能である。記憶部48には、開封検知器40の制御プログラム、ID情報等が記憶されている。
【0030】
制御部44は、記憶部48の制御プログラム、及び管理サーバー60から送信された設定情報に基づいて開封検知器40の各部を制御する。また制御部44は、計時機能を有するタイマーを含むと共に、包装材20の開封検知を行う検知部も兼ねている。制御部(検知部)44は、接続部41に電流を流し、包装材20の回路パターン32に生じる電圧を検出する。そして制御部44は、検出された電圧値を所定閾値と比較し、閾値以下であれば回路パターン32が破断されておらず未開封状態と判定し、閾値より大きければ回路パターン32が破断されている開封状態と判定する。制御部44は、破断によって変化する回路パターン32の抵抗値に基づいて開封状態を判断すればよく、所定電圧を印可した場合の電流値に基づいて開封状態を判断してもよい。
【0031】
LED45は、制御部44の検知結果(判定結果)が未開封状態の場合に所定パターンで点灯(点滅)することで服薬忘れを報知する。またLED45は、開封検知器40が外部電源に接続された際等にも点灯する。LED45は筐体50に内蔵されており、LED45の発光は筐体50を透過するようになっている。より詳しくは、筐体50はLED45の発光が透過可能な材質、及び厚さに形成されている。なお、LED45は報知部の一例に過ぎず、報知部はLED以外の発光手段、ブザー等の発音手段、メッセージを表示する表示手段等であっても構わず、またこれらの組み合わせであっても構わない。
【0032】
筐体50は、樹脂材料製であり、
図3及び
図5に示すように、丸みを帯びた横長の直方体状をなしている。筐体50は、第1筐体51と、第2筐体52とを備える。第1筐体51は、筐体50の大部分を占める部分であって、前側上部が窪んでいる。第2筐体52は、第1筐体51の前側上部の窪みを覆う蓋体である。第2筐体52は、上下方向(Z軸方向)に変位可能に第1筐体51に取り付けられている。包装材20は、第2筐体52が変位することで、
図2に示すように、第1筐体51と第2筐体52との間に挟み込まれて保持される。換言すると、筐体50は包装材20の取付部として、第1筐体51及び第2筐体52から構成される挟持構造を備えている。以下、筐体50の各部について詳しく説明するが、
図2以外においては、筐体50の構造を明示するために包装材20の図示は省略する。
【0033】
第1筐体51は、
図5から
図8に示すように、上方に開口するトレー状の底部51Aと、底部51Aの開口を上方から覆う上部51Bとを有する。底部51Aは、充電池47を収容しており、充電池47の上には基板49が載置されている。また基板49の上方は、上部51Bに覆われている。上部51Bには、基板49に設置された接続部41が貫通する貫通孔51B1が設けられており、接続部41の接触子41Bは、貫通孔51B1から突出して外部に露出している(
図6、
図11)。
【0034】
第1筐体51の底部51Aには、
図7から
図9に示すように、後述する第2筐体52の2つの係合部52Bにそれぞれ連通する2つの第1連通孔51Cが設けられている。第1連通孔51Cは、係合部52Bに平面視で重なるように設けられている。また、第1筐体51の底部51Aのうち、第1連通孔51Cの開口縁の一部は上方に突出しており、その突出端には突起51A1が形成されている。突起51A1は、第2筐体52の係合部52Bの凸部52B1と係合(嵌合)する(
図7、
図8)。
【0035】
また底部51Aの前面には、
図5に示すように、合わせマーク51A2(位置合わせ部の一例)が設けられている。本実施形態では、合わせマーク51A2は、底部51Aの前面において左右方向(X軸方向)の中央位置に凸部として形成されている。合わせマーク51A2は、包装材20の所定位置(例えば包装材20の回路パターン32の端部32A)と位置合わせするための指標となる。これにより、開封検知器40に包装材20を取り付ける際の位置合わせが容易になり、包装材20の回路パターン32と開封検知器40の接触子41Bを確実に接触させ、導通できるようになる。
【0036】
また第1筐体51の右側部には、
図5に示すように、コネクタ挿入部37Aにコネクタを挿入するための挿入孔51Dが設けられ、第1筐体51の背面には、
図10に示すように、リセットボタン46が位置する空間に連通する第2連通孔51Eが設けられている。外部から操作ピン等を第2連通孔51Eに挿入し、リセットボタン46を押すことで、制御部44に初期状態に戻すリセット処理を行わせることができる。
【0037】
第2筐体52は、
図7から
図8、
図11から
図12に示すように、蓋部52Aと、2つの係合部52Bと、2つの第1突出部52Cと、第2突出部52Dとを備える。蓋部52Aは、接触子41Bが露出している部分の上方に延在している。蓋部52Aは、接触子41Bを上方から覆う天井壁部52A1と、接触子41Bを右方から覆う右側壁部52A2(位置合わせ部の別の一例)とを備える。蓋部52Aは、接触子41Bを前方及び左方からは覆っておらず、前方及び左方に開口する略L字状の開口52A3を有する。蓋部52Aに右側壁部52A2、及び開口52A3を設けることで、包装材20を取り付ける際に、包装材20を開口52A3から挿入し、右側壁部52A2に突き当たる接触状態で位置合わせできるようになる。また、蓋部52Aの左方は開口52A3によって開放されているため、大きさ(短辺方向の長さ)が異なる包装材20に対しても適用可能となる。
【0038】
係合部52Bは、
図7から
図8に示すように、蓋部52Aから下方に延出し、第1筐体51の底部51Aと係合(嵌合)する。係合部52Bの延出端には凸部52B1が形成されており、凸部52B1が底部51Aの突起51A1と係合するようになっている。係合部52Bは、凸部52B1が突起51A1の下側に位置する時(
図7、以下、第1位置とする)、第2筐体52が下方に変位した状態であって、第1筐体51と第2筐体52との間に包装材20が挟まれて保持される挟持状態となる。一方、係合部52Bは、凸部52B1が突起51A1の上側に位置する時(
図8、以下、第2位置とする)、第2筐体52が上方に変位した状態であって、第1筐体51と第2筐体52との間に包装材20が保持されない非挟持状態となる。係合部52Bは、第1位置及び第2位置のいずれにおいても、第1筐体51の底部51Aと係合して連結している。
【0039】
係合部52Bは、蓋部52Aが上から下方向に押されると、凸部52B1が突起51A1の上側から下側に滑り落ち、第2位置から第1位置へ変位する。また、係合部52Bは、外部から操作ピン等を第1連通孔51Cに通し、操作ピン等によって凸部52B1を操作すると、第1位置から第2位置へ変位する。より詳しくは、
図9に示すように、底部51Aが上方となるように開封検知器40を配置し、その状態で外部から操作ピン等を第1連通孔51Cに通し、凸部52B1を左右方向(例えば
図7の白抜き矢線の方向)に動かしながら凸部52B1を下方向(上部51B側)に押すと、凸部52B1は突起51A1の斜面51A1Sに沿って摺動する。これにより、係合部52Bは第1位置から第2位置へ容易に変位する。このようにすれば、包装材20を挟持状態(第1位置)から非挟持状態(第2位置)へ変更するには、操作ピン等を用いて凸部52B1を動かす必要があり、手等で直接操作できないため、誤操作を抑制しやすくなる。また挟持状態においては、包装材20をより安定的に保持できるようになる。さらに非挟持状態(第2位置)においては、突起51A1の斜面51A1Sは凸部52B1に覆われているため、外部から操作ピン等を使って凸部52B1を変位させ、第2筐体52を第1筐体51から完全に取り外すことは困難となる。これにより第2筐体52は、第1筐体51に対して上下方向(Z軸方向)に変位可能であって、かつ完全には取り外せないように連結されている。なお、第1連通孔51Cが係合部52Bに連通するとは、挟持状態において係合部52Bが存在する空間(第1位置)に第1連通孔51Cが連通することを意味する。
【0040】
第1突出部52Cは、柔軟性を有する軟質材料からなり、
図11及び
図12に示すように、蓋部52Aから下方に突出するように設けられている。第1突出部52Cは、横長の直方体状をなし、左右方向(X軸方向)について間隔を空けて2つ設けられている。第2突出部52Dは、硬質材料からなり、先端先細の棒状をなし、2つの第2突出部52Dの間に設けられている。包装材20が開封検知器40に取り付けられると(
図2)、第1突出部52Cの突出面(下面)、及び第2突出部52Dの先端は、包装材20の本体部21の表面に圧接される。
【0041】
第1突出部52C、及び第2突出部52Dを設けることで、包装材20を挟んで保持する際に、保持力を向上できるようになる。第1突出部52C、及び第2突出部52Dは、包装材20の回路パターン32とは接触せず非導通であるため、保持力を向上できる一方、開封検知には影響を与えない。なお、第1突出部52C及び第2突出部52Dは、滑り止め効果によって保持力を向上できれば、材質や形状は適宜変更可能であり、例えば、弾性材料、粘着材料、高摩擦材料等から形成されていてもよい。また、第1突出部52C及び第2突出部52Dは、両方ではなく、いずれか一方のみが設けられていても構わない。
【0042】
上記した構成の筐体50によれば、別途の固定具を用いることなく、開封検知器40と包装材20とを容易、かつ強固に取付けできる。また、第2筐体52が変位することで、着脱機能を容易に実現できる。
【0043】
次に、包装材20について
図13から
図22を参照して詳しく説明する。包装材20は、
図13に示すように、錠剤の医薬品Tを収容する本体部21と、本体部21に貼り付けられる開封検知シート30とを備える。本体部21は、PTP(プレススルーパッケージ)であり、
図14に示すように、医薬品Tが収容される収容部22が設けられたシート状容器23と、蓋材24とを備える。蓋材24は、シート状容器23に貼り付けられて収容部22の開口22Aを覆い、収容部22を密閉している。本体部21の平面形状は、矩形状(長方形状)をなしており、開封検知シート30もこれに倣う平面形状をなしている。また、開封検知シート30の平面サイズは、本体部21全体を覆うことが可能な大きさとされ、本実施形態では両者の平面サイズは実質的に同一である。
【0044】
シート状容器23には、
図13及び
図14に示すように、蓋材24と反対側に窪んだ収容部22が複数形成されている。シート状容器23は、樹脂等からなる平板シートが所定形状に加工されて形成されている。各収容部22の平面形状は、医薬品Tの形状に倣っている。本実施形態では、各収容部22は平面に視て円形状をなしており、収容部22が長手方向(Y軸方向)に所定の間隔で5個ずつ、短手方向(X軸方向)に所定の間隔で2個ずつ、計10個形成されている。また、長手方向に5個ずつ並ぶ収容部22は、シート状容器23の一方の短辺23A寄りに形成されている。これにより、シート状容器23の他方の短辺23Bと収容部22との間には、一方の短辺23Aと収容部22との間に比べて幅広な余白領域23Sが形成されている。余白領域23Sは、既知のPTPにおいて医薬品T等の名称を印刷したり、掴み代として用いられていることが一般的である。
【0045】
蓋材24は、平坦なシート状部材であって、プレススルー可能な素材からなる。蓋材24のうち収容部22の開口22Aを覆っている部分以外は、シート状容器23に貼り合わされている。蓋材24は、
図14に示すように、例えば熱封緘性接着層25、アルミニウム箔26、オーバーコート層28がシート状容器23側から順に積層された構成とされるが、層構成は限定されない。熱封緘性接着層25は、PTP用の既知の熱接着剤からなり、アルミニウム箔26をシート状容器23に接着している。オーバーコート層28は、透明樹脂製の保護層であって、アルミニウム箔26を保護している。
【0046】
開封検知シート30は、
図13に示すように、剥離紙50を剥がすことで、開封検知シート30の後述する粘着層38が露出されて蓋材24の主面に貼り付けられる。剥離紙50が設けられていることで、開封検知シート30は、本体部21への貼り付け前には単体(別体)として保管、流通が可能である。
【0047】
開封検知シート30は、
図15から
図17に示すように、基材層31、回路パターン32、及び保護層33が積層されたシート状の複合材である。基材層31は、粘着層38、金属層37、絶縁層36の順に本体部21側から積層された積層体であるが、回路パターン32との接触面が絶縁性を有していれば層構成は限定されない。粘着層38は、例えばアクリル系、ウレタン系、シリコン系、またはゴム系の材料からなる粘着剤若しくは粘着テープであって、本体部21の蓋材24に粘着する。金属層37は、例えばアルミニウム箔である。絶縁層36は、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリイミド等の樹脂からなる。
【0048】
回路パターン32は、
図15及び
図17に示すように、基材層31上に導電性インク等を印刷して形成された複数の配線パターンである。回路パターン32は、例えば、基材層31の表面に導電性インクを所定のパターン形状に供給後、硬化させることで形成される。導電性インクは、導電性粒子がバインダを含むビヒクルに分散された導電性組成物であり、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、及びこれらの合金、並びにカーボンブラック等の良導電性を示す材料によって構成される各種の粒子が用いられる。導電性インクの供給手法は例えば、ディスペンサによる供給、グラビア印刷法、インクジェット印刷法等の各種の印刷法が用いることができる。導電性組成物の硬化手法は、使用する導電性インクの種類に応じて、乾燥硬化法、加熱硬化法等が用いられる。
【0049】
回路パターン32は、
図13に示すように、収容部22の数と同じ数の配線経路を含む配線パターンである。本実施形態では、回路パターン32は10個の配線経路32A,32B,32C,32D,32E,32F,32G,32H,32I,32J(以下、32A-32Jと記す)を含んでいる。各配線経路32A-32Jは、収容部22毎に異なる経路となるように収容部22毎に設けられている。
【0050】
各配線経路32A-32Jの両端部は、
図15に示すように、基材層31の2つの短辺31A,31Bのうち一方側(短辺31B側)に設けられている。短辺31Bは、本体部21のシート状容器23の余白領域23Sが形成されている側の短辺であり、各配線経路32A-32Jの両端部は、基材層31において余白領域23Sと平面に視て重なる領域に形成されている。各配線経路32A-32Jの両端部には、開封検知器40の接触子41Bと接触して接続される端子部が設けられている。より詳しくは、各配線経路32A-32Jの一方の端部側には第1端子部32Z1が設けられ、他方の端部側には第2端子部32A1,32B1,32C1,32D1,32E1,32F1,32G1,32H1,32I1,32J1(以下、32A1-32J1と記す)が設けられている。
【0051】
第1端子部32Z1は、全ての配線経路32A-32Jについて同じ位置に設けられており、全ての配線経路32A-32Jに共通の端子である。第1端子部32Z1は、接触子41Bの一つに接続されて、接触子41Bから所定の基準電位(具体的にはGND電位)が供給される。第2端子部32A1-32J1は、配線経路32A-32J毎に異なる位置に設けられている。各第2端子部32A1-32J1は、接触子41Bの何れか一つに接続されて、接触子41Bから所定の電位が供給される。第1端子部32Z1と、第2端子部32A1-32J1との間に所定の電位差が生じる(電圧が印加される)と、配線経路32A-32J毎に電流が流れる。
【0052】
各配線経路32A-32Jは、
図15に示すように、第1端子部32Z1と、第2端子部32A1-32J1との間を略U字状に結ぶように形成されている。より詳しくは、各配線経路32A-32Jは、第1端子部32Z1から基材層31の短手方向の略中央を長手方向に延びた後、短手方向に屈曲して枝分かれし、再び屈曲して基材層31の長辺31C、又は31Dに沿って各第2端子部32A1-32J1へと至るU字状をなしている。配線経路32A-32Jの長さは、基材層31の短辺31Bからの距離が大きい収容部22に設けられた配線経路32A-32Jほど大きく形成されている。
【0053】
各配線経路32A-32Jは、共通配線経路32Zと、重畳配線経路32A2,32B2,32C2,32D2,32E2,32F2,32G2,32H2,32I2,32J2(以下、32A2-32J2と記す)とを含んでいる。共通配線経路32Zは、全ての配線経路32A-32Jで同一の経路であり、基材層31の短手方向の略中央に設けられ、第1端子部32Z1から基材層31の長手方向に沿って延在する。共通配線経路32Zを設けることで、配線経路32A-32Jの一部を共通化でき、回路パターン32をよりコンパクトにレイアウトしやすくなる。
【0054】
各重畳配線経路32A2-32J2は、基材層31の短辺方向に沿って延在し、収容部22毎に異なる経路となっている。各重畳配線経路32A2-32J2は、
図18に示すように、各収容部22の開口22Aと平面視で重なるように形成されている。これにより、医薬品Tが収容部22から押し出されると、
図21に示すように、蓋材24と共に開封検知シート30が突き破られ、重畳配線経路32A2-32J2が破断される。また、各重畳配線経路32A2-32J2は、収容部22の開口22Aの中心22A1(すなわち収容部22の平面視における中心22A1)と平面視で重なる位置を通過することが好ましい。このようにすれば、開封検知シート30が突き破られる際に、重畳配線経路32A2-32J2がより確実に破断されるようになる。
【0055】
上記した回路パターン32によれば、本実施形態のように収容部22の数が10個と多い場合であっても、開封検知シート30の平面サイズを増大せず、本体部21の平面サイズと実質的に同一の大きさを保ったままで、収容部22毎に配線経路32A-32Jの破断が可能な開封検知シート30を実現できる。また、収容部22を開封する際に、当該収容部22の開封検知用ではない別の配線経路が誤って破断されてしまう事態を抑制できる。
【0056】
保護層33は、絶縁材料によって形成されており、
図17に示すように、回路パターン32を覆って保護している。本実施形態において、保護層33は、非光沢性を有する透明な樹脂材料が印刷塗布(MOP, Mat on Printing)されて形成されているが、絶縁性を有していれば材質や形成方法は限定されない。保護層33は、基材層31の主面において、各配線経路32A-32Jの第1端子部32Z1、及び第2端子部32A1-32J1以外の部分に印刷塗布されている。従って保護層33は、第1端子部32Z1、及び第2端子部32A1-32J1を覆っておらず、包装材20が開封検知器40に取り付けられると(
図2)、端子部32Z1、32A1-32J1は、開封検知器40の接触子41Bと接触して導通するようになっている。
【0057】
また開封検知シート30には、
図15から
図19に示すように、配線経路32A-32Jの重畳配線経路32A2-32J2の破断を補助するために、複数の破断線39が設けられている。各破断線39は、重畳配線経路32A2-32J2毎(ひいては、収容部22毎)に設けられている。本実施形態に係る破断線39は、収容部22の中心22A1を取り囲むように、収容部22毎に4つずつ設けられているが、その数は4つに限定されない。
【0058】
破断線39は、
図19に示すように、重畳配線経路32A2-32J2が長手方向に沿って切断されるように、全体として長手方向に延在している。破断線39は、重畳配線経路32A2-32J2と平面視で重ならず、2つずつの破断線39が重畳配線経路32A2-32J2を挟んで対向するように設けられている。破断線39は曲線状をなし、少なくとも一端部39Aは、収容部22の中心22A1側に湾曲している。破断線39の少なくとも一部は、医薬品Tが押し出される時に医薬品Tが接触する位置と平面視で重なるように形成されることが好ましい。このようにすれば、破断線39の一部は、押し出された医薬品Tによって確実に加圧されるようになり、破断を補助する効果を高められる。
【0059】
破断線39は、
図17及び
図20に示すように、基材層31、保護層33、及び粘着層38を貫通する貫通孔(切れ目)であるが、これらの層の全てを貫通していなくても構わない。破断線39は例えば、いわゆるハーフスリットのように、基材層31、保護層33、及び粘着層38の層方向(Z軸方向)の厚さが他の部分より小さくなるように溝状に形成されていても構わない。また、破断線39は、その全体が貫通孔やハーフスリットとして形成されている必要はなく、例えばミシン目状(点線状)に、部分的に貫通孔やハーフスリットが含まれるように形成されていても構わない。
【0060】
上記した破断線39によれば、
図21に示すように医薬品Tが収容部22から押し出される際に、重畳配線経路32A2-32J2がより確実に破断されるようになる。また、各破断線39の端部39Aは、収容部22の中心22A1側に湾曲しているため、蓋材24及び開封検知シート30が突き破られる際に、当該収容部22とは別の収容部22の開封検知用の配線経路32A-32Jが誤破断されてしまう事態を抑制できる。仮に、
図22に示す比較例に係る破断線939のように、その一端部939Aが湾曲していない場合、重畳配線経路32J2と重なる収容部22が開封される場合に、本来開封されるべき重畳配線経路32J2だけでなく、配線経路32Iの一部も破断される懸念がある。その結果、開封されていない収容部22が開封状態にあると誤検知される懸念がある。これに対して本実施形態に係る破断線39によれば、開封検知シート30が破られる方向が規制(制御)されるため、配線経路32A-32Jの誤破断を抑制でき、ひいては誤検知を抑制できる。
【0061】
次に、上記した構成の開封管理システム10の具体的な処理について
図23A、
図23B、
図24A、及び
図24Bを参照して説明する。以下、情報処理端末70から管理サーバー60、通信サーバー86、開封検知器40へと順に至る情報の流れを下り通信(downlink)とし、逆に開封検知器40から通信サーバー86、管理サーバー60、情報処理端末70へと順に至る情報の流れを上り通信(uplink)とする。
【0062】
ユーザーは、情報処理端末70のアプリを起動し、開封検知器40の登録情報を入力する。登録情報を入力するにあたり、開封検知器40の筐体50に付されているID情報をユーザーが読み取って情報処理端末70に入力したり、情報処理端末70が直接読み取ることにより、管理サーバー60は開封検知器40のID情報と情報処理端末70の識別情報との対応関係を記録する。開封検知器40の筐体50には平文のID情報ではなく暗号化された暗号コードが付されてもよく、暗号コードを管理サーバー60がID情報へと復号してもよい。開封検知器40のID情報は、開封検知器40や情報処理端末70の機器固有の情報であってもよい。情報処理端末70の識別情報は、情報処理端末70の機器固有の情報であってもよいし、情報処理端末70を使用するユーザーに固有の情報であってもよい。
【0063】
入力された登録情報は、
図23Aに示すように、情報処理端末70によって管理サーバー60にdownlink送信される(S100)。登録情報には具体的に、医薬品Tの服薬時刻(検知時刻の一例)、開封検知器40の開封検知頻度、開封検知器40の報知設定、開封検知器40からの開封検知結果の送信頻度、及び管理サーバー60からの設定情報の送信に対する要求頻度が含まれる。また、管理サーバー60にdownlink送信される登録情報には、開封検知器40のID情報と情報処理端末70の識別情報とが対応づけられる。
【0064】
服薬時刻は、1日に複数回を服薬する場合、各回の服薬時刻が含まれるものとされ、例えば1日3回食後の場合、朝食後、昼食後、夕食後の各服薬時刻が含まれる。開封検知頻度は、一定時間毎に定期的に検知を行うか(以下、定期検知とする)、又は常時検知を行うか(以下、リアルタイム検知とする)、さらには定期検知の場合の時間間隔(例えば5分、10分、15分、20分、30分、60分、120分)の設定である。定期検知に設定することでリアルタイム検知に比べて省電力化でき、また定期検知の時間間隔を長く設定するほど省電力化できる。本実施形態では、定期検知に設定されている場合について具体的に説明する。
【0065】
開封検知器40の報知設定は、服薬忘れ(未開封)時のLED45の点灯パターンの設定であり、点灯(点滅)の時間が異なる複数種類のパターンから選択可能とされる。開封検知器40からの開封検知結果の送信頻度は、開封検知器40からの情報送信(uplink)を開封検知結果に変化がある場合のみ行うか否かの設定である。開封検知結果に変化がある場合のみと設定すると、開封検知器40のデータ送信頻度を削減できるため省電力化できる。本実施形態では、開封検知結果に変化がある場合のみにデータ送信されると設定されている場合について具体的に説明する。
【0066】
管理サーバー60からの設定情報の送信に対する要求頻度(以下、定期downlink頻度とする)は、1日1回(例えば夕食後の服薬時刻後)の送信とするか、複数回(例えば朝食後、昼食後、夕食後の各服薬時刻後)の送信とするかの設定である。定期downlink頻度を調整することで、開封検知器40の設定情報を更新しつつ、更新に伴う開封検知器40の消費電力ができるだけ少なくなるように調整できる。本実施形態では、定期downlink頻度が各服薬時刻後に設定されている場合について具体的に説明する。
【0067】
開封検知器40は、
図23Aに示すように、起動されると初期データをuplink送信する(S200)。開封検知器40からuplink送信されるデータ(uplinkデータ)は、ID情報、開封時刻、開封検知結果(各収容部22の開封状態について制御部44による判定結果)、充電池47の残量、接続部41に包装材20の回路パターン32が接続されているか否か、及び独立モードが起動されているか否かを含む。初期データは、開封検知器40の起動時、又はリセットボタン46がONされた時のuplinkデータである。uplinkデータに開封検知器40のID情報が含まれていることで、開封検知器40が複数台ある場合であっても(複数の包装材20(ひいては医薬品T)がある場合であっても)、開封検知器40毎に開封検知を行って、開封検知器40毎に開封状態に基づく報知を実行可能となっている。
【0068】
独立モードは、電波状況が悪く、開封検知器40へ後述するdownlinkデータが送信されない場合に起動される動作モードである。独立モードでは、アプリで入力した登録情報で設定したデータ送信頻度(開封検知結果の送信頻度)ではなく、開封検知器40の制御部44が備えるタイマーによる定期間隔でuplinkデータの送信が行われる。独立モードによれば、電波状況が悪く、開封検知器40へdownlinkデータが正常に送信されない場合であっても、開封検知器40からuplinkデータが送信されるようになる。ただし、開封検知器40にはdownlinkデータに含まれる現在時刻も送信されないため、独立モードの起動時は、服薬忘れを報知するためにLED45を点滅してアラートを発出する処理は実行されない。
【0069】
通信サーバー86は、
図23Aに示すように、開封検知器40からuplinkデータを受信すると、管理サーバー60に対して当該uplinkデータを転送すると共に、管理サーバー60に設定情報のcallback要求(送信要求)をする(S300)。管理サーバー60は、通信サーバー86から転送されたuplinkデータを受信する(S400)。また管理サーバー60の情報生成部62は、ステップS100において情報処理端末70から送信された登録情報に基づいて開封検知器40に開封検知に関する所定処理を行わせるための設定情報を生成しており、この設定情報(以下、downlinkデータとする)を通信サーバー86のcallback要求に応じて出力(送信)する(S402)。downlinkデータは、本実施形態では64ビットのデータとして生成される設定情報であって、既述した登録情報と、現在時刻とを含んでいる。
【0070】
通信サーバー86は、
図23Aに示すように、管理サーバー60からdownlinkデータを受信して、開封検知器40に転送する(S302)。downlinkデータは、開封検知器40の記憶部48に上書きされて、開封検知器40の設定情報が更新される(S202)。従って更新後は、開封検知器40の制御部44は、更新された設定情報に基づき開封検知に関する所定処理を実行することとなる。
【0071】
次に、開封検知器40の制御部44は、
図23Bに示すように、1日のうちの最終服薬回(例えば1日3回の場合には3回目)か否かを判定する(S204)。最終服薬回である場合には(S204のYES)、制御部44は開封検知器40の動作モードを一定時間経過後(例えば4時間経過後)に省電力モード(ナイトモード)に切り替えるようにタイマー設定する(S208)。ナイトモードは省電力モードの一種であり、後述するスタンバイモードの動作に加えて定期検知を停止する動作モードである。省電力モードでは、夜間等、服薬がなく開封検知が不要となる時間帯に開封検知器40を待機状態にし、開封検知を行わないことで、消費電力を削減できる。
【0072】
タイマー設定後、開封検知器40が翌日分のdownlinkデータを要求すると(S210)、通信サーバー86からcallback要求が出され(S304)、管理サーバー60からdownlinkデータが出力(送信)される(S404)。downlinkデータは、通信サーバー86を経由して(S306)、開封検知器40に伝達される。downlinkデータは、開封検知器40の記憶部48に上書きされて、開封検知器40の設定情報が更新される(S212)。そして開封検知器40は、ステップS206のタイマー設定時間経過後に省電力モードに切り替えられて、待機状態となる(S214)。一方ステップS204において最終服薬回でない場合(S204のNO)、制御部44は、開封検知器40の動作モードを省電力モード(スタンバイモード)に切り替える(S214)。スタンバイモードは省電力モードの一種であり、開封検知(開封検知器40の接続部41に電流を流して、包装材20の回路パターン32に生じる電圧を検出し、開封状態を判定)が行われない動作モードである。
【0073】
開封検知器40は、省電力モードに切り替えられた後(
図23BのS214)、
図24Aに示すように、所定のタイミング(例えば定期検知の場合、downlinkデータに含まれる検知間隔に基づき、制御部44のタイマーにより起動されるタイミング)で省電力モードから起動する(S220)。そして、制御部44は各収容部22の開封検知を行って開封状態を判定し(S222)、開封状態の場合にはuplinkデータを出力(送信)する(S238)。uplinkデータは、通信サーバー86を経由して(S320)、管理サーバー60に送信され(S420)、情報処理端末70に開封状況が表示される(S120)。一方、ステップS222において未開封状態の場合には、制御部44は開封検知器40を省電力モード(スタンバイモード)にする(S226)。
【0074】
次に制御部44は、現在時刻が服薬時刻以降になると(S228のYES)省電力モード(スタンバイモード)を解除して(S229)、再び開封検知を実行する(S230)。ここで未開封状態の場合(S230のNO)、服薬時刻を過ぎても包装材20が開封されていない(ひいては医薬品Tが取り出されていない)ため、LED45が点滅することでアラートが発出される(S232)。一方、開封状態の場合(S230のYES)はステップS222に戻る。
【0075】
次に制御部44は、設定された定期検知の時間間隔を空けて、再び開封検知を行う(S234)。未開封状態の場合には(S234のNO)、前回の開封検知結果である未開封状態(S230のNO)から変化がないため、uplinkデータは出力(送信)されず、一定時間経過後にアラートが停止され(S236)、ステップS222に戻る。一方、開封状態の場合には(S234のYES)、前回の開封検知結果である未開封状態(S230のNO)から変化しているため、通信サーバー86にuplinkデータが出力(送信)される(S238)。uplinkデータには、開封検知器40の制御部44が開封状態を検知した際の現在時刻である開封時刻を示すデータが含まれる。uplinkデータは、既述したように通信サーバー86を経由して(S320)、管理サーバー60に送信され(S420)、情報処理端末70に開封状況が表示される(S120)。管理サーバー60は、uplinkデータを情報処理端末70に転送し、情報処理端末70はuplinkデータに基づいて少なくとも開封時刻を含む開封状況を表示する。また、管理サーバー60は、uplinkデータに含まれる開封検知器40のID情報を取得し、このID情報に対応付けられている登録情報を入力した情報処理端末70に対してuplinkデータを転送する。
【0076】
また開封検知器40の制御部44は、uplinkデータを出力(S238)後、現在時刻が最終服薬時刻以降かどうかを判定する(S240)。最終服薬時刻は、downlinkデータに含まれる複数回分の服薬時刻のうち最も遅い時刻である。最終服薬時刻とは、服薬時刻から所定時間後であって医薬品Tが服薬されるべき最終時刻である。医薬品Tは服薬時刻以降、遅くとも最終服薬時刻までに服用されることが求められるため、従って、包装材20は服薬時刻以降、最終服薬時刻までに開封が求められる。現在時刻が最終服薬時刻以降でない場合には(S240のNO)、ステップS222に戻り、上記した開封検知に関する処理を繰り返す。
【0077】
現在時刻が最終服薬時刻以降である場合には(S240のYES)、
図24Bに示すように、開封検知器40はdownlinkデータを要求し(S242)、通信サーバー86からcallback要求が出され(S322)、管理サーバー60からdownlinkデータが出力(送信)される(S422)。downlinkデータは、通信サーバー86を経由して(S324)、開封検知器40に伝達される。downlinkデータは、開封検知器40の記憶部48に上書きされて、開封検知器40の設定情報が更新される(S244)。更新後、開封検知器40は省電力モードに切り替わる(S246)。
【0078】
<実施形態2>
実施形態2に係る開封管理システム110について
図25を参照して説明する。実施形態2において、実施形態1と同様の構成、作用及び効果については重複する説明は省略する。
【0079】
開封管理システム110において開封検知器140は、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))によって情報処理端末170と通信接続されている。開封検知器140は、BLE用の通信モジュールを備え、情報処理端末170はBLE機能を有している。これにより開封検知器140は、情報処理端末170とペアリング接続され、情報処理端末170を介して、通信網80に接続される管理サーバー60と通信可能となっている。このようにすれば、LPWA通信が利用可能でない状況下(例えば基地局85が整備されていない地域)であっても、開封検知、及び開封状態に基づく報知を実現できるようになる。
【0080】
<実施形態3>
実施形態3に係る包装材120について
図26を参照して説明する。実施形態2において、実施形態1及び実施形態2と同様の構成、作用及び効果については重複する説明は省略する。
【0081】
包装材120において、医薬品Tは例えば細長状のカプセル錠剤であり、各収容部122はこれに倣い、平面に視て細長い楕円形状をなしている。また、収容部122のX軸方向の寸法は実施形態1に比べて大きく、包装材120の平面形状及び平面サイズは実施形態1と異なっている。開封検知シート130の第1端子部32Z1、及び第2端子部32A1-32J1の位置は、実施形態1と同じ配置間隔で設けられており、開封検出器40の接触子41Bの位置に対応している。これにより、異なる平面サイズの包装材120に対しても、同一仕様の開封検出器40によって開封検知が可能となっている。また、破断線139の位置は、医薬品Tの形状に合わせて設けられており、医薬品Tが押し出される時に、医薬品Tが接触する位置と平面視で重なるように形成されている。
【0082】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0083】
(1)図示における本体部21の形状、並びに収容部22,122の形状、数、及び間隔等は一例であり、適宜変更可能である。また、開封検知シート30,130の形状、及び大きさ、回路パターン32の配線経路の数、並びに破断線39,139の数等もこれらに合わせて適宜変更可能である。
【0084】
(2)図示における筐体50の形状は一例であり、適宜変更可能である。
【0085】
<uplinkデータの活用例>
既述したように管理サーバー60は、uplinkデータを情報処理端末70にそのまま転送してもよいが、uplinkデータに基づく情報処理によって生成した各種加工データを情報処理端末70に送信してもよい。さらに、管理サーバー60は、登録情報を入力した情報処理端末70以外の端末に対してuplinkデータや加工データを送信してもよい。
【0086】
uplinkデータや加工データは、包装材20に包装された医薬品Tを服用する者が使用する端末に送信されてもよいし、医薬品Tを処方した医療機関の端末であってもよいし、医薬品Tを製造する薬品メーカの端末であってもよいし、包装材20を製造する包装材メーカの端末であってもよいし、医薬品Tの流通経路上の流通業者の端末であってもよい。管理サーバー60は、uplinkデータや加工データに対して外部からアクセス不能にし、真正な送信先に対してのみuplinkデータや加工データを送信するように構成されるのが望ましい。管理サーバー60は、真正な送信先のみ復号できるように、uplinkデータや加工データを暗号化して記録してもよい。
【0087】
既述したように管理サーバー60は、uplinkデータに基づいて以下のような情報処理を行ってもよい。管理サーバー60は、情報処理端末70にて入力した登録情報とuplinkデータが示す開封時刻とを蓄積した開封時刻データベースを作成してもよい。さらに、管理サーバー60は、登録情報が示す服薬時刻と開封時刻とを比較することにより、服薬が適切に行われている否かを判定し、その判定結果を示す加工データを各種端末に送信してもよい。このような加工データは、医者や薬剤師等の医薬品Tの処方者にも有益であるし、医薬品Tを服薬する者にも有益である。
【0088】
管理サーバー60は、開封時刻データベースに蓄積した開封時刻を統計処理することにより加工データを生成してもよい。具体的に、管理サーバー60は、医薬品Tを服薬する者の属性(例えば年齢や性別等)ごとに開封時刻を統計処理してもよいし、医薬品Tの種類ごとに開封時刻を統計処理してもよい。さらに、管理サーバー60は、開封時刻データベースに蓄積した開封時刻を教師データとして機械学習を行うことにより、医薬品Tの服薬状況を予測する予測モデルを生成してもよい。管理サーバー60は、予測モデルによって予測した服薬状況を示すデータを加工データとして各端末に送信してもよい。
【0089】
包装材20は必ずしも医薬品Tを包装するものに限られず、開封をした上で使用・消費される包装物であればどのようなものを包装してもよい。さらに、包装材は開封検知器40が取り付け可能なものであればよく、必ずしも包装物を密封しなくてもよい。また、包装材は、包装物を収容する容器と包装物とに跨って貼り付けられるシールであってもよく、包装物を容器から取り出すことにより破断してもよい。例えば、包装材は、容器としてのファイルと、包装物としての書籍や冊子とに跨って貼り付けられるシールであってもよい。例えば食品のように消費期限が有期の包装物に本発明を適用した場合、uplinkデータが示す開封時刻に基づいて適切なタイミングで消費されているか否かを検証することが可能となる。消費期限が無期の包装物に本発明を適用した場合においても、uplinkデータが示す開封時刻に基づいて包装物の消費状況を把握できるため、包装物の供給者や生産者に有益な情報を提供できる。
【符号の説明】
【0090】
20,120:包装材、22,122:収容部、24:蓋材、30,130:開封検知シート、31:基材層、32:回路パターン、32A,32B,32C,32D,32E,32F,32G,32H,32I,32J:配線経路、32A1,32B1,32C1,32D1,32E1,32F1,32G1,32H1,32I1,32J1:第2端子部、32Z:共通配線経路、32Z1:第1端子部、40,140:開封検知器(外部機器)、T:医薬品(被収容物)